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JP4940138B2 - 燃料に対する摩擦摩耗減少添加剤としての窒素含有複素環式化合物 - Google Patents

燃料に対する摩擦摩耗減少添加剤としての窒素含有複素環式化合物 Download PDF

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JP4940138B2 JP2007524285A JP2007524285A JP4940138B2 JP 4940138 B2 JP4940138 B2 JP 4940138B2 JP 2007524285 A JP2007524285 A JP 2007524285A JP 2007524285 A JP2007524285 A JP 2007524285A JP 4940138 B2 JP4940138 B2 JP 4940138B2
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Description

発明の詳細な説明
本発明は、式(I)
Figure 0004940138
[前記式中、RはH、又はC1〜C3−アルキルである]の複素環式化合物少なくとも1つの、燃料組成物における摩擦摩耗減少添加剤としての使用、相応して添加された燃料組成物、及びこの製造、及び係る化合物を含有する助剤濃縮物に関する。
従来技術:
オットーエンジンの気化器及びインテーク系、また燃料計量供給のためのインジョクション系は汚染物質により強力に汚染され、これは空気からのダスト粒子、燃焼室からの未燃焼の炭化水素残留物、及び前記気化器中に導通されるクランク室換気ガスにより引き起こされる。前記残留物はこの空気−燃料比を、アイドリングにおいてかつ低い部分負荷範囲においてスライドさせるので、この結果この混合気はより希薄に、この燃焼はより不完全になり、従って未燃焼の又は部分燃焼した炭化水素の割合が排ガス中で増大する。上昇するガソリン消費が結果として起こる。
この欠点を減少させるために、燃料助剤が、オットーエンジンの弁及び気化器又はインジョクション系を清浄に保つために使用されることが公知である(参考、例えばM. Rossenbeck in Katalysatoren, Tenside, Mineraloeladditive, Hrsg. J. Falbe, U. Hasserodt, 223頁, G. Thieme Verlag, Stuttgart 1978)。係る界面活性性の燃料助剤を一般的に、「清浄剤(Detergenz)」と呼称する。潤滑剤組成物の範囲において、しばしばいわゆる「分散剤(Dispergator)」が界面活性助剤として使用され、その際この分散剤は部分的に、燃料組成物における清浄剤としての使用にも適する。係る清浄剤は、これは複数の化学的な物質クラスに由来してよいが、例えばポリアルケンアミン、ポリエーテルアミン、ポリブテン−マンニッヒ塩基又はポリブテン−スクシンイミドが、一般的にキャリアーオイル及び場合により更なる助剤成分、例えば腐食防止剤及び解乳化剤と組み合わせて適用される。係るオットー燃料助剤あり及びなしのオットー燃料(Ottokraftstoff)は、オットーエンジンにおけるその潤滑能又は摩耗特性に関して相違する挙動を示し、しかしながらこれは申し分のないものでなく、従って改善されることが望ましい。
ディーゼル燃料の潤滑能の改善のための成分が従来技術に既に属するディーゼル燃料のための燃料助剤とは対照的に、オットー燃料では、オットー燃料への適した助剤の添加によりこの潤滑能を著しく向上させ、従って改善させるための、技術的解決がまずもってほとんど存在しない。例示的に公知であるのは、脂肪酸及びこの誘導体(EP-A-780 460、EP-A829 527)、アルケニルコハク酸エステル(WO 97/45507)、ビス(ヒドロキシアルキル)脂肪アミン(EP-A-869 163)、又はヒドロキシアセトアミド(WO-98/30658、US-A-5,756,435)がオットー燃料への添加剤及び/又はオットー燃料助剤として、このオットー燃料の潤滑能を改善できることである。ヒマシ油でも、ディーゼル燃料(EP-A-605 857)及び/又はオットー燃料(US-A-5,505,867)に対するこの添加が潤滑能を向上できることが公知である。
BASF AGのEP-A-1 230 328からは、相乗効果助剤混合物が公知であり、これは潤滑能改善剤として燃料及び潤滑剤中で使用可能であり、かつジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体と長鎖の、脂肪族アミン並びに脂肪酸エステル又は脂肪酸エステル含有成分との反応生成物、例えば植物油を含有する。
US-A-4,060,491からは、アルキル残基が4〜16つの炭素原子を有する5−アルキル−ベンゾトリアゾールの、潤滑剤組成物中での摩擦摩耗減少添加剤としての使用が公知である。燃料組成物中での、特にオットー燃料中での使用は記載されない。ベンゾトリアゾール及びトルトリアゾール(Tolutriazol)は自体で、1000ppm(0.1質量%)の範囲での添加の際に潤滑剤中で申し分のない効能を示さない。
EP-A-1 246 895は、酸素及び窒素から選択される異種原子少なくとも1つを有する更なる多環式芳香族化合物を記載し、前記異種原子はこの複素環の又は環外の基中に存在し、かつ環に少なくとも1つのC1〜C4−アルキル−置換基を有する。係る化合物は、特に、ディーゼル燃料中での減摩助剤として適する。この教示によれば、このアルキル−置換基は、環−異種原子に対してα−位においても、β−位においてもこの分子に結合してはならず、というのもさもなければ、不十分な潤滑作用のみが観察されるものであるからである。有利な例は、最大で2つの異種原子を有する化合物、例えば、特に5−メチルベンズイミダゾール、2−ヒドロキシ−4−メチルキノリン、8−ヒドロキシ−キナルジン、及び4−アミノ−キナルジンを含む。更に、申し分のない結果が、50ppmを上回る、有利には約150ppmの配量で初めて得られる。2つ以上の異種原子を有する化合物、及び従って極性のある化合物、例えばトルトリアゾール及び類似する化合物のオットー燃料のための摩擦改質剤(Friction Modifier)としての使用可能性は、これらの引用文献において、明文をもって提案されておらず、また専門知識を有する読者にいかなる形態においても喚起されるものでない。
従って、潤滑能、特にオットー燃料の潤滑能、又は摩耗耐性、特にオットーエンジンの摩耗耐性を改善する新規の燃料助剤を提供する課題が存在する。
本発明の簡単な説明
意外にも上記課題は、トルトリアゾール及び構造的に類似する化合物の、摩擦改質剤としての使用により解決されることが見出された。意外にも、既に少量の前記助剤で、この添加された燃料の摩擦摩耗特性の著しい改善を導くことが確認された。
これは更に、トルトリアゾール型の化合物は、これは既に非鉄金属腐食保護剤として燃料中で使用されている(通常は10ppmよりも少ない量で)が、更なる使用に供せられ、従って腐食保護及び潤滑作用を、自体同一の助剤を用いて改善できる可能性が存在するとの利点を有する。
本発明の詳細な説明
A)有利な実施態様
本発明の第一の主題は、式(I)
Figure 0004940138
[前記式中、RはH、又はC1〜C3−アルキル、例えばメチル、n−プロピル又はイソプロピルである]
の複素環式化合物少なくとも1つの、燃料組成物における摩擦摩耗減少添加剤としての使用に関する。
有利には、式(I)の化合物を前記燃料に、1000mg/kgよりも少ない割合で、例えば1〜500mg/kg又は10〜250mg/kg又は10〜100mg/kgの割合で、又は1〜<50mg/kg、例えば1〜45mg/kgの割合で添加する。
有利には、式(I)の化合物の、環の置換基Rに関して位置異性体である化合物の混合物としての使用が実施される。従って、式(I)の化合物として、特に式(Ia)及び(Ib)
Figure 0004940138
の化合物の異性体混合物が使用されてよく、その際(Ia)(4−アルキル−化合物)対(Ib)(5−アルキル−化合物)のモル比は、10〜60対90〜40、例えば約20〜40対80〜60、又は約30〜40対70〜60の範囲にある。
有利には、(Ib)の相対的な割合は(Ia)の総体的な割合よりも大きく、(Ib)及び(Ia)の混合物に対して約50〜90、例えば55〜80モル%である。
本発明によれば、式I、Ia及びIbの化合物の全ての可能性のある互変異性体の形態は、単独で又は混合して含まれる。例示的には式Iに関して以下の互変異性体の形態が挙げられる:
Figure 0004940138
特に有利な一実施態様によれば、Rはメチルである。(Ib)の割合はこの際、約63モル%、かつ(Ia)の割合は約37モル%である。
更に、本発明による摩擦改質剤は、少なくとも1つの更なる市販の燃料助剤、例えば清浄剤助剤、キャリアーオイル、腐食阻害剤、及びこれらの助剤の1つ又は複数を含有する混合物から選択される燃料助剤と組み合わせて使用されることが有利である。
本発明による使用では、意外にも、摩擦摩耗値(R;μmで)の減少が、以下の実験部分に記載したように測定して、約5〜70、例えば5〜60、5〜50、10〜60、15〜60、又は15〜50%だけ、式(I)の助剤の添加前に算出した値と比較して観察される。この測定方法はこの際、ディーゼル燃料分野で通常に使用されるHFRR試験(CEC F06−A−96に相当)に基づいており、但しこの測定は、室温(25℃)及び720g(約7.06N)の負荷下で行われる。検査すべき燃料は、この測定前に、50体積%に蒸留により濃縮される。
代替的な一実施態様において、本発明は、少なくとも1つの更なる通常の、従来技術(参照、例えば上記のとおり)から公知である摩擦摩耗減少添加剤と組み合わせた、上記した複素環の使用に関する。
本発明の更なる主題は、通常のベース燃料の主要量中に摩擦摩耗値を減少させる量の上記の定義による式(I)の複素環式化合物を含有する燃料組成物である。
本発明の主題はまた、上記の定義による少なくとも1つの更なる摩擦摩耗減少添加剤を、少なくとも1つの更なる通常の燃料助剤と、場合により、少なくとも1つの更なる通常の摩擦減少添加剤とを組み合わせて含有する助剤濃縮物である。特に有利には、オットー燃料における上記した摩擦改質剤が使用される。
本発明の最後の主題は、改善した摩擦摩耗挙動を有する燃料組成物の製造方法であって、市販の燃料組成物に、上記の定義による複素環式化合物の又は上記の定義による助剤濃縮物の有効量を添加する、燃料組成物の製造方法に関する。
B)更なる助剤成分
本発明による摩擦改質剤の調合物は添加すべき燃料に、単独で又は更なる有効な助剤成分(共助剤(Co−Additive))と混合して添加されてよい。
B1)清浄助剤
例として、清浄作用及び/又は弁座摩耗阻害作用を有する助剤(以下において清浄助剤として呼称される)を挙げることができる。この清浄助剤は、数平均分子量(Mn)85〜20000及び以下から選択される少なくとも1つの極性の原子団を有する、少なくとも1つの疎水性の炭化水素残基を有する:
(a) 6個までの窒素原子を有するモノアミノ基又はポリアミノ基、その際、少なくとも1個の窒素原子は塩基性の特性を有する、
(b)ニトロ基、これは場合によりヒドロキシル基と組み合わされている、
(c) モノアミノ基又はポリアミノ基と組み合わせたヒドロキシル基、その際、少なくとも1つのこの窒素原子は塩基性の特性を有する、
(d)カルボキシル基又はこのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、
(e)スルホン酸基又はこのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、
(f) ヒドロキシル基、モノアミノ基又はポリアミノ基(その際、少なくとも1つの窒素原子は塩基性の特性を有する)又はカルバマート基を末端に有するポリオキシ−C2〜C4−アルキレン原子団、
(g) カルボン酸エステル基、
(h)ヒドロキシ基及び/又はアミノ基及び/又はアミド基及び/又はイミド基を有する、無水コハク酸から誘導される原子団、及び/又は
(i)置換されたフェノールとアルデヒド及びモノアミン又はポリアミンとのマンニッヒ反応により生成される原子団。
上記の清浄助剤中のこの疎水性の炭化水素残基は、燃料中での十分な溶解性を配慮し、数平均分子量(Mn)85〜20000、特に113〜10000、特に300〜500を有する。典型的な疎水性の炭化水素残基は、特に、極性の原子団(a)、(c)、(h)及び(i)との関連において、そのつどMn=300〜5000、特に500〜2500、とりわけ700〜2300を有するポリプロペニル残基、ポリブテニル残基、及びポリイソブテニル残基が考慮される。
清浄助剤の上記のグループのための例として、以下が挙げられる:
モノアミノ基又はポリアミノ基(a)を含有する添加剤は、有利には、ポリプロペン又は慣用の(即ち、主に真ん中にある二重結合を有する)ポリブテン又はポリイソブテンベースの、Mn=300〜5000を有するポリアルケンモノアミン又はポリアルケンポリアミンである。前記助剤の製造の際に主に真ん中にある二重結合を有するポリブテン又はポリイソブテン(大抵は、β−位及びγ−位にある)から出発する場合には、塩素化、及び引き続くアミン化による、又はカルボニル化合物又はカルボキシル化合物への空気又はオゾンを用いたこの二重結合の酸化、及び引き続くアミン化による、還元性(水素添加)条件下での製造経路が適する。アミン化のためにはこの際、アミン、例えばアンモニア、モノアミン又はポリアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、又はテトラエチレンペンタミンが使用される。相応する、ポリプロペンベースの助剤は、特にWO-A 94/24231に記載されている。
更なる有利なモノアミノ基(a)を含有する助剤は、例えば特にWO-A 97/03946に記載されているように、平均重合度P=5〜100を有するポリイソブテンと窒素酸化物又は窒素酸化物と酸素との混合物との反応生成物の水素化生成物である。
更なる有利なモノアミノ基(a)を含有する助剤は、特にDE-A 196 20 262に記載されているように、ポリイソブテンエポキシドとアミンとの反応及び引き続くこのアミノアルコールの脱水及び還元により得られる化合物である。
ニトロ基(b)(場合によりヒドロキシル基と組み合わされている)を含有する助剤は、有利には、平均重合度P=5〜100又は10〜100のポリイソブテンと、窒素酸化物又は窒素酸化物と酸素との混合物との反応生成物であり、これは特にWO-A-96/03367及びWO-A-96/03479に記載されている。これらの反応生成物は通常は、純粋なニトロポリイソブテン(たとえばα,β−ジニトロポリイソブテン)及び混合されたヒドロキシニトロポリイソブテン(たとえばα−ニトロ−β−ヒドロキシポリイソブテン)からなる混合物である。
モノアミノ基又はポリアミノ基と組み合わせてヒドロキシル基(c)を含有する助剤は、特に、Mn=300〜5000を有する、有利には主に末端に二重結合を有するポリイソブテンから得られるポリイソブテンエポキシドと、アンモニア、モノアミン又はポリアミンとの反応生成物であり、これは特にEP-A 476 485に記載されている。
カルボキシル基又はこのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩(d)を含有する助剤は、有利には、500〜20000の総モル量を有する、C2〜C40−オレフィンと無水マレイン酸とのコポリマーであり、このカルボキシル基は完全に又は部分的にアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩へと、そしてこのカルボキシル基残分はアルコール又はアミンと反応している。このような助剤は、特にEP-A 307 815から公知である。この種の助剤は、とりわけ弁座摩耗の防止に用いられ、例えばWO-A-87/01126に記載されているように、有利に、通常の燃料清浄剤、例えばポリ(イソ)ブテンアミン又はポリエーテルアミンと組み合わせて使用することができる。
スルホン酸基又はこのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩(e)を含有する助剤は、有利にはスルホコハク酸アルキルエステルのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であり、これは特にEP-A-639 632に記載されている。この種の助剤は主として弁座の摩耗の防止に用いられ、有利に、通常の燃料清浄剤、例えばポリ(イソ)ブテンアミン又はポリエーテルアミンと組み合わせて使用することができる。
ポリオキシ−C2〜C4−アルキレン原子団(f)を含有する助剤は、有利にはポリエーテル又はポリエーテルアミンであり、これらは、C2〜C60−アルカノール、C6〜C30−アルカンジオール、モノ−又はジ−C2〜C30−アルキルアミン、C1〜C30−アルキルシクロヘキサノール又はC1〜C30−アルキルフェノールと、ヒドロキシル基又はアミノ基当たり1〜30モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの反応により、及びポリエーテルアミンの場合には、引き続くアンモニア、モノアミン又はポリアミンを用いた還元アミノ化により得られる。この種の生成物は、特にEP-A 310 875、EP-A 356 725、EP-A 700 985及びUS-A 4 877 416に記載されている。ポリエーテルの場合には、このような生成物はキャリアーオイル特性をも満たす。これについての典型的な例は、トリデカノールブトキシラート又はイソトリデカノールブトキシラート、イソノニルフェノールブトキシラート並びにポリイソブテノールブトキシラート及び−プロポキシラート並びにアンモニアとの相応する反応生成物である。
カルボン酸エステル基(g)を含有する助剤は、有利には、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、長鎖のアルカノール又はポリオールとからのエステル、特にDE-A 38 38 918に記載されたような、特に100℃で2mm2/sの最低粘度を有するようなものである。モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸として、脂肪族又は芳香族の酸を使用することができ、エステルアルコールもしくはエステルポリオールとして特に、例えば6〜24個のC原子を有する長鎖の代表物が適している。このエステルの典型的な代表物は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール及びイソトリデカノールのアジパート、フタラート、イソフタラート、テレフタラート及びトリメリタート(Trimellitate)である。この種の生成物は、キャリアーオイル特性も満たす。
ヒドロキシ基及び/又はアミノ基及び/又はアミド基及び/又はイミド基を有する、無水コハク酸から誘導される原子団(h)を含有する助剤は、有利には、ポリイソブテニルコハク酸無水物の相応する誘導体であり、前記誘導体は、Mn=300〜5000を有する慣用の又は高反応性のポリイソブテンと無水マレイン酸との熱的方法での又はこの塩素化されたポリイソブテンを介した反応により得られる。特に重要なのは、この場合に、脂肪族ポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン又はテトラエチレンペンタミンを有する誘導体である。この種のオットー燃料助剤は、特にUS-A 4 849 572に記載されている。
置換したフェノールとアルデヒド及びモノアミン又はポリアミンとのマンニッヒ反応により生成される原子団(i)を含有する助剤は、有利には、ポリイソブテン置換されたフェノールとホルムアルデヒド及びモノアミン又はポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン又はジメチルアミノプロピルアミンとの反応生成物である。ポリイソブテニル置換されたフェノールはMn=300〜5000を有する慣用の又は高反応性のポリイソブテンに由来するものであってよい。この種の「ポリイソブテン−マンニッヒ塩基」は特にEP-A-831 141に記載されている。
個別的に挙げたオットー燃料助剤をより正確に定義するためにここで、従来技術の上記の文献の開示を、明文をもって援用する。
B2)キャリアーオイル及び更なる成分:
本発明による助剤−組成物は更に、まだなお更なる通常の成分及び助剤と組み合わせられてよい。この際、先ず第一に、顕著な清浄作用のないキャリアーオイルが挙げられる。
適した鉱物性キャリアーオイルは、石油処理の際に生じる分画、例えばブライトストック又はベースオイルであり、これは例えばクラスSN500〜2000からの粘度を有する;しかしながらまた、芳香族炭化水素、パラフィン系炭化水素及びアルコキシアルカノールである。同様に使用可能であるのは、「水素化分解オイル」として公知の、かつ鉱油の精製の際に生じる分画(沸点範囲約360〜500℃を有する真空蒸留物留分、高圧下で接触水素化されかつ異性体化され、並びに脱パラフィン化された天然の鉱油から入手可能)である。同様に適するのは、上記した鉱物性キャリアーオイルの混合物である。
本発明により使用可能である合成のキャリアーオイルのための例は、以下から選択される:ポリオレフィン(ポリアルファオレフィン又はポリ内部オレフィン(Polyinternalolefin))、(ポリ)エステル、(ポリ)アルコキシラート、ポリエーテル、脂肪族ポリエーテルアミン、アルキルフェノール出発したポリエーテル、アルキルフェノール出発したポリエーテルアミン、及び長鎖のアルカノールのカルボン酸エステル。
適したポリオレフィンのための例は、Mn=400〜1800を有するオレフィン重合体、特にポリブテン又はポリイソブテンベースのオレフィン重合体である(水素化されているか又は水素化されていない)。
適したポリエーテル又はポリエーテルアミンのための例は、有利にはポリオキシ−C2〜C4−アルキレン原子団を含有する化合物であり、これは、C2〜C60−アルカノール、C6〜C30−アルカンジオール、モノ−又はジ−C2〜C30−アルキルアミン、C1〜C30−アルキルシクロヘキサノール又はC1〜C30−アルキルフェノールと、ヒドロキシル基又はアミノ基当たり1〜30モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの反応により、及びポリエーテルアミンの場合には、引き続くアンモニア、モノアミン又はポリアミンを用いた還元アミノ化により得られる。この種の生成物は、特にEP-A 310 875、EP-A 356 725、EP-A 700 985及びUS-A 4 877 416に記載されている。例えば、ポリエーテルアミンとして、ポリ−C2〜C6−アルキレンオキシドアミン又はこの官能性誘導体が使用されてよい。これについての典型的な例は、トリデカノールブトキシラート又はイソトリデカノールブトキシラート、イソノニルフェノールブトキシラート並びにポリイソブテノールブトキシラート及び−プロポキシラート並びにアンモニアとの相応する反応生成物である。
長鎖のアルカノールのカルボン酸エステルのための例は、特に、モノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸と長鎖のアルカノール又はポリオールとのエステルであり、例えばこれはDE-A-38 38 918に記載されている。モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸として、脂肪族又は芳香族の酸を使用することができ、エステルアルコール又はエステルポリオールとして特に、例えば6〜24個のC原子を有する長鎖の代表物が適している。前記エステルの典型的な代表物は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、及びイソトリデカノールのアジパート、フタラート、イソフタラート、テレフタラート、及びトリメリタート、例えばジ−(nートリデシル又はイソトリデシル)−フタラートである。
更なる適したキャリアーオイル系は、例えばDE-A-38 26 608、DE-A-41 42 241、DE-A-43 09 074、EP-A-O 452 328及びEP-A-O 548 617に記載されていて、これらは本出願に明文をもって援用される。
特に適した合成キャリアーオイルのための例は、約5〜35の、例えば約5〜30のC3〜C6−アルキレンオキシド単位を有するアルコール出発したポリエーテル又はこれらの混合物であり、前記アルキレンオキシド単位は、例えばプロピレンオキシド単位、n−ブチレンオキシド単位、及びi−ブチレンオキシド単位から選択される。適した出発アルコールのための例ではあるがこれを制限するものでない例は、長鎖のアルコール又は長鎖のアルキルで置換したフェノールであり、その際この長鎖のアルキル残基は、特に、直鎖又は分枝したC6〜C18−アルキル残基である。有利な例として、トリデカノール及びノニルフェノールが挙げられる。
更なる適した合成キャリアーオイルは、アルコキシ化されたアルキルフェノールであり、例えばこれはDE-A-10 102 913.6に記載されている。
B3)更なる共助剤
更なる通常の助剤は、腐食阻害剤、例えば有機カルボン酸の皮膜形成傾向のあるアンモニウム塩ベースの、又は非鉄金属腐食防止の場合には、複素環式芳香族ベースの腐食防止剤;酸化防止剤又は安定剤、例えばアミン、例えばp−フェニレンジアミン、ジシクロヘキシルアミン、又はこれらの誘導体ベースの、又はフェノール、例えば2,4−ジ−tert−4−ブチルフェノール又は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ベースの酸化防止剤又は安定剤;解乳化剤;帯電防止剤;メタロセン、例えばフェロセン;メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル;潤滑能改善剤(本発明によるトリアゾール以外)、例えば、特定の脂肪酸、アルケニルコハク酸エステル、ビス(ヒドロキシアルキル)脂肪アミン、ヒドロキシアセトアミド、又はヒマシ油;並びに着色剤(マーカー)である。場合により、燃料のpH値を低下させるためのアミンも添加される。
前記成分又は助剤は、燃料に単独で又は前もって準備した濃縮物(助剤セット)として、本発明による摩擦改質剤と共に添加されてよい。
上記した清浄助剤は、極性の原子団(a)〜(i)と共に燃料に、通常は10〜5000質量ppm、特に50〜1000質量ppmの量で添加される。これ以外に言及される成分及び助剤は、所望の場合には、このために通常の量で添加される。
c)燃料
本発明による助剤組成物は、全ての市販のオットー燃料、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版. 1990, A16巻, 719頁〜に記載されているようなオットー燃料における使用が可能である。
例えば、芳香族含量最大で60体積%、例えば最大で42体積%、又は最大で35体積%、及び/又は硫黄含量最大で2000質量ppm、例えば最大で150質量ppm、又は最大で10質量ppmを有するオットー燃料において使用される。
前記オットー燃料の芳香族含量は、例えば10〜50体積%、例えば30〜42体積%、特に32〜40体積%、又は最大で35体積%である。前記オットー燃料の硫黄含量は、例えば2〜500質量ppm、例えば5〜100質量ppm、又は最大で10質量ppmである。
更に、前記オットー燃料は、例えば、オレフィン含量〜50体積%、例えば6〜21体積%、特に7〜18体積%;ベンゼン含量、〜5体積%、例えば0.5〜1.0体積%、特に0.6〜0.9体積%及び/又は酸素含量、〜25体積%、例えば〜10質量%、又は1.0〜2.7質量%、特に1.2〜2.0質量%を有する。
特に、芳香族含量、最大で38又は35体積%、オレフィン含量、最大で21体積%、硫黄含量、最大で50又は10質量ppm、ベンゼン含量、最大で1.0体積%、及び酸素含量、1.0〜2.7質量%を同時に有するオットー燃料が例示的に挙げられてよい。
オットー燃料中のアルコール及びエーテルに関する含量は幅広い範囲で変動してよい。典型的な最大含量の例は、メタノールに関して15体積%、エタノールに関して65体積%、イソプロパノールに関して20体積%、tert−ブタノールに関して15体積%、イソブタノールに関して20体積%、及び5以上のC原子を一分子中に有するエーテルに関して30体積%である。
オットー燃料の夏期蒸気圧は、通常は最大で70kPa、特に60kPa(そのつど37℃で)である。
オットー燃料のRONは、通常は75〜105である。この相応するMONの通常の範囲は、65〜95である。この言及された規格値は、通常の方法により決定された(DIN EN 228)。
本発明は以下の実施例に基づいてより詳細に説明される:
実験部分:
製造実施例:助剤組成物の製造
Keropur(R)3458N(BASFの市販製品、ポリイソブテンアミンMn=1000並びにトリデカノール−ポリプロポキシラート(トリデカノール 15×PO)及び二量体脂肪酸を腐食防止剤として含有)を60℃に加熱し、撹拌下でここにトルトリアゾール(5−メチル化合物63モル%及び4−メチル化合物37モル%)を表1から導かれる混合比において添加した。この混合物を次いで60℃で1時間撹拌した。
適用例:オットー燃料中での摩擦摩耗値の測定
オットー燃料中での潤滑能又は摩耗性の試験のために、PCS Instruments社(London)の高頻度往復リグ(High Frequency Reciprocating Rig)(HFRR)装置を使用した。この測定条件は、オットー燃料(規格CEC F-06-A-96から出発する)の使用に適合させた(測定温度25℃、負荷720g)。この試験方法のオットー燃料に対する適用可能性は、文献箇所D. Margaroni, Industrial Lubrication and Tribology, Vol. 50, No. 3, May/June 1998, 108-118頁及びW. D. Ping, S. Korcek, H. Spikes, SAE Techn. Paper 962010, 51-59頁(1996)により裏付けされている。
この際使用されるオットー燃料(OK)(EN228による典型的なオットー燃料)は測定前に蒸留により慎重に50体積%に濃縮されている。このために使用されるのは、Herzog社(Lauda-Koenigshofen, Deutschland)の蒸留自動装置MP628である。この50%の残留物を、摩耗測定装置における空試験値の算出のための試験に用いた。この残留物に、下記の表1に列記した実施例に相応して、更なる助剤を添加し、かつこの摩擦摩耗値を上記した方法により測定した。この生じる摩擦摩耗値(R)をマイクロメーター(μm)で記載した;この値が小さくなるほど、この生じる摩耗は少なくなる。
第1表:オットー燃料中の摩擦摩耗値R
Figure 0004940138
意外にも、10ppmの配量で既に、著しい、公知技術に照らして完全に予期できなかった、摩擦摩耗値の改善(即ち、Rの減少)が観察された。

Claims (13)

  1. 式(I)
    Figure 0004940138
    [前記式中、RはH、又はC1〜C3−アルキルである]
    の複素環式化合物少なくとも1つの、燃料組成物における摩擦摩耗減少添加剤としての使用。
  2. 式(I)の化合物を前記燃料に、1000mg/kgよりも少ない割合で添加する、請求項1記載の使用。
  3. 前記化合物を前記燃料に、1〜500mg/kgの割合で添加する、請求項2記載の使用。
  4. 前記化合物を前記燃料に、1〜<50mg/kgの割合で添加する、請求項3記載の使用。
  5. 式(I)の化合物を、環の置換基Rに関して位置異性体である化合物の混合物として使用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
  6. 式(I)の化合物が、式(Ia)及び(Ib)
    Figure 0004940138
    の化合物の異性体混合物を含み、その際
    (Ia)対(Ib)のモル比が10〜60対90〜40の範囲にある、請求項5記載の使用。
  7. Rがメチルである、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
  8. 少なくとも1つの更なる市販の燃料助剤との組み合わせにおける、請求項1から7までのいずれか1項記載の使用。
  9. 摩擦摩耗値(R)が、μmで、5〜70%だけ、式(I)の化合物を含有する助剤の添加前に算出した値と比較して減少する、請求項1から8までのいずれか1項記載の使用。
  10. 少なくとも1つの更なる通常の摩擦減少添加剤との組み合わせにおける、請求項1から9までのいずれか1項記載の使用。
  11. 助剤濃縮物として、式(I)の化合物少なくとも1つを、少なくとも1つの更なる通常の燃料助剤と、場合により、少なくとも1つの更なる通常の摩擦減少添加剤とを組み合わせて使用する、請求項1から10までのいずれか1項記載の使用。
  12. 前記燃料組成物がオットー燃料である、請求項1から11までのいずれか1項記載の使用。
  13. 改善した摩擦摩耗挙動を有する燃料組成物の製造方法において、市販の燃料組成物に、式(I)の化合物少なくとも1つを単独では少なくとも1つの更なる通常の燃料助剤と、場合により、少なくとも1つの更なる通常の摩擦減少添加剤とを組み合わせて助剤濃縮物として有効量を添加する、改善した摩擦摩耗挙動を有する燃料組成物の製造方法。
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