本発明は、冗長動作可能な複数の受動光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)システムからなる光伝送システムに関する。
PONシステムは、1つの局側光終端装置(OLT)と光ファイバ伝送路の一部を複数のユーザ光終端装置(ONU)で共有することにより、局側設備と光ファイバ設備を効率的に使う伝送方式である。反面、局光終端装置と光ファイバ伝送路の一部を共有することにより、これら共有される設備の障害が多くのユーザに影響を及ぼすこととなる。これを解決するために、いくつかの冗長方式が考えられている。
特許文献1には、現用のOLTと予備のOLTを2:1の光カプラを介してPONシステムの受動光伝送路に接続する冗長構成が記載されている。特許文献2には、ONUを2つの受動光伝送路の光カプラに接続する冗長化構成が記載されている。ITU-T G.983は、これらの冗長構成とその組合せが規格化されている。また、OLTの冗長化については、2台以上の現用OLTに対して1台の予備OLTを用意する構成も、知られている。
特開2007−067601号公報
特開2002−057679号公報
予備のOLTを用意する従来の冗長型PONシステムでは、予備のOLTは、現用のOLTの障害を待機するのみで、通常時には、働いていない。これは、システムの信頼性向上と引き換えに、コストを増大させる。
また、従来の冗長型PONシステムは、局側装置(OLT)または宅側装置(ONU)に、冗長構成に対応するための機能を組み込む必要があり、これがコストを増大させる。
本発明は、大幅なコストの増大を招くこと無しに高い信頼性を得られる光伝送システムを提示することを目的とする。
本発明に係る光伝送システムは、第1のOLT、複数の第1のユーザ光終端装置(ONU)及び当該第1のOLTと当該複数の第1のユーザ光終端装置を接続する第1の光伝送媒体からなる第1のPON(Passive Optical Network)システムと、第2のOLT、複数の第2のユーザ光終端装置(ONU)及び当該第2のOLTと当該複数の第2のユーザ光終端装置を接続する第2の光伝送媒体からなる第2のPONシステムと、当該第1のOLTの障害を検知する第1の障害検知手段と、当該第2のOLTの障害を検知する第2の障害検知手段と、当該第1の光伝送媒体と当該第2の光伝送媒体間に配置される光接続機構とを具備する光伝送システムであって、当該光接続機構が、当該複数の第1のユーザ光終端装置と当該第2のOLTとの間の光接続を常時は切り離し、当該第1の障害検知手段の検知出力に従い、当該複数の第1のユーザ光終端装置と当該第2のOLTとを光接続する第1の光スイッチと、当該複数の第2のユーザ光終端装置と当該第1のOLTとの間の光接続を常時は切り離し、当該第2の障害検知手段の検知出力に従い、当該複数の第2のユーザ光終端装置と当該第1のOLTとを光接続する第2の光スイッチとを具備することを特徴とする。
本発明に係る光伝送システムは、それぞれが、OLT、複数のユーザ光終端装置(ONU)及び当該OLTと当該複数のユーザ光終端装置を接続する光伝送媒体からなるm個のPON(Passive Optical Network)システムと、各PONシステムの光伝送媒体上に配置されるm個の1×mの光分波器と、各PONシステムの光伝送媒体上に配置され、m個の選択端子を有するm個の光スイッチであって、当該m個の選択端子が互いに異なる当該m個の光分波器に接続する光スイッチと、当該m個のPONシステムの各OLTの障害を検知するm個の障害検知手段であって、障害検知に応じて、障害を生じたOLTの属するPONシステムの当該光伝送路媒体上に配置される当該光スイッチを別のPONシステムに切り換える障害検知手段とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、既存のOLT及びONUを変更しなくても、低コストでPONシステムを冗長化できる。予備のOLTが不要になるので、設備コストを低く抑えることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。センター局10は2つのPONシステム30a,30bを収容し、これらを独立に且つ同時に運用する。そのために、センター局10には、主としてPONシステム30aを管理するOLT12aと、主としてPONシステム30bを管理するOLT12bを配置する。各PONシステム30a,30bは、上りと下りで互いに異なる波長の光信号を使用し、上り信号光の伝送には、同じ時分割多元アクセス(TDMA:Time Division Multiplex Access)を使用する。
PONシステム30aは、周知の通り、センター局10から引き出される光ファイバ32a、1×Nの光カプラ34a、光カプラ34aから各ユーザ宅まで延びる光ファイバ36a−1〜36a−N、ユーザ宅にあって光ファイバ36a−1〜36a−Nの終端に接続されるONU38a−1〜38a−Nからなる。光カプラ34aは、光ファイバ32aからの光信号をN分割し、各分割光を光ファイバ36a−1〜36a−Nに出力し、各光ファイバ36a−1〜36a−Nからの光信号を光ファイバ32aに供給する光受動素子である。光ファイバ32a、光カプラ34a及び光ファイバ36a−1〜36a−Nが、PONシステム30aの受動光伝送路を構成する。
同様に、PONシステム30bは、センター局10から引き出される光ファイバ32b、光カプラ34aと同様の機能の1×Mの光カプラ34b、光カプラ34bから各ユーザ宅まで延びる光ファイバ36b−1〜36b−M、ユーザ宅にあって光ファイバ36b−1〜36b−Mの終端に接続されるONU38b−1〜38b−Mからなる。光ファイバ32b、光カプラ34b及び光ファイバ36b−1〜36b−Mが、PONシステム30bの受動光伝送路を構成する。
本実施例では、OLT12a,12bを同時に稼働させ、一方のOLT12a(又は12b)の障害時に他方のOLT12b(又は12a)がその障害を救済する。その救済のための光接続手段として、2つの2×2の光カプラ14a,14bをセンター局10に配置する。
OLT12aの光入出力ポートは、2×2の光カプラ14aの入出力ポートX1に接続する。光カプラ14aの入出力ポートY1は、光ファイバ32aに接続する。光カプラ14aの入出力ポートX2は、常開光スイッチ16aを介して光カプラ14bの入出力ポートY2に接続する。同様に、OLT12bの光入出力ポートは、2×2の光カプラ14bの入出力ポートX1に接続する。光カプラ14bの入出力ポートY1は光ファイバ32bに接続する。光カプラ14bの入出力ポートX2は、常開光スイッチ16bを介して光カプラ14aの入出力ポートY2に接続する。
光カプラ14aの入出力ポートX2と光スイッチ16aの間には、光カプラ14aの入出力ポートX2から出力される光(各ONU38a−1〜38a−Nからの上り信号光)を分波する光分波器18aが配置される。光分波器18aは、分波した光をパワー計20aに供給する。パワー計20aは、詳細は後述するが、光分波器18aからの入射光量(時間平均)が所定値未満になると、光スイッチ16aを閉成する。
パワー計20aは、PONシステム30aに収容される全ONU38a−1〜38a−Nが上り信号光を出していない状態を検出する。具体的には、OLT12aが故障するか、又は、OLT12aと光カプラ14aとの間の光線路が破断すると、ONU38a−1〜38a−Nが上り信号光出力の許可を得られなくなり、その結果、パワー計20aに何れのONU38a−1〜38a−Nからも上り信号光を入力しなくなる。この意味で、パワー計20aは、OLT12aの障害を間接的に検出する手段として機能する。
パワー計20aを光ファイバ32aからセンター局10に入射する上り信号光をモニタする位置に配置しても良い。パワー計20aの代わりに、OLT12aの障害を直接的に検出する手段を設け、OLT12aの障害検出に応じて、光スイッチ16aを閉成するようにしてもよい。
同様に、光カプラ14bの入出力ポートX2と光スイッチ16bの間には、光カプラ14bの入出力ポートX2から出力される光を分波する光分波器18bが配置される。光分波器18bは、分波した光をパワー計20bに供給する。パワー計20bもまた、光分波器18bからの入射光量が所定値未満になると、光スイッチ16bを閉成する。パワー計20aと同様の理由により、パワー計20bは、OLT12bの障害を間接的に検出する手段として機能する。
光カプラ14a,14bは、入出力ポートX1の入力光を2つにパワー分割して入出力ポートY1,Y2に供給し、入出力ポートX2の入力光を2つにパワー分割して入出力ポートY1,Y2に供給し、逆に、入出力ポートY1の入力光を2つにパワー分割して入出力ポートX1,X2に供給し、入出力ポートY2の入力光を2つにパワー分割して入出力ポートX1,X2に供給する周知の光受動素子である。パワー分割の分割比は等分であるが、適宜に設定すればよい。
OLT12aは、上位ネットワークからの下り信号を配下のONU(正常運用時には、ONU38a−1〜38a−Nであり、OLT12bの障害時には、ONU38a−1〜38a−N,38b−1〜38b−M)に転送し、配下のONUからの上り信号を上位ネットワークに転送する。同様に、OLT12bもまた、上位ネットワークからの下り信号を配下のONU(正常運用時には、ONU38b−1〜38b−Mであり、OLT12aの障害時には、ONU38a−1〜38a−N,38b−1〜38b−M)に転送し、配下のONUからの上り信号を上位ネットワークに転送する。OLT12a,12bはどちらも、配下のONUに対して上り信号の送信タイミング及び時間を通知して、時間軸上で上り信号が衝突しないようTDMA方式で上り帯域を制御する。
図1では、省略してあるが、OLT12a,12bは、ONUからの上り信号光のゲインを自動調整するAGC(Automatic Gain Control)機能と、各ONUからの上り信号光にクロック同期して上り信号を取り込むクロック同期・再生機能(CDR:Clock and Data Recovery)を具備する。AGC機能により、光パワーの異なる上り信号光の受信レベルを等しくすることができる。AGC機能は、CDR機能と相まって、上りデータの受信を容易にする。OLT12a,12bは更に、QoS(Quality of Service)機能を保有する。すなわち、音声信号又は映像信号など、優先されるべきフレームを優先的に転送する機能を持つ。
各ONU38a−1〜38a−N,38b−1〜38b−Mは、対応する光ファイバ36a−1〜36a−N,36b−1〜36b−Mからの下り信号光で伝送される下りデータを図示しない後段のコンピュータ等に転送する。各ONU38a−1〜38a−N,38b−1〜38b−Mは、OLT12a又は12bにより指示されたタイミング及び期間に、後段のコンピュータからの上りデータを搬送する上り信号光を、それぞれ対応する光ファイバ36a−1〜36a−N,36b−1〜36b−Mに出力する。各ONU38a−1〜38a−N,38b−1〜38b−Mは、OLT12a又は12bからの送信許可が無い限り、上り信号光を出力しない。
OLT12aが正常に動作しているとき、OLT12aは、定期的に所定の制御信号光(例えば、接続するONUを探索するDiscoveryフレーム)をONU38a−1〜38a−Nに送信し、ONU38a−1〜38a−Nは、この制御信号光に応答する上り信号光を出力する。これにより、OLT12aは、活動中のONU38a−1〜38a−Nを個別に認識できる。
即ち、OLT12aの出力する下り信号光は、光カプラ14aの入出力ポートX1に入力し、2分割され、一方の光成分が入出力ポートY1から光ファイバ32aに出力され、他方の光成分が入出力ポートY2から光スイッチ16aに出力される。光ファイバ32aを伝搬した下り信号光は、光カプラ34aでN個に分割される。光カプラ34aで分割された各光成分は、光ファイバ36a−1〜36a−Nを伝搬してONU38a−1〜38a−Nに入射する。各ONU38a−1〜38a−Nは、OLT12aからの下り信号光に応答する上り信号光を生成し、許可されたタイミングで、それぞれ光ファイバ36a−1〜36a−Nに出力する。
各ONU38a−1〜38a−Nから出力される上り信号光は、関連する光ファイバ36a−1〜36a−Nを伝搬し、光カプラ34a及び光ファイバ32aを介して光カプラ14aの入出力ポートY1に入射する。光カプラ14aは、光ファイバ32aから入出力ポートY1に入射する上り信号光を2分割し、一方の光成分を入出力ポートX1からOLT12aに出力する。これにより、OLT12aと各ONU38a−1〜38a−N間の上りと下りの通信が実現する。光カプラ14aはまた、他方の光成分を入出力ポートX2から光分波器18aに出力する。光分波器18aは、光カプラ14aの入出力ポートX2から出力される上り信号光を2分割し、一方の光成分をパワー計20aに、他方の光成分を光スイッチ16aに供給する。このようにして、各ONU38a−1〜38a−Nから出力される上り信号光がパワー計20aに入射する。
パワー計20aは、入射する上り信号光の光パワーを計測する。パワー計20aの閾値は、OLT12aが正常動作しているときのパワー計20aのパワー計測値より充分に低く設定されている。OLT12aが正常動作しているとき、パワー計20aのパワー計測値の時間平均値がその閾値以上になるので、光スイッチ16aは開放状態に維持される。
パワー計20aの代わりに、上り信号光の有無を検出する手段を設けてもよい。その代替構成では、一定期間内に何れかのONU38a−1〜38a−Nからの上り信号光が検出される場合に、光スイッチ16aを開放状態に維持し、一定期間内に上り信号光が全く検出されない場合に、光スイッチ16aを閉成する。
同様に、OLT12bが正常に動作しているとき、パワー計20bは、光スイッチ16bを開放状態に維持する。即ち、PONシステム30aとPONシステム30bは、光学的に分離され、独立して動作している。
本実施例の通常運用から冗長運用への切替えシーケンスを説明する。例えば、OLT12aが故障により動作しなくなったとする。図2は、通常運用から冗長運用への切替えシーケンスのフローチャートを示し、図3は、冗長運用から通常運用への切り戻しシーケンスのフローチャートを示す。
OLT12aの故障により(S1)、PONシステム30aの全ONU38a−1〜38a−Nは、OLT12aから上り信号光出力を許可する制御信号を受信できなくなり、従って、上り信号光を出力しない。この結果、パワー計20aの計測する光パワー(時間平均値)は閾値より低くなり(S2)、パワー計20aは、光スイッチ16aを閉成する(S3)。これにより、光カプラ14aの入出力ポートX2と光カプラ14bの入出力ポートY2が光学的に接続し、OLT12bの配下にONU38a−1〜38a−Nを接続した状態になる(S4)。
即ち、OLT12bが出力する下り信号光は、光カプラ14bにより、光ファイバ32b以外に、スイッチ16aを介して光カプラ14aにも転送され、更に、光ファイバ32a、光カプラ34a及び光ファイバ36a−1〜36a−Nを介してONU38a−1〜38a−Nに入力する。
逆に、各ONU38a−1〜38a−Nから出力される上り信号光は、関連する光ファイバ36a−1〜36a−N、光カプラ34a、光ファイバ32a、光カプラ14a、光スイッチ16a及び光カプラ14bを介してOLT12bに入射する。各ONU38a−1〜38a−Nは、OLT12bの管理下で、OLT12bを介して上位ネットワークと通信することができる。このとき、パワー計20aの検出光パワーは設定閾値を越えるが、パワー計20aは、光スイッチ16aを閉成状態のままにする。即ち、本実施例では、光スイッチ16aを開放状態に戻すには、特別の操作、例えば、マニュアル操作を必要とする。
OLT12aの障害復旧には、故障したOLT12aを交換する必要がある。正常なOLT12aを接続したら(S11)、光スイッチ16aをマニュアルで開放状態に戻す(S12)。勿論、光スイッチ16aを開放状態に戻すための通信インターフェースを設けて、遠隔で戻せるようにしてもよい。これにより、PONシステム30aの受動光伝送路とONU38a−1〜38a−NがOLT12bから切り離されて、新しいOLT12aに光学的に接続される。ONU38a−1〜38a−Nは、OLT12aの管理下でOLT12aとの通信を再開する(S13)。OLT12aの管理下でOLT12aとの通信を再開する際に、ONU38a−1〜38a−Nには信号断の状態が発生する。このような信号断が許されない場合には、冗長運用状態、即ち、OLT12bの管理下での通信を継続すれば良い。
光カプラ14a,14b、光スイッチ16a,16b及びパワー計20a,20bは、OLT12a又は同12bの故障時にPONシステム30a,30bを光学的に接続する光接続機構として機能する。
PONシステム30a,30bの光接続機構としては、図4に示す構成も利用可能である。図1と同じ構成要素には同じ符号を付してある。
図4に示す構成のセンター局50では、2×2の光カプラ14aを2×1の光カプラ52aと1×2の光カプラ54aに分離し、同様に、2×2の光カプラ14bを2×1の光カプラ52bと1×2の光カプラ54bに分離した。
即ち、OLT12aの光入出力ポートは、2×1の光カプラ52aの入出力ポートX1に接続する。光カプラ52aの入出力ポートY1は、光カプラ54aの入出力ポートX1に接続する。光カプラ54aの入出力ポートY1は、光ファイバ32aに接続する。光カプラ52aの入出力ポートX2は、常開光スイッチ16aを介して光カプラ54bの入出力ポートY2に接続する。同様に、OLT12bの光入出力ポートは、2×1の光カプラ52bの入出力ポートX1に接続する。光カプラ52bの入出力ポートY1は、光カプラ54bの入出力ポートX1に接続する。光カプラ54bの入出力ポートY1は、光ファイバ32bに接続する。光カプラ52bの入出力ポートX2は、常開光スイッチ16bを介して光カプラ54aの入出力ポートY2に接続する。
利得又はパワー分割比を除いて、光カプラ52a,54aのトータルの伝達特性は、光カプラ14aのそれと一致し、光カプラ52b,54bのトータルの伝達特性は、光カプラ14bのそれと一致する。図4に示す構成の動作は、図1に示す実施例と全く同じになるので、詳細な動作の説明を省略する。
図4に示す構成では、光カプラ52a,54aのそれぞれで個別にパワー分割比を調整できるので、全体としての光信号の分割比の調整が、単体の2×2の光カプラを使用する場合に比べると、容易になる。
図5は、光接続機構の更に別の構成例を示す。この構成例では、光カプラ34a,34bをセンター局60内に配置し、図4に示す1×2の光カプラ54aを1×Nの光カプラ34aと一体化して1×(N+1)の光カプラ62aとし、1×2の光カプラ54bを1×Mの光カプラ34bと一体化して、1×(M+1)の光カプラ62bとする。
即ち、1×(N+1)の光カプラ62aが、2×1光カプラ52aの入出力ポートY1からの光を(N+1)個に分割し、その分割光を光ファイバ36a−1〜36a−Nと光スイッチ16bに供給する。光カプラ62aはまた、光ファイバ36a−1〜36a−Nと光スイッチ16bからの光を光カプラ52aの入出力ポートY1に供給する。
同様に、1×(M+1)の光カプラ62bが、2×1光カプラ52bの入出力ポートY1からの光を(M+1)個に分割し、その分割光を光ファイバ36b−1〜36b−Mと光スイッチ16aに供給する。光カプラ62bはまた、光ファイバ36b−1〜36b−Mと光スイッチ16aからの光を光カプラ52bの入出力ポートY1に供給する。
通常運用時と障害発生時の動作は、基本的に、図1及び図4に示す構成と同じであるので、動作説明を省略する。
このように、PONシステム30a,30bを通常時には、独立して動作させ、一方のOLTの障害に、それぞれの受動光伝送路を光学結合する光接続機構は、PONシステム30aのOLT12aの障害時に、PONシステム30aのONU38a−1〜38a−NをPONシステム30bのOLT12bに光学的に接続する光パス(光スイッチ16a)と、PONシステム30bのOLT12bの障害時に、PONシステム30bのONU38ab−1〜38b−MをPONシステム30aのOLT12aに光学的に接続する光パス(光スイッチ16b)と、これらの光パスをPONシステム30a,30bの受動光伝送路に光学的に結合する光カプラ14a,14b;52a,52b,54a,54b;52a,52b,62a,62bからなる。
図6は、本発明の実施例4の概略構成ブロック図を示す。この実施例では、PONシステム30aのOLT112aは、通常運用時の配下のONU38a−1〜38a−Nのリンク情報、即ち、各ONU38a−1〜38a−NのMACアドレスと付与されたリンクの識別情報(LLID)の対応関係をリンク情報テーブル113aに格納する。同様に、PONシステム30bのOLT112bもまた、通常運用時の配下のONU38b−1〜38b−Mのリンク情報をリンク情報テーブル113bに格納する。
図7は、リンク情報テーブル113aの構造と内容例を示し、図8は、リンク情報テーブル113bの構造と内容例を示す。PONシステム30a,30bが独立に運用されているので、図7及び図8に示すように、PONシステム30aのONU38a−1〜38a−Nと、PONシステム30bのONU38b−1〜38b−Mには、同じリンク識別情報(LLID)が付与されることがある。
OLT制御装置116は、各OLT112a,112bの動作をモニタし、OLT112a,112bの障害検出に応じて、実施例1の場合と同様に光スイッチ16a,16bを閉成する。OLT112a,112bは、リンク情報テーブル113a,113bの内容を定期的(例えば、1秒毎)に、又は、更新の都度、OLT制御装置116に送信する。OLT制御装置116は、OLT112a,112bから送られるリンク情報テーブル113a,113bの内容をメモリ118に格納する。即ち、メモリ118には、テーブル113a,113bのコピーが保存される。
ここで、OLT112aが故障した場合の、通常運用から冗長運用への切替え動作を説明する。図9は、その切替え動作のフローチャートを示す。
OLT制御装置116は、OLT112aの故障を検知すると(S21,S22)、光スイッチ16aを閉成する(S23)。同時に、OLT制御装置116は、メモリ118からテーブル113aの内容に相当するテーブルデータを読み出し、OLT112aが管理していたONU(ONU38a−1〜38a−N)のMACアドレスをOLT112bに通知する(S24)。
OLT112bは、OLT制御装置116から通知されたMACアドレス(新たに参加するONU38a−1〜38a−NのMACアドレス)をリンク識別テーブル113bに追加し、未使用のLLIDを付与し、これらの各MACアドレスに対しRegisterフレームでLLIDの付与を通知する(S25)。図10は、リンク識別テーブル113aに登楼されたMACアドレス(図7に示すMACアドレス)のONUが加入した後の、リンク識別テーブル113bの内容例を示す。
OLT制御装置116が、OLT112bが新たに管理するONU38a−1〜38a−NのMACアドレスをOLT112bに通知することで、OLT112bは、新たに加入するONU38a−1〜38a−Nを探索するDiscovery手続きを省略できる。これにより、ONU38a−1〜38a−Nは、OLT112bを介して上位ネットワークと通信することが早期に可能になる。
参考のために、図11を参照して、IEEE802.3ah EPONにおけるONUの登録手順を説明する。OLTは、未知(未登録)のONUを検出するために、定期的にDiscovery_GATEフレーム70を送信する。Discovery_GATEは、Discovery Windowの開始時間と長さを各ONUに通知するものである。Discovery_GATEフレーム70の送信間隔は、通常、数秒に設定される。この送信間隔が長すぎると、増設されたONUのリンクアップに遅延が生じ、短すぎると、通信不能の時間が増える。Discovery Windowの時間内は、通常の通信ができないからである。
Discovery_GATEフレーム70を受信した各ONUは、ランダム時間だけ待って、Register_REQフレーム72で、自身のMACアドレスをOLTに通知する。ランダム時間を待つのは、異なるONUからのRegister_REQフレーム同士の衝突を回避するためである。
OLTは、Register_REQフレーム72を受信すると、Register_REQフレーム72を各ONUに論理リンクを設定し、その識別情報LLID(Logical Link ID)をRegisterフレーム74で通知する。
Registerフレーム74を受信したONUは、Register_ACKで、Registerフレーム74の受信をOLTに通知する。以上で、Discovery手順を終了する。以後、OLTと各ONUとの間でデータを双方向に伝送できる。
本実施例では、OLT112bは、新たに配下に入るONU38a−1〜38a−NのMACアドレスをOLT制御装置116から通知されるので、ONU38a−1〜38a−Nの参加のためのDiscovery_GATEフレーム70及びRegister_REQフレーム72を省略できる。
勿論、OLT制御装置116は、OLT112bが新たに管理するONU38a−1〜38a−NのMACアドレスをOLT112bに通知しなくてもよい。その場合、OLT112bは、定期的に発行するDiscovery_GATEフレーム70以下でONU38a−1〜38a−Nを発見し、ONU38a−1〜38a−Nからの登録要求(Register_REQフレーム72)を経て、各ONU38a−1〜38a−Nとの間にリンクを設定する。
なお、逆にOLT112bが故障したときには、OLT制御装置116は、光スイッチ16bを閉成し、メモリ118からテーブル113bの内容に相当するテーブルデータを読み出し、OLT112bが管理していたONU(ONU38b−1〜38b−M)のMACアドレスをOLT112aに通知する。
図12は、OLT112aが復旧し、ONU38a−1〜38a−NをOLT112aの配下に戻すシーケンスのフローチャートを示す。この切り戻しの際にONU38a−1〜38a−Nに通信断状態が発生するので、必ずしも図12に示す切り戻し処理をしなければいけないことは無い。
正常なOLT112を用意できたら(S31)、OLT制御装置116は、メモリ118にバックアップされていたテーブル113aの内容を参照して、ONU38a−1〜38a−NのMACアドレスをOLT112aに通知し(S32)、光スイッチ16aを開放する(S33)。OLT112aは、OLT制御装置116から通知されたONU38a−1〜38a−NのMACアドレスに対しリンクを設定し、Registerフレームを送信し、各ONU38a−1〜38a−NからRegister_ACKフレームを受信する(S34)。この後、OLT112aは、各ONU38a−1〜38a−Nとの間でデータ通信を再開する(S35)。
図13は、本発明の実施例5の概略構成ブロック図を示す。図14は、光スイッチ16aを制御するスイッチ制御回路220aの概略構成ブロック図を示す。光スイッチ16bを制御するスイッチ制御回路220bの構成と機能は、スイッチ制御回路220aのそれと同じである。
図13に示す実施例では、センター局210内の、OLT212a,212b、リンク情報テーブル213a,213b及び光スイッチ制御回路220a,220bの機能が、実施例1とは異なる。
PONシステム30aのOLT212aは、通常運用時の配下のONU38a−1〜38a−Nのリンク情報、即ち、各ONU38a−1〜38a−NのMACアドレスと付与されたリンクの識別情報(LLID)の対応関係をリンク情報テーブル213aに格納する。同様に、PONシステム30bのOLT212bもまた、通常運用時の配下のONU38b−1〜38b−Mのリンク情報をリンク情報テーブル213bに格納する。
パワー計20a,20bの代わりに、バーストレシーバを有する光スイッチ制御回路220a,220bが配置される。光スイッチ制御回路220aは、PONシステム30aのONU38a−1〜38a−Nからの上り光信号をモニタすると共にそれらのMACアドレス情報を収集し、ONU38a−1〜38a−Nからの上り光信号の消失時に、光スイッチ16aを閉成し、収集したMACアドレス情報をOLT212bに通知する。同様に、光スイッチ制御回路220bは、PONシステム30bのONU38b−1〜38b−Mからの上り光信号をモニタすると共にそれらのMACアドレス情報を収集し、ONU38b−1〜38b−Mからの上り光信号の消失時に、光スイッチ16bを閉成し、収集したMACアドレス情報をOLT212aに通知する。
図14を参照して、光スイッチ制御回路220aの作用を詳細に説明する。OLT212aが正常に動作しているとき、光分波器18aで分波された光信号(ONU38a−1〜38a−Nからの上り光信号)は、バーストレシーバ222に入力する。バーストレシーバ222は、入力光信号をバースト受信及び電気信号に変換し、受信信号をCPU224に出力する。バーストレシーバ222はまた、光信号を受信する都度、タイマ226にリセット信号を供給する。タイマ226は、バーストレシーバ222からのリセット信号により初期値にリセットされる。
CPU224は、バーストレシーバ222からの受信信号からMACアドレスを抽出し、メモリ228に格納する。メモリ228に格納される各MACアドレスには、一定の寿命時間がセットされる。この寿命時間は時間の経過によりデクリメントされ、0になると、該当するMACアドレス情報がメモリ228から消去される。CPU224は、MACアドレスを抽出する度に、メモリ228に格納される同じMACアドレスの寿命時間を更新する。このような処理により、メモリ228には、PONシステム30aの活動中の全ONU38a−1〜38a−NのMACアドレスが蓄積記憶される。
図15はメモリ228に記憶されるMACアドレスと寿命時間の表例である。寿命時間の初期値を300秒としている。図15に示す例では、CPU224が、バーストレシーバ222の受信信号からMACアドレス00-00-00-00-00-14を1秒以内に検出しないと、MACアドレス00-00-00-00-00-14は、メモリ228から消去される。
ここで、OLT212aが故障し、その結果、ONU38a−1〜38a−Nの何れもが、上り光信号を出力しなくなったとする。その結果、バーストレシーバ222に光信号が入力しなくなる。タイマ226は、リセットされること無しに所定の閾値時間を経過すると、CPU224にタイムアウト信号を出力する。CPU224は、タイマ226からタイムアウト信号を受信すると、光スイッチ16aを閉成し、メモリ228に記憶されるMACアドレス情報をOLT212bに送信する。
バーストレシーバ222が光信号を受信しなくなったら、即座にCPU224にタイムアウトを通知しても良い。CPU224は、バーストレシーバ222からのタイムアウト信号に従い、光スイッチ16aを閉成し、メモリ228に記憶されるMACアドレス情報をOLT212bに送信する。この場合、タイマ226は不要である。
OLT212bは、光スイッチ制御回路220aのCPU224からMACアドレス情報を受信すると、受信したMACアドレス情報をリンク識別テーブル213bに追加する。その後、OLT212bは、リンク識別テーブル213bに追加されたMACアドレスに対して論理リンクの付与手続を開始する。具体的には、先に説明したように、追加されたMACアドレスに未使用の論理リンク識別子(LLID)を付与し、追加された各MACアドレスに付与した論理リンク識別子をRegisterフレームでONU38a−1〜38a−Nに通知する。この動作は、図7、図8及び図10を参照して説明した動作と同じである。
このようにして、本実施例でも、Discovery手続き中のDiscovery_GATEフレーム及びRegister_REQフレームを省略し、早期に、障害の発生したOLTの配下のONUを救済できる。
OLT212aが故障した場合を説明したが、OLT212bが故障した場合も同様である。即ち、光スイッチ制御回路220bは、ONU38b−1〜38b−Mからの上り光信号を検出しなくなって一定時間が経過すると、光スイッチ16bを閉成し、OLT212aに、活動中のONU38b−1〜38b−MのMACアドレスを通知する。OLT212aは、通知されたMACアドレスをリンク識別テーブル213aに追加し、追加されたMACアドレスに未使用の論理リンク識別子(LLID)を付与し、追加された各MACアドレスに付与した論理リンク識別子をRegisterフレームでONU38b−1〜38b−Mに通知する。
PONシステム30a,30bを光学的に接続する上述の各構成の光接続機構をこの実施例に適用できることは明らかである。
PONシステム30a,30bを光学的に接続する光接続機構により、光信号が減衰する。これを補うために、上述の各実施例に対し双方向光増幅器を配置しても良い。
図16は、図1に示す実施例に対して双方向光増幅器を配置した実施例の概略構成ブロック図を示す。即ち、センター局310では、光カプラ14aの入出力ポートX2と光分波器18aの間に双方向光増幅器322aを配置し、光カプラ14bの入出力ポートX2と光分波器18bの間に双方向光増幅器322bを配置する。図1に示す実施例と同じ構成要素には同じ符号を付してある。PONシステムでは、上りと下りに互いに異なる波長を使用するのが一般的であり、双方向光増幅器322a,322bも、上り波長(例えば、1.31μm)と下り波長(1.49μm)の相違を利用して、個別に光増幅する。
図17は、双方向光増幅器322aの概略構成ブロック図を示す。双方向光増幅器322bの構成も同じである。上り光信号と下り光信号を波長分離するWDM光カプラ324,326の間に光増幅器328,330を互いに逆方向に配置する。WDM光カプラ324は、光分波器18aからの下り光信号(波長1.49μm)を光増幅器328に供給する。WDM光カプラ326は、光増幅器328の出力光を光カプラ14aに供給する。他方、WDM光カプラ326は、光カプラ14aからの上り光信号(波長1.31μm)を光増幅器330に供給する。WDM光カプラ324は、光増幅器330の出力光を光分波器18aに供給する。光増幅器328の増幅帯域は1.49μm帯に最適化され、光増幅器330の増幅帯域は1.31μm帯に最適化されている。
図18は、光再生中継器を双方向光増幅器322a,322bとして使用する場合の概略構成ブロック図である。WDM光カプラ332,334は、WDM光カプラ324,326と同様に、上り光信号と下り光信号を波長分離する。
WDM光カプラ332は、光分波器18aからの下り光信号(波長1.49μm)を受光器336に供給し、受光器336は、WDM光カプラ332からの下り光信号を電気信号に変換する。電気3R回路338は、受光器336の出力電気信号を3R(リタイミング、リシェーピング及びリジェネレーション)再生する。レーザダイオード340は電気3R回路338の出力信号を波長1.49μmの光信号に変換して、WDM光カプラ334に供給する。WDM光カプラ334は、レーザダイオード340の出力光を光カプラ14aに供給する。
他方、WDM光カプラ334は、光カプラ14aからの上り光信号(波長1.31μm)を受光器342に供給し、受光器342は、WDM光カプラ334からの上り光信号を電気信号に変換する。バーストレシーバ344は、受光器342の出力電気信号をバースト受信し、受信信号を電気3R回路346に供給する。電気3R回路346は、バーストレシーバ344の受信信号を3R(リタイミング、リシェーピング及びリジェネレーション)再生する。レーザダイオード348は電気3R回路346の出力信号を波長1.31μmの光信号に変換して、WDM光カプラ332に供給する。WDM光カプラ332は、レーザダイオード348の出力光を光分波器18aに供給する。
図19は、図16に示す実施例の変更例の概略構成ブロック図を示す。この実施例では、センター局410に双方向光増幅器422を3端子A,B,Cの光スイッチ416a,416bの間に配置している。光カプラ14aの入出力ポートX2が光分波器18aを介して光スイッチ416aの端子Bに接続し、光カプラ14bの入出力ポートX2が光分波器18bを介して光スイッチ416aの端子Aに接続する。また、光カプラ14aの入出力ポートY2が光スイッチ416bの端子Aに接続し、光カプラ14bの入出力ポートY2が光スイッチ416bの端子Bに接続する。光スイッチ416a,416bの端子Cは、どこにも接続しない。光スイッチ416a,416bは、通常運用時には、中立の端子Cに接続する。
パワー計20aの代わりに配置されたパワー計420aが、入力光信号の不在を検知すると、スイッチ416a,416bを端子Bに切り替える。これにより、OLT12aの障害時に、ONU38a−1〜38a−Nは、光スイッチ416a、双方向光増幅器422及び光スイッチ416bを介して、OLT12bと接続する。
パワー計20bの代わりに配置されたパワー計420bが、入力光信号の不在を検知すると、スイッチ416a,416bを端子Aに切り換える。これにより、OLT12bの障害時に、ONU38b−1〜38b−Mは、光スイッチ416b、双方向光増幅器422及び光スイッチ416aを介して、OLT12aと接続する。
OLT12a,12bのどちらに障害が発生しても、双方向増幅器422が、上り光信号及び下り光信号を光増幅する。双方向光増幅器422は、図17に示す構成でも、図18に示す構成でも良いことは明らかである。
図19に示す構成で、双方向増幅のためのコストと設備設置面積を削減できる。障害から復旧する場合、光スイッチ416a,416bは、光スイッチ16a,16bと同様に、手動で又は遠隔操作で端子Cに戻される。
図20は、本発明の実施例8の概略構成ブロック図を示す。この実施例では、M系統のPONシステム530a〜530mを同時稼働しつつ、その何れかのOLT512a〜512mが故障したときに、残る何れかのOLTが、故障したOLTが収容していたONUを収容する。
センター局510はm台のPONシステム530a〜530mを収容し、これらを独立に且つ同時に運用する。そのために、センター局510には、各PONシステム530a〜530mを管理するOLT512a〜512mを配置する。各PONシステム530a〜530mは、上りと下りで互いに異なる波長の光信号を使用し、上り信号光の伝送には、同じ時分割多元アクセス(TDMA:Time Division Multiplex Access)を使用する。
PONシステム530aは、周知の通り、センター局510から引き出される光ファイバ532a、1×Nの光カプラ534a、光カプラ534aから各ユーザ宅まで延びる光ファイバ536a−1〜536a−N、ユーザ宅にあって光ファイバ536a−1〜536a−Nの終端に接続されるONU538a−1〜538a−Nからなる。光カプラ534aは、光ファイバ532aからの光信号をN分割し、各分割光を光ファイバ536a−1〜536a−Nに出力し、各光ファイバ536a−1〜536a−Nからの光信号を光ファイバ532aに供給する光受動素子である。光ファイバ532a、光カプラ534a及び光ファイバ536a−1〜536a−Nが、PONシステム530aの受動光伝送路を構成する。
他のPONシステム530b〜530mも、PONシステム530aと同様の構成から成る。各PONシステム530b〜530mに収容されるONUの数は、互いに異なっても良いが、説明の都合上、図20では、同数Nとしてある。
本実施例では、OLT512a〜512mの何れかに障害が発生した場合に、障害が発生したOLTの管理下のONUを救済するために、1×Mの光分波器514a〜514m及びm個の選択端子を具備する光スイッチ516a〜516mをPONシステム530a〜530mの光伝送路上、好ましくは、OLT512a〜512mと光ファイバ532a〜532mの間に配置する。
各光分波器514a〜514mは、対応するOLT512a〜512mからの下り光信号をm個に分割し、m個の光スイッチ516a〜516mの選択端子に供給し、m個の光スイッチ516a〜516mの選択端子からの上り光信号を対応するOLT512a〜512mに供給する。
光スイッチ516a〜516mは、初期状態では、それぞれ、光分波器514a〜514mに接続する選択端子に接続している。これにより、OLT512a〜512mは、それぞれPONシステム530a〜530mを管理する。
光分波器518a〜518mは、光カプラ534a〜534mからOLT512a〜512mに向う上り光信号を2分割し、一方を光スイッチ516a〜516mに供給し、他方をパワー計520a〜520mに供給する。パワー計520a〜520mは、パワー計20a,20bと同様に、入力光のパワーレベルが所定閾値未満になると、対応する光スイッチ516a〜516mを切り替える。切替え先の接続端子は、予め、決めておく。例えば、収容ONU数の少ないPONシステムの光分波器に接続する接続端子を切替え先とする。パワー計520a〜520mの代わりに、図13に示す実施例の光スイッチ制御装置220a,220bの構成を採用できることは明らかである。
この実施例では、単一のOLTが、m個のPONシステム530a〜530mの全てを管理することも可能である。即ち、(m−1)個のOLTの障害に対応可能である。
光分波器518a〜518mと光ファイバ532a〜532mと間に、図16に示す実施例で説明した双方向光増幅器322a,322bに相当する双方向光増幅器を配置することで、光分波器514a〜514mによる損失を補償できる。
簡単のためIEEE802.3ahを例に動作を説明したが、本発明は、PON部分のビットレートを問わない。本発明は、ITU−T G.984のGPON、現在標準化中の10GE-PON、またWDM−PONにも、適用可能である。
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。
図1に示す実施例で通常運用から冗長運用への切替えシーケンスのフローチャートを示す。
図1に示す実施例で冗長運用から通常運用への切り戻しシーケンスのフローチャートを示す。
本発明の実施例2の光接続機構の構成例である。
本発明の実施例3の光接続機構の構成例である。
本発明の実施例4の概略構成ブロック図を示す。
リンク情報テーブル113aの構造と内容例を示す。
リンク情報テーブル113bの構造と内容例を示す。
図6に示す実施例の通常運用から冗長運用への切替えシーケンスのフローチャートを示す。
冗長運用時のリンク識別テーブル113bの内容例を示す。
IEEE802.3ah EPONにおけるONU登録手順のシーケンス図である。
図6に示す実施例の冗長運用から通常運用への切り戻しシーケンスのフローチャートを示す。
本発明の実施例5の概略構成ブロック図を示す。
光スイッチ16aを制御するスイッチ制御回路220aの概略構成ブロック図を示す。
メモリ228に記憶されるMACアドレスと寿命時間の表例である。
本発明の実施例6の概略構成ブロック図を示す。
双方向光増幅器322aの概略構成ブロック図を示す。
光再生中継器を双方向光増幅器322a,322bとして使用する場合の概略構成ブロック図である。
本発明の実施例7の概略構成ブロック図を示す。
本発明の実施例8の概略構成ブロック図を示す。
符号の説明
10:センター局
12a,12b:OLT
14a,14b:光カプラ
16a,16b:光スイッチ
18a,18b:光分波器
20a,20b:パワー計
30a,30b:PONシステム
32a,32b:光ファイバ
34a,34b:1×Nの光カプラ
36a−1〜36a−N,36b−1〜36b−M:光ファイバ
38a−1〜38a−N、38b−1〜38b−M:ONU
50:センター局
52a,52b:2×1の光カプラ
54a,54b:1×2の光カプラ
60:センター局
62a,62b:光カプラ
70:Discovery_GATEフレーム
72:Register_REQフレーム
74:Registerフレーム
110:センター局
112a,112b:OLT
113a,113b:リンク情報テーブル
116:OLT制御装置
118:メモリ
210:センター局
212a,212b:OLT
213a,213b:リンク情報テーブル
220a,220b:光スイッチ制御回路
222:バーストレシーバ
224:CPU
226:タイマ
228:CPU
310:センター局
322a,322b:双方向光増幅器
324,326:WDM光カプラ
328,330:光増幅器
332,334:WDM光カプラ
336:受光器
338:電気3R回路
340:レーザダイオード
342:受光器
344:バーストレシーバ
346:電気3R回路
348:レーザダイオード
410:センター局
422:双方向光増幅器
416a,416b:光スイッチ
420a,420b:パワー計
510:センター局
512a〜512m:OLT
514a〜514m:光分波器
516a〜516m:光スイッチ
520a〜520m:パワー計
530a〜530m:PONシステム
532a〜532m:光ファイバ
534a〜534m:1×Nの光カプラ
536a−1〜536a−N,536m−1〜536m−N:光ファイバ
538a−1〜538a−N,538m−1〜538m−N:ONU