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JP4820897B2 - ネジ - Google Patents

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JP4820897B2
JP4820897B2 JP2009204502A JP2009204502A JP4820897B2 JP 4820897 B2 JP4820897 B2 JP 4820897B2 JP 2009204502 A JP2009204502 A JP 2009204502A JP 2009204502 A JP2009204502 A JP 2009204502A JP 4820897 B2 JP4820897 B2 JP 4820897B2
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Description

本発明は、高真空且つ高温に維持した雰囲気、又は不活性ガスを含む高温雰囲気下で使用されるネジに関する。
従来から、例えば特許文献1に記載の熱処理装置などに用いられるネジなど、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気で且つ高温雰囲気下で使用されるネジがある。
特開2004-292305号公報
しかしながら、上述したような熱処理装置などで用いられるネジは、高温となるため、固定部分において焼き付きを起こしやすい。そのため、メンテナンスのために装置を分解する際に、ネジを取り外しにくくなるため、メンテナンス作業に多大な時間を要する。
本発明の目的は、固定部分において焼き付きが生じることがなく、メンテナンス性に優れたネジを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
第1の発明のネジは、10−2Pa以下の真空又は該真空中に不活性ガスを導入した希薄ガス雰囲気下で、且つ高温雰囲気下で使用されるネジであって、金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材と接し、少なくとも前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルからなることを特徴とする。
この構成によると、ネジは、10−2Pa以下の真空又は該真空中に不活性ガスを導入した希薄ガス雰囲気下で使用されており、且つ、金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルで構成されている。そのため、高温環境でも、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分の焼き付きが生じないので、メンテナンス性に優れている。
なお、ネジの「焼き付き」とは、高温真空又は不活性ガスを含む高温雰囲気環境における長時間の使用により、ネジを構成する材料の表面を保護している酸化膜被膜が蒸発剥離して、接触する金属等の表面と原子間結合することで、ネジの取り外しが困難または不可能となることをいう。
第2の発明のネジは、前記第1の発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材と、他の部材とを固定するために用いられることを特徴とする。
第3の発明のネジは、前記第1又は第2の発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、内部に収容される被処理物を加熱するための加熱室に設けられることを特徴とする。
第4の発明のネジは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、被処理物を加熱するためのヒータであることを特徴とする。
第5の発明のネジは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、被処理物を加熱するためのヒータを覆うカバーであることを特徴とする。
第6の発明のネジは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、被処理物と、前記被処理物を加熱するためのヒータとの間に配置されるシールドであることを特徴とする。
第7の発明のネジは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、加熱される被処理物を取り囲む位置に配置されるシールドであることを特徴とする。
第8の発明のネジは、前記第3の発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、前記加熱室の内部に配置される多層熱反射金属板であることを特徴とする。
第9の発明のネジは、前記第3の発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、前記加熱室の少なくとも一部を構成する多層熱反射金属板であることを特徴とする。
第10の発明のネジは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、加熱される被処理物を載置する受け台であることを特徴とする。
第11の発明のネジは、不活性ガス雰囲気下で且つ高温雰囲気下で使用されるネジであって、金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材と接し、少なくとも前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルからなることを特徴とする。
この構成によると、ネジは、不活性ガス雰囲気下で使用されており、且つ、金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルで構成されている。そのため、高温環境でも、前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分の焼き付きが生じないので、メンテナンス性に優れている。
第12の発明のネジは、不活性ガス雰囲気下で且つ高温雰囲気下で使用されるネジであって、金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材を、他の部材とを固定するために用いられ、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルからなることを特徴とする。
この構成によると、ネジは、不活性ガス雰囲気下で使用されており、且つ、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルで構成されている。そのため、高温環境でも、金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材と他の部材とを固定する固定部分において焼き付きが生じないので、メンテナンス性に優れている。
本発明の一実施形態に係るネジを用いた高温真空炉の全体構成を示す模式図。 加熱炉及びストック室の構成を示す断面図。 加熱炉において、被処理物を収納した容器を予備加熱室に移動させ、予備加熱処理を行っている様子を詳細に示す断面拡大図。 図3のIV−IV線断面矢視図。 図3のV−V線断面矢視図。 図3の状態から容器を本加熱室へ移動させ、本加熱処理を行っている様子を示す断面拡大図。 加熱処理に使用される容器の上容器と下容器を取り外した状態を示す斜視図。 容器内の被処理物の配置例を示す断面図。 予備加熱処理及び本加熱処理の温度制御と被処理物の移動の例を示すグラフ。 加熱炉の他の例において予備加熱処理が行われる様子を示す模式断面図。 加熱炉の更に他の例において予備加熱処理が行われる様子を示す模式断面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るネジを使用した高温真空炉の全体構成を示す模式図である。
図1に示す熱処理装置としての高温真空炉11は、加熱炉12と、ストック室13と、導入室14と、観察室15と、を備えている。
加熱炉12は、被処理物を1,000℃以上2,400℃以下の温度に加熱するための本加熱室(第1室)21と、被処理物を500℃以上の温度に予備加熱可能な予備加熱室(第2室)22と、を備えている。予備加熱室22は本加熱室21の下方に配置され、本加熱室21に対して上下方向に隣接している。また、加熱炉12は、予備加熱室22の下方に配置された断熱室(第3室)23を備えている。この断熱室23は予備加熱室22に対して上下方向に隣接している。
加熱炉12は真空チャンバ19を備え、前記本加熱室21と予備加熱室22は、この真空チャンバ19の内部に備えられている。真空チャンバ19には真空形成装置としてのターボ分子ポンプ34が接続されて、例えば10-2Pa以下、望ましくは10-7Pa以下の真空を真空チャンバ19内に得ることができるようになっている。ターボ分子ポンプ34と真空チャンバ19との間には、ゲートバルブ25が介設される。また、ターボ分子ポンプ34には、補助のためのロータリーポンプ26が接続される。
加熱炉12は、予備加熱室22と本加熱室21との間で被処理物を上下方向に移動させることが可能な移動機構27を備えている。この移動機構27は、被処理物を支持可能な支持体28と、この支持体28を上下動させることが可能なシリンダ部29と、を備えている。シリンダ部29はシリンダロッド30を備え、このシリンダロッド30の一端が前記支持体28に連結されている。
加熱炉12は、真空度を測定するための真空計31を備えている。また、加熱炉12には、質量分析法を行うための質量分析装置32が備えられる。本実施形態では、真空計31としてイオンゲージを用い、質量分析装置32として四重極型質量分析計を用いている。
ストック室13は、加熱炉12での加熱処理前又は加熱処理後の被処理物を一時的にストックしておくためのものであり、真空チャンバ61を備えている。この真空チャンバ61には、加熱炉12と同様に、ターボ分子ポンプ34、ゲートバルブ25、及びロータリーポンプ26が備えられており、真空チャンバ61内に例えば10-2Pa以下、望ましくは10-7Pa以下の真空を得ることができるように構成されている。
真空チャンバ61には、真空度を測定するための真空計62が備えられる。本実施形態では、真空計62としてイオンゲージが用いられている。
真空チャンバ61内にはストッカ63が備えられている。このストッカ63は、前記被処理物を上下方向に複数並べてストックできるように構成されている。ストック室13は、ストッカ63を上下動させるための移動機構64を備えている。
また、ストック室13は、ストッカ63にストックされた被処理物を冷却するための、図略の冷却機構を備えている。この冷却機構は、冷却水を循環させる冷却水経路等より構成されている。
加熱炉12の真空チャンバ19と、ストック室13の真空チャンバ61は、搬送路65を通じて接続されている。この搬送路65は、ゲートバルブ66によって開閉可能になっている。
また、ストック室13には、ストック室13と加熱炉12との間で被処理物を搬送するための搬送機構67が備えられる。この搬送機構67は、水平方向に移動可能な搬送アーム68を備えている。搬送機構67は、被処理物を搬送アーム68の先端部の上に載置した状態で、当該被処理物を、ストック室13のストッカ63上と、加熱炉12の支持体28上(予備加熱室22)との間で、搬送路65経由で水平方向に搬送することができる。
導入室14は、大気中から高温真空炉11内に被処理物を導入するためのものであり、真空チャンバ71を備えている。この真空チャンバ71には、加熱炉12及びストック室13と同様に、ターボ分子ポンプ34、ゲートバルブ25、及びロータリーポンプ26が備えられており、真空チャンバ71内に例えば10-2Pa以下、望ましくは10-5Pa以下の真空を得ることができるように構成されている。真空チャンバ71には、真空度を測定するための真空計72が備えられる。本実施形態では、真空計72としてコンビネーションゲージが用いられている。
真空チャンバ71内にはストッカ73が備えられている。このストッカ73は、前記被処理物を上下方向に複数並べてストックできるように構成されている。導入室14は、ストッカ73を上下動させるための移動機構74を備えている。
導入室14は、被処理物を真空チャンバ71内に導入するための導入口75を備える。また、導入室14の真空チャンバ71と、ストック室13の真空チャンバ61とは、搬送路76を通じて接続されている。この搬送路76は、ゲートバルブ77によって開閉可能になっている。
導入室14には、被処理物を搬送するための搬送機構78が備えられる。この搬送機構78は、水平方向に移動可能な搬送アーム79を備えている。搬送機構78は、被処理物を搬送アーム79の先端部の上に載置した状態で、当該被処理物を、導入室14のストッカ73上と、ストック室13のストッカ63上との間で、搬送路76経由で搬送することができる。
観察室15は、被処理物を評価及び観察するためのものであり、真空チャンバ81を備えている。この真空チャンバ81には、真空度を測定するための真空計82が備えられる。本実施形態では、真空計82としてイオンゲージが用いられている。
この観察室15には、反射高速電子線回折装置(RHEED)83等、適宜の観察装置及び評価装置が備えられる。また、観察室15には、被処理物を載置可能な昇降台84が備えられている。観察室15は、昇降台84を上下動させるための移動機構85を備えている。
観察室15の真空チャンバ81と、ストック室13の真空チャンバ61とは、搬送路86を通じて接続されている。この搬送路86は、ゲートバルブ87によって開閉可能になっている。
観察室15には、被処理物を搬送するための搬送機構89が備えられる。この搬送機構89は、水平方向に移動可能な搬送アーム90を備えている。搬送機構89は、被処理物を搬送アーム90の先端部の上に載置した状態で、当該被処理物を、観察室15の昇降台84上と、ストック室13のストッカ63上との間で、搬送路86経由で搬送することができる。
次に、図2から図5までを参照して、加熱炉12の構成を説明する。図2は加熱炉及びストック室の断面図、図3は加熱炉の拡大断面図である。図4は図3のIV−IV線断面矢視図、図5は図3のV−V線断面矢視図である。
図2及び図3に示すように、本加熱室21は真空チャンバ19の内部空間の上部に配置される。また、図4に示すように、本加熱室21は平面断面視で正六角形に形成されている。
本加熱室21の内部には、加熱ヒータとしてのメッシュヒータ33が備えられている。図4に示すように、メッシュヒータ33は、本加熱室21の側壁に沿うように並べて配置されている。このメッシュヒータ33は例えばタングステン製とされ、正六角形状の本加熱室21の1辺につき2個ずつ、計12個配置されている。メッシュヒータ33は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルよりなる取付ネジによって、本加熱室21の壁部に取り付けられている。この構成により、本加熱室21の中央部に配置された被処理物を、メッシュヒータ33により周囲から加熱できるようになっている。
このメッシュヒータ33は、タングステンからなる図略のカバーによって覆われている。このカバーは、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルよりなる取付ネジによって、メッシュヒータ33に取り付けられている。これにより、後述の本加熱処理時に被処理物から発生する分子線や蒸気にメッシュヒータ33が晒されることがカバーによって防止されるので、メッシュヒータ33の寿命を延ばすことができる。
また、このメッシュヒータ33は、正六角形状の本加熱室21の1つの辺(2個のメッシュヒータ33)ごとに、本加熱室21の外壁とともに取り外して交換することができる。この分割構成により、寿命の到来したメッシュヒータ33だけを交換することが可能になり、メンテナンス費用を低減できる。
本加熱室21の側壁や天井には第1多層熱反射金属板41が固定され、この第1多層熱反射金属板41によって、メッシュヒータ33の熱を本加熱室21の中央部に向けて反射させるように構成されている。
これにより、本加熱室21内において、加熱処理対象としての被処理物を取り囲むようにメッシュヒータ33が配置され、更にその外側に多層熱反射金属板41が配置されるレイアウトが実現されている。従って、被処理物を強力且つ均等に加熱し、1,000℃以上2,300℃以下の温度まで昇温させることができる。
本加熱室21の天井側は第1多層熱反射金属板41によって閉鎖される一方、底面の第1多層熱反射金属板41には貫通孔55が形成されている。被処理物は、この貫通孔55を介して、本加熱室21と、この本加熱室21の下側に隣接する予備加熱室22との間で移動できるようになっている。
前記貫通孔55には、移動機構27の支持体28の一部が挿入されている。この支持体28は、上から順に、第2多層熱反射金属板42、第3多層熱反射金属板43、及び第4多層熱反射金属板44を互いに間隔をあけて配置した構成となっている。
3つの多層熱反射金属板42〜44は、何れも水平に配置されるとともに、垂直方向に設けた柱部35によって互いに連結されている。そして、第2多層熱反射金属板42及び第3多層熱反射金属板43とで挟まれたスペースに受け台36が配置され、この受け台36上に被処理物(正確には、被処理物を収納した容器2)を載置できるように構成されている。本実施形態において、この受け台36はタンタルカーバイドにより構成されている。また、受け台36は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルよりなる取付ネジによって、支持体28を構成する部材(例えば、第3多層熱反射金属板43)に取り付けられている。
移動機構27を構成するシリンダ部29のシリンダロッド30は、中空状に形成されている。また、このシリンダロッド30の端部にフランジが形成されて、このフランジが第4多層熱反射金属板44の下面に固定される。この構成により、前記シリンダ部29を伸縮させることで、受け台36上の被処理物(容器2)を前記3つの多層熱反射金属板42〜44とともに上下動させることができる。
前記予備加熱室22は、本加熱室21の下側の空間を、多層熱反射金属板46で囲うことにより構成されている。図5に示すように、予備加熱室22は平面断面視で円状となるように構成されている。なお、予備加熱室22内には、前記メッシュヒータ33のような加熱手段は備えられていない。
図3や図5に示すように、予備加熱室22の底面部においては、前記多層熱反射金属板46に貫通孔56が形成されている。また、予備加熱室22の側壁をなす多層熱反射金属板46において、前記搬送路65と対面する部位に通路孔50が形成されている。また、前記予備加熱室22は、前記通路孔50を閉鎖可能な開閉部材51と、この開閉部材51を昇降させる開閉機構52と、を備えている。
予備加熱室22の下側で隣接する前記断熱室23は、上側が前記多層熱反射金属板46によって区画され、下側及び側部が多層熱反射金属板47によって区画されている。断熱室23の下側を覆う多層熱反射金属板47には貫通孔57が形成されて、前記シリンダロッド30を挿通できるようになっている。
前記貫通孔57の上端部に相当する位置において、多層熱反射金属板47には収納凹部58が形成される。この収納凹部58には、前記支持体28が備える第4多層熱反射金属板44を収納可能になっている。
多層熱反射金属板41〜44,46,47は何れも、金属板(タングステン製)を所定の間隔をあけて積層した構造になっている。前記開閉部材51においても、通路孔50を閉鎖する部分には、同様の構成の多層熱反射金属板が用いられている。
このように高融点の金属板を積層させた構成の多層熱反射金属板は、断熱機能を有するほか、タングステンのメッシュヒータ33から放射される熱放射エネルギーを反射し、これにより加熱効果を得ることができる(反射加熱機能)。
即ち、タングステンのメッシュヒータ33が加熱時(1,800℃〜2,600℃の高温領域)に発する波長エネルギーは、その殆どが、波長0.4μm〜3.5μmの波長領域の間に含まれている。一方、2,200℃において、タングステンの波長エネルギーのピークは約1.1μmの部分に現れ、このときのタングステンの反射率は約0.65である。また、タングステンは、比較的波長エネルギーの高い波長領域(1.1μm〜3.0μm)では、その波長が長くなるにつれて反射率が増加し、例えば波長3.0μmでは反射率は約0.8に達する。このように、清浄な高純度雰囲気でのタングステンのメッシュヒータ33に対して、タングステンは十分な反射特性を備えているということができる。
多層熱反射金属板41〜44,46,47の材質としては、メッシュヒータ33の熱輻射に対して十分な加熱特性を有し、また、融点が雰囲気温度より高い物質であれば、任意のものを用いることができる。例えば、前記タングステンのほか、タンタル、ニオブ、モリブデン等の高融点金属材料や、タングステンカーバイド、ジリコニウムカーバイド、タンタルカーバイド、ハフニウムカーバイド、モリブデンカーバイド等の炭化物を、多層熱反射金属板41〜44,46,47として用いることができる。また、その反射面に、金やタングステンカーバイド等からなる赤外線反射膜を更に形成しても良い。
そして、支持体28に備えられる多層熱反射金属板42〜44は、小さな貫通孔を多数有するパンチメタル構造のタングステン板を、当該貫通孔の位置を異ならせつつ所定の間隔をあけて積層した構造になっている。
また、支持体28の最も上層に備えられる第2多層熱反射金属板42の積層枚数は、本加熱室21の第1多層熱反射金属板41の積層枚数よりも少なくなっている。
また、これらの多層熱反射金属板41〜44,46,47は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルよりなる取付ネジによって、本加熱室21や予備加熱室22等の壁部に固定されている。このように、前記メッシュヒータ33、それを覆うカバー、受け台36、及び多層熱反射金属板41〜44,46,47を他の部材へ取り付ける固定手段として、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルよりなる取付ネジを使用することによって、固定部分でネジが焼き付くことがなく、メンテナンス作業を簡単に行うことができる。
本加熱室21に設けられる前記第1多層熱反射金属板41においては、積層される金属板と金属板との間に、温度検知部としての熱電対37が複数設置されている(図4を参照)。これにより、本加熱室21内の温度分布を正確に把握してメッシュヒータ33をフィードバック制御することができる。従って、本加熱室21の温度を、予め設定された温度プロフィルに従って正確に上昇又は下降させる制御も可能になる。また、従来の放射温度計及びビューポートによる温度検知制御と比較して、チャンバのビューポートの曇りによって測温不可能となることがなく、信頼性の高い温度制御を実現できる。
次に、図7等を参照しつつ、この高温真空炉11において被処理物を収納するために用いられる容器2について説明する。図7は容器の上容器と下容器とを取り外した状態の斜視図である。図8は容器内に被処理物がセットされた様子を示す模式断面図である。
この容器2は、図7に示す構成の上容器2aと下容器2bとを嵌め合わせることにより構成されている。本実施形態において、容器2は円筒状に構成されているが、これは一例であって、例えば六面体状に構成されていても良い。
前記上容器2a及び下容器2bは、タンタルカーバイド処理を施したタンタルから構成されている。この結果、図8に示すように、容器2の表面にはタンタルカーバイド層3が形成されている。このタンタルカーバイド層3のうち、上容器2a及び下容器2bの内面を覆う部分は、容器2の内部空間に露出している。
容器2の内部空間には、処理対象(被処理物)としての単結晶SiC基板1が配置されている。この単結晶SiC基板1の結晶構造としては、例えば、6H−SiC又は4H−SiCとすることが考えられる。また、容器2の内部には、Si供給源としてのシリコンペレット5が配置されている。
単結晶SiC基板1と下容器2bの内底面との間には、スペーサ4が介在される。このスペーサ4によって、単結晶SiC基板1の上面及び下面の両方が、容器2の内部空間に対し十分に露出した状態となっている。
上容器2aと下容器2bとを図8に示すように嵌め合わせたときの嵌合部分の遊びは、約2mm以下であることが好ましい。これによって実質的な密閉状態が実現され、本加熱室21での加熱処理工程において容器2内のSi圧力を高めて外部圧力(本加熱室21内の圧力)よりも高い圧力とし、不純物がこの嵌合部分を通じて容器2内に侵入するのを防止できる。
以上の構成の容器2を、図1に示す導入室14の導入口75から真空チャンバ71内に入れ、ストッカ73上に載置する。そして、この状態からターボ分子ポンプ34を駆動し、真空チャンバ71の内部を真空とする。
なお、加熱炉12の真空チャンバ19、及びストック室13の真空チャンバ61については、予め10-2Pa以下、望ましくは10-7Pa以下の真空状態としておく。あるいは、予め10-2Pa以下、望ましくは10-7Pa以下の真空に到達した後に不活性ガスを導入した希薄ガス雰囲気下としても良い。また、加熱炉12の移動機構27を予め駆動して、支持体28を下降させた状態にしておく。また、開閉機構52を駆動して開閉部材51を下降させ、予備加熱室22の前記通路孔50を開いておく。
次に、図1のゲートバルブ77を開き、搬送機構78を駆動して、導入室14の容器2をストック室13のストッカ63上に搬送した後、ゲートバルブ77を閉じる。次に、ゲートバルブ66を開き、搬送機構67を駆動して、前記容器2を予備加熱室22内(支持体28が備える受け台36上)へ搬送した後、ゲートバルブ66を閉じる。このように、予備加熱室22の側壁に設けられる多層熱反射金属板46に通路孔50を設けることで、簡素な構成で、予備加熱室22に対する容器2の出し入れを実現できる。
次に、前記開閉機構52を駆動して開閉部材51を上昇させ、前記通路孔50を閉鎖する。この状態では、図3に示すように、支持体28の第2多層熱反射金属板42が貫通孔55を閉鎖し、予備加熱室22と本加熱室21とを仕切るように位置する。また、第3多層熱反射金属板43が貫通孔56を閉鎖し、予備加熱室22と断熱室23とを仕切るように位置する。更に、第4多層熱反射金属板44が貫通孔57及び収納凹部58を閉鎖し、断熱室23とその外部の空間とを仕切るように位置する。
この状態でメッシュヒータ33を駆動すると、本加熱室21が1,000℃以上2,400℃以下の所定の温度に加熱される。ここで、支持体28の第2多層熱反射金属板42の積層枚数は、前記第1多層熱反射金属板41の積層枚数よりも少なくなっている。従って、メッシュヒータ33が発生する熱の一部が第2多層熱反射金属板42を介して予備加熱室22に適度に供給(分配)され、予備加熱室22内の容器2(被処理物)を例えば500℃以上の所定の温度となるように予備加熱することができる。即ち、予備加熱室にヒータを設置しなくても予備加熱を実現でき、予備加熱室の簡素な構造が実現できている。
またこのとき、第3多層熱反射金属板43が予備加熱室22の下側の貫通孔56を閉鎖しており、この前記第3多層熱反射金属板43は前述のとおりパンチメタル板の積層構造となっている。同様に、断熱室23の下側の貫通孔57を閉鎖する第4多層熱反射金属板44も、パンチメタル板の積層構造となっている。
従って、第3多層熱反射金属板43の部分で熱を良好に反射させ、予備加熱室22内の被処理物を効率良く予備加熱し、脱ガス処理を行うことができる。また、予備加熱時に容器2内の被処理物から出るガスは、第3多層熱反射金属板43及び第4多層熱反射金属板44のパンチメタルの貫通孔を通じて、予備加熱室22及び断熱室23の外部へ容易に排気することができる。
更に、この予備加熱時に前記通路孔50が開閉部材51によって閉鎖されるので、予備加熱室22の熱ロスを低減できる。また、支持体28の第4多層熱反射金属板44に連結されているシリンダロッド30は、断熱室23を挟んで予備加熱室22と反対側に位置している。従って、予備加熱室22等の熱がシリンダロッド30を伝わって逃げるロスを断熱室23によって効果的に低減でき、シリンダロッド30の熱損傷も防止できる。
上記の予備加熱処理を所定時間行った後、シリンダ部29を駆動し、支持体28を上昇させる。この結果、図6に示すように、容器2(及び、内部の被処理物)が下側から貫通孔55を通過して本加熱室21内に移動する。これにより、直ちに本加熱処理が開始され、本加熱室21内の容器(被処理物)を所定の温度(1,000℃以上2,400℃以下の温度)に急速に昇温させることができる。
この図6の状態では、支持体28の第3多層熱反射金属板43が貫通孔55を閉鎖し、予備加熱室22と本加熱室21とを仕切るように位置する。従って、本加熱室21内の被処理物を効率良く予備加熱することができる。また、支持体28の第4多層熱反射金属板44が貫通孔56を閉鎖するので、予備加熱室22から熱が逃げるのを防止し、本加熱室21での効率的な加熱を実現している。更に、この第4多層熱反射金属板44は第3多層熱反射金属板43と同様にパンチメタル構造であるので、ガスを予備加熱室22の外部へ良好に排気できる。
上記の本加熱処理を所定時間行った後、メッシュヒータ33による加熱を停止するとともに、移動機構27を駆動し、支持体28を下降させる。この結果、図3に示すように、容器2が予備加熱室22内に移動し、急速に冷却される。この状態で所定時間冷却した後、開閉部材51及びゲートバルブ66が開かれるとともに図1の搬送機構67が駆動され、受け台36上の容器2がストック室13のストッカ63上に搬送された後、ゲートバルブ66が閉じられる。
処理後の容器2はストック室13内で図略の冷却機構により更に冷却された後、観察室15に搬送されて評価及び観察が行われたり、導入室14に搬送されて導入口75から取り出されて次工程へ送られたりする。
以上のプロセスにおける被処理物の温度変化を図9に示す。このグラフで示すように、予備加熱室22から本加熱室21に容器2が移動し、本加熱処理が開始されると同時に、被処理物が急速な昇温カーブで加熱されることが判る。
この本加熱処理では、容器2内(図8)の内部に設置したシリコンペレット5からのシリコン蒸気の蒸発により、容器2の内部空間はシリコン飽和蒸気圧に保たれ、このために単結晶SiC基板1の表面からのシリコン分子の蒸発が抑制される。また、容器2の内部空間にはタンタルカーバイド層3が露出しているため、単結晶SiC基板1から蒸発して容器2の内部空間に存在するシリコン蒸気及び炭素蒸気の中から、炭素分子だけが選択的に容器2の表面のタンタルカーバイド層3に取り込まれる。
この結果、容器2の内部空間は、単結晶SiC基板1の表面からシリコン蒸気が蒸発しにくい一方、炭素蒸気が蒸発し易い雰囲気に保たれる。この結果、単結晶SiC基板1の表面からシリコン蒸気と炭素蒸気がほぼ同時に蒸発する。加えて、炭素分子は選択的に容器2の表面のタンタルカーバイド層3に取り込まれるので、容器2の内部空間はシリコン蒸気圧が常に高く保たれ自動的にシリコン飽和蒸気圧に保たれる。以上により、単結晶SiC基板1の表面を、シリコン蒸発による荒れが生じていない極めて平坦な表面とすることができる。
本実施形態の高温真空炉11によれば、図9に示すような鋭い昇温カーブが実現されるとともに、単結晶SiC基板1を均一に加熱することができる。
即ち、図9に示す温度制御及び被処理物の搬送制御の例は、単結晶SiC基板の気相処理条件に関して最適なプロセス環境をもたらすものである。この図9に示す処理は、具体的には以下のように行われる。即ち、予備加熱室22に被処理物を搬入し、500℃以上1,000℃以下の温度に予備加熱する(予備加熱処理)。そして、予備加熱室22から前記本加熱室21へ被処理物を移動させるとともに、本加熱室21を1,000℃以上2,400℃以下の任意の温度に維持することにより、鋭い温度勾配で被処理物を、1,000℃以上2,400℃以下の任意の温度まで急速に加熱する(本加熱処理)。本加熱終了後に、本加熱室21から予備加熱室22へ被処理物を移動させ、これにより、鋭い温度勾配で被処理物を冷却する(冷却処理)。
なお、このように急激な温度勾配で被処理物の温度を上昇又は下降させる熱処理は、様々な熱処理に適用することができる。例えば、被処理物としての単結晶SiC基板の表面に多結晶SiC基板を極めて近接させた状態で配置したものをタンタルカーバイドの坩堝(容器)に収納して、予備加熱室22内で例えば800℃に予備加熱する。その後、前記本加熱室21へ坩堝を移動させることで、坩堝内をシリコン飽和蒸気圧雰囲気とし、数分間で例えば2,000℃まで加熱する。この2,000℃の状態で10分程度加熱処理すると、単結晶SiC基板表面に単結晶SiC薄膜を気相エピタキシャル成長させることができる。その後、本加熱室21から予備加熱室22へ坩堝を移動させることで急速に冷却した後、加熱炉12の外部へ搬出する。このような超近接昇華法ともいうべき気相プロセスを行う場合、本実施形態の高温真空炉11を使用して上述のような短時間での加熱及び短時間での冷却を行うと、無欠陥の単結晶SiC薄膜を短時間で得ることができ、極めて好適である。
他の熱処理としては、例えば、単結晶SiC基板をタンタルカーバイドの坩堝(容器)に収納して、予備加熱室22内で例えば800℃に予備加熱する。その後、前記本加熱室21へ坩堝を移動させることで、坩堝内をシリコン飽和蒸気圧雰囲気とし、例えば2,000℃の温度で10分程度加熱処理すると、単結晶SiC基板表面が熱エッチングされ、基板表面を原子レベルで平坦化することができる。その後、本加熱室21から予備加熱室22へ坩堝を移動させることで急速に冷却した後、加熱炉12の外部へ搬出する。このような気相プロセスにも、本実施形態の高温真空炉11を使用して、上述したような短時間での高温加熱及び短時間での冷却を行うことが好適である。これにより、単結晶SiC基板の表面改質を熱エッチングで効率良く行うことができるとともに、その表面改質の品質は上述のとおり原子レベルに平坦であり、更に均一なモフォロジーが形成されるので、表面状態を極めて良好とすることができる。この結果、例えば、機械化学研磨(CMP)工程を不要とすることができる。
ただし、被処理物を本加熱室21へ移動させることで急激に昇温させる代わりに、以下のような形態で熱処理を行っても良い。即ち、予備加熱室22から本加熱室21へ被処理物を移動させた後に、設定された温度プロフィルに従って本加熱室21の温度を制御することで、被処理物を1,000℃以上2,400℃以下の温度に加熱する。また、本加熱処理の終了後は、設定された温度プロフィルに従って前記本加熱室21の温度を制御することで、前記本加熱室21内の被処理物を冷却するようにするのである。なお、冷却は、ある程度の温度まで本加熱室21で所定の温度プロフィルに従って冷却処理を行い、その後に、予備加熱室22へ被処理物を移動させることで第2次冷却処理を行うようにしても良い。
例えば、単結晶SiC基板表面と多結晶SiC基板との間にシリコンプレートを介在させたものを、タンタルカーバイドからなる坩堝(容器)に収納して、予備加熱室22で例えば800℃に予備加熱する。続いて、前記本加熱室21へ坩堝を移動させる。その後、所定の温度プロフィルに従って、本加熱室21の温度を約1時間程度の時間を掛けて上昇させ、2,000℃に到達してから約10時間程度の高温処理を行う。すると、坩堝内がシリコン飽和蒸気圧雰囲気となり、かつ、単結晶SiC基板と多結晶SiC基板との間にシリコン溶融液が介在されて、単結晶SiC基板表面に単結晶SiCを液相エピタキシャル成長させることができる。その後、所定の温度プロフィルに従って、本加熱室21の温度を約1時間程度の時間を掛けて下降させ、800℃に到達した時点で前記予備加熱室22へ移動させ、加熱炉12の外部へ搬出する。このような液相プロセスを行う場合、温度勾配が緩やかな温度プロフィルを本実施形態の高温真空炉11に設定して、長時間をかけて被処理物を加熱及び冷却することが、単結晶SiC液相エピタキシャル成長膜の歪を防止できる点で極めて有効である。
以上に本願発明の好適な実施形態を説明したが、以上の構成は例えば以下のように変更することができる。
図10に加熱炉の例の模式図を示す。なお、以下の説明において、前記実施形態と同一又は類似する部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10に示す加熱炉12においては、支持体28の下端部に位置する前記第4多層熱反射金属板44に、シリンダロッド30の先端が、温度絶縁体38を介して連結されている。この構成により、本加熱室21や予備加熱室22の熱がシリンダロッド30を伝わって逃げるロスを温度絶縁体38によっても低減できている。
また、図3等においては図示を省略したが、図10で示すように、本加熱室21において、前記被処理物(容器2)の本加熱処理時の位置の周囲にシールド39が備えられても良い。このシールド39は、例えばタングステン、モリブデン、又はタンタルからなり、円筒状に形成されている。この構成によれば、本加熱処理時に被処理物から発生する分子線やガスにメッシュヒータ33が晒されることがシールド39によって防止されるので、メッシュヒータ33の寿命を延ばすことができる。このシールド39は、移動機構27の支持体28側に(被処理物とともに移動可能に)備えられても良く、この場合でも上記と同様の効果を発揮することができる。シールド39を他の部材に取り付けるには、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルよりなる取付ネジを用いるのが、高温環境での焼き付きを防止できる点で好ましい。
図11に加熱炉の別の例の模式図を示す。この図11の加熱炉12においては、断熱室23の下側に第2断熱室(第4室)24を更に配置している。この第2断熱室24は、その上側を多層熱反射金属板47によって覆われ、側部及び下側を多層熱反射金属板48によって覆われている。移動機構27の支持体28は、第4多層熱反射金属板44の下側に、更にパンチメタル構造の第5多層熱反射金属板45を備えている。この第5多層熱反射金属板45は、他の多層熱反射金属板42〜44と同様に、被処理物とともに移動可能とされている。そして、この第5多層熱反射金属板45に前記シリンダロッド30が温度絶縁体38を介して連結されている。
図11は予備加熱処理時の様子を示し、このとき、多層熱反射金属板47に形成されている貫通孔59は、支持体28が備える第4多層熱反射金属板44によって閉鎖されて、断熱室23と第2断熱室24との間が第4多層熱反射金属板44によって隔てられる。また、多層熱反射金属板48に形成されている貫通孔57及び収納凹部58は、支持体28が備える第5多層熱反射金属板45によって閉鎖されて、第2断熱室24とその外部の空間とが第5多層熱反射金属板45によって隔てられる。従って、予備加熱時においては断熱室23及び第2断熱室24の閉鎖状態が実現され、2つの断熱室の断熱効果によって一層の熱効率向上が図られる。
また、図11の状態から支持体28を上昇させた本加熱処理時では、多層熱反射金属板46の貫通孔56が第4多層熱反射金属板44によって閉鎖され、多層熱反射金属板47の貫通孔59が第5多層熱反射金属板45によって閉鎖される。従って、この図11の構成では本加熱処理時においても断熱室23の閉鎖状態が実現されて、その断熱効果によって熱効率を一層上昇させることができる。また、本加熱処理時ではシリンダロッド30が前記断熱室23を挟んで予備加熱室22と反対側に位置するので、シリンダロッド30の熱損傷を効果的に防止できる。
予備加熱室22に通路孔50を設ける構成に代えて、例えば以下の構成とすることができる。即ち、予備加熱室22の多層熱反射金属板46を例えば水平方向(又は上下方向)に分割した構成とし、分割された一部又は全部が移動することで多層熱反射金属板46の間に隙間(通路空間)を形成できるようにする。この場合、前記通路空間を通じて、予備加熱室22に対して被処理物を出し入れすることができる。
予備加熱室22に対して被処理物(容器2)を出し入れする搬送機構は、搬送アーム68を用いたものに限定されない。例えば、水平な回転テーブルを有する回転テーブル式の搬送機構に変更することができる。
被処理物(容器2)が本加熱室21内にあるときに、シリンダロッド30の先端を支持体28に対して切離し可能に構成することもできる。なお、シリンダロッド30を切り離す前に、前記支持体28は適宜の機構によって本加熱室21側に保持しておく。この構成によれば、シリンダロッド30を介した熱ロスやシリンダロッド30の熱損傷を大幅に抑制することができる。
受け台36は、タンタルカーバイドで構成されることに代えて、例えばタングステンカーバイド、タングステン、又はグラファイトからなるように変更することができる。
前記メッシュヒータ33は、タングステンで構成されることに代えて、例えばモリブデン又はタンタルからなるように変更することができる。
メッシュヒータ33を覆う図略のカバーは、タングステンで構成されることに代えて、例えばモリブデン又はタンタルからなるように変更することができる。
熱処理で用いる容器2は、タンタルカーバイド処理されたタンタルによって構成されることに代えて、例えばタンタルカーバイド、(タンタルカーバイド処理なしの)タンタル、タングステンカーバイド、タングステン、又はグラファイトからなるように変更することができる。
上記実施形態の熱処理は、単結晶SiC基板1に関する熱処理に限らず、他の様々な化学変化及び物理変化を被処理物に生じさせるために用いることができる。
1 単結晶SiC基板(試料、被処理物)
2 容器
11 高温真空炉(熱処理装置)
12 加熱炉
13 ストック室
19 真空チャンバ
21 本加熱室(第1室)
22 予備加熱室(第2室)
23 断熱室(第3室)
24 第2断熱室(第4室)
27 移動機構
28 支持台
29 シリンダ部
30 シリンダロッド
33 メッシュヒータ(加熱ヒータ)
41 第1多層熱反射金属板
42 第2多層熱反射金属板
43 第3多層熱反射金属板
44 第4多層熱反射金属板
45 第5多層熱反射金属板
46〜48 多層熱反射金属板

Claims (12)

  1. 10−2Pa以下の真空又は該真空中に不活性ガスを導入した希薄ガス雰囲気下で、且つ高温雰囲気下で使用されるネジであって、
    金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材と接し、
    少なくとも前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルからなることを特徴とするネジ。
  2. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材と、他の部材とを固定するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のネジ。
  3. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    内部に収容される被処理物を加熱するための加熱室に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のネジ。
  4. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    被処理物を加熱するためのヒータであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のネジ。
  5. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    被処理物を加熱するためのヒータを覆うカバーであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のネジ。
  6. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    被処理物と、前記被処理物を加熱するためのヒータとの間に配置されるシールドであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のネジ。
  7. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    加熱される被処理物を取り囲む位置に配置されるシールドであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のネジ。
  8. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    前記加熱室の内部に配置される多層熱反射金属板であることを特徴とする請求項3に記載のネジ。
  9. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    前記加熱室の少なくとも一部を構成する多層熱反射金属板であることを特徴とする請求項3に記載のネジ。
  10. 前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材は、
    加熱される被処理物を載置する受け台であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のネジ。
  11. 不活性ガス雰囲気下で且つ高温雰囲気下で使用されるネジであって、
    金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材と接し、
    少なくとも前記金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材に接する部分は、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルからなることを特徴とするネジ。
  12. 不活性ガス雰囲気下で且つ高温雰囲気下で使用されるネジであって、
    金属、金属カーバイド又はグラファイトの何れかの部材を、他の部材とを固定するために用いられ、表面がタンタルカーバイドで被覆されたタンタルからなることを特徴とするネジ。
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