JP4815322B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかし、正反射型の光センサは、高濃度部(トナー付着量の多い)のトナーパッチの濃度を正確に検知できないという不具合があった。これは、像担持体表面をほとんどトナー粒子で覆うようなトナーパッチの凹凸状態と、さらに付着量が増加してトナー粒子が何層にも重なったときのトナーパッチの凹凸状態とにさほど違いがないからである。
そこで、特許文献1〜3では、次のような光センサの補正(校正)制御を行って、拡散反射光を受光する受光素子(以下、拡散反射受光素子)の出力値から、トナーパッチの濃度(トナー付着量)を求めている。すなわち、まず、各トナーパッチを検知したときの正反射受光素子の出力値と拡散反射受光素子の出力値とから、感度補正係数αを算出する。次に、感度補正係数αを用いて正反射受光素子の出力値を正反射光成分と拡散反射光成分とに成分分解する。次に、像担持体表面を検知したときの出力値(地肌部出力値)と正反射成分との比をとり、正反射成分を0〜1までの正規化値β(n)へ変換する。
このため、各色のトナーパッチ数を削減することができれば、中間転写ベルト上に形成されるトナーパッチの全体の長さLを短くすることができ、装置のダウンタイムを短縮することができ、しかもトナー消費量を削減することもできる。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記光学的検知手段の感度の校正制御は、前記光学的検知手段の正反射光出力値から抽出した正反射成分と、前記光学的検知手段の拡散光出力値から抽出したトナーからの拡散光成分との関係を多項式近似して得られた感度補正係数に基づいて、前記光学的検知手段の感度校正を行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、前記多項式近似が、2次式近似であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、前記光学的検知手段は、近赤外光および/または赤外光を発光する発光素子と、近赤外光および/またはを受光する受光素子とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、前記基準トナー像がベタ画像であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、前記基準トナー像を各色共通としたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、前記基準現像ポテンシャルの値は、色毎に設定することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかの画像形成装置において、前記基準の現像ポテンシャルに乗じる各値を、0以上1以下の範囲で、略均等に分散させたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、前記現像バイアスをそれぞれ異ならせて各トナーパッチを形成することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、前記像担持体への書込光の強度をそれぞれ異ならせて各トナーパッチを形成することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、前記書込光の密度をそれぞれ異ならせて各トナーパッチを形成することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11いずれかの画像形成装置において、各トナーパッチを形成するときの画像形成条件である、現像バイアス、書込光の密度、書込光の強度のうち少なくともひとつは、印刷時の画像形成条件と同じ値を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12いずれかの画像形成装置において、各色のトナーパッチを同時に形成できるように画像形成手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、前記画像形成手段は、複数の像担持体を並列配置し、複数の像担持体上に個別にそれぞれ異なる色のトナー像を、各像担持体と当接して前記無端移動体によって搬送された記録材に順次転写するか、又はトナー像を前記無端移動体の表面へ順次転写した後に前記無端移動体上のトナー像を記録材に一括転写することにより、記録材に画像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の画像形成装置において、各像担持体に形成された複数のトナーパッチからなる各色のパターン画像の長さは、像担持体間ピッチよりも短いことを特徴とするものである。
なお、JIS−Z8120光学用語(Glossary of optical terms)によれば、『赤外線とは、単色光成分の波長が可視放射の波長より長く、およそ1mmより短い放射。可視放射、可視光線とは、目に入って、視感覚を起こすことができる放射。光線という概念で用いる場合は可視光線という。一般に可視放射の波長範囲の短波長限界は360nm〜400nm、長波長限界は760nm〜830nmにあると考えてよい。』と定義されている。すなわち、本発明で定義する「近赤外光および/または赤外光」には、JIS−Z8120光学用語で定義するところの可視光線の長波長領域を含むものである。
図1は、本発明を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
図3は、本実施形態における光センサ310の概略構成を示す断面図である。本実施形態における光センサ310は、主に、発光手段としての発光素子311と、正反射光を受光するための第1の受光手段としての正反射受光素子312と、拡散反射光を受光するための第2の受光手段としての拡散反射受光素子313とから構成されている。各素子311,312,313は、プリント基板314上に実装されており、単一のパッケージ315に封入されている。パッケージ315には、発光素子311から照射される入射光が中間転写ベルト10の表面に至るまでの入射光路を確保するための通路、及び、中間転写ベルト10の表面で正反射した正反射光が正反射受光素子312に至るまでの正反射光路を確保するための通路がそれぞれ形成されている。
Vsg・・・転写ベルト地肌部出力電圧
Vsp・・・各パターン部出力電圧
Voffset・・・オフセット電圧(LED_OFF時の出力電圧)
_reg.・・・正反射光出力(Regular Reflectionの略)
_dif.・・・拡散反射光出力(Diffuse Reflectionの略)
(cf.JISZ8105:色に関する用語参照)
[n]・・・要素数:nの配列変数(トナーパッチ数)
まず初めに、正反射光出力,拡散光出力ともに、全ポイント[n]についてオフセット電圧との差分を計算する。
<処理式>
正反射光出力増分:
STEP1にて求めたΔVsp_reg.[n]、ΔVsp_dif.[n]から、各ポイント毎にΔVsp_reg.[n]/ΔVsp_dif.[n]を算出し、STEP3で正反射光出力の成分分解を行う際に、拡散光出力(ΔVsp_dif[n])に乗ずる係数αの算出を行う。
<処理式>
「正反射光(正反射成分)の正規化値」に対し、地肌部変動補正後の拡散光出力をプロットし、そのプロット線を近似することで、拡散光出力の感度を求め、この感度があらかじめ定めた狙いの感度となる様、補正を行う。上記プロット線を近似する方法として、線形近似(一次近似)する方法(処理1)と、多項式近似(2次近似)する方法(処理2)とがある。
処理1は、「正反射光(正反射成分)の正規化値」に対し、地肌部変動補正後の拡散光出力をプロットしたプロット線の直線領域(β(n)値0.30〜0.90)における直線関係から、感度補正係数ηを算出する。
まず、プロット線の直線の傾きを最小二乗法により求める。
X:正反射光_正反射成分の正規化値の平均値
y[i]:地肌部変動補正後拡散光出力
Y:地肌部変動補正後拡散光出力の平均値
なお、計算に用いるxの範囲は、0.30≦x≦0.90である。
処理2は、「正反射光(正反射成分)の正規化値」に対し、地肌部変動補正後の拡散光出力をプロットしたプロット線を多項式近似(本実施形態においては、2次式近似)して、感度補正係数ηを算出する。
まず、プロット線を2次近似式(y=ξ1x2+ξ2x+ξ3)で近似して、下記のように最小二乗法により係数ξ1、ξ2、ξ3を求める。
m:データ数
x[i]:正反射光_正反射成分の正規化値
y[i]:地肌部変動補正後拡散光出力
なお、計算に用いるxの範囲は、0.06≦x≦0.90である。
上記(1)、(2)、(3)の連立方程式を解くことで、係数ξ1、ξ2、ξ3を求めることができる。
感度補正後の拡散光出力:ΔVsp_dif‘’
そして、上述の光センサ310の出力値の補正(校正)制御を行った後に、補正(校正)された光センサの出力値に基づいて、付着量変換テーブルを参照することにより、光センサ310の出力値をトナー付着量に変換する処理を行う。
そこで、本実施形態においては、階調パターンのトナーパッチ数を削減して、上述の画像濃度制御と光センサ校正制御とを行えるようにした。
そこで、個々の係数(現像γ、感度補正係数α、γ)を算出するにあたり、必要な階調パターンのトナーパッチ数について検討を行った。
感度補正係数αは、「正反射光出力(ΔVsp_reg)」と「拡散反射光出力(ΔVsp_dif)」との比の最小値である。このため、この最小値がうまくサーチできる様、最小値近傍で複数の異なるデータが必要である。すなわち、感度補正係数αの算出においては、光センサの出力値が最小値近傍の値となる付着量の異なる複数トナーパッチが必要となる。
感度補正係数ηは、階調パターンを検知したときの光センサの拡散光出力とトナー付着量との関係を、付着量変換テーブルの関係と一致させるために、ソフト的に乗じる補正係数である。これを上述の処理1のように線形近似(一次近似)で求める場合は、β[n]の有効範囲内に最低限2点のデータがあればよい。また、感度補正係数ηを上述の処理2のように多項式近似式を用いて求める場合は、β[n]の有効範囲内に近似式の次数+1のデータが最低限あればよい。なお、多項式近似としては、精度の計算の簡略化から2次近似の採用が好ましい。
・低付着量側の正反射光のデータ点は、ベルト傷などの誤差要因によるばらつきを持つ。
・現像能力(現像γ,現像開始電圧:Vk)のうち、現像γは制御対象であるが、現像開始電圧:Vkは、現像能力が変化した結果の従属的な特性にしか過ぎないため、階調パターンの作像条件を固定条件(=固定電位)としている限りにおいては、Vkの変化により、パッチ濃度が変化しうるものである。
このような誤差要因による異常値データの影響を抑制するには、画像形成装置ごとのばらつき特性を実験等で検証し、最低限のデータ数に冗長データを適宜加えればよいと予想する。
カラー用光センサ310YMCは、発光素子311として、図4(a)に示すように、ピーク発光波長が940nmのGaAs発光ダイオードと、正反射受光素子312及び拡散反射受光素子313として、図4(b)に示すようなピーク分光感度波長が850nmのSiフォトトランジスタとを有したものを使用している。すなわち、この光センサは、図4(c)に示すように、色による反射率に顕著な差のない830nm以上の赤外光を検出するものである。なお、ここで言う「顕著な差を生じない」とは、3色トナーのばらつきレベルが±3%の範囲内のことを言う。830nmでC色71.68nm、M色73.96nm、Y色76.22nmであり、3色の平均値と上下幅は、73.95[±2.27]になる。すなわち、830nmでのばらつき片側幅は、2.27/73.95×100(%)≒3(%)になる。830nmよりも大きい他の値も概ねこのレベルであり、3色トナーのばらつきレベルが±3%の範囲内となる。
階調パターンの作像条件は、以下に示すとおりである。
・トナーパッチ数:P1〜P10
・現像γの狙いの値:黒(現像γ=1.25[mg/cm2/−kV])
:カラーCMY共通(現像γ=1.50[mg/cm2/−kV])
・バイアス条件:固定電位(帯電DC=−700[V]、現像DC=−500[V])
・露光条件:LDパワー=固定、LD点灯Duty=表1参照(各色共通)
図5は、10個のトナーパッチの光センサの検出値から計算したトナー付着量と、各トナーパッチを作像したときの現像ポテンシャルとの関係を示す図である。図に示すように、現像γの計算に使用する付着量範囲では、きれいな線形が得られている。すなわち、1色の現像γを算出するのに10個ものデータを用いる必要はなく、画像形成装置のタイプごとに品質要求される画像濃度のばらつきについて所定レベルを許容することで、より少ないデータ数で算出するよう設定することが可能となる。本実施例は図5にあるように濃度ばらつきが小さいレベルの線形特性を各色の現像装置が発揮でき、最低2点の濃度についてのパッチ形成で現像γの算出は可能である。更に現像スリーブの周期ムラによるパッチへのトナー付着量のばらつきや、転写ベルト表面の部分的な傷で正反射受光素子の出力値に誤差が生じる場合などのメカ的要因によるトナー付着量ばらつき(受光素子の出力値のばらつきの場合も含む)の可能性に配慮すると、必要に応じて冗長なパッチ形成をしておけば、トナー消費の観点では好ましくないものの誤差要因抑制の観点では好ましいと言える。後述する感度補正係数α、ηでの必要パッチ数が3個以上となる場合には、感度補正係数算出の目的に加えて、この冗長なパッチによる現像γの誤差要因抑制の効果を見込め、結果トナー消費量抑制とバランスの取れたパッチ数にすることができる。
図6は、「正反射光出力(ΔVsp_reg)」および「拡散反射光出力(ΔVsp_dif)」の比と、トナーパッチ数との関係を示す図である。図に示すように、感度補正係数αとなる「正反射光出力(ΔVsp_reg)」と「拡散反射光出力(ΔVsp_dif)」との比の最小値近傍(トナーパッチの高濃度部:P8〜P10)では、各色とも同じ値を示していることがわかる。これは、色による反射率に顕著な差のない領域の波長の光である赤外光や近赤外光を専ら光センサを用いているためである。また、Y,M、Cの階調パターンの作像条件(狙いの現像γ、固定電位、LD点灯Duty)も共通にして、各色の各トナーパッチの濃度を共通となるように制御しているためである。
図7は、感度補正係数ηを求めるためのβの有効データ範囲(0.3〜0.9の範囲)に内にあるトナーパッチの検出値をプロットした図である。なお、β(n)の有効データ範囲内にあるトナーパッチは、表1に示すP2〜P4のトナーパッチであり、有効範囲内にある各色のβ(n)、ΔVsp_difは、表2に示すとおりである。
1.本実施例における各色現像γを算出するにはトナーパッチは各色最低2個でよい。またメカ的な要因によるトナー付着量のばらつきを考慮すれば2個以上とすることは好ましい。
2.感度補正係数αを算出するには、赤外光のような色による反射率に顕著な差のない領域の波長の光(赤外光)を検出する光センサを用いれば、高濃度部のトナーパッチ(P8〜P10)は、Y、C,M色のうち1色でよい。
3.感度補正係数ηを算出するには、赤外光のような色による反射率に顕著な差を検出する光センサを用いれば、低濃度部のトナーパッチ(P2〜P4)は、Y、C,M色のうち1色でよい。
ということがわかる。
図8から、Y、M、C色のトナーで付着量の異なる複数のトナーパッチが形成されていることがわかり、感度補正係数α、ηを算出する各色のデータは、略均等に分散したデータとなることがわかる。よって、感度補正係数αおよび感度補正係数ηを精度よく算出することが可能であることがわかる。
また、各色ごとに階調濃度に差があるトナーパッチが構成されているが、図13のように図8から概念的に配列し直した図を見れば、図5と同様の階調パターンが色毎に構成されていることがわかる。よって、図13から、各色の現像γの算出に関しても精度よく算出することが可能であることがわかる。
C、M、Yは、現像γが狙いの現像γ=1.50[mg/cm2/−kV]となるようにトナー濃度などを制御しているが、現実的には、C、M、Yの現像γが狙いの現像γになるように制御していても、各色で現像γが異なってしまっている場合がある。3色で一つの階調パターンを作ろうとする場合に、各色の現像γが、色毎に多少異なっている場合、各色共通の現像DCバイアス、帯電DCバイアスを用いると、階調を形成するためにパッチのトナー付着量を異ならせるよう設定しても実際には付着量に顕著な差が生じない虞がある。よって、そのような虞を解消するには一つの階調パターンを構成するようにY,C,M3色の付着量を略均等に分散させ、かつ互いに付着量が異なるような目標付着量を設定する。そしてそれら目標付着量ごとの作像電位(帯電DCバイアス、現像DCバイアスによって決まる)を設定しておけばよい。
以下、詳細を述べる。各色の作像電位は、画像濃度制御によって決められている。すなわち、画像濃度制御では、光センサの階調パターンの検出値に基づいて算出した色毎の現像γ、現像開始電圧Vkを以下の式に用いて、最大現像ポテンシャルを決定し、これに基づき作像電位である現像DCバイアス、帯電DCバイアスを決定している。
実施例1は、所定のトナー付着量を基準として、各トナーパッチを作像するときの作像条件を決定するものである。以下に図12に基づき説明する。
まず、ベタ部(最大画像濃度となるトナーパッチの付着量)のトナー付着量(ここでは、0.5[mg/cm2])をトナーパッチ数で等分(12等分)する。これで、各トナーパッチの目標トナー付着量が決められる。そして、この決められた各トナーパッチの目標付着量と、各色の現像γ、帯電開始電圧Vkからそれぞれ、作像条件(現像ポテンシャル)を決定する。具体的に説明すると、トナーパッチP1の目標付着量は、(0.5/12)[mg/cm2]であり、トナーパッチP1を形成するC色の現像ポテンシャルは、図12に示すように、0.05[−kV]となる。これにより、各トナーパッチが所望の付着量となる作像条件でトナーパッチを作像することができる。
次に、実施例2について説明する。
実施例2は、各色の最大現像ポテンシャルを基準として、各色のトナーパッチを作像するときの作像条件を決定するものである。
上述の付着量を基準として作像条件を決める方法は、ベタ部のトナー付着量から、各トナーパッチのトナー付着量の算出、各トナーパッチのトナー付着量から現像ポテンシャルの算出と言う具合に作像条件(現像ポテンシャル)を算出するまでの計算工程が多い。
実施例2では、現像γが略直線であり高精度の一次近似ができること、各色の最大濃度(ベタトナーパッチ)は、現像ポテンシャルで代用できることに着目して、各トナーパッチの作像条件の算出を簡素化するものである。すなわち、実施例2では、各色の最大現像ポテンシャルをトナーパッチ数で等分(12等分)することで、各トナーパッチの作像条件(現像ポテンシャル)を算出するのである。よって、この実施例2での各トナーパッチの作像条件(現像ポテンシャル)の算出は、以下のようになる。なお、PotMAXは、最大現像ポテンシャルである。
P1(c)=PotMAX(c)×(1/12)
P2(m)=PotMAX(m)×(2/12)
P3(y)=PotMAX(y)×(3/12)
P4(c)=PotMAX(c)×(4/12)
P5(m)=PotMAX(m)×(5/12)
P6(y)=PotMAX(y)×(6/12)
P7(c)=PotMAX(c)×(7/12)
P8(m)=PotMAX(m)×(8/12)
P9(y)=PotMAX(y)×(9/12)
P10(c)=PotMAX(c)×(10/12)
P11(m)=PotMAX(m)×(11/12)
P12(y)=PotMAX(y)×(12/12)
現像ポテンシャルは、(現像バイアス−潜像(露光部)電位)で求められるので、各トナーパッチ作像時の現像バイアスは、下記式により求めることができる。
(式)
現像バイアス={(最大現像ポテンシャル:PotMAX)×(n/12)}+潜像電位
なお、上記nは、トナーパッチの番号である。
具体的に示すと、各トナーパッチを作像するときのLD点灯Duty(書込光の密度)は、
P1(c)=(1/12)×(100%−a)+a
P2(m)=(2/12)×(100%−a)+a
P3(y)=(3/12)×(100%−a)+a
P4(c)=(4/12)×(100%−a)+a
P5(m)=(5/12)×(100%−a)+a
P6(y)=(6/12)×(100%−a)+a
P7(c)=(7/12)×(100%−a)+a
P8(m)=(8/12)×(100%−a)+a
P9(y)=(9/12)×(100%−a)+a
P10(c)=(10/12)×(100%−a)+a
P11(m)=(11/12)×(100%−a)+a
P12(y)=(12/12)×(100%−a)+a
となる。
実験例1は、帯電/現像バイアスを作像電位として、露光装置のLD点灯Dutyの値を略均等に分散させて、階調パターンの各トナーパッチを作成した場合の例である。
図14は、実験による各トナーパッチの露光部電位の様子を示す図である。図15は、光センサで各トナーパッチを検出した検出値から算出した感度補正係数αを算出するための「正反射光出力(ΔVsp_reg)」と「拡散反射光出力(ΔVsp_dif)」との比と、LD点灯Dutyとの関係を示す図である。図に示すように、「正反射光出力(ΔVsp_reg)」と「拡散反射光出力(ΔVsp_dif)」との比の最小値近傍の各データは、重複することなく略均等に分散しているのがわかる。
図16は、横軸に正規化値β(n)縦軸に「拡散反射光出力補正値(ΔVsp_dif’)」とし、感度補正係数ηを算出するのに有効なデータ範囲内にある各トナーパッチから得られたデータをプロットした図である。図に示すように、感度補正係数ηを算出するのに有効なデータ範囲内にあるデータは、重複することなく、略均等に分散しているのがわかる。
なお、この実験例1では、感度補正係数ηの算出は、処理2の多項式近似を用いた。多項式近似を用いる方が、非線形の領域にまで有効データ範囲を取ることができ、感度補正係数ηを算出するための有効データ範囲を広くすることができる。これにより、感度補正係数ηを算出するときに用いることのできるデータ数を多くすることができ、感度補正係数ηを精度良く算出することができる。
次に、実験例2について説明する。実験例2は、LD点灯Dutyを固定にし、帯電バイアス、現像バイアスを可変にして、階調パターンの各トナーパッチを作成したものである。すなわち、実験例2は、露光装置21が2値書込みの場合の実験例である。
図17は、実験例2における感光体表面電位の概略図である。図17に示すように、露光電位は、ほぼ一定であるので、帯電バイアス・現像バイアスを可変にすることで、現像ポテンシャルを変化させ、各トナーパッチのトナー付着量を異ならせている。このようにして各トナーパッチを形成したものであっても、各トナーパッチのトナー付着量は、実験例1と同じとなるので、その結果は、図15、図16に示すものとなった。すなわち、感度補正係数αおよび感度補正係数η算出に必要な各データは、重複することなく、均等に分散した結果が得られたのである。
従来においては、先に示した図19のように、10階調からなる階調パターンを色毎に形成していた。なお、各トナーパッチは、主走査線方向長さ:15mm、副走査線方向長さ(パッチ長):25mm、パッチ間隔:10mmである。また、感光体ピッチは、150mmである。
このため、各色の10階調からなる階調パターンの長さ(25mm(パッチ長)×10(パッチ数)+10mm(パッチ間隔)×9(パッチ数−1)=340mm)は、感光体ピッチ(150mm)よりも倍以上長い。このため、従来は、Y、C、Mのトナーパッチは、転写ベルト上において感光体長手位置で同一の位置に同時に形成することができず、M色のトナーパッチの形成を開始してから所定時間経過した後、C色のトナーパッチの形成を開始し、C色のトナーパッチの形成を開始してから所定時間経過してからY色のトナーパッチの形成を開始するような制御を行っていた。このような各色トナーパッチは所定の時間間隔をおいて形成が開始されるため、階調パターンの検知時間が長くなるのである。そこで、先の図20に示すように各色同時検出できるように、主走査線方向それぞれ異なる位置に色毎の光センサ310K〜310YMCを設けて、各色の階調パターンを同時形成に可能としたものもある。しかし、これでは、4つセンサを設ける必要があり、コスト高になるという問題があった。
(式)
(パッチ長)×(パッチ数)+(パッチ間隔)×(パッチ数−1)<(感光体ピッチ)
という関係が成立するトナーパッチ数であれば、Y、C、Mのトナーパッチが同時形成可能となる。すなわち、上記式に、パッチ長:25mm、パッチ間隔:10mm、感光体ピッチ:150mmを代入すると、
(パッチ数)<(感光体ピッチ+パッチ間隔)/(パッチ長+パッチ間隔)
(パッチ数)<(150+10)/(25+10)
(パッチ数)<4.57
となる。すなわち、各色のトナーパッチ数を4色以下であれば、Y、C、M色を一つのセンサで検知可能かつ同時形成可能となる。
本実施形態においては、Y、M、C色トナーパッチ4個ずつで、12階調の階調パターンK1を形成しているので、3色同時形成が可能である。しかも、図18に示すように、黒色のついても、4個パッチとすれば、一つの光センサ310で、K、Y、M、C色の全色同時形成可能となり、より高次元のトナーパッチ検出時間の短縮が可能となる。
10 中間転写ベルト
20 画像形成部
40 感光体
61 現像装置
310 光センサ
Claims (15)
- 無端移動する無端移動体上に複数色のトナー像を形成する画像形成手段と、該トナー像からの反射光を検出する光学的検知手段と、前記光学的検知手段の検出値を用いて前記光学的検知手段の感度の校正制御と画像濃度制御とを実行する制御手段とを備える画像形成装置において、
前記光学的検知手段が、近赤外光および/または赤外光を検出するものであり、
前記制御手段は、画像形成手段で付着量が互いに異なるような画像形成条件で形成される複数のトナーパッチからなる前記光学的検知手段の感度の校正制御を行うための階調パターンを少なくとも2色以上、かつ、同一色のトナーパッチが2個以上存在するよう形成し、各トナーパッチを前記光学的検知手段で検出した検出値を用いて前記光学的検知手段の感度の校正制御を行い、前記複数のトナーパッチのうち、同一色のトナーパッチの前記光学的検知手段の検出値を用いて画像濃度制御を行うものであり、
前記制御手段は、所定のトナー付着量を有する基準トナー像を形成するときの現像ポテンシャルを基準現像ポテンシャルとし、その基準現像ポテンシャルに予め定められた異なる値を乗じることで前記階調パターンの各トナーパッチを形成するための画像形成条件を算出することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
前記光学的検知手段の感度の校正制御は、前記光学的検知手段の正反射光出力値から抽出した正反射成分と、前記光学的検知手段の拡散光出力値から抽出したトナーからの拡散光成分との関係を多項式近似して得られた感度補正係数に基づいて、前記光学的検知手段の感度校正を行うことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
前記多項式近似が、2次式近似であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、
前記光学的検知手段は、近赤外光および/または赤外光を発光する発光素子と、近赤外光および/またはを受光する受光素子とを備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、
前記基準トナー像がベタ画像であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、
前記基準トナー像を各色共通としたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6の画像形成装置において、
前記基準現像ポテンシャルの値は、色毎に設定することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至7いずれかの画像形成装置において、
前記基準の現像ポテンシャルに乗じる各値を、0以上1以下の範囲で、略均等に分散させたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
前記現像バイアスをそれぞれ異ならせて各トナーパッチを形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、
前記像担持体への書込光の強度をそれぞれ異ならせて各トナーパッチを形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、
前記書込光の密度をそれぞれ異ならせて各トナーパッチを形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至11いずれかの画像形成装置において、
各トナーパッチを形成するときの画像形成条件である、現像バイアス、書込光の密度、書込光の強度のうち少なくともひとつは、印刷時の画像形成条件と同じ値を用いたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至12いずれかの画像形成装置において、
各色のトナーパッチを同時に形成できるように画像形成手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項13の画像形成装置において、
前記画像形成手段は、複数の像担持体を並列配置し、複数の像担持体上に個別にそれぞれ異なる色のトナー像を、各像担持体と当接して前記無端移動体によって搬送された記録材に順次転写するか、又はトナー像を前記無端移動体の表面へ順次転写した後に前記無端移動体上のトナー像を記録材に一括転写することにより、記録材に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項14の画像形成装置において、
各像担持体に形成された複数のトナーパッチからなる各色のパターン画像の長さは、像担持体間ピッチよりも短いことを特徴とする画像形成装置。
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