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JP4806791B2 - 転写具 - Google Patents

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JP4806791B2 JP2007108675A JP2007108675A JP4806791B2 JP 4806791 B2 JP4806791 B2 JP 4806791B2 JP 2007108675 A JP2007108675 A JP 2007108675A JP 2007108675 A JP2007108675 A JP 2007108675A JP 4806791 B2 JP4806791 B2 JP 4806791B2
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Description

本発明は、転写具に関するものである。
従来より、テープの片面に剥離可能に添着した転写物を紙面等の転写対象面に転写するための転写具として、転写具本体に対して転写ヘッドをその軸線回りに回転可能に取り付け、転写作業時における転写具本体の傾きを転写ヘッドの軸線回りの回動によって吸収し、転写ヘッドの先端縁全体が転写対象面に接触し得るようにした態様が知られている(例えば特許文献1参照)。
実用新案登録第2607725号公報
しかしながら、転写具本体に対して転写ヘッドをその軸線回りにのみ回転可能に取り付けたものである場合、転写作業時における転写具本体の傾きを転写ヘッドの軸線回りの回動によって吸収できるものの、転写具本体に対する転写ヘッドの軸線方向は変化しないため、先端縁を転写対象面に押し付けた際に、先端縁の片側だけが転写対象面に接触して、もう一方の側が転写対象面から浮いた状態となり、当該浮いた側の先端縁を経由する転写物を転写対象面に転写できないという現象や、或いはヘッドの先端縁全体が転写対象面に接しているものの、当該先端縁の一方の側と他方の側とにおいて転写対象面に対する圧力が均等ではない状態となり、先端縁を経由する転写物を転写対象面に転写できるものの、当該転写物が転写対象面から容易に剥離されるという現象が生じる。このようないわゆる「片あたり」現象が生じた場合、転写具本体の保持姿勢を変えずにそのまま押付力を付与し続けても片あたり現象は解消されず、転写不良を招来する。
このように、従来の転写具は、転写ヘッドの先端縁を転写対象面に押し付けた際に、片あたり現象が生じた場合には、転写具本体の保持姿勢を、転写ヘッドの先端縁全体が転写対象面に当たる姿勢に意識的に姿勢変更しなければならず、操作性及び実用性に劣るという不具合が生じる。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、転写ヘッドの先端縁を転写対象面に押し付けた場合に、常に転写ヘッドの先端縁全体が転写対象面に接触し、且つ転写対象面に対する先端縁全体の圧力を略均等となるようにすることによって、片あたり現象に起因する転写不良の発生を防止する転写具を提供することにある。
すなわち、本発明の転写具は、テープの片面に剥離可能に添着した転写物を紙面等の転写対象面に転写するためのものであって、転写具本体と、前記テープを先端縁で折り返すように案内し且つ当該先端縁を前記転写対象面に接触させることによって前記転写物を転写対象面に転写する転写ヘッドとを具備してなり、当該転写ヘッド全体又は転写ヘッドのうち前記先端縁を一体に有するヘッド本体が、前記テープの巾方向に首振動作可能なものであり、当該首振動作の中心軸である首振軸を前記先端縁から基端側に変位した位置に設定しており、前記テープの巾方向に首振動作可能な前記転写ヘッド全体又は前記ヘッド本体である首振部材を、当該首振部材の軸線方向と、首振部材を首振可能に支持する支持部材の軸線方向とを略一致させた中立位置に自己復帰させるための弾性付勢機構を備えており、前記弾性付勢機構が、前記首振部材を前記中立位置に位置付けた場合に、前記首振部材の両側縁にそれぞれ当接又は近接し、前記首振部材が前記テープの巾方向に首振動作した場合に、前記首振部材に押圧され中立位置へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形する一対の弾性変形部を備えたものであることを特徴とする。
ここで、本発明における首振動作可能な部材が、「転写ヘッド全体」又は「転写ヘッドのうち前記先端縁を一体に有するヘッド本体」の何れであっても構わないことは上記文言上からも明白である。また、首振動作可能な部材が「転写ヘッドのうち前記先端縁を一体に有するヘッド本体」である場合、ヘッド本体の先端縁が、すなわち転写ヘッドの先端縁である。
このようなものであれば、先端縁を転写対象面に押し付けた際に、上述したいわゆる「片あたり」現象が生じ得る場合であっても、転写具本体の保持姿勢を変えることなくそのまま押付力を付与し続けることにより、「転写ヘッド全体」又は「転写ヘッドのうち前記先端縁を一体に有するヘッド本体」が、先端縁を転写対象面に対して略平行となるようにテープの巾方向に首振動作し、先端縁全体を転写対象面に接触させることができるとともに、先端縁全体を略均一な圧力で転写対象面に押し当てることができる。その結果、片あたり現象が生じず、転写作業を好適に行うことができる。
このように、本発明の転写具は、転写具本体に対する「転写ヘッド全体」又は「転写ヘッドのうち先端縁を一体に有するヘッド本体」の軸線方向が変化可能なものであり、転写ヘッドを軸線回りにのみ回転可能に構成した従来の転写具では解決できなかった片あたり現象の発生を防止し、転写不良を招来し難い実用性に富むものとなる。
しかも、首振軸を転写ヘッドの先端縁から基端側に変位した位置に設定しているため、ヘッド本体の首振軸をヘッド本体の先端縁に設定した態様と比較して、先端縁が回動自由端となり、先端縁を転写対象面に一旦押し付けた状態で転写具を転写方向にスライド移動させる際に、先端縁側が転写対象面にならうように積極的に回動する。したがって、先端縁を転写対象面に一旦押し付けた状態で転写具を転写方向にスライド移動させる際に、使用者が直接把持する転写具本体側を積極的に回動させる必要がなく、転写具本体の姿勢を使用者が意識せずとも、転写ヘッドの先端縁全体を転写対象面に接触させることができ、操作性に優れたものとなる。
特に、前記転写ヘッドを標準的な転写姿勢である前記転写対象面に対して傾斜させた姿勢で保持した場合に、当該転写ヘッド全体又は前記ヘッド本体が前記転写対象面に略直交する仮想面に沿って首振動作するようにすれば、ヘッド本体を標準的な転写姿勢で保持した場合に、首振軸が転写対象面に対して略平行となり、転写作業時に、転写対象面の傾斜や手首の返し等によって転写対象面と転写ヘッドの先端縁との平行関係が崩れ得る場合であっても、「転写ヘッド全体」又は「転写ヘッドのうち前記先端縁を一体に有するヘッド本体」が、転写対象面に対して略平行な首振軸を中心にスムーズに首振動作するため、先端縁と転写対象面との平行関係を維持することができ、先端縁全体を転写対象面に常に安定した状態で接触させることできる。
また、前記テープの巾方向に首振動作可能な前記転写ヘッド全体又は前記ヘッド本体である首振部材を、当該首振部材の軸線方向と、首振部材を首振可能に支持する支持部材の軸線方向とを略一致させた中立位置に自己復帰させるための弾性付勢機構を備えていれば、次の転写作業を行う場合や、不使用時に転写ヘッドをヘッドキャップで被覆する場合に、転写ヘッドを摘んで中立位置に戻すといった外部操作が不要となる。
弾性付勢機構の好適な実施態様としては、前記首振部材を前記中立位置に位置付けた場合に、前記首振部材の両側縁にそれぞれ当接又は近接し、前記首振部材が前記テープの巾方向に首振動作した場合に、前記首振部材に押圧され中立位置へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形する一対の弾性変形部を備えた態様が挙げられる。このようなものであれば、簡単な構成で弾性付勢機構を実現することができ、首振動作させる操作力が停止した場合に、弾性変形部の前記付勢力により首振部材を中立位置に的確に自己復帰させることができる。しかも、首振部材を中立位置に位置付けた場合に、一対の弾性変形部が首振部材の両側縁にそれぞれ当接又は近接するため、首振部材の不要な首振動作を抑制し、首振部材を中立位置に安定した状態で保持することができる。
この場合、前記弾性変形部が、前記支持部材に一体に設けたものであれば、部品点数の簡素化を有効に図ることができるとともに、弾性変形部が支持部材とは別体である態様と比較して、弾性支持部を支持部材に組み付ける作業を省くことができ、組立工数の簡略化にも資する。
さらに、前記テープの巾方向に首振動作可能な前記転写ヘッド全体又は前記転写ヘッドのうち前記ヘッド本体である首振部材が、前記先端縁を前記転写対象面に押し付けた場合に、前記首振部材を首振可能に支持する支持部材に設けた略部分円弧状の被押圧面を押圧可能な略部分円弧状の押圧面を有する押圧部を備えたものであり、当該押圧部が前記押圧面を前記被押圧面に案内させながら円弧状の軌跡に沿ってスライド移動することによって、前記首振部材が首振動作するようにしていれば、首振部材の首振動作が安定したものとなり、スムーズな首振動作を実現できる。
好適な実施態様としては、前記転写ヘッドが、前記ヘッド本体と、当該ヘッド本体を前記転写具本体に取り付けるためのヘッド取付部とを備えたものであり、前記首振部材が前記ヘッド本体であるとともに、前記支持部材が前記ヘッド取付部である態様や、前記首振部材が前記転写ヘッド全体であるとともに、前記支持部材が前記転写具本体である態様が挙げられる。
以上説明したように本発明によれば、転写ヘッドの先端縁を転写対象面に押し付けた場合に、常に転写ヘッドの先端縁全体が転写対象面に接触し、しかも、転写対象面に対する先端縁全体の押し付け力が略均等となり、片あたり現象に起因する転写不良の発生を防止することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る転写具1は、図1〜図3に示すように、テープTの片面に剥離可能に添着した修正剤等の転写物を紙面等の転写対象面Pに転写するためのものであり、転写具本体2と、転写具本体2に取り付けた転写ヘッド3とを備えたものである。なお、図1〜3では、テープT及び転写ヘッド3を被覆し得るヘッドキャップHCを透明体のものとして示している。
転写具本体2は、半割構造をなす第1半ケース21及び第2半ケース22を備え、これら半ケース21、22同士を着脱可能に組み付けたものである(図3参照)。本実施形態では、第1半ケース21に、繰出リールR1、巻取リールR2、及び繰出リールR1の回転を巻取リールR2に伝達するための図示しないリール伝動機構(例えば巻取リールR2と繰出リールR1との間に掛け渡したベルト)を保持させている。
転写ヘッド3は、図4〜図7に示すように、先端縁31TでテープTを折り返すように案内するヘッド本体31と、ヘッド本体31を転写具本体2に取り付けるためのヘッド取付部32とを備えたものである。そして、図8及び図9に示すように、ヘッド本体31が、ヘッド取付部32に対してテープTの巾方向に首振動作するようにしたものである。すなわち、ヘッド本体31が本発明の「首振部材」として機能するものであり、ヘッド取付部32が本発明の「支持部材」として機能するものである。なお、ヘッド本体31の先端縁31Tが、転写ヘッド3全体の先端縁31Tであることは言及するまでもない。
なお、図4は、転写ヘッド3を標準的な転写姿勢に保持した状態、具体的には紙面等の転写対象面Pに対して所定角度(例えば略45度)傾斜させた姿勢に保持した状態を示すものであり、以下の説明における転写ヘッド3の「前」「後」「上」「下」方向は、それぞれ図4に示すF方向、B方向、H方向、L方向を指す。
ヘッド本体31は、折り返し前のテープTを案内する第1案内面311a及び折り返し後のテープTを案内する第2案内面311bを有する本体部311と、本体部311の基端側における巾方向中央部位から上方に延出し、且つ転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付けた場合に後述するヘッド取付部32の部分円弧状の被押圧面(上壁部322bの下向面322bY)を押圧し得る押圧部312と、押圧部312からさらに上方に延出し、且つヘッド取付部32からの抜落を防止する抜止部313とを備えたものである。
本体部311の後向面に形成した第1案内面311aと、本体部311の前向面に形成した第2案内面311bは、先端縁31T(下縁)において相互に連続し、且つ上方に向かって相互に漸次離間する所定の角度で延びるものである。本実施形態では、第2案内面311bの両側縁に、他の部位よりも前方に突出し、且つテープTの側縁が近接又は当接し得る側方補助ガイド部311cを設けている。また、本体部311は、第2案内面311bの上端部から第1案内面311aの上端部に向かって延びる段部311dと、段部311dの後端部から上方に向かって延びる第1起立面311eと、第1案内面311aの上端部から第1起立面311eと略平行をなして対向する第2起立面311fとを備えている。本実施形態では、本体部311の基端縁311gを、巾方向中央部から両側縁に向かって漸次下方に傾斜させている。
押圧部312は、本体部311の基端縁311gにおける巾方向中央部位から上方に突出し、部分円弧状をなす上向面が本発明の「押圧面312a」として機能するものである。押圧部312は、本体部311と一体に成形され、押圧面312aの円弧の中心点Xを本体部311の基端縁311g近傍、換言すればヘッド本体31の先端縁31Tから離れた位置に設定している。
抜止部313は、押圧面312aの前後方向略中央部からさらに上方に延出し、後述するヘッド取付部32の挿入孔322cに挿入可能な挿入部313aと、挿入部313aの上端部に設けられ挿入孔322cに引っ掛かり得るフック部313bとを備えたものである。フック部313bは、挿入部313aの上端部から前方及び後方に向かって延出し、下向面313cを部分円弧状にしたものである。この円弧の中心を、押圧面312aの円弧の中心点Xと略一致させている。なお、本実施形態では、各フック部313bを、下向面313cから上方に向かって漸次厚み寸法を小さくしたテーパ状にしている。
本実施形態のヘッド本体31は、本体部311、押圧部312及び抜止部313を一体に成形したものである。
一方、ヘッド取付部32は、転写具本体2に設けた支持軸2A(図1〜図3参照)が挿入可能な支持軸挿入孔321aを有する取付部本体321と、ヘッド本体31を支持するヘッド本体支持部322とを備えたものである。本実施形態では、取付部本体321及びヘッド本体支持部322を一体に成形している。
取付部本体321は、概略角柱状をなし、基端部に支持軸挿入孔321aを形成したものである。本実施形態では、この支持軸挿入孔321aに転写具本体2の支持軸2Aを挿入した状態において、ヘッド取付部32が転写具本体2に対して軸線回りに回動し得るように設定している。
ヘッド本体支持部322は、図4〜図11等に示すように、下方に開口し且つヘッド本体31の本体部311のうち基端側の領域を収容し得る収容部322aと、収容部322aの上壁部322bを厚肉方向に貫通し且つヘッド本体31の抜止部313が挿入可能な挿入孔322cとを備えている。挿入孔322cは、下方に向かって漸次開口寸法を大きくしたテーパ状をなし、当該挿入孔322cに対する抜止部313の挿入作業を容易に行えるようにしている。そして、挿入孔322cの下方から抜止部313を挿入し、当該抜止部313のフック部313bを上壁部322bの上向面322bXに引っ掛けて支持させることにより、ヘッド本体31をヘッド取付部32に抜落不能に取り付けることができる。本実施形態では、上壁部322bの上向面322bX及び下向面322bYを部分円弧状にしている。これら上壁部322bの上向面322bX及び下向面322bYの円弧の中心点を、押圧面312aの円弧の中心点Xと略一致させ、ヘッド本体31をヘッド取付部32に抜落不能に取り付けた取付状態において、押圧面312a、フック部313bの下向面313c、上壁部322bの上向面322bX及び下向面322bYの各円弧の中心点が略一致し得るようにしている。そして、前記取付状態において、押圧面312a又はフック部313bの下向面313cの少なくとも何れか一方と、上壁部322bの上向面322bX又は下向面322bYの少なくとも何れか一方とが相互に当接し、ヘッド本体31が前記中心点Xを首振軸AとしてテープTの巾方向に首振動作するものとなる。なお、本実施形態では、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付けた場合に、押圧面312aが上壁部322bの下向面322bYに当接し(図10参照)、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pから離間させた場合に、転写ヘッド3の自重によりフック部313bの下向面313cが上壁部322bの上向面322bXに当接し得るようにしている(図7参照)。すなわち、上壁部322bの下向面322bYが、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付けた場合に押圧部312の押圧面312aに押圧される本発明の「被押圧面」として機能する。一方、上壁部322bの上向面322bXが抜止部313を支持する支持面として機能する。
また、本実施形態では、図6、図8及び図9に示すように、ヘッド本体支持部322の先端部位を先端に向かって漸次巾寸法を小さく設定した略V字状に形成し、ヘッド取付部32に対して首振動作するヘッド本体31が、ヘッド本体支持部322の先端部と干渉することを回避している。なお、上壁部322bの上方には、前方及び上方に開口した開口部322dを形成し、ヘッド本体31をヘッド取付部32に取り付けた状態において、抜止部313の上端部を開口部322d内に位置付けている。さらに、ヘッド本体支持部322の両側縁部に、他の領域より上方及び下方にそれぞれ突出した上方突出部322e及び下方突出部322fを設け、これら上方突出部322e及び下方突出部322fにより転写作業時にテープTが巾方向に抜け外れることを防止している。ヘッド本体支持部322の両側面には、ヘッドキャップHCに形成した凹部に弾性係合可能な外方突出部322gを設けている。
しかして、本実施形態に係る転写具1は、図10に示すように、ヘッド本体31を、転写対象面Pに対して傾斜させた姿勢である標準的な転写姿勢に保持した場合に、転写ヘッド3の先端縁31Tから離れた部位に設定した首振軸Aが転写対象面Pと略平行となり、転写ヘッド3が転写対象面Pに略直交する仮想面Vに沿って首振軸Aを中心に首振動作するようにしている。このヘッド本体31は、その軸線方向31Aとヘッド取付部32の軸線方向32Aとを略一致させた中立位置(N)(図6及び図11参照)と、この中立位置(N)からヘッド取付部32に対して時計回り又は反時計回りに回動した第1首振位置(S1)(図8及び図12参照)及び第2首振位置(S2)(図9及び図13参照)との間で首振動作可能なものである。
また、本実施形態に係る転写具1は、ヘッド取付部32に対して首振動作可能なヘッド本体31を、中立位置(N)に自己復帰させるための弾性付勢機構4を備えている。
弾性付勢機構4は、ヘッド本体31を中立位置(N)に位置付けた場合に、ヘッド本体31の側縁に当接又は近接し、ヘッド本体31が首振動作した場合に、ヘッド本体31に押圧され中立位置(N)へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形する弾性変形部41を備えたものである。本実施形態では、弾性変形部41をヘッド取付部32に一体に形成している。具体的には、図11〜図13に示すように、前記収容部322aの両側壁部322hの外向面側に外側方に開口する第2開口部322iをそれぞれ形成し、各第2開口部322iの上壁部322jから下方に垂下させてなる垂下片を弾性変形部41として機能させている。各弾性変形部41の下端部は自由端となっており、ヘッド本体31が中立位置(N)にある場合に、弾性変形部41の下端部近傍部位にヘッド本体31の本体部311のうち基端縁311g近傍が当接又は近接し得るように設定している。そして、ヘッド本体31が中立位置(N)から第1首振位置(S1)又は第2首振位置(S2)へ回動した場合に、何れか一方の弾性変形部41がヘッド本体31に押圧され中立位置(N)へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形するとともに、ヘッド本体31の先端縁31Tを転写対象面Pから離間した場合に、弾性変形部41が弾性復帰しながら蓄積した付勢力によりヘッド本体31を中立位置(N)へ押し戻す。なお、本実施形態では、ヘッド本体31を中立位置(N)から第1首振位置(S1)又は第2首振位置(S2)へ回動させた際に、本体部311の基端縁311gがヘッド本体支持部322の側壁部322hに当たることによってヘッド本体31のそれ以上同一方向への回動を規制している(図12及び図13参照)。
次にこのような転写ヘッド3に着目しながら転写具1の操作方法及び作用について説明する。
転写ヘッド3を前記標準的な転写姿勢に保持した状態でヘッド本体31の先端縁31Tを転写対象面Pに押し当てる。なお、ヘッド本体31の先端縁31Tを転写対象面Pに押し当てる直前までヘッド本体31は弾性付勢機構4の作用により中立位置(N)に位置付けられている。そして、転写対象面Pにヘッド本体31の先端縁31Tを押し当てた際、転写対象面Pの若干の傾きや転写具本体2の保持姿勢等によって、ヘッド本体31の先端縁31Tが転写対象面Pに対して平行にならず、ヘッド本体31の先端縁31Tの片側だけが転写対象面Pに当たり得る場合には、転写ヘッド3が、先端縁31Tから離間した位置に設定した首振軸Aを中心に中立位置(N)から第1首振位置(S1)又は第2首振位置(S2)に向かってテープTの巾方向に回動する。具体的には、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付けた操作力に基づいて、前記押圧部312の押圧面312aが、被押圧面である前記上壁部322bの下向面322bYを押圧した状態で当該下向面322bYに案内され、押圧部312が首振軸Aを中心に円弧状の軌跡に沿ってスライド移動する。その結果、ヘッド本体31の先端縁31Tが転写対象面Pに対して略平行となる位置まで首振りし、先端縁31T全体が転写対象面Pに水平に接した状態で押し付けられる。そして、転写ヘッド3の先端縁31T全体を転写対象面Pに押し付けた状態で、転写具1を所定の転写方向に沿ってスライド移動させることによって繰出リールR1に巻回しているテープTを引き出し、この引出操作力により繰出リールR1が回転し、繰出リールR1の回転動作により前記リール伝動機構を介して巻取リールR2を回転させる。そして、テープTが転写ヘッド3の先端縁31Tを折り返す際に、テープTの片面に添着した転写物が転写対象面Pに転写される。通常、転写具1を任意の転写方向に沿ってスライド移動させて転写作業を行う場合、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付ける操作力を付与し続けると、転写対象面P自体が若干傾斜している場合や手首の返し等により転写ヘッド3の先端縁31Tの片側のみが転写対象面Pに優先的に当たって、もう一方の側が転写対象面Pから浮いた状態となり、浮いた側の先端縁31Tを経由する転写物を転写対象面Pに転写できないという現象や、先端縁31T全体が転写対象面Pに接触するものの、先端縁31Tの片側ともう一方の側とで転写対象面Pに対する圧力が異なるために転写対象面Pに転写した転写物が剥離され易いといった現象(いわゆる片あたり現象)が生じ得る。しかしながら、本実施形態の転写ヘッド3は、ヘッド本体31がヘッド取付部32に対してテープTの巾方向に首振動作するものであるため、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付ける操作力を付与し続けることによって、ヘッド本体31が、その先端縁31を転写対象面Pに対して略平行となるように首振軸Aを中心に首振りし、転写ヘッド3の先端縁31T全体を常に転写対象面Pに押し当てることができるとともに、先端縁31T全体を略均一な圧力で転写対象面に押し当てることができる。
また、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付ける操作力を停止した場合、すなわち、転写ヘッド3の先端縁31Tを転写対象面Pから離間させた場合に、前記弾性付勢機構4の作用により、転写ヘッド3が中立位置(N)に自己復帰する。
このように、本実施形態に係る転写具1は、ヘッド本体31がテープTの巾方向に首振動作可能なものであるため、ヘッド本体31の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付けた場合に、ヘッド本体31が、その先端縁31を転写対象面Pに対して略平行となるように首振動作することにより、先端縁31全体を転写対象面Pに略均等に押圧することができ、片あたり現象に起因する転写不良の発生を防止することができる。しかも、首振軸Aを先端縁31Tから基端側に変位した位置に設定しているため、ヘッド本体31の先端縁31Tが回動自由端となり、先端縁31Tを転写対象面Pに一旦押し付けた状態で転写具1を転写方向にスライド移動させる際に、ヘッド本体31の先端縁31側が転写対象面Pにならうように積極的に回動する。したがって、先端縁31Tを転写対象面Pに一旦押し付けた状態で転写具1を転写方向にスライド移動させる際に、使用者が直接把持する転写具本体2側を積極的に回動させる必要がなく、転写具本体2の姿勢を使用者が意識せずとも、ヘッド本体31の先端縁31T全体を転写対象面Pに接触させることができ、操作性及び実用性に優れたものとなる。
特に、転写ヘッド3を標準的な転写姿勢である転写対象面Pに対して傾斜させた姿勢で保持した場合に、ヘッド本体31が転写対象面Pに略直交する仮想面Vに沿って首振動作するようにしているため、ヘッド本体31を標準的な転写姿勢に保持した状態で転写作業を行うことにより、首振軸Aが転写対象面Pに対して略平行となり、ヘッド本体31を、その先端縁31Tが転写対象面Pに対して平行となるように転写対象面Pに略直交する仮想面V内でスムーズに首振動作させることができ、先端縁31T全体を転写対象面Pに的確に接触させることが可能である。
さらに、ヘッド本体31を中立位置(N)に自己復帰させるための弾性付勢機構4を備えているため、ヘッド本体31が首振りした状態のままで中立位置(N)に自己復帰しない態様と比較して、次の転写作業を行う場合や、不使用時に転写ヘッド3をヘッドキャップHCで被覆する場合に、使用者が逐一ヘッド本体31を摘んで中立位置(N)に戻す必要がなく、使い勝手に優れたものとなる。
加えて、弾性付勢機構4が、ヘッド本体31を中立位置(N)に位置付けた場合に、ヘッド本体31の両側縁にそれぞれ当接又は近接し、ヘッド本体31がテープTの巾方向に首振動作した場合に、ヘッド本体31に押圧され中立位置(N)へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形する一対の弾性変形部41を備えたものであるため、簡単な構成で弾性付勢機構4を実現することができるとともに、ヘッド本体31の先端縁31Tを転写対象面Pに押し付ける操作力を停止した場合に、弾性変形部41の前記付勢力によりヘッド本体31を中立位置(N)に的確に自己復帰させることができる。しかも、ヘッド本体31を中立位置(N)に位置付けた場合に、一対の弾性変形部41がヘッド本体31の両側縁にそれぞれ当接又は近接するため、不使用時におけるヘッド本体31の不要な首振動作を抑制し、ヘッド本体31を中立位置(N)に安定した状態で保持することができる。
本実施形態では、弾性変形部41がヘッド取付部32に一体に設けたものであるため、部品点数の簡素化を有効に図ることができるとともに、組立工数の簡略化にも資する。
また、テープTの巾方向に首振動作可能なヘッド本体31が、先端縁31Tを転写対象面Pに押し付けた場合に、ヘッド本体31を首振可能に支持するヘッド取付部32に設けた略部分円弧状の被押圧面(上壁部322bの下向面322bY)を押圧可能な略部分円弧状の押圧面312aを有する押圧部312を備えたものであり、この押圧部312が押圧面312aを被押圧面(上壁部322bの下向面322bY)に案内させながら円弧状の軌跡に沿ってスライド移動することによって、ヘッド本体31が首振動作するようにしているため、ヘッド本体31の首振動作の安定性が向上し、スムーズな首振動作を実現できる。
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、転写ヘッドが、ヘッド本体とヘッド取付部とを備え、ヘッド本体を首振動作可能な「首振部材」として機能させ、ヘッド取付部を首振部材を支持する「支持部材」として機能させる態様を例示したが、これに限らず、転写ヘッド全体が転写具本体に対して首振動作可能なものとする態様を採用してもよい。この場合、転写ヘッド全体が本発明の「首振部材」として機能し、転写具本体が本発明の「支持部材」として機能する。なお、転写具自体が、転写具本体に対してテープ等を詰替可能な詰替タイプではなく、転写具本体に対してテープ等を詰替不能な使い捨てタイプのものであっても構わない。
また、弾性付勢機構が、首振部材を中立位置に位置付けた場合には当該首振部材に接触せず、首振部材がテープの巾方向に首振動作した場合にのみ当該首振部材に接触して押圧されることにより中立位置へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形する弾性変形部(例えばコイルバネやゴム等)を備えたものであってもよい。さらに、弾性変形部が支持部材とは別体のものであっても構わない。
また、弾性変形部が、首振部材に一体又は一体的に設けられ、首振部材がテープの巾方向に首振動作した場合に、支持部材に接触して押圧されることにより中立位置へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形するものであってもよい。
また、転写物として、粘着剤や接着剤を適用しても勿論構わない。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の一実施形態に係る転写具を一部省略して模式的に示す平面図。 同側面図。 同実施形態に係る転写具においてテープの詰替作業時の状態を図2に対応させて示す図。 同実施形態に係る転写ヘッドの側面図。 同実施形態に係る転写ヘッドの分解図を一部省略して模式的に示す図。 図4のx方向矢視図を模式的に示す図。 図6のy―y線断面図。 同実施形態に係る転写ヘッドを第1首振位置に位置付けた状態を図6に対応させて示す図。 同実施形態に係る転写ヘッドを第2首振位置に位置付けた状態を図6に対応させて示す図。 同実施形態において転写ヘッドの先端縁を転写対象面に押し付けた状態を図7に対応させて示す図。 図10のz―z線断面図。 同実施形態に係る転写ヘッドを第1首振位置に位置付けた状態を図11に対応させて示す図。 同実施形態に係る転写ヘッドを第2首振位置に位置付けた状態を図11に対応させて示す図。
符号の説明
1…転写具
2…転写具本体
3…転写ヘッド
31…首振部材(ヘッド本体)
312…押圧部
312a…押圧面
31T…先端縁
32…支持部材(ヘッド取付部)
322bY…被押圧面(下向面)
4…弾性付勢機構
41…弾性変形部
A…首振軸
T…テープ
P…転写対象面
V…仮想面
(N)…中立位置



Claims (6)

  1. テープの片面に剥離可能に添着した転写物を紙面等の転写対象面に転写するための転写具であって、
    転写具本体と、前記テープを先端縁で折り返すように案内し且つ当該先端縁を前記転写対象面に接触させることによって前記転写物を転写対象面に転写する転写ヘッドとを具備してなり、
    当該転写ヘッド全体又は転写ヘッドのうち前記先端縁を一体に有するヘッド本体が、前記テープの巾方向に首振動作可能なものであり、当該首振動作の中心軸である首振軸を前記先端縁から基端側に変位した位置に設定し
    前記テープの巾方向に首振動作可能な前記転写ヘッド全体又は前記ヘッド本体である首振部材を、当該首振部材の軸線方向と、首振部材を首振可能に支持する支持部材の軸線方向とを略一致させた中立位置に自己復帰させるための弾性付勢機構を備えており、
    前記弾性付勢機構が、前記首振部材を前記中立位置に位置付けた場合に、前記首振部材の両側縁にそれぞれ当接又は近接し、前記首振部材が前記テープの巾方向に首振動作した場合に、前記首振部材に押圧され中立位置へ復帰させる付勢力を蓄積しながら弾性変形する一対の弾性変形部を備えたものであることを特徴とする転写具。
  2. 前記転写ヘッドを標準的な転写姿勢である前記転写対象面に対して傾斜させた姿勢で保持した場合に、当該転写ヘッド全体又は前記ヘッド本体が前記転写対象面に略直交する仮想面に沿って首振動作するようにしている請求項1記載の転写具。
  3. 前記弾性変形部が、前記支持部材に一体に設けたものである請求項1又は2記載の転写具。
  4. 前記テープの巾方向に首振動作可能な前記転写ヘッド全体又は前記転写ヘッドのうち前記ヘッド本体である首振部材が、前記先端縁を前記転写対象面に押し付けた場合に、前記首振部材を首振可能に支持する支持部材に設けた略部分円弧状の被押圧面を押圧可能な略部分円弧状の押圧面を有する押圧部を備えたものであり、当該押圧部が前記押圧面を前記被押圧面に案内させながら円弧状の軌跡に沿ってスライド移動することによって、前記首振部材が首振動作するようにしている請求項1、2又は3記載の転写具。
  5. 前記転写ヘッドが、前記ヘッド本体と、当該ヘッド本体を前記転写具本体に取り付けるためのヘッド取付部とを備えたものであり、
    前記首振部材が前記ヘッド本体であるとともに、前記支持部材が前記ヘッド取付部である請求項1、2、3又は4記載の転写具。
  6. 前記首振部材が前記転写ヘッド全体であるとともに、前記支持部材が前記転写具本体である請求項1、2、3又は4記載の転写具。
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