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JP4800673B2 - 粘着剤組成物、粘着剤層、粘着部材、粘着型光学部材および画像表示装置 - Google Patents

粘着剤組成物、粘着剤層、粘着部材、粘着型光学部材および画像表示装置 Download PDF

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JP4800673B2 JP2005169722A JP2005169722A JP4800673B2 JP 4800673 B2 JP4800673 B2 JP 4800673B2 JP 2005169722 A JP2005169722 A JP 2005169722A JP 2005169722 A JP2005169722 A JP 2005169722A JP 4800673 B2 JP4800673 B2 JP 4800673B2
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Description

本発明は、粘着剤組成物に関する。また本発明は、当該粘着剤組成物により形成される粘着剤層に関する。さらに、本発明は、当該粘着剤層を有する粘着部材に関する。本発明の粘着剤組成物は、例えば、光学部材の接着などに使用され、粘着部材は粘着型光学部材として好適に用いられる。前記光学部材としては、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム、さらにはこれらが積層されているものなどがあげられ、粘着型光学部材は、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどの画像表示装置に好適に用いられる。
各種の光学部材や液晶パネル、各種の光源や拡散板などを貼り合わせる際に用いられる粘着剤としては、透明性や耐候性が良好なことからアクリル系共重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が使用されている。しかし、アクリル系粘着剤において、通常、ベースポリマーとして用いられるアクリル系共重合体の屈折率は低く、通常1.47程度であるのに対し、光学部材の屈折率は、例えば、ガラスでは1.52〜1.55程度、ポリカーボネートでは1.54程度であり、アクリル系粘着剤と光学部材との屈折率には大きな差がある。このため、光学部材用の粘着剤としてアクリル系粘着剤を用いる場合には、光学部材とアクリル系粘着剤との界面において屈折率差が生じ、浅い角度で光が入いると全反射が起るために、光の有効利用が妨げられるという問題があった。
このような課題を解決する目的で、屈折率が高いアクリル系粘着剤を作成する試みが各種行われている。かかる試みは、大きく分けて、アクリル系粘着剤のベースポリマーとして、高屈折率モノマーを共重合して、屈折率を高くしたアクリル系共重合体を用いる方法と、通常の屈折率の低いアクリル系共重合体に、屈折率調整剤を添加してアクリル系粘着剤の屈折率を上げる方法が検討されている。
例えば、前者の例として、ベースポリマーとして、臭素で置換された、あるいは置換されていない芳香族基を有するモノマーを共重合したアクリル系共重合体を用いた屈折率1.48以上のアクリル系粘着剤が開示されている(特許文献1)。また、ベースポリマーとして、芳香族基含有モノマーを共重合したアクリル系共重合体を用いた屈折率1.49〜1.60のアクリル系粘着剤が開示されている(特許文献2)。また、芳香族基モノマーを40〜90重量%共重合したアクリル系共重合体を用いた屈折率1.50〜1.55のアクリル系粘着剤が開示されている(特許文献3)。
一方、後者の例としては、粘着剤の屈折率と粘着力を調整するために、タッキファイヤーを添加したアクリル系粘着剤が開示されている(特許文献4、特許文献5)、また、アクリ系ポリマーに、屈折率調整剤として、分子量900以下のスチレン系オリゴマーを添加したアクリル系粘着剤が開示されている(特許文献6)。
特表2003−535921号公報 特開2002−173656号公報 特開2003−13029号公報 特開2000−321960号公報 特開2002−14225号公報 特開2003−342546号公報
しかしながら、これらの特許文献に開示されているアクリル系粘着剤は、屈折率を高くすることで、光学部材との界面の光の全反射が少なくすることはできるものの、一方で光学部材との粘着特性が低下するため、高屈折率と粘着特性との両立を充分に満足するものではなかった。
特許文献1乃至3のように、芳香族環を有するモノマーを共重合したアクリル系共重合体において、屈折率を調整するのは、その共重合比率であり、屈折率を高くするためにその共重合比率を大きくしていくと粘着特性が大きく低下するトレードオフの現象が見られた。そのため、芳香族環を有するモノマーの共重合比率によって高屈折率と粘着特性を両立するには、おのずと限界があった。屈折率を大きくするために、芳香族環を有するモノマーとして、臭素を置換したモノマーを用いることもできるが、環境対策面からノンハロゲンの動きは電気電子用途を中心に活発であり、好ましくはない。また、アクリル系共重合体の屈折率を調整するためには共重合体自体の共重合比率を変化させるという煩雑さもある。
一方、特許文献4乃至5においては、屈折率調整剤としてタッキファイヤーを混合するだけで屈折率を調整できるという作業面の利点はあるが、アクリル系粘着剤は一般にタッキファイヤーとの相溶性が悪い。そのため、屈折率調整剤を多く添加するとアクリル系粘着剤が白濁し、また接着力が低下するために、その使用量には限界があった。また、特許文献6では、低分子量の屈折率調整剤を使用することにより前記相溶性を改良しており、屈折率調整剤を多く添加しても白濁することはない。しかし、特許文献6では、アクリル系粘着剤自体の粘着特性(保持力、特に高温での保持力)が大きく低下するという問題も発生する。
本発明は、上記従来の技術を考慮して、光学部材との界面の光の全反射を少なくするための屈折率の調整が容易であり、かつ粘着特性(接着力、保持力等)を満足できる、粘着剤組成物を提供することを目的とする。また本発明は、当該粘着剤組成物を用いた粘着剤層を提供することを目的とする。
また本発明は、当該粘着剤層を有する粘着型光学部材等の粘着部材を提供すること、さらには、前記粘着型光学部材を用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、粘着剤組成物の構成について鋭意検討した結果、下記粘着剤組成物を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式(1):CH2=C(R1)COOR2(ただし、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数が2〜14のアルキル基である。)で表されるアクリル系単量体20〜80重量%および芳香族基を有する単量体80〜20重量%を単量体単位として含有するアクリル系共重合体100重量部に対し、
芳香族環またはその水添物を有してなり、かつ屈折率1.53〜1.75のタッキファイヤーを20〜150重量部を配合してなり、
前記タッキファイヤーは少なくとも1種が重量平均分子量1000以上のタッキファイヤーであることを特徴とする粘着剤組成物、に関する。
前記粘着剤組成物において、アクリル系共重合体は、アクリル系単量体および芳香族基を有する単量体の他に、これら単量体と共重合可能な単量体を、単量体単位として30重量%以下含有することが好ましい。共重合可能な単量体としては、カルボキシル基を有する単量体および/または水酸基を有する単量体があげられ、カルボキシル基を有する単量体は0.2〜15重量%を、水酸基を有する単量体は0.05〜5重量%を、単量体単位として含有することが好ましい。
前記粘着剤組成物において、アクリル系共重合体の屈折率は1.49〜1.54であることが好ましい。
前記粘着剤組成物は、さらに架橋剤を、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.02〜2重量部配合してなることが好ましい。
また本発明は、前記粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする粘着剤層、に関する。
前記粘着剤層は、粘着剤組成物が架橋剤を含有しており、架橋後のゲル分率が20〜80重量%であることが好ましい。
前記粘着剤層は、屈折率が1.51〜1.66であることが好ましい。
また本発明は、支持体の片面または両面に、前記粘着剤層を有することを特徴とする粘着部材、に関する。前記粘着部材は支持体として光学部材を用いた粘着型光学部材として好適である。
また本発明は、前記粘着部材である、粘着型光学部材を少なくとも1枚用いた画像表示装置、に関する。
本発明における粘着剤組成物は、ベースポリマーとして、芳香族基を有するモノマーを共重合したアクリル系共重合体を用いるとともに、芳香族またはその水添物を有するタッキファイヤーを用いているため、ベースポリマーとタッキファイヤーとの相溶性を格段に向上させており、透明性を損なうことなく、タッキファイヤーを配合したアクリル系粘着剤組成物が得られる。また、当該粘着剤組成物は、前記アクリル系共重合体が芳香族基を有するモノマーを単量体単位として含有することから、ベースポリマー自体の屈折率が高く、芳香族またはその水添物を有するタッキファイヤーも高屈折率を有することから、屈折率が1.51〜1.66の、屈折率の高い粘着剤層が得られる。
このように本発明の粘着剤組成物は、ベースポリマーとタッキファイヤーとの相溶性が良いため、接着性がよく、また、タッキファイヤーは、重量平均分子量1000以上のものを含んでおり、高温での保持力(凝集力)等がよく、粘着特性に優れる。また、得られる粘着剤層が高屈折率を有するため、光学部材の接着などに使用されても、光学部材との界面の光の全反射が少なくなるように、屈折率の調整が容易である。
本発明の粘着剤組成物は、ベースポリマーとして、一般式(1):CH2=C(R1)COOR2(ただし、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数が2〜14のアルキル基である。)で表されるアクリル系単量体20〜80重量%および芳香族基を有する単量体80〜20重量%を単量体単位として含有するアクリル系共重合体を含有する。
一般式(1)で表されるアクリル系単量体の具体例としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イン(メタ)ノニルアクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらアクリル系単量体は、単独使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
なお、本発明における(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明における、(メタ)は前記同様の意味である。
芳香族基を有する単量体としては、スチレンやαメチルスチレンなどのスチレン系単量体;ビニルトルエンやαビニルトルエンなどのビニルトルエン系単量体;ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレートなどの芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体等を挙げることができる。
アクリル系共重合体は、前記一般式(1)で表されるアクリル系単量体20〜80重量%、芳香族基を有する単量体80〜20重量%を含有する。好ましくは、アクリル系単量体30〜70重量%、芳香族基を有する単量体70〜30重量%である。芳香族基を有する単量体が少なくなると、タッキファイヤーとの相溶性が低下してタッキファイヤーを配合すると白濁し、好ましくなく、一方、多すぎると粘着特性が低下し好ましくない。
アクリル系共重合体は、アクリル系単量体および芳香族基を有する単量体の他に、これら単量体と共重合可能な単量体を、単量体単位として30重量%以下含有することができる。
共重合可能な単量体としては、水酸基を有する単量体があげられる。その具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
また共重合可能な単量体としては、カルボキシル基を有する単量体があげられる。カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましく用いられる。
また、共重合可能な単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;スルホン酸基含有単量体;リン酸基含有単量体;ビニルエステル単量体;アミド基含有単量体、ジメチルアミノメチルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体;イミド基含有単量体;N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマ一などの官能基を有する単量体、さらには、メチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルなどの官能基を有しない単量体があげられるが、これらに限定されるものではない。
共重合可能な単量体としては、カルボキシル基を有する単量体および/または水酸基を有する単量体を用いるのが好適である。特に両者を用いるのが好ましい。
アクリル系共重合体において、カルボキシル基を有する単量体は、粘着剤組成物の粘着特性を向上させる点から好ましく、単量体単位として、0.2〜15重量%、さらには1〜10重量%共重合するのが好ましい。なお、カルボキシル基を有する単量体の共重合量が多くなると、粘着剤層が硬くなる傾向があり、曲面などでの接着性が点から好ましくない。
水酸基を有する単量体は、粘着剤組成物の長期の耐久性を向上させる点から好ましく、単量体単位として、0.05〜5重量%、さらには、0.07〜2重量%共重合するのが好ましい。なお、水酸基を有する単量体の共重合量が多くなると、粘着剤層が硬くなる傾向があり、曲面などでの接着性が点から好ましくない。
本発明のアクリル系共重合体の重量平均分子量は特に制限されないが、60万以上、好ましくは70万〜300万である。重量平均分子量が60万より小さい場合は、耐久性に乏しくなる傾向がある。一方、作業性の観点より、前記重量平均分子量は300万以下が好ましい。
本発明のアクリル系共重合体の製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の任意の製法を適宜選択できる。例えば、溶液重合においては、重合溶媒として、たとえば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合は、たとえば、単量体全量100重量部に対しアゾビスイソブチロニトリル等の重合開示剤0.01〜0.2重量部加え、通常、窒素気流下で、50℃〜70℃程度で、8〜30時間行われる。乳化重合の場合は重合開始剤に加えて、乳化剤など適宜選択して使用することができる。また、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、アクリル系共重合体の分子量を適宜調整することできる。乳化剤、連鎖移動剤は特に限定されない。
アクリル系共重合体の屈折率は1.49〜1.54であることがタッキファイヤーとの相溶性が向上して好ましい。アクリル系共重合体の屈折率は1.49〜1.53であるのがより好ましい。アクリル系共重合体の屈折率は、芳香族基を有する単量体の共重合割合を調整することにより、前記範囲になるように制御できる。また、前記屈折率を有するアクリル系共重合体は、タッキファイヤーとの相溶性が良好であることから、タッキファイヤーの添加による屈折率の向上効果もよく、かつ粘着特性も良好になる。
本発明の粘着剤組成物は、前記アクリル系共重合体に加えて、芳香族環またはその水添物を有し、かつ屈折率が1.53〜1.75のタッキファイヤーを含有する。タッキファイヤーの屈折率は1.53〜1.65であるのがより好ましく、さらには1.54〜1.63であるのが好ましい。なお、着色したタッキファイヤーは粘着剤組成物を着色させるため、透明なタッキファイヤーが好ましく使用される。その透明なタッキファイヤーの目安としては、タッキファイヤーの50重量%トルエン溶液でのガードナー色相が1以下であるものが好適に使用される。
前記タッキファイヤーの具体例としては、例えば、スチレンオリゴマー、フェノキシエチルアクリレートオリゴマー、スチレンとαメチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとαメチルスチレンの共重合体、テルペンフェノール類およびその水添物、ロジンフェノール類およびその水添物、芳香族系石油樹脂およびその水添物などが挙げられる。これらのなかでも、スチレンオリゴマー、スチレンとαメチルスチレンの共重合体が好ましい。
タッキファイヤーの軟化点は耐熱性の点から40℃以上であることが好ましい。さらには、60℃以上、70〜160℃であるのが好ましい。また、前記タッキファイヤーは、重量平均分子量1000以上であるものを少なくとも1種含有する。当該重量平均分子量は、さらには1000〜4000であるのが好ましい。さらには1100以上であるのが好ましい。なお、重量平均分子量1000以上のタッキファイヤーは、タッキファイヤーの全量の50重量%以上、さらに60重量%以上、さらには70重量%以上、さらには80重量%以上とするのが好ましい。
アクリル系共重合体100重量部に対する、タッキファイヤーの配合量は、20〜150重量部、好ましくは30〜100重量部であり、かかる配合量により、粘着剤組成物を所定の屈折率に調整する。すなわち、当該粘着剤層により形成した粘着剤層の屈折率が1.51〜1.66、好ましくは1.52〜1.62になるように調整される。タッキファイヤーの配合量が、少なすぎると屈折率が十分に上がらず、一方、多すぎると粘着剤層が硬くなり、粘着特性が低下するため好ましくない。なお、軟化点が40℃未満のタッキファイヤーを用いる場合には、その使用量を20重量部未満とし、軟化点が50℃以上のタッキファイヤーと併用して、併用後のタッキファイヤーの軟化点が40℃以上になるようにするのが好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物は、前記アクリル系共重合体およびタッキファイヤーの他に、架橋剤を含有することができる。架橋剤の配合により、粘着剤組成物は架橋処理して耐熱性等の耐久性を向上でき、粘着剤組成物が、高温に晒される用途に適用される場合にも、耐久性を満足できる。
架橋剤としては、アクリル系共重合体中の官能基との反応性を有するものが好適に用いられる。架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、金属塩、などが挙げられる。これらのなかでも、イソシアネート化合物が好ましく用いられる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類や、各種ポリオールで変性したジイソシアネート付加物、イソシアヌレート環やビューレット体やアロファネート体を形成させたポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
また、アクリル系共重合体中に官能基がない場合には、架橋剤としては、過酸化物を用いることができる。その他、紫外線や電子線を用いて、粘着剤組成物を架橋することができる。
なお、前記架橋剤は1種または2種以上を用いることができるが、架橋剤として過酸化物を使用し、かつ芳香族系のイソシアネート化合物を使用した場合には、架橋処理して得られた粘着剤層が着色する場合がある。そのため、透明性が要求される用途では、脂肪族系や脂環族系のイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
前記架橋剤の配合量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.02〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると架橋反応が不十分となり耐久性を十分に向上できない。一方、多すぎると架橋過多になり粘着特性に劣るために好ましくない。
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよい。例えば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。その際、粘着剤層の弾性率を著しく変化させない程度に添加量を調整する必要がある。
本発明の粘着剤組成物は、溶液として用いることができる。用いられる溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水などがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合してもよい。溶媒は、重合溶媒をそのまま用いることができる他、粘着剤層を均一に塗布できるように、重合溶剤以外の一種以上の溶媒を新たに加えてもよい。
上記粘着剤組成物は、支持体上に塗布、乾燥し、粘着剤層を製造する。粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合には適宜に加熱処理等により架橋処理が施される。架橋処理は、溶媒の乾燥工程の温度で行っても良いし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。支持体としては、プラスチックフィルム、紙およびラミネート紙、不織布、金属箔、発泡シートなど適時使用される。剥離処理した支持体を用いた場合には、各種の支持体に転写することも可能である。このような塗布の方法としては、リバースコーター、グラビアコーターなどのロールコーター、カーテンコーター、リップコーター、ダイコーターなど任意の塗布方法を採用できる。
前記粘着剤層の製造にあたり、架橋された粘着剤層のゲル分率は、20〜80重量%となるように架橋剤の添加量を調整することが好ましく、25〜60重量%となるように架橋剤の添加量を調整することがより好ましい。ゲル分率が小さくなると、凝集力が劣り保持力が十分でなく、一方、ゲル分率が大きくなると接着力の点で十分でなく、粘着特性の点から好ましくない。
前記粘着剤層の乾燥後の厚みは、2〜500μm、好ましくは5〜100μm程度である。また、前記粘着剤層の表面には、コロナ処理、プラズマ処理、易接着層の形成などの易着処理や、帯電防止層の形成などを行ってもよい。このような粘着剤層が表面に露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(剥離シート、セパレーター、剥離ライナー)で粘着剤層を保護してもよい。
支持体上に粘着剤層を設けた粘着部材は各種の用途において、粘着シート、粘着テープとして用いられる。支持体として、光学部材を用いた場合には、粘着型光学部材として用いられる。
光学部材としては、液晶表示装置などの画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されないが、例えば、フィルム導光板が挙げられる。フィルム導光板は、ポリカーボネートフィルムの片面に微細な凹凸形状を形成することで導光機能を付与したフィルムが例示される。なお、これらフィルム導光板に使用されるフィルム材料の屈折率は1.49以上、好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.51以上、最も好ましくは1.52以上である。該屈折率の上限は、1.60であることが好ましい。フィルム導光板の厚みは、用途に応じて、例えば、10〜200μm程度の範囲から適宜選択することができる。
その他、光学フィルムとしては、反射防止フィルム、導電性フィルムなどが挙げられ、それらを構成する材料としては、前記屈折率のものが好ましい。
本発明の粘着型光学部材は、表示パネル(例えば、液晶とともに、ガラス基板、偏光板、位相差板等の複数の光学用部材を積層した構成の液晶パネル)に貼り合わせて、貼着固定して用いることができる。表示パネルとしては液晶パネルが好適に用いられる。液晶パネルとしては、移動体通信におけるモバイル型電話機(携帯電話など)などの表示画面部で利用される液晶パネルを好適に使用することができる。このような液晶パネルの基板としては、ガラス基板、プラスチック基板(特に、ガラス基板)などを用いることができる。その屈折率としては、1.49以上、好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.51以上、最も好ましくは1.52以上であり、その上限は1.60であることが好ましい。
前記光学部材としては、例えば、偏光板があげられる。偏光板は偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点より1〜500μm程度である。特に、5〜200μmが好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)はほぼ解消することができる。厚み方向位相差(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いても良く、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いても良い。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は他の部材の隣接層との密着防止を目的に施される。
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性の場合もある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子(ビーズを含む)などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視覚などを拡大するための拡散層(視覚拡大機能など)を兼ねるものであっても良い。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また光学部材としては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視覚補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また、前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵電源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵電源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これらの高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
液晶ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどをあげられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これらの液晶ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視覚等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
また、上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学部材としたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視覚補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視覚補償位相差板としては、例えば位相差板、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視覚補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコチック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合せた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性よっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一反反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差板と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていても良い。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであっても良い。
偏光板に前記光学層を積層した光学部材は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などにおうじて適宜な配置角度とすることができる。
なお、本発明の粘着型光学部材の光学部材や粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の粘着型光学部材は液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着型光学部材、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による粘着型光学部材を用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプなどの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に粘着型光学部材を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学部材は液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学部材を設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。本発明の光学部材(偏光板等)は、有機EL表示装置においても適用できる。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組合せをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各例中、部は重量部である。なお、分子量、屈折率、軟化点、ゲル分率の測定は下記方法により行った。
(分子量測定方法)
アクリル系共重合体およびタッキファイヤーの重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法の下記条件にて測定した。
分析装置:東ソー製、HLC−8120GPC
カラム(アクリル系共重合体):東ソー製、G7000HXL−H+GMHXL−H+GMHXL
カラム(タッキファイヤー):東ソー製、GMHR−H+GMHHR+G2000MHHR
カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
カラム温度:40℃
流速:0.8mL/min
溶離液:テトラヒドロフラン
溶液濃度:約0.1重量%
注入量:100μL
検出器:示差屈折計(RI)
標準試料:ポリスチレン
データ処理装置:東ソー製,GPC‐8020
(屈折率)
25℃の雰囲気で、ナトリウムD線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製,DM−M4)にて屈折率を測定した。
(軟化点)
JIS K5902に記載の環球法により測定した。
(ゲル分率)
架橋処理した直後の粘着剤層を約0.1gとり、これを秤量して重量(W1)を求めた。次いでこれを微孔性テトラフルオロエチレン膜に包んで(膜重量W2)、約50mlの酢酸エチル中23℃下で2日間浸漬したのち、可溶分を抽出した。その後、上記粘着剤層を膜と一緒に取り出し、これを120℃で2時間乾燥し、全体の重量(W3)を測定した。これらの測定値から、下記の式にしたがって、粘着剤層のゲル分率(重量%)を求めた。
ゲル分率(重量%)={(W3−W2)/W1}×100
実施例1
(アクリル系共重合体の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に酢酸エチル233部を溶剤として、2‐エチルヘキシルアクリレート49部、フェノキシエチルアクリレート50部、アクリル酸1部、2‐ヒドロキシエチルアクリレート0.2部、および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なって、重量平均分子量88万のアクリル系共重合体の溶液を得た。このアクリル系共重合体の屈折率は1.51であった。
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系共重合体の固形分100部に対して、タッキファイヤーとして、スチレンオリゴマー(軟化点72−77℃,重量平均分子量1350,屈折率1.59,イーストマンケミカル社製のピコラスチックA75)60部を添加し、さらに架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体0.4部を添加して、本発明の粘着剤組成物を得た。
(粘着剤層の作製)
前記組成物を、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘着剤層の乾燥厚さが20μmになるように塗布し、140℃で3分乾燥・架橋を行い、ゲル分率が38重量%の透明な粘着剤層を得た。
実施例2
実施例1において、タッキファイヤーの配合量を30部としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。また、当該粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にしてゲル分率が45重量%の透明な粘着剤層を得た。
実施例3
実施例1において、タッキファイヤーの配合量を100部としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。また、当該粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にしてゲル分率が32重量%の透明な粘着剤層を得た。
実施例4
実施例1において、タッキファイヤーとして、αメチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点82−88℃,重量平均分子量1200,屈折率1.61、イーストマンケミカル社製のクリスタレックス3085)70部を用い、架橋剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部とトリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネート付加物0.6部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。また、当該粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にしてゲル分率が45重量%の透明な粘着剤層を得た。
実施例5
(アクリル系共重合体の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に酢酸エチル233部を溶剤として、ブチルアクリレート79部、スチレン20部、アクリル酸1部、4‐ヒドロキシブチルアクリレート0.3部、および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なって、重量平均分子量57万のアクリル系共重合体の溶液を得た。このアクリル系共重合体の屈折率は1.49であった。
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系共重合体の固形分100部に対して、タッキファイヤーとして、ビニルトルエンとαメチルスチレンの共重合体(軟化点88−94℃,重量平均分子量1500,屈折率1.60,イーストマンケミカル社製ピコテックスLC)50部、およびスチレンオリゴマー(軟化点室温以下,重量平均分子量430,屈折率1.60,イーストマンケミカル社製ピコラスチックA5)10部を添加し、さらに架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体0.8部を添加して、本発明の粘着剤組成物とした。
(粘着剤層の作製)
前記組成物を、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘着剤層の乾燥厚さが20μmになるように塗布し、140℃で3分乾燥・架橋を行い、ゲル分率が36重量%の透明な粘着剤層を得た。
実施例6
実施例5において、タッキファイヤーとして、テルペンフェノールの水添物(軟化点110−115℃,重量平均分子量1450,屈折率1.54,ヤスハラケミカル社製のクリアロンMI15)50部、およびスチレンオリゴマー(軟化点室温以下,重量平均分子量430,屈折率1.60,イーストマンケミカル社製ピコラスチックA5)10部を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、粘着剤組成物を調製した。また、当該粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にしてゲル分率が41重量%の透明な粘着剤層を得た。
実施例7
(アクリル系共重合体の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に酢酸エチル233部を溶剤として、ブチルアクリレート30部、フェノキシエチルアクリレート70部、アクリル酸0.5部、4‐ヒドロキシブチルアクリレート0.3部、および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なって、重量平均分子量81万のアクリル系共重合体の溶液を得た。このアクリル系共重合体の屈折率は1.53であった。
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系共重合体の固形分100部に対して、タッキファイヤーとして、αメチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点82−88℃,重量平均分子量1200,屈折率1.61,イーストマンケミカル社製のクリスタレックス3085)80部、およびスチレンオリゴマー(軟化点室温以下,重量平均分子量430,屈折率1.60,イーストマンケミカル社製ピコラスチックA5)10部を添加し、さらに架橋剤として、トリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネート付加物0.6部を添加して、本発明の粘着剤組成物とした。
(粘着剤層の作製)
前記組成物を、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘着剤層の乾燥厚さが20μmになるように塗布し、140℃で3分乾燥・架橋を行い、ゲル分率が41重量%の透明な粘着剤層を得た。
比較例1
(アクリル系共重合体の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に酢酸エチル233部を溶剤として、ブチルアクリレート97部、アクリル酸3部、2‐ヒドロキシエチルアクリレート0.2部、および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なって、重量平均分子量57万のアクリル系共重合体の溶液を得た。このアクリル系共重合体の屈折率は1.47であった。
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系共重合体の固形分100部に対して、タッキファイヤーとして、スチレンオリゴマー(軟化点72−77℃,重量平均分子量1200,屈折率1.59,イーストマンケミカル社製のピコラスチックA75)30部を添加し、さらに架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体0.4部を添加して、粘着剤組成物を得た。
(粘着剤層の作製)
前記組成物を、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘着剤層の乾燥厚さが20μmになるように塗布し、140℃で3分乾燥・架橋を行い、ゲル分率が43重量%の粘着剤層を得た。しかし、粘着剤層は白濁しており、乱反射することから、屈折率を測定しなかった。
比較例2
比較例1において、タッキファイヤーとして、スチレンオリゴマー(軟化点室温以下,重量平均分子量430,屈折率1.60,イーストマンケミカル社製ピコラスチックA5)30部を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。また、当該粘着剤組成物を用いて、比較例1と同様にしてゲル分率が40重量%の透明な粘着剤層を得た。
比較例3
実施例7において、タッキファイヤーを添加しなかったこと以外は、実施例7と同様にして、粘着剤組成物を調製した。また、当該粘着剤組成物を用いて、実施例7と同様にしてゲル分率が69重量%の透明な粘着剤層を得た。
比較例4
(粘着剤組成物の調製)
実施例5で得られた屈折率1.49のアクリル系共重合体の固形分100部に対して、タッキファイヤーとして、石油系樹脂(軟化点98−102℃,重量平均分子量1650,屈折率1.52,イーストマンケミカル社製ピコタック1098)30部を添加し、さらに架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体0.8部を添加して、粘着剤組成物とした。
(粘着剤層の作製)
前記組成物を、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘着剤層の乾燥厚さが20μmになるように塗布し、140℃で3分乾燥・架橋を行い、ゲル分率が39重量%の粘着剤層を得た。しかし、粘着剤層は白濁しており、乱反射することから、屈折率を測定しなかった。
比較例5
実施例1において、タッキファイヤーとして、スチレンオリゴマー(軟化点室温以下,重量平均分子量430,屈折率1.60,イーストマンケミカル社製ピコラスチックA5)60部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。また、当該粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にしてゲル分率が35重量%の透明な粘着剤層を得た。
実施例および比較例で得られた粘着剤層について、下記評価試験を行った。結果を表1に示す。また、粘着剤層の屈折率を表1に示す。
(接着力)
粘着剤層を厚さ38μのポリエステルフィルムに貼り付けて、裏打ちフィルムとし、20mm×100mmに切断したものを、被着体(#280のサンドペーパーでサンディングしたステンレス板)に2kgのローラーを一往復させる方式で圧着し、23℃で20分間経過後、その剥離に要する接着力(N/20mm)を測定した。剥離条件は、180度剥離、引張り速度300mm/分、23℃、50%RHの雰囲気下とした。
(保持力)
粘着剤層を厚さ38μのポリエステルフィルムに貼り付けて、裏打ちフィルムとし、10mm×20mmの接着面積でベーク板に貼り付け、80℃の条件で、500g荷重を垂直に掛けてテープが落下するまでの時間を測定した。
Figure 0004800673
表1に示すように、実施例では、タッキファイヤーの配合量を調整することで、粘着剤層の屈折率を容易に調整できる。また、実施例では、アクリル系共重合体とタッキファイヤーの相溶性がよく、かつ接着力、保持力の粘着特性に優れている粘着剤層が得られている。一方、比較例1、4ではアクリル系共重合体とタッキファイヤーの相溶性が悪く、粘着剤層は白濁しており、接着力も悪い。比較例2、5では、粘着剤層は白濁することなく屈折率を調整できるが、タッキファイヤーの軟化点が低く(重量平均分子量が低く)、粘着特性(保持力)が十分でない。比較例3では、粘着性が全くなかった。

Claims (12)

  1. 一般式(1):CH2=C(R1)COOR2(ただし、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数が2〜14のアルキル基である。)で表されるアクリル系単量体20〜80重量%および芳香族基を有する単量体80〜20重量%を単量体単位として含有するアクリル系共重合体100重量部に対し、
    芳香族環またはその水添物を有してなり、かつ屈折率1.53〜1.75のタッキファイヤーを20〜150重量部を配合してなり、
    前記タッキファイヤーは少なくとも1種が重量平均分子量1000以上のタッキファイヤーであることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. アクリル系共重合体が、アクリル系単量体および芳香族基を有する単量体の他に、これら単量体と共重合可能な単量体を、単量体単位として30重量%以下含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 共重合可能な単量体が、カルボキシル基を有する単量体0.2〜15重量%を有することを特徴とする請求項2記載の粘着剤組成物。
  4. 共重合可能な単量体が、水酸基を有する単量体0.05〜5重量%を含有することを特徴とする請求項2または3記載の粘着剤組成物。
  5. アクリル系共重合体の屈折率が1.49〜1.54であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  6. さらに架橋剤を、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.02〜2重量部配合してなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする粘着剤層。
  8. 粘着剤組成物が架橋剤を含有しており、架橋後のゲル分率が20〜80重量%であることを特徴とする請求項記載の粘着剤層。
  9. 屈折率が1.51〜1.66であることを特徴とする請求項7または8記載の粘着剤層。
  10. 支持体の片面または両面に、請求項7〜9のいずれかに記載の粘着剤層を有することを特徴とする粘着部材。
  11. 支持体が光学部材であることを特徴とする請求項10記載の粘着部材。
  12. 請求項110記載粘着部材である、粘着型光学部材を少なくとも1枚用いた画像表示装置。
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