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JP4899722B2 - 状態量測定装置付転がり軸受ユニット - Google Patents

状態量測定装置付転がり軸受ユニット Download PDF

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JP4899722B2 JP2006228585A JP2006228585A JP4899722B2 JP 4899722 B2 JP4899722 B2 JP 4899722B2 JP 2006228585 A JP2006228585 A JP 2006228585A JP 2006228585 A JP2006228585 A JP 2006228585A JP 4899722 B2 JP4899722 B2 JP 4899722B2
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Description

この発明に係る状態量測定装置付転がり軸受ユニットは、例えば、自動車等の車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、この車輪に加わる外力の大きさを測定して、車両の安定運行の確保に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、例えば非特許文献1に記載されている様な、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる外力(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、特殊なエンコーダを使用して転がり軸受ユニットに加わる外力の大きさを測定する発明が記載されている。図6〜8は、この特許文献1に記載された構造ではないが、この特許文献1に記載された構造と同じ外力の測定原理を採用している、状態量測定装置付転がり軸受ユニットに関する先発明の構造の第1例を示している。この先発明の構造の第1例は、使用時にも回転しない静止側軌道輪である外輪1の内径側に、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転する、回転側軌道輪であるハブ2を、複数個の転動体3、3を介して、回転自在に支持している。これら各転動体3、3には、互いに逆向きの(図示の場合には背面組み合わせ型の)接触角と共に、予圧を付与している。尚、図示の例では、上記各転動体3、3として玉を使用しているが、重量が嵩む自動車用の軸受ユニットの場合には、玉に代えて円すいころを使用する場合もある。
又、上記ハブ2の内端部(軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図6、9、15、16の右側。反対に、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側となる図6、9、15、16の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書及び特許請求の範囲の全体で同じ。)には、円筒状のエンコーダ4を、上記ハブ2と同心に支持固定している。又、上記外輪1の内端開口を塞ぐ有底円筒状のカバー5の内側に、1対のセンサ6a1 、6a2 を支持すると共に、これら両センサ6a1 、6a2 の検出部を、上記エンコーダ4の被検出面である外周面に近接対向させている。
このうちのエンコーダ4は、磁性金属板製である。被検出面である、このエンコーダ4の外周面の先半部(軸方向内半部)には、透孔7、7(第一特性部)と柱部8、8(第二特性部)とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔7、7と各柱部8、8との境界は、上記エンコーダ4の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、上記エンコーダ4の軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。従って、上記各透孔7、7と上記各柱部8、8とは、軸方向中間部が円周方向に関して最も突出した「へ」字形(又は「く」字形)となっている。そして、上記境界の傾斜方向が互いに異なる、上記被検出面の軸方向両半部のうち、軸方向外半部を第一の特性変化部9とし、軸方向内半部を第二の特性変化部10としている。尚、これら両特性変化部9、10を構成する各透孔は、図示の様に互いに連続した状態で形成しても良いし、後述する図11、13に示す様に、互いに独立させて形成しても良い。又、検出精度は劣るが、上記両特性変化部9、10のうちの何れか一方の特性変化部の境界のみを軸方向に対し傾斜させ、他方の特性変化部の境界を軸方向と平行にする事もできる。
又、上記1対のセンサ6a1 、6a2 はそれぞれ、永久磁石と、検出部を構成するホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子とから成る。これら両センサ6a1 、6a2 は、上記カバー5の内側に支持固定した状態で、一方のセンサ6a1 の検出部を上記第一の特性変化部9に、他方のセンサ6a2 の検出部を上記第二の特性変化部10に、それぞれ近接対向させている。これら両センサ6a1 、6a2 の検出部が上記両特性変化部9、10に対向する位置は、上記エンコーダ4の円周方向に関して同じ位置としている。又、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用しない状態で、上記各透孔7、7及び柱部8、8の軸方向中間部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、上記両センサ6a1 、6a2 の検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材の設置位置を規制している。
上述の様に構成する状態量測定装置付転がり軸受ユニットの場合、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用(これら外輪1とハブ2とがアキシアル方向に相対変位)すると、上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用していない、中立状態では、上記両センサ6a1 、6a2 の検出部は、図8の(A)の実線イ、イ上、即ち、上記最も突出した部分から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相は、同図の(C)に示す様に一致する。
これに対して、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図8の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ6a1 、6a2 の検出部は、図8の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる。更に、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図8の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ6a1 、6a2 の検出部は、図8の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが、逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相は、同図の(D)に示す様にずれる。
上述の様に、先発明の構造の第1例の場合には、上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相が、上記外輪1とハブ2との間に加わるアキシアル荷重の作用方向に応じた向きにずれる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相がずれる程度は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って、上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその向き及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ2との間に作用しているアキシアル荷重の向き及び大きさを求められる。尚、上記両センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相差に基づいて上記アキシアル荷重を算出する処理は、図示しない演算器により行なう。この為、この演算器には、予め理論計算や実験により調べておいた上記位相差と上記アキシアル荷重との関係を、計算式やマップ等の形式で組み込んでおく。
次に、図9〜10は、特願2005−256752に開示された、状態量測定装置付転がり軸受ユニットに関する、先発明の構造の第2例を示している。この先発明の構造の第2例の場合も、ハブ2の内端部に外嵌固定した、磁性金属板製のエンコーダ4aの外周面(被検出面)に、透孔7a、7aと柱部8a、8aとを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に配置している。但し、これら各透孔7a、7aと各柱部8a、8aとの境界を、それぞれ軸方向に対し同方向に同角度だけ傾斜した直線状としている。又、使用時に於ける、上記被検出面の下端部の位置を、この被検出面の円周方向に関するθ=0度の位置とした場合に、この被検出面のθ=0度の位置(下端部)とθ=180度の位置(上端部)とに、1対のセンサ6a1 、6a2 の検出部を近接対向させている。そして、この状態で、これら両センサ6a1 、6a2 を、外輪1の内端部に結合固定したカバー5の内周面に支持固定している。
自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、上記外輪1とハブ2との間に加わるアキシアル荷重Fyは、このハブ2に結合固定した車輪(タイヤ)の外周面と路面との接地面から入力される。この接地面は、上記外輪1及びハブ2の回転中心よりも径方向外方に存在する為、上記アキシアル荷重Fyはこれら外輪1とハブ2との間に、純アキシアル荷重としてではなく、これら外輪1及びハブ2の中心軸と上記接地面の中心とを含む(鉛直方向の)仮想平面内での、モーメントを伴って加わる。そして、このモーメントの大きさは、上記接地面から入力されるアキシアル荷重Fyの大きさに比例する。そこで、このモーメントを求めれば、このアキシアル荷重Fyを求められる事になる。一方、上記ハブ2にモーメントが加わると、上記エンコーダ4aの上端部が、軸方向に関して何れかの方向に、同じく下端部がこれと逆方向に、それぞれ変位する。この結果、上記エンコーダ4aの外周面の上下両端部にそれぞれの検出部を近接対向させた、上記両センサ6a1 、6a2 の検出信号の位相が、それぞれ中立位置に対して、逆方向にずれる。そこで、これら両センサ6a1 、6a2 の検出信号の位相のずれの向き及び大きさに基づいて、上記アキシアル荷重Fyの向き及び大きさを求められる。
次に、図11〜14は、特願2005−125029に開示された、状態量測定装置付転がり軸受ユニットに関する、先発明の構造の第3〜4例を示している。これら先発明の構造の第3〜4例で使用するエンコーダ4bも、前述した先発明の構造の第1例で使用するエンコーダ4の場合と同様、被検出面である外周面の軸方向両半部に、第一、第二の特性変化部9、10を有する。但し、これら先発明の構造の第3〜4例で使用するエンコーダ4bの場合には、上記第一の特性変化部9を構成する透孔7a、7aと、上記第二の特性変化部10を構成する透孔7b、7bとを、互いに独立させて形成している。そして、これら先発明の構造の第3〜4例の場合には何れも、使用時に於ける、上記エンコーダ4bの被検出面の下端部の位置を、この被検出面の円周方向に関するθ=0度の位置とした場合に、上記第一、第二の特性変化部9、10のθ=0度の位置に、第一、第二のセンサ6a1 、6a2 の検出部を、上記第二の特性変化部10のθ=270度(θ=−90度)の位置に、第三のセンサ6a3 の検出部を、それぞれ近接対向させている。更に、図13〜14に示した先発明の構造の第4例の場合には、上記第二の特性変化部10のθ=90度の位置に、第四のセンサ6a4 の検出部を近接対向させている。詳しい説明は省略するが、この様な先発明の構造の第3〜4例によれば、上記各センサ6a1 〜6a4 を支持した外輪1(図6参照)と、上記エンコーダ4bを支持したハブ2(図6参照)との相対変位により生じる、上記各センサ6a1 〜6a4 の出力信号同士の間の位相差に基づいて、アキシアル方向の変位及び荷重Fyだけでなく、ラジアル方向の変位及び荷重Fzも求められる。
次に、図15〜17は、特願2006−214194に開示された、状態量測定装置付転がり軸受ユニットに関する、先発明の構造の第5例を示している。この先発明の第5例の場合には、使用時に於ける、エンコーダ4の被検出面の下端部の位置を、この被検出面の円周方向に関するθ=0度の位置とした場合に、この被検出面の軸方向両半部に設けた第一、第二の両特性変化部9、10のθ=0度の位置と、θ=120度の位置と、θ=240度の位置とに、それぞれ1対ずつ、合計6個のセンサ(6a1 、6a2 )、(6a3 、6a4 )、(6a5 、6a6 )の検出部を近接対向させている。詳しい説明は省略するが、この様な先発明の構造の第5例によれば、外輪1とハブ2との相対変位により生じる、上記6個のセンサ6a1 〜6a6 の出力信号同士の間の位相差に基づいて、アキシアル方向(y方向)の変位及び荷重、並びに、ラジアル方向(x方向、z方向等)の変位及び荷重だけでなく、傾斜角度(φx 、φz 等)及びモーメント(Mx 、Mz 等)も求められる。
次に、図18〜19は、特願2006−017091に開示された、状態量測定装置付転がり軸受ユニットに関する、先発明の構造の第6例を示している。この先発明の構造の第6例の場合、磁性金属板製のエンコーダ4cとして、被検出面である外周面に設けた各透孔7c、7cと各柱部8c、8cとの境界が、軸方向に対して平行であるものを使用している。そして、使用時に於ける、上記エンコーダ4cの被検出面の下端部の位置を、この被検出面の円周方向に関するθ=0度の位置とした場合に、この被検出面のθ=0度の位置と、θ=90度の位置と、θ=180度の位置と、θ=270度の位置とに、それぞれ1個ずつ、合計4個のセンサ6a1 〜6a4 の検出部を近接対向させている。この様な先発明の構造の第6例によれば、上記各センサ6a1 〜6a4 を支持した外輪1(図6参照)と、上記エンコーダ4cを支持したハブ2(図6参照)との相対変位により生じる、上記θ=0度の位置と上記θ=180度の位置とに配置した1対のセンサ6a1 、6a3 の出力信号同士の間の位相差と、上記θ=90度の位置と上記θ=270度の位置とに配置した1対のセンサ6a2 、6a4 の出力信号同士の間の位相差とに基づいて、ラジアル変位及びラジアル荷重の向き及び大きさを求められる。
尚、上述した各先発明の構造の場合、自動車の運転時には、外輪1とハブ2との間に外力が作用する(これら外輪1とハブ2とが各部の弾性変形により相対変位する)事に伴い、エンコーダ4(4a、4b、4c)の被検出面とセンサ6a1 (6a2 〜6a6 )の検出部とが、この被検出面の幅方向に関して相対変位する他、互いに遠近動する方向にも相対変位する。この為、この様な互いに遠近動する方向の相対変位が生じた場合にも、上記被検出面と上記検出部とが干渉しない様にすべく、上記外輪1とハブ2との間に外力が作用していない中立状態で、上記被検出面と上記検出部との間に、十分な間隔をあけておく必要がある。但し、上述した各先発明の構造の場合には、この様な要求に応えるのと同時に、状態量(変位、荷重等)の測定精度が悪化するのを防止すべく、中立状態での上記被検出面と上記検出部との間隔を、極力狭くする必要がある。この理由に就いて、図20〜21を参照しつつ説明する。
図20〜21の(A)の実線α1 (及び鎖線β1 )は、上記エンコーダ4(4a、4b、4c)の回転時に、上記センサ6a1 (6a2 〜6a6 )の検出部を通過する磁束の密度(磁束密度)を示している。この磁束密度α1 (及びβ1 )の振幅は、上記被検出面と上記検出部との間隔が狭くなる程、図20の(A)に示す様に大きくなり、この間隔が広くなる程、図21の(A)に示す様に小さくなる。一方、図20〜21の(B)の実線α2 (及び鎖線β2 )は、上記センサ6a1 (6a2 〜6a6 )の出力信号を示している。この出力信号α2 (及びβ2 )は、スレッシュレベルSに所定のヒステリシス幅Wを設けたシュミットトリガ回路により、上記磁束密度α1 (及びβ1 )を、高電位、低電位の2値信号に変換して成るものである。尚、上記ヒステリシス幅Wは、上記磁束密度α1 (及びβ1 )の誤検出を防止する為に設けられている。
又、上述した各先発明の構造の場合、自動車の運転時に、上記被検出面と上記検出部とが互いに遠近動する方向に相対変位する事に伴い、図20〜21に示す様に、磁束密度の振幅がα1 →β1 に(又はβ1 →α1 に)変化し、これに伴って出力信号がα2 →β2 に(又はβ2 →α2 に)変化する。この際に、上述した図20の場合には、上記両出力信号α2 、β2 同士の間で、位相のずれが殆ど生じない。この理由は、上述した図20の場合、上記両磁束密度α1 、β1 の振幅が大きい為、これら両磁束密度α1 、β1 同士の間に多少の振幅差が生じても、これら両磁束密度α1 、β1 を表す曲線が、上記ヒステリシス幅W部分で殆ど一致した状態になる(曲線がヒステリシス幅W部分を横切る角度が直角に近くなる)為である。これに対し、上述した図21の場合には、上記両出力信号α2 、β2 同士の間で、若干の位相のずれ(誤差)が生じる。この理由は、上述した図21の場合、上記両磁束密度α1 、β1 の振幅が小さい為、これら両磁束密度α1 、β1 同士の間に多少でも振幅差が生じると、これら両磁束密度α1 、β1 を表す曲線同士の間に、上記ヒステリシス幅W部分で若干のずれが生じる為である。
又、上述した各先発明の構造の場合、上記被検出面と上記検出部とが、この被検出面の幅方向に関して相対変位する場合にのみ、上記センサ6a1 (6a2 〜6a6 )の出力信号の位相がずれる事を前提として、上記状態量の算出を行なっている。この為、上記被検出面と上記検出部とが互いに遠近動する方向に相対変位した場合にも、上記図21に示す様に出力信号の位相のずれ(誤差)が生じると、その分だけ、上記状態量の測定精度が悪化する。従って、この様な理由で状態量の測定精度が悪化するのを防止する為には、上記被検出面と上記検出部とが互いに遠近動する方向に相対変位した場合にも、上記図20に示す様に出力信号の位相のずれが生じない様にすべく、中立状態での上記被検出面と上記検出部との間隔を(各センサの検出部とエンコーダの被検出面とが干渉しない範囲で)極力小さくする必要がある。
一方、上述した各先発明の構造の様に、エンコーダ4(4a、4b、4c)の被検出面に複数個のセンサ6a1 〜6a6 の検出部を対向させる構造の場合には、通常、中立状態で、これら各検出部を、上記被検出面と同心の円周上に配置する。即ち、これら各検出部をこの被検出面に対し、それぞれ等しい間隔で対向させる。ところが、この様な構成を採用すると、次の様な改善すべき問題が生じる。
即ち、上述した各先発明の構造を構成する、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、自動車の運転時に、外輪1とハブ2との間に作用する外力の大きさ(これら外輪1とハブ2との相対変位量)は、全方向で均一にならずに、ばらつく。この為、上記ハブ2の内端部に支持固定したエンコーダ4(4a、4b、4c)の径方向に関する変位量{このエンコーダ4(4a、4b、4c)の被検出面と上記各センサ6a1 〜6a6 の検出部との間隔の減少量}も、全方向で(これら全間隔で)均一にはならずに、ばらつく。従って、中立状態で、上記各検出部を上記被検出面に対し、それぞれ等しい間隔で対向させると、この間隔の減少量の少ないセンサ部分で、この間隔が無駄に(センサとエンコーダとの干渉防止の為に必要とする以上に)広くなり、その分だけ、状態量の測定精度が低くなる。
特開2006−113017号公報 青山元男著、「レッドバッジスーパー図解シリーズ/クルマの最新メカがわかる本」、p.138−139、p.146−149、株式会社三推社/株式会社講談社、平成13年12月20日
本発明の状態量測定装置付転がり軸受ユニットは、上述の様な事情に鑑みて、エンコーダの被検出面のうち互いに異なる部分に、複数個のセンサの検出部を対向させる構造を対象として、状態量の測定精度の向上を図れる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の状態量測定装置付転がり軸受ユニットは、転がり軸受ユニットと、状態量測定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、回転側周面に回転側軌道を有し、使用状態で回転する回転側軌道輪と、上記静止側軌道と上記回転側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備える。
又、上記状態量測定装置は、エンコーダと、センサ装置と、演算器とを備える。
このうちのエンコーダは、上記回転側軌道輪の一部に直接又は他の部材を介して支持固定されると共に、周面に上記回転側軌道輪と同心の被検出面を有し、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたものである。
又、上記センサ装置は、使用時にも回転しない部分に支持されると共に、複数個のセンサを備える。そして、これら各センサはそれぞれ、検出部を上記被検出面のうち互いに異なる部分に対向させており、且つ、この被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させる。
又、上記演算器は、上記各センサの出力信号に関する情報に基づいて、上記転がり軸受ユニットの状態量を算出する機能を有する。
特に、本発明の状態量測定装置付転がり軸受ユニットに於いては、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に荷重が作用していない(これら両軌道輪が相対変位していない)、中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を均一にする事なく、これら各間隔同士の間に、使用時のこれら各間隔の減少量に対応した大小関係を与えている。そして、この大小関係を設定する事により、上記各センサの検出部と上記エンコーダの被検出面とが最も近付いた状態での、上記間隔が、上記各センサ毎にほぼ一致する様にしている。
この様な本発明の状態量測定装置付転がり軸受ユニットを実施する場合には、例えば請求項2に記載した構成を採用する事ができる。この請求項2に記載した構成を採用する場合には、エンコーダとして、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この被検出面の特性が円周方向に関して変化する位相若しくはピッチを、少なくともこの被検出面の幅方向一部分で、この幅方向に関して連続的に変化させたものを使用する。これと共に、演算器として、センサ装置を構成する各センサの出力信号に関する情報に基づいて、静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位量と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の状態量を算出する機能を有するものを使用する。
又、この様な請求項2に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した構成を採用する事ができる。この請求項3に記載した構成を採用する場合には、エンコーダとして、被検出面のうち、この被検出面の幅方向に関して互いに外れた2個所位置に第一、第二の特性変化部を有し、これら両特性変化部の特性を円周方向に関して交互に且つ互いに同じピッチで変化させると共に、これら両特性変化部のうちの少なくとも一方の特性変化部の特性変化の位相を上記幅方向に関し、他方の特性変化部と異なる状態で漸次変化させたものを使用する。又、センサ装置として、少なくとも、それぞれの検出部を上記両特性変化部に対向させた1対のセンサを備えたものを使用する。更に、演算器として、センサ装置を構成する各センサの出力信号に関する情報として、少なくとも上記1対のセンサの出力信号同士の間の位相差を利用して、状態量を算出するものを使用する。
又、上述の様な請求項2に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項4に記載した構成を採用する事もできる。この請求項4に記載した構成を実施する場合には、エンコーダとして、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この被検出面の特性が円周方向に関して変化するピッチを、この被検出面の幅方向に関して連続的に変化させたものを使用する。又、演算器として、センサ装置を構成する各センサの出力信号に関する情報として、少なくとも1個のセンサの出力信号のデューティ比を利用し、状態量を算出するものを使用する。
又、上述の様な請求項1〜4に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項5〜9に記載した構成を採用する。これら請求項5〜9に記載した構成を採用する場合には、エンコーダの被検出面を、このエンコーダの外周面に設ける。そして、この被検出面の中心軸を中心とする角度をθとすると共に、使用時のこの被検出面の下端部の位置をθ=0度の位置とする。
そして、上記請求項5〜9のうち、請求項5に記載した構成を採用する場合には、センサ装置として、上記被検出面のθ=0度の位置と、θ=180度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させる。そして、上記中立状態での上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=180度の位置でδ180 とした場合に、δ0 <δ180 とする。
又、同じく上記請求項6に記載した構成を採用する場合には、センサ装置として、上記被検出面のθ=0度の位置と、同じくθ=90度の位置とθ=270度の位置とのうちの少なくとも一方の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させる。そして、上記中立状態での上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=90度の位置でδ90とし、上記θ=270度の位置でδ270 とした場合に、δ90=δ270 <δ0 とする。
又、同じく上記請求項7に記載した構成を採用する場合には、センサ装置として、上記被検出面のθ=0度の位置と、θ=120度の位置と、θ=240度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させる。そして、上記中立状態での上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=120度の位置でδ120 とし、上記θ=240度の位置でδ240 とした場合に、δ0 <δ120 =δ240 とする。
又、同じく上記請求項8に記載した構成を採用する場合には、センサ装置として、上記被検出面のθ=60度の位置と、θ=180度の位置と、θ=300度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させる。そして、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=60度の位置でδ60とし、上記θ=180度の位置でδ180 とし、上記θ=300度の位置でδ300 とした場合に、δ60=δ300 <δ180 とする。
又、同じく上記請求項9に記載した構成を採用する場合には、センサ装置として、上記被検出面のθ=0度の位置と、θ=90度の位置と、θ=180度の位置と、θ=270度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させる。そして、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=90度の位置でδ90とし、上記θ=180度の位置でδ180 とし、上記θ=270度の位置でδ270 とした場合に、δ90=δ270 <δ0 <δ180 とする。
又、上述の請求項1〜9に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項10に記載した様に、転がり軸受ユニットを、自動車の車輪支持用ハブユニットとする。そして、使用状態で静止側軌道輪を自動車の懸架装置に支持し、回転側軌道輪であるハブに車輪を結合固定する。更に、エンコーダを、このハブの軸方向内端部に支持固定する。
上述の様に構成する本発明の状態量測定装置付転がり軸受ユニットの場合には、中立状態での、エンコーダの被検出面と各センサの検出部との間隔が、それぞれ過度に広くなる事を防止できる。即ち、これら各間隔を、それぞれ十分に狭くできる。この為、これら各センサの出力信号の振幅を十分に大きくできる。従って、運転時に静止側軌道輪と回転側軌道輪とが相対変位する事に伴い、上記各間隔が多少変化した場合にも、上記各センサの出力信号の位相がずれる事を有効に防止できる。この結果、状態量の測定精度が悪化する事を防止できる。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1、2、3、5、10に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、中立状態での、エンコーダ4aの被検出面(外周面)と各センサ6a1 、6a2 の検出部との間隔を、それぞれ所定の条件に基づいて規制する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9に示した先発明の構造の第2例の場合と同様である為、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
前述した様に、本例の状態量測定装置付転がり軸受ユニットを構成する、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、自動車の運転時に、外輪1とハブ2(図9参照)との間に外力が作用する程度(これら外輪1とハブ2との相対変位量)は、全方向で均一にならずに、ばらつく(外力の作用方向により、この外力の大きさが異なる)。この為、このハブ2の内端部に支持固定した上記エンコーダ4aの径方向変位量も、全方向で均一にならずに、ばらつく(周方向に関して、径方向に関する最大変位量が異なる)。下記の表1は、このばらつきの傾向を調べる為に、本発明者が、一般的な乗用車用の車輪支持用転がり軸受ユニットを対象として行なった、シミュレーションの結果を示している。尚、この表1中、Fyは、上記ハブ1に作用するアキシアル荷重(y軸方向荷重)を、Fzは、同じく上下方向のラジアル荷重(z軸方向荷重)を、Fxは、同じく前後方向のラジアル荷重(x軸方向荷重)を、zは、中立状態での位置を基準とする、上記エンコーダ4aの上下方向変位を、xは、同じく前後方向変位を、それぞれ示している。
Figure 0004899722
この表1に示す様に、自動車の運転時に、上記エンコーダ4aの上下方向変位zは、−0.063mm〜+0.209mmの範囲で変化し、同じく前後方向変位xは、−0.020mm〜+0.020mmの範囲で変化する。
これらの結果を分析すると、先ず、上記上下方向変位z(−0.063mm〜+0.209mm)は、上記前後方向変位x(−0.020mm〜+0.020mm)に比べて、より広い範囲で変化する。この理由は、次の通りである。即ち、自動車の運転時に、上記ハブ2には、上記アキシアル荷重Fy及びラジアル荷重Fzに起因する、x軸周りのモーメントMxが作用する。このモーメントMxは、上記ハブ2の中心軸を上記外輪1の中心軸に対し、上記上下方向変位zを生じさせる向きに傾斜させる。又、自動車の運転時に、上記ハブ2には、上記ラジアル荷重Fxに起因する、z軸周りのモーメントMzも作用する。このモーメントMzは、上記ハブ2の中心軸を上記外輪1の中心軸に対し、上記前後方向変位xを生じさせる向き傾斜させる。一方、自動車の運転時に、上記上下方向変位zを生じさせるモーメントMxは、上記前後方向変位xを生じさせるモーメントMzよりも大きくなる。この為、上記上下方向変位z(−0.063mm〜+0.209mm)は、上記前後方向変位x(−0.020mm〜+0.020mm)に比べて、より広い範囲で変化する。
又、上記結果を更に分析すると、上記上下方向変位z(−0.063mm〜+0.209mm)は、上向き(+z方向)の上下方向変位z(0.209mm)の方が、下向き(−z方向)の上下方向変位z(0.063mm)よりも大きくなる。この理由は、次の通りである。即ち、上記上下方向変位zの向き及び大きさは、上記モーメントMxの向き及び大きさの影響を受けて変化するが、このモーメントMxの向き及び大きさは、上記アキシアル荷重Fyの向き及び大きさの影響を受けて変化する。この為、上記上下方向変位zの向き及び大きさは、上記アキシアル荷重Fyの向き及び大きさの影響を受けて変化する。具体的には、+y方向のアキシアル荷重Fyは、上向きの上下方向変位zを生じさせるべく作用し、−y方向のアキシアル荷重Fyは、下向きの上下方向変位zを生じさせるべく作用する。又、+y方向のアキシアル荷重Fyは、自動車の旋回走行時に、旋回外側車輪を支持するハブ2に作用し、−y方向のアキシアル荷重Fyは、同じく、旋回内側車輪を支持するハブ2に作用する。但し、この場合に、旋回外側車輪の路面反力(∝+y方向のアキシアル荷重Fy)は、旋回内側車輪の路面反力(∝−y方向のアキシアル荷重Fy)に比べて大きくなる為、+y方向のアキシアル荷重Fyは、−y方向のアキシアル荷重Fyに比べて大きくなる。従って、上記上下方向変位z(−0.063mm〜+0.209mm)は、上向きの上下方向変位z(0.209mm)の方が、下向きの上下方向変位z(0.063mm)よりも大きくなる。
又、本例の場合、中立状態での、上記エンコーダ4aの被検出面とθ=0度の位置のセンサ6a1 の検出部との間隔をδ0 とすると、上記下向きの上下方向変位z(0.063mm)は、運転時に於ける、上記間隔δ0 の減少量となる。又、中立状態での、上記被検出面とθ=180度の位置のセンサ6a2 の検出部との間隔をδ180 とすると、上記上向きの上下方向変位z(0.209mm)は、運転時に於ける、上記間隔δ180 の減少量となる。従って、本例の場合、運転時に於ける、この間隔δ180 の減少量(0.209mm)は、上記間隔δ0 の減少量(0.063mm)よりも大きくなる。そこで、本例の場合には、これら各間隔δ0 、δ180 同士の間に、これら各間隔δ0 、δ180 の減少量(0.063mm、0.209mm)に対応した大小関係δ0 <δ180 を与えている。そして、各センサ6a1 、6a2 の検出部と上記エンコーダ4aの被検出面とが最も接近した状態での間隔が、上記各センサ6a1 、6a2 同士の間でほぼ等しくなる様にしている。
この為に具体的には、上記各間隔δ0 、δ180 を、これら各間隔δ0 、δ180 の減少量(0.063mm、0.209mm)よりもそれぞれ同量(Xmm)だけ大きい値{δ0 =(0.063+X)mm、δ180 =(0.209+X)mm}にしている。或は、結果は同じになるが、先ず、上述した実験結果に基づき、運転時に於ける、上記エンコーダ4aの被検出面の径方向の変位範囲を求めた後、この変位範囲の外周縁よりも一回り大きい(この外周縁の法線方向の幅にして上記Xmmだけ大きい)相似形の閉曲線Cを設定し、この閉曲線C上に、それぞれ上記各センサ6a1 、6a2 の検出部を配置している。尚、本例を実施する場合、上記Xmmは、運転時に於ける上記被検出面と上記各検出部との干渉防止(安全面)を考慮しつつ、極力小さい値(例えば、0.数mm〜数mm程度)にする。
上述の様に構成する本例の状態量測定装置付転がり軸受ユニットの場合には、中立状態での、エンコーダ4aの被検出面と各センサ6a1 、6a2 の検出部との間隔δ0 、δ180 が、それぞれ無駄に(これら被検出面と検出部との干渉防止の為に必要以上に)広くなる事を防止できる。即ち、これら各間隔δ0 、δ180 を、それぞれ十分に狭くできる。この為、これら各センサ6a1 、6a2 の出力信号の振幅を十分に大きくできる。従って、運転時に外輪1とハブ2とが相対変位する事に伴い、上記各間隔δ0 、δ180 が変化した場合にも、上記各センサ6a1 、6a2 の出力信号の位相がずれる事を有効に防止できる。この結果、状態量の測定精度が悪化する事を防止できる。
[実施の形態の第2例]
次に、図2は、請求項1、2、3、6、10に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。尚、本例の特徴は、中立状態での、エンコーダ4bの被検出面(外周面)と各センサ6a1 〜6a4 の検出部との間隔を、それぞれ所定の条件に基づいて規制する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図13に示した先発明の構造の第4例の場合と同様である為、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合も、上述した実施の形態の第1例の場合と同様の手法で、中立状態での、上記被検出面とθ=0度の位置に存在する各センサ6a1 、6a2 の検出部との間隔δ0 と、この被検出面とθ=90度の位置に存在するセンサ6a4 の検出部との間隔δ90と、この被検出面とθ=270度の位置に存在するセンサ6a3 の検出部との間隔δ270 との間に、運転時に於ける、これら各間隔δ0 、δ90、δ270 の減少量に対応した、大小関係δ90=δ270 <δ0 を与えている(上記各検出部を、それぞれ閉曲線C上に配置している)。
この様に構成する本例の状態量測定装置付転がり軸受ユニットの場合も、中立状態での、エンコーダ4bの被検出面と各センサ6a1 〜6a4 の検出部との間隔δ0 、δ90、δ270 が、それぞれ無駄に広くなる事を防止できる。即ち、これら各間隔δ0 、δ90、δ270 を、それぞれ十分に狭くできる。この為、これら各センサ6a1 〜6a4 の出力信号の振幅を十分に大きくできる。従って、運転時に外輪1とハブ2とが相対変位する事に伴い、上記各間隔δ0 、δ90、δ270 が変化した場合にも、上記各センサ6a1 〜6a4 の出力信号の位相がずれる事を有効に防止できる。この結果、状態量の測定精度が悪化する事を防止できる。
[実施の形態の第3例]
次に、図3は、請求項1、2、3、7、10に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。尚、本例の特徴は、中立状態での、エンコーダ4の被検出面(外周面)と各センサ6a1 〜6a6 の検出部との間隔を、それぞれ所定の条件に基づいて規制する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図15〜16に示した先発明の構造の第5例の場合と同様である為、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合も、前述の図1に示した実施の形態の第1例の場合と同様の手法で、中立状態での、上記被検出面とθ=0度の位置に存在する各センサ6a1 、6a2 の検出部との間隔δ0 と、この被検出面とθ=120度の位置に存在する各センサ6a3 、6a4 の検出部との間隔δ120 と、この被検出面とθ=240度の位置に存在する各センサ6a5 、6a6 の検出部との間隔δ240 との間に、運転時に於ける、これら各間隔δ0 、δ120 、δ240 の減少量に対応した、大小関係δ0 <δ120 =δ240 を与えている(上記各検出部を、それぞれ閉曲線C上に配置している)。
この様に構成する本例の状態量測定装置付転がり軸受ユニットの場合も、中立状態での、エンコーダ4の被検出面と各センサ6a1 〜6a6 の検出部との間隔δ0 、δ120 、δ240 が、それぞれ無駄に広くなる事を防止できる。即ち、これら各間隔δ0 、δ120 、δ240 を、それぞれ十分に狭くできる。この為、これら各センサ6a1 〜6a6 の出力信号の振幅を十分に大きくできる。従って、運転時に外輪1とハブ2とが相対変位する事に伴い、上記各間隔δ0 、δ120 、δ240 が変化した場合にも、上記各センサ6a1 〜6a6 の出力信号の位相がずれる事を有効に防止できる。この結果、状態量の測定精度が悪化する事を防止できる。
[実施の形態の第4例]
次に、図4は、請求項1、2、3、8、10に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。尚、本例の特徴は、中立状態での、エンコーダ4の被検出面(外周面)と各センサ6a1 〜6a6 の検出部との間隔を、それぞれ所定の条件に基づいて規制する点にある。その他の部分の構造及び作用は、それぞれが1対のセンサ(6a1 、6a2 )、(6a1 、6a2 )、(6a1 、6a2 )から成る、3つのセンサ組の使用状態での配置個所を、θ=60度、180度、300度の3個所に変更した点以外、前述の図15〜16に示した先発明の構造の第5例の場合と同様である。この為、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合も、前述の図1に示した実施の形態の第1例の場合と同様の手法で、中立状態での、上記被検出面とθ=60度の位置に存在する各センサ6a1 、6a2 の検出部との間隔δ60と、この被検出面とθ=180度の位置に存在する各センサ6a3 、6a4 の検出部との間隔δ180 と、この被検出面とθ=300度の位置に存在する各センサ6a5 、6a6 の検出部との間隔δ300 との間に、運転時に於ける、これら各間隔δ60、δ180 、δ300 の減少量に対応した、大小関係δ60=δ300 <δ180 を与えている(上記各検出部を、それぞれ閉曲線C上に配置している)。
この様に構成する本例の状態量測定装置付転がり軸受ユニットの場合も、中立状態での、エンコーダ4の被検出面と各センサ6a1 〜6a6 の検出部との間隔δ60、δ180 、δ300 が、それぞれ無駄に広くなる事を防止できる。即ち、これら各間隔δ60、δ180 、δ300 を、それぞれ十分に狭くできる。この為、これら各センサ6a1 〜6a6 の出力信号の振幅を十分に大きくできる。従って、運転時に外輪1とハブ2とが相対変位する事に伴い、上記各間隔δ60、δ180 、δ300 が変化した場合にも、上記各センサ6a1 〜6a6 の出力信号の位相がずれる事を有効に防止できる。この結果、状態量の測定精度が悪化する事を防止できる。
[実施の形態の第5例]
次に、図5は、請求項1、2、3、9、10に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。尚、本例の特徴は、中立状態での、エンコーダ4cの被検出面(外周面)と各センサ6a1 〜6a4 の検出部との間隔を、それぞれ所定の条件に基づいて規制する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図18に示した先発明の構造の第6例の場合と同様である為、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合も、前述の図1に示した実施の形態の第1例の場合と同様の手法で、中立状態での、上記被検出面とθ=0度の位置に存在するセンサ6a1 の検出部との間隔δ0 と、この被検出面とθ=90度の位置に存在する各センサ6a2 の検出部との間隔δ90と、この被検出面とθ=180度の位置に存在する各センサ6a3 の検出部との間隔δ180 と、この被検出面とθ=270度の位置に存在する各センサ6a4 の検出部との間隔δ270 との間に、運転時に於ける、これら各間隔δ0 、δ90、δ180 、δ270 の減少量に対応した、大小関係δ90=δ270 <δ0 <δ180 を与えている(上記各検出部を、それぞれ閉曲線C上に配置している)。
この様に構成する本例の状態量測定装置付転がり軸受ユニットの場合も、中立状態での、エンコーダ4の被検出面と各センサ6a1 〜6a4 の検出部との間隔δ0 、δ90、δ180 、δ270 が、それぞれ無駄に広くなる事を防止できる。即ち、これら各間隔δ0 、δ90、δ180 、δ270 を、それぞれ十分に狭くできる。この為、これら各センサ6a1 〜6a4 の出力信号の振幅を十分に大きくできる。従って、運転時に外輪1とハブ2とが相対変位する事に伴い、上記各間隔δ0 、δ90、δ180 、δ270 が変化した場合にも、上記各センサ6a1 〜6a4 の出力信号の位相がずれる事を有効に防止できる。この結果、状態量の測定精度が悪化する事を防止できる。
尚、本発明は、運転時に於ける、エンコーダの被検出面と各センサの検出部との間隔の減少量を把握できれば、対象となる構造に含まれるセンサの個数や、これら各センサの配置個所θが、上述した各実施の形態の場合と異なっていても、適宜実施可能である。
本発明の実施の形態の第1例を示す、中立状態でのエンコーダとセンサとの位置関係を示す模式図。 同第2例を示す、図1と同様の図。 同第3例を示す、図1と同様の図。 同第4例を示す、図1と同様の図。 同第5例を示す、図1と同様の図。 先発明の構造の第1例を示す断面図。 この第1例に組み込むエンコーダの被検出面の一部を径方向外方から見た図。 アキシアル荷重に基づいて1対のセンサの出力信号が変化する状態を説明する為の線図。 先発明の構造の第2例を示す断面図。 この第2例の、中立状態でのエンコーダとセンサとの位置関係を示す模式図。 先発明の構造の第3例を示す、エンコーダ及びセンサの斜視図。 この第3例の、中立状態でのエンコーダとセンサとの位置関係を示す模式図。 先発明の構造の第4例を示す、エンコーダ及びセンサの斜視図。 この第4例の、中立状態でのエンコーダとセンサとの位置関係を示す模式図。 先発明の構造の第5例を示す断面図。 この第5例を示す模式図。 この第5例の、中立状態でのエンコーダとセンサとの位置関係を示す模式図。 先発明の構造の第6例を示す、エンコーダ及びセンサの部分断面図。 この第6例の、中立状態でのエンコーダとセンサとの位置関係を示す模式図。 エンコーダの被検出面とセンサの検出部との間隔が比較的狭い場合に於ける、このセンサの検出部を通過する磁束の密度(磁束密度)と、このセンサの出力信号との関係を示す図。 エンコーダの被検出面とセンサの検出部との間隔が比較的広い場合に於ける、このセンサの検出部を通過する磁束の密度(磁束密度)と、このセンサの出力信号との関係を示す図。
符号の説明
1 外輪
2 ハブ
3 転動体
4、4a〜4c エンコーダ
5 カバー
6a1 〜6a6 センサ
7、7a〜7c 透孔
8、8a〜8c 柱部
9 第一の特性変化部
10 第二の特性変化部

Claims (10)

  1. 転がり軸受ユニットと、状態量測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、回転側周面に回転側軌道を有し、使用状態で回転する回転側軌道輪と、上記静止側軌道と上記回転側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記状態量測定装置は、エンコーダと、センサ装置と、演算器とを備え、
    このうちのエンコーダは、上記回転側軌道輪の一部に直接又は他の部材を介して支持固定されると共に、周面に上記回転側軌道輪と同心の被検出面を有し、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたものであり、
    上記センサ装置は、使用時にも回転しない部分に支持されると共に、複数個のセンサを備え、これら各センサはそれぞれ、検出部を上記被検出面のうち互いに異なる部分に対向させており、且つ、この被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させるものであり、
    上記演算器は、上記各センサの出力信号に関する情報に基づいて、上記転がり軸受ユニットの状態量を算出する機能を有するものである、
    状態量測定装置付転がり軸受ユニットに於いて、
    上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を均一にする事なく、これら各間隔同士の間に、使用時のこれら各間隔の減少量に対応した大小関係を与えた事を特徴とする状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  2. エンコーダが、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この被検出面の特性が円周方向に関して変化する位相若しくはピッチを、少なくともこの被検出面の幅方向一部分で、この幅方向に関して連続的に変化させたものであり、
    演算器が、センサ装置を構成する各センサの出力信号に関する情報に基づいて、静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位量と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の状態量を算出する機能を有するものである、請求項1に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  3. エンコーダが、被検出面のうち、この被検出面の幅方向に関して互いに外れた2個所位置に第一、第二の特性変化部を有し、これら両特性変化部の特性を円周方向に関して交互に且つ互いに同じピッチで変化させると共に、これら両特性変化部のうちの少なくとも一方の特性変化部の特性変化の位相を上記幅方向に関し、他方の特性変化部と異なる状態で漸次変化させたものであり、
    センサ装置は、少なくとも、それぞれの検出部を上記両特性変化部に対向させた1対のセンサを備えており、
    演算器は、センサ装置を構成する各センサの出力信号に関する情報として、少なくとも上記1対のセンサの出力信号同士の間の位相差を利用して、状態量を算出する、請求項2に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  4. エンコーダが、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この被検出面の特性が円周方向に関して変化するピッチを、この被検出面の幅方向に関して連続的に変化させたものであり、
    演算器は、センサ装置を構成する各センサの出力信号に関する情報として、少なくとも1個のセンサの出力信号のデューティ比を利用して、状態量を算出する、請求項2に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  5. エンコーダの被検出面がこのエンコーダの外周面に設けられており、この被検出面の中心軸を中心とする角度をθとすると共に、使用時のこの被検出面の下端部の位置をθ=0度の位置とした場合に、センサ装置は、この被検出面のθ=0度の位置と、θ=180度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させており、且つ、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=180度の位置でδ180 とした場合に、δ0 <δ180 としている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  6. エンコーダの被検出面がこのエンコーダの外周面に設けられており、この被検出面の中心軸を中心とする角度をθとすると共に、使用時のこの被検出面の下端部の位置をθ=0度の位置とした場合に、センサ装置は、この被検出面のθ=0度の位置と、同じくθ=90度の位置とθ=270度の位置とのうちの少なくとも一方の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させており、且つ、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=90度の位置でδ90とし、上記θ=270度の位置でδ270 とした場合に、δ90=δ270 <δ0 としている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  7. エンコーダの被検出面がこのエンコーダの外周面に設けられており、この被検出面の中心軸を中心とする角度をθとすると共に、使用時のこの被検出面の下端部の位置をθ=0度の位置とした場合に、センサ装置は、この被検出面のθ=0度の位置と、θ=120度の位置と、θ=240度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させており、且つ、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=120度の位置でδ120 とし、上記θ=240度の位置でδ240 とした場合に、δ0 <δ120 =δ240 としている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  8. エンコーダの被検出面がこのエンコーダの外周面に設けられており、この被検出面の中心軸を中心とする角度をθとすると共に、使用時のこの被検出面の下端部の位置をθ=0度の位置とした場合に、センサ装置は、この被検出面のθ=60度の位置と、θ=180度の位置と、θ=300度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させており、且つ、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=60度の位置でδ60とし、上記θ=180度の位置でδ180 とし、上記θ=300度の位置でδ300 とした場合に、δ60=δ300 <δ180 としている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  9. エンコーダの被検出面がこのエンコーダの外周面に設けられており、この被検出面の中心軸を中心とする角度をθとすると共に、使用時のこの被検出面の下端部の位置をθ=0度の位置とした場合に、センサ装置は、この被検出面のθ=0度の位置と、θ=90度の位置と、θ=180度の位置と、θ=270度の位置とに、それぞれ少なくとも1個のセンサの検出部を対向させており、且つ、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に外力が作用していない中立状態での、上記被検出面と上記各検出部との間隔を、上記θ=0度の位置でδ0 とし、上記θ=90度の位置でδ90とし、上記θ=180度の位置でδ180 とし、上記θ=270度の位置でδ270 とした場合に、δ90=δ270 <δ0 <δ180 としている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
  10. 転がり軸受ユニットが、自動車の車輪支持用ハブユニットであって、使用状態で静止側軌道輪が自動車の懸架装置に支持され、回転側軌道輪であるハブに車輪が結合固定されるものであり、エンコーダが、このハブの軸方向内端部に支持固定されている、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載した状態量測定装置付転がり軸受ユニット。
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