[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP4894296B2 - 耐摩耗鋼板 - Google Patents

耐摩耗鋼板 Download PDF

Info

Publication number
JP4894296B2
JP4894296B2 JP2006051826A JP2006051826A JP4894296B2 JP 4894296 B2 JP4894296 B2 JP 4894296B2 JP 2006051826 A JP2006051826 A JP 2006051826A JP 2006051826 A JP2006051826 A JP 2006051826A JP 4894296 B2 JP4894296 B2 JP 4894296B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbide
wear
composite carbide
wear resistance
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006051826A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007231320A (ja
Inventor
稔 諏訪
康宏 室田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2006051826A priority Critical patent/JP4894296B2/ja
Publication of JP2007231320A publication Critical patent/JP2007231320A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4894296B2 publication Critical patent/JP4894296B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

本発明は、建設、土木、鉱山等で使用される、パワーショベル、ブルドーザー、ホッパー、バケット等の産業機械、運搬機器等で、岩石、砂、鉱石等によるアブレッシブ摩耗、すべり摩耗あるいは衝撃摩耗等を受ける部材用として好適な耐摩耗鋼板に関する。
岩石、砂、鉱石等によるアブレッシブ摩耗、すべり摩耗、または衝撃摩耗等を受ける部材には、長寿命化のため、耐摩耗性に優れた鋼材が使用されている。従来から、鋼材の耐摩耗性は、高硬度化することにより、向上することが知られている。このため、耐摩耗性が要求される部材には、Cr、Mo等の合金元素を多量に添加した鋼材に焼入等の熱処理を施し、高硬度化した鋼材が使用されてきた。
例えば、特許文献1には、溶接性の良好な耐摩耗用鋼板の製造方法が提案されている。特許文献1に記載された技術は、C:0.10〜0.19%を含み、Si、Mnを適正量含有し、Ceqを0.35〜0.44に限定した鋼を、熱間圧延後直接焼入れし、あるいは900〜950℃に再加熱したのち焼入れし、300〜500℃で焼戻し、鋼板表面硬さを300HV以上とする耐摩耗用鋼板の製造方法である。
また、特許文献2には、C:0.10〜0.20%を含み、Si、Mn、P、S、N、Alを適正量に調整し、あるいはさらにCu、Ni、Cr、Mo、Bのうちの1種以上を含有する鋼に、熱間圧延後直接焼入れし、あるいは圧延後放冷したのち再加熱し焼入れして、340HB以上の硬さを有し、靭性および溶接低温割れ性の優れた耐摩耗厚鋼板とする技術が提案されている。
また、特許文献3には、C:0.07〜0.17%を含み、Si、Mn、V、B、Alを適正量含有し、あるいはさらにCu、Ni、Cr、Moのうちの1種以上を含有した鋼に、熱間圧延後直ちに焼入れ、あるいは一旦空冷した後に、再加熱し焼入れして、表面硬さを321HB以上で、曲げ加工性に優れた鋼板とする耐摩耗用鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献1〜3に記載された技術は、合金元素を多量に添加して、固溶硬化、変態硬化、析出硬化等を活用して、硬度を顕著に高め耐摩耗性を向上させている。
しかし、近年、要求される耐摩耗性は、より一層厳しさを増しており、単に硬度を高めるという方法では、本質的な耐摩耗性の改善にはなっていないのが現状である。特許文献1〜3に記載された技術におけるように、合金元素を多量に添加して、固溶硬化、変態硬化、析出硬化等を活用して、硬度を顕著に高めた場合には、結果的に溶接性、加工性が低下し、さらに高合金化により製造コストが高騰するという問題があった。このため、顕著な高硬度化を伴うことなく、耐摩耗性を向上させることが要望されていた。
このような要望に対し、例えば、特許文献4には、C:0.10〜0.45%を含み、Si、Mn、P、S、Nを適正量に調整し、さらにTi:0.10〜1.0%を含有し、0.5μm以上の大きさのTiC析出物あるいはTiCとTiN,TiSとの複合析出物を400個/mm以上含み、Ti*が0.05%以上0.4%未満である表面性状に優れた耐摩耗鋼が提案されている。特許文献4に記載された技術によれば、凝固時に粗大なTiCを主体とする析出物を生成させ、顕著な高硬度化を伴うことなく、安価に、耐摩耗性を向上させることができるとしている。
特開昭62−142726号公報 特開昭63−169359号公報 特開平1−142023号公報 特許3089882号公報
最近では、耐摩耗部材の長寿命化や高性能化のため、使用する耐摩耗鋼板には、溶接性、加工性を大幅に低下させることなく、より一層の耐摩耗性の向上が要求されるようになってきた。しかし、例えば、特許文献4に記載の耐摩耗鋼板では、このような最近の耐摩耗性の向上要求を、十分に満足することができないという問題があった。
本発明は、かかる要望に鑑み、溶接性、加工性に優れ、かつ顕著な高硬度化を伴うことなく、耐摩耗性に優れた鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、顕著な高硬度化を伴うことなく、耐摩耗性を向上させるためには、Tiを多量に含有する組成とし、粗大なTi炭化物(TiC)を晶出・析出させることが有効であることを見出した。そして、さらにその効果を高める方策について、鋭意研究を重ねた。その結果、Tiの多量含有に加えて、さらに0.1質量%以上のWと0.05質量%以上のMoとを複合含有させることにより、耐摩耗性が更に著しく向上することを見出した。
TiとWおよびMoの複合含有により、耐摩耗性が著しく向上する機構については現在までのところ十分に明確にはなっていないが、晶出物・析出物の成分分析から、耐摩耗性が顕著に向上する場合には、析出物(TiC)にWとMoが同時に含まれていることが確認されていることから、本発明者らは次のように推定している。すなわち、TiCにWとMoが同時に固溶した複合炭化物を形成することにより、炭化物の特性が変化して、耐摩耗性の向上に顕著に寄与するようになったものと推定している。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.20〜0.50%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.04%以下、Ti:0.2〜1.0%、W:0.1〜4.0%、Mo:0.05〜2.0%、B:0.0003〜0.01%、N:0.01%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、平均粒径:0.5μm以上の、Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物を合計で、400個/mm以上含む組織を有することを特徴とする耐摩耗鋼板。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.1〜10%、Cr:0.1〜3.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を含む組成とすることを特徴とする耐摩耗鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.1%以下を含む組成とすることを特徴とする耐摩耗鋼板。
本発明によれば、溶接性、加工性に優れ、かつ顕著な高硬度化を伴うことなく、従来材に比べて耐摩耗性がさらに向上した耐摩耗鋼板を、容易にしかも安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
まず、本発明の鋼板の組成範囲規定理由について説明する。なお、以下の%表示は、いずれも質量%を示す。
C:0.20〜0.50%
Cは、TiCを主体とする炭化物(析出物)を形成させるために必須の元素である。0.20%未満では、TiCを主体とする炭化物(析出物)を有効に形成することができない。一方、0.50%を超える含有は、過剰な固溶Cが残存するため、高硬度化とともに溶接性、加工性等が低下する。このため、Cは0.20〜0.50%の範囲に規定した。
Si:0.1〜1.0%
Siは、脱酸元素として有効な元素であり、その効果を得るためには、少なくとも0.1%以上の含有を必要とする。また、Siは、鋼に固溶して、固溶強化により高硬度化に寄与する有効な元素であるが、1.0%を超える含有は、延性、靭性を低下させ、さらに介在物量が増加する等の問題を生じる。このため、Siは0.1〜1.0%の範囲に規定した。 なお、好ましくは0.1〜0.5%である。
Mn:0.1〜2.0%
Mnは、焼入性を向上させる有効な元素であり、その効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超える含有は、溶接性を低下させる。このため、Mnは0.1〜2.0%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.5〜1.6%である。
P:0.04%以下
Pは、鋼の延性・靭性を低下させ、鋼板特性に悪影響を及ぼす元素であり、本発明では不可避的不純物として極力低減するのが望ましいが、過度の低減は精錬コストを高騰させる。このような悪影響を及ぼさず、しかも精錬コストの過度の上昇を抑える観点から、Pは0.04%以下に規定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
S:0.04%以下
Sは、熱間延性の低下、常温での延性・靭性の低下をもたらす不純物元素であり、極力低減するのが望ましいが、過度の低減は精錬コストを高騰させる。このため、このような悪影響を及ぼさず、しかも精錬コストの過度の上昇を抑える観点から、Sは0.04%以下に規定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
Ti:0.2〜1.0%
Tiは、本発明において、C、W、Moと共に最も重要な元素であり、安定してTiC、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物、およびTiとWおよびMoの複合炭化物を生成させるために必須の元素である。このような炭化物を形成させて、耐摩耗性を向上させる観点から、0.2%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超えて含有すると、加工性が低下するとともに、材料コストの高騰に繋がる。このため、Tiは0.2〜1.0%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.3〜0.8%である。
W:0.1〜4.0%
Wは、本発明において、C、Ti、Moと共に最も重要な元素であり、Ti、Moと共に複合炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、4.0%を超える多量の含有は、材料コストの高騰を招くとともに、Wが複合炭化物中に固溶できなくなり、耐摩耗性向上効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利になるうえ、溶接性、加工性が低下する。このため、Wは0.1〜4.0%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.2〜3.0%である。
Mo:0.05〜2.0%
Moは、本発明において、C、Ti、Wと共に最も重要な元素であり、Ti、Wと共に複合炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超える含有は、Moが複合炭化物中に固溶できなくなるため、溶接性が低下するとともに、材料コストの高騰に繋がる。このため、Moは0.05〜2.0%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.1〜1.6%である。
B:0.0003〜0.01%
Bは、微量添加で焼入れ性を高める元素であるが、この効果を発揮するためには、0.0003%以上の含有を必要とする。一方、0.01%を超える含有は、溶接性を低下させるとともに、焼入れ性も低下させる。このため、Bは0.0003〜0.01%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.0005〜0.004%である。
N:0.01%以下
Nは、鋼の延性・靭性を低下させる不純物元素であり、極力低減するのが望ましいが、過度の低減は精錬コストの高騰を招く。このため、このような悪影響を及ぼさず、しかも精錬コストの過度の上昇を抑える観点から、Nは0.01%以下に規定した。なお、好ましくは0.006%以下である。
上記した成分が基本成分であるが、必要に応じて、この基本成分に加えてさらに、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.1〜10%、Cr:0.1〜3.0%のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Al:0.1%以下を含有できる。
Cu、Ni、Crはいずれも、鋼の焼入れ性を高める元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上含有できる。
Cuは、焼入性を高める元素であり、目的に応じて硬さを制御するために有効に作用する元素であるが、このような効果を得るためには0.1%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超える含有は、熱間加工性を低下させるとともに、材料コストの高騰を招く。このため、Cuは含有する場合、0.1〜2.0%の範囲に限定することが好ましい。
Niは、焼入性を高めるとともに、低温靭性を向上させる元素であり、このような効果は0.1%以上の含有で顕著となる。一方、10%を超える高価なNiの含有は、材料コストを著しく上昇させる。このため、含有する場合には、Niは0.1〜10%の範囲に限定することが好ましい。
Crは、焼入性を高める元素であり、このような効果を得るためには0.1%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超える含有は、溶接性を低下させるとともに、材料コストの高騰を招く。このため、含有する場合には、Crは0.1〜3.0%の範囲に限定することが好ましい。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸剤として作用するとともに、Nと結合して結晶粒微細化に寄与する元素であり、必要に応じ含有できる。このような効果は、0.01%以上の含有で認められるが、0.1
%を超える多量の含有は、鋼の清浄度を低下させる。このため、Alは含有する場合には、0.1%以下に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、O:0.1%以下、Al:0.01%未満が許容される。
つぎに、本発明の鋼板の組織規定理由について説明する。
本発明の鋼板は、平均粒径:0.5μm以上の、Ti炭化物、TiとMoの複合炭化物、TiとWの複合炭化物およびTiとMoとWの複合炭化物、を合計で、400個/mm以上含む組織を有する。
本発明の鋼板では、Ti炭化物(TiC)、TiとMoの複合炭化物、TiとWの複合炭化物およびTiとMoとWの複合炭化物を主体とする粗大な析出物を多量に生成させることにより、所望の耐摩耗性を確保している。平均粒径が0.5μm未満の微細な析出物では、顕著な耐摩耗性向上効果を期待できない。このため、Ti炭化物(TiC)、TiとMoの複合炭化物、TiとWの複合炭化物およびTiとMoとWの複合炭化物を主体とする析出物の大きさを平均粒径で0.5μm以上とした。なお、炭化物の脱落による耐摩耗性の低下を考慮して、析出物の平均粒径の上限は50μmとすることが好ましい。
本発明の鋼板では、平均粒径が0.5μm以上の、Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物を、合計で、400個/mm以上含む。平均粒径が0.5μm以上の、粗大なTi炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物を主体とする析出物の密度が400個/mm未満では、耐摩耗性向上効果がほとんど期待できない。このため、平均粒径が0.5μm以上の、Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物を、合計で、400個/mm以上に規定した。なお、上限はとくに規定されない。
なお、析出物(Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物)の大きさおよび個数の測定は、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(倍率:400倍以上)を用いて、一定の面積部分の組織を観察し(5視野以上)、そこで観察される各析出物の大きさおよび単位面積当りの個数を画像解析等の方法を用いて測定するものとする。また、析出物のうち、Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物の識別は、分析装置を搭載した走査型電子顕微鏡を用いて行うことが好ましい。なお、ここでいう「平均粒径」は、各析出物の面積を画像解析等の方法で測定し、測定された各面積から円相当直径を算出して各析出物の直径とし、得られた各析出物の直径を算術平均して得た平均値をその鋼板の析出物の平均粒径とした。なお、平均粒径の算出には、少なくとも100個以上の析出物について測定するものとする。
なお、上記した炭化物が析出する組織の基地組織は、基本的にマルテンサイト相を主体とする組織とする。基地組織がマルテンサイト相を主体とする組織の場合には、炭化物の密度や硬さを高めることにより、耐摩耗性の向上効果を効率的に引き出すことができる。一方、基地組織がマルテンサイト相を主体とする組織でない場合は、炭化物の硬さや密度を高めていくことにより、ある程度までは耐摩耗性を向上させることができるが、ある限度で耐摩耗性向上効果が飽和し、炭化物の硬さや密度の増加に見合う効果が期待できなくなる。
本発明でいう「マルテンサイト相を主体とする組織」とは、マルテンサイト相の組織分率が70%以上である組織をいうものとする。残部は、マルテンサイト相以外の、ベイナイト相、パーライト相、フェライト相、残留オーステナイト相、あるいはそれらの混合相としてもよい。
また、基地組織をマルテンサイト相を主体とする組織とするためには、基地組織の固溶C量を、0.03質量%超とすることが好ましい。固溶C量が0.03質量%以下では、通常用いられているいかなる工業的熱処理を施しても、マルテンサイト相を主体とする組織とすることができない。
つぎに、本発明鋼板の好ましい製造方法について説明する。
転炉、電気炉または真空溶解炉等の公知の溶製方法で、上記した成分範囲内の組成に調整した溶鋼を、公知の連続鋳造法または造塊法を用いて所望の寸法形状の鋼素材(スラブまたはインゴット)とすることが好ましい。
なお、連続鋳造法を用いた場合、厚み200〜400mmの鋳片表面の1500〜1200℃温度域における冷却速度を0.2〜10℃/sの範囲となるように冷却を調整することが好ましい。これにより、析出物(Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物)を所望の大きさおよび個数、すなわち平均粒径が0.5μm以上好ましくは50μm以下の、Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物を、合計で、400個/mm以上、に調整することが可能となる。なお、造塊法を用いる場合にも、インゴットの大きさおよび冷却条件を、析出物(Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物)が所望の大きさおよび個数になるように、調整する必要があることはいうまでもない。
鋼素材は、ついで、冷却することなく直接、または再加熱されたのち、熱間圧延され、所望の板厚の鋼板とされる。なお、熱間圧延の条件は、所望の寸法形状の鋼板とすることができればよく、とくに限定されない。
熱間圧延後、鋼板は室温付近まで冷却される。冷却後、900℃以上の温度まで再加熱されたのち、焼入れされて、製品(耐摩耗鋼板)とすることが好ましい。焼入れの冷却は、水冷とし、Ms点以下まで冷却することが好ましい。なお、必要に応じて、焼入れ後700℃以下の温度域で焼戻す焼戻処理を施してもよい。
以下、本発明をさらに実施例に基づいて詳細に説明する。
表1に示す組成の溶湯を、真空溶解炉で溶製し、小型鋼塊(50kg鋼塊)とした。これら小型鋼塊を、熱間圧延により板厚15mmの鋼板とした。なお、熱間圧延後は空冷とした。ついでこれら鋼板を、900℃に再加熱したのち、200℃以下まで冷却する焼入れを施した。得られた鋼板について、組織観察、耐摩耗性、硬さについて調査した。なお、調査方法はつぎのとおりである。
(1)組織観察
得られた各鋼板から組織観察用試験片を採取し、圧延方向に直交する断面全体について、研磨し、ナイタール腐食して、分析装置付走査型電子顕微鏡(倍率:1000倍)を用いて、組織を撮像した。拡大された100mm×100mmの視野(25視野)について、画像解析装置を用いて、Ti炭化物(TiC)、TiとMoの複合炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoとWの複合炭化物の大きさ、個数を測定した。炭化物の大きさは、各炭化物の面積を測定し、同面積から円相当直径を算出し、得られた円相当直径を算術平均し、得られた平均値をその鋼板の平均粒径とした。また、得られた炭化物(Ti炭化物、TiとMoの複合炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoとWの複合炭化物)のうち、平均粒径が0.5μm以上の炭化物について、その個数を測定し、1mm当りの個数に換算した。
なお、同時に、基地組織の種類、およびその組織分率を調査した。なお、組織分率は、撮像した範囲において、画像解析装置を用いて評価した。なお、マルテンサイト相の組織分率は、マルテンサイトラス組織の全体に占める割合を、画像解析装置を用いて面積率で評価した。
(2)耐摩耗性
得られた各鋼板から試験片(大きさ:t×25×75mm)を採取し、ASTM G−65に準拠し、摩耗砂としてSiO:90%以上の砂を使用して、摩耗試験を実施した。なお、軟鋼(SS400)板についても同様に試験した。
各鋼板の耐摩耗性は、軟鋼(SS400)板の摩耗量を基準(1.0)として耐摩耗比で評価した。耐摩耗比が大きいほど耐摩耗性に優れていることを意味する。
(3)硬さ測定
得られた各鋼板から試験片を採取し、JIS Z 2243の規定に準拠して、ブリネル硬さHBW
10/3000を測定した。
(4)基地組織の固溶C量
得られた各鋼板から試験片を採取し、電解抽出法により炭化物を抽出して、炭化物となっているC量を測定し、ついでtotalC量から、炭化物となっているC量を差引き、基地組織中の固溶C量とした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0004894296
Figure 0004894296
本発明例はいずれも、マルテンサイトラス相の占める割合が面積率で70%以上であるマルテンサイト相を主体とする基地組織と、0.3質量%超えの固溶C量を有し、軟鋼(SS400)に比べて摩耗比13以上と耐摩耗性に優れている。また、本発明例は、硬さが約450HBW以下と比較的低く、加工性や溶接性に優れていることが分かる。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、耐摩耗性が比較的低く、また硬さが約470HBW以上と高く、加工性や溶接性に劣っていることが分かる。W含有量が本発明の範囲を低く外れる比較例(鋼板No.10)は、摩耗比が11.3であり、本発明例に比べて低下しており、また、硬さも高い値となっている。また、Mo含有量が本発明の範囲を低く外れる比較例(鋼板No.11)は、摩耗比が10.2であり、本発明例に比べて耐摩耗性が低下しており、また、硬さも高い値となっている。また、Ti含有量が本発明の範囲を低く外れる比較例(鋼板No.12)は、炭化物の析出量が少なく、摩耗比が4.3と本発明例に比べて低下している。
また、W含有量が本発明の範囲を高く外れる比較例(鋼板No.13)は、硬さが571HBWと著しく高い値となっている。また、Mo含有量が本発明の範囲を高く外れる比較例(鋼板No.14)は、硬さが488HBWと高い値となっている。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.20〜0.50%、 Si:0.1〜1.0%、
    Mn:0.1〜2.0%、 P:0.04%以下、
    S:0.04%以下、 Ti:0.2〜1.0%、
    W:0.1〜4.0%、 Mo:0.05〜2.0%、
    B:0.0003〜0.01%、 N:0.01%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、平均粒径:0.5μm以上の、Ti炭化物、TiとWの複合炭化物、TiとMoの複合炭化物およびTiとWとMoの複合炭化物を合計で、400個/mm以上含む組織を有することを特徴とする耐摩耗鋼板。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.1〜10%、Cr:0.1〜3.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を含む組成とすることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗鋼板。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.1%以下を含む組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の耐摩耗鋼板。
JP2006051826A 2006-02-28 2006-02-28 耐摩耗鋼板 Active JP4894296B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006051826A JP4894296B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 耐摩耗鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006051826A JP4894296B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 耐摩耗鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007231320A JP2007231320A (ja) 2007-09-13
JP4894296B2 true JP4894296B2 (ja) 2012-03-14

Family

ID=38552212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006051826A Active JP4894296B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 耐摩耗鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4894296B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6274381B1 (ja) * 2016-09-15 2018-02-07 新日鐵住金株式会社 耐摩耗鋼
BR112018017090A2 (pt) 2016-09-15 2019-01-02 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp aço resistente à abrasão
CN108315652B (zh) * 2018-04-28 2019-09-24 武汉钢铁有限公司 低成本高淬透性hb450级中厚板耐磨钢板及制造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5393358A (en) * 1990-12-03 1995-02-28 Nkk Corporation Method for producing abrasion-resistant steel having excellent surface property
FR2847270B1 (fr) * 2002-11-19 2004-12-24 Usinor Procede pour fabriquer une tole en acier resistant a l'abrasion et tole obtenue
FR2847272B1 (fr) * 2002-11-19 2004-12-24 Usinor Procede pour fabriquer une tole en acier resistant a l'abrasion et tole obtenue

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007231320A (ja) 2007-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5648769B2 (ja) 低温靱性および耐腐食摩耗性に優れた耐摩耗鋼板
KR102250916B1 (ko) 내마모 강판 및 내마모 강판의 제조 방법
KR101165654B1 (ko) 가공성이 우수한 내마모 강판 및 그 제조 방법
JP6102072B2 (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法
KR101699582B1 (ko) 내응력 부식 균열성이 우수한 내마모 강판 및 그 제조 방법
JP5655356B2 (ja) 低温焼戻脆化割れ性に優れた耐摩耗鋼板
JP5186809B2 (ja) 加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法
JP4899874B2 (ja) 加工性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法
JP4894288B2 (ja) 耐摩耗鋼板
JP6217585B2 (ja) 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法
JP6245220B2 (ja) 低温靱性および耐腐食摩耗性に優れた耐摩耗鋼板
JP4735191B2 (ja) 低温靭性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法
JP5458624B2 (ja) 加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法
JPWO2021054015A1 (ja) 耐摩耗鋼板およびその製造方法
JP5217191B2 (ja) 加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法
JP6350340B2 (ja) 耐摩耗鋼板およびその製造方法
JP4894296B2 (ja) 耐摩耗鋼板
JP4894297B2 (ja) 耐摩耗鋼板
JP5017937B2 (ja) 曲げ加工性に優れた耐摩耗鋼板
JP6217586B2 (ja) 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法
JP6164193B2 (ja) 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗特性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法
JP2007262429A (ja) 曲げ加工性に優れた耐摩耗鋼板
JP2020132914A (ja) 耐摩耗厚鋼板
JP2007277590A (ja) 曲げ加工性に優れた耐摩耗鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111129

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4894296

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250