JP4889553B2 - 単結晶引上装置 - Google Patents
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Description
また、引上げ開始後の工程としては、ネッキング終了後、直胴部直径にまで結晶を広げた拡径部を形成するクラウン工程、製品となる単結晶(直胴部)を育成する直胴工程、直胴工程後の単結晶直径を徐々に小さくし縮径部を形成するテール工程が行われる。
しかしながら、このMCZ法を実施する場合、電流と磁場との相互作用による力が発生するためヒータ52に負荷が加わり、ヒータ52の寿命が短くなるという技術的課題があった。
このような電極とマグネットコイルとの配置によれば、電流と磁場の相互作用による力は、ヒータ全体としては常に下向きに加わることになり、ヒータの浮き上がり現象等のトラブルが解消されると記載されている。
即ち、電極接続側におけるヒータ(スリット)の上下部分においては、電流が流れる方向が反対方向となるため、水平磁場の磁束方向に対して上向きまたは下向きの力が働き、特許文献1の構成にあっても、電極接続側において上下部分にねじれの力が生じ、クサビが抜けたり、ヒータ上部が変形する虞があった。
また、抵抗加熱ヒータの電極側上部において、スリットにより形成される電流路の水平方向の幅寸法Lと、ヒータ上端からスリット上端までの高さ方向の距離寸法Dとの比率が、2≦(L/D)≦4の条件を満たすよう形成することにより、ヒータ上部において生じるねじれの力を吸収し、ヒータの変形を防止することができる。
このように構成することによって、水平方向に流れる電流と磁場の相互作用による力がヒータ全体として常に下向きに加わるようにされ、浮き上がり現象の発生を抑制することができる。
この単結晶引上装置1は、円筒形状のメインチャンバ2aの上にプルチャンバ2bを重ねて形成された炉体2と、炉体2内に設けられたルツボ3と、ルツボ3に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)を溶融する円筒形の抵抗加熱ヒータ4(以下、単にヒータ4と呼ぶ)とを具備している。尚、ルツボ3は、二重構造であり、内側が石英ガラスルツボ3a、外側が黒鉛ルツボ3bで構成されている。また、ヒータ4の外周には、円筒状の保温筒12が設けられている。
また、ルツボ3は、支持軸7によって支持され、この支持軸7はモータ(図示せず)によって引上げ方向の軸周りに回転すると共に、昇降装置(図示せず)によって上下動可能となされている。即ち、ルツボ3は、単結晶Cの引上時(育成時)において、引上げ軸周りに回転されると共に、シリコン融液Mの減少に伴う融液高さを調整するために、その高さ位置が調整可能となされている。
このマグネットコイル13は、図示しない昇降機構により、その高さ位置が調整可能に構成されており、単結晶引上げ時のシリコン融液Mとの高さ方向の相対位置が制御されるようになされている。
図2、図3に示すように、円筒状のヒータ4には、上端から下方に向かうスリット4aと、下端から上方に向かうスリット4bとが周方向に沿って交互に形成されている。
ヒータ4の下端には、外周側に向けて直径方向に相対する一対の端子部4cが板状に突出して形成されており、この端子部4cは導電性のクランプ部材16に対し、夫々3本のボルト17によって螺設され固定されている。尚、端子部4cにはクランプ部材16の貫通孔16aに接続された電極棒(電極)18、19から所定電圧が印加されるようになされている。
このように電流の流れが形成されることにより、ヒータ4全体が均一に昇温し、ルツボ3全体を効率的に加熱することができる。
尚、ボルト17の本数、直径、クランプ部材16への螺合部の深さ寸法等は、ヒータ4の厚さ寸法、直径等によって決定されるのが好ましい。
これにより、ヒータ4の上部において生じるねじれの力を小さくし、ヒータ4の変形を防止するようになされている。
これにより、フレミングの左手の法則に従って、水平方向に生じる電流と磁場の相互作用による力がヒータ全体として打ち消し合い、その合力が小さくなることによって、浮き上がり現象の発生を抑制するようになされている。
したがって、本発明によれば、電磁力によるヒータへの負荷を軽減し、ヒータの破損を防止することのできる単結晶引上装置を得ることができる。
〔実施例1〕
実施例1では、本発明に係る単結晶引上装置により引上げを行い、ヒータの変形、取り付け状態の変化等を観察した。
ヒータに流す電流は2300A、磁束密度は0.3Tとし、ルツボの中心を通る磁力線の向きと、ヒータに直流電流を供給したときに水平方向に生じる電流の向きとが一致する状態から反時計回り方向に45°回転した状態となるように電極と電磁石とを配置した。
また、ヒータの電極接続側上端においてスリットにより形成される電流路の水平方向の幅寸法をL、ヒータ上端からスリット上端までの高さ方向の距離寸法をDとすると、寸法Lと寸法Dとの比率、即ちヒータに作用する曲げ応力に比例する比率(L/D)=3.8となるようスリットを形成した。
この結果、電極部(端子部)の接触不良、変形は認められず、また、ヒータの変形による寿命は、図8のグラフに示すように無磁場の操業時の83%となった。
比較例1では、ヒータの電極接続側上端においてスリットにより形成される電流路の水平方向の幅寸法をL、ヒータ上端からスリット上端までの高さ方向の距離寸法をDとすると、寸法Lと寸法Dとの比率を従来同様(L/D)=5.2となるよう形成した。
また、クランプ部材に対するヒータの固定をクサビにより行った。
また、炉内冷却後、電極部(端子部)の破損が確認された(破損発生率3%)。
〔比較例2〕
比較例2では、クランプ部材に対するヒータの固定をボルトにより行った。その他の条件は、比較例1と同様とした。
この結果、電極部(端子部)の接触不良及び破損は確認されなかった。
しかしながら、操業回数を重ねるにつれ、電磁力の影響によりスリット上下部分の変形が大きくなり、ヒータの寿命は、図8のグラフに示すように無磁場操業時に対し約67%となった。
したがって、ヒータをクランプ部材に対しボルト固定することにより電極部の破損発生率が3%から0%となり、寸法Lと寸法Dとの(L/D)が3.8より小さくなるようスリットを形成することで、無磁場操業時に対する従来のヒータの寿命67%が83%に向上することを確認した。
尚、寸法Lと寸法Dとの比率(L/D)は小さいほうが好ましいが、比率(L/D)<2は製作技術上困難であり、また、ヒータの所望の抵抗率によりスリット分割数が決定されるため、比率(L/D)の好ましい範囲は2≦(L/D)≦4とした。
よって、本発明によれば、電磁力によるヒータへの負荷を軽減し、ヒータの破損を防止することのできる単結晶引上装置を得ることができると確認した。
2 炉体
2a メインチャンバ
2b プルチャンバ
3 ルツボ
3a 石英ガラスルツボ
3b 黒鉛ルツボ
4 ヒータ
4a スリット
4b スリット
4c 端子部
5 ワイヤ
6 シードチャック
13 マグネットコイル
17 ボルト
C 単結晶
M 原料ポリシリコン、シリコン溶融液
P 種結晶
Claims (2)
- 炉体内のルツボに原料シリコンを装填し、
円筒形の外周に下端から上方に延びるスリットと上端から下方に延びるスリットとが交互に形成され、印加される所定電圧に基づく直流電流が供給される抵抗加熱ヒータにより、
ルツボ内の原料シリコンを溶融し、溶融されたシリコン融液に電磁石により水平方向に磁場を印加しながらチョクラルスキー法によって単結晶を引上げる単結晶引上装置であって、
前記抵抗加熱ヒータの電極接続位置が円筒断面の中心を挟み対向すると共に下端に形成され、一方の電極側で電流が左右に分かれて他方の電極側において合流し、
かつ、前記電極接続位置上部にはスリットが形成されず、前記電極接続位置の両側に下端から上方に延びる第1のスリットが形成され、続いて上端から下方に延びる第2のスリットが形成され、
前記抵抗加熱ヒータの上端における、第2のスリットによって形成された電流路の水平方向の幅寸法をL、前記ヒータ上端から第1のスリット上端までの高さ方向の距離寸法をDとすると、前記スリットは2≦(L/D)≦4の条件を満たすよう形成され、
前記抵抗加熱ヒータの電極接続位置に端子部が形成され、前記端子部は導電性のクランプ部材に固定されていることを特徴とする単結晶引上装置。 - 前記ルツボの中心を通る磁力線の向きと、前記抵抗加熱ヒータに直流電流を供給したときに水平方向に生じる電流の向きが一致する状態から反時計回り方向に0°より大きく180°より小さい角度(90°を除く)回転した状態となるように前記端子部と前記電磁石とを配置することを特徴とする請求項1に記載された単結晶引上装置。
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