JP4884932B2 - インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物 - Google Patents
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Description
さらに、屋外用途の需要が高まり、ラミネートせずに使用可能であって、ポリ塩化ビニル(以下、単に塩ビという)などのフィルムに直接印刷できるとともに、耐水性や耐候性にすぐれた油性顔料インクの開発が行われている。
油性顔料インクには、アルキレングリコール系溶媒と特定のポリエステル樹脂を用いたもの(特許文献1参照)、沸点が150℃以上の有機溶媒とこれに溶解しうる樹脂を用いたもの(特許文献2参照)が、提案されている。
しかし、塩ビを溶解させる能力の高い有機溶媒は、その溶解力が強すぎるため、インクジェットプリンターの射出ヘッドに形成されている撥水膜を侵してしまい、飛行曲がりや不吐出といった印刷不良を引き起こす問題があった。
また、本発明は、有機溶媒の選択にて,安全性や臭気にすぐれ、受容層のない塩ビなどの低コストフィルムの印刷媒体にも定着性良好に印刷可能な上記インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物を提供することを課題としている。
本発明者らは、この問題を克服するため、鋭意検討した結果、インクジェットプリンター用の油性顔料インク組成物中に、金属配位化合物を含ませると、この金属配位化合物が上記複合膜中のニッケルに配位して、複合膜の耐溶剤性が高められ、インク組成物中にケトン系溶媒や複素環化合物などの塩ビを溶解させる能力の高い有機溶媒を含んでいても、複合膜の剥がれや傷付きが起こりにくくなり、プリンターを長期間使っても、飛行曲がりや不吐出といった印刷不良を引き起こさなくなることがわかった。
すなわち、本発明は、顔料、高分子化合物および有機溶媒を少なくとも含むインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物において、ベンゾトリアゾール、1−(2′,3′−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール、1−〔ビス(2−メチルヘキシル)アミノメチル〕ベンゾトリアゾール、N,N′−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ヘキサメチレンジアミン、N,N′−ビス(ベンゾリアゾリルメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルジアミノジフェニルメタン、N,N′−テトラキス(ベンゾトリアゾリルメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1−(1′,2′−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、N−ベンゾトリアゾリルメチルウレア、N,N′−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ウレア、1H−ベンゾトリアゾールカルボキシリックアシッド、〔1,2,3−ベンゾトリアゾールイル−1−メチル〕〔1,2,4−トリアゾリル−1−メチル〕〔2−エチルへキシル〕アミン、1−〔(2−エチルヘキシルアミノ)メチル〕ベンゾトリアゾール、2,4−ジターシャリーペンチル−6−〔(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル〕フェノール、2,6−ビス〔(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル〕−4−メチルフェノール、ビス〔(1H−ベンゾトリアゾール)−メチル−ビス(2,2,4,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)〕セバケート、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ターシャリーブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールの中から選ばれる少なくとも1種の金属配位化合物を全インク組成物中0.01〜5重量%含有し、高分子化合物は顔料分散剤または/および定着性樹脂であり、有機溶媒として、ラクトン構造またはラクタム構造を有する化合物からなる複素環化合物を全インク組成物中1〜50重量%、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジアルキルエーテル化合物またはジアルキルエステル化合物の中から選ばれる少なくとも1種であって、引火点が70〜120℃、沸点が170〜250℃の(ポリ)アルキレングリコール誘導体を全インク組成物中30〜90重量%含むことを特徴とするインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物に係るものである。
また、上記インク組成物の有機溶媒として、複素環化合物や(ポリ)アルキレングリコール誘導体を使用することにより、安全性や臭気にすぐれ、また受容層のない塩ビなどの低コストフィルムの印刷媒体に対しても印刷可能である上記インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物を提供することができる。
一般に、塩ビへの定着性を向上させるには、塩ビを溶解する作用のある化合物が好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系化合物、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ラクトンなどの含酸素複素環化合物、N−アルキル−2−ピロリドンなどの含窒素複素環化合物などが好ましい。
上記以外のケトン系化合物やテトラヒドロフラン誘導体なども、分子量の低いものは塩ビの溶解性にすぐれるものもあるが、引火点が低いものが多く、インク組成物としたとき引火点が61℃未満になることがあり、輸送または貯蔵の際、制約を受ける場合がある。また、これらの化合物は臭気がきつく、インク組成物中に少量添加しただけでも、臭気を発するおそれがある。分子量の高いものは引火点が高く、臭気も少ないものが多いが、塩ビの溶解力に欠け、印刷媒体に十分に定着できないおそれがある。
また、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ラクトン類に代表される含酸素複素環化合物は、塩ビの溶解性にはすぐれるが、臭気のあるものが多く、インク用としては、引火点、沸点、臭気などに十分注意して、インクの特徴を損なわないようにする必要がある。テトラヒドロフラン誘導体、テトラヒドロピラン誘導体は、置換基を代えることで、沸点、引火点を高くし、インク溶媒として使用できるものもある。
また、含窒素複素環化合物の中でも、たとえば、N−アルキル−2−ピロリドンのようなラクタム構造を有する複素環化合物は、高引火点、低臭で、かつ塩ビ溶解性にすぐれているため、インク溶媒として好ましい。
上記のN−アルキル−2−ピロリドンとしては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、N−ドデシル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
これらの中でも、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどは、低粘度、低臭で、塩ビ溶解性にすぐれており、かつ生分解性が良好で、急性毒性が低いなどの安全性の面からも、とくに好ましい。
本発明において、このような複素環化合物の使用量は、全インク組成物中、1〜50重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは12〜25重量%の割合とするのがよい。複素環化合物の使用量が1重量%未満となると、十分な塩ビ溶解力が得られず、50重量%を超えると、塩ビ溶解力の効果が飽和するとともに、インクの揮発性が不十分になり、印刷した際にたれ、にじみなどを生じやすい。
(ポリ)アルキレングリコール誘導体は、分子内に極性基(エステル基、エーテル基)と疎水基(アルキル基)を併せ持つものであり、このため、これを主溶媒として使用することにより、塩ビのみならず、普通紙、マット紙、光沢紙などのあらゆる印刷媒体に対して、すぐれた定着性および耐水性を発揮させることができる。また、上記の定着性および耐水性に加えて、臭気や引火点などの特性は、エステル基、エーテル基数およびアルキル基の炭素数により、容易に調整することが可能である。
このような(ポリ)アルキレングリコール誘導体と前記の複素環化合物を併用すると、インク組成物全体の引火点を63℃以上に設定することが容易となり、輸送時の引火などの安全性などの面で非常にすぐれたものとなる。
これらの中でも、インクの粘度を低くし、また耐水性を向上させる上で、分子内に水酸基を持たないモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジアルキルエーテル化合物またはジアルキルエステル化合物が好ましく、また、アルキルエステル化合物では、エステル基がメチルエステル基であるものがとくに好ましい。
これらの化合物の中でも、ジまたはトリアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステルは、モノアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステルに比べて、分子量が大きく、引火点、沸点が高く、低臭のものが多いため、とくに好ましい。中でも、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステルから選ばれる1種または2種以上の混合物を使用するのが好ましい。
このような化合物としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステルなどがある。これらの化合物はとくに高引火点であり、好ましく用いられる。とりわけ、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステルが高引火点でかつ低臭であるため、インク溶媒として適している。
このようなジアルキルエーテル化合物としては、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが、とくに低臭であり、好ましい。中でも、(ポリ)プロピレングリコールジアルキルエーテルが比較的低臭でかつ低粘度であり、好ましい。
このようなジアルキルエステル化合物としては、エチレングリコールジメチルエステル、ジエチレングリコールジメチルエステル、プロピレングリコールジメチルエステル、ジプロピレングリコールジメチルエステルなどがとくに低臭であり、好ましい。中でも、プロピレングリコールジメチルエステルが比較的低臭でかつ低粘度であり、好ましい。
なお、(ポリ)アルキレングリコール誘導体としては、場合により、引火点が63℃未満のものを使用することもできるが、その使用量は、他の(ポリ)アルキレングリコール誘導体との組み合わせにより、インク組成物全体の引火点が63℃以上となる割合とするのが好ましい。たとえば、引火点が50〜63℃の(ポリ)アルキレングリコール誘導体を使用する場合、その使用量としては、全インク組成物中、35重量%以下、好ましくは30重量%以下となるようにするのがよい。
なおまた、油性顔料インク組成物の中から、上記の(ポリ)アルキレングリコール誘導体および前記の複素環化合物の定性、定量を行うには、たとえば、GCMS(ガスクロマトグラフィー質量分析装置)を用いるのが有効である。
ただし、これらの有機溶媒は、本発明の特徴を損なうことのない種類や量を選択すべきである。とくに、ケトン系化合物、エステル系化合物、芳香族化合物などは、少量でも臭気を発するものが多いため、これらを添加する場合、沸点が150℃以上でかつ引火点が70℃以上を用いるのが好ましい。引火点が150℃未満の有機溶媒は、とくに臭いなどの原因となるため、その使用量は、全インク組成物中、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満とするのがよい。
引火点が62℃未満では、国際的輸送関係法規における船舶輸送の場合の危険物として高引火点引火性液体に分類され、輸送、運搬などに際しての制約上、取り扱いにくくなるだけでなく、漏洩などのトラブルの際に、引火などの危険性を伴いやすいのに対して、引火点が63℃以上となるようにすると、このような問題をすべて回避することができる。とくに、引火点が70℃以上となるようにすると、消防法の法別表に掲げられる危険物第四類、第三石油類に分類され、製造、貯蔵、運搬などに際しての制約上、取り扱いやすくなり、また引火などの危険性が少なくなり、好ましい。
げられる。とくに、耐候性、着色力などの点より、C.I.ピグメントレッド122、202、209、254、C.I.ピグメントバイオレット19から選択される1種または2種以上の混合物が好ましい。
とくに、三菱化学社製のHCF#2650、#2600、#2350、#2300、MCF#1000、#980、#970、#960、MCF88、LFFMA7、MA8、MA11、MA77、MA100、デグサ・ヒュルス社製のプリンテックス95、85、75、55、45などから選択される1種または2種以上の混合物が好ましい。
顔料分散剤や定着性樹脂は、インクジェット記録方式による印刷後、基材の表面または表層部に残り、乾燥して定着する。このため、樹脂成分が水に易溶であると、印刷物の耐水性に欠け、屋外で使用する際に雨などで印刷物が流れるおそれがある。また、印刷物をポスターなどとして使用する際、表面にコート剤などを吹き付けて使用する場合があり、このコート剤にはアルコール成分を主溶媒とするものが多いため、高分子化合物がアルコール溶剤に易溶であると、印刷物がコート剤により垂れ落ちるおそれがある。
これに対して、水およびエタノールに対する溶解度が前記範囲内にある高分子化合物によると、このような問題を生じるおそれはない。
顔料分散剤は、有機溶媒中で顔料と分散剤との酸塩基相互作用にて分散安定化しているため、顔料吸着サイトであるカチオン性基かアニオン性基かの少なくとも一方を含むことが必須であり、顔料の種類などにより分散剤中のカチオン性基やアニオン性基の種類と量をコントロールすることが重要である。
このため、これらの顔料分散剤では、その溶媒などを考慮して、必要により、臭気、安全性などに影響を及ぼすおそれのある低沸点溶媒をあらかじめ取り除く必要がある。低沸点溶媒を取り除く方法には、減圧蒸留法、再沈法などが用いられる。
これらの方法を用いて、分散剤溶液中の低沸点成分、具体的には沸点が170℃未満の成分を1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満にすることにより、インク組成物にした際の臭いを制御できる。
塩化ビニル系樹脂としては、日信化学工業社製のSOLBIN、積水化学社製のセキスイPVC−TG、セキスイPVC−HA、ダウ・ケミカル社製のUCARシリーズが好ましい。ニトロセルロース樹脂としては、旭化成社製のHIG、LIG、SL、VX、ダイセル化学社製の工業用ニトロセルロースRS、SSなどが好ましい。
重量平均分子量が2,000未満では、インク組成物中で顔料粒子にアニオン性樹脂が吸着した際に立体反発の効果が得られにくく、保存性を向上させる効果が少なく、また媒体と顔料粒子との定着性を高める効果が得られにくく、塗膜強度が十分に得られないおそれがある。また、100,000を超えると、その効果が飽和するとともに、インクの粘度が高くなり、流動性が十分に発揮されないおそれがある。
なお、高分子化合物の重量平均分子量とは、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算分子量として求められる値を意味している。
また、高分子化合物からなる定着性樹脂を使用する場合、この定着性樹脂の使用量は、その種類や分子量、顔料や溶媒の種類などにより異なるが、通常は、顔料に対して、5〜1,000重量%とするのが好ましく、5〜200重量%とするのがより好ましい。
上記分散体を得る際には、上記の各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、攪拌槽型ミルなどの媒体攪拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により、よく撹拌混合し、分散させればよい。
また、この分散体に上記の各成分を添加したのち、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な攪拌機を用い、均一に混合する。ラインミキサーなどの混合機を用いて、混合してもよい。さらに、析出粒子をより微細化する目的で、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて、混合してもよい。
表面張力および粘度を上記範囲内に設定すると、インクジェットプリンター用として用いる場合に、ジェット曲がりなどが少なく噴射性にすぐれ、また普通紙、マット紙などに印刷した際のにじみが少なくなるという特性が得られやすい。
なお、ヘッドでの目詰まりなどを避けるために、顔料粒子の最大分散粒子径としては、1,000nm以下であるのが好ましい。
ピエゾ方式のインクジェットプリンターには、VUTEK社、サイテクスビジョン社、ミマキ社、ローランド社、武藤工業社製のプリンターなどがある。中でも、フッ素コーティングされた撥水膜を有する射出ヘッドを備えたインクジェットプリンターが好ましい。これは、フッ素コーティングされた撥水膜に対してインク組成物中の金属配位化合物が配位して、撥水膜の耐溶剤性を高め、その剥がれや傷つきを防いで、プリンターを長期間使っても、印刷不良を引き起こさなくなるからである。
すなわち、既述のとおり、フッ素コーティングは、フッ素樹脂を無電解ニッケルめっきにより複合・共析させてつくられており、その皮膜はニッケルとフッ素から構成されている。このニッケルとフッ素の複合膜は、塩ビを溶解する強溶媒に対して弱く、剥がれや傷付きを生じやすい。しかし、インク中の金属配位化合物が、複合膜中のニッケルに配位して耐溶剤性が増し、剥がれや傷つきを防止することができる。
また、以下に記載される顔料分散剤「BYK161」、定着性樹脂「バイロンUR−8300」は、それぞれ、減圧蒸留にて低沸点溶媒を留去して、分散で用いる有機溶媒で固形分濃度が20重量%となるように希釈して使用した。
さらに、以下に記載される顔料分散剤「BYK161」、「SOLSPERSE13940」、定着性樹脂「バイロンUR−8300」の各使用量は、それぞれ、有機溶媒で希釈後の重量換算で記載したものである。
つぎに、このように分散して得られた分散体7.5部に、東洋紡社製のポリウレタン系樹脂「バイロン UR8300」(重量平均分子量30,000)3.8部、ベンゾトリアゾール(和光純薬社製)0.5部、N−メチル−2−ピロリドン10部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル18.2部、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(ダウ・ケミカル社製、引火点60℃)10部を加え、マグネチックスターラーにより、30分攪拌後、グラスフィルター(桐山製作所製)を用いて、吸引ろ過を行い、インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物Aを調製した。
ベンゾトリアゾール0.5部を、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル0.5部に代えた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物Bを調製した。
この分散体を用い、以下、実施例1と同様にして、インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物Cを調製した。
ベンゾトリアゾール0.5部を、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル0.5部に代えた以外は、実施例2と同様にして、インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物Dを調製した。
この分散体を用い、かつベンゾトリアゾール0.5部に代えて、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール(城北化学社製)0.5部用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物Eを調製した。
1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール0.5部を、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル0.5部に代えた以外は、実施例3と同様にして、インクジェットプリンター用油性顔料インクFを調製した。
した以外は、実施例2と同様に分散して、分散体を得た。
つぎに、この分散体7.5部に、ダイセル化学社製のニトロセルロース「RS1/4」0.6部、1−(2′,3′−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール(城北化学社製)0.3部、N−メチル−2−ピロリドン10部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル21.6部、ジプロピレングリコールジメチルエーテル10部を加え、マグネチックスターラーにて30分攪拌後、グラスフィルターを用いて吸引ろ過を行い、インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物Hを調製した。
つぎに、この分散体7.5部に、ユニチカ社製のポリエステル系樹脂「エリーテルUE−9800」(重量平均分子量13,000)0.8部、1−(2′,3′−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール(城北化学社製)0.3部、γ−ブチルラクトン10部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル21.4部、ジプロピレングリコールジメチルエーテル10部を加え、マグネチックスターラーで30分攪拌後、グラスフィルターを用いて吸引ろ過を行い、インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物Iを調製した。
なお、表1中、各インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物の種類に関して、「インクジェットプリンター用油性顔料」の表記を省き、ただ単に「インク組成物A」、「インク組成物I」のように、記載した。
R100型粘度計(東機産業社製)により、25℃、コーンの回転数20rpmの条件により、粘度を測定した。
全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−V(協和科学社製)により、インクの温度を25℃にして、表面張力を測定した。
粒度分布測定装置N4−PLUS(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計)により、顔料粒子の分散平均粒子径を測定した。
セタ密閉式引火点測定器により、引火点を測定した。
なお、表2中、各インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物の種類に関して、「インクジェットプリンター用油性顔料」の表記を省き、ただ単に「インク組成物A」、「インク組成物I」のように、記載した。
ソルベントインク用のインクジェットプリンターに、各インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物を充填し、1週間射出試験を行い、射出試験前後のノズルプレート上の撥水膜の剥がれ状態を光学顕微鏡で観察した。剥がれが全く確認できないものを○、剥がれが確認されたものを×、と評価した。
各インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物を、25℃、湿度30%の恒温室で、No.6ワイヤーバー(東洋精射機社製)を用いて光沢塩ビ(リンテック社製、P−224RW)に塗布し、指で触れたときに付かなくなった時間が1分以内のものを○、5分以内のものを△、5分以上経っても指に付くものを×、と評価した。
各インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物を、25℃、湿度30%の恒温室で、No.6ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて光沢塩ビ(リンテック社製、P−224RW)に塗布し、1時間後、指によるスクラブ試験を30秒間行った。試験後、スクラブ痕がなかったものを○、スクラブ痕が若干発生したものを△、スクラブ痕が発生し、基材が見えるものを×、と評価した。
各インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物を、25℃、湿度30%の恒温室で、No.6ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて光沢塩ビ(リンテック社製、P−224RW)に塗布し、1時間後、水/エタノール混合溶液(重量比1/1)を染み込ませた布(旭化成社製、ベンコットン)で塗布面を拭き取った。これにより、塗布面が全く拭き取られなかったものを○、強く擦ると若干色が落ちたものを△、すぐに拭き取られ基材が見えたものを×、と評価した。
各インクジェットプリンター用油性顔料インク組成物を、25℃、湿度30%の恒温室で、No.6ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて光沢塩ビ(リンテック社製、P−224RW)に塗布し、10分後、ほとんど臭いのしなかったものを○、若干臭いが気になるものを△、不快臭がするものを×、と評価した。
Claims (10)
- 顔料、高分子化合物および有機溶媒を少なくとも含むインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物において、ベンゾトリアゾール、1−(2′,3′−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール、1−〔ビス(2−メチルヘキシル)アミノメチル〕ベンゾトリアゾール、N,N′−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ヘキサメチレンジアミン、N,N′−ビス(ベンゾリアゾリルメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルジアミノジフェニルメタン、N,N′−テトラキス(ベンゾトリアゾリルメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1−(1′,2′−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、N−ベンゾトリアゾリルメチルウレア、N,N′−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ウレア、1H−ベンゾトリアゾールカルボキシリックアシッド、〔1,2,3−ベンゾトリアゾールイル−1−メチル〕〔1,2,4−トリアゾリル−1−メチル〕〔2−エチルへキシル〕アミン、1−〔(2−エチルヘキシルアミノ)メチル〕ベンゾトリアゾール、2,4−ジターシャリーペンチル−6−〔(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル〕フェノール、2,6−ビス〔(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル〕−4−メチルフェノール、ビス〔(1H−ベンゾトリアゾール)−メチル−ビス(2,2,4,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)〕セバケート、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ターシャリーブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールの中から選ばれる少なくとも1種の金属配位化合物を全インク組成物中0.01〜5重量%含有し、高分子化合物は顔料分散剤または/および定着性樹脂であり、有機溶媒として、ラクトン構造またはラクタム構造を有する化合物からなる複素環化合物を全インク組成物中1〜50重量%、(ポリ)アルキレングリコール誘導体を全インク組成物中30〜90重量%含み、上記の(ポリ)アルキレングリコール誘導体は、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジアルキルエーテル化合物またはジアルキルエステル化合物の中から選ばれる少なくとも1種であって、引火点が70〜120℃の範囲にあり、かつ沸点が170〜250℃の範囲にあることを特徴とするインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- (ポリ)アルキレングリコール誘導体は、エチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエステル、プロピレングリコールジアルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- 高分子化合物は、水または/およびエタノールに対する溶解度が25℃で3重量%未満である請求項1または2に記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- 定着性樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロースの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- 定着性樹脂は、重量平均分子量が2,000〜100,000である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- 定着性樹脂は、顔料に対して、5〜200重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- 顔料分散剤は、顔料に対して、5〜150重量%である請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- 25℃における粘度が2〜20cp、表面張力が20〜40mN/m、分散平均粒子径が10〜200nmである請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- インクジェットプリンターがピエゾ方式である請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
- フッ素コーティングされた撥水膜を有するヘッドを備えたインクジェットプリンター用である請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェットプリンター用油性顔料インク組成物。
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