JP4883345B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクと基本アシストトルクとの関係を定めるアシスト特性が予め定められており、そのアシスト特性がアシストマップとしてメモリに格納されている。そして、トルクセンサにより検出された操舵トルクに対応する基本アシストトルクがアシストマップから読み出され、この読み出された基本アシストトルクに応じた駆動力を発生するように、電動モータが駆動制御されるようになっている。
そこで、この発明の目的は、操舵フィーリングの悪化を招くことなく、戻し操舵時の収斂性の向上を図ることができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
この発明では、操舵状態判定手段によって切り込み操舵がされていると判定されたときには、前記位相補償手段(31)による位相補償前の前記所定の信号に基づいて、電動モータの駆動が制御され、操舵状態判定手段によって切り込み操舵がされていないと判定されたときには、前記位相補償手段(31)による位相補償後の信号に基づいて、電動モータの駆動が制御される。
したがって、切り込み操舵がされていないときには、周波数応答特性において所定の周波数帯域におけるゲインが当該周波数帯域よりも低い周波数帯域および高い周波数帯域におけるゲインよりも低くなるような位相補償処理が行われる。これにより、戻し操舵がされているときに、切り込み操舵時と比較して位相補償処理のゲイン全体または高周波帯域でのゲインを下げる手法と異なり、高周波帯域でのゲインを確保することができるので、戻し操舵の開始時における操舵補助力が不足するのを防止することができ、操作部材の引っ掛かり感の発生を回避することができる。また、所定の周波数帯域を収斂性にとくに影響を与える帯域に設定すれば、この帯域におけるゲインを下げることにより収斂性の向上を図ることができる。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図である。
この電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイール1の操作に基づいて、制御部2が電動モータMを駆動制御し、これにより電動モータMから発生されるトルク(アシストトルク)をステアリング機構3に与えて操舵補助を達成するように構成されている。
制御部2には、トルクセンサ12の出力信号の他に、車速を検出する車速センサ13およびステアリングホイール1の回転角度(操舵角度)を検出する操舵角センサ14の出力信号が与えられる。制御部2は、トルクセンサ12、車速センサ13および操舵角センサ14から入力される信号に基づいて、電動モータMの目標電流値を定め、駆動回路15を介して、電動モータMに流れる電流をフィードバック制御する。
なお、以下の説明において、操舵トルクは、たとえば、ステアリングホイール1に右方向操舵のためのトルクが加えられているときには正の値をとり、ステアリングホイール1に左方向操舵のためのトルクが加えられているときには負の値をとるとする。
制御部2は、マイクロコンピュータを含む構成であり、このマイクロコンピュータが実行するプログラム処理により実現される機能処理部として、トルクセンサ12の出力信号(トルク信号)から不要な高周波成分を除去するためのローパスフィルタ処理部21と、ローパスフィルタ処理部21による処理後のトルク信号に対して位相補償処理を施すための第1位相補償処理部22および第2位相補償処理部23と、位相補償処理後のトルク信号が表す操舵トルクTに応じた基本アシスト電流値Ioを定める基本アシスト電流値設定部24と、車速センサ13の出力信号(車速信号)が表す車速に応じた車速ゲインGvを定める車速ゲイン設定部25と、基本アシスト電流値設定部24により設定された基本アシスト電流値Ioと車速ゲイン設定部25により設定された車速ゲインGvとを乗算して、電動モータMの目標電流値I*を求める乗算部26と、目標電流値I*と電動モータMに実際に流れるモータ電流の値Iとの偏差を演算する偏差演算部27と、偏差演算部27により求められた偏差に基づいて、駆動回路15に与えるべき制御信号(たとえば、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号)を生成する信号生成部28とを備えている。
第1位相補償処理部22は、ローパスフィルタ処理部21から与えられるトルク信号に対して、下記式(1)の伝達関数G1(s)で表される位相進み補償処理を施す。
ただし、a:1よりも小さな係数
t:時定数
s:ラプラス演算子
これにより、第1位相補償処理部22は、図9に示すように、周波数2Hz以下の範囲でゲインが一定のG21となり、周波数2〜5Hzの範囲で周波数の増加に比例してゲインがG21からG22まで減少し、周波数5Hzを超える範囲でゲインが一定のG22となるような周波数応答特性を有している。
ただし、t1,t2:時定数
s:ラプラス演算子
操舵状態判定部32は、トルクセンサ12が出力するトルク信号および操舵角センサ14が出力する舵角信号に基づいて、切り込み操舵がされているか否かを判定する。すなわち、操舵状態判定部32は、トルクセンサ12により検出される操舵トルクの絶対値が正の値であり、かつ、操舵角センサ14により検出される操舵角度の微分値である操舵速度が所定値以上であるという条件が満たされていれば、切り込み操舵がされていると判定し、その条件が満たされていなければ、切り込み操舵はされておらず、ステアリングホイールを舵角中点に向けて回転させる戻し操舵またはステアリングホイールを一定位置に保持する保舵がされていると判定する。
基本アシスト特性は、操舵トルクT=0の近傍においては、操舵トルクTの値によらずに基本アシスト電流値Io=0とされ、操舵トルクTの絶対値が所定値以上の範囲では、操舵トルクTの値によらずに基本アシスト電流値Ioの絶対値が予め定める一定値(零を除く。)とされ、それ以外の範囲では、操舵トルクTの絶対値の増加に応じて基本アシスト電流値Ioの絶対値が増加するように定められている。
Claims (1)
- 車両の操向のための操作部材に加えられる操舵トルクに基づいて電動モータを駆動し、この電動モータの駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
操舵トルクを検出するための操舵トルク検出手段と、
前記操作部材を舵角中点から離れる方向に操作する切り込み操舵がされているか否かを判定する操舵状態判定手段と、
前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに基づいて、前記電動モータの駆動を制御するモータ制御手段とを含み、
前記モータ制御手段は、
操舵トルク検出手段に基づいて得られる所定の信号に対して、周波数応答特性において所定の周波数帯域におけるゲインが当該周波数帯域よりも低い周波数帯域および高い周波数帯域におけるゲインよりも低くなるような位相補償処理を行う位相補償手段と、
前記操舵状態判定手段によって切り込み操舵がされていると判定されたときには、前記位相補償手段による位相補償前の前記所定の信号に基づいて、前記電動モータの駆動を制御し、前記操舵状態判定手段によって切り込み操舵がされていないと判定されたときには、前記位相補償手段による位相補償後の信号に基づいて、前記電動モータの駆動を制御する手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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