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JP4872080B2 - 摩擦撹拌点接合用回転工具 - Google Patents

摩擦撹拌点接合用回転工具 Download PDF

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JP4872080B2 JP2006143060A JP2006143060A JP4872080B2 JP 4872080 B2 JP4872080 B2 JP 4872080B2 JP 2006143060 A JP2006143060 A JP 2006143060A JP 2006143060 A JP2006143060 A JP 2006143060A JP 4872080 B2 JP4872080 B2 JP 4872080B2
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Description

本発明は、摩擦撹拌点接合用回転工具に係り、特に、プローブとショルダ部材とが別体に構成されて、それぞれ、軸回りに回転可能に且つ軸方向に別個に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具であって、円滑な摩擦撹拌点接合操作を繰り返し行ない得るものに関するものである。
従来から、自動車の製造工程においては、そのボデー部材や各種部品が、複数の金属板部材を重ね合わせて、それらをリベットや抵抗スポット溶接の如き点接合にて連結して、一体化することにより、製造されてきており、また、そのような点接合による金属板部材の連結形式は、鉄道車両を始めとする各種車両や、航空機等の輸送機分野において、また、家電製品、建材等の構造物等の分野においても、広く採用されている。
一方、特許文献1等において、接合時の入熱が少なく、軟化や歪みの程度が少ない接合手法として、摩擦熱を利用して、金属部材を接合せしめるようにした摩擦撹拌接合法が提案されるに至り、更に、そのような摩擦撹拌接合法を利用して、複数の金属板部材の重合せ部位を点接合せしめる技術が検討され、それによって、従来の抵抗スポット溶接やリベットによる接合よりも、継手品質が良く、良好な接合状態が安定して得られるとして、各種の摩擦撹拌点接合方法(Friction Stir Spot Welding)が、提案されている(特許文献2〜5等参照)。
それら各種の摩擦撹拌点接合方法の中の一つに、本願出願人の一人が提案した方法であって、プローブとショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造の回転工具を用いる方法がある(特許文献5参照)。即ち、そこにおいては、かかる構造(複動式構造)の回転工具を用い、接合されるべき金属板部材の重合せ部に対して、それぞれ、回転せしめられたプローブ及びショルダ部材の差し込み(突き出し)と当接によって、かかる重合せ部に摩擦撹拌領域を形成して、それら複数の金属板部材の接合を図った後、プローブを摩擦撹拌領域から引き抜きつつ、ショルダ部材を前進させて、摩擦撹拌領域の表面を押圧することによって、プローブ穴内に周囲の摩擦撹拌領域の材料を流れ込ませて、かかるプローブ穴を埋め、そして、プローブとショルダ部材のショルダ面とが面一となったところで、回転工具を重合せ部から離脱させるようにした方法が明らかにされている。かかる先に提案の方法は、従来の、ロッド形状の工具本体の先端に、ピン形状の硬質プローブを一体的に設けてなる構造のピン型工具(回転工具)を用いた方法(特許文献1〜4等参照)における問題点、具体的には、点接合操作の終了後に、金属板部材の重合せ部位に形成される摩擦撹拌領域(撹拌部)からピン型工具を引き抜くと、そこに、かかるピン型工具の先端の差し込み部分に対応した形状の凹所(穴)が残り、これが、塗装時における液溜まりの問題を惹起したり、接合されるべき金属板部材の継手強度(結合強度)にも悪影響をもたらす等の問題点が、有利に解消されたものとなっており、また、接合されるべき金属板部材の板厚が種々変化しても、一つの回転工具にて対応することが出来るという特徴をも有している。
しかしながら、上述したような複動式構造の回転工具を用いた摩擦撹拌点接合方法にあっては、用いる回転工具が複動式構造であるが故に、プローブとショルダ部材との間には、必然的にクリアランス(隙間)が存在することとなり、そのために、そのようなクリアランスに、摩擦撹拌領域(接合部)を構成する被接合金属部材の材料が入り込み、凝着する問題があり、そしてそれによって、プローブとショルダ部材との間における、互いに独立した作動(移動)が困難となったり、ひいては、摩擦撹拌点接合操作を繰り返して行うことが不可能となる問題があった。
このため、本願出願人等は、プローブとショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具の他の一種として、ショルダ部材の内周面とプローブの外周面との間の隙間が、先端側において狭小間隙とされている一方、基部側においては狭小間隙よりも大なる隙間となる拡大間隙とされており、更に、ショルダ部材における拡大間隙の形成部位に、筒壁を貫通する排出孔が形成され、狭小間隙を通じて入り込んだ被接合金属部材の材料カスが、この排出孔を通じて外部に排出され得るようにした摩擦撹拌点接合用回転工具と、そのような回転工具を用いた摩擦撹拌点接合方法として、複数の被接合金属部材の板状部の重合せ部に対して、摩擦撹拌点接合操作を実施した後、プローブとショルダ部材とを繰り返し、軸方向に抜き差し移動させて、重合せ部の摩擦撹拌部から(ショルダ部材とプローブとの間の)隙間に流入して溜った或いは固着した被接合金属部材の材料カスの排出を促進せしめる手法を、提案している(特願2005−121088)。
しかしながら、そのような先に提案の摩擦撹拌点接合用回転工具を用いて、摩擦撹拌点接合操作を繰り返し、実施すると、その繰返し回数が比較的少ない場合には、ショルダ部材とプローブとの間の隙間から流入した被接合金属部材の材料カスが、ショルダ部材に設けられた排出孔から効果的に回転工具の外部に排出され、上述したような問題の発生が有利に抑制され得たものの、点接合操作の繰返し回数が多くなるに従って、材料カスが排出孔から外部へ排出し難くなり、結果として、先に提案の摩擦撹拌点接合方法の如く、点接合操作を実施した後に、プローブ及びショルダ部材を、繰り返し、軸方向に相対的に抜き差し移動させて、それら部材の間の隙間に流入した材料カスを排出せざるを得なかったのであり、その点において、未だ改良の余地が残されていたのである。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、以下のものがある。
特許第2712838号公報 特開2001−321967号公報 特開2001−314983号公報 特開2002−120077号公報 特開2001−259863号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、プローブとショルダ部材との間の隙間等に入り込む金属材料を摩擦撹拌点接合操作中に効果的に外部に排出して、かかる金属材料の凝着によって惹起される問題を有利に緩和乃至は回避し、以て、円滑な摩擦撹拌点接合操作を繰り返し行ない得るようにした摩擦撹拌点接合用回転工具を提供することにある。
そして、本発明にあっては、上記した課題を解決するために、複数の被接合金属部材の各板状部を重ね合わせ、その重合せ部の一方の側から回転せしめられつつ差し込まれるロッド状のプローブと、該プローブの周りに外嵌されて同軸的に位置し、該一方の側の面に回転状態下に当接せしめられるショルダ面を有する円筒状のショルダ部材とを備え、且つ、該プローブと該ショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具にして、前記ショルダ部材の内周面上又は前記プローブの外周面上の少なくとも何れか一方に、該ショルダ部材の内周面と該プローブの外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該ショルダ部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする摩擦撹拌点接合用回転工具を、その要旨とするものである。
また、本発明は、複数の被接合金属部材の各板状部を重ね合わせ、その重合せ部の一方の側から回転せしめられつつ差し込まれるロッド状のプローブと、該プローブの周りに外嵌されて同軸的に位置し、該一方の側の面に回転状態下に当接せしめられるショルダ面を有する円筒状のショルダ部材と、該ショルダ部材の外周面に同軸的に外挿され、軸方向に作用せしめられる付勢力によって、先端面が前記重合せ部の一方の側の面に押圧せしめられ得るようになっている円筒状の押圧部材とを備え、且つ、前記プローブと前記ショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具にして、前記押圧部材の内周面上又は前記ショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方に、該押圧部材の内周面と該ショルダ部材の外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該押圧部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする摩擦撹拌点接合用回転工具をも、その要旨とするものである。
従って、このような本発明に係る摩擦撹拌点接合用回転工具にあっては、プローブとショルダ部材とが複動式構造とされており、それらプローブとショルダ部材との間の隙間に、被接合金属部材の板状部を重ね合わせてなる重合せ部に形成される摩擦撹拌部(接合部)から塑性流動化された金属材料(材料カス)が流入してきても、かかる材料カスは、ショルダ部材の内周面上又はプローブの外周面上の少なくとも何れか一方に設けられた突起物によって、摩擦撹拌点接合操作中に有利に分断され、また、分断されて粉状片となった材料カスは、ショルダ部材に形成された排出孔を通じて、ショルダ部材の外部へ有利に排出され得るところから、それらプローブとショルダ部材との間の隙間に金属材料が蓄積して、凝着し、固着することによって惹起されるトラブルは、効果的に抑制乃至は阻止され得るようになるのである。
また、そのような材料カスを分断するための突起物、及び分断された材料カスを排出するための排出孔を備えたことによる作用・効果は、ショルダ部材の外側に円筒状の押圧部材が外挿される複動式構造の摩擦撹拌点接合用回転工具において、材料カスを分断するための突起物が、押圧部材の内周面上又はショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方に設けられると共に、分断された材料カスを排出するための排出孔が、押圧部材の筒壁を貫通するように形成された場合においても、同様に奏され得るところである。即ち、押圧部材とショルダ部材との間の隙間から流入してきた塑性流動化された金属材料(材料カス)は、摩擦撹拌点接合操作中において、上記突起物によって効果的に分断され得ると共に、分断された材料カスは、押圧部材に形成された排出孔を通じて外部へ有利に排出され得ることとなり、以て、押圧部材及びショルダ部材間における金属材料の凝着によって惹起されるトラブルも、効果的に緩和乃至は回避され得るのである。
発明の態様
ところで、本発明は、前記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであり、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 複数の被接合金属部材の各板状部を重ね合わせ、その重合せ部の一方の側から回転せしめられつつ差し込まれるロッド状のプローブと、該プローブの周りに外嵌されて同軸的に位置し、該一方の側の面に回転状態下に当接せしめられるショルダ面を有する円筒状のショルダ部材とを備え、且つ、該プローブと該ショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具にして、前記ショルダ部材の内周面上又は前記プローブの外周面上の少なくとも何れか一方に、該ショルダ部材の内周面と該プローブの外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該ショルダ部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする摩擦撹拌点接合用回転工具。
(2) 前記ショルダ部材の外周面に、同軸的に、円筒状の押圧部材が外挿され、該押圧部材の軸方向に作用せしめられる付勢力によって、該押圧部材の先端面が前記重合せ部の一方の側の面に押圧せしめられ得るようになっており、且つ、該押圧部材の内周面上又は前記ショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方に、該押圧部材の内周面と該ショルダ部材の外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該押圧部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする上記態様(1)に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
このように、プローブ、ショルダ部材並びに押圧部材から構成される複動式構造の摩擦撹拌点接合用回転工具において、ショルダ部材の内周面上又はプローブの外周面上の少なくとも何れか一方のみならず、押圧部材の内周面上又はショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方においても、部材間の隙間に入り込んだ接合金属部材の材料カスを分断するための突起物を設け、更に、ショルダ部材及び押圧部材に、各々の筒壁を貫通する排出孔を形成せしめることによって、各部材間(プローブ−ショルダ部材間、及びショルダ部材−押圧部材間)における金属材料の固着によるトラブルの発生をより有利に回避することが出来る。
(3) 複数の被接合金属部材の各板状部を重ね合わせ、その重合せ部の一方の側から回転せしめられつつ差し込まれるロッド状のプローブと、該プローブの周りに外嵌されて同軸的に位置し、該一方の側の面に回転状態下に当接せしめられるショルダ面を有する円筒状のショルダ部材と、該ショルダ部材の外周面に同軸的に外挿され、軸方向に作用せしめられる付勢力によって、先端面が前記重合せ部の一方の側の面に押圧せしめられ得るようになっている円筒状の押圧部材とを備え、且つ、前記プローブと前記ショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具にして、前記押圧部材の内周面上又は前記ショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方に、該押圧部材の内周面と該ショルダ部材の外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該押圧部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする摩擦撹拌点接合用回転工具。
(4) 前記ショルダ部材に、その筒壁を貫通する排出孔が形成されていることを特徴とする上記態様(3)に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
このような態様は、プローブとショルダ部材との間への金属材料の流入が比較的少ない場合に有利に採用され得る。
(5) 前記ショルダ部材の内周面と前記プローブの外周面との間の隙間が、先端側において狭小間隙とされている一方、基部側においては該狭小間隙よりも大なる隙間となる拡大間隙とされており、更に、該ショルダ部材における該拡大間隙の形成部位に、該ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が形成されていることを特徴とする上記態様(1)乃至(4)の何れか1つに記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
この態様のように、ショルダ部材の内周面とプローブの外周面との間の隙間において、狭小間隙と拡大間隙とを組み合わせた構成が採用されていると共に、ショルダ部材における拡大間隙の形成部位に排出孔が設けられていることによって、ショルダ部材の内周面とプローブの外周面との間の隙間への、摩擦撹拌部(接合部)の塑性流動化された金属材料の流入が、効果的に抑制せしめられつつ、一旦、金属材料が流入しても、狭小間隙の奥(基部側)に位置する拡大間隙の存在により、かかる流入した金属材料は、拡大間隙に有利に導かれ、そこにおいて、ショルダ部材の内周面上又はプローブの外周面上の少なくとも何れか一方に設けられた突起物によって効果的に分断されて、微細な材料カスとされた後、ショルダ部材に設けられた排出孔を通じて外部へ排出され得ることとなるところから、ショルダ部材とプローブとの間の隙間における金属材料の蓄積が、より有利に抑制乃至は阻止され得る。
(6) 前記押圧部材の内周面と前記ショルダ部材の外周面との間の隙間が、先端側において狭小間隙とされている一方、基部側においては該狭小間隙よりも大なる隙間となる拡大間隙とされており、更に、該押圧部材における該拡大間隙の形成部位に、該押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が形成されていることを特徴とする上記態様(2)乃至(5)の何れか1つに記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
この態様においても、前記した態様(5)と同様に、摩擦撹拌部の塑性流動化された金属材料が、押圧部材の内周面とショルダ部材の外周面との間の隙間へ流入することを効果的に抑制しつつ、かかる隙間へ金属材料が流入しても、押圧部材の内周面上又はショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方に設けられた突起物によって、金属材料は効果的に微細な粉状片の材料カスとされ、かかる材料カスは、押圧部材に設けられた排出孔を通じて外部へ排出され得るのであり、以て、押圧部材とショルダ部材との間の隙間における金属材料の蓄積が、より有利に抑制乃至は阻止され得る。
(7) 前記ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が、該ショルダ部材の外周面側から内周面側に向かって、前記ショルダ面側に傾斜して形成されていることを特徴とする上記態様(1)、(2)、(4)乃至(6)の何れか1つに記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
(8) 前記押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が、該押圧部材の外周面側から内周面側に向かって、前記先端面側に傾斜して形成されていることを特徴とする上記態様(2)乃至(7)の何れか1つに記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
かかる(7)及び(8)の態様のように、微細な材料カスを外部へ排出するための排出孔を、ショルダ部材(押圧部材)の外周面側から内周面側に向かって、ショルダ面側(先端面側)に傾斜して形成することによって、材料カスがより効果的に外部へ排出せしめられ得る。
(9) 前記ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が、該ショルダ部材の外周面側から内周面側に向かって、中心軸に向かう方向とは異なる方向に延びていることを特徴とする上記態様(1)、(2)、(4)乃至(8)の何れか1つに記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
(10) 前記押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が、該押圧部材の外周面側から内周面側に向かって、中心軸に向かう方向とは異なる方向に延びていることを特徴とする上記態様(2)乃至(9)の何れか1つに記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
それら(9)及び(10)の態様のように、微細な材料カスを外部へ排出するための排出孔を、ショルダ部材(押圧部材)の外周面側から内周面側に向かって、中心軸に向かう方向とは異なる方向に向かって延びるように形成することによって、材料カスがより効果的に外部へ排出せしめられ得る。
(11) 上記態様(1)乃至(10)の何れか1つに記載の摩擦撹拌点接合用回転工具を備えた摩擦撹拌点接合装置。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を適宜に参照しつつ、詳細に説明することとする。なお、以下の各図面においては、本発明における特徴的部分の理解を容易にすべく、各部材間(プローブ12−ショルダ部材14間、ショルダ部材14−押圧部材16間)の隙間や各部材(プローブ12、ショルダ部材14)に設けられた突起物等は、誇張して示されている。
先ず、図1には、本発明に従う摩擦撹拌点接合用回転工具の一例が、概略的に示されており、また、図2には、図1に示される摩擦撹拌点接合用回転工具の先端部が拡大して示されている。それらの図において、摩擦撹拌点接合用回転工具(以下、適宜、回転工具という)10は、ロッド状のプローブ12及び円筒状のショルダ部材14と、基部側(図において上側)に取付け用のフランジ部を有する円筒状の押圧部材16とが、プローブ12を中心にして、その外側にショルダ部材14を外挿し、更にショルダ部材14の外側に、押圧部材16を外挿せしめてなる形態において、同軸的に配置されてなる構造において、構成されている。
具体的には、プローブ12は、図において下側となる、細長の細径(一般には3〜7mm程度)を有する丸棒状のプローブ先端部12aと、このプローブ先端部12aよりも大径の、基部側の丸棒状のプローブ基部12bとを一体形成してなる構造を有しており、回転工具10の中心に位置するように配置されている。なお、このプローブ12は、従来と同様に、プローブ基部12b側に連結される回転駆動装置(図示せず)によって、その軸回りに高速回転せしめられ得るようになっていると共に、軸方向に往復運動(突き出し運動+引き込み作動)が可能とされている。
また、ショルダ部材14にあっても、それは、プローブ先端部12aよりもやや短い長さにおいて軸方向に延びる、小径薄肉円筒形状のショルダ先端部14a(外径:8〜12mm程度)と、そのようなショルダ先端部14aよりも大径厚肉円筒形状の、基部側に位置するショルダ基部14bとから、一体的に形成されて、プローブ12に外挿せしめられている。なお、このショルダ部材14も、プローブ12と同様に、図示しない回転駆動装置によって、プローブ12と同期して、或いはプローブ12とは別個に、軸回りに高速回転せしめられ得るようになっていると共に、軸方向に往復運動(突き出し運動+引き込み作動)が可能とされている。また、そのようなショルダ先端部14aにおける被接合金属部材に当接乃至は押圧される先端面が、ショルダ面14cとされている。そして、かかるショルダ部材14のショルダ先端部14aの、少なくとも被接合金属部材に接する部分は、先のプローブ12におけるプローブ先端部12aの、少なくとも被接合金属部材に接する部分と共に、そのような被接合金属部材(重合せ部)の材質よりも硬い材質の材料にて形成されており、例えば、被接合金属部材がアルミ材の場合にあっては、鋼材にて形成されることとなる。
さらに、押圧部材16は、バリ押え機能を有するものであって、ショルダ部材14のショルダ先端部14aの長さよりもやや短い長さにおいて軸方向に延びる小径薄肉円筒形状の押圧先端部16a(外径:12〜20mm程度)と、基部側に位置する大径厚肉フランジ状の押圧基部16bとから一体形成されている。このような押圧部材16にあっては、位置固定に設けられた保持部材18に対して、周方向の複数箇所に位置せしめられたステー20によって、軸方向に規制された範囲内において、移動可能に取り付けられているのであり、また、ステー20にて挿通された状態において、圧縮コイルスプリング22が押圧部材16と保持部材18との間に配置されていることから、押圧部材16が図1に示される状態から軸方向上方に移動せしめられた際に、下方への付勢力が生ぜしめられ得るようになっている。なお、この押圧部材16は、先のプローブ12やショルダ部材14とは異なり、後述する摩擦撹拌点接合操作中において、回転させられることはなく、静止状態を保持し得るようになっている。
そして、図1に示される如く、押圧部材16の内孔内にショルダ部材14が挿入配置され、更にショルダ部材14の内孔内にプローブ12が挿入配置されることによって、それら3つの部材(12、14、16)が、同軸的に配設せしめられているのである。
ところで、一般に、上述の如き複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具にあっては、プローブやショルダ部材の軸方向への移動や軸回りの回転を許容するために、プローブとショルダ部材との間、及び、ショルダ部材と押圧部材との間には、必然的に僅かなクリアランス(間隙)が形成されることとなるが、本発明に従う摩擦撹拌点接合用回転工具10においては、以下の如き隙間構造が採用されている。
すなわち、図2に拡大して示されているように、回転工具10の先端部に位置する、プローブ12のプローブ先端部12aの外周面と、ショルダ部材14のショルダ先端部14aの内周面との間の隙間が、先端側において狭小間隙24aとされる一方、基部側においては、狭小間隙24aよりも大なる隙間となる拡大間隙24bとされている。また、ショルダ部材14のショルダ先端部14aの外周面と、押圧部材16の押圧先端部16aの内周面との間の隙間においても、その先端側が狭小間隙26aとされている一方、基部側においては、そのような狭小間隙26aよりも大なる隙間となる拡大間隙26bとされている。なお、かかるクリアランスの大きな隙間となる2つの拡大間隙24b及び26bは、ここでは、ショルダ部材14のショルダ先端部14aの内周面及び押圧部材16の押圧先端部16aの内周面が、それぞれ、先端側よりも基部側において大径となる段付き面として、形成されていることによって、プローブ12のプローブ先端部12aの外周面との間において、また、ショルダ部材14のショルダ先端部14aの外周面との間において、それぞれ形成されている。
このような所定の隙間構造を先端部にて有する回転工具10においては、狭小間隙24a、26aによって、被接合金属部材に形成される摩擦撹拌部の材料が、プローブ先端部12aとショルダ先端部14aとの間の隙間や、ショルダ先端部14aと押圧先端部16aとの間の隙間に入り込むことを阻止しつつ、それら狭小間隙24a、26bを通じて材料が入り込んできても、基部側に位置する大きなクリアランスの拡大間隙24b、26b内にそれぞれ導かれ、そしてそこにおいて、後述する突起物によって、流入してきた材料は摩擦撹拌点接合操作中に効果的に分断され、排出孔を通じて外部へ排出せしめられるのであって、そのため、入り込んだ材料にて、プローブ先端部12aの外周面とショルダ先端部14aの内周面、及び、ショルダ先端部14aの外周面と押圧先端部16aの外周面とが、全周面に亘って固着せしめられることが効果的に回避乃至は抑制され得ることとなる。これにより、摩擦撹拌点接合操作を繰り返し実施しても、プローブ12やショルダ部材14のスムーズな回転作動や往復移動が確保されることとなるのである。また、それぞれの狭小間隙24a、26aにおいて、固着が生じた場合にあっても、それら狭小間隙24a、26aの軸方向長さを適宜に選定することにより、固着領域を制御し得るところから、大きな力を要することなく、プローブ12やショルダ部材14を、摩擦撹拌点接合操作中において、回転せしめていることにより、また、プローブ12とショルダ部材14の回転速度を相互に異ならしめることにより、かかる狭小間隙24a、26aにおける固着を回避することが可能となるのである。
なお、かかる狭小間隙24a、26aは、そのクリアランスの大きさに応じて、流入してきた材料の固着に起因するトラブルの発生が回避され得るような軸方向長さにおいて、設けられることとなるが、その軸方向長さ:x、yとしては、一般に、0.1〜5mm、好ましくは1〜4mm程度とされることとなる。この軸方向長さ:x、yが余りにも短くなると、その形成が困難となるからであり、また、長くなり過ぎた場合にあっては、それら狭小間隙24a、26a内に入り込んだ材料による部材間の固着が惹起されて、作動不良を生じる恐れが高くなるからである。なお、図2において、ショルダ先端部14aの外周面と押圧先端部16aの内周面との間の狭小間隙26aの軸方向長さ:yが、押圧先端部16aの先端の小径部分の軸方向長さとして規定されているが、これは、摩擦撹拌点接合操作時においては、押圧先端部16aの先端面とショルダ先端部14aの先端面たるショルダ面14cとが、面一となるからである。
また、それら狭小間隙24a、26aのクリアランスの大きさとしては、摩擦撹拌部において塑性流動する材料の入り込みが抑制され得るように、可及的に小さな隙間とされることが望ましく、一般に、0.05〜0.5mm程度、好ましくは0.1〜0.4mm程度の大きさの隙間とされていることが望ましい。それら狭小間隙24a、26aのクリアランスを大きくすると、そこに入り込む材料の量が多くなって、固着等のトラブルを惹起し易くなるからである。
さらに、拡大間隙24b、26bは、それぞれ、狭小間隙24a、26aよりも回転工具10の基部側において、それら狭小間隙24a、26aのクリアランスよりも大きな隙間を与えるように設けられており、これによって、狭小間隙24a、26aから入り込む材料を収容し、更に、後述するように、そこに設けられた突起物によって流入してきた材料を効果的に分断せしめるようになっているのであるが、これらの機能を有利に実現せしめる上において、そのクリアランスの大きさとして、有利には、0.5mm以上、好ましくは1mm以上の大きさとされることとなる。なお、図1及び図2から明らかな如く、狭小間隙24a、26aから拡大間隙24b、26bに至る面、即ち、ショルダ先端部14aの内周面及び押圧先端部16aの内周面における小径部位から大径部位に移行する面は、傾斜面とされており、狭小間隙24a、26a内に入り込んだ材料が、拡大間隙24b、26b内にスムーズに導かれ得るようになっているのであり、更に図1に示される如く、ショルダ先端部14aからショルダ基部14bに続くテーパ内周面と、押圧先端部16aから押圧基部16bに続く段付き面によって、それぞれ、拡大間隙24b、26bが、回転工具10の基部側へ大径の間隙として、延長せしめられている。
そして、本発明に従う回転工具10にあっては、上述の如き隙間構造と共に、図2乃至図4に拡大して示されているように、各部材の先端部において、以下の構造を有しているのである。即ち、先ず、プローブ先端部12aにおいては、その外周面上の先端面から軸方向に所定距離離れた部位に、外方(ショルダ部材14側)に向かって突出する4つの第一突起物28a〜28dが設けられており[図2及び図3参照]、かかる第一突起物28a〜28dに対応するように、ショルダ先端部14aにおいては、その内周面上の、プローブ先端部12aに設けられた第一突起物28a〜28dよりやや上側(ショルダ基部14b側)に、第一排出孔30a〜30dが設けられている[図2及び図3参照]。また、ショルダ先端部14aにおいては、その外周面上のショルダ面14cから軸方向に所定距離離れた部位と、かかる部位より更に上側(基部側)に所定距離離れた部位に、それぞれ外方(押圧部材16側)に向かって突出する突起物(下側第二突起物32a〜32d、上側第二突起物34a〜34d)が設けられており、また、押圧先端部16aにおいては、ショルダ先端部14aに設けられた各突起物(32a〜32d、34a〜34d)に対応する排出孔(下側第二排出孔36a〜36d、上側第二排出孔38a〜38d)が、押圧先端部16aの内周面上に形成された各突起物(32a〜32d、34a〜34d)に対応して設けられているのである[図2及び図4参照]。なお、上側第二突起物34a〜34dは、下側第二突起物32a〜32dと同様の横断面形状を有するものであることから、かかる上側第二突起物34a〜34dについての横断面説明図は省略している。
より具体的には、プローブ先端部12aの第一突起物28a〜28d、及び、ショルダ先端部14aの下側第二突起物32a〜32d並びに上側第二突起物34a〜34dは、何れも、プローブ先端部12a又はショルダ先端部14aの外周面上に、周方向に等間隔をもって形成されていると共に、それら各突起物における上側(基部側)の側面は水平面とされている一方、下側(先端面側、ショルダ面14c側)の側面は、プローブ先端部12a又はショルダ先端部14aから外方(ショルダ先端部14a側又は押圧先端部16a側)に向かって上傾する傾斜面とされている。また、それら各突起物における外側(ショルダ先端部14a側又は押圧先端部16a側)の側面と、ショルダ先端部14a又は押圧先端部16aの内周面との間には、上述した狭小間隙24a、26aと同程度の隙間(クリアランス)が形成せしめられている。
また、かかる突起物(28a〜28d、32a〜32d、34a〜34d)の各々に対応する、ショルダ先端部14aの筒壁を貫通する第一排出孔30a〜30d、及び、押圧先端部16aの筒壁を貫通する下側第二排出孔36a〜36d並びに上側第二排出孔38a〜38dは、何れも真円状の円形孔であって、上述した突起物と同様に、ショルダ先端部14a又は押圧先端部16aの周方向に等間隔をもって形成されているのである。
そして、このような摩擦撹拌点接合用回転工具10においては、被接合金属部材に形成される摩擦撹拌部の金属材料が、摩擦撹拌点接合操作中に、プローブ先端部12aとショルダ先端部14aとの間の隙間や、ショルダ先端部14aと押圧先端部16aとの間の隙間に入り込んでも、プローブ先端部12aとショルダ先端部14aとの間の隙間に入り込んだ材料については、プローブ先端部12aと同様に回転する第一突起物28a〜28dによって、また、ショルダ先端部14aと押圧先端部16aとの間の隙間に入り込んだ材料については、ショルダ先端部14aと同様に回転する下側第二突起物32a〜32d及び上側第二突起物34a〜34dによって、それぞれ効果的に分断されるのであり、かかる分断によって小さな粉状片となった金属材料は、ショルダ先端部14a又は押圧先端部16aに設けられた各排出孔(30a〜30d、36a〜36d、38a〜38d)を通じて回転工具10の外部へ排出される。これにより、プローブ先端部12aの外周面とショルダ先端部14aの内周面とが、入り込んだ金属材料にて固着せしめられることはなく、また同様に、ショルダ先端部14aの外周面と押圧先端部16aの内周面との間における固着も効果的に回避乃至は抑制され得ることとなり、以て、プローブ12やショルダ部材14の回転作動や往復運動が有利に確保され、長時間に亘る摩擦撹拌点接合操作の実施が可能ならしめられることとなるのである。
ここで、本発明に従う突起物について、その配設個数や配設位置等は、摩擦撹拌点接合操作における各種条件、点接合が実施される被接合金属部材の種類、厚さ等に応じて、適宜に決定される。即ち、各部材間の隙間に流入する金属材料を効果的に分断し得るように、1つの突起物が、プローブ12(プローブ先端部12a)及び/又はショルダ部材14(ショルダ先端部14a)の各々の外周面上の所定の位置に、或いは、複数の突起物が、それら部材の外周面上に、周方向及び/又は軸方向に任意の距離を隔てて、設けられることとなる。
また、本発明の排出孔にあっても、上述の突起物と同様に、摩擦撹拌点接合操作における各種条件等を考慮し、更に、突起物によって分断された材料カスが有利に外部へ排出し得るように、その配設個数や配設位置が決定されるのであり、1つの排出孔が、ショルダ部材14(ショルダ先端部14a)及び/又は押圧部材16(押圧先端部16a)の所定の位置に、或いは、複数の排出孔が、それら部材の周方向及び/又は軸方向に任意の距離を隔てた位置に、設けられることとなる。なお、そのような排出孔は、突起物によって分断された材料カスを外部に有利に排出せしめ得る形状を呈するものであればよく、例えば、真円状の孔や、各部材の軸方向に延びる長円状(平行な2直線の対応する端部同士を半円の線分にて接続した形状)の孔等が採用される。具体的には、1〜5mm程度の直径を有する真円状の孔や、軸方向の長さが2〜30mm程度で、幅が1〜5mm程度の長円状の孔が、ショルダ先端部14a及び/又は押圧先端部16aに設けられる。
そのような本発明の突起物及び排出孔に関して、例えば、図1乃至図4に示されている如き、その先端部において、狭小間隙24a、26aと拡大間隙24b、26bとからなる隙間構造が採用されている回転工具10にあっては、突起物及び排出孔は、各々の部材の拡大間隙形成部位に設けられる。より具体的には、(1)プローブ先端部12aの第一突起物28a〜28dは、先端面から9〜15mm程度(先端面から突起物の上下方向における幅の中心までの距離。以下の突起物についても同じ。)離れた位置に設けられ、また、(2)ショルダ先端部14aにおいて、(2−1)第一排出孔30a〜30dは、その中心(内周面側の開孔部における上下方向の中心。以下の排出孔についても同じ。)がショルダ面14cから10〜16mm程度(ショルダ面(先端面)から、内周面側の開孔部における上下方向の中心までの距離。以下の排出孔についても同じ。)離れた位置に、(2−2)下側第二突起物32a〜32dはショルダ面14cから5〜9mm程度離れた位置に、(2−3)上側第二突起物34a〜34dは、下側第二突起物32a〜32dの中心から軸方向に8〜12mm程度離れた位置に、各々、設けられ、更に、(3)押圧先端部16aにおいて、(3−1)下側第二排出孔36a〜36dは先端面から6〜10mm程度離れた位置に、(3−2)上側第二排出孔38a〜38dは、下側第二排出孔36a〜36dの中心から軸方向に8〜12mm程度離れた位置に、それぞれ設けられる。
ところで、このような本発明に従う摩擦撹拌点接合用回転工具10を用いて、複数の被接合金属部材の板状部の重合せ部に対する摩擦撹拌点接合操作を実施する場合には、例えば、図5及び図6に示される如き工程に従って、実施されることとなる。
因みに、図5及び図6において、裏当て治具40の上には、摩擦撹拌点接合せしめられる被接合金属部材の板状部を構成する2枚の金属板42、44が、上下方向に重ね合わせられた状態で載置され、そして、従来と同様にして、位置固定にクランプされている。なお、それら2枚の金属板42、44は、何れも、摩擦撹拌接合が可能な金属材質のものであって、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、銅、銅合金、鉄若しくはその合金等からなるものであり、また、それら金属板42、44には、同一材質のものや、異なる材質のものが適宜に選択されることとなる。
そして、摩擦撹拌点接合操作のスタート時点においては、図5(a)に示されている如く、金属板42、44の重合せ部の上方に、回転工具10の先端部を位置せしめた状態において、プローブ12(プローブ先端部12a)とショルダ部材14(ショルダ先端部14a)を共に高速回転せしめ、その状態で、回転工具10の先端部を下降させる。次いで、押圧部材16(押圧先端部16a)が、その先端面において、上側の金属板42に当接された後、更に、押圧されると、押圧部材16は、圧縮コイルスプリング22[図1参照]の付勢力に抗して、後退(上昇)し、プローブ12及びショルダ部材14の先端面と面一となって[図5(b)参照]、その高速回転せしめられるプローブ12及びショルダ部材14の先端面が重合せ部に接触乃至は押し付けられることにより、金属板42の側より摩擦発熱せしめられる。更に、その摩擦発熱により、金属板42が軟化せしめられた状態において、図5(c)に示される如く、プローブ12が差し込まれ、そして、このプローブ12による摩擦発熱作用が加わって、2枚の金属板42、44に跨る摩擦撹拌部46が形成される一方、ショルダ部材14が後退せしめられて、プローブ12の差し込み(突出)により余剰となった摩擦撹拌部46の材料が、かかるショルダ部材14の後退によって形成される空間にて吸収されるようになっている。このように、ショルダ部材14の外側に押圧部材16を配して、摩擦撹拌部46の外周部となる金属板42の表面を押圧しつつ、材料の吸収をショルダ部材14の後退によって行なうことにより、バリの発生がより一層効果的に行なわれ得るようになっているのである。
次いで、図5(c)の状態から、プローブ12を後退せしめると、図6(a)に示される如く、プローブ12の抜けた穴、所謂プローブ穴48が、そのまま摩擦撹拌部46に残るようになるところから、かかるプローブ12の後退と同時に、或いは後退の後に、ショルダ部材14を前進(下降)させて、ショルダ部材14の先端面たるショルダ面14cにて摩擦撹拌部46の上面を押圧して、プローブ穴48内に周囲の摩擦撹拌部46の材料を流れ込ませて、図6(b)に示される如く、プローブ穴48を埋め、それを消滅させた後、図6(c)の如く、回転工具10が上方に後退せしめられることにより、重ね合わせられた2枚の金属板42、44が、プローブ穴48の存在しない摩擦撹拌部46にて与えられる接合部により、有効な継手強度をもって、強固に接合せしめられたものとなるのである。
そして、このような摩擦撹拌点接合方法において、本発明の回転工具10を用いると、プローブ12(プローブ先端部12a)及びショルダ部材14(ショルダ先端部14a)の先端面が金属板42に接触してから離れるまでの間[図5(b)〜図6(b)参照]に、金属板42、44に跨って形成される摩擦撹拌部36の材料の一部が、プローブ先端部12aの内周面とショルダ先端部14aの外周面との間の隙間に入り込んでも、回転しているプローブ先端部12a上に設けられた第一突起物28a〜28dによって効果的に分断され、これによって粉状片とされた材料カスは、ショルダ先端部14aの筒壁を貫通する第一排出孔30a〜30d、及び、押圧先端部16aの筒壁を貫通する下側第二排出孔36a〜36d並びに上側第二排出孔38a〜38dを通じて外部へ排出せしめられるのであり、また、ショルダ先端部14aの外周面と押圧先端部16aの内周面との間の隙間に流入した材料にあっても、回転しているショルダ先端部14aに設けられた下側第二突起物32a〜32d及び上側第二突起物34a〜34dによって分断されて粉状片となって、押圧先端部16aの下側第二排出孔36a〜36d及び上側第二排出孔38a〜38dを通じて外部へ排出せしめられるのである。このように、本発明の回転工具10においては、プローブ先端部12aとショルダ先端部14aとの間の隙間や、ショルダ先端部14aと押圧先端部16aとの間の隙間に材料が入り込んで惹起される問題を、一般的な摩擦撹拌接合操作とは別の工程を何ら必要とすることなく、有利に抑制乃至は解消することが可能ならしめられたのである。
なお、上記した摩擦撹拌点接合方法は、単なる一つの例示に過ぎないものであって、本発明に従う摩擦撹拌点接合用回転工具は、従来より公知の各種の手法において採用され得るものであることは勿論、また、例示の方法の変形例として、図5(b)の工程に代えて、プローブ12のみを突き出し(ショルダ部材14は金属板42と当接することなく、それとの間に所定の空間が形成される)、プローブ12の当接により、摩擦発熱させて、金属板42を軟化せしめ、そして、図5(c)の如く差し込んで、摩擦撹拌部46を形成するようにすることも可能であり、これによって、ショルダ部材14と押圧部材16との間の固着に基づくところのトラブルの発生を、より一層効果的に防止することが可能である。また、プローブ穴48の穴埋めが完了した図6(b)に示される状態から、回転工具10を、図6(c)の如く引き離す際に、図6(b)の状態でプローブ12を少し突き出す(図において下降させる)ことにより、ショルダ部材14とワーク(42、44)との間の固着や、押圧部材16とワーク(42、44)との間の固着を上手く剥がしつつ、回転工具10の全体を効果的に離脱せしめることが出来るのであって、本発明においては、有利に採用される手法である。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものでないことが、理解されるべきである。なお、以下に説明する回転工具52[図7〜図9参照]及び回転工具60[図10参照]においては、図1〜図4に示した回転工具10と同様な部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略することとする。
例えば、上述した実施形態においては、回転工具10のショルダ部材14(ショルダ先端部14a)における第一排出孔30a〜30d、及び、押圧部材16(押圧先端部16a)における下側第二排出孔36a〜36d並びに上側第二排出孔38a〜38dは、何れも、各々の中心軸(回転軸)に向かって水平方向(図中の左右方向)に延びるように形成せしめられているが、本発明における排出孔は、そのような形態に限定されるものではなく、図7〜図9に示される如き形態において設けることも可能である。
すなわち、図7には、本発明の他の実施形態に係る摩擦撹拌点接合用回転工具52の先端部が拡大して示されているが、そこにおいて、ショルダ先端部14aにおける第一排出孔54a〜54d、及び、押圧先端部16aにおける下側第二排出孔56a〜56d並びに上側第二排出孔58a〜58dは、各々、部材(ショルダ先端部14a、押圧先端部16a)の外周面側から内周面側に向かって、その先端面側に傾斜していると共に[図7参照]、中心軸に向かう方向とは異なる方向に延びるように形成されている[図8及び図9参照]。このような形態の排出孔を設けることにより、各突起物(28a〜28d、32a〜32d、34a〜34d)によって分断された材料カスが、より効果的に回転工具52の外部へ排出せしめられ得るのである。なお、本発明においては、排出孔を、各部材の外周面側から内周面側に向かって、1)水平方向に、且つ、各部材の中心軸とは異なる方向に延びるように、或いは、2)各部材の先端面側に傾斜せしめて、且つ、それらの中心軸に向かうように設けることや、更には、押圧部材及びショルダ部材において、それぞれ異なる形態の排出孔を設けることも、勿論可能である。
また、本発明における突起物も、上述した実施形態において示された形状のものに限定されるものではなく、図10に示されている回転工具60のように、プローブ12(プローブ先端部12a)の外周面にネジ部62を形成せしめて、かかるネジ部62のネジ山部をもって本発明の突起物とすることも可能である。
さらに、上述した実施形態においては、何れも、プローブ先端部12aの外周面上及びショルダ先端部14aの外周面上に、そこから外方に向かう突起物が形成せしめられているが、本発明においては、そのような突起物と共に、或いはそれらに代えて、ショルダ先端部14aの内周面上からプローブ先端部12aの外周面に向かう突起物や、押圧先端部16aの内周面上からショルダ先端部14aの外周面に向かう突起物を、設けることも可能である。
また、上述した実施形態では、何れの回転工具も、ショルダ部材14の外側に押圧部材16が外挿されてなる構造を有し、これによって、摩擦撹拌点接合時におけるバリの発生が効果的に抑制されているが、そのような押圧部材16は、本発明において必須のものではない。
加えて、上述した実施形態においては、何れも、プローブ12とショルダ部材14との間の隙間と共に、ショルダ部材14と押圧部材16との間の隙間にも、本発明が適用されて、流入してきた材料を分断するための突起物と、かかる分断によって粉状片となった材料カスを排出するための排出孔が設けられているが、それら何れか一方の隙間においてのみ本発明を適用する(突起物及び排出孔を設ける)ことも可能である。例えば、プローブ、ショルダ部材及び押圧部材を備えた回転工具において、プローブ−ショルダ部材間への材料の流入が少ないような場合には、プローブの外周面(及びショルダ部材の内周面)上には突起物を設けず、ショルダ部材に、(1−1)プローブ−ショルダ部材間に流入した材料を排出するための排出孔と、(1−2)ショルダ部材−押圧部材間に流入する材料を分断するための突起物とを設け、また、押圧部材には、かかるショルダ部材に設けられた突起物によって分断された材料カスを外部へ排出するための排出孔を設けることも、有利に行なわれ得る。
更にまた、例示の具体例では、摩擦撹拌点接合されるべき被接合金属部材として、板材である金属板32、34を用いた例において、本発明の説明が為されているが[図5及び図6参照]、そのような被接合金属部材の形状としては、板材に何等限定されるものではなく、摩擦撹拌点接合操作が施される重合せ部が、それぞれ、板状乃至は面板状である限りにおいて、何れの部材も、採用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において、実施され得るものであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
−実験例1−
先ず、被接合金属部材としての、厚さ:1mmの6000系アルミニウム板材(6016−T4)の2枚と、図1〜図4に示される複動式構造の回転工具10とを準備した。ここで、かかる回転工具10においては、その狭小間隙24a、26aの軸方向長さ:x、yが、各々、5mmとされていると共に、(1)第一突起物28a〜28dは、プローブ先端部12aの先端面から12mm(先端面から突起物の上下方向の中心までの距離。以下の突起物についても同様。)離れた位置に、また、(2)ショルダ先端部14aにおいて、(2−1)第一排出孔30a〜30dは、ショルダ先端面14cから13mm(先端面から排出孔の中心までの距離。以下の排出孔についても同様。)離れた位置に、(2−2)下側第二突起物32a〜32dはショルダ先端面14cから7mm離れた位置に、(2−3)上側第二突起物34a〜34dは、ショルダ先端面14cから17mm(下側第二突起物32a〜32dの中心から10mm)離れた位置に、各々、設けられており、更には、(3)押圧先端部16aにおいて、(3−1)下側第二排出孔36a〜36dは押圧先端部16aの先端面から8mm離れた位置に、(3−2)上側第二排出孔38a〜38dは、先端面から18mm(下側第二排出孔32a〜32dの中心から10mm)離れた位置に、それぞれ設けられている。また、排出孔(30a〜30d、36a〜36d、38a〜38d)は真円状であって、その大きさ(孔径)は5mmとされている。
次いで、それらアルミニウム板材の2枚を重ね合わせ、その下板側に裏当て治具30を当接せしめた状態において、図5及び図6に示される如くして、摩擦撹拌点接合操作を実施した。具体的には、回転工具10の押圧部材16を上板側から当接せしめた後、プローブ12とショルダ部材14とを、それぞれ1500rpmで高速回転せしめつつ、それらが面一となるように当接せしめ、次いで、プローブ12を、下板に0.2mm差し込まれるように突き出して、摩擦撹拌部46を形成し、更に、その後、プローブ12を引き抜くときに、ショルダ部材14を上板に対して0.1mm押し込むことにより、プローブ穴48を埋め込んで、かかるプローブ穴48が接合部50の表面に残らないようにして、2枚のアルミニウム板材の接合を行なった。
その結果、押圧部材16がショルダ部材14の外周へのバリの発生を抑えたために、バリの発生のない摩擦撹拌点接合が実現された。また、その接合部50は、0.05mm以下の凹凸状態の表面であって、実質的に平坦な表面と認められるものであり、また、裏面も略平坦で健全なものであった。
そして、そのような摩擦撹拌点接合操作を続けて、300回繰り返すことからなる、300打点の点接合を試みたところ、その最後に至るまで、装置が停止することなく、健全な点接合を実施することが出来た。また、かかる点接合を実施した後、回転工具10の先端部を分解したところ、プローブ12とショルダ部材14との間の隙間、及び、ショルダ部材14と押圧部材16との間の隙間において、アルミ(材料)の凝着は認められず、それら隙間に流れ込んできたアルミ(材料)は、点接合操作中に、効果的に回転工具10の外部へ排出されたことが認められた。
−実験例2−
回転工具として、実験例1とは異なり、拡大間隙24b、26bが設けられておらず(従って、狭小間隙24a、26aのみのクリアランスとなる)、また、突起物(28a〜28d、32a〜32d、34a〜34d)も設けられておらず、更には排出孔(30a〜30d、36a〜36d、38a〜38d)も設けられていない回転工具を用いること以外は、実験例1と同様にして、2枚のアルミニウム板材の重合せ部に対して、摩擦撹拌点接合操作を実施したところ、連続15打点でアルミの凝着が激しく、回転工具の抜き差しの荷重が高くなって、リミッターが働き、装置が停止した。
本発明に従う摩擦撹拌点接合用回転工具の一例を示す縦断面説明図である。 図1に示される回転工具の先端部を拡大して示す説明図である。 図2におけるA−A断面説明図である。 図2におけるB−B断面説明図である。 本発明に従う回転工具を用いた摩擦撹拌点接合方法の、前半の工程を示す工程説明図であって、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ各工程における一形態を示す説明図である。 図5に続く摩擦撹拌点接合方法の、後半の工程を示す工程説明図であって、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、その工程の一形態を示す説明図である。 本発明に従う摩擦撹拌点接合用回転工具の他の一例を示す、図2に対応する拡大説明図である。 図7におけるC−C断面説明図である。 図7におけるD−D断面説明図である。 本発明に従う摩擦撹拌点接合用回転工具の更に他の一例を示す、図2に対応する拡大説明図である。
符号の説明
10 摩擦撹拌点接合用回転工具 12 プローブ
12a プローブ先端部 12b プローブ基部
14 ショルダ部材 14a ショルダ先端部
14b ショルダ基部 14c ショルダ面
16 押圧部材 16a 押圧先端部
16b 押圧基部 18 保持部材
20 ステー 22 圧縮コイルスプリング
24a 狭小間隙 24b 拡大間隙
26a 狭小間隙 26b 拡大間隙
28a〜28d 第一突起物
30a〜30d 第一排出孔
32a〜32d 下側第二突起物
34a〜34d 上側第二突起物
36a〜36d 下側第二排出孔
38a〜38d 上側第二排出孔
40 裏当て治具 42、44 金属板
46 摩擦撹拌部 48 プローブ穴
50 接合部 52 摩擦撹拌点接合用回転工具
54a〜54d 第一排出孔
56a〜56d 下側第二排出孔
58a〜58d 上側第二排出孔
60 摩擦撹拌点接合用回転工具 62 ネジ部

Claims (11)

  1. 複数の被接合金属部材の各板状部を重ね合わせ、その重合せ部の一方の側から回転せしめられつつ差し込まれるロッド状のプローブと、該プローブの周りに外嵌されて同軸的に位置し、該一方の側の面に回転状態下に当接せしめられるショルダ面を有する円筒状のショルダ部材とを備え、且つ、該プローブと該ショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具にして、
    前記ショルダ部材の内周面上又は前記プローブの外周面上の少なくとも何れか一方に、該ショルダ部材の内周面と該プローブの外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該ショルダ部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする摩擦撹拌点接合用回転工具。
  2. 前記ショルダ部材の外周面に、同軸的に、円筒状の押圧部材が外挿され、該押圧部材の軸方向に作用せしめられる付勢力によって、該押圧部材の先端面が前記重合せ部の一方の側の面に押圧せしめられ得るようになっており、且つ、該押圧部材の内周面上又は前記ショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方に、該押圧部材の内周面と該ショルダ部材の外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該押圧部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  3. 複数の被接合金属部材の各板状部を重ね合わせ、その重合せ部の一方の側から回転せしめられつつ差し込まれるロッド状のプローブと、該プローブの周りに外嵌されて同軸的に位置し、該一方の側の面に回転状態下に当接せしめられるショルダ面を有する円筒状のショルダ部材と、該ショルダ部材の外周面に同軸的に外挿され、軸方向に作用せしめられる付勢力によって、先端面が前記重合せ部の一方の側の面に押圧せしめられ得るようになっている円筒状の押圧部材とを備え、且つ、前記プローブと前記ショルダ部材とが別体に構成されて、別個に軸方向に移動可能とされた複動式構造を呈する摩擦撹拌点接合用回転工具にして、
    前記押圧部材の内周面上又は前記ショルダ部材の外周面上の少なくとも何れか一方に、該押圧部材の内周面と該ショルダ部材の外周面との間の隙間から入り込んだ前記被接合金属部材の材料カスを分断するための突起物が設けられていると共に、該押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が形成され、該排出孔を通じて、前記突起物にて分断された材料カスが該押圧部材の外部へ排出され得るようにしたことを特徴とする摩擦撹拌点接合用回転工具。
  4. 前記ショルダ部材に、その筒壁を貫通する排出孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  5. 前記ショルダ部材の内周面と前記プローブの外周面との間の隙間が、先端側において狭小間隙とされている一方、基部側においては該狭小間隙よりも大なる隙間となる拡大間隙とされており、更に、該ショルダ部材における該拡大間隙の形成部位に、該ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  6. 前記押圧部材の内周面と前記ショルダ部材の外周面との間の隙間が、先端側において狭小間隙とされている一方、基部側においては該狭小間隙よりも大なる隙間となる拡大間隙とされており、更に、該押圧部材における該拡大間隙の形成部位に、該押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  7. 前記ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が、該ショルダ部材の外周面側から内周面側に向かって、前記ショルダ面側に傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  8. 前記押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が、該押圧部材の外周面側から内周面側に向かって、前記先端面側に傾斜して形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れか1項に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  9. 前記ショルダ部材の筒壁を貫通する排出孔が、該ショルダ部材の外周面側から内周面側に向かって、中心軸に向かう方向とは異なる方向に延びていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項8の何れか1項に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  10. 前記押圧部材の筒壁を貫通する排出孔が、該押圧部材の外周面側から内周面側に向かって、中心軸に向かう方向とは異なる方向に延びていることを特徴とする請求項2乃至請求項9の何れか1項に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具。
  11. 請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の摩擦撹拌点接合用回転工具を備えた摩擦撹拌点接合装置。
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