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JP4871307B2 - エンジンの燃料制御装置 - Google Patents

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JP4871307B2 JP2008017490A JP2008017490A JP4871307B2 JP 4871307 B2 JP4871307 B2 JP 4871307B2 JP 2008017490 A JP2008017490 A JP 2008017490A JP 2008017490 A JP2008017490 A JP 2008017490A JP 4871307 B2 JP4871307 B2 JP 4871307B2
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Description

本発明は、気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減すべく、各気筒毎に燃料供給量を制御するエンジンの燃料制御装置に係り、特に、各気筒毎に燃料噴射弁が配在された多気筒エンジンに好適な燃料制御装置に関する。
従来、車載エンジンの分野において、安定性、排気エミッション性能、ドライバビリティ等を向上させるべく、例えば特許文献1に見られるように、気筒間での瞬時回転速度(クランク角速度)のばらつきを低減する技術が提案されている。この特許文献1に所載のエンジンの制御装置では、エンジンの回転数、燃料噴射量等の運転状態パラメータにより区分した運転領域毎に、瞬時回転速度の全気筒平均値に対する各気筒の偏差量に基づいて燃料噴射量の補正量を気筒別に算出している。
前記補正量はエンジン回転数、燃料噴射量等で区分された気筒別のデータマップ上の該当領域に格納するようになっている。
特開2007−32557号公報
上記特許文献1に所載の制御装置では、各気筒毎に設定された運転領域別データマップを使用するようにしているので、一つの運転領域について設定された補正量はその運転領域でしか使用できず、全運転領域について適切な補正量を設定するためには、全運転領域でエンジンを運転する必要があり、全運転領域で燃料噴射量の補正が完了するまでには相当の時間がかかる。
また、補正量を持つ領域と持たない領域を行き来する際には、近隣領域間であっても燃料噴射量に過大な差が生じる可能性があり、補正量を算出することによって回転変動を助長したり排気エミッション性能の低下等を招くおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減するための燃料噴射量の補正を、全運転領域について的確かつ合理的にしかも速やかに行うことのできるエンジンの燃料制御装置を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本願の発明者等は鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得た。すなわち、気筒間においてクランク角速度にばらつきが発生する要因としては、燃料噴射弁の個体差(特性の相違)による燃料噴射量のばらつき、各気筒の吸気ポートや燃焼作動室に残留する壁流燃料量の相違、動弁機構の作動誤差等による吸入空気量のばらつき等があるが、エンジンの運転状態が比較的高負荷の領域にあるときには、燃料噴射弁の個体差による燃料噴射量のばらつきが前記クランク角速度ばらつきの主な発生要因となるのに対し、エンジンの運転状態が比較的低負荷の領域(アイドル領域)にあるときには、前記壁流燃料量の相違や吸入空気量のばらつきが前記クランク角速度ばらつきの主な発生要因となる等、エンジンの運転状態パラメータにより区分される運転領域によって前記クランク角速度ばらつき発生要因の比率が異なること、つまり、高負荷領域では燃料噴射量のばらつきによる要因の比率が高く、低負荷時領域(アイドル領域)では前記壁流燃料量の相違や吸入空気量のばらつきによる要因の比率が高いことが分かった(後述する図6参照)。
本発明は、上記知見並びにそれに基づく考察に立脚してなされたものである。
すなわち、本発明に係るエンジンの燃料制御装置の一つは、基本的には、気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減すべく、各気筒毎に燃料供給量を制御するもので、エンジンの運転状態パラメータにより区分された、前記クランク角速度のばらつき発生要因の比率が異なる複数の運転領域毎に、各気筒の爆発行程でのクランク角速度を算出するクランク角速度算出手段と、前記運転領域毎に、前記各気筒のクランク角速度に基づいて全気筒の平均クランク角速度を求め、該全気筒平均クランク角速度に対する各気筒のクランク角速度の偏差量又はその相関値を算出するクランク角速度偏差量算出手段と、前記気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減すべく、前記偏差量又はその相関値に基づき、前記運転領域別に、前記燃料供給量の算出過程における異なる段階において補正を加える複数の燃料供給量補正手段と、を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料制御装置の他の一つは、基本的には、各気筒毎に燃料噴射弁が配在され、気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減すべく、各気筒毎に燃料噴射量を制御する火花点火式エンジンに適用されるもので、エンジンの運転状態パラメータにより区分された、前記クランク角速度のばらつき発生要因の比率が異なる複数の運転領域毎に、各気筒の爆発行程でのクランク角速度を算出するクランク角速度算出手段と、前記運転領域毎に、前記各気筒のクランク角速度に基づいて全気筒の平均クランク角速度を求め、該全気筒平均クランク角速度に対する各気筒のクランク角速度の偏差量又はその相関値を算出するクランク角速度偏差量算出手段と、前記気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減すべく、前記偏差量又はその相関値に基づき、前記運転領域別に、前記燃料噴射量の算出過程における異なる段階において補正を加える複数の燃料噴射量補正手段と、を備えていることを特徴としている。
好ましい態様では、前記運転状態パラメータとして、吸入空気量、吸気圧、及びエンジン回転数のうちの少なくとも一つが用いられる。
より好ましい態様では、前記運転状態パラメータとして、エンジン負荷とエンジン回転数が用いられる。
他の好ましい態様では、前記複数の燃料噴射量補正手段として、エンジンの運転状態に基づいて算出される基本噴射量に補正を加える基本噴射量補正手段と、前記燃料噴射量を前記燃料噴射弁の開弁時間に換算するための燃料噴射弁定数に補正を加える燃料噴射弁定数補正手段と、を備える。
この場合、好ましい態様では、前記複数の運転領域として、比較的低負荷の領域と比較的高負荷の領域とが設定され、エンジンの運転状態が前記比較的低負荷の領域にあるときには、前記基本噴射量補正手段により前記基本噴射量に補正を加え、エンジンの運転状態が前記比較的高負荷の領域にあるときには、前記燃料噴射弁定数補正手段により前記燃料噴射弁定数に補正を加えるようにされる。
他の好ましい態様では、前記比較的低負荷の領域としてアイドル領域が設定される。
より好ましい別の態様では、前記複数の燃料噴射量補正手段による補正を、直ちに全運転領域に反映するようにされる。
本発明のエンジンの燃料制御装置では、エンジンの運転領域をエンジン回転数やエンジン負荷等の運転状態パラメータによりクランク角速度ばらつき発生要因の比率が異なる複数の領域(例えば、アイドル領域と高負荷領域)に区分し、この区分された領域毎に、爆発行程における全気筒平均クランク角速度と各気筒のクランク角速度との偏差量を求め、このクランク角速度偏差量に基づいてクランク角速度ばらつき発生要因を勘案した略全運転領域で効果のある補正係数(例えば、アイドル領域では基本噴射量補正係数、高負荷領域では燃料噴射弁定数補正係数)をそれぞれ各気筒毎に設定し、この補正係数を用いて各気筒毎に燃料噴射量の補正を行うようにされる。この場合、前記補正係数はエンジンの運転状態が該当領域に入る度に更新され、更新された補正係数は直ちに全運転領域における燃料噴射量の補正に反映される。そのため、気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減するための燃料噴射量の補正を、全運転領域について的確かつ合理的にしかも速やかに行うことができ、その結果、安定性、排気エミッション性能、ドライバビリティ等を効果的に向上させることができる。
また、前記補正係数の設定(更新)は、エンジンが運転される度に行われるので、経年変化等にも対応することができ、さらに、従来例のように全運転領域についての補正量をデータマップに格納しておく必要はないので、メモリ容量を削減できる等の効果も得られる。
以下、本発明のエンジンの燃料制御装置の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るエンジンの燃料制御装置の一実施形態(第1実施例)を、それが適用された車載用エンジンの一例と共に示す概略構成図である。
図1において、本実施形態のエンジンの燃料制御装置1が適用されたエンジン10は、例えば4つの気筒#1、#2、#3、#4(図には#1を代表して示す)を有する火花点火式の多気筒ガソリンエンジンであって、シリンダヘッド及びシリンダブロックからなるシリンダ12と、このシリンダ12の各気筒#1、#2、#3、#4内に摺動自在に嵌挿されたピストン15と、を有し、ピストン15はコンロッド14を介してクランクシャフト13に連結されている。ピストン15上方には、所定形状の燃焼室(天井ないしルーフ部)を持つ燃焼作動室17が画成され、各気筒#1、#2、#3、#4の燃焼作動室17には、点火コイル34等からなる点火ユニットに接続された点火プラグ35が臨設されている。
燃料の燃焼に供せられる空気は、エアークリーナ(図示せず)から、ホットワイヤ式等のエアフローセンサ53や電制スロットル弁25が配在された管状通路部分、コレクタ27、吸気マニホールド(多岐管)28、吸気ポート29等からなる吸気通路20を通り、その下流端(吸気ポート29端部)に配在された吸気弁21を介して各気筒#1、#2、#3、#4の燃焼作動室17に吸入される。そして、吸気通路20の下流部分(吸気マニホールド28)には、各気筒(#1、#2、#3、#4)毎に、吸気ポート29に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁30が臨設され、また、吸気通路20のコレクタ27には吸気圧(吸気通路20におけるスロットル弁25より下流側の内圧)を検出するための吸気圧センサ52が配在されている。
燃焼作動室17に吸入された空気と燃料噴射弁30から噴射された燃料との混合気は、点火プラグ35による火花点火により燃焼せしめられ、その燃焼廃ガス(排ガス)は、燃焼作動室17から排気弁41を介して排気ポート、排気マニホールド、排気浄化用触媒(例えば三元触媒)48が設けられた排気管等からなる排気通路40を通って外部(大気中)に排出される。排気通路40における触媒48より上流側には酸素濃度センサ(空燃比センサ)57が配在されている。
また、各気筒(#1、#2、#3、#4)毎に配備された燃料噴射弁30には、燃料タンク内の燃料(ガソリン等)が燃料ポンプや燃圧レギュレータ等を備えた燃料供給機構により所定燃圧に調圧されて供給され、燃料噴射弁30は、後述するエンジンコントロールユニット(ECU)100から供給される、そのときの運転状態に応じたパルス幅(開弁時間に相当する)を持つ開弁パルス信号により開弁駆動され、その開弁時間に応じた量の燃料を吸気ポート29に向けて噴射するようになっている。
一方、前記エンジン10の種々の制御、つまり、前記燃料噴射弁30における燃料噴射制御、前記点火プラグ35における点火時期制御等を行うべく、マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)100が備えられている。
コントロールユニット100は、基本的には、図2に示される如くに、それ自体はよく知られているもので、CPU90、ROM91、RAM92、入出力ポート(I.O)95、入力回路96、ドライバ(駆動回路)97等で構成される。コントロールユニット100においては、前記センサ類からの信号は入力回路96にてノイズ除去等の処理後、入出力ポート95に送られる。入力ポート95の値はRAM92に保管され、CPU90内で演算処理される。演算処理の内容を記述した制御プログラムはROM91に予め書き込まれている。制御プログラムに従って演算された各アクチュエータ操作量を表す値はRAM92に保管された後、出力ポート95に送られる。
コントロールユニット100には、入力信号として、エアフローセンサ53により検出される吸入空気量に応じた信号、アクセル開度センサ58により検出されるアクセルペダルの踏み込み量(開度)に応じた信号、クランクシャフト13に添設されたクランク角センサ(回転数センサ)55から得られるクランクシャフト13の回転(エンジン回転数)・位相(クランク角)をあらわす信号(クランク角センサ55からは、例えば、回転角1度毎にパルス信号が出力される)、吸気カムシャフト23に添設されたカム角センサ56から得られるカムシャフト23の回転・位相をあらわす信号(このカム角センサ56からの信号と前記クランク角センサ55からの信号とに基づいて気筒判定が行われる)、排気通路40における三元触媒48より上流側に配在された酸素濃度センサ57からの酸素濃度(空燃比)に応じた信号、シリンダ12に配設された水温センサ54により検出されるエンジン冷却水温に応じた信号、エンジン10の運転、停止のメインスイッチであるイグニッションキースイッチ59からの信号、吸気通路20のコレクタ27部分に設けられた吸気圧センサ55及び吸気温センサ(両センサは一体化されている)により検出される吸気圧及び吸気温に応じた信号等が供給される。
コントロールユニット100は、前記各種の入力信号に基づいてエンジンの運転状態を認識し、この運転状態に基づいて、燃料噴射量及び点火時期等のエンジンの主要な操作量を演算する。
より詳細には、コントロールユニット100においては、エンジンの運転状態に基づいて、各気筒#1、#2、#3、#4毎に噴射すべき燃料噴射量が演算され、この演算された燃料噴射量量に相当するパルス幅を持つ開弁パルス信号が生成され、この開弁パルス信号がドライバ97で燃料噴射弁30を開弁するのに十分なエネルギーに増幅されて、燃料噴射弁駆動信号として各気筒#1、#2、#3、#4毎に所定のタイミングで燃料噴射弁30に供給される。また、コントロールユニット100で演算された点火時期で点火されるようにドライバ97から駆動信号が各気筒#1、#2、#3、#4の点火コイル34に送られる。
次に、コントロールユニット100が、気筒#1、#2、#3、#4間でのクランク角速度のばらつき、言い換えれば、全気筒の平均クランク角速度に対する各気筒のクランク角速度の偏差量(又はその相関値)を低減するために実行する燃料噴射制御の実施例について具体的に説明する。
コントロールユニット100は、図3に機能ブロック図で示されているように、エンジン回転数及びクランク角速度を算出する回転数・角速度算出手段101、吸入空気量算出手段102、基本噴射量算出手段103、基本噴射量補正係数A設定手段104、基本点火時期設定手段105、クランク角速度ばらつき補正係数算出手段106、空燃比帰還制御係数算出手段108、目標空燃比設定手段109、基本噴射量補正手段110、燃料噴射量換算手段111、点火時期補正手段112を備える。
前記回転数・角速度算出手段101は、クランク角センサ55からのパルス信号の単位時間当たりの変化(例えばパルスの立ち上がりもしくは立ち下がり)の回数(到来数)をカウントして所定の演算処理を行うことにより単位時間あたりのエンジン回転数を算出する。また、カム角センサ56とクランク角センサ55からのパルス信号に基づいて気筒判定(各気筒#1、#2、#3、#4におけるピストン15のクランク角度位置、つまり、各気筒#1、#2、#3、#4が吸気行程、圧縮行程、爆発(燃焼膨張)行程、排気行程のいずれの状態にあるか等の検出)を行うとともに、各気筒#1、#2、#3、#4における爆発行程でのクランク角速度(クランクシャフト13の単位時間あたりの回転角度)をそれぞれ求める。ここで求めるクランク角速度は、例えば、爆発行程(ピストンが上死点から下死点に達するまでの)での回転角度(180度)をそれに要した時間で除算した値でもよいし、爆発行程における所定のクランク角度位置X(CA)からY(CA)までの回転角度をそれに要した時間で除算した値でもよいし、さらに、爆発行程における所定のクランク角度位置Z(CA)での瞬時値でもよい。なお、クランク角速度として各気筒#1、#2、#3、#4の爆発行程での値を用いるのは、気筒間でのクランク角速度のばらつきが最も大きくなるのが爆発行程であるからである。また、各気筒#1、#2、#3、#4毎に求められた爆発行程でのクランク角速度情報は後述するクランク角速度ばらつき補正係数算出手段106で使用される。また、前記気筒判定情報は、本燃料噴射制御の他に点火時期制御等にも使われる。
吸入空気量算出手段102は、エアフローセンサ53からの信号を電圧−流量変換し、シリンダ12内(燃焼作動室17)に吸入される空気量を求め、求められた空気量に対して、空気量計測時点とシリンダ吸入時点での遅れを補正する。遅れの補正は、空気流の到達時間の1次遅れ補償等であるが、詳細は割愛する。
基本噴射量算出手段103は、回転数・角速度算出手段101で求められたエンジン回転数、及び、吸入空気量算出手段102で求められた吸入空気量により、一つの気筒におけるエンジン1回転あたりの吸入空気量(エンジン負荷に相当する)を算出するとともに、該エンジン負荷に基づいて各気筒#1、#2、#3、#4共通の基本噴射量を算出する。
基本噴射量補正係数A設定手段104は、前記エンジン回転数及びエンジン負荷に基づき、基本噴射量算出手段103で算出された基本噴射量に対するエンジンの各運転領域における補正係数Aを設定する(補正係数マップから対応する運転領域の係数を読み出すことで、本明細書において「設定」は「算出」と同義に扱われる)。
基本点火時期設定手段105は、前記エンジン回転数及びエンジン負荷に基づきエンジンの各運転領域における最適な点火時期をマップ検索等で設定する。
クランク角速度ばらつき補正係数算出手段106は(後で図8を参照しながら詳述するが)、前記エンジン回転数、エンジン負荷、回転数・角速度算出手段101からの気筒毎のクランク角速度や気筒判定情報等に基づき、爆発行程での気筒別平均クランク角速度を算出するとともに、全気筒平均クランク角速度と気筒別平均クランク角速度とを比較して(後述するように偏差量を求めて)、気筒間でのクランク角速度ばらつきを低減するための、後述する燃料噴射量換算手段111で求められる燃料噴射弁定数Kを補正する燃料噴射弁定数補正係数J、及び、基本噴射量算出手段103で求められた基本噴射量を補正する基本噴射量補正係数Bを、それぞれ気筒#1、#2、#3、#4別に算出する。ここで、燃料噴射弁定数とは、エンジンに供給すべき燃料噴射量を燃料噴射弁を駆動させる信号のパルス幅(開弁時間)に換算する定数である。なお、図中の太い矢印線107、113、114は、全気筒の情報を含んでいることを表している。
空燃比帰還制御係数算出手段108は、酸素濃度センサ57からの信号に基づき、燃焼に供せられる混合気が後述する目標空燃比に保たれるようにPID制御による空燃比帰還制御係数を算出する。なお、前記酸素濃度センサ57は、本例では、排気空燃比に対して比例的な信号を出力するものが使用されているが、排気ガスが理論空燃比に対して、リッチ側/リーン側のHigh-Lowレベル信号を出力するものでも差し支えはない。
目標空燃比設定手段109は、前記エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいてエンジンの各運転領域における最適な目標空燃比をマップ検索等で設定する。本手段109で設定された目標空燃比は、前記空燃比帰還制御係数算出手段108の空燃比帰還制御に用いられる。
基本噴射量補正手段110は、基本噴射量算出手段103で算出された基本噴射量を、基本噴射量補正係数A設定手段104で求められた基本噴射量補正係数A、クランク角速度ばらつき補正係数算出手段106で求められた基本噴射量補正係数B、空燃比帰還制御係数算出手段108で求められた空燃比帰還制御係数、水温センサ54により検出されたエンジンの冷却水温に基づいて設定される水温補正係数等により補正する。
燃料噴射量換算手段111は、各気筒#1、#2、#3、#4別に、基本噴射量補正手段110で補正された噴射量を、クランク角速度ばらつき補正係数算出手段106で求められた燃料噴射弁定数補正係数Jにより補正された燃料噴射弁定数Kにより、燃料噴射弁30に供給される開弁パルス信号(燃料噴射弁駆動信号)のパルス幅(開弁時間)に換算する。
点火時期補正手段112は、基本点火時期設定手段105でマップ検索された点火時期に対して、エンジンの冷却水温等による補正を施す。
図4は、横軸にクランク角度をとり、縦軸にクランク角速度をとって、各気筒#1、#2、#3、#4に供給される燃料噴射量をばらつかせた場合のクランク角速度(各気筒#1、#2、#3、#4の爆発行程)の変化相違を示す。#4気筒に対する燃料噴射量は他の気筒#1、#2、#3より増量されているため、他の気筒#1、#2、#3に比してクランク角速度が高くなっている。#2気筒は減量しているためクランク角速度が低くなっている。このように、燃料噴射量の増減することによってクランク角速度が相違するので、燃料噴射量を調整することにより、クランク角速度のばらつきを低減することができる。
図5は、燃料噴射弁30の燃料噴射特性と個体差の特徴を示している。横軸は燃料噴射弁駆動信号のパルス幅(開弁時間)であり、縦軸は燃料噴射弁の燃料噴射量である。燃料噴射弁30の燃料噴射量は、図示(特性線C、D)のように燃料噴射弁駆動信号のパルス幅と線形の関係を持つ(傾きθを持つ直線となる)ことが知られている。特性線C、Dで示される燃料噴射弁30C、30Dの個体差は、その特性線C、Dの傾きθ(θc、θd)と、無効パルス幅長L(Lc、Ld)にあらわれる。ここで、特性線の傾きθはパルス幅が変化しても変わらないので、この傾きθを一つの運転領域で補正すれば、その補正効果は全運転領域にあらわれる。また、無効パルス幅長Lは、これより長い時間開弁しなければ燃料が噴射されないことを示しており、この無効パルス幅長Lも一つの運転領域で補正すれば、その補正効果は全運転領域にあらわれる。
図6は、エンジン負荷によって気筒間でのクランク角速度ばらつき発生要因の比率が変化相違することを示す。横軸は吸入空気量等のエンジン負荷であり、縦軸はクランク角速度ばらつき発生要因の比率である。低負荷側では、図5においてLc、Ldで示される無効パルス幅長Lの違い等による影響はあるが、その影響はさほど大きくはなく、燃料噴射量のばらつき(燃料噴射弁の個体差)が発生要因である比率は、その他の発生要因(吸気ポート29や燃焼作動室17に残留する壁流燃料量や吸入空気量等のばらつき)の比率より少ない。それに対し、高負荷側では、図5においてθc、θdで示される特性線の傾きθの違い等による影響が大きくなり(負荷が大きくなるほど燃料噴射量の差が開く)、燃料噴射量のばらつき(燃料噴射弁の個体差)が発生要因である比率がその他の発生要因の比率よりかなり大きくなる。
そこで、本実施例では、高負荷領域では燃料噴射弁の特性(図5に示される特性線の傾きθ)を補正する燃料噴射弁定数補正係数Jを用い、低負荷領域(特に気筒間クランク角速度ばらつきの影響を受けやすいアイドル領域)では、複数の要因を包括的に補正するための、基本噴射量を補正する基本噴射量補正係数Bを用いるようにされる。前記2つの補正係数J、Bを燃料噴射量の算出過程に導入することで、アイドル領域、高負荷領域を含む全運転領域における気筒間でのクランク角速度ばらつきを低減する。
ここで、本例における高負荷領域は、例えば図7に示される如くに定義される。図7において、横軸には、吸入空気量、吸気圧等のエンジン負荷がとられ、縦軸には、エンジン回転数がとられている。実機実験等により、アイドル領域以外で、各気筒#1、#2、#3、#4間における爆発行程でのクランク角速度差の大きい領域(エンジン回転数が所定値以下で吸入空気量や吸気圧等のエンジン負荷が所定値以下の領域を除いた領域)を高負荷領域Sと定め、この高負荷領域SをさらにS1〜S20のようにさらに複数の小領域に区分する(気筒間でのクランク角速度比較をできるだけ同じ条件で行うため)。
図8は、図3に示されるクランク角速度ばらつき補正係数算出手段106の詳細構成を示す機能ブロック図である。クランク角速度ばらつき補正係数算出手段106は、図示のように、運転領域判別手段801、起動判定手段802、気筒別平均クランク角速度算出手段804、全気筒平均クランク角速度算出手段805、クランク角速度偏差量算出手段806、補正係数算出手段807を備える。
前記運転領域判別手段801は、アクセル開度、エンジン回転数、エンジン負荷等に基づいて、エンジンの運転状態がアイドル領域にあるか、前述した高負荷領域Sを複数に区分した領域S1〜S20のうちのどこにあるかを判別する。
起動判定手段802は、酸素濃度センサ57の出力に基づいて検出される空燃比が所定範囲内にあり、かつ運転領域(アイドル領域、S1〜S20領域)が前回から変化していない場合に、上記804〜807の各手段(ばらつき補正関連手段803)の処理実行を許可する。
気筒別平均クランク角速度算出手段804は、回転数・角速度算出手段101から得られる気筒判定(各気筒におけるピストンのクランク角度位置)情報及び各気筒#1、#2、#3、#4における爆発行程でのクランク角速度情報(所定回数分)に基づいて、気筒#1、#2、#3、#4毎の爆発行程での平均クランク角速度(気筒別平均クランク角速度)を算出する。なお、ノイズ成分等を除去するため、前記気筒別平均クランク角速度をさらに所定回数積算し、積算した結果を前記所定回数で除算する等したものを前記気筒別平均クランク角速度として用いてもよい。
全気筒平均クランク角速度算出手段805は、前記気筒別平均クランク角速度から全気筒の平均クランク角速度を算出する。
クランク角速度偏差量算出手段806は、前記気筒別平均クランク角速度と前記全気筒平均クランク角速度とを比較し、全気筒平均クランク角速度に対する各気筒#1、#2、#3、#4の平均クランク角速度の偏差量又はその相関値を算出する。クランク角速度偏差量は、全気筒平均クランク角速度から気筒別平均クランク角速度を減算した値であり、本実施例ではこの偏差量を用いるが、その他、偏差量の相関値として、例えば、気筒別平均角速度を全気筒平均クランク角速度で除算した値等を用いることができる。
補正係数算出手段807は、クランク角速度ばらつき補正係数算出手段106で算出された各気筒#1、#2、#3、#4のクランク角速度偏差量に基づいて、各気筒#1、#2、#3、#4毎に燃料噴射弁定数補正係数Jと基本噴射量補正係数Bを算出する。
図9は、図8に示される補正係数算出手段807のさらに詳細な構成例を示すブロック図である。ここでは、気筒#1、#2、#3、#4毎のクランク角速度偏差量に基づいて、各気筒同様の手法で気筒#1、#2、#3、#4毎に燃料噴射弁定数補正係数J及び基本噴射量補正係数Bを算出する。ブロック901では、クランク角速度偏差量が更新され、かつ、クランク角速度偏差量の絶対値が所定の目標値(範囲)に達していない、すなわち、気筒間におけるクランク角速度ばらつきが低減されていない場合は、ブロック902内(ブロック905〜912)の処理の実行を許可する。
ブロック903では、エンジンの運転領域がアイドル領域であるか否かを判定し、アイドル領域の場合はブロック904内の処理の実行を許可し、ブロック905でクランク角速度偏差量とエンジン負荷とからアイドル時補正量をマップ検索する。クランク角速度偏差量が正の場合は正数、負の場合は負数が選択され、遅延器906及び加算器907で前記選択された値を積算し、基本噴射量補正係数Bを更新して出力する。
ブロック908では、エンジンの運転領域が高負荷領域であるか否かを判定し、高負荷領域の場合はブロック909内の処理の実行を許可する。ブロック910では、クランク角速度偏差量とエンジン負荷とから高負荷時補正量をマップ検索する。クランク角速度偏差量が正の場合は正数、負の場合は負数が選択され、遅延器911及び加算器912で前記選択された値を積算し、燃料噴射弁定数補正係数Jを更新して出力する。
図10は、図3に示される基本噴射量補正手段110の詳細構成例を示す図である。ここでは、気筒#1、#2、#3、#4毎に、各気筒同様の手法で、基本噴射量に、前述した基本噴射量補正係数A、基本噴射量補正係数B、空燃比帰還制御係数、水温補正係数等を乗算することにより補正して燃料噴射量を算出する。
図11は、図3に示される燃料噴射量換算手段111の詳細構成例を示す図である。ここでは、各気筒同様の手法で、気筒#1、#2、#3、#4毎に、燃料噴射弁定数Kに気筒毎に算出された燃料噴射弁定数補正係数Jを乗じるとともに、それらに前記燃料噴射量(最終)を乗じて、各気筒#1、#2、#3、#4の燃料噴射弁30に供給する燃料噴射弁駆動信号のパルス幅(開弁時間)を算出(換算)する。
図12は、コントロールユニット100が、図3の機能ブロック図で示されている如くの、主として気筒#1、#2、#3、#4間でのクランク角速度のばらつきを低減するために実行する燃料噴射制御等の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ここでは、ステップ1201で各センサ類からの信号を取り込み、ステップ1202において、エンジン回転数を算出するとともに、気筒判定を行い、さらに、各気筒#1、#2、#3、#4における爆発行程でのクランク角速度を算出する。
続くステップ1203でエアフローセンサ53の出力を電圧流量変換するとともに、応答遅れ補償を施して吸入空気量を求め、ステップ1204では、一つの気筒におけるエンジン1回転あたりの吸入空気量(エンジン負荷に相当する)を算出するとともに、該エンジン負荷に基づいて各気筒#1、#2、#3、#4共通の基本噴射量を算出する。
ステップ1205では、前記エンジン回転数と前記エンジン負荷から基本噴射量補正係数Aをマップ検索等により設定する。ステップ1206では、各気筒#1、#2、#3、#4間でのクランク角速度ばらつきを低減するための補正係数である基本噴射量補正係数Bと燃料噴射弁定数補正係数Jをマップ検索あるいは演算により設定する。ステップ1208では、エンジンの運転状態等に応じた目標空燃比を設定し、ステップ1209で前記目標空燃比を実現できるよう空燃比帰還制御係数を算出する。
ステップ1210では、前記基本噴射量に前記基本噴射量補正係数A、前記基本噴射量補正係数B、及び前記空燃比帰還制御係数等で補正を施す。ステップ1211では、ステップ1210で補正された基本噴射量を、前記燃料噴射弁定数補正係数Jにより補正した燃料噴射弁定数でパルス幅に換算する。
続く、ステップ1212では、エンジンの運転状態等に応じた適正な基本点火時期を算出し、ステップ1213でエンジン冷却水温等による基本点火時期の補正係数を算出し、ステップ1214において前記基本点火時期に対して、前記補正係数による補正を施して元に戻る。
図13は、コントロールユニット100が図8に機能ブロック図で示されている如くのクランク角速度ばらつき補正係数を算出する際の処理手順(割り込みルーチン)の一例を示すフローチャートである。
ここでは、ステップ1301でアクセル開度を読み込み、ステップ1302でエンジン回転数を読み込み、ステップ1303でエンジン負荷を読み込み、ステップ1304で前記アクセル開度、エンジン回転数、エンジン負荷に基づきエンジンの運転領域を判別する。
次に進むステップ1305では、酸素濃度を読み込み、ステップ1306において、空燃比が所定範囲内か否か、及び、エンジン運転領域が前回から変化したか否かを判断する。空燃比が所定範囲内で運転領域が前回から変化していない場合は、ステップ1307に進んで、気筒#1、#2、#3、#4別のクランク角速度を読み込み、そうでない場合は元に戻る。
ステップ1308では、気筒別の平均クランク角速度を算出し、ステップ1309で全ての気筒#1、#2、#3、#4について平均クランク角速度を算出したか否かを判断し、算出した場合はステップ1310に進み、算出していない場合は元に戻る。
ステップ1310では、各気筒別の平均クランク角速度の合計値を気筒数で除算し全気筒平均クランク角速度を算出する。ステップ1311では、気筒別の平均クランク角速度と全気筒の平均クランク角速度とから各気筒#1、#2、#3、#4のクランク角速度偏差量を算出する。
ステップ1312では、前記各気筒#1、#2、#3、#4のクランク角速度偏差量に基づいて各気筒#1、#2、#3、#4毎に基本噴射量補正係数B及び燃料噴射弁定数補正係数Jを算出する。
図14は、コントロールユニット100が図9に機能ブロック図で示されている如くの補正係数B、Jを算出する際の処理手順(割り込みルーチン)の一例を示すフローチャートである。
ここでは、ステップ1401でクランク角速度偏差量を読み込み、ステップ1402でエンジン負荷を読み込み、ステップ1403で運転領域を読み込む。ステップ1404では、各気筒#1、#2、#3、#4のクランク角速度偏差量が更新されたか否かを判断し、更新された場合は、ステップ1405に進み、更新されなかった場合は元に戻る。
ステップ1405では、各気筒#1、#2、#3、#4のクランク角速度偏差量が目標範囲外か否かを気筒毎に判断し、目標範囲外の場合は、ステップ1406に進み、目標範囲内の場合は元に戻る。ステップ1406では、エンジンの運転領域がアイドル領域か高負荷領域かを判断する。ステップ1406でアイドル領域と判断された場合は、ステップ1407に進み、アイドル時補正量をマップ検索し、ステップ1408で基本噴射量補正係数Bを更新する。
ステップ1406で高負荷領域と判定された場合は、ステップ1409に進み、高負荷時補正量をマップ検索し、ステップ1410で燃料噴射弁定数補正係数Jを更新する。
上記した如くの、気筒#1、#2、#3、#4間でのクランク角速度のばらつきを低減するための燃料噴射制御を行うことにより、例えば、図15(A)、(B)、(C)に示される如くに、各気筒#1、#2、#3、#4(ここでは#1を代表して示す)におけるクランク角速度偏差量、基本噴射量補正係数B、燃料噴射弁定数補正係数Jが変化する。
すなわち、時点T0〜T1の期間はアイドル領域で運転しているため、クランク角速度偏差量を0にする(気筒間におけるクランク角速度ばらつきを低減する)ように基本噴射量補正係数Bを更新する。時点T1〜T2の期間は高負荷領域で運転しているため、燃料噴射弁定数補正係数Jを更新する。
このように、各領域で繰り返し補正係数B、Jを算出更新することで、アイドル領域、高負荷領域共に気筒間でのクランク角速度ばらつきを低減可能となる。
以上のように、本実施形態の燃料制御装置1においては、エンジンの運転領域をエンジン回転数やエンジン負荷等の運転状態パラメータによりクランク角速度ばらつき発生要因の比率が異なるアイドル領域と高負荷領域とに区分し、この区分された領域毎に、爆発行程における全気筒平均クランク角速度と各気筒のクランク角速度との偏差量を求め、このクランク角速度偏差量に基づいてクランク角速度ばらつき発生要因を勘案した略全運転領域で効果のある補正係数(すなわち、アイドル領域では基本噴射量補正係数B、高負荷領域では燃料噴射弁定数補正係数J)をそれぞれ各気筒#1、#2、#3、#4毎に設定し、この補正係数B、Jを用いて各気筒#1、#2、#3、#4毎に燃料噴射量の補正を行うようにされる。この場合、前記補正係数B、Jはエンジンの運転状態が該当領域に入る度に設定・更新され、設定・更新された補正係数は直ちに全運転領域における燃料噴射量の補正に反映される。そのため、気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減するための燃料噴射量の補正を、全運転領域について的確かつ合理的にしかも速やかに行うことができ、その結果、安定性、排気エミッション性能、ドライバビリティ等を効果的に向上させることができる。
また、前記補正係数B、Jの設定(更新)は、エンジンが運転される度に行われるので、経年変化等にも対応することができ、さらに、従来例のように全運転領域についての補正量をデータマップに格納しておく必要はないので、メモリ容量を削減できる等の効果も得られる。
本発明に係る制御装置の一実施形態(第1実施例)を、それが適用された車載用エンジンの一例と共に示す概略構成図。 図1に示されるコントロールユニットの内部構成を示す概略図図。 コントロールユニットが実行する燃料噴射制御概要等を示す機能ブロック図。 エンジンの各気筒に供給する燃料量をばらつかせた場合のクランク角速度の変化の説明に供されるグラフ。 燃料噴射弁特性と個体差の説明に供されるグラフ。 エンジン負荷とクランク角速度ばらつき発生要因との関係を示す図。 実施例の燃料噴射装置における運転領域の区分についての説明に供される図。 図3に示されるクランク角速度ばらつき補正係数算出手段の詳細構成例を示す図。 図8に示される補正係数算出手段の詳細構成例を示す図。 図3に示される基本噴射量補正手段の説明に供される図。 図3に示される燃料噴射量換算手段の説明に供される図。 コントロールユニット100が主として気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減するために実行する燃料噴射制御等の処理手順の一例を示すフローチャート。 コントロールユニット100がクランク角速度ばらつき補正係数を算出する際の処理手順の一例を示すフローチャート。 コントロールユニット100が基本噴射量補正係数B及び燃料噴射弁定数補正係数Jを算出する際の処理手順の一例を示すフローチャート。 実施例の燃料制御装置のクランク角速度ばらつき低減に関する動作及び作用効果の説明に供される図。
符号の説明
1 燃料制御装置
10 火花点火式4気筒ガソリンエンジン
12 シリンダ
15 ピストン
17 燃焼作動室
20 吸気通路
30 燃料噴射弁
34 点火コイル
35 点火プラグ
40 排気通路
52 吸気圧センサ
53 エアフローセンサ
54 水温センサ
55 クランク角センサ
56 カム角センサ
57 酸素濃度センサ
58 アクセル開度センサ
100 コントロールユニット
104 基本噴射量補正係数A設定手段
106 クランク角速度ばらつき補正係数算出手段
110 基本噴射量補正手段
111 燃料噴射量換算手段
801 運転領域判別手段
804 気筒別平均クランク角速度算出手段
805 全気筒平均クランク角速度算出手段
806 クランク角速度偏差量算出手段
807 補正係数算出手段
B 基本噴射量補正係数
J 燃料噴射弁定数補正係数
#1、#2、#3、#4 気筒

Claims (4)

  1. 気筒間でのクランク角速度のばらつきを低減すべく、各気筒毎に燃料噴射量を制御するエンジンの燃料制御装置であって、
    エンジンの運転状態パラメータにより区分された複数の運転領域毎に、各気筒の爆発行程でのクランク角速度を算出するクランク角速度算出手段と、
    前記運転領域毎に、前記各気筒のクランク角速度に基づいて全気筒の平均クランク角速度を求め、該全気筒平均クランク角速度に対する各気筒のクランク角速度の偏差量又はその相関値を算出するクランク角速度偏差量算出手段と、
    前記偏差量又はその相関値に基づき、前記運転領域別に、前記燃料噴射量に補正を加える燃料噴射量補正手段と、を備え
    前記燃料噴射量補正手段は、エンジンの運転状態に基づいて算出される基本噴射量に補正を加える基本噴射量補正手段と、前記燃料噴射量を前記燃料噴射弁の開弁時間に換算するための燃料噴射弁定数に補正を加える燃料噴射弁定数補正手段と、を有し、
    前記複数の運転領域として、低負荷の領域と高負荷の領域とが設定され、エンジンの運転状態が前記低負荷の領域にあるときには、前記基本噴射量補正手段により前記基本噴射量に補正を加え、エンジンの運転状態が前記高負荷の領域にあるときには、前記燃料噴射弁定数補正手段により前記燃料噴射弁定数に補正を加えることを特徴とするエンジンの燃料制御装置。
  2. 前記低負荷の領域としてアイドル領域が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料制御装置。
  3. 前記運転状態パラメータとして、吸入空気量、吸気圧、及びエンジン回転数のうちの少なくとも一つが用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの燃料制御装置。
  4. 前記運転状態パラメータとして、エンジン負荷とエンジン回転数が用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの燃料制御装置。
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