JP4870645B2 - 集合住宅 - Google Patents
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Description
前記集合住宅の一例として、複数の住戸が順次隣接配置され、一方向に長い平面形状で構成されており、住戸と住戸との間は戸境壁によって区切られた構成の集合住宅がある。前記戸境壁は耐力壁であり外力に対して耐震性、耐力性を備えた構造の集合住宅を構成している(特許文献1参照)。
前記戸境壁を耐力壁で構成する場合、該耐力壁を長方形状に構成したフレームの隅部にブレース取付部材を固定し、該ブレース取付部材にブレースの両端を固定することにより構成したものは公知となっている(特許文献2参照)。前記耐力壁は梁間方向に延びる上下の弦材と集合住宅高さ方向に延びる垂直部材から構成されている。
また、集合住宅外周部の鉛直荷重は、集合住宅内部の鉛直荷重に比べ小さく、集合住宅外周部の鉛直荷重を負担する部材を、集合住宅内部の鉛直荷重を負担する部材と同一の強度の部材とした場合には、強度過多となり過剰なコストがかかり、また、重量も増えるため、構造上も過剰となっていた。
また、外装材を固定する際には、柱の他に別途下地材が必要となっていた。すなわち、通常、外装材を固定する際には、柱の外側に外装材を構造的に支持するための下地材を設ける必要があった。
また、既に組んだフレームを使用することにより、垂直部材と弦材を一緒に運ぶことが可能となるため、少人数でも戸境壁の組立作業を行うことができる。
また、第二垂直部材を形成する一本のリップ付き山形鋼同士を螺子で螺設することで、計二本のリップ付き山形鋼が螺子で固定されるため、鉛直荷重を負担する柱材の役割を兼ねることが可能となり、柱材を省くことができる。
図1は本発明の一実施例に係る集合住宅の全体的な構成を示した平面図、図2はフレームの正面図、図3はフレーム、外装材、及び梁を示す斜視図、図4は結合部材の斜視図、図5は(a)矢印A方向から見た垂直部材の断面図(b)矢印B方向から見た梁の断面図(c)矢印C方向から見た弦材の断面図、図6は(a)フレームの正面図(b)フレームの側面図、図7はフレーム及び梁を示す斜視図、図8は結合部材の斜視図、図9は(a)矢印A´方向から見た垂直部材の断面図(b)矢印B´方向から見た梁の断面図(c)矢印C´方向から見た弦材の断面図、図10は外装材及びフレームを示す平面断面図、図11は外装材の正面図である。
前記集合住宅1は、単身者若しくは夫婦が居住することを想定したワンルームタイプと子供のいる家族が居住することを想定したLDKタイプの集合住宅であり、一方向に長い平面視略矩形状を成し、図1に示すように長辺方向(梁行方向)に沿って複数の住戸が配列されている。
集合住宅1の躯体は、主に、柱及び該柱の頭部に架設された梁とで構成される。前記建築物の床はスラブ床であり、梁3・3間にスラブ2が設けられる。前記スラブ2を支持する柱はその柱頭部にキャピタルを有しないものとされている。また、最下層の柱は、コンクリートで構成された基礎梁の上に設けている。
前記戸境壁8は図2及び図6に示すように、梁間方向に延びる弦材21と集合住宅高さ方向に延びる垂直部材22とで構成されており、垂直部材22を長辺として、弦材21を短辺とする長方形状のフレーム23が構成されている。
前記戸境壁8には図1に示すように、室内空間7・7を区切るための内部戸境壁8aと室内空間7と戸外を区切るための端部戸境壁8bがある。まず内部戸境壁8aについて図2乃至図5を用いて説明する。
前記内部戸境壁8aは、梁間方向に延びる第一弦材21aと集合住宅高さ方向に延びる第一垂直部材22aとで構成されており、第一垂直部材22aを長辺として、第一弦材21aを短辺とする長方形状の第一フレーム23aが構成されている。前記第一垂直部材22aは、図2に示すように、長手方向断面視L字型に構成し、長手方向断面視L字型のそれぞれの端部に90度内側に折り曲げて立設したリップ31aを有する二本のリップ付山形鋼31で構成している。該リップ付山形鋼31は、それぞれの一辺を背中合わせに配置して複数の箇所を溶接などの方法により接合している。また、前記リップ付山形鋼31とリップ付山形鋼31との間には取付孔が穿設されたブレース取付板32が介設されており、溶接などの方法によってリップ付山形鋼31に固設されている。
一方、前記第一フレーム23aの上辺、即ち集合住宅1高さ方向上方の辺を構成する第一弦材21aは二本のリップ付山形鋼31・31で構成されており、前記リップ付山形鋼31とリップ付山形鋼31との間には前記ブレース取付板32の上端が挟持されており溶接などの方法によってリップ付山形鋼31に固設されている。また、前記第一フレーム23aの下辺、即ち集合住宅1高さ方向下方の辺を構成する第一弦材21aはリップ付山形鋼31で構成されており、前記ブレース取付板32の下端が溶接等の方法によってリップ付山形鋼31に固設されている。
前記ブレース9は、ブレース9本体の両端にブレース取付金具9aが溶接等の方法によって固設され、該ブレース取付金具9aに螺子等が螺設されるように取付孔が穿設されており、ブレース9本体の中間部にはターンバックル9bが設けられている。このため、前記ブレース9を取り付けた後にブレース9の張りを調整することができる。
前記ブレース取付板32は、例えば長方形に構成されており、前記ブレース9を固定する螺子を螺設するためのブレース取付孔が穿設されている。なお、ブレース取付板32の形状は本実施例の形状に限定せず、例えば三角形に構成してもよく、また、ブレース取付孔の位置も限定するものではない。
前記結合部材33は板状の金属で構成されており、前記梁3と結合するために設けられた梁取付部33aと該梁取付部33aの上下に突設した垂直取付部33bと前記垂直取付部33bの中途部より梁間方向に突設する弦材取付部33cとから構成されている。
前記垂直取付部33bには前記第一フレーム23aの第一垂直部材22aと螺子により結合するための取付孔34bが穿設されている。また、前記梁取付部33aには前記梁3と螺子により結合するための取付孔34aが設けられている。また、前記弦材取付部33cには前記第一弦材21aと螺子により結合するための取付孔34cが穿設されている。
まず、梁間方向に隣接する第一フレーム23a同士の結合について説明する。図5(a)に示すように、前記第一フレーム23aの第一垂直部材22aは二本のリップ付山形鋼31・31で構成されており隣接する第一フレーム23aの第一垂直部材22aも二本のリップ付山形鋼31・31で構成されている。前記第一フレーム23aの第一垂直部材22aを構成するリップ付山形鋼31・31・31・31の面同士を合わせてその間に前記結合部材の垂直取付部33bを介設し、螺子の一例であるボルト36によって固定する。これにより、二本ずつ計四本のリップ付山形鋼31が平面視略十字型を形成するように結合することができる。すなわち、垂直方向の負荷を支える第一フレーム23aの第一垂直部材22aが一箇所に集まって、ボルト36により連結されたことにより、垂直荷重をより集中的に負担することができるようになり、垂直方向の柱を設ける必要が無くなる。また、既に組んだ第一フレーム23を使用することにより、第一垂直部材22aと第一弦材21aを一緒に運ぶことが可能となるため、少人数でも内部戸境壁8aの組立作業を行うことができる。
なお、前記第一垂直部材22aを構成するリップ付山形鋼31・31・31・31をボルトによって固定せず、それぞれが独立して垂直荷重を負担する構成とすることも可能である。
図5(c)に示すように、上層階の第一フレーム23aの下辺を構成する第一弦材21aはリップ付山形鋼31で構成されている。前記リップ付山形鋼31の下面に、前記結合部材33の中途部より梁間方向に突設する弦材取付部33cを固設する。すなわち、前記結合部材33より突設した弦材取付部33cを前記リップ付山形鋼31の下面に螺子の一例であるボルト38によって固定することにより、上層階の第一フレーム23aと結合部材33を連結して梁間方向の水平応力に対する強度を向上させるものである。
また、図3に示すように、前記結合部材33の弦材取付部33cの上面には梁間方向に延伸する通し梁39がボルト38によって固定されている。前記通し梁39は梁間方向においてバルコニー5側の端部より外廊下6側の端部まで横断して配設されており、このように構成することで、梁間方向の水平応力に対する強度を向上させるものである。
また、下層階の第一フレーム23aの上辺を構成する第一弦材21aは二本のリップ付山形鋼31・31で構成されている。前記リップ付山形鋼31の上面に、前記結合部材33より突設した弦材取付部33cの下面をボルト38等によって固定することにより、下層階の第一フレーム23aと結合部材33を連結して梁間方向の水平応力に対する強度を向上させるものである。
前記端部戸境壁8bは、梁間方向に延びる第二弦材21bと集合住宅1高さ方向に延びる第二垂直部材22bとで構成されており、第二垂直部材22bを長辺として、第二弦材21bを短辺とする長方形状の第二フレーム23bが構成されている。前記第二垂直部材22bは、図6(a)及び(b)に示すように、長手方向断面視L字型に構成し、長手方向断面視L字型のそれぞれの端部に90度内側に折り曲げて立設したリップ41aを有する一本のリップ付山形鋼41で構成している。また、前記リップ付山形鋼41には取付孔が穿設されたブレース取付板42が溶接などの方法によって固設されている。
一方、前記第二弦材21bは一本のリップ付山形鋼41で構成されており、前記リップ付山形鋼41には前記ブレース取付板42の下端もしくは上端が溶接などの方法によって固設されている。
前記ブレース9は、ブレース9本体の両端に取付金具9aが溶接などの方法によって固設され、該ブレース取付金具9aに螺子等が螺設されるように取付孔が穿設されており、ブレース9本体の中間部にはターンバックル9bが設けられている。このため、前記ブレース9を取り付けた後にブレース9の張りを調整することができる。
前記ブレース取付板42は、例えば長方形に構成されており、前記ブレース9を固定する螺子を螺設するためのブレース取付孔が穿設されている。なお、ブレース取付板42の形状は本実施例の形状に限定せず、例えば三角形に構成してもよく、また、ブレース取付孔の位置も限定するものではない。
前記結合部材43は板状の金属で構成されており、前記梁3と結合するために設けられた梁取付部43aと該梁取付部43aの上下に突設した垂直取付部43bと前記垂直取付部43bの中途部より梁間方向に突設する弦材取付部43cとから構成されている。
前記垂直取付部43bには前記第二フレーム23bの第二垂直部材22bと螺子の一例であるボルト46により結合するための取付孔44bが穿設されている。また、前記梁取付部43aには前記梁3とボルト47により結合するための取付孔44aが設けられている。また、前記弦材取付部43cには前記第二弦材21bと螺子の一例であるボルト48により結合するための取付孔44cが穿設されている。
まず、梁間方向に隣接する第二フレーム23b同士の結合について説明する。図9(a)に示すように、前記第二フレーム23bの第二垂直部材22bは一本のリップ付山形鋼41で構成されており隣接する第二フレーム23bの第二垂直部材22bもリップ付山形鋼41で構成されている。前記第二フレーム23bの第二垂直部材22bを構成するリップ付山形鋼41の面同士を合わせてその間に前記結合部材43の垂直取付部43bを介設し、螺子の一例であるボルト46によって固定する。これにより、二本のリップ付山形鋼41・41が平面断面視略T字型になるように結合することができる。すなわち、垂直方向の負荷を支える第二フレーム23bの第二垂直部材22bが一箇所に集まって、ボルト46により連結されたことにより、垂直荷重の負荷をより集中的に受けることができるようになり、垂直方向の柱を設ける必要が無くなる。また、既に組んだ第二フレーム23bを使用することにより、第二垂直部材22bと第二弦材21bを一緒に運ぶことが可能となるため、少人数でも端部戸境壁8bの組立作業を行うことができる。
図9(c)に示すように、上層階の第二フレーム23bの第二弦材21bを構成するリップ付山形鋼41の下面に、前記結合部材43の中途部より梁間方向に突設する弦材取付部43cを固設する。すなわち、前記結合部材43より突設した弦材取付部43cの上面と前記リップ付山形鋼41の下面を合わせて螺子の一例であるボルト48によって固定することにより、上層階の第二フレーム23bと結合部材43を連結して梁間方向の水平応力に対する強度を向上させるものである。
また、下層階の第二フレーム23bの上辺を構成する第二弦材21bは一本のリップ付山形鋼41で構成されている。前記リップ付山形鋼41の上面に、前記結合部材43より突設した弦材取付部43cの下面をボルト48によって固定することにより、下層階の第二フレーム23bと結合部材43を連結して梁間方向の水平応力に対する強度を向上させるものである。
前記端部戸境壁8bの外側には、木材で形成された下地材55が固設されている。図11に示すように、前記下地材55は梁56及び柱材57及び枠材58で構成され、前記梁56は図示せぬビス等により第二弦材21bに固設しており、前記柱材57は前記第二垂直部材22bを構成するリップ付山形鋼41の間に介設したボルト61により前記第二フレーム23bに固設されている。また、前記枠材58は横部材58a及び縦部材58bで略格子状に構成された部材であり、前記梁56及び柱材57によって区切られた略矩形状の空間に嵌設して釘等によって前記梁56及び柱材57に固設されるものである。
また、前記枠材58に形成された格子状の隙間には例えばグラスウールなどで構成された断熱材62が敷設されている。このように構成することにより、断熱材を前記下地材内に収めることができるため、省スペースを実現できる。
また、前記柱材57及び縦部材58bの外側(戸外側)には化粧材63を固設するための胴縁64を具備する。前記胴縁64も木材で構成されており、前記化粧材63を釘等により前記胴縁64に固定する。
このように構成することにより、鉛直荷重の大きい内部には鉛直荷重を負担するリップ付山形鋼31を多く配置して第一垂直部材22aを形成し、鉛直荷重の少ない外周部に鉛直荷重を負担するリップ付山形鋼41を少なく配置して第二垂直部材22bを形成したため、過剰な構造とならず、コストを抑制することが可能となる。また、既に組んだフレーム23を使用することにより、垂直部材22と弦材21を一緒に運ぶことが可能となるため、少人数でも戸境壁8の組立作業を行うことができる。
このように構成することにより、第一垂直部材22aを形成する二本のリップ付き山形鋼31・31同士を螺子36で螺設することで、計四本のリップ付き山形鋼31・31・31・31が螺子36で固定されるため、鉛直荷重を負担する柱材の役割を兼ねることが可能となり、柱材を省くことができる。
また、第二垂直部材22bを形成する一本のリップ付き山形鋼41・41同士を螺子46で螺設することで、計二本のリップ付き山形鋼41・41が螺子46で固定されるため、鉛直荷重を負担する柱材の役割を兼ねることが可能となり、柱材を省くことができる。
このように構成することにより、フレーム23と梁3とが結合部材で結合されるため、鉛直荷重及び水平荷重がフレーム23と梁3とに分散されることとなり、強度が向上する。また、結合部材33(43)と梁3とを螺子37(47)で連結し、結合部材33(43)とフレーム23とを螺子36(46)で連結する構成としたため、組立作業及び解体作業が容易になる。
このように構成することにより、下地材55を木材で構成したため、金属で構成されたフレーム23の熱橋対策が可能となる。
3 梁
3a 長尺部材
5 バルコニー
6 外廊下
8 戸境壁
Claims (4)
- 桁行方向に長い平面視略矩形状をなし、梁間方向に戸境壁を複数設けて室内空間を区切った集合住宅において、
前記戸境壁は、前記集合住宅高さ方向に延びる垂直部材と梁間方向に延びる弦材とで構成された長方形状のフレームと、該フレームの対角線上に設けたブレースとから構成され、
前記室内空間と室内空間との間を区切る内部戸境壁を構成する第一フレームの第一垂直部材は、長手方向断面視L字型に構成し、長手方向断面視L字型のそれぞれの端部に90度内側に折り曲げて立設したリップを有する二本のリップ付山形鋼で構成し、
桁行方向の端部に位置する前記室内空間の外壁となる端部戸境壁を構成する第二フレームの第二垂直部材は、長手方向断面視L字型に構成し、長手方向断面視L字型のそれぞれの端部に90度内側に折り曲げて立設したリップを有する一本のリップ付山形鋼で構成したことを特徴とする集合住宅。 - 隣接する前記フレームの垂直部材を構成するリップ付山形鋼同士を螺子で螺設することにより固定したことを特徴とする請求項1に記載の集合住宅。
- 前記フレームの垂直部材を構成するリップ付山形鋼と隣接する前記フレームの垂直部材を構成するリップ付山形鋼との間に結合部材を介設し、該結合部材を桁行方向に延設した二本の長尺部材からなる梁で挟持して螺子によって固定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の集合住宅。
- 桁行方向の端部にある部屋の外壁となる端部戸境壁を構成する前記第二フレームの少なくとも屋外側に木材から構成された下地材を固設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の集合住宅。
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