図1は本発明の第1の実施の形態に係る収納容器10を示す説明図、図2は同収納容器10の主要部を模式的に示す説明図、図3は同収納容器10の使用例を示す断面図である。なお、図3中Sは収納品を示している。
収納容器10は、受体部(受体容器)100と、この受体部100に嵌合される蓋体部(蓋体容器)101とで構成されている。
受体部100は、方形、かつ、平皿状で側面が2段状となった受体カバー110を備えている。受体カバー110は、側面上部に複数の雄留111、及び、側面に複数の通気孔112が設けられている。
受体カバー110の内側には、受体カバー110内側を例えば10(2×5)の領域に仕切る仕切壁120が設けられている。なお、領域の数は任意でよい。受体カバー110の底面から所定距離だけ離間して受体弾性シート(受けシート)130が取り付けられ、仕切壁120によって一部が固定されている。
受体カバー110及び仕切壁120は、高分子材料に例えばカーボンファイバ等の非帯導電性又は導電性材料を分散させた材料で形成されている。受体弾性シート130は、カーボンファイバを分散させることで、弾性及び非帯電性を有する1枚のポリウレタンシートで形成されている。
図2に示すように、仕切壁120は、受体カバー110の底面を複数に仕切る壁部121と壁部121に対し着脱自在に設けられた嵌合壁124を備えている。壁部121には、仕切られた空間相互及び外部との通気が可能な第1通気孔122と、壁部121上端面(蓋体部101に対向する面)に設けられた第1溝部123とが設けられている。また、嵌合壁124は、第1溝部123に嵌合する嵌合部125が設けられ、第1溝部123と嵌合部125との間で受体弾性シート130を挟持している。嵌合壁124は後述する第2溝部153に嵌合可能な形状に形成されている。
受体弾性シート130は嵌合部125下端面(第1溝部123に対向する面)が接触する箇所に例えば方形の切抜孔を有している。なお、受体弾性シート130は切抜孔を有さなくともよい。
蓋体部101は、方形、かつ、平皿状で側面が2段状となった蓋体カバー140を備えている。蓋体カバー140は、下部側面に複数の雌留141(雌孔)が設けられており、この雌留141は受体カバー110の雄留111と係合するように形成されている。
蓋体カバー140の内側には、蓋体カバー140内側を受体部100と同数の領域に仕切るガイド部150と、ガイド部150の端部であり受体部100と対向する面に設けられた蓋体弾性シート160とを備えている。
なお、蓋体カバー140及びガイド部150は、非帯電性の高分子材料に例えばカーボンファイバを分散させた材料で形成され、蓋体弾性シート160は、カーボンファイバを分散させることで、弾性及び非帯電性を有する1枚のポリウレタンシートで形成されている。
ガイド部150は、蓋体カバー140に設けられ蓋体カバー140内側を複数に仕切るガイド壁151を備えている。ガイド壁151には、蓋体カバー140の仕切られた空間相互及び外部と通気が可能な第2通気孔152と、下端面(受体部100に対向する面)に設けられた第2溝部153とが形成されている。さらに、この第2溝部153には、固定部材154が着脱自在に設けられ、第2溝部153と固定部材154との間で蓋体弾性シート160を挟持している。
ここで、壁部121上端面から嵌合壁124上端面までの距離は、ガイド壁151下端面から第2溝部153に嵌合した固定部材154下端面までの距離よりも短く形成されているため、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とは密着可能となっている。なお、壁部121上端面と嵌合壁124上端面又はガイド壁151下端面と固定部材154下端面との距離を変えることにより、嵌合時の受体弾性シート130と蓋体弾性シート160との距離を調整可能となる。このため、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とを密着させずに近接させることも可能である。
このように構成された収納容器10では、図3に示すように収納品S(例えば時計等に用いる精密部品等)を受体弾性シート130の上に載置し、受体部100に蓋体部101を嵌合させる。このとき、受体カバー110と蓋体カバー140、雄留111と雌留141及び嵌合壁124と第2溝部153とがそれぞれ嵌合されるため、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とが密着される。これにより、収納品Sは受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とにより挟持(保持)される。
受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とは、上述したように、弾性を有するため、収納品Sの外形形状に密着するように変形し、かつ、適度な圧力にて収納品Sを挟持するため収納品Sに過大な圧力を加えて変形させることはない。また、収納容器10の輸送時に収納品Sを傷つけたり磨耗させたりすることもない。例えば、時計等に用いる精密部品等は微小な変形や磨耗等により性能が発揮できなくなるため、部品の収納や輸送には細心の注意等が必要であるが、収納容器10を用いることにより、変形や磨耗等の発生の虞を減少させることが可能となる。
ここで収納容器10の主要部品に非帯電性の高分子材料を用い、この高分子材料にさらに導電性を有する材料を分散させているため、精密電子部品等を収納する場合でも、静電気等による収納品の破壊等の悪影響を防止することが可能となっている。非帯電性の高分子材料だけで形成してもこの効果を得ることができる。また、非帯電性であるため、静電気による埃や塵等を吸着させることがないため、収納品Sに埃や塵等が付着するのを防止することができる。
また、上述した例では、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とは密着させているが、収納品Sの挟持圧力等を微小にしたい場合等は例えば嵌合壁124の長さ寸法を変更する。これにより、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とを密着させずに近接させることが可能であるため、収納品Sに加わる圧力を微小にする等の調節が可能となる。
さらに、受体弾性シート130及び蓋体弾性シート160はそれぞれ、壁部121と嵌合壁124及びガイド壁151と固定部材154とにより嵌合されているだけである。このため、例えば、収納容器10を使用することで受体弾性シート130及び蓋体弾性シート160が収納品S等により汚れや破損等が発生したとしても、これら受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とを交換するだけでよい。そのため、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160以外は何度でも利用可能であるため、製品コストの大幅な低減となる。
受体カバー110、仕切壁120及びガイド部150にそれぞれ通気孔112、第1通気孔122及び第2通気孔152を設けることにより、外部と内部との通気が可能となる。このため、例えば航空機等で輸送を行う際に気圧の影響を受けなくなる。これは、例えば通気孔を有さない収納容器であると、気圧が低いところ(例えば上空)を輸送するときに、収納容器10内部の空気等が膨張し、その圧力で収納品を微小変形させたり、収納容器を破壊したりする可能性がある。このため、外部と内部との通気を行う通気孔112と内部空間の通気を行う第1通気孔122及第2通気孔152とを設け、圧力による影響を最小限居に抑えることができる。
また、収納容器10に複数の領域を設け、これらの領域それぞれに適度な圧力により収納品を挟持することができるため、互いに干渉することなく収納容器10を用いることで複数個の収納品Sを安全に収納することが可能となる。収納容器10を用いることで複数個の収納品Sを収容するため、輸送にかかる容積を減少することができ、一度に大量の収納品を輸送可能となる。このため、輸送コスト等の低減が可能となる。
なお、通気孔112に塵や埃等が収納容器10内へと進入ことを防ぐためのフィルタを設けてもよい。これは、外部と収納容器10内部が通気するため、例えば塵や埃等に弱い収納品Sの場合には、収納品Sに悪影響を及ぼす可能性があるためである。また、収納容器10の外部に例えば凹凸部を設けることで、収納容器10を互いに重合(積層)することが可能な形状としてもよい。これにより、輸送時等に収納容器10を重ね合せることにより空間を最小限に押えるため、より多くの収納品を輸送することが可能となる。
上述したように、本第1の実施の形態に係る収納容器10によれば、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とにより収納品Sを挟持することにより、簡単な構造で、収納品Sを変形や磨耗等をさせることなく、かつ、収納品Sを同時に複数個収納でき、収納容器Sの再利用が可能なため、輸送及び使用コスト等の低減が可能な収納容器10を形成することができる。
なお、受体弾性シート130と蓋体弾性シート160とは例えば厚さが25μm〜200μmで、かつ、同じ材料により形成されているが、異なる厚さ及び材料により形成してもよい。また、受体カバー110、仕切壁120、受体弾性シート130、蓋体カバー140、ガイド部150及び蓋体弾性シート160に用いる材料の高分子材料に分散させる材料はカーボンファイバでなくとも、金属フィラー、カーボンナノチューブ、イオン性高分子材料及び界面活性剤等の導電性を有する材料を少なくとも1つ分散させていればよい。また、導電性を有する材料を分散させなくとも、非帯電性の高分子材料で形成しても適用できる。
図4は上述した第1の実施の形態の第1の変形例に係る収納容器10Aを示す縦断面図、図5は同収納容器10Aに用いられる受体弾性シート130及び蓋体弾性シート160を示す平面図である。なお、図4、5において図1〜3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4、5に示すように収納容器10Aには、受体カバー110と受体弾性シート131との間であり、仕切られた複数の領域それぞれに、例えば活性炭やシリカゲル等のケミカルエアフィルタ170が収容されている。さらに、受体弾性シート131及び蓋体弾性シート161には、複数個の貫通孔132が設けられている。なお、受体カバー110、仕切壁120及びガイド壁150にそれぞれ通気孔112、第1通気孔122及び第2通気孔152を備えており、かつ、受体弾性シート131及び蓋体弾性シート161にも貫通孔132を備えている。これにより、ケミカルエアフィルタ170は、各空間、領域で通気が可能であるため、どこか1箇所に設けるだけでもよい。
このように構成された収納容器10Aでは、ケミカルエアフィルタ170を設けることにより、例えば収納品Sに有害なガス等を吸着等により除去することが可能なため、例えばガス等により収納品Sが影響を受けることがなくなる。
上述したように、本第1の変形例に係る収納容器10Aによれば、ケミカルエアフィルタ170を用いることにより、収納容器10A内のガス等を除去できるため、収納品Sを安定状態で挟持・輸送が可能となる。
図6は上述した第1の実施の形態の第2の変形例に係る収納容器10Bの使用例を示す断面図である。なお、図6において図1〜5と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6に示すように、収納容器10Bは、受体部102と、受体部102に嵌合される蓋体部101とで構成されており、受体部102は、受体カバー110と、受体カバー110の内側に設けられ受体カバー110内側を例えば10(2×5)の領域に仕切る仕切壁120とを備えている。
このように構成された収納容器10Bでは、受体カバー110の仕切られた領域に収納品Sを配置させ、受体部102に蓋体部101を嵌合させる。このとき、受体カバー110の内側底面と蓋体弾性シート160とが近接又は密着する。これにより、収納品Sは受体カバー110と蓋体弾性シート160とにより挟持される。
蓋体弾性シート160は弾性を有するため、収納品の外形形状に密着するように変形し、かつ、適度な圧力にて収納品を挟持するため、挟持により収納品Sを変形させることがない。また、受体部102に弾性シートを用いないため、製造コストの低減が可能となる。
上述したように、本第2の変形例に係る収納容器10Bによれば、受体部102に弾性シートを用いなくとも簡単な構造で、収納品Sを変形や磨耗等をさせることなく、さらに、製造コストの低減が可能な収納容器10Bを形成することができる。
図7は本発明の第2の実施の形態に係る収納容器20の構成を示す分解斜視図、図8は同収納容器20の容器部200を示す断面図、図9は同容器部200に用いられる支持シート220に備えられた収納品Sの配置パターン222を示す説明図、図10は同支持シート220に用いられる配置パターン222の変形の1例を示す説明図、図11は同支持シート220に設けられる粘着層221の1例を示す説明図、図12は同容器部200の使用例を示す断面図である。
収納容器20は、方形で平皿状の受皿部190と、収納品Sを保持する2組の容器部200と、方形で平皿状の蓋部290とが積層配置され、相互に嵌合して構成されている。容器部200は、2組に限らず複数組を上下方向に積層して構成されており、相互間に収納品Sを挟持可能に形成されている。
受皿部190の内側側面には、凹状に形成された複数の受皿雌留191が設けられ、蓋部290の内側側面には、凹状に形成された複数の蓋体雌留291が設けられている。また、容器部200の側面には、受皿雌留191に嵌合する下方雄留202及び受皿雌留291に嵌合する上方雄留203が設けられている。
容器部200は、方形の枠状に形成された非帯電性の高分子材料で形成されたフレーム201を備えている。フレーム201は、下部が上部より大きく形成され、内面から若干離間させた箇所に上方及び下方に延びる上方凸状部204及び下方凸状部205が設けられている。下方内面には雌留206が設けられている。
フレーム201の開口部は、上方凸状部204間に掛け渡された支持シート220及び下方凸状部205間に掛け渡された弾性シート240によって閉じられている。
支持シート220の上面には粘着層221が設けられている。支持シート220は、上方凸状部204と、フレーム201内面との間に嵌合する支持シート押え枠230によって固定されている。また、粘着層221上部に設けられ例えば30(5×6)の領域に区切った仕切枠231が設けられている。
弾性シート240は、弾性及び非帯電性を有する高分子材料であるウレタン等により形成されている。弾性シート240は、下方凸状部205と、フレーム201内面の間に嵌合する弾性シート押え枠250によって固定されている。なお、フレーム201は枠状でなく中間位置に仕切板を有してもよい。
支持シート220は高分子フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート)で形成されており、図9に示すように、支持シート220の支持部(ここでは、仕切枠231内の区切られた領域上)には、収納品Sの配置パターン222が印刷又は刻印等で設けられている。例えば、支持部一箇所に対して収納品Sを複数個収納する場合等は、配置パターン222のように格子状に罫線を設け、その罫線内に複数個並べて収納することが可能なように配置パターンが形成されている。なお、収納品Sを収納する場合に、例えば、収納方向を統一する場合等は図10に示すように、収納品Sの形状の輪郭パターン223と配置範囲パターン224とを設けてもよいし、配置パターン222(又は輪郭パターン223、配置範囲パターン224等)を支持シート220に有さなくともよい。また、支持シート220は高分子フィルムで形成されていれば、ポリエチレンテレフタレートでなくともよい。
粘着層221は、図11に示すように、例えば非帯電性のアクリル酸エステル共重合体で形成され、基質225に複数の気泡226が設けられており、これら気泡226が基質225の表面に及ぶことで、基質225は開口部227を有する。この開口部227は、例えば、基質225に収納品Sを配置すると、収納品Sの重量や弾性シート240による圧力等により、気泡226の空気が外部へと逃がされ、この開口部227内部は低圧となる。これにより発生する外部気圧との圧力差により基質225表面には吸盤と同じように吸着力が発生し、収納品Sは固着される。この粘着層221は、例えば自己吸着剤である発泡アクリルラテックスである。なお、粘着層221は、発砲アクリルラテックス以外の自己吸着剤、接着剤及びゲル状高分子材料等を用いてもよい。
支持シート押え枠230及び弾性シート押え枠250には、それぞれ上方凸状部204とフレーム201内面及び下方凸状部205とフレーム201内面との間に支持シート220及び弾性シート240を固定する場合、嵌合しやすいように支持シート220及び弾性シート240に接する面に面取部232、251を有している。
このように構成された収納容器20では図12に示すように、一方の容器部20に設けられた仕切枠231内であり支持シート220上の配置パターン222等に収納品Sを配置させる。この容器部200に他方の容器部200を積層させ、収納品Sを配置させた容器部200(フレーム201)の上方雄留203を他方の容器部200の雌留206に嵌合させる。容器部200同士を嵌合させることで、支持シート220に配置された収納品Sは、収納品Sが配置された容器部200とは他方の容器部200の弾性シート240により適度な圧力により変形することなく挟持される。このとき、弾性シート240と支持シート220とは仕切枠231の高さまで近接する。
弾性シート240は、上述にもあるように弾性を有するため、収納品Sの外形形状に密着するように変形し、かつ、適度な圧力にて収納品Sを挟持するため、挟持により収納品Sを変形させることがない。また、収納品Sは、支持シート220と弾性シート240との挟持による固定と、粘着層221の吸着や接着等による固定とにより、収納容器20に収納され輸送することで、揺動や挟持位置からずれ等が発生することなく輸送することができる。このため、収納品Sの変形・破壊等を防止し安全に輸送することができる。
また、支持シート220及び弾性シート240は、支持シート押え枠230及び弾性シート押え枠250により嵌合されているだけであるため交換が容易となっている。例えば、収納容器20を使用したあとに支持シート220と弾性シート240とが収納品Sにより汚れや破損等が発生したり、支持シート220の粘着層221の粘着(吸着)力の低下が発生したりした場合には、支持シート220、粘着層221又は弾性シート240を交換するだけでよい。このため、支持シート220、粘着層221及び弾性シート240以外の構成部品は再利用可能なため、再利用によるコスト等の大幅な低減が可能となる。
受皿部190と蓋部290とを容器部200の上下に有することで、例えば輸送時に外部からの圧力等で収納品Sが変形及び破損しない。また、容器部200が複数積層可能であるが、容器部200をいくつ積層させても受皿部190と蓋部290とを設けることが可能となっている。
また、仕切枠231により支持シート220に複数の領域を設けるため、これらの領域それぞれに適度な圧力により収納品を挟持することができるため、互いに干渉することなく収納容器20単体で複数個の収納品Sを安全に収納することが可能となる。収納容器20単体で複数個の収納品Sを輸送可能なため、梱包による場所を取らず、かつ、容器部200を複数積層することにより一度に大量に輸送可能となるため、輸送コスト等の低減が可能となる。
収納容器200に用いられている主要部品を非帯電性とすることで、精密電子部品等を収納させる場合でも、微小変形や破壊等をせず、さらに、静電気等による収納品の破壊等の悪影響を防止することが可能となっている。非帯電性の高分子材料だけで形成してもこの効果を得ることができる。また、非帯電性であるため、静電気による埃や塵等を吸着させることがないため、収納品Sに埃や塵等が付着するのを防止することができる。
なお、フレーム201、粘着層221及び弾性シート240は非帯電性だけではなく、導電性を有する材料を分散させたもので形成されていてもよい。また、これらだけではなく、収納容器20に用いられている他の構成部品に非帯電性を有する材料を用いるとなおよい。
上述したように、本第2の実施の形態に係る収納容器20によれば、弾性シート240と支持シート220とにより収納品Sを挟持することにより、簡単な構造で、収納品Sを変形や磨耗等をさせることなく、かつ、容器部200を積層させることで収納品Sを同時に大量に複数個収納でき、さらに収納容器20の再利用が可能なため、輸送・使用コスト等の低減が可能な収納容器20を形成することができる。
図13は第3の実施の形態に係る収納容器20Aに用いられる容器部200Aの構成を示す説明図、図14は同容器部200Aを示す断面図、図15は同収納容器20Aの使用例を示す断面図である。なお、図13〜15においてにおいて図7〜12と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
収納容器20Aは、受皿部190と、受皿部190に嵌合し、複数積層可能であり、積層することにより収納品Sを挟持可能に形成された容器部200Aと、容器部200Aに嵌合する蓋部290とを備えている。
図13、14に示すように容器部200Aは、方形の枠状であり下部が上部より大きく形成されたフレーム207を備えている。フレーム207には、内面を二分するように設けられた仕切板208と、仕切板208下面に設けられ、この内面から若干離間させた箇所に下方に延びる下方凸状部205とが設けられている。仕切板208上面に粘着層221を有する支持シート220と、支持シート220及び粘着層221を固定させフレーム207内面に嵌合させる支持シート押え枠233と、粘着層221上部に設けられた仕切枠231と、下方凸状部205を覆う弾性シート240と、下方凸状部205とフレーム207内面との間に嵌合し弾性シート240を固定させる弾性シート押え枠250とを備えている。
このように構成された収納容器20Aでは、図15に示すように、一方の容器部200Aに設けられた仕切枠208内であり、支持シート220(粘着層221)上に収納品Sを配置させる。一方の容器部200Aに他方の容器部20Aを積層させ、収納品Sを配置させた容器部20Aの上方雄留203を他方の容器部20Aの雌留206に嵌合させる。容器部20A同士を嵌合させることで、支持シート220に配置された収納品Sは、収納品Sが配置された容器部20Aとは他方の容器部20Aの弾性シート240により適度な圧力により変形することなく挟持される。このとき、弾性シート240と支持シート220とは仕切枠231の高さまで近接する。
また、仕切板208を設け仕切板208上面に支持シート220、支持シート押え枠233及び仕切枠231を配置させることにより、支持シート220を簡単な構造で押えることが可能となるため、組立行程の簡略化及び製造工程の低減が可能となり、製造コストを減らすことが可能となる。
さらに、支持シート220及び弾性シート240は交換が可能であるとともに、構造が簡単であるため交換作業時間も低減される。特に、支持シート220は、粘着層221の劣化等が顕著に表れ交換作業が多く発生するため、支持シート220の交換作業の簡略化は作業効率の向上となり、コストの低減となる。
上述したように、本第3の実施の形態に係る収納容器20Aによれば、支持シート220の組立行程の簡略化及び製造工程の低減が可能となり、また、支持シート220の交換作業の簡略化となるため作業効率の向上及び製造コストの低減が可能となる。
図16は第4の実施の形態に係る収納容器20Bに用いられる容器部200Bの構成を示す説明図、図17は同容器部200Bを示す断面図、図18は同容器部200Bに用いられる離間粘着層228を示す説明図、図19は同収納容器20Bの使用例を示す断面図である。なお、図16〜19においてにおいて図7〜15と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
収納容器20Bは、受皿部190と、受皿部190に嵌合し、これを複数積層可能であり、積層することにより収納品Sを挟持可能に形成された容器部200Bと、容器部200Bに嵌合する蓋部290とを備えている。
図17に示すように容器部200Bは、方形の枠状のフレーム201を備えている。フレーム201には、上方凸上部204及び下方凸状部205が設けられている。さらに、フレーム201は、上方凸上部204を覆う離間粘着層228を有し例えばウレタン等により形成された支持シート241と、支持シート241及び離間粘着層228を上方凸状部204とフレーム201内面との間に嵌合し支持シート241を固定させる支持シート押え枠230と、離間粘着層228上部に設けられた仕切枠231と、下方凸状部205を覆う弾性シート240と、下方凸状部205とフレーム201内面との間に嵌合し弾性シート240を固定させる弾性シート押え枠250とを備えている。
支持シート241は、例えば弾性及び非帯電性を有する高分子材料のウレタン等により形成されており、導電性を有する材料を分散させてもよい。また、支持シート241の上面に設けられた離間粘着層228は図18に示すように、例えばゲル等の接着剤229を互いに一定の距離を有し配置されている。
このように構成された収納容器20Bでは、図19に示すように一方の容器部200Bに設けられた仕切枠231内であり、支持シート241上に収納品Sを配置させる。一方の容器部200Bに他方の容器部200Bを積層させ、収納品Sを配置させた容器部200Bの上方雄留203を他方の容器部200Bの雌留206に嵌合させる。容器部200B同士を嵌合させることで、支持シート241と弾性シート240とは近接し、支持シート241に配置された収納品Sは、弾性を有する支持シート241と弾性シート240とにより適度な圧力により変形することなく挟持される。
また、離間粘着層228により、収納品Sは適度な粘着力により固定されるため、輸送時等に、輸送の振動等で揺動したり支持位置からずれたりしないため、安全に輸送することができる。また、輸送後、例えばゲルシート等では粘着力が強力すぎるため収納品Sを支持シート241から剥すときに、収納品Sを傷めたりゲル等が収納品Sに付着してしまったりすることがある。しかし、離間粘着層228を用いることにより収納品Sが離間粘着層228に局部的に粘着しているため、粘着力は適度であり、収納品Sの変形等が発生せず安全に収納品Sを支持シート241から剥すことが可能となる。
また、支持シート241及び弾性シート240は弾性を有しているため、収納品Sに掛かる振動・衝撃等を減衰・低減させることが可能となるため、精密部品等の収納品Sを微小変形等させることなく安全に輸送することができる。
上述したように、本第4の実施の形態に係る収納容器20Bによれば、収納品Sを微小変形等させることなく安全に輸送することができ、さらに、粘着固定が可能であるとともに収納品Sの脱着が容易となる。
図20は第5の実施の形態に係る収納容器20Cに用いられる容器部200Cの構成を示す説明図、図21は同容器部200Cを示す断面図、図22は同容器部200Cに用いられる挟持枠242を下方から示す斜視図、図23は同収納容器200Cの使用例を示す断面図、図24は同収容容器200Cの用いられる挟持枠242の変形の一例を示す挟持枠245を下方から示す斜視図である。なお、図20〜23においてにおいて図7〜19と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
収納容器20Cは、受皿部190と、受皿部190に嵌合し、これを複数積層可能であり、積層することにより収納品Sを挟持可能に形成された容器部200Cと、容器部200Cに嵌合する蓋部290とを備えている。
図20に示すように容器部200Cは、方形の枠状のフレーム209を備えている。フレーム209には、下部と上部とを2分に仕切る仕切り部210が設けられている。さらに、フレーム209は、仕切り部210上面を覆い離間粘着層228を有する支持シート241と、支持シート241及び離間粘着層228上面に配置された仕切枠231と、この仕切枠231とフレーム209上部内面との間に嵌合させる支持シート押え枠233と、仕切り部210下面に配置された挟持枠242と、この挟持枠242を覆う弾性シート240と、弾性シート240を挟持枠242とフレーム209内面とにより嵌合するための弾性シート押え枠250とを備えている。
図22に示すように、挟持枠242は、例えば仕切枠231と同形状の枠部の一方に、容器部200C同士を積層させたときに、弾性シート240と支持シート241との距離(高さ)が仕切枠231より若干低い高さになるよう形成されたフィン243を備えている。
このように構成された収納容器20Cでは、図23に示すように、一方の容器部200Cに設けられた仕切枠231内であり、支持シート241上に収納品Sを配置させる。一方の容器部200Cに他方の容器部200Cを積層させ、収納品Sを配置させた容器部200Cの上方雄留203を他方の容器部200Cの雌留206に嵌合させる。容器部200C同士を嵌合させることで、支持シート241と弾性シート240との距離は、弾性シート240と仕切り部210との間に設けられた挟持枠242により仕切枠231の高さより近づく。そのため、仕切枠231と同等若しくは薄い収納品Sでも、支持シート241に配置された収納品Sは、弾性を有する支持シート241と弾性シート240とにより適度な圧力により変形することなく挟持される。
また、フィン243の高さを変更することにより、収納品Sの厚薄や挟持圧力の調整が可能となるため、様々な収納品Sに仕切枠231及び挟持枠242を変更するだけで対応できるため、汎用性を有し、製造コストの低減となる。
なお、図24に示すように挟持枠242の枠部の他方にもフィン244を設けることで方形枠246を備えた挟持枠245としてもよい。方形枠246により、容器部200C同士を積層させたときに、弾性シート240と支持シート241とに挟持される収納品Sを方形枠246内に収容し、方形枠246に弾性シート240と支持シート241とが密着するように挟持枠245の高さを調整することにより、方形枠246内が密閉する。これにより、例えば収納品S自体が外部に影響を及ぼす物質を発生させるものだとしても、同時に収納している収納品Sに悪影響を与えることはない。また、例えば大気中で活性する収納品Sに対しても、収納時に非活性ガス中にて収納品Sを方形枠246に密閉することで、輸送中に収納品Sが活性することはない。
上述したように、本第5の実施の形態に係る収納容器200Cによれば、安全な輸送が可能であり、かつ、収納品Sの厚薄等に対応可能なため汎用性が向上し、さらに、製造コストを低減させることができる。
図25は第6の実施の形態に係る収納容器20Dに用いられる容器部200Dの構成を示す説明図、図26は同容器部200Dの構成を示す断面図である。なお、図25、26においてにおいて図7〜24と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
収納容器200Dは、受皿部190と、受皿部190に嵌合し、これを複数積層可能であり、積層することにより収納品Sを挟持可能に形成された容器部209と、容器部209に嵌合する蓋部290とを備えている。
容器部200Dは、フレーム209上部に嵌合する支持部260と、支持部260上面に配置される仕切枠231と、フレーム209下部に嵌合する押え部270と、フレーム209と押え部270との間に収納される挟持枠242とを備えている。
支持部260は、フレーム209内面に嵌合可能な支持枠261と、この支持枠261上面に配置された支持シート241と、支持シート241上面に設けられた離間粘着層228と、これら支持シート241と離間粘着層228とを支持枠261内側に挿入させ、かつ、支持枠261と嵌合する受枠262とを備えている。
押え部270は、フレーム209内面に嵌合可能な押え枠271と、この押え枠271下面に配置された弾性シート240と、弾性シート240を押え枠271側に挿入させ、かつ、押え枠271と嵌合する受枠272とを備えている。
なお、支持枠261と押え枠271、支持シート241と弾性シート240及び受枠262と受枠272とを共用してもよい。
このように構成された収納容器20Dは、一方の容器部200Dに設けられ、仕切枠231内であり、支持シート241上に収納品Sを配置させ、この容器部200Dに他の容器部200Dを積層させる。これにより、支持シート241と弾性シート240との距離は、挟持枠242により仕切枠231の高さより近づくため、収納品Sの厚薄如何によらず挟持することができる。
また、支持部260及び押え部270のように1つの構成品として、モジュール化することにより、容器部200Dを再利用する場合に、構成品を交換するだけでよいため、利便性の向上や利用・製造コスト等の低減となる。さらに、この支持部260及び押え部270の種類(例えば仕切り数や挟持高さ)を変えた支持部や押え部を用いることで、状況に応じた容器部200Dとすることができるため汎用性を向上させることができる。
なお、仕切枠231を支持部260に、挟持枠242を押え部270にそれぞれ組み込んでもよい。これにより、容器部200Dの部品点数は3点となり、組立工数の減少とすることができる。
上述したように、本第6の実施の形態に係る収納容器20Dによれば、部品のモジュール化により、容器再利用による製造・組立等のコストの低減をすることができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、挟持範囲を仕切ることにより複数の収納品を収納するとしたが、仕切ることなく収納品を単体で収納してもよい。また、輸送の際に、収納容器同士を固定できるように、外部に凹凸や、例えば摩擦係数の高い樹脂等を設けても適用できる。さらに、例えば温度等の外気環境による収納品への悪影響を防ぐために、収納容器に断熱性を持たせても適用できる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
10…収納容器、100…受体部、110…受体カバー、111…雄留、112…通気孔、120…仕切壁、130…受体弾性シート、140…蓋体カバー、141…雌留、150…ガイド部、152…第2通気孔、160…蓋体弾性シート。