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JP4865788B2 - 二輪車用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、二輪車、例えばオートバイ(モータサイクル又はモータバイクとも言う)に装備されるようになったタイヤに関する。
本発明はかかる用途に限定されるものではないが、本発明をかかるモータサイクル又はモータバイクに関して具体的に説明する。
タイヤ、特にモータサイクル用タイヤを補強する本体プライは、現在−そして通常は−従来「カーカスプライ」、「クラウンプライ」等と呼ばれている1枚又は2枚以上のプライのスタックから成る。このような本体プライの命名法は、スレッドで形成された補強材(長手方向のスレッド形成補強材である場合が多い)を備えたプライの形態をしている一連の半完成状態の製品を作り、後で、これらを組み立て又は積み重ねてタイヤブランクを形成するという製造方法に由来している。プライを相当大きなサイズのタイヤの状態に作り、次に、所与の製品の寸法に適合するよう切断する。プライは又、初期段階において、実質的に平らな状態に組み立てられる。次に、このようにして作られたブランクをタイヤの代表的なドーナツ形プロフィールを採用するよう付形(シェーピング)する。次に、半完成状態の、いわゆる「完成途上」の製品をブランクに張り付けていつでも硬化できる状態の製品を得る。
例えば上述したような「従来」型の方法では、特にタイヤブランクの製造段階において、カーカスをタイヤのビードの付近に繋留し又は保持するために繋留要素(一般にビードワイヤ)が用いられる。かくして、この種の方法では、カーカスを構成するプライの全ての一部(又はこれらプライの数枚だけ)をタイヤのビード内に位置決めされたビードワイヤに巻き付ける。かくして、カーカスをビード内に繋留する。
この従来型の方法は、タイヤ製造業界全体にわたり普及しているという事実により、プライ及び組立体を製造する多くの別の方法が存在しているにもかかわらず、当業者は、この方法に基づく語彙を用いており、それ故、一般に受け入れられている用語は、特に、平らなプロフィールからドーナツ形プロフィールへの変更等を表すよう「プライ」、「カーカス」、「ビードワイヤ」、「付形」という用語を含む。
今日、厳密に言えば、上述の定義と一致した「プライ」又は「ビードワイヤ」を備えてはいないタイヤが存在する。例えば、特許文献である欧州特許第582,196号明細書は、プライの形態の半完成状態の製品を用いないで製造されたタイヤを記載している。例えば、種々の補強構造体の補強要素を隣接のゴム配合物の層に直接張り付け、これらの全ては、連続した層の状態でドーナツ形コアに張り付けられ、このドーナツ形コアの形状により、製造中のタイヤの最終プロフィールに類似したプロフィールを直接得ることができる。かくして、この場合、「半完成状態」の製品、「プライ」、又は「ビードワイヤ」はもはや存在しない。ベース製品、例えばゴム配合物及びスレッド又はフィラメントの形態をした補強要素を直接コアに張り付ける。このコアは、ドーナツ形のものなので、平らなプロフィールからドーナツの形のプロフィールに変更するためにブランクを付形することは、もはや不要である。
さらに、この特許文献に記載されたタイヤでは、ビードワイヤへのカーカスプライの「伝統的な」巻き付けは行われない。この種の繋留法に代えて、円周方向スレッドをサイドウォール補強構造体に隣接して位置決めし、全てを繋留又は結合ゴム配合物中に埋め込む構成が用いられている。
また、中心コアへの迅速且つ効率的で、しかも簡単な配置に特に適合した半完成状態の製品を採用するドーナツ側コアへの組み付け方法が存在する。最後に、或る特定の構成(構造)上の特徴を達成する或る幾つかの完成状態の製品(例えばプライ、ビードワイヤ等)を含むと共に配合物及び/又は補強要素を直接張り付けることにより他の半完成状態の製品を達成するハイブリッドを用いることも可能である。
この特許文献では、製造分野と製品の設計分野の両方における最近の技術的進歩を考慮に入れるため、従来の用語、例えば「プライ」、「ビードワイヤ」等に代えて、中立であり又は用いられる方法の形式とは無関係の用語を用いると、有利である。かくして、「カーカスタイプ補強材」又は「サイドウォール補強材」という用語を用いると、従来方法におけるカーカスプライの補強要素及び半完成状態の製品が用いられない方法を用いて製造されたタイヤの対応の補強要素(一般に、サイドウォールに張り付けられる)を表すことができる。「繋留領域」は、その一部に関し、これが、ドーナツ形コアへの張り付けを含む方法を用いて製造された底部領域の円周方向補強要素、ゴム配合物及び隣接のサイドウォール補強部分により形成された組立体を表すことができるのとちょうど同様に容易に従来方法におけるビードワイヤへのカーカスプライの「伝統的」な巻き付けを表すことができる。
他の全てのタイヤの場合と同様、モータバイク用タイヤの技術動向は、ラジアル設計に向かっており、かかるタイヤの構成(構造)は、場合によっては円周方向に対して65°〜90°の角度をなす補強要素の1つ又は2つの層で形成されたカーカスを含み、かかるカーカスは、少なくとも、一般にテキスタイル(布)で作られた補強要素で形成されているクラウン補強材により半径方向に包囲されている。それにもかかわらず、本発明が又関連する幾つかの非ラジアルタイヤが相変わらず存在する。本発明は又、特に、ラジアルタイヤ、即ち、カーカス補強要素がカーカスの少なくとも一部にわたり、例えば、タイヤのクラウンに相当する部分において半径方向であるタイヤに関する。
タイヤがモータバイクのフロントに装着されるようになるかリヤに装着されるようになるかに応じて、多くのクラウン補強構成(構造)が提案された。第1の構造体は、クラウン補強材の場合、円周方向コードだけを用いるものであり、この構造体は、特にリヤタイヤに用いられる。第2の構造体は、乗用車用タイヤに現在用いられている構造体から直接インスピレーションを得たものであり、この第2の構造体は、耐摩耗性を向上させるよう用いられ、かかる構造体は、補強要素の少なくとも2つのクラウン層を用いるものであり、かかる補強要素は、各層内において相互に平行であるが、1つの層から次の層まで交差しており、円周方向に対して鋭角をなしており、かかるタイヤは、モータバイクの前輪に特に適している。上述の2つのクラウン層は、一般に少なくとも1つのゴム被覆補強要素のストリップを螺旋に巻くことによって得られた円周方向要素の少なくとも1つの層と関連している場合がある。
かくして、仏国特許第2,561,588号明細書は、少なくとも1枚のプライを備えたかかるクラウン補強材を記載しており、このプライの補強要素は、周方向に対して0°〜8°のばらつきがある角度をなし、かかる要素の弾性率は、少なくとも6000N/mm2という高いものであり、カーカスと円周方向要素で構成されたプライとの間には、主として、1つのプライから次のプライまで交差していて、互いに対して60°〜90°の角度をなす要素の2枚のプライで形成された衝撃緩衝層が位置決めされ、これら交差プライは、弾性率が少なくとも6000N/mm2のテキスタイル補強要素で形成されている。
欧州特許第456,933号明細書は、モータバイク用タイヤに優れた高速安定性及び優れた接地性を与えることを目的として、例えば、少なくとも2枚のプライ、即ち、カーカスの半径方向最も近くに位置していて、円周方向に対して40°〜90°の角度をなして差し向けられたコードで構成された第1のプライ及びトレッドの半径方向最も近くに位置していて、円周方向に螺旋に巻かれたコードで形成された第2のプライでクラウン補強材をどのように構成するかを教示している。
米国特許第5,301,730号明細書は、モータバイク用後輪用のタイヤのトラクションを増大させることを目的として、半径方向カーカスからトレッドまで外側に、実質的に円周方向要素の少なくとも1枚のプライ及び1つのプライから次のプライまで交差していて、円周方向に対して35°〜55°の場合がある角度をなした要素の2枚のプライで構成されたクラウン補強材を提案しており、円周方向に平行な要素のプライは、場合によっては、芳香族ポリアミドで構成された要素で形成され、交差要素のプライは、脂肪族ポリアミドで形成されている。
作業層の補強要素が互いにゼロではない角度、通常は、20°〜55°の角度をなす現行のタイヤでは、必要な剛性に応じて、テキスタイル補強要素、例えば芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドを用いることが必要である。
特に製造費の面で金属補強要素よりも魅力は劣るが、テキスタイル補強要素は、モータサイクル用タイヤについては20°〜55°の角度をなす補強要素作業クラウン層に利用される。
この技術的選択を説明する要因が幾つかあり、第1に、あらかじめ製作された要素、例えばプライを用いることから成る従来の製造方法が、ゼロではない角度の作業層中の補強要素が金属で作られている場合、モータサイクル用タイヤの曲率と不適合である。これは、金属補強要素から成る前もって製作された要素の剛性により、これら要素を円環形のプロフィール上に布設することは実際問題として不可能であり、少なくとも、これは工業的観点から不可能である。
第2に、この場合も又、モータサイクル用タイヤの曲率が非常に顕著なので、ゼロではない角度で差し向けられた補強要素は、タイヤの圧縮の仕方に鑑みて、接触領域のところで伸縮サイクルを受ける。モータサイクル用タイヤの使用中、これら伸縮サイクルにより、補強要素は、これら要素が金属で作られている場合、接触領域の縁のところで破断し、伸縮サイクルは、金属コードの耐久性にとって非常に有害である。
本発明の文言上の意味の範囲内において、タイヤの長手方向、又は円周方向は、タイヤの周囲に対応した方向であり、タイヤの回転方向によって定められる。
円周方向平面又は円周方向断面は、タイヤの回転軸線に垂直な平面である。赤道面は、トレッドの中心又はクラウンを通る円周方向平面である。
タイヤの横断方向又は軸方向は、タイヤの回転軸線に平行である。
半径方向平面は、タイヤの回転軸線を含む。
本発明の目的は、今日のタイヤの特性と同等の特性を有するが、安価に製造できる特にモータサイクル用のタイヤを製造することにある。
仏国特許第2,561,588号明細書 欧州特許第456,933号明細書 米国特許第5,301,730号明細書
この目的は、自動二輪車、例えばオートバイ用のタイヤであって、補強要素で形成されると共にタイヤの各側でビード内に繋留されたカーカスタイプの少なくとも1つの補強構造体を有し、ビードのベースが、リムシートに取り付けられるようになっており、各ビードが、サイドウォールの形態をなして半径方向外方へ延び、サイドウォールが、半径方向外側寄りのところでトレッドに結合し、タイヤが、トレッドの下に設けられたクラウン補強構造体を更に有し、クラウン補強構造体が、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の少なくとも1つの層から成る、タイヤにおいて、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素は、相対伸び率の関数としての引張応力曲線が、小さな伸び率については緩やかな勾配を示し、大きな伸び率については実質的に一定で且つ急峻な勾配を示す金属コードであることを特徴とするタイヤを用いて本発明に従って達成される。
例えば上述したような追加のプライ補強コードは、慣例的に、「バイモジュラス(bimodulus)」コードとして知られている。
本発明は、有利には、上述の層の補強要素が円周方向に対して80°未満の角度、より好ましくは60°未満の角度をなすタイヤに関する。
研究中、本発明のモータサイクル用タイヤは、当業者の知るタイヤと比較して、走行中に接触領域で生じる伸縮サイクルに耐えることができる立証された。
事実、本発明に従って製造されたタイヤに対して行われた試験の示すところによれば、かかるタイヤは、完全に満足のいく耐久性を有し、特に、接触領域の付近で生じる伸縮サイクルの結果としての脆弱さを通常の領域中に示すことはなかった。
本発明の有利な変形実施形態では、特に、タイヤの子午線に沿う、特に、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層の縁のところの補強構造体の剛性を最適化するため、長手方向に対して上述の金属コードのなす角度は、かかる角度がタイヤの赤道面について測定した金属コードの角度と比較して補強要素の層の軸方向外側の縁部の方が大きいように横断方向に様々であるのが良い。
本発明の変形実施形態の第1の実施例は、タイヤの赤道面から補強要素の層の縁まで部分部分の角度を一様に変化させることから成る。
この変形実施形態の第2の実施例は、タイヤの赤道面から補強要素の層の縁まで角度を段階的に変化させることから成る。
この変形実施形態の最後の実施例は、角度を所与の値が所与の軸方向位置について得られるような仕方で変化させることにある。
換言すると、長手方向に対して上述の金属コードのなす角度が横断方向に様々であるのが良い本発明の変形実施形態のこれら種々の実施例により、クラウン補強構造体が、タイヤのクラウンの付近、即ち、赤道面に沿って位置する領域に閉じた、即ち小さな角度が存在することにより良好な円周方向剛性を得ることが可能である。これとは対照的に、開いた角度、即ち、90°に向かう傾向のある角度も又、補強要素の層の縁、より詳細には、タイヤの肩のところで得ることができ、その目的は、タイヤのグリップ、トラクション、快適さ又はそれどころか動作温度を向上させることにあり、確かに、角度のかかる変化により、補強要素の層の剪断剛性を加減することができる。
本発明の更に別の特に有利な実施形態によれば、円周方向に関して10°〜90°の角度をなす金属コードは、80%〜100%の侵入性を有する。
本発明の侵入性は、コードの自由領域、即ち、材料を何ら含んでいない領域に侵入するゴム配合物の性能であり、これは、硬化後に配合物により占められる自由領域の割合として表され、通気性試験によって定められる。
この通気性試験により、相対的通気性指数を測定することができる。これは、コードがゴム配合物により侵入された程度を間接的に測定する単純な方法である。これは、コードを用いて補強し、したがって、加硫ゴムにより侵入された硬化済みゴムプライから直接的に切除により取り出されたコードについて行われる。
或る定めた長さのコード(例えば長さ2cm)について以下のように試験を行った。空気を所与の圧力(例えば1バール)でコードの開始部中に導入し、流量計を用いてケーブルから出る空気の量を測定し、測定が行われている間、コード試験片を気密シール内に動かないようにして測定の際にコードの長手方向軸線に沿って一端部から他端部までコードに沿って通る空気の量を考慮するようにした。ゴムによるコードの侵入度が高ければ高いほど、測定した流量はそれだけ一層低かった。
円周方向に対して10°〜90°の角度をなし、上述の条件下でゴム配合物により侵入された補強要素から成るタイヤのカーカスの層の中に本発明の金属コードを布設することにより、コードを構成する種々のスレッド相互間の応力の良好な分布が可能になり、したがって、伸縮サイクルに対する一層良好な耐性が得られる。
本発明のかかるタイヤは、有利には、ハードコアを含む技術を用いて製造される。これは、一方において、金属コードが、例えば、欧州特許第248,301号明細書に記載されている技術を用いて正確に導入でき、モータサイクル用タイヤの円環形プロフィールへのあらかじめ製作された要素の配置と関連した上述の問題が回避されるからである。さらに、ハードコアを用いた製造方法を高圧で実施されるタイヤ硬化と関連させることができ、金属コード中へのゴム配合物の侵入が促進される。
補強要素の少なくとも1つの層の製造に特に適した補強要素は、例えば、12.15規格の撚りケーブルタイプの組立体であり、その組成は、4×3×0.15であり、4本のストランドが、4.6mmのピッチの螺旋の状態に互いに巻かれ、ストランドの各々は、3.1mmのピッチの螺旋の状態に互いに巻かれた3本の金属スレッドで構成され、各ストランドのスレッド及びストランドは、同一のS/S又はZ/Z撚り方向に巻かれ、12本のスレッドの直径は、0.15mmである。
本発明のタイヤの製造に適した撚りケーブルの別の例は、規格21.15のケーブルであり、その組成は、3×7×0.15であり、3本のストランドが、5.3mmのピッチの螺旋の状態に互いに巻かれ、ストランドの各々は、3.2mmのピッチの螺旋の状態に互いに巻かれた7本の金属スレッドで構成され、各ストランドのスレッド及びストランドは、同一のS/S又はZ/Z撚り方向に巻かれ、21本のスレッドの直径は、0.15mmである。
本発明の好ましい実施形態によれば、クラウン補強構造体は、補強要素の少なくとも2つの層を有し、補強要素は、1つの層から次の層まで、互いに20°〜160°の角度、好ましくは40°〜100°の角度をなす。
また、有利には、クラウン補強構造体は、円周方向補強要素の少なくとも1つの層を有し、円周方向補強要素の層中の補強要素は、有利には、6000N/mm2を超える弾性率を有する。
円周方向要素の層中の補強要素は、金属及び/又はテキスタイル及び/又はガラスで作られるのが良い。
円周方向補強要素の層の存在は、モータサイクルの後輪に用いられるようになったタイヤを製造する場合に特に好ましい。
本発明の有利な一実施形態では、円周方向補強要素の層は、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層の外側に少なくとも部分的に半径方向に位置決めされることが想定される。円周方向補強要素の層を円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層の外側に半径方向に作り、トレッドの下に直接位置決めする場合、これは、特に、高速安定性の向上に寄与する場合がある。
かくして、円周方向補強要素の層をその主機能の実施に加えてトレッドの下に順序正しく直接製造することができ、かかる層は又、カーカス及びクラウン補強構造体の他の層を潜在的な機械的衝撃から保護する層としても働く。
変形例として、円周方向補強要素の層を特に経済的理由で、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層相互間に作っても良い。というのは、必要な材料の量及び布設時間がそれにより減少するからである。
本発明の別の有利な実施形態では、円周方向補強要素の層は、半径方向内側において円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層の内側に少なくとも部分的に半径方向に位置決めされることが想定される。この実施形態では、円周方向補強要素の層が、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層の内側に半径方向に作られ、それにより、特にタイヤのグリップ及びトラクションを向上させることができる。
本発明の変形実施形態では、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす円周方向補強要素の少なくとも1つの層、例えば金属コードの層は、カーカスタイプの補強構造体の内側に少なくとも部分的に半径方向に位置決めされる。
本発明の別の変形実施形態では、補強要素の少なくとも1つの層は、カーカスタイプの補強構造体の内側に少なくとも部分的に半径方向に位置決めされることが想定される。この変形実施形態は、この場合も又、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層について上述した種々の位置決めを採用することができる。
かくして、カーカスは、クラウン補強構造体全体を覆うことができる。
好ましくは、本発明では、カーカスを保護するために少なくとも1つのクラウン補強層をカーカスとトレッドの間に位置決めすることが想定される。
注目されるべきこととして、特にクラウン補強構造体の少なくとも一部分がカーカス構造体の内側に半径方向に作られる場合、本発明のタイヤは、有利には、ハードコア又は剛性型を含むタイプの製造法を用いて製造される。
これ又、有利には、ラジアル構造体の場合、カーカスタイプの補強構造体の補強要素は、円周方向に対して65°〜90°の角度をなす。
また、本発明の有利な実施形態では、カーカスタイプの補強構造体は、例えば肩からビードまで延びる2つの層半部の状態に作られることが想定される。クラウン補強要素の性状、量及び配置状態に応じて、本発明では、効果的には、トレッドの下に位置するタイヤのその領域の少なくとも一部のカーカス構造体を不要にすることが想定される。かかるカーカス構造体を欧州特許出願第844,106号明細書の教示に従って製造することができる。
本発明の他の細部及び有利な特徴は、図1及び図2を参照して行われる本発明の幾つかの例示の実施形態の説明から以下において明らかになろう。
理解を容易にするため、図は、縮尺通りには作成されていない。
図1は、テキスタイル(布)タイプの補強要素を有する層2から成るカーカスを有するタイヤ1を示している。層2は、半径方向に配置された補強要素で構成されている。補強要素の半径方向位置決めは、上述の補強要素の布設角度により定められ、半径方向配置は、タイヤの長手方向に対して65°〜90°の角度に布設されたかかる要素に対応している。
カーカス層2は、タイヤ1の各側でビード3内に繋留され、そのベース(基部)は、リムシートに取り付けられるようになっている。各ビード3は、サイドウォール4の形態で半径方向外方に延長され、サイドウォール4は、半径方向外側寄りのところでトレッド5に出会っている。このようにして形成されたタイヤ1の曲率は、0.15を超え、好ましくは0.3を超える。この曲率は、比Ht/Wt、即ち、タイヤのトレッドの高さとトレッドの最大幅の比によって定められる。曲率は、有利には、モータサイクルの前輪に装着されるようになったタイヤについては、0.25〜0.5であり、後輪に装着されるようになったタイヤについては、有利には、0.2〜0.5であろう。
タイヤ1は、クラウン補強材6を更に有し、このクラウン補強材は、状況に応じて、所与の層内に相互に平行であり、1つの層から次の層まで交差した補強要素を有する少なくとも2つの作業層、場合によっては、円周方向補強要素の層から成るのが良い。本発明によれば、作業層中の補強要素は、金属コードであり、この場合、12.15タイプのバイモジュラスコードであり、その組成は、4×3×0.15(S/S 3.1/4.6)であり、これらは図3に示されている。図示の例の場合、クラウン補強材は、所与の層内で相互に平行であり、1つの層から次の層まで交差したコードを有する2つの作業層7,8から成る。
図2は、円周方向が線XX′によって表されたタイヤ1の構成(構造)の概略切除図である。円周方向に対して90°の角度をなすテキスタイル補強要素9の層2から成るカーカスは、コード10の2つの層7,8、例えば図3に示す層によって半径方向に覆われ、かかるコード10は、各層7,8内で相互に平行であり、互いに約40°の角度をなすよう1つの層から次の層まで交差している。
図3は、かかるコード10の概略断面図である。本発明に従って用いられるコード10は、規格が12.15の撚りコード、即ち、直径が15/100mmの12本の基本スレッドで構成されたコードであり、コード10は、規格4×3×0.15を満たし、互いに撚り合わされた4本のストランドを有し、各ストランドは、ストランドの各々によって占められる空間を概略的に表す円121,122,123,124の内側に内接した直径が15/100mmの3本の巻きスレッド11から成る。図3は又、12本のスレッドで形成されたコードにより占められる空間を概略的に表した円13の内側に内接した4本のストランドの巻線を示している。スレッド11は、鋼で作られている。
タイヤ1は、有利には、ハードコア技術を用いて製造され、上述のコードは、欧州特許第248,301号明細書に記載された技術に従って上述したように布設される。ハードコア製造方法により、コードをタイヤ製造の終わりまで定位置に適切に保持することができ、又、硬化段階中の高圧と関連する場合、コード中へのゴム配合物の満足のいく侵入を保証することができる。
このようにして製造されたタイヤについて試験を行った。これら試験は、試験を試験機で行うことから成り、同一サイズの他のタイヤについて同一条件下で行った試験と比較し、これらは、120/70ZR17タイヤである。
基準タイヤと呼ぶタイヤの第1のカテゴリは、従来通り製造されたタイヤ、即ち、作業プライ中にアラミド補強要素を有するタイヤであった。試験した他のタイヤは、作業プライ中に金属補強要素を用いて製造され、補強要素は、「バイモジュラス」コードではなく、4×23規格のコードであった。
試験条件は、タイヤ全てについて同一であり、タイヤを2.5バールまで膨張させ、これに標準のフロントタイヤ荷重をかけた。走行サイクル中、タイヤにはスリップサイクルを課した。
基準タイヤに対する結果の示すところによれば、作業プライ中の補強要素は、タイヤがこの種のタイヤの平均摩耗寿命の少なくとも2倍に想到する距離を走行した後であっても、合格レベルであると考えられる状態にあった。
本発明のタイヤに関する結果の示すところによれば、作業プライ中のコードは、同一距離にわたる走行後、基準タイヤの状態と同等であり、したがって合格レベルの状態にあった。
作業プライ中に金属4×23コードを有するタイヤに関する結果の示すところによれば、作業プライ中のコードは、損傷を受け、タイヤは、これらが先の走行試験の距離の半分に過ぎない距離を走行した場合であっても、役に立たないと考えられた。
したがって、これら試験の証明するところによれば、完全にゴム配合物で含浸したバイモジュラスタイプの金属コードを用いると、タイヤは、耐久性に悪影響を及ぼすことなく走行することができる。
本発明のタイヤの子午線略図である。 図1に示されたタイヤのカーカスの切除平面図である。 バイモジュラスコードの概略断面図である。

Claims (11)

  1. 自動二輪車、例えばオートバイ用のタイヤであって、補強要素で形成されると共に前記タイヤの各側でビード内に繋留されたカーカスタイプの少なくとも1つの補強構造体を有し、前記ビードのベースが、リムシートに取り付けられるようになっており、各ビードが、サイドウォールの形態をなして半径方向外方へ延び、前記サイドウォールが、半径方向外側寄りのところでトレッドに結合し、前記タイヤが、前記トレッドの下に設けられたクラウン補強構造体を更に有し、前記クラウン補強構造体が、円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の少なくとも1つの層から成るタイヤにおいて、前記円周方向に対して10°〜90°の角度をなす前記補強要素は、相対伸び率の関数としての引張応力曲線が、小さな伸び率については緩やかな勾配を示し、大きな伸び率については実質的に一定で且つ急峻な勾配を示す金属コードであり、前記円周方向に関して10°〜90°の角度をなす前記金属コードは、80%〜100%の侵入性を有する、タイヤ。
  2. 前記トレッドの下にクラウン補強構造体を有するタイヤであって、前記クラウン補強構造体は、補強要素の少なくとも2つの層を有し、前記補強要素は、1つの層から次の層まで、互いに20°〜160°の角度をなす、請求項1記載のタイヤ。
  3. 長手方向に対して前記金属コードのなす角度は、横断方向において様々であるのが良く、前記角度は、前記タイヤの赤道面について測定した前記金属コードの角度と比較して、前記補強要素の層の軸方向外側の縁部の方が大きい、請求項1記載のタイヤ。
  4. 前記クラウン補強構造体は、円周方向補強要素の少なくとも1つの層を有する、請求項1記載のタイヤ。
  5. 前記円周方向補強要素の層中の前記補強要素は、6000N/mm2を超える弾性率を有する、請求項記載のタイヤ。
  6. 前記円周方向補強要素の層中の前記補強要素は、金属及び/又はテキスタイル及び/又はガラスで作られている、請求項記載のタイヤ。
  7. 前記円周方向補強要素の層は、前記円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層の外側に少なくとも部分的に半径方向に位置決めされている、請求項記載のタイヤ。
  8. 前記円周方向補強要素の層は、半径方向内側において前記円周方向に対して10°〜90°の角度をなす補強要素の層の内側に少なくとも部分的に半径方向に位置決めされている、請求項記載のタイヤ。
  9. 補強要素の少なくとも1つの層は、カーカスタイプの補強構造体の内側に少なくとも部分的に半径方向に位置決めされている、請求項記載のタイヤ。
  10. 前記カーカスタイプの補強構造体の前記補強要素は、前記円周方向に対して65°〜90°の角度をなす、請求項記載のタイヤ。
  11. 前記カーカスタイプの補強構造体は、肩からビードまで延びる2つの層半部の状態に作られている、請求項記載のタイヤ。
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