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JP4865363B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

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本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物に関し、詳しくは、特定のカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性と低発熱性を向上させた重荷重用タイヤに好適なタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
トラックやバスなどに使用される重荷重用タイヤにおいては、トレッド部の耐摩耗性を向上することが重要である。従来、耐摩耗性を向上するための方策として、ゴム成分として用いるブタジエンゴムについてシス−1,4含有量の高いハイシスタイプのものを使用したり、あるいは、充填剤としてのカーボンブラックについて、小粒径のものを使用したり、ストラクチャーの高いものを使用したり、添加量を増量したりなどといった方策が提案されている。
これら従来の方策を用いると確かに耐摩耗性の向上は見込まれるが、近年の高度な耐摩耗性の要求を満足するには至らず、また、重荷重タイヤ用トレッドゴムとして必要な低発熱性、耐カット/チップ性などの特性に悪影響を及ぼす欠点がある。
タイヤトレッド用ゴム組成物において、耐摩耗性と低発熱性を両立するため、従来、種々の提案がなされている(下記特許文献1〜6参照)。しかしながら、これらいずれの文献にも、本発明で使用した特定のカーボンブラックについては開示されておらず、また、該カーボンブラックをタイヤトレッド用ゴム組成物に用いることにより、耐摩耗性と低発熱性を従来にも増して高度に改良できることについて開示されていない。
例えば、下記特許文献2には、ブタジエンゴム15〜30重量%を含有するジエン系ゴム成分100重量部に対して、CTAB吸着比表面積が145〜151m/g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が104〜110ml/100g、ヨウ素吸着量(IA)に対するCTABの比(CTAB/IA)が0.95〜1.04m/mg、窒素吸着比表面積(NSA)が164〜170m/gであるカーボンブラック50〜56重量部を含有させることにより、低燃費性を良好に保ちながら、耐摩耗性を向上し得るタイヤトレッド用ゴム組成物が提案されている。そして、その表3には、CTABが130m/g、24M4DBPが108ml/100g、NSAが131m/g、IAが122mg/gであるカーボンAが開示されている。このカーボンAは、NSAとCTABとの差が1m/gであり、表面荒れの小さいものであるが、表面活性の指標であるNSA/IAが1.07と小さく、そのため、耐摩耗性と低発熱性を高度に改良することはできない。
特開2004−256756号公報 特開2004−59803号公報 特開2001−123008号公報 特開2001−2835号公報 特開平6−184362号公報 特開平4−170448号公報
本発明は、耐摩耗性と発熱性を高度に向上させることのできるタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、カーボンブラックの特性に着目して鋭意検討した結果、表面活性度を規定するとともに、表面の荒れを抑制することによって、低発熱性と耐摩耗性を高度に向上させることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対して、ヨウ素吸着量(IA)(mg/g)に対する窒素吸着比表面積(NSA)(m /g)の比(NSA/IA)が1.20〜1.30SAとCTAB吸着比表面積の差が5m/g以下、CTAB吸着比表面積が120〜140m /g、及び、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が100〜120ml/100gであるカーボンブラックを40〜60重量部配合したことを特徴とするものである。
また、本発明のゴム組成物において、前記ジエン系ゴムは、天然ゴム及び/又はイソプレンゴム95〜50重量%と、シス−1,4結合含有量が95%以上のブタジエンゴム5〜50重量%からなることが好ましい。
本発明によれば、タイヤトレッド用ゴム組成物に配合するカーボンブラックについて、表面活性の指標となるNSA/IAを1.20〜1.30と高くしてゴムポリマーとのネットワークをより強くすることにより、耐摩耗性と低発熱性を改良することができる。また、カーボンブラックの表面荒れの指標となるNSAとCTAB吸着比表面積との差を小さく規定することで、耐摩耗性と低発熱性が更に改良される。よって、両者の組合せにより、耐摩耗性と低発熱性を大幅に向上することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分として用いられるジエン系ゴムとしては、天然ゴムの他、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどのジエン系合成ゴムが挙げられ、これらはいずれか一種を単独で用いても、2種以上ブレンドして用いてもよい。
好ましくは、ジエン系ゴムは、天然ゴム及び/又はイソプレンゴム100〜50重量%と、ブタジエンゴム0〜50重量%からなることである。すなわち、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムの単独、あるいは、これとブタジエンゴムとのブレンドであることが好ましい。ブレンドする場合、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムが50重量%以上で、ブタジエンゴムが50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムが50〜95重量%で、ブタジエンゴムが5〜50重量%である。
上記ブタジエンゴムとしては、シス−1,4結合含有量が95%以上であるハイシスタイプのものが、耐摩耗性を向上させる上で好ましい。ここで、シス−1,4結合含有量は、赤外吸収スペクトル法(モレロ法)により測定される値である。
本発明のゴム組成物に使用されるカーボンブラックは、ヨウ素吸着量(IA)(mg/g)に対する窒素吸着比表面積(NSA)(m/g)の比(NSA/IA)が1.20〜1.30ある特性を満足するものである。この比は、カーボンブラックの表面活性の指標となるものであり、本発明では上記数値範囲内の高表面活性品を用いる。このように表面活性度の高いカーボンブラックを使用することにより、ゴムポリマーとのネットワークをより強くして、耐摩耗性と低発熱性を改良することができる。
ここで、窒素吸着比表面積(NSA)は、ASTM D3037に準じて測定される値であり、ヨウ素吸着量(IA)は、ASTM D1510に準拠して測定される値である。
該カーボンブラックは、また、NSAとCTAB吸着比表面積の差が5m/g以下である特性を満足するものである。ここで、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)吸着比表面積は、ASTM D3765に準じて測定される値であり、カーボンブラックの粒子径の指標となるものである。また、NSAがカーボンブラックの全表面積の指標になるのに対し、CTAB吸着比表面積はカーボンブラックの外部表面積の指標となるものであり、そのため、両者の差はカーボンブラックの表面荒れを表す指標となり、この差が小さいほど、細孔が少なく表面荒れが小さいことを示す。本発明では両者の差が5m/g以下である表面荒れの小さいカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性と低発熱性を一層向上することができる。この差は小さいほど好ましく、3m/g以下であることがより好ましい。
該カーボンブラックは、また、CTAB吸着比表面積が120〜140m/gであり、かつ、圧縮DBP(ジブチルフタレート)吸油量(24M4DBP)が100〜120ml/100gであるSAF級のカーボンブラックであることが好ましい。24M4DBPは、カーボンブラックのストラクチャーの指標となるものであり、ASTM D3493に準じて測定されるものであって、本発明では上記数値範囲内の高ストラクチャー品を用いる。また、SAF級カーボンブラックとは、ASTM D1765において粒子径によって分類されてコード化された100番台の小粒径カーボンブラックのことである。このような小粒径かつストラクチャーの高いカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性と低発熱性を一層解消することができる。
該カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して40〜60重量部である。該カーボンブラックの配合量が40重量部未満であると補強性が十分でなく耐摩耗性が低下し、また、60重量部を超えると加工性や低発熱性が低下する。
本発明のゴム組成物には、上記した成分の他に、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤など、重荷重用タイヤのトレッドゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
以上よりなる本発明のゴム組成物によれば、耐摩耗性と発熱性を高度に向上させることができるので、空気入りタイヤのトレッドゴムとして好適に用いることができ、特に、高荷重下で使用され、高度な耐摩耗性が要求される重荷重用タイヤトレッドに好適に用いられる。
かかるゴム組成物の調製には、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混合機を用いて行うことができ、混練されたゴム組成物をタイヤトレッドゴムとして用いて、常法に従い加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1〜6
バンバリーミキサーを使用し、実施例1〜4及び比較例1〜6のタイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。各ゴム組成物の配合は、以下の通りである。
天然ゴム(RSS3号) 80重量部
ブタジエンゴム(シス1,4結合=95%、JSR社製「BR01」) 20重量部
カーボンブラック 表1記載の通り
亜鉛華(三井金属社製「亜鉛華1号」) 3重量部
ステアリン酸(日本油脂社製) 3重量部
老化防止剤(モンサント社製「6PPD」) 1重量部
硫黄(鶴見化学工業社製) 2重量部
加硫促進剤(三新化学社製「TBBS」) 1重量部。
カーボンブラックの特性は下記表1に示す通りである。比較例1〜3のカーボンブラックは、いずれも市販のASTMグレードSAF、ISAF級のカーボンブラックであり、比較例1は東海カーボン社製「シースト9」、比較例2は東海カーボン社製「シースト6」、比較例3は東海カーボン製「シースト7HM」である。
また、比較例4〜6及び実施例1〜4のカーボンブラックは、炉頭部に空気供給口と炉軸方向に装着された燃焼バーナーを備える燃焼室と、この燃焼室と同軸に連設された原料油噴射ノズルを有する多段の径小の反応室及び径大の反応室とにより構成されるオイルファーネス炉を用いて、下記表1に示すような特性を持つように、原料油の導入条件、空気導入条件、燃料油導入条件、冷却条件を調整することにより得られたものである。なお、実施例3と実施例4のカーボンブラックは同一品である。
各ゴム組成物について、引張試験を行って、300%モジュラス、破断強度および破断伸びを測定し、また、耐摩耗性、低発熱性を評価した。各評価方法は次の通りである。
・引張試験:JIS K6251に準拠して、300%モジュラス、破断強度および破断伸びを測定し(ダンベル状3号形)、比較例1の値を100とした指数で表示した。
・耐摩耗性:JIS K6264に準拠したランボーン法により、標準条件:スリップ率30%、負荷荷重40N、落砂量20g/分で測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。数値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
・低発熱性:東洋精機製スペクトロメータを用いて60℃での粘弾特性tanδを周波数10Hz、初期伸張10%、歪振幅2%として測定し、比較例1を100とした指数で表示した。数値が小さいほど低発熱性に優れることを示す。
Figure 0004865363
結果は表1に示す通りであり、比較例1〜4のカーボンブラックでは、小粒径品であるものの、表面活性度が低いものであるため、耐摩耗性と低発熱性の改良効果が低く不十分であった。また、比較例5では、カーボンブラックの表面活性度が高いため、耐摩耗性、低発熱性ともに改良されたが、カーボンブラックの表面荒れが大きく、そのため、その改良効果は小さいものであった。また、比較例6では、カーボンブラックの表面荒れは小さいものであり、そのため、耐摩耗性は改良されたが、表面活性度が小さいため、その効果は必ずしも十分でなく、特に低発熱性の改良効果はほとんど得られなかった。
これに対し、実施例1〜4のカーボンブラックでは、表面活性度の指標であるNSA/IAの値が1.20以上と高く、さらにストラクチャーとの関係も比例関係のバランスを崩して高いレベルにあり、耐摩耗性、低発熱性とも改良されていた。また、該カーボンブラックの表面荒れが抑制されたものであるため、耐摩耗性及び低発熱性が一層高度に改良されていた。なお、実施例4では、カーボンブラックの配合量を少なくし、モジュラスを同じところで評価した場合でも、十分な耐摩耗性が得られ、更なる低発熱化が達成されていた。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、各種空気入りタイヤのトレッドゴムとして用いることができ、特に、トラックやバスなどに使用される大型タイヤ、即ち重荷重用タイヤのトレッドゴムとして好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. ジエン系ゴム100重量部に対して、
    ヨウ素吸着量(IA)(mg/g)に対する窒素吸着比表面積(NSA)(m /g)の比(NSA/IA)が1.20〜1.30SAとCTAB吸着比表面積の差が5m/g以下、CTAB吸着比表面積が120〜140m /g、及び、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が100〜120ml/100gであるカーボンブラックを40〜60重量部配合した
    ことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記ジエン系ゴムは、天然ゴム及び/又はイソプレンゴム95〜50重量%と、シス−1,4結合含有量が95%以上のブタジエンゴム5〜50重量%からなることを特徴とする請求項記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
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