JP4864222B2 - 硬質表面用液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質表面用液体洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、硬質表面の汚れは汚染されてから洗浄するまでの時間が長びくと、基質面への付着が強くなるために洗浄が困難となる。例えば、換気扇や台所周辺の壁、ガラス、冷蔵庫等に付着した汚れ物質は、長時間放置された場合には酸化されてベタベタした変質油に変化する。また台所周辺以外にも、住まい全般にわたって手アカ、ヤニ汚れ等の洗浄困難な油性汚れ、あるいは泥等の粒子汚れが存在している。このため硬質表面用洗浄剤は、これら汚れを簡単に除去できる高い洗浄効果が求められる。
【0003】
また、硬質表面用洗浄剤組成物は、トリガー式スプレーヤー等を用いて直接汚れに吹き付け、布等で拭き取る洗浄方法に一般に用いられる。しかしながら、洗浄剤に含まれる界面活性剤やアルカリ剤が被洗浄面に残存するため、拭き取り後においても拭き跡が残り、仕上りが不充分である。このため、二度拭きするか、水で充分にすすぐ必要があり、より簡便にしかも高い洗浄効果を有する洗浄剤が求められている。
【0004】
特開平2−29498号公報には、アニオン性界面活性剤、テルペン系炭化水素溶剤及び水溶性2価金属塩を必須成分とし、洗浄性に優れ、人体に対して安全で、基質への影響が少なく、すすぎのいらない住居用液体洗浄剤組成物が開示されている。しかしながら、このものでガラス面等を洗浄した場合、仕上りという点に関してかなり改良されているものの、実用的には更に改良する必要があった。
【0005】
一方、特開平10−36896号公報、特開平11−80786号公報には、脂肪酸アルカノールアミド型界面活性剤を含有する硬表面用洗浄剤組成物が開示されている。しかしながら、これらに示される組成物は洗浄効果が今だ満足できるものではなく、しかも、貯蔵中に着色したり、匂いの劣化を引き起こすという問題がある。更に、仕上りという点に関しても更に改善が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高い洗浄力を有し、拭き取り性に優れ、且つ、貯蔵安定性に優れる硬質表面用液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で示される化合物〔以下、(a)成分という〕0.1〜6重量%を含有し、全界面活性剤量が0.2〜8重量%である硬質表面用液体洗浄剤組成物に関する。
【0008】
【化2】
【0009】
〔式中、R1−CO−は炭素数8〜20のアシル基であり、R2はメチル基又はエチル基であり、R3は炭素数1〜3のアルキレン基である。〕
【0010】
【発明の実施の形態】
<(a)成分>
(a)成分の一般式(1)において、R1−CO−は、炭素数8〜18のアシル基であって、且つR1が飽和又は不飽和の炭化水素基であるものが好ましい。好ましい具体的例としてはオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基が挙げられ、特に好ましくは、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基である。また、本発明では該アシル基が単独のアルキル基又はアルケニル基を有するものであっても差し支えないが、R1−CO−に対応する脂肪酸が混合脂肪酸であることが洗浄効果、及び起泡力の点から好適である。好ましい混合脂肪酸組成は脂肪酸中の重量%として以下の組成が好適である。なお、これ以外の脂肪酸を含有しても差し支えないが、下記に示した脂肪酸の合計重量が100重量%となるように調製されることが貯蔵安定性の点から望ましい。
【0011】
カプリル酸;1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%
カプリン酸;1〜12重量%、好ましくは3〜7重量%
ラウリン酸;44〜60重量%、好ましくは44〜55重量%
ミリスチン酸;10〜22重量%、好ましくは10〜17重量%
パルミチン酸;4〜10重量%、好ましくは6〜10重量%
ステアリン酸;0〜10重量%、好ましくは1〜7重量%
オレイン酸;0〜17重量%、好ましくは1〜17重量%。
【0012】
また、一般式(1)においてR2は、メチル基又はエチル基であり、洗浄効果、起泡性、及び貯蔵安定性の点から好ましくはメチル基である。更にR3は炭素数1〜3のアルキレン基又はアルケニレン基であり、洗浄効果の点から好ましくは炭素数2もしくは3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。
【0013】
一般式(1)の化合物の好ましい具体的例としてN−エタノール−N−メチルオクタン酸アミド、N−エタノール−N−メチルデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルドデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルテトラデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヘキサデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルオクタデカン酸アミド、N−イソプロパノール−N−エチルドデカン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールオレイン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールイソステアリン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヤシ脂肪酸アミド、N−エタノール−N−メチルパーム核油脂肪酸アミドを挙げることができる。
【0014】
<界面活性剤>
本発明では上記(a)成分以外の界面活性剤を含有する。好ましい界面活性剤としては陰イオン界面活性剤、一般式(1)の化合物以外の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤又は陽イオン界面活性剤から選ばれる化合物が望ましい。
【0015】
陰イオン界面活性剤(以下(b)成分という)としては炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有する、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩、飽和又は不飽和の脂肪酸塩から選ばれる化合物が好ましい。
【0016】
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、洗剤用界面活性剤市場に一般に流通しているものの中で、アルキル鎖の炭素数が8〜16のものであればいずれも用いることができ、例えば花王(株)製のネオペレックスF25、Shell社製のDobs102等を用いることができる。また、工業的には、洗剤用原料として広く流通しているアルキルベンゼンをクロルスルホン酸、亜硫酸ガス等の酸化剤を用いてスルホン化して得ることもできる。アルキル基の炭素数は8〜14が好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、炭素数8〜18、好ましくは8〜16の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールに、エチレンオキサイド(以下、EOと表記する)を1分子当たり平均0.5〜5モル付加させ、これを例えば特開平9−137188号記載の方法を用いて硫酸化して得ることができる。アルキル硫酸エステル塩は、炭素数10〜16、好ましくは10〜14の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールをSO3又はクロルスルホン酸でスルホン化し、中和して得ることができる。α−オレフィンスルホン酸塩は、炭素数8〜18のα−アルケンをSO3でスルホン化し、水和/中和を経て合成することができ、炭化水素基中にヒドロキシ基が存在する化合物と不飽和結合が存在する化合物の混合物である。また、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩としてはアルキル基の炭素数は10〜16が好ましく、メチルエステル又はエチルエステルが洗浄効果の点から好ましい。飽和又は不飽和の脂肪酸塩としてはオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸の塩を挙げることができ、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂から誘導される混合脂肪酸の塩を用いることも好適である。また、本発明では炭素数8〜14のアルケニルコハク酸あるいはその塩を用いることが洗浄効果及び仕上がり性の点から好ましい。
【0017】
本発明では、皮膚刺激性、及び洗浄効果の点からアルキル基の炭素数が8〜14、EO平均付加モル数1〜3のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が特に良好である。
【0018】
塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩が好適であり、洗浄効果の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。また、本発明の組成物は、上記陰イオン界面活性剤を0.1〜5重量%、更に0.1〜3重量%含有することが洗浄効果及び拭き取り性の点から好ましい。
【0019】
本発明で用いる非イオン界面活性剤(以下(c)成分という)として好ましいものは下記一般式(2)〜一般式(5)の化合物を挙げることができる。
【0020】
R4−O(EO)nH (2)
〔式中、R4は炭素数10〜20、好ましくは10〜18の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、nは平均付加モル数として5〜20である。〕
R5−O[(EO)p/(PO)q]H (3)
〔式中、R5は炭素数10〜20、好ましくは10〜18の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。pは平均付加モル数として5〜15、qは平均付加モル数として1〜5である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕
R6−(OR7)xGy (4)
〔式中、R6は直鎖の炭素数8〜16、好ましくは8〜14のアルキル基、R7は炭素数2〜4のアルキレン基、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基、xは平均値0〜6の数、yは平均値1〜10の数を示す。〕
R8−CON(R9)(R10) (5)
〔式中、R8は直鎖の炭素数8〜16、好ましくは8〜14のアルキル基、R9は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R10は3〜6個のヒドロキシ基を有する炭素数5〜7の炭化水素基である。〕。
【0021】
一般式(2)又は一般式(3)の化合物は通常市販されているものを使用してもよく、また周知の方法で合成されたもしくは天然油脂から誘導されたR4又はR5のアルキル基を有するアルコールにEO及び/又はプロピレンオキシドを公知の方法で付加することによって製造することができる。
【0022】
一般式(4)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく中でもグルコースが最も好ましい。
【0023】
一般式(4)の化合物は、上記還元糖とR6−(OR7)x−OHとを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
【0024】
一般式(5)の化合物において、R10は−CH2−(CHOH)m−CH2OH、−CH(CH2OH)−(CHOH)m-1−CH2OH(式中、mは3〜5の整数である)から選ばれる化合物が好ましい。これらの中でも特にmが4の化合物が好ましく、特に−CH2−(CHOH)4−CH2OHが最も好ましい。一般式(5)の化合物は、例えば還元糖を通常の方法でアミノ化した化合物と、R8−COOHで示される脂肪酸とのアミド化反応で容易に合成することができる。好適な還元糖としては、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、およびキシロースが挙げられ、特にグルコースが洗浄効果の点から好ましい。
【0025】
本発明では上記非イオン界面活性剤の中でも、特に一般式(4)の化合物及び一般式(5)の化合物から選ばれる1種以上を含有することが洗浄効果及び基剤損傷性の点から好ましい。
【0026】
本発明の組成物は、上記非イオン界面活性剤を0.001〜3重量%、更に0.005〜2重量%含有することが洗浄効果及び拭き取り性の点から好適である。
【0027】
本発明で用いる両性界面活性剤(以下(d)成分という)としては、下記一般式(6)の化合物又は一般式(7)の化合物から選ばれる1種以上が好適である。
【0028】
【化3】
【0029】
〔式中、R11は炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R13、R14は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。R12は炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−及び−O−から選ばれる基であり、aは0又は1の数である。〕
【0030】
【化4】
【0031】
〔式中、R15は炭素数9〜23、好ましくは9〜17、特に好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R16は炭素数1〜6、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、bは0又は1の数である。R17、R18は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R19はヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは−COO-、−SO3 -及び−OSO3 -から選ばれる基である。〕。
【0032】
本発明の組成物は、上記両性界面活性剤を0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%含有することが洗浄効果及び拭き取り性の点から好ましい。
【0033】
本発明で用いる陽イオン界面活性剤(以下(e)成分という)は下記一般式(8)の化合物が好適である。
【0034】
【化5】
【0035】
〔式中、R20は炭素数5〜19、好ましくは7〜15、特に好ましくは8〜12のアルキル基又はアルケニル基であり、R22、R23は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はベンジル基、好ましくはメチル基、エチル基又はベンジル基である。R24は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR20−(F−R21)c−である。Fは−COO−、OCO−、−CONH−、−NHCO−、
【0036】
【化6】
【0037】
である。R21は炭素数1〜6、好ましくは2もしくは3のアルキレン基又は−(O−R25)d−である。ここでR25はエチレン基もしくはプロピレン基であり、dは1〜10の数である。更にcは0又は1の数であり、Z-は陰イオン、好ましくはクロルイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオンである。〕。
【0038】
本発明の組成物は、このような陽イオン界面活性剤を0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜2重量%含有することが洗浄効果の点から好ましい。
【0039】
本発明の組成物は、上記(b)成分〜(e)成分をすべて含有してもよく、また、被洗浄対象物の種類や汚れの種類に応じてこれら成分から選ばれる化合物を組み合せて用いても差し支えないが、特に(c)成分である非イオン界面活性剤及び/又は(e)成分である陽イオン界面活性剤を含有することが洗浄効果の点から良好である。また、(a)成分及び(b)成分〜(e)成分の合計、すなわち界面活性剤の合計を0.2〜8重量%、好ましくは0.2〜7重量%にすることが、拭き筋を残さず優れた仕上がりを得るために重要である。また、界面活性剤中の(a)成分の比率は5〜70重量%、更に5〜50重量%が洗浄効果、仕上がり性及び貯蔵安定性の点から良好である。
【0040】
本発明の組成物は、下記一般式(9)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0041】
【化7】
【0042】
〔式中、EはR29−CO−又は水素原子、好ましくはR29−CO−であり、R29は炭素数9〜19、好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基である。R26は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、特にメチル基である。R27は炭素数1〜6、好ましくは2又は3のアルキレン基である。R28は炭素数9〜19、好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基である。〕。
【0043】
一般式(9)の化合物は、例えばHN(R26)(R27−OH)で示されるアルカノールアミンと、R28−COOHとの脱水縮合反応又はR28−COOR(Rは炭素数1〜3のアルキル基)とのエステル交換反応又はR28−COClとのアシル化反応で容易に合成することができる。
【0044】
一般式(9)で表される化合物は、前記一般式(4)の化合物と併用することが洗浄効果の点から良好である。また、一般式(9)の化合物を、一般式(9)の化合物/一般式(1)の化合物が重量比で1/100〜1/1、好ましくは2/100〜1/5、特に好ましくは2/100〜1/10の比率で含有することが洗浄効果及び起泡性の点から良好である。
【0045】
本発明の組成物は、アルカリ剤を含有することが洗浄力の点から好ましい。アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び下記一般式(10)〜一般式(13)のアミン化合物が好適である。
【0046】
【化8】
【0047】
〔式中、R30、R31、R32、R33、R34、R36、R37、R38、R39、R42、R43、R44、R45は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、R35、R40、R41は、それぞれヒドロキシ基で置換していても良い炭素数1〜6のアルキレン基を示す。〕。
【0048】
一般式(10)で表わされる化合物としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノール等が挙げられる。一般式(11)で表わされる化合物としては、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン等が挙げられる。一般式(12)で表わされる化合物としては、ジエチレントリアミン等が挙げられる。また、一般式(13)で表わされる化合物としては、モルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。本発明で用いるアルカリ剤は拭きすじを残さず優れた仕上がり性を得るために一般式(10)の化合物及び一般式(13)の化合物から選ばれる化合物が好ましく、特にモノエタノールアミン及びモルホリンが良好である。本発明の組成物はアルカリ剤を0.05〜10重量%、特に0.1〜8重量%含有することが洗浄効果の点から好適である。
【0049】
本発明では洗浄効果を向上させる目的で溶剤を配合することが好ましい。溶剤としては(i)炭素数2〜5の1価アルコール、(ii)炭素数2〜12の多価アルコール、(iii)下記の一般式(14)で表される化合物、(iv)下記の一般式(15)で表される化合物、(v)下記の一般式(16)で表される化合物、(vi)エチレングルコール又はプロピレングリコールが挙げられる。
【0050】
【化9】
【0051】
〔式中、R46及びR47は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示すが、R46及びR47の双方が水素原子となる場合を除く。sは0〜10の数を、tは0〜10の数を示すが、s及びtの双方が0である場合を除く。R48及びR49は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。R50は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕。
【0052】
(i)の炭素数1〜5の1価アルコールとしては、一般的にエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが挙げられる。これらの低級アルコールを配合することにより低温における系の安定性を更に向上させることができる。
【0053】
(ii)の炭素数2〜12の多価アルコールとしては、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。
【0054】
(iii)の化合物は、一般式(14)において、R46、R47がアルキル基である場合の炭素数は、それぞれ1〜4が特に好ましい。また、一般式(14)中、EO及びPOの平均付加モル数のs及びtは、それぞれ0〜10の数である(s及びtの双方が0である場合を除く)が、これらの付加順序は特に限定されず、ランダム付加したものであってもよい。(iii)の化合物の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=2〜3)ポリオキシプロピレン(p=2〜3)グリコールジメチルエーテル(pは平均付加モル数を示す)、ポリオキシエチレン(p=3)グリコールフェニルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等が挙げられる。このうち、洗浄力及び使用感の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=1〜4)グリコールフェニルエーテルが好ましい。
【0055】
また、(iv)の化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンが好適なものとして例示され、(v)の化合物としてはアルキルグリセリルエーテル化合物が好適なものとして例示され、なかでも好ましくはR49が炭素数3〜8のアルキル基の化合物である。
【0056】
これらのなかでも洗浄効果及び貯蔵安定性の点から(i)、(ii)、(iii)、(v)の水溶性溶剤が好ましく、特にエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、グリセリンから選ばれる水溶性溶剤が好ましく、グリセリンが最も好ましい。
【0057】
本発明の組成物は、このような溶剤を0.1〜20重量%、更に0.5〜15重量%含有することが良好である。
【0058】
本発明の硬表面用液体洗浄剤組成物は上記成分を溶解した水溶液の形態が使い勝手及び貯蔵安定性の点から好ましく、水の含有量は粘度の点から好ましくは50〜99重量%、より好ましくは70〜99重量%、特に好ましくは75〜98重量%である。また、該組成物の20℃におけるpHを7〜12、好ましくは8〜11にすることが洗浄効果の点から好ましい。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、上記アルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムあるいは前記一般式(10)〜一般式(13)のアミン化合物から選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。また、使い勝手の点から本発明の組成物は20℃における粘度は1〜100mm2/s、好ましくは1〜50mm2/sが良好である。ここで本発明でいう粘度は20℃の恒温槽で試料を30分間静置した後、ウベローデ粘度計を用いて測定したものである。
【0059】
本発明では貯蔵安定性を向上させる目的でハイドロトロープ剤を含有することが好ましく、具体的に好ましい化合物としては炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換したベンゼンスルホン酸又はその塩を挙げることができる。より具体的に好ましい例としては、p−トルエンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸、p−クメンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸であり、塩を用いる場合にはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が良好である。
【0060】
本発明の組成物には、ゲル化防止のためのポリアルキレングリコールを配合でき、その配合量は、使い勝手の良い粘度に調整する目的で、0〜1.0重量%が好ましく、より好ましくは0〜0.5重量%である。ゲル化防止としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が500〜20000のポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールが好ましい。
【0061】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物には、上記成分の他、更に必要に応じて、通常の分散剤、キレート剤、香料、染料、顔料、防腐剤等を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0062】
本発明の硬表面用液体洗浄剤組成物の使用方法としては、トリガーやエアゾール等のスプレーヤーを用いて直接対象物にスプレーする方法が好ましく、特にトリガー式スプレーが好ましい。また、本発明の組成物を対象物100〜800cm2に対して、好ましくは0.2〜2.0gの割合でスプレーすることが好ましい。スプレーした後は布、不織布、スポンジ等を用いて拭き取ることで拭きすじを残さず良好な仕上がりを得ることができる。
【0063】
【実施例】
表1に示す組成の硬質表面用洗浄剤組成物〔粘度(20℃)1〜50mm2/s〕を調製し、これを用いてその洗浄力、拭き取り性、拭き残り性、貯蔵安定性について下記方法により評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0064】
〔洗浄力〕
10cm×10cmのガラスプレート上に、手アカ汚れを強制的に付着させ、200℃にて30分間熱変性後、更に1ケ月間室温放置したものをモデル汚れとした。モデル汚れに、各組成物を市販のスプレーヤー(花王株式会社製ガラスマイペット用トリガースプレー)で1ccスプレーし、乾いたタオルで拭き取った後に、下記の評価基準にて官能評価を行なった。
◎:汚れ落ち非常に良好。
○:汚れ落ち良好。
△:汚れが落ちない箇所がある。
×:ほとんど汚れが落ちない。
【0065】
〔拭き取り性〕
家庭の窓ガラスに、各組成物を市販のスプレーヤーで3ccスプレーし、乾いたタオルで拭き取った。拭き取り時に引きずる泡の量と、その泡が消える速度を次の評価基準の如く官能評価をすることにより行なった。
○:タオルで拭いている時泡を引きずりにくい(拭いている間、すぐに泡が消える)。
△:タオルで拭いている時、やや泡を引きずる(拭いている間、すぐには泡が消えない)。
×:タオルで拭いている時、泡を引きずる(拭いている間、泡が消えない)。
【0066】
〔拭き残り性(仕上り性)〕
拭き取り性の評価を行なった後、拭き跡残り性を次の如く官能評価をすることにより行なった。
○:拭き残り跡がほとんどない。
△:やや拭き残り跡が残る。
×:拭き残り跡が残る。
【0067】
〔貯蔵安定性〕
表1の組成物を広口規格ビンPS−No.13Kに100ml入れ、ふたをして、40℃の恒温室に1ヶ月間貯蔵した。貯蔵後の組成物の液の外観を下記基準により評価した。
○:全く変化が見られない
□:やや液に着色が見られる
△:液に明らかに着色が見られる
×:液に著しく着色が見られる
【0068】
【表1】
【0069】
(注)表中の記号は以下のものを表す。
・PKNMEA:カプリル酸(4.5重量%)、カプリン酸(5重量%)、ラウリン酸(54.5重量%)、ミリスチン酸(11.5重量%)、パルミチン酸(10重量%)、ステアリン酸(5.5重量%)、オレイン酸(9重量%)の混合脂肪酸と、N−メチルエタノールアミンとを脱水アミド化反応させて得られた、N−エタノール−N−メチルアルカン酸アミド
・LyDEA:ラウロイルジエタノールアミド
・LAS:アルキル基の炭素数が12〜15のアルキルベンゼンスルホン酸
・ES:ポリオキシエチレンココナッツアルキルエーテル硫酸アンモニウム(EO平均付加モル数2モル)
・AOS:炭素数12〜14の1−オレフィンをSO3でスルホン化し、水酸化ナトリウムで中和したα−オレフィンスルホン酸ナトリウム
・SFE:やし組成脂肪酸メチルエステルをSO3でスルホン化し、水酸化ナトリウムで中和したα−スルホ脂肪酸メチルナトリウム塩
・FA:やし組成脂肪酸
・ASA:炭素数8のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸ナトリウム
・ノニオン1:アルキル基の組成が炭素数12/炭素数14=60/40、直鎖混合アルキルである、グルコシド平均縮合度1のアルキルグルコシド
・ノニオン2:ラウリン酸とN−メチルグルコースアミンとの脱水アミド化反応で合成したN−メチルグルコースラウリルアミド
・AO:N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・AB:N−ラウロイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン
・カチオン:オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド
・NMAE:C11H23CON(CH3)C2H4OCOC11H23(1モルのN−メチルモノエタノールアミンと2モルのラウリン酸を脱水縮合反応させて合成した化合物。未反応のアミン及び/又は脂肪酸を薄膜式蒸留機により除去した。)
・MEA:モノエタノールアミン
・MOE:N−エタノールモルホリン
・p−TS:p−トルエンスルホン酸ナトリウム
・pH:1/10N−硫酸水溶液又は1/10N−水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で示される化合物〔以下、(a)成分という〕0.1〜6重量%、及び下記一般式(9)で表される化合物を含有し、全界面活性剤量が0.2〜8重量%であり、界面活性剤中の(a)成分の比率が5〜70重量%であり、一般式(9)の化合物/一般式(1)の化合物が重量比で2/100〜1/10であり、20℃におけるpHが8〜12である硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- 更にアルカリ剤を含有する請求項1記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- エタノール、プロピレングリコール、グリセリンから選ばれる水溶性溶剤を0.1〜20重量%含有する請求項1又は2記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- 請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物と、スプレーヤーとを含んで構成される、硬質表面用スプレー式洗浄剤。
- 請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬質表面にスプレーした後、拭き取りを行う、硬質表面の洗浄方法。
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