JP4857853B2 - 移注具キットおよびアダプタ部材 - Google Patents
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そのために、予め溶解液を収納したプレフィルドシリンジ(溶解液充填注射器)と、予め薬剤が収納されたバイアルとを連通補助具を介して接続し、薬液の残留のない2成分混合用溶解液充填注射器が既に出願されている(例えば、特許文献1参照)。
もし、先に製剤バイアルに両頭針を装着すると、中空状の針部材を通して外気が進入して陰圧状態が解除され、後で溶解液バイアルを装着した際に溶解液が製剤バイアル内に導入されないという問題が生じる。
また、たとえ先に溶解液バイアルを装着しても、従来の両頭針を用いた場合では、製剤バイアルに接続する際に、下向きになった針の先から液漏れするという問題も生じる虞がある。
さらには、注射器外筒内の溶解液をバイアルの薬剤と混合して液状薬剤に調製する場合であっても、調製した後で注射器内に前記液状薬剤を吸引し、連通手段から分離した後では、混合する前の注射器と外観が同一であり、注射器内の薬液が正しく薬剤と混合された注射器であると確認することは困難である。
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、アダプタ部材内に両頭針部材を押し込んでいくと、両頭針部材のガイド翼片とアダプタ部材の案内ガイド面とが係合して停止するので、正しい仮止め位置に規制することが容易となる。
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、未溶解の粉末状薬剤の挿通を禁止するので、溶解した液状薬剤のみを注射器が正しく吸引することができる。
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、キャップ部材を装着した注射器を押し込む操作で、両頭針部材が備える針部材とキャップ部材とを正しい位置に維持しながら係合させことができ、針部材が刺通する位置で両頭針部材が備える係合アーム部材をキャップ部材に嵌め込んで位置固定することができる。
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、注射器を押し込むという簡単な操作で、先ず、第二針部材がキャップ部材を刺通して、注射器と両頭針部材とを接続し、その後で、第一針部材がバイアルのシール部材を刺通して、バイアルと両頭針部材とを接続するという正しい刺通順序を構築することができる。また、その連通した位置に両頭針部材を固定することができる。つまり、バイアルと注射器とを連通した状態を維持すると共に、アダプタ部材内に両頭針部材を固定することができる。また、そのために、一旦使用した両頭針をアダプタ部材内部に保持した状態で、そのまま廃棄することができ、廃棄が容易となるだけでなく、衛生的で安全は操作となる。
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、第一針部材とバイアルのシール部材との刺通抵抗が大きくなり、刺通抵抗のより小さい細い針の第二針部材を注射器のキャップ部材に先に刺通させ、その後に、太い針の第一針部材をシール部材に刺通させることができ、正しい刺通順序をさらに可能とする。
上記の構成を有する請求項7に係る発明によれば、陰圧状態のバイアルに溶解液を混合して液状薬剤に調製した後で、除菌された外気を導入しながら注射器側に吸引することができ、液状薬剤の吸引が衛生的かつ容易となる。
上記の構成を有する請求項8に係る発明によれば、混合液をバイアルに供給した後、所望のタイミングでフィルタキャップを除去し、外気を供給することができる。そのために、混合された液状薬剤を注射器により吸引可能となるだけでなく、薬剤と溶解液とを混合した際に生じる泡が消滅するという効果も発揮することができる。
上記の構成を有する請求項9に係る発明によれば、バイアルを確実に保持可能となり、混合操作中にバイアルが外れる危険を防止することができる。
上記の構成を有する請求項10に係る発明によれば、この状態のアダプタ部材に任意のバイアルと注射器をセットすることができ、所望の薬剤と溶解液とを選択して、所望の液状薬剤を調製することができる。
移注具キットKは、アダプタ部材1に注射器3とバイアル4とを装着して、注射器3に収納された溶解液Dとバイアル4に収納された薬剤Mとを混合して液状薬剤を調製する医療機器である。
また、バイアル4内に溶解液Dが引き込まれる様子は、注射器3に装着されるガスケット31の移動から確認することができる。
溶解液混合後にフィルタキャップ7を取り外して外気を供給すると、混合された液状薬剤を注射器により吸引可能となるだけでなく、薬剤と溶解液とを混合した際に生じる泡が消滅するという効果も発揮し好適である。
図2(a)に示すように、アダプタ部材1は、一端側にバイアルの口部を装着可能なバイアル装着部11を備え、他端側に注射器を装着可能とする開口部12を備えた筒状部材であり、通常ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスルフォンなどの合成樹脂で形成される。
また、A−A断面図に示すように、前述した案内ガイド片14と案内ガイド面15とを備えており、筒内部に装着する両頭針部材2の位置を規制する構成としている。両頭針部材2は、その外壁24の突端部が前記アダプタ部材の端部壁13に当接するまで押し込むことが可能である。
その後で、図3(b)、図4(b)に示すように注射器3を図中の矢印B1方向に押し込むと、両頭針部材2はそのガイド翼片26が案内ガイド面15に当接して仮停止状態であり、注射器3のみが移動する。つまり、第二針部材22がキャップ部材5の薄膜部を刺通していくことになる。
もちろん、注射器3を引き抜く前に、バイアル内に収納された薬剤と新たにバイアル内に供給される溶解液とを混合して液状薬剤を調製することが肝要である。
2 両頭針部材
3 注射器
4 バイアル
5 キャップ部材
6 シール部材
7 フィルタキャップ
8 フィルタ部材
11 バイアル装着部
13 端部壁
14 案内ガイド片
15 案内ガイド面
21 第一針部材
22 第二針部材
23 中央隔壁
24 外壁
25 係合アーム部材
26 ガイド翼片
27 ガイド溝
28 連通路
29 外気通路
32 針接続部
K 移注具キット
Claims (9)
- 一端側にバイアルの口部を装着可能なバイアル装着部を備え、他端側に注射器を移動可能に挿着するアダプタ部材を介して、前記バイアルに収納されている薬剤と前記注射器に収納されている溶解液とを混合して液状薬剤を調製する移注具キットであって、
前記注射器は、溶解液を密封するために、注射器内に摺動可能に挿着されるガスケットと注射針接続部が着脱自在に閉鎖されるキャップ部材とを備え、前記バイアルは、その口部に、収納された薬剤を密封するシール部材を備えており、
前記アダプタ部材の内部に、前記シール部材と前記キャップ部材とにそれぞれ刺通可能な第一および第二針部材をその両端側に備え、前記アダプタ部材の内部を摺動自在な両頭針部材を配設すると共に、
前記両頭針部材の前記アダプタ部材内の位置を、前記シール部材を前側として装着する前記バイアルの前記シール部材を刺通しない仮止め停止位置と、前記注射器を押し込むことにより押圧されて前記シール部材を刺通し液状薬剤を調製する作用位置と、に移動自在とし、
前記第二針部材方向に突設されるガイド翼片を備え、前記アダプタ部材内に案内ガイド面を突設し、前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に当接して、前記仮止め停止位置に位置し、
前記注射器を押し込むと、前記第二針部材が前記キャップ部材を刺通し、さらに押し込むことで、前記ガイド翼片が弾性変形し、前記第一針部材が前記シール部材を刺通することを特徴とする移注具キット - 前記両頭針部材が、中央隔壁の両側にそれぞれ互いの針部材を連通する連通路を共有する前記第一および第二針部材を備え、前記中央隔壁の外周部から前記第一針部材方向に延設され前記アダプタ部材内を摺動すると共にその突端部が前記アダプタ部材の端部壁と当接して前記作用位置を規制する外壁と、前記中央隔壁から前記第二針部材方向に突設される係合アーム部材とガイド翼片とを備えており、前記アダプタ部材内に突出する二個の案内ガイド片を対向して設け、前記外壁に前記案内ガイド片に係合するガイド溝を設け、前記アダプタ部材内の前記案内ガイド片から離れた位置に二個の案内ガイド面を対向して突設し、前記ガイド溝と前記案内ガイド片とを係合して前記アダプタ部材を押し込んでいくと前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に当接して、前記仮止め停止位置となることを特徴とする請求項1に記載の移注具キット。
- 前記連通路にフィルタ部材を装着したことを特徴とする請求項2に記載の移注具キット。
- 前記キャップ部材を、前記針接続部を被覆する先端の小径筒部と、該筒部から拡径するテーパ面を介して延設される大径後端部とを備えた形状とし、前記係合アーム部材を前記第二針部材を挟むように相対向して突出した一対のアーム部材とし、前記係合アーム部材の内側にそれぞれ突部を設け、相対向する前記突部間の間隔を、前記キャップ部材の前記小径筒部の挿通を許可する程度の間隔とし、前記突部間にキャップ部材を押し込むと前記突部と前記テーパ面とが当接して前記突部間を押し広げる方向に弾性変形し、前記大径後端部と注射器との間に形成される隙間に前記突部が嵌まり込むまで、前記キャップ部材が移動する構成としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移注具キット。
- 前記大径後端部が前記係合アーム部材に嵌まり込むまで前記注射器を押し込むと、前記第二針部材が前記キャップ部材を刺通し、さらに押し込んで、前記ガイド翼片が前記案内ガイド面に摺動しながら前記外壁が前記端部壁に当接して前記両頭針部材が作用位置に達すると、前記第一針部材が前記シール部材を刺通し、前記ガイド翼片が前記アダプタ部材の側壁に設けた窓部から突出して戻り防止となることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の移注具キット。
- 前記シール部材に刺通する前記第一針部材を前記キャップ部材に刺通する前記第二針部材より太い径としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の移注具キット。
- 前記シール部材に刺通する前記第一針部材に、前記両頭針部材の外部に通じる外気通路を設けると共に、該外気通路に除菌フィルタを配設したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移注具キット。
- 前記外気通路が前記窓部に開口していると共に、前記開口部をフィルタキャップが着脱自在な形状としたことを特徴とする請求項7に記載の移注具キット。
- 前記バイアル装着部の内壁にバイアルを保持する爪部材を設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の移注具キット。
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