JP4853565B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
エンジン回転の増加によりドライバーが加速感の期待を持っても、ドライバーの加速期待に応えられない。
すなわち、ドライバーは、アクセル操作による加速感の高まりを、エンジン回転の増加により感じる。
従って、このエンジン回転の増加に応じた加速度の変化を実現しなければ、ドライバーの期待する加速感は得られない。
アクセル操作量と車速とに基づいて、ドライバーの要求に応じた車速制御分目標駆動力を生成する車速制御分目標駆動力生成部と、
エンジン回転数に基づき、エンジン回転数の増加に合わせて増加する値であるエンジン回転補正率を算出するエンジン回転補正率演算部と、
該エンジン回転補正率演算部により算出されたエンジン回転補正率の時間変化に対し、エンジン回転数の時間変化量が大きいほど大きな上限値を超えることのないよう制限を与えて、上記エンジン回転補正率の時間変化が上記上限値を超えないよう制限するための制限付きエンジン回転補正率を求める制限付きエンジン回転補正率演算部と、
上記車速制御分目標駆動力と上記制限付きエンジン回転補正率とに基づいて回転補正付き目標駆動力を求める目標駆動力合成部とを具備した構成に特徴づけられる。
しかして、ダウンシフト等によりエンジン回転数が急増するときは、エンジン回転補正率の急増によって目標駆動力も当初は急に増加補正されるものの、その後の車速増に伴う目標駆動力の低下に呼応して目標駆動力が低下されることにより、当初は目標駆動力の上記した急な増加補正により急な加速感を感じさせ得るものの、その後は目標駆動力の上記した低下により減速感を感じさせることとなり、上記した目標駆動力は、加速操作状態に対応した加速の「伸び感」を感じさせるような目標駆動力たり得ない。
ところで本発明においては、上記エンジン回転補正率の時間変化に対し、エンジン回転数の時間変化量が大きいほど大きな上限値を超えることのないよう制限を与えて、上記エンジン回転補正率の時間変化が上記上限値を超えないよう制限するための制限付きエンジン回転補正率を求め、この制限付きエンジン回転補正率で目標駆動力の増加補正を行うため、上記の問題を以下のように解消することができる。
つまり、エンジン回転数の急増によっても制限付きエンジン回転補正率が急増しないため、これにより増加補正された目標駆動力は当初においても、上記制限に応じて決まる時間変化を超えて急増することがない。
従って、上記エンジン回転数の急増後における車速増に伴う目標駆動力の低下に呼応して目標駆動力が低下されるときも、目標駆動力の上記した比較的緩やかな増加補正により当初からの加速感を継続的に感じさせ得ることとなり、途中で減速感を感じさせることがなくて、加速操作状態に対応した加速の「伸び感」を感じさせることができる。
まず、構成を説明する。
参考例の駆動力制御装置は、図1の全体図に示すように、ドライバーの要求に応じた車両の目標駆動力を求める目標駆動力演算手段1を有し、求められた最終的な回転補正付き目標駆動力を実現する装置である。
図2に従来例の駆動力制御装置の概念図を示す。
この従来例は、アクセル操作量と車速によるマップ検索にて車速制御分目標駆動力を生成する。
加速シーンにおいては、アクセル踏み込み操作を行い、その後、アクセル操作量を一定に保つ。
このときの目標駆動力の軌跡は、図3の太実線特性に示すように、最初のアクセル踏み込み操作により目標駆動力が増加し、次にアクセル操作量が一定に保たれたところで、加速による車速の増加に伴って、目標駆動力は徐々に減少していくことになる。
なぜならば、アクセル操作量に対する目標駆動力特性は、ある車速の走行抵抗に相当する駆動力に収束するように作らなければならない。
もし、そうでなければ、走行抵抗と拮抗することなく、アクセルの戻し操作無しでは、何処までも加速してゆく車両特性となるため、車速の維持するための制御のし易さ、定速走行性が悪化するし、また、加速フィーリングの面からも、変速機のアップシフト等により、エンジン回転数の増加が収まると共に、ドライバーはやがて加速が落ち着いてくることを期待しているので、必ずしも加速感が良い、という評価はされない。
また、間違ったときのリスクを考えると、十分な補正ができない。
したがって、でき得るならば、何らかのトリガをもって、切り替えの発生することの無いシステムであることが望ましい。
そこで、目標駆動力を補正することを考えると、まず、ドライバーは、エンジン回転数の増加に対して加速期待を持つ。
よって、これを実現するために、エンジン回転数をトリガとし、エンジン回転数の増加に伴って、ベースとなる車速制御分目標駆動力を増大補正させればよい。
(1)加速期待が小さい領域では、「伸び感」は必要ない、
(2)エンジン出力の限界領域では、補正をすることができない、
ことを考えると、特定の領域に限られる。
発進加速時、ドライバーがステップ的なアクセル踏み込み操作を行うと(図5のアクセル操作量特性)、少し遅れて車両の加速度が急勾配で上昇し(図5の加速度特性)、この加速度上昇とほぼ符合してエンジン回転数が上昇し始める(図5のエンジン回転数特性)。
加速するにしたがって、徐々にベースの目標駆動力が減少するため、車両の加速が鈍る(図5の点線による加速度特性)。
追い越し加速に際し、定車速走行状態からドライバーがステップ的なアクセル踏み込み操作を行うと(図6のアクセル操作量特性)、アクセル踏み込み操作に対応し、変速機が変速比をLow側に設定する、いわゆるダウン変速を伴う。
参考例の車両の駆動力制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記目標駆動力演算手段1は、
アクセル操作量および車速に基づいて車速制御分目標駆動力を生成する車速制御分目標駆動力生成部1aと、
エンジン回転数に基づき、エンジン回転数の増加に合わせて増加する値であるエンジン回転補正率を算出するエンジン回転補正率演算部1bと、
前記車速制御分目標駆動力と前記エンジン回転補正率とを掛け合わせて回転補正付き目標駆動力を求める目標駆動力合成部1cとを具備するため、
ドライバーの加速期待をエンジン回転数の増加により検知し、車速制御分目標駆動力の増加補正により効果的な「伸び感」の演出を行うことで、ドライバーの加速期待に応える発進加速性や追い越し加速性を得ることができる。
なお、目標駆動力に代え、目標駆動力を実現するためのエンジンの目標出力をエンジン回転数等の増加に合わせて補正するようにしても良い。
なお、電気自動車の場合、エンジン回転数に代え、車両駆動用モータ回転数を用いる。
また、これらの回転数に、補機駆動用モータ回転数を加えても良い。
ベースとなる車速制御分目標駆動力の大きさに対する比率により、増加する目標駆動力補正量が算出され、ベースとなる車速制御分目標駆動力の大きさにかかわらず最適な目標駆動力補正量の算出を行うことができる。
ちなみに、算出された一定の補正量を加算することにより目標駆動力を増加するようにした場合、
ベースとなる車速制御分目標駆動力が低い場合には補正量が過大になったり、また、ベースとなる車速制御分目標駆動力が高い場合には補正量が過小となってしまうことがある。
あらゆる車速条件で「伸び感」を適切に演出することができる。
なお、変速比に代え、車速を用い、車速が低いほどエンジン回転補正率を大きくするようにしても同様に効果を得ることができる。
本実施例は、上記した参考例の構成をベースとし、エンジン回転補正率演算部1bにより算出されるエンジン回転補正率の時間変化に対して制限を与える構成を追加した例である。
なお、エンジン回転補正率時間変化量上限値は、エンジン回転数時間変化量が△Naまでは二次曲線的に上昇する値で与え、エンジン回転数時間変化量が△Naを越えると一定値で与える。
これを単位時間当たりでのエンジン回転補正率差を求める微分処理によりエンジン回転補正率時間変化量を得ると共に、1制御周期前のエンジン回転補正率を得る。
そして、エンジン回転補正率時間変化量<エンジン回転補正率時間変化量上限値という大小関係の場合は実線で図示する切替位置とし、エンジン回転補正率時間変化量≧エンジン回転補正率時間変化量上限値という大小関係の場合は点線で図示する切替位置とする。
すなわち、エンジン回転補正率時間変化量<エンジン回転補正率時間変化量上限値の場合は、エンジン回転補正率時間変化量が制限付き補正率時間変化量となる。
また、エンジン回転補正率時間変化量≧エンジン回転補正率時間変化量上限値の場合は、エンジン回転補正率時間変化量上限値が制限付き補正率時間変化量となる。
定車速走行状態からドライバーがアクセル踏み込み操作を行うと、アクセル踏み込み操作に対応し、変速機が変速比をLow側に設定する、いわゆるダウン変速を伴う。
したがって車両の加速度は、図8に点線特性で示すように、いったん大きく増加するものの、加速による車速増に伴って、ベースとなる車速制御分目標駆動力が減少するため、車両の加速度はその後、時間経過と共に減少してゆく波形となる。
これでは、いったん加速した後に減速感が残るというように、「伸び感」をドライバーに感じさせるような目標駆動力の変化は生じない。
すなわち、たとえダウン変速が行われ、エンジン回転数や変速比が急激に変化しても、エンジン回転補正率は図8に実線特性で示すごとく、エンジン回転補正率の時間変化量にリミッタを掛けていることから、エンジン回転数が急増しても急増することなく、ゆっくりと増加する。
つまり、発進加速と同様な速度でエンジン回転補正率が増加するように制限が掛けられることになる。
かようにエンジン回転補正率がゆっくり増加するので、車両の加速度は、図8の加速度の実線特性に示すように、減少する期間を生ずることなく緩やかに増加し続けることとなり、「伸び感」をドライバーに感じさせるような目標駆動力の変化を実現することができる。
本実施例の車両の駆動力制御装置にあっては、参考例の前記した(1)〜(4)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
定車速走行状態からアクセル踏み込み操作を行った場合などのように、ダウン変速によって急激にエンジン回転数の増加がある場合にも、「伸び感」を適切に演出することができる。
エンジン回転数が緩やかに増加する発進加速時も、エンジン回転数が急激に増加する追い越し加速時も、同様に、エンジン回転数の増加に対する適切な「伸び感」を演出することができる。
1a 車速制御分目標駆動力生成部
1b エンジン回転補正率演算部
1c 目標駆動力合成部
1d エンジン回転数微分器
1e 閾値設定器
1f 補正率微分器
1g 比較切替器
1h 加算器
2 アクセル操作量検出手段
3 車速検出手段
4 エンジン回転数検出手段
5 変速比検出手段
Claims (2)
- アクセル操作量と車速とに基づいて車速制御分目標駆動力を生成する車速制御分目標駆動力生成部と、
エンジン回転数に基づき、エンジン回転数の増加に合わせて増加する値であるエンジン回転補正率を算出するエンジン回転補正率演算部と、
該エンジン回転補正率演算部により算出されたエンジン回転補正率の時間変化に対し、エンジン回転数の時間変化量が大きいほど大きな上限値を超えることのないよう制限を与えて、前記エンジン回転補正率の時間変化が前記上限値を超えないよう制限するための制限付きエンジン回転補正率を求める制限付きエンジン回転補正率演算部と、
前記車速制御分目標駆動力と前記制限付きエンジン回転補正率とに基づいて回転補正付き目標駆動力を求める目標駆動力合成部と、
を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
- 請求項1に記載された車両の駆動力制御装置において、
前記エンジン回転補正率演算部は、エンジン回転数と変速比に基づき、エンジン回転数の増加に合わせて増加する値であると共に、変速比が大きいほど増加する値であるエンジン回転補正率を算出することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
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