JP4849080B2 - 電子写真用感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
同様に近年、窒化炭素膜の研究開発が行われている。
また、スパッタリングやCVD法その他製膜時に昇温を伴う方法を用いて表面層を形成する場合、表面層の製膜プロセスにおいて有機感光層等の下地の熱膨張等により表面層に応力が生じ、表面層に歪みが生ずることがあった。この表面層の歪みは、電子写真法で画像を形成する場合の画像ムラの原因となる。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、画像ムラの生じにくい電子写真用感光体並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真用感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを少なくとも含む現像剤を用いて前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記電子写真用感光体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段と、
前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有する画像形成装置である。
前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段、帯電した前記電子写真用感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、トナーを少なくとも含む現像剤を用いて前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段、前記トナー画像を形成する際にトナーと共に前記電子写真用感光体表面へ転移した不正キャリアを磁力によって捕集するキャリア捕集手段、前記電子写真用感光体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段及び転写後の前記電子写真用感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一種と、を一体に有し、
画像形成装置本体から脱着可能とされたプロセスカートリッジである。
第一の実施形態に係る電子写真用感光体は、導電性基体と、有機高分子中に導電性フィラーの分散した厚さ5μm以上50μm以下の下引き層と、有機感光層と、13族元素と酸素とを少なくとも含有し酸素の13族元素に対する元素組成比が0.9以上1.4以下である表面層と、をこの順に備える。酸素の13族元素に対する元素組成比は0.9以上1.35以下が好ましく、0.95以上1.3以下がさらに好ましい。
また、第二の実施形態に係る電子写真用感光体は、導電性基体と、有機高分子中に導電性フィラーの分散した厚さ5μm以上50μm以下の下引き層と、有機感光層と、13族元素と窒素とを少なくとも含有し窒素の13族元素に対する元素組成比が0.4以上0.8以下である表面層と、をこの順に備える。窒素の13族元素に対する元素組成比は0.45以上0.75以下が好ましく、0.5以上0.7以下がさらに好ましい。
なお、下引き層を50μmよりも厚くした場合には、下引き層による残留電位や繰り返し特性が不十分になり、繰り返し使用により安定な画像を出力できないことがある。
下引き層と有機感光層との間に、硬さや膨張率、密着性の向上などの観点から中間層を設けても良い。
このように、表面層を形成する前に感光体表面に中間層を設けることで、表面層を形成するときの紫外線や、画像形成装置内で感光体が使用された場合のコロナ放電や各種の光源からの紫外線などの短波長光による有機感光層への影響を防ぐことができる。
次に、表面層の特性等についてより詳細に説明する。
表面層は表面の傷を防止し、また均一な研磨を保証し、窒素酸化物などの吸着がおこり難く、またオゾンや窒素酸化物による酸化雰囲気にたいして表面の酸素濃度が高く耐性を示すものである。また透明性が高く緻密で硬度に優れた膜である。
本実施形態に係る表面層は表面電荷を表面にトラップしても、また内部にトラップするものでも良い。また表面電荷を積極的に注入させるものでも良い。表面層の内部に電荷を注入する場合には有機感光層との界面に電荷がトラップする構成が必要であり、負帯電で表面層が電子を注入する場合には正孔輸送層の表面が電荷トラップの機能を果たしても良いし、電荷注入阻止とトラップのための層を設けても良い。正帯電性の場合にも同様にすることができる。
本実施形態に係る表面層は、13族元素と酸素あるいは窒素を含む13族酸化物あるいは窒化物半導体であり、硬度も高く、電気抵抗が潜像を保持するとともに表面層での電荷蓄積を防止するように制御できる。また、大気中の酸素や酸化雰囲気中においても耐酸化性に優れ、経時的な物性変化が極めて小さい。
表面層の厚み方向における酸素あるいは窒素の濃度分布は基材側に向かって減少し、表面は化学量論比となつていても良い。
酸素あるいは窒素の量が減少することにより、表面層は表面にむかって抵抗は高く、硬度は高く、光吸収は減少し、有機感光層の光電特性を低下させずまた長期安定性に優れた表面層となる。
さらに、表面層の最表面の摩擦係数が小さいため、クリーニングブレードで感光体表面の転写残トナーを除去する際に低いトルクでクリーニングすることができる。クリーニングブレードは、他のクリーニング手段と比べると感光体表面を傷つけ、また、磨耗を促進しやすいものである。しかし、本実施形態の電子写真用感光体の表面は滑らかで滑り性に富むため、長期に渡る使用においても、感光体表面の傷の発生や磨耗を抑制することができる。
水素の含有量が0.1原子%未満の場合には膜内部に構造的な乱れを内蔵したままとなり、電気的に不安定となったり機械的な特性も不十分となる場合がある。また、40原子%を超える場合には水素が13族元素に2原子以上結合する確率が増加して、三次元構造を保つことができず硬度や化学的安定性(特に耐水性)などが不十分となる場合がある。
HFSは、加速器としてNEC社の3SDH Pelletronを用い、エンドステーションとしてCE&A社のRBS−400を用い、システムとしてCE&A社の3S−R10を用いた。
解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いた。
He++イオンビームエネルギー:2.275eV
検出角度160°入射ビームに対してGrazing Angle30°である。
白雲母は水素濃度が約6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行うことができる。
表面層に含まれる13族元素としては、具体的には、B,Al,Ga,Inから選ばれる少なくとも一つの元素を用いることができ、これらの元素から選択される二つ以上の元素を組み合わせて用いることもできる。
この場合、これらの原子の表面層中の含有量の組み合わせに制限は無いが、上記4つの元素のうち、Inの窒化物の場合には可視光域に吸収があり、In以外の元素は可視光域に吸収がないため、使用する13族元素を適宜選択することにより、表面層の光に対する感応波長域を任意に調整することが可能である。本実施形態に係る表面層においては、この感光体を備えた画像形成装置の露光波長やイレーズ波長などに対して、これらの光を出来るだけ吸収しないように元素を選択する必要がある。
He++イオンビームエネルギー:2.275eV
検出角度 160°入射ビームに対してGrazing Angle 109°である。
組成比と膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定しても良い。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度を向上できる。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー 3)散乱角度
の3つの要素のみにより決まる。
測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて膜厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
なお、表面層は、安定性や硬度から微結晶が含まれた非晶質、非晶質が含まれた微結晶/多結晶であっても良いが、表面層表面の平滑性や摩擦の点からは非晶質であることが好ましい。結晶性/非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別することができる。また、非晶質性は、X線回折スペクトル測定によっても回折角に固有の鋭いピークが現れないことによっても判別することができる。
十分な機械的強度を保つために本実施形態に係る表面層が厚膜とされた場合にも、帯電と露光が繰り返された場合の電荷の内部蓄積による感光体表面の残留電位やそのサイクルアップを抑え、帯電特性をより安定化することができる。
表面層の厚さは0.01μm以上5μm以下の範囲内が好ましい。厚みが0.01μm未満では有機感光層の影響を受けやすく、機械的強度が不十分となる場合がある。5μmよりも厚い場合には帯電露光の繰り返しによって残留電位が上昇し、また有機感光層に対する機械的な内部応力が増加して、剥離やひび割れが発生しやすくなる場合がある。
表面層が電荷注入層としても機能する場合には、中間層や有機感光層の表面(表面層側の面)で電荷がトラップされる。負帯電の場合にn型の表面層は電荷注入層として機能し、p型の表面層は電荷注入阻止層として機能する。正帯電の場合にはn型の表面層は電荷注入阻止層として機能し、p型の表面層は電荷注入層として機能する。
また、静電潜像を維持するため、高抵抗としたi型の半導体膜を表面層として形成しても良い。本実施形態では抵抗を酸素あるいは窒素原子の13族原子との比で制御する。
導電性基体としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。なお、本実施形態において「導電性」とは1000Ω/□以下の条件を満たすことをいう。
次に、下引き層について説明する。
本実施形態に係る下引き層は、有機高分子中に導電性フィラーが分散されており厚さが5μm以上50μm以下とされたものである。
下記の分散型下引層用塗布剤を用いることで下引き層を形成することができる。これにより、適度に下引き層の抵抗値を調整することにより残留電荷の蓄積を防ぐことができるとともに、下引き層の膜厚をより厚くすることが可能となるため感光体の耐リーク性、とくに接触帯電時のリークの防止を図ることができる。
導電性フィラーの好ましい平均1次粒径は、0.1μm以上5μm以下であり、0.2μm以上3μm以下がさらに好ましく、0.2μm以上2μm以下が特に好ましい。なお、本実施形態において平均1次粒径は、膜の断面観察により測定された値をいう。
乾式法を用いる場合においては、まず、金属酸化物粒子を加熱乾燥して表面吸着水を除去する。表面吸着水を除去することによって、金属酸化物粒子表面に均一にカップリング剤を吸着させることができる。次に、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒または水に溶解させたカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理される。カップリング剤を添下あるいは噴霧する際には、50℃以上の温度で行われることが好ましい。カップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。焼き付けの効果によりカップリング剤を硬化させ金属酸化物粒子と堅固な化学反応を起こさせることができる。焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
中でも下引き層上に形成される層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
分散型下引層形成用塗布液中(即ち下引き層中)の金属酸化物粒子と結着樹脂との比率(質量基準)としては、10:100〜100:10が好ましく、20:100〜100:20がさらに好ましく、30:100〜100:30が特に好ましい。
電子受容性物質の好ましい含有量は、金属酸化物に対して0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
また、下引き層を形成するための下引層形成用塗布液に用いる溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。なお2種以上の溶媒を混合する場合に使用できる溶媒としては、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば、いかなるものでも使用することができる。
なお、樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。また、表面粗さの調整のために下引き層表面を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることができる。なお、正帯電構成の画像形成装置に用いられる感光体では、レーザ入射光は感光体の極表面近傍で吸収され、さらに有機感光層中で散乱されるため、下引き層の表面粗さの調整は強くは必要とされない。
次に、有機感光層について、電荷輸送層と電荷発生層とに分けてこの順に以下に説明する。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示できる。即ち2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用できる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤では、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤として、2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の光安定剤としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型のクロルガリウムフタロシアニン。
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン。
電荷発生層を形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
例えば、帯電器により感光体表面を帯電させる際に、帯電電荷が感光体表面から対抗電極である感光体の導電性基体にまで注入して帯電電位が得られなくなることを防止するために必要に応じて表面層と電荷発生層との間に電荷注入阻止層として中間層を形成することができる。
電荷注入阻止層の材料としては上記に列挙したシランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、その他の有機金属化合物、ポリエステル、ポリビニルブチラールなどの汎用樹脂を用いることができる。電荷注入阻止層の膜厚は0.001μm以上5μm以下程度の範囲内で成膜性及びキャリアブロッキング性を考慮して設定される。
次に本実施形態に係る表面層の製造方法について説明する。本実施形態に係る表面層は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用できるが有機金属気相成長法を用いることが好ましい。
この場合、窒素を含む物質あるいは酸素を含む物質を反応に必要なエネルギー状態または励起状態に活性化する活性化手段によって、前記窒素を含む物質あるいは前記酸素を含む物質を活性種とし、前記活性種と、活性化していない13族元素を含む有機金属化合物とを反応させることにより、基材上に本実施形態に係る表面層を形成することが好ましい。
これにより、基材が有機材料を含む場合、例えば、有機感光体である場合においても、導電性基体や有機感光層に熱的なダメージを与えることなく、感光体の表面層として上述した特性を有する表面層を形成することができる。なお、表面層の形成に際しては、基材の表面を予めプラズマによりクリーニングしてもよい。
13族元素を含む有機金属化合物を活性化させるとともに、窒素を含む物質あるいは酸素を含む物質を反応に必要なエネルギー状態または励起状態に活性化させた種とを反応させることによって基材上に表面層を形成してもよい。
これにより、13族元素を含む有機金属化合物が導入された位置よりも上流あるいは回転下流側で、活性化された窒素を含む物質又は酸素を含む物質が合流するため、活性化していない13族元素を含む有機金属化合物と活性化した窒素を含む物質又は酸素を含む物質とを反応させることができる。
基体の回転させる場合には上述の位置関係のほかに、回転上流側に窒素を含む物質又は酸素を含む物質を活性化する活性化手段を、回転下流側に13族元素を含む有機金属化合物からなるガスまたはこれらを気化したガスを供給しても良い。
図3は、表面層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図であり、図3Aは、成膜装置を側面から見た場合の模式断面図を表し、図3Bは、図3Aに示す成膜装置のA1−A2間における模式断面図を表す。図3中、10は成膜室、11は排気口、12は基体回転部、13は基体ホルダー、14は基体、15は平板電極、16はガス導入管、17はガスノズル、18はガス導入管、19は高周波電力供給部、20は高周波電源部である。
この平板電極15には、内部に第二の非成膜性ガス供給用のガス導入管16が接続されている。この平板電極15の基体に向き合う面には基体にガス供給するためのガス穴が開いている。穴の間隔は均等にあけても良いし、不均一に分配しても良い。
基体に近接して第一のガスを導入するためのガスノズル17が設けられている。ガスノズルにはガス供給のためのガス導入管18が接続されている。
このガス導入管18のもう一方の端は、成膜室10外に設けられた不図示の第1のガス供給源に接続されている。
また、成膜室10外には、基体回転部12が設けられており、円筒状の基体14が、平板電極15、ガスノズル17と基体14の軸方向とが略平行に対面するように基体ホルダー13を介して基体回転部12に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部12が回転することによって、基体14が周方向に回転させることができる。なお、基体14としては、予め有機感光層まで積層された感光体、あるいは、有機感光層上に中間層までが積層された感光体が用いられる。回転方向は平行電極15からガスノズル17に向かう方向でも良いし、反対方向でも良い。
平板電極15は電極の周りをアースシールドで囲んだものが好ましい。また、基体を同心円状に囲んだ円筒状の電極でも良い。
次に、水素をキャリアガスとして用いて希釈したトリメチルガリウムガスをガス導入管18、活性化手段である平板電極15の隣接部に位置するガスノズル17を介して成膜室10に導入することによって、基体14表面にガリウムと窒素あるいは酸素を含む非単結晶膜を成膜することができる。窒素量あるいは酸素量は、飽和酸素あるいは飽和窒素で形成した膜が化学量論比となっている場合から減じて組成を制御する。たとえば酸素ガス濃度の増加に対して特性が変化しない酸素量での膜組成を酸化物の化学量論比とすることができる。あるいは窒素ガス濃度の増加に対して特性が変化しない窒素量での膜組成を窒化物の化学量論比とすることができる。但し飽和点よりも過剰な酸素あるいは窒素ガスを導入した場合には化学量論比で決定する膜との別の化学組成の膜が生成することがある。
基体14表面の温度は加熱および/または冷却手段(図中、不図示)によって制御しても良いし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基体14を加熱する場合にはヒータを基体14の外側や内側に設置しても良い。基体14を冷却する場合には基体14の内側に冷却用の気体または液体を循環させても良い。
放電による基体14表面の温度の上昇を避けたい場合には、基体14表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
例えば、表面層の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入管16、平板電極15を介して成膜室10内に導入することにより、基体14上に窒素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、有機感光層を劣化させる紫外線を吸収することができる。このため、成膜時の紫外線の発生による有機感光層へのダメージを抑制できる。
具体的には、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管16、平板電極15を介して成膜室10内に導入することによってn型、p型等任意の導電型の表面層を得ることができる。
例えば、図3に示す成膜装置において、水素ガスと窒素ガスあるいは酸素ガスとを別々の位置から成膜装置内に導入する場合には、水素ガスの活性化状態と、窒素ガスあるいは酸素ガスの活性化状態とを各々独立して制御できるように、複数のプラズマ発生装置を設けてもよい。また、これに対して、装置の簡素化という点では、水素および窒素ガスあるいは酸素ガスの供給材料としてNH3等の窒素原子と水素原子とを同時に含むガスを用いたり、酸素と水素を同時に含むH2Oガスを用いたり、酸素ガスと水素ガスを混合したガスを用いて、プラズマにより活性化することが好ましい。
また、キャリアガスとしてヘリウムなどの希ガスや、水素を組み合わせて用いれば、ヘリウムなどの希ガスと水素による基体14表面で成長している膜のエッチング効果により100℃以下の低温でも高温成長時と同等の水素の少ない非晶質の13族元素と窒素あるいは酸素の化合物を形成できる。
このような硬質膜は、非晶質炭素膜に含まれるsp2結合性の炭素原子とは異なり、ダイヤモンドを構成する炭素原子のように、GaとNとがsp3結合を形成するため透明となる。さらに、この膜は透明且つ硬質である上に、膜の表面は撥水性であり同時に低摩擦となる。またGaとOの場合にはOが八面体構造の結合をとる割合が多く硬質で化学的安定な膜となる。AlやInの場合にも同様である。
さらに、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、あるいは、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基体14表面の温度が上昇しないようにするためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を防止する装置を設けても良い。
一つの基体の周りに複数の電極を設けても良いし、複数のガスノズルを設けても良い。さらに電極とガスノズルを一対として設けても良い。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍で行っても良い。
大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが望ましい。
次に、本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、上記実施形態に係る電子写真用感光体と、前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真用感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを少なくとも含む現像剤を用いて前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、前記電子写真用感光体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有するものである。
本実施形態の画像形成装置は、必要に応じて転写後の前記電子写真用感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段や、トナー画像を形成する際にトナーと共に前記電子写真用感光体表面へ転移した不正キャリアを磁力によって捕集するキャリア捕集手段をさらに有していてもよい。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(画像形成手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能とされている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の有機感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの回転に従って所定の現像位置まで搬送される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニングブレード6Yで除去されて回収される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
ポリウレタン弾性体としては、一般にイソシアネートとポリオール及び各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられており、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4′ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造されている。上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。
従来の摩耗を前提とする表面層ではスクラッチ傷や窪みなどの外傷は摩耗により消えて行くので大きな問題にならない。これに対して、摩耗が少なく薄い硬質表面層を持つ有機感光体では、表面に傷や窪みなどの外傷の発生が最大の問題で、このためブレードクリーニングでは異物などによる傷を発生しないようにする必要がある。本実施形態に係る電子写真用感光体は表面の摩擦が低くかつトナーフィルミングや放電成生物の付着が起こらずクリーニング不良が起こりにくいためクリーニングブレードの押圧力を低下させることが出来る。その結果として長期での安定な画質を提供できる
図5は、本実施形態のプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電装置108、現像装置111、クリーニング手段113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、300は記録紙である。
なお、本実施形態のプロセスカートリッジは、本実施形態の電子写真用感光体と、前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段、帯電した前記電子写真用感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、トナーを少なくとも含む現像剤を用いて前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段、前記トナー画像を形成する際にトナーと共に前記電子写真用感光体表面へ転移した不正キャリアを磁力によって捕集するキャリア捕集手段、前記電子写真用感光体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段及び転写後の前記電子写真用感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一種と、を一体に有し、画像形成装置本体から脱着可能とされていればよい。
本実施形態に用いられるトナーとしては、公知のトナーであれば特に限定されない。
また、トナーの形状係数SF1は100以上140以下であることが好ましく、110以上135以下がさらに好ましい。この形状係数SF1が140よりも大きくなると、良好な転写性等が得られにくくなり、得られる画像の高画質化が困難となる場合がある。
なお、形状係数SF1とは下式で定義される値である。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
式中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定する。次に、個々のトナーについて、最大長の2乗/(4×投影面積/π)、すなわち、ML2/(4A/π)を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めた。
本実施形態に用いられるトナーは、結着樹脂及び着色剤を含有し、必要に応じて離型剤やその他の添加剤を含有したものである。その結着樹脂は、従来よりトナーに用いられている結着樹脂を用いることができ、特に制限されない。
さらには、これら単独重合体、共重合体又は混合物と、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂との混合物、非ビニル縮合系樹脂の共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
また、本実施形態に用いられるトナーには、上述した研磨剤、潤滑剤の他にも、例えば平均粒径10〜300nm程度のシリカおよびチタニア等の無機粒子などの種々の外添剤を適宜量外添することができる。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができるが、特に、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物などの芯材(コア)を樹脂により被覆した樹脂被覆キャリアを用いることが好ましい。
微粉等の発生が著しかった従来のキャリアでは、転写工程において該微粉等が感光体に対して押付けられ、感光体を傷つけたりあるいは刺さることがあり、更に感光体に一度刺さった微粉等は抜けにくく、長期にわたってクリーニングブレードに突入するため、ブレード先端部の欠けが問題であった。ブレード先端部が欠けた箇所からはトナーが漏れ出し、そのトナーが後工程の画像に入ることで画質欠陥を生じていた。しかし、樹脂被覆キャリアでは微粉等の発生が極めて少なく、これらの問題が格段に改善される。
ここで、トナーに負帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、およびエポキシ樹脂等があげられ、さらにポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等があげられる。
また、トナーに正帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
トナー成分のキャリアへの移行を防止するために用いられる表面エネルギーの低い樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等があげられる。
熱可塑性樹脂の場合、ポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂またはその変性品;フッ素樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリエステル;ポリカーボネート等が挙げられる。
(実施例1)
まず、以下に説明する手順により、Al基体上に、下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
平均1次粒径が70nmの酸化亜鉛100質量部をテトラヒドラフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、焼き付けを行いシランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
前記表面処理した酸化亜鉛60質量部とアリザリン0.6質量部と硬化剤ブロック化イソシアネート(スミジュール3173:住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1:積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmΦのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジウラレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145:GE東芝シリコーン社製)4.0質量部を添加し、下引き層塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に塗布し、170℃40分の乾燥硬化を行い厚さ5μmの下引き層を得た
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部および酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。
この分散液を浸漬塗布法により下引き層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、および、下記構造式(2)で表される高分子化合物(粘度平均分子量:39000)3質量部をクロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。
ノンコート感光体表面への表面層の形成は、図3に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、ノンコート感光体を、成膜装置の成膜室10内の基体ホルダー13に載せ、排気口11を介して成膜室10内を、圧力が0.1Pa程度になるまで真空排気した。次に、Heガスと水素ガスとHeで4%に希釈した酸素ガスとを図示にしない混合装置にて混合したガスをガス導入管16を介して、長さ350mmの平板電極15内に約450sccm(Heガス250sccm、水素200sccm、酸素2sccm)導入し、高周波電力供給部19および高周波電源部20により、13.56MHzのラジオ波を出力80Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極15で放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガスをガス導入管18を介してガスノズル17から成膜室10内に、1.0sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は30Paであった。
サンプル膜の組成をラザフォード・バック・スキャタリングを用いて測定した。ガリウムと酸素との元素組成比はガリウム1.0に対して、酸素は1.2の比であった。酸素は表面層全体に分布しており、表面層中に含まれる水素はハイドロジェン・フォワードスキヤタリング法で測定し全体の18原子%含まれることが分かった。
以上の分析・評価結果から、ノンコート感光体表面に形成された表面層は、非晶質膜で、水素を含んだ酸化ガリウムで、耐水性、撥水性および十分な硬度をもっていることが分った。
さらに、表面層の最表面部の13族元素と酸素との元素組成比を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真特性を評価した。まず、上述の表面層形成前のノンコート感光体と、Al箔上に形成した表面層と、表面層を設けた感光体とに対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長780nm、出力5mW)を用い、表面を走査しながら40rpmで回転させながら、スコロトロン帯電器によりノンコート感光体が−700Vに負帯電する電流量に設定した状態で、帯電電位及び露光用の光を照射した後の表面の残留電位を測定した。
その結果、Al箔上に形成した表面層の帯電電位は1μm厚に換算すると50V/μmであった。これに対して、表面層付きの感光体の帯電電位(初期帯電電位)は−600Vで少し電位が低かった。残留電位は−130Vであり、Al箔上の表面層の帯電電位と比較すると空間電荷による電位上昇が見られた。また1サイクルから100サイクルで残留電位(サイクル特性)は−40V増加した。ここで「サイクル」とは帯電から次の帯電までをいう。この感光体を一週間後に測定すると残留電位は40V低下し−90Vになっていた。なお、感光体の電位測定にはトレック社のモデル344表面電位計を用い20℃50%RHで測定した
光学干渉法を用いた膜厚測定による膜厚低下量は平均10nmであった。光学干渉法による膜厚低下量の測定は、ライン干渉膜厚計(自社製)を用いて実施した。
以上の結果から、表面層を設けた感光体は、耐久性が向上すると共に、感度や画像ボケのように画質の点では実用上問題ないレベルであることがわかった。
−濃度−
上記画像形成試験において、ノンコート感光体で濃度調整した後に、ベタ黒画像のプリント出力を行い、標準プリント濃度と比較して下記基準に基づき評価した。なお、標準プリント濃度はノンコート感光体を用いて形成された画像形成の初期(10枚目)の画像の濃度とした。さらに、濃度の比較は目視により行った。
○ :同じ
○− :わずかに薄い
△ :やや薄い
X :薄い
上記画像形成試験において、ノンコート感光体で濃度調整した後に、画像密度30%で300線/インチのハーフトーンパターンを用いて感光体全面画像のプリント出力を行い、全体的な画像濃度の均一性を目視により評価した。
○ :均一
○− :わずかにムラがある
△ :ややムラがある
X :ムラがある
上記画像形成試験において、ノンコート感光体で濃度調整した後に、レーザビームの1on,1offの条件でプリント出力を行い、線幅の広がりを目視によりノンコート感光体を用いて形成された画像形成の初期(10枚目)の画像(この画像を標準画像とする)と連続20万枚の画像形成試験後の画像とを比較して評価した。
○ :標準画像と同じ
○− :わずかに広がりがある
△ :ひろがりがある
X :線が分離されていない
連続20万枚の画像形成試験後に、水溶性である放電生成物を除去するため感光体表面の一部を水拭きした。
その後、ハーフトーン画像(画像密度30%)をプリントし、ハーフトン画像中に感光体表面の水拭きした箇所と水拭きしていない箇所とに対応するような濃度差が目視で確認できるか否かにより画像ボケを判断した。濃度差が一見して容易に確認できる場合は画像ボケが発生しているものと判断した。
光学顕微鏡(キーエンス社のデジタルマイクロスコープモデルVNX)を用いて、長軸の径が5μm以上の微小の傷の単位面積あたりの数を求め、下記基準に基づいて評価した。
A : 10個/mm2以下
B : 10〜50個/mm2以下
C : 50〜100個/mm2以下
実施例1において、表1に示したように酸素の流量と放電出力を変えた以外は、実施例1と同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。但し有機感光体の下引き層の厚さを、5,10,20,30,50μmとしたものを使用した。
実施例4において、放電出力を180Wとして、酸素量を表1のように流量を変えた以外は実施例1と同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、表1に示したように酸素に替えて、窒素を用い流量と放電出力を変えた以外は、実施例1と同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
実施例14及び15において、トリメチルガリウム(TMG)に替えて、表1に示すようにトリメチルアルミニウム(TMA)を用い、窒素を用い流量と放電出力を変えた以外は、実施例1と同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
表1に示したように下引き層の厚さを変えた以外は実施例2と同じ条件で同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
比較例1では表面層の帯電電位は低いが空間電荷の発生が多くまた残留電位の変化も少なく、画像濃度が低く、画像ムラが大きく実用に適さない。
また比較例2では残留電位の放置による低下は大きいが下引き層での電荷蓄積が大きく画像濃度が低く、画像ムラが大きく実用に適さない。
実施例7において、表1に示したように酸素の流量を変えた以外は、実施例1と同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
実施例11において、表1に示したように窒素の流量を変えた以外は、実施例1と同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
実施例14において、表1に示したように窒素の流量を変えた以外は、実施例1と同様に成膜をおこない表面層を形成した感光体を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
実施例8の感光体を、富士ゼロックス社製DocuCenter Colar a450に取り付けて、高温高湿環境(28℃ 80%RH)下で、連続20万枚の画像形成試験を行った。このコピープリンターはロール帯電器を用いている。また、ブードクリーニング押圧は10kgf/cmとした。
その結果、画像形成の初期(10枚目)および画像形成の終期(20万枚目)のいずれにおいてもノンコート感光体を用いて形成された画像形成の初期(10枚目)の画像と同様の画像濃度が得られ、鮮明で濃度ムラも無く網点部での画像ボケの無い画像で10本/mmの解像度を得ることができた。
比較例9では、下引き層を3μmとし、感光層の厚さを電荷輸送層のみ変化させて22μmとし、全体の厚さを25μmとして実施例1と同じ厚さとしたものを作製し同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
2 下引き層
3 感光層
3A 電荷発生層
3B 電荷輸送層
4 表面層
10 成膜室
11 排気口
12 基体回転部
13 基体ホルダー
14 基体
15 平板電極
16 ガス導入部
17 ガスノズル
18 ガス導入部
19 高周波電力導入部
20 高周波電源部
Claims (14)
- 導電性基体と、有機高分子中に導電性フィラーの分散した厚さ5μm以上50μm以下の下引き層と、有機感光層と、13族元素と酸素とを少なくとも含有し酸素の13族元素に対する元素組成比が0.9以上1.4以下である表面層と、をこの順に備える電子写真用感光体。
- 導電性基体と、有機高分子中に導電性フィラーの分散した厚さ5μm以上50μm以下の下引き層と、有機感光層と、13族元素と窒素とを少なくとも含有し窒素の13族元素に対する元素組成比が0.4以上0.8以下である表面層と、をこの順に備える電子写真用感光体。
- 前記表面層の最表面部の酸素の13族元素に対する元素組成比が1.4以上1.6以下である請求項1又は2に記載の電子写真用感光体。
- 前記表面層が水素をさらに含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真用感光体。
- 請求項1又は2に記載の電子写真用感光体と、
前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真用感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを少なくとも含む現像剤を用いて前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記電子写真用感光体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段と、
前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有する画像形成装置。 - 前記トナーの形状係数SF1が、100以上140以下である請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記現像剤が、樹脂被覆キャリアをさらに含む請求項5又は6に記載の画像形成装置。
- 転写後の前記電子写真用感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段をさらに有する請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記クリーニング手段が、クリーニングブレードである請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記クリーニングブレードの前記電子写真用感光体表面への圧接力が、5gf/cm以上25gf/cm以下である請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記クリーニング手段が、前記クリーニングブレードの上流側に配置された静電ブラシをさらに有する請求項9又は10に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成手段の下流側であって且つ前記転写手段の上流側に配置され、前記トナー画像を形成する際にトナーと共に前記電子写真用感光体表面へ転移した不正キャリアを磁力によって捕集するキャリア捕集手段をさらに有する請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段が、接触型帯電器である請求項5〜請求項12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 請求項1又は2に記載の電子写真用感光体と、
前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段、帯電した前記電子写真用感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、トナーを少なくとも含む現像剤を用いて前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段、前記トナー画像を形成する際にトナーと共に前記電子写真用感光体表面へ転移した不正キャリアを磁力によって捕集するキャリア捕集手段、前記電子写真用感光体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段及び転写後の前記電子写真用感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一種と、を一体に有し、
画像形成装置本体から脱着可能とされたプロセスカートリッジ。
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