以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。なお、図1は同装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部を説明する平面図である。
画像形成装置10は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド101とガイドレール102とでキャリッジ103を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ104でタイミングベルト105を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
キャリッジ103は、色の異なる色材である記録液(インク)、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びブラック(Bk)インクを吐出するノズルの列がそれぞれ形成された4個の記録ヘッド107と、吸引キャップ173を洗浄液で洗浄する洗浄用ヘッド201とを有する。記録ヘッド107のノズル列は、ノズル列の長手方向が、キャリッジ103においてキャリッジ103の主走査方向と略直交する方向に配列されている。また、記録ヘッド107のノズルの滴吐出方向は下方に向けられている。
記録ヘッド107を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ103は、記録ヘッド107に各色のインクを供給するための各色のサブタンク108を搭載している。このサブタンク108にはインク供給チューブ12を介してメインタンク(インクカートリッジ)14からインクが補充供給される。
第1の実施形態の画像形成装置10は、サブタンク108及び記録ヘッド107を一体に有する。しかし、記録ヘッド107とサブタンク108とを別体に有してもよい。更に、サブタンクを用いずに、インクカートリッジ12に記録ヘッド107を一体に搭載した構成としてもよい。
一方、給紙カセット110などの用紙積載部(圧板)111上に積載した用紙112を給紙するための給紙部として、用紙積載部111から用紙112を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)113及び給紙ローラ113に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド114を備え、この分離パッド114は給紙ローラ113側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙112を記録ヘッド107の下方側で搬送するための搬送部として、用紙112を静電吸着して搬送するための搬送ベルト121と、給紙部からガイド115を介して送られる用紙112を搬送ベルト121との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ122と、略鉛直上方に送られる用紙112を略90°方向転換させて搬送ベルト121上に倣わせるための搬送ガイド123と、押さえ部材124で搬送ベルト121側に付勢された先端加圧コロ125とを備えている。また、搬送ベルト121表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ126を備えている。
ここで、搬送ベルト121は、無端状ベルトであり、搬送ローラ127とテンションローラ128との間に掛け渡されて、副走査モータ131からタイミングベルト132及びタイミングローラ133を介して搬送ローラ127が回転されることで、図1のベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト121の裏面側には記録ヘッド107による画像形成領域に対応してガイド部材129を配置している。
また、図2に示すように、搬送ローラ127の軸には、スリット円板134を取り付け、このスリット円板134のスリットを検知するセンサ135を設けて、これらのスリット円板134及びセンサ135によって第1エンコーダ136を構成している。
帯電ローラ126は、搬送ベルト121の表層に接触し、搬送ベルト121の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。
また、キャリッジ103の後方側には、図1に示すように、スリットを形成したエンコーダスケール142を設け、キャリッジ103の後面側にはエンコーダスケール142のスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ143を設け、これらによって、キャリッジ103の主走査方向位置(ホーム位置に対する位置)を検知するための第2エンコーダ144を構成している。
さらに、記録ヘッド107で記録された用紙112を排紙するための排紙部として、搬送ベルト121から用紙112を分離するための分離爪16と、排紙ローラ152及び排紙コロ153と、排紙される用紙112をストックする排紙トレイ154とを備えている。
また、画像形成装置10の背部には両面給紙ユニット161が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット161は搬送ベルト121の逆方向回転で戻される用紙112を取り込んで反転させて再度カウンタローラ122と搬送ベルト121との間に給紙する。
このように構成した画像形成装置10においては、給紙部から用紙112が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙112はガイド115で案内され、搬送ベルト121とカウンタローラ122との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド123で案内されて先端加圧コロ125で搬送ベルト121に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御回路によって高圧電源から帯電ローラ126に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト121が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト121上に用紙112が給送されると、用紙112が搬送ベルト121に静電力で吸着され、搬送ベルト121の周回移動によって用紙112が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ103を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド107を駆動することにより、停止している用紙112にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙112を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙112の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙112を排紙トレイ154に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト121を逆回転させることで、記録済みの用紙112を両面給紙ユニット161内に送り込み、用紙112を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ122と搬送ベルト121との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル121上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ154に排紙する。
また、図2に示すようにキャリッジ103の走査方向で用紙112から外れた位置にはノズル面を維持管理するヘッドクリーニングユニット171が設けられている。ヘッドクリーニングユニット171には、吸引キャップ173、記録ヘッド保湿キャップ172、洗浄用ヘッド保湿キャップ204、及びワイパーブレード174が設けられている。
図3は、画像形成装置10のキャリッジ103をインク吐出側からみた拡大図である。キャリッジ103はキャリッジガイド106を介してガイドロッド101に取り付けられている。キャリッジ103にはインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド107と、洗浄液を流すことができる洗浄用ヘッド201とが設けられている。記録ヘッド107にはインクを吐出するためのインク吐出ノズル211が設けられており、用紙112上にインクを吐出することによって画像を形成する。また、洗浄用ヘッド201には洗浄液を流す洗浄用ノズル202が設けられている。ここで、洗浄用ノズル202は洗浄液を流すことができればよく、インク吐出ノズル211のように液体を吐出することができなくてもよい。そのため、洗浄用ノズル202はインク吐出ノズル211よりも径の精度が低く、ノズル径がインク吐出ノズル211よりも大きくてもよい。
図4は、画像形成装置10の動作時におけるヘッドクリーニングユニット171とキャリッジ103の正面から見た配置を示す。キャリッジ103は、記録ヘッド107、洗浄用ヘッド201、及び記録ヘッド107に供給するインクを一時的に貯留するためのサブタンク108と洗浄用ヘッド201に供給する洗浄液を一時的に貯留する洗浄液用サブタンク203を有する。一方、ヘッドクリーニングユニット171は、用紙112の搬送領域から外れた領域に設けられている。ヘッドクリーニングユニット171は、吸引キャップ173、吸引機構205、記録ヘッド保湿キャップ172、洗浄用ヘッド保湿キャップ204、ワイパーブレード174、及び吸収体206を備える。
吸引キャップ173は、インク吐出ノズル211及び洗浄用ノズル202からインクまたは洗浄液を吸引する。吸引機構205は、吸引経路212を介して吸引キャップ173内に存在する液体を吸引する。記録ヘッド保湿キャップ172は、記録ヘッド107のノズル面を保湿することにより、乾燥によるノズルの閉塞を防ぐ。洗浄用ヘッド保湿キャップ204は、洗浄用ヘッド201のノズル面を保湿することにより、乾燥によるノズルの閉塞を防ぐ。ワイパーブレード174は、インク吐出ノズル211及び洗浄用ノズル202のノズル面を払拭することにより、ノズル面に残った液体を除去する。吸収体206は、ワイパーブレード174がふき取った液体を吸収する。
ここで、図4に示す実施形態では、吸引キャップ173を1つのみ設けているが、記録ヘッド保湿キャップ172に、それぞれ吸引する機構を設けてもよい。またインク及び洗浄液の揮発性が低い場合には、記録ヘッド保湿キャップ172及び洗浄用ヘッド保湿キャップ204を設けなくてもよい。
図4(a)は、画像形成装置10の待機時またはクリーニング時の状態を示す。記録ヘッド107の各インク吐出ノズル211のノズル面は、各インク吐出ノズル211にそれぞれ対応する吸引キャップ173及び記録ヘッド保湿キャップ172により密閉される。洗浄用ヘッド201の洗浄用ノズル202は、洗浄用ヘッド保湿キャップ204により密閉される。これにより、各インク吐出ノズル211及び洗浄用ノズル202のノズル面の乾燥を防いでいる。また、ノズル面を密閉した状態で吸引機構205を動作させて吸引キャップ173の中を負圧にすることで、記録ヘッド107a内のインクをインク吐出ノズル211より吸引して、ヘッドクリーニングを行う。
次に、キャリッジ103を移動して、記録ヘッド107b、107c、107dを吸引キャップ173で吸引することにより、すべての記録ヘッド107a〜107dをクリーニングすることができる。この時、吸引キャップ173内にはインクが残り、吸引キャップ173を大気に開放することによって吸引キャップ173内に残ったインクが乾燥して堆積する。この傾向は、固形分が多く粘度の高い顔料を用いたインクを使用した場合により顕著となる。
図4(b)は、画像形成装置10の吸引キャップ173を洗浄する時の状態を示す。吸引キャップ173で洗浄用ヘッド201の洗浄用ノズル202を密閉した状態で、吸引機構205を動作させることにより、洗浄液が吸引キャップ173内に流れ込み、吸引キャップ173内に残ったインクを洗い流して洗浄することができる。この洗浄時においては、吸引キャップ173は、洗浄用ノズル202のみを吸引する。洗浄用ノズル202とインク吐出ノズル211とを一緒に吸引した場合、吸引キャップ173内にはインクと洗浄液が共に流れ込み、吸引キャップ173を洗浄する効率を著しく落とすこととなる。そこで、吸引キャップ173は、洗浄用ノズル202のみを吸引することにより、吸引キャップ173内のインクを除去することができる。
また、インク吐出ノズル211を吸引した後に続けて洗浄用ノズル202を吸引することが望ましい。吸引キャップ173は、用紙112の搬送領域から外れ外れた位置に設けられており、キャリッジ103が、吸引キャップ173に対向する位置にある時、キャリッジ103の洗浄用ノズル202は、インク吐出ノズル211よりも用紙112から離れた位置に配置される。吸引キャップ173内に残ったインクは、大気に開放される時間の経過と共に乾燥して固化して洗浄することが困難になるので、吸引キャップ173でインクを吸引した後に、速やかに吸引キャップ173で洗浄液を吸引することで大きな洗浄効果を得ることができる。
またこの時に記録する用紙112に対して、インク吐出ノズル211よりも洗浄用ノズル202を離れた位置に置くことで、記録ヘッド107の吸引動作、吸引キャップ173の洗浄動作、及び記録動作を一連の動作、例えば図4においてキャリッジの移動方向において右から左、すなわち(a)→(b)→(c)の順番で実施することができる。そのため、吸引キャップ173の洗浄に伴う無駄なキャリッジ103の動きを減らし、画像形成装置10の生産性を向上させることができる。
図4(c)は、画像形成装置10が用紙112に画像を記録する時の状態を示す。キャリッジ103はガイドロッド101に沿って往復移動をしながら記録ヘッド107からインクを吐出することにより用紙112上に画像を形成する。
図5及び図6は、画像形成装置10の第2の実施形態を示す。図5は液滴を吐出する洗浄用ヘッド213を搭載したキャリッジ103をインク吐出側からみた拡大図である。図6は、第2の実施形態における吸引キャップ173を洗浄する時の状態を示す。
第2の実施形態のキャリッジ103に搭載される洗浄用ヘッド213は、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を有する。洗浄液を吐出するために洗浄用ヘッド213の洗浄用ノズル208の径は、インク吐出ノズル211とほぼ同等の径で形成される。吸引キャップ173の先端を、洗浄用ノズル208のノズル面から離れた位置に配置して、吸引キャップ173を大気開放した状態で、洗浄用ノズル208から吸引キャップ173内へ洗浄液を吐出することによって吸引キャップ173の洗浄を行う。
吸引キャップ173の先端を、洗浄用ノズル208のノズル面から離れた位置に配置して、吸引キャップ173を大気開放した状態で、吸引キャップ173内に洗浄液を吐出することによって、洗浄時もキャリッジ103を移動することが可能となる。そのため、吸引キャップ173内の側面に付着したインクもキャリッジを移動して洗浄液を吐出することで洗浄することができる。この時、吸引キャップ173を大気開放した状態であるので、吐出された洗浄液207を回収するため、吐出と同時に吸引機構205を動作させて、洗浄液を吸引することができる。また、吸引キャップ173内に洗浄液207を貯留して、インクを十分に溶解した後に吸引する手順(図16参照)をとってもよい。
この時、洗浄液207としては固形化したインクを溶解もしくは再分散させる各種の液体が利用可能であるが、インクとほぼ同等の粘度の液体とすることが望ましい。これにより記録ヘッド107と洗浄用ヘッド213を共通設計で作成することができ、吐出制御用駆動波形等の兼用により部品コスト、開発コストの抑制が可能となる。粘度としては2〜20mPa・s、好ましくは5〜10mPa・sが望ましい。この粘度の高い領域のインク及び洗浄液の利用において、吸引キャップ173の洗浄の効果がより顕著に発揮される。
インクと同等の粘度の液体としては、インク成分から着色料を除いたものが作成も容易で、ヘッド構成部材に対する耐溶剤性の負荷もインクと同等であるので好ましい。
図6における洗浄液207の吐出動作は、図7に示すように吸引キャップ173の先端を洗浄用ノズル208のノズル面に押しつけて密閉した状態で、洗浄用ノズル208から洗浄液207を吐出してもよい。吸引キャップ173で密閉することにより、吐出に伴うミストなどによる汚れの発生を防止することができる。この場合、吸引キャップ173内の洗浄液207を吸引するには、洗浄用ノズル208から洗浄液207を吐出しながら吸引キャップ173内の洗浄液207を吸引してもよい。また、洗浄用ノズル208からの洗浄液207の吐出が終了した後に、吸引キャップ173内の洗浄液207を吸引してもよい。また、吸引キャップ173内の洗浄液207を吸引するときに、吸引キャップ173を洗浄用ノズル208のノズル面に押しつけたまま吸引しても、吸引キャップ173を洗浄用ノズル208ノズル面から離して吸引してもよい。
図8は、画像形成装置10の第3の実施形態を示す。図8はキャリッジ302をインク吐出側からみた拡大図である。図8に示すように洗浄用ノズル208とインク吐出ノズル211を同一のヘッド上に形成し、一体型ヘッド301とすることができる。洗浄用ノズル208とインク吐出ノズル211を一体に形成することで、部品点数を減らし製造コストを抑制することができ、また洗浄用ノズル208とインク吐出ノズル211の相対位置も精度よく形成され、吸引キャップ173でのキャッピングが容易となる。
図9は、画像形成装置10の第4の実施形態を示す。図9はキャリッジ103をインク吐出側からみた拡大図である。図9(a)に示すように洗浄用ヘッド213は記録ヘッド107が形成されたキャリッジ103とは別の洗浄用キャリッジ303に設けられる。洗浄用キャリッジ303は、洗浄用キャリッジガイド305を介してガイドロッド101にとりつけられ、ガイドロッド101にそって移動することが可能である。ここで、キャリッジ103と洗浄用キャリッジ303は、洗浄用キャリッジガイド305及び勘合部304により、図9(b)に示すように一体化することができる。
インク吐出ノズル211及び洗浄用ノズル208のクリーニング中は、図9(b)に示すように、キャリッジ103と洗浄用キャリッジ303は一体となって、吸引キャップ173でインク吐出ノズル211からのインクを吸引し、洗浄用ノズル208から洗浄液を吸引キャップ173に供給して吸引キャップ173を洗浄する。その後、記録動作時には図9(a)に示すように、キャリッジ103と洗浄用キャリッジ303とを切り離し、記録ヘッド107を搭載したキャリッジ103のみで記録を行う。これにより、吸引キャップ173の洗浄はインク吸引と一連の動作でできるのに対して、記録動作時には、洗浄用キャリッジ303を切り離すことにより、記録時のキャリッジ重量を減らして、高速高画質な画像を形成することができる。ここでキャリッジ103と洗浄用キャリッジ303の連結は、機械的な勘合の他に磁力等を用いてもよい。
図10は、記録ヘッド107及び洗浄用ヘッド201に対して、インクと洗浄液をそれぞれ供給するインク及び洗浄液の供給経路を示す。洗浄液カートリッジ402は、インクカートリッジ401が設けられたカートリッジホルダー405内にインクカートリッジ401と共に設けられる。洗浄液は洗浄液カートリッジ402に設けられた洗浄液供給口404より洗浄液供給チューブ407、及び洗浄液用サブタンク203を経由して洗浄用ヘッド201へと供給される。ここでは洗浄液供給チューブ407は、インクを供給するインク供給チューブ406と別体に設けたが、洗浄液供給チューブ407及びインク供給チューブ406を一体に設けてもよい。
このように洗浄液カートリッジ402を洗浄用ヘッド201とは別に設けることによって、記録動作の途中であっても、洗浄液カートリッジ402を交換することが容易となり、大容量の洗浄液を搭載することができる。また、記録動作の途中に、洗浄用ヘッド201に洗浄液を供給することができるので、洗浄液が不足することによって、画像形成装置10が停止することを防止することができる。
図11は、洗浄液カートリッジ402の一例を示す。この洗浄液カートリッジ402は、洗浄液を充填する洗浄液袋408と、この洗浄液袋408を収納するための筐体409とを有する。この筐体409は、第1筐体410と、第2筐体411と、第3筐体412とから構成され、第1筐体410と第2筐体411とで洗浄液袋408の側面を保護する保護カバーとなる筐体部分を構成している。すなわち、筐体409は洗浄液供給方向(洗浄液排出方向)に平行な面で洗浄液袋408を収納する第1筐体410と第2筐体411とに分割している。
洗浄液カートリッジ402の筐体409は、分割された略相似形の第1筐体410と第2筐体411を合わせて、その前面下側部分に第3筐体412を嵌め込んで略直方体に組み立ててなり、組み立てた状態で、後面側に洗浄液カートリッジ402の装置本体への着脱のために指等を掛け易くした凹み部413及び引っ掛け部414が形成され、前面側に装置本体への洗浄液供給口404が臨む開口415が形成されている。また筐体409の上下には、記録装置本体への装填、洗浄液充填装置への装填などに用いるガイド部416、417が一体に形成されている。
ここで、図10においてはインクカートリッジ401と洗浄液カートリッジ402とを別体で構成する例を示したが、図12に示すようにインクカートリッジ401と洗浄液カートリッジ402とを一体に設けたインク・洗浄液一体型カートリッジ408を用いてもよい。インクカートリッジ401及び洗浄液カートリッジ402を一体化することによって、インク及び洗浄液を一括で交換することができるので、ユーザーのカートリッジ交換にかかる負荷を低減することができる。
また、図13に示すようにインクカートリッジ418とヘッド301を一体化に形成してもよい。図13の実施形態では、図8における一体型ヘッド301及び図12に示すインク・洗浄液一体型カートリッジ408が一体に設けられている。しかし、洗浄用ヘッド201及び洗浄液カートリッジ402のみを一体に形成した洗浄用カートリッジ・ヘッドを用いてもよい。カートリッジとヘッドを一体に形成することによって、ヘッド201または301をインク交換と同時に短い期間で交換することになるので、ヘッド据え置き型のヘッドに比べて要求されるヘッド寿命を短期間に設定することができる。そのため、ヘッドのコストを抑制することができる。
図14は、画像形成装置10の記録動作におけるフローを示す。記録要求(S10)を受けた画像形成装置10は、非記録動作時にヘッドのノズル面の乾燥を防止するためにノズル面をキャップしている吸引キャップ173ならびに保湿キャップ172及び204を、ノズル面から離してデキャップ(S12)する。その後、ヘッドを搭載したキャリッジ103を記録位置に移動(S14)して、吸引キャップの開放時間を計測ずるタイマーを0に設定(S16)して、タイマーのカウントと記録とを開始する(S18)。
次のステップ(S22)では、吸引キャップ開放時間のタイマーがあらかじめ設定したキャップ内のインク洗浄可能限界時間に達したかどうかを判断し、限界時間に達していない場合には記録を継続(S36)し、限界時間に達した場合には次のステップ(S24)にうつる。インク洗浄可能限界時間とは、時間の経過とともに乾燥固化する吸引キャップ内のインクにおいて、洗浄液で洗浄できる限界までの乾燥に要する時間である。
次のステップ(S24)では記録すべき画像データが記録終了したかどうかの判断を行い、画像データが記録終了していない場合は、記録を停止(S38)する。次に、キャリッジ103を吸引キャップ173の位置に移動(S28)し、ヘッドを吸引キャップ173で密閉して吸引キャップ173内を洗浄する(S30)。洗浄動作(S30)が終了した後は、ヘッドから吸引キャップ173をデキャップし(S12)、再度キャリッジ103を記録位置に移動する(S14)。次に、吸引キャップ開放時間のタイマーを0に設定(S16)し、タイマーのカウントと記録を開始する(S18)。一方、画像データの記録が終了した場合(S24、YES)は、記録を終了(S26)する。
次に、キャリッジ103を吸引キャップ173の位置に移動(S28)して、吸引キャップ173内を洗浄(S30)する。次に、ヘッドのノズル面を保湿するために、ヘッドのノズル面に吸引キャップ173及び保湿キャップ172及び204を押し付けるキャッピング(S32)を行って、画像形成装置10の動作が終了する(S34)。ここで、吸引キャップ173の開放時間を測定し、定期的に洗浄用ヘッド201を吸引キャップ173に対向する位置に移動して、洗浄液により吸引キャップ173を洗浄することにより、吸引キャップ173の吸引力の低下を防ぎ、ヘッドクリーニングの信頼性を確保すると共に高品質な画像を形成することができる。
図15は、画像形成装置10の他の記録動作におけるフローを示す。図14と同様に、記録要求(S10)を受けた後、デキャップ(S12)、キャリッジ103の移動(S14)、タイマーの0設定(S16)、及び記録を開始した(S18)後、本実施形態ではページの終了か否かを判断する(S20)。ここで、ページの終了とは、各ページ分の画像データの記録が終了していることを意味し、全画像データの記録終了を意味しない。各ページ分の画像データの記録が終了していない場合は、記録を継続して(S36)、各ページ分の画像データの記録が終了した場合のみ、次ステップ(S22)へとうつる。これにより、吸引キャップ173内の洗浄動作(S30)は、ページ間をまたがる時にのみに実施される。ページ間をまたがる時などの、記録を行わない時間において、吸引キャップ173内を洗浄することにより、記録途中に吸引キャップ173を洗浄するためにキャリッジ103を移動する場合に比べて、生産性を向上させることができる。
図16は、図14及び図15に示したキャップ内洗浄動作(S30)の詳細のフローの一例を示す。吸引キャップ173内を洗浄するには、吸引キャップ173で洗浄用ノズル202または208を密閉して吸引してもよく、洗浄用ノズル208から洗浄液を吸引キャップ173に吐出すると同時に吸引キャップ173内に供給された洗浄液を吸引してもよい。しかし、インクの乾燥が激しく洗浄液によってインクを溶解または再分散することが困難な場合には、吸引キャップ173内を洗浄液に浸漬することが有効である。そこで、図16に示すように、洗浄液を吸引キャップ173内に供給した後、所定時間に達してから、吸引キャップ173内の洗浄液を吸引することが好ましい。
まず、キャップ内洗浄要求(S50)を受けた画像形成装置10は、キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントNを1に設定した(S52)後、洗浄液吐出時間のタイマーを0に設定し(S54)、タイマーのカウントと洗浄用ヘッド213からのキャップ内への洗浄液の吐出(S56)を開始する。洗浄液吐出時間のタイマーは、洗浄用ヘッド213から吸引キャップ173への洗浄液吐出を開始してから洗浄液吐出を停止するまでの時間を計測する。
次に、洗浄液吐出時間のタイマーが計測した時間が、あらかじめ設定した所定時間に達したかどうかを判断する(S58)。所定時間としては、例えば吸引キャップ173内が洗浄液で満たされる時間などがある。洗浄液吐出時間のタイマーが計測した時間が、所定時間に達しない場合(S58、NO)には、吸引キャップ173内への洗浄液の吐出を継続する(S56)。洗浄液吐出時間のタイマーが計測した時間が、所定時間に達した場合(S58、YES)には、洗浄液の吐出を停止(S60)し、吸引キャップ173内の洗浄液を吸引する(S62)。
次に、キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントNが、指定回数に達したかどうかを判断する(S64)。キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントNが、指定回数に達していない場合(S64、NO)は、キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントを1増やして(S68)、洗浄液吐出時間のタイマーを0に設定する(S54)ステップに戻る。一方、キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントNが、指定回数に達した場合は(S64、YES)、吸引キャップ173内の洗浄を終了する(S66)。
このように、本実施形態は、洗浄用ヘッド213から吸引キャップ173に洗浄液を吐出する動作を開始してから所定時間経過後に、吸引キャップ173内の洗浄液を吸引する。この動作によって、所定時間の間、吸引キャップ173を洗浄液で満たした状態にする。そのため、吸引キャップ173内に貯留した洗浄液によって、吸引キャップ173内のインク固形分が溶解または再分散して、通常のキャップ吸引のみの場合よりも大きな洗浄効果を得ることができる。ここで、キャップ内吸引の繰り返し回数は洗浄に十分な回数を設定すればよく、洗浄性が良好であれば1回でもかまわない。生産性の観点からはキャップ内吸引の繰り返し回数は、可能な限り少ない回数が望ましい。
図17乃至図20は画像形成装置100の第5の実施形態を示す。図17は、ラインヘッド502と静電搬送ベルト121を利用した実施形態の全体構成を示す。図18は、画像形成装置100のラインヘッド502をインク吐出側からみた拡大図を示す。図19および図20は、図17のA方向から見たヘッドクリーニングユニット505とラインヘッド502との位置関係を示す。
画像形成装置100は、複数のインク吐出ノズル211を列状に備え、インク吐出ノズル211のノズル列の長手方向が、用紙112の幅方向に沿って設けられたラインヘッド502を有する。ラインヘッド502には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk)の4色で合計4列のインク吐出ノズル211の列と、洗浄用ノズル202の列が形成されている。ラインヘッド502は、用紙211に画像を形成する。更に、ラインヘッド502は、洗浄用ノズル202を用いて図19および図20において説明するラインヘッド吸引キャップ510を洗浄する。
本画像形成装置100において、給紙カセット110に収納された用紙112は、搬送ベルト121によって矢印Bの方向に搬送される。用紙112がラインヘッド502を通過するときに、インク吐出ノズル211からインクを吐出することにより用紙112上に画像が形成される。画像が形成された用紙112は、搬送ベルト121によって排紙トレイ154に搬送されて積載される。
ここで、搬送ベルト121は、搬送ローラ127に巻回されており、この搬送ベルト121は、用紙112を確実に搬送することができるように帯電ローラ130により帯電されている。帯電ローラ130に電位が供給され、帯電した帯電ローラ130により搬送ベルト121が帯電されるので、搬送ベルト121は、静電気によって用紙112を吸着して搬送することができる。
ラインヘッド502には、図18に示すように記録ラインヘッド503と洗浄ラインヘッド504が設けられる。記録ラインヘッド503は、インク吐出ノズル211の列を有し、洗浄ラインヘッド504は、洗浄用ノズル202のノズル列を有する。インク吐出ノズル211のノズル列の長手方向及び洗浄用ノズル202のノズル列の長手方向は、用紙112の搬送方向(矢印B)と略直交する方向に沿って配置されている。用紙112は図中の矢印Bの方向に搬送され、記録ラインヘッド503に設けられたインク吐出ノズル211よりインクを吐出することにより用紙に画像を記録する。
次に図19および図20を用いて画像形成装置100のヘッドクリーニングユニット505の動作について説明する。ヘッドクリーニングユニット505は、ヘッドクリーニングユニット移動ロッド506aにより装置筐体515に固定されている。ヘッドクリーニングユニット505は、ヘッドクリーニングユニット移動ロッド506aに沿って水平方向に移動する。ヘッドクリーニングユニット505は、吸引キャップ510、吸引機構507、記録ラインヘッド保湿キャップ509、洗浄ラインヘッド保湿キャップ506b、ラインヘッドワイパーブレード511、及び吸収体508を備える。
ラインヘッド吸引キャップ510は、記録ラインヘッド503のインク吐出ノズル211からインクを吸引し、洗浄ラインヘッド504の洗浄用ノズル202から洗浄液を吸引する。吸引機構507は、吸引パイプ512を介してラインヘッド吸引キャップ510内のインク及び洗浄液を吸引する。記録ラインヘッド保湿キャップ509は、記録ラインヘッド503のインク吐出ノズル211のノズル面を保湿することにより、乾燥によるインク吐出ノズル211の閉塞を防ぐ。洗浄ラインヘッド保湿キャップ506bは、洗浄ラインヘッド504の洗浄用ノズル202のノズル面を保湿することにより、乾燥による洗浄用ノズル202の閉塞を防ぐ。ラインヘッドワイパーブレード511は、インク吐出ノズル211及び洗浄用ノズル202のノズル面を払拭して、ノズル面に残る液体を除去する。吸収体508は、ラインヘッドワイパーブレード511が払拭したインク及び洗浄液を吸収する。
ここで、図19および図20ではラインヘッド吸引キャップ510を1つのみ設けているが、記録ラインヘッド保湿キャップ509にそれぞれ吸引する機能を与えてもよい。また、インク及び洗浄液の揮発性が低い場合には、記録ラインヘッド保湿キャップ509及び洗浄ラインヘッド保湿キャップ506bを設けなくてもよい。
図19(a)は、画像形成装置100を待機時及びヘッドクリーニング時における状態を示す。ラインヘッド502は、待機時およびヘッドクリーニング動作時には矢印Cに示すように上方に持ち上げられ、ラインヘッド502と搬送ベルト121の間にヘッドクリーニングユニット505を挿入することにより、ノズル面の保湿およびヘッドクリーニングを行う。
ここで、ラインヘッド保湿キャップ509及びラインヘッド吸引キャップ510は、各ヘッドのノズル面を密閉して、各ヘッドのノズル面の乾燥を防いでいる。また、ラインヘッド保湿キャップ509及びラインヘッド吸引キャップ510で各ヘッドのノズル面を密閉した状態で、吸引機構507を動作させて、ラインヘッド吸引キャップ510の中を負圧にすることにより、記録ラインヘッド503aのインクをインク吐出ノズル211より吸引して記録ラインヘッド503aをクリーニングする。
ヘッドクリーニングユニット移動ロッド506aに沿ってヘッドクリーニングユニット505を移動することによって、記録ラインヘッド503b、503c、503dについてもクリーニングを実施する。このクリーニングにより、すべての記録ラインヘッド503をクリーニングすることができる。この時、ラインヘッド吸引キャップ510内にはインク残りが発生し、ラインヘッド吸引キャップ510を大気に開放することにより、ラインヘッド吸引キャップ510内に残ったインクが乾燥して堆積する。この傾向は、固形分が多く粘度の高い顔料を用いたインクを使用した場合により顕著となる。
図19(b)は、画像形成装置100のラインヘッド吸引キャップ510を洗浄する時の状態を示す。ラインヘッド吸引キャップ510で洗浄ラインヘッド504の洗浄用ノズル202を密閉した状態で、吸引機構507を動作させることにより、洗浄液がラインヘッド吸引キャップ510内に流れ込み、ラインヘッド吸引キャップ510内に残ったインクを洗い流して洗浄することができる。ここで洗浄時においては、ラインヘッド吸引キャップ510は、洗浄用ノズル202のみを吸引する。他の記録に用いるインク吐出ノズル211と洗浄用ノズル202とを一緒に吸引した場合、吸引によりキャップ510内にはインクと洗浄液が共に流れ込み、洗浄の効率を著しく落とすこととなる。ラインヘッド吸引キャップ510は、洗浄用ノズル202のみを吸引することにより、吸引キャップ510内のインクを除去することができる。
洗浄ラインヘッド504は、洗浄液を吐出せずに洗浄液を吸引キャップ510に流通させるだけでもよい。また、洗浄ラインヘッド504は、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を備えて洗浄液を吐出することができてもよい。洗浄液を吐出する場合、図18における洗浄用ノズル202の径は、インク吐出ノズル211とほぼ同等の径で形成される。この場合、図6に示す第2の実施形態と同様にラインヘッド吸引キャップ510内に洗浄液207を吐出することによってラインヘッド吸引キャップ510を洗浄することができる。この時、ラインヘッド吸引キャップ510に吐出された洗浄液207を回収するために、洗浄ラインヘッド504からラインヘッド吸引キャップ510に洗浄液を吐出すると同時に、ラインヘッド吸引機構507を駆動して、洗浄液207を吸引してもよい。また、ラインヘッド吸引キャップ510内に所定時間、洗浄液207を貯留してインクが洗浄液に十分に溶解した後で、吸引キャップ510内の洗浄液を吸引してもよい。
図20(c)は、ラインヘッド吸引キャップ510が記録領域Eから退避する時における画像形成装置100の状態を示す。図20(d)は、ラインヘッド吸引キャップ510の記録動作時における画像形成装置100の状態を示す。ラインヘッド吸引キャップ510の洗浄を終えた後、ヘッドクリーニングユニット移動ロッド506aに沿って、ラインヘッド502に対向する位置から記録領域Eの外へ、ヘッドクリーニングユニット505を移動して退避する。これにより記録動作時にヘッドクリーニングユニット505がラインヘッド502と干渉することを防止できる。さらに図20(d)に示すように、ヘッドクリーニングユニット505が記録領域Eの外へ退避した後、ラインヘッド502を下降し、搬送ベルト121とのギャップを適正に設定することにより、用紙112に記録することができる。
これにより、ヘッドクリーニング動作において大量にインクを吸引排出し、インク乾燥による吸引力低下を招きやすいラインヘッド吸引キャップ510においても、ラインヘッド吸引キャップ510の吸引力を維持することによりヘッドクリーニングの品質を維持することができる。
図21は、図19および図20に示す画像形成装置100の記録動作におけるフローを示す。記録要求(S100)を受けた画像形成装置100は、非記録動作時においてノズル面の乾燥を防止するためにノズル面をキャップしているラインヘッド吸引キャップ510と、保湿キャップ506b及び509とをノズル面から離してデキャップ(S102)する。その後、ヘッドクリーニングユニット505をラインヘッド502に対向する位置より退避(S104)した後、ラインヘッド502を下降する(S105)。次に、吸引キャップ開放時間のタイマーを0に設定(S106)してタイマーのカウントと用紙112への記録を開始する(S108)。
次に、各ページ毎の記録が終了しているか否かを、判断する(S110)。各ページ毎の記録が終了していない場合(S110、NO)は、記録を継続(S126)し、各ページ毎の記録が終了した場合(S110、YES)のみ、次ステップ(S112)へとうつる。次に、吸引キャップ開放時間のタイマーがあらかじめ設定した吸引キャップ510内のインク洗浄可能限界時間に達したかどうかを判断する(S112)。インク洗浄可能限界時間は、時間の経過とともに乾燥固化する吸引キャップ510内のインクが、洗浄液で洗浄できる限界に達する状態になるまでの乾燥に要する時間である。限界時間に達しない場合(S112、NO)は、記録を継続(S126)し、限界時間に達した場合(S112、YES)は、次のステップ(S114)にうつる。
次に、全画像データの記録が終了したかどうかを判断する(S114)。全画像データの記録が終了していない場合(S114、NO)は、ラインヘッド502を上昇(S117)させた後、クリーニングユニット505をラインヘッド502に対向する位置に移動(S118)して、吸引キャップ510内を洗浄する(S120)。洗浄動作後は、ラインヘッド吸引キャップ510と、保湿キャップ506b及び509とをノズル面から離してデキャップ(S102)する。
デキャップ(S102)後、再度ヘッドクリーニングユニット505をラインヘッド502に対向する位置より退避(S104)して、吸引キャップ開放時間のタイマーを0に設定(S106)し、タイマーのカウントと記録を開始する(S108)。一方、全画像データの記録が終了した場合(S114)は、記録を終了し(S116)、クリーニングユニット505をラインヘッド502に対向する位置に移動(S118)して吸引キャップ510内を洗浄する(S120)。次に、各ヘッドのノズル面を保湿するために、ノズル面にキャップを押し付けてキャッピングし(S122)、動作を終了する(S124)。
画像形成装置100は、ラインヘッド吸引キャップ510の大気開放時間を測定し、ラインヘッド吸引キャップ510を定期的に洗浄ラインヘッド504に対向する位置に移動して、洗浄液によってラインヘッド吸引キャップ510を洗浄する。ラインヘッド吸引キャップ510を洗浄することにより、ラインヘッド吸引キャップ510の吸引力の低下を防ぎ、ヘッドクリーニングの信頼性を確保すると共に高品質な画像を形成することができる。また、キャップ内洗浄動作(S120)を、記録動作中において記録がページ間をまたがる時にのみ実施することにより、記録を行わないタイミングに吸引キャップ内を洗浄することができる。そのため、記録途中に吸引キャップ洗浄動作のために記録動作を停止してラインヘッド502及びヘッドクリーニングユニット505を移動する必要がない。そのため、記録動作の最中にクリ−ニング動作をすることによって生じるバンディング画像を防止して、生産性を向上することができる。
図22は図21に示すキャップ内洗浄動作(S120)の詳細なフローを示す。キャップ内洗浄動作(S120)は、ラインヘッド吸引キャップ510で洗浄用ノズル202を密閉して吸引することにより洗浄液をラインヘッド吸引キャップ510に供給してもよく、洗浄用ノズル202からラインヘッド吸引キャップ510へ洗浄液を吐出すると同時に、ラインヘッド吸引キャップ510からラインヘッド吸引キャップ510内に供給された洗浄液を吸引してもよい。しかし、インクの乾燥が激しく、洗浄液でインクを溶解または再分散することが容易でない場合は、ラインヘッド吸引キャップ510内を洗浄液に浸漬することが有効である。そこで、図22に示すような示すキャップ内洗浄動作(S120)を実施することが好ましい。
まず、キャップ内洗浄要求(S150)を受けた画像形成装置100は、キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントNを1に設定し(S152)、洗浄液吐出時間のタイマーを0に設定する(S154)。洗浄液吐出時間のタイマーは、洗浄用ノズル202からラインヘッド吸引キャップ510へ洗浄液を吐出するのを開始してから洗浄液吐出を停止するまでの時間を計測する。次に、タイマーのカウントと吸引キャップ510内への洗浄液の吐出を開始する(S156)。次に、洗浄液吐出時間のタイマーが計測した時間が、あらかじめ設定した所定時間に達したかどうかを判断する(S158)。所定時間としては、吸引キャップ510内が洗浄液で満たされる時間などを用いる。洗浄液吐出時間のタイマーが計測した時間が所定時間に達しない場合(S158、NO)には、洗浄液の吐出を継続し、洗浄液吐出時間のタイマーが計測した時間が所定時間に達した場合(S158、YES)には、洗浄液の吐出を停止(S160)して、吸引キャップ510内の洗浄液を吸引する(S162)。
次に、キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントが指定回数に達したかどうかを判断する(S164)。キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントが指定回数に達していない場合(S164、NO)は、キャップ内吸引の繰り返し回数のカウントを1増やして(S168)、吐出時間のタイマーを0に設定する(S154)。一方、キャップ内吸引の繰り返し回数が指定回数に達した場合(S164、YES)は、キャップ内洗浄を終了する(S166)。
このように、ラインヘッド吸引キャップ510を洗浄液で満たしてから所定時間経過した後に、吸引キャップ510内に存在する洗浄液を吸引することによって、吸引キャップ510内に貯留した洗浄液がインク固形分を溶解または再分散する。したがって、本実施形態は、ラインヘッド吸引キャップ510で洗浄用ノズル202を密閉して吸引することにより洗浄液をラインヘッド吸引キャップ510に供給する形態や、洗浄用ノズル202からラインヘッド吸引キャップ510へ洗浄液を吐出すると同時に、ラインヘッド吸引キャップ510からラインヘッド吸引キャップ510内に供給された洗浄液を吸引する形態よりも大きな洗浄効果を得ることができる。ここで、キャップ内吸引の繰り返し回数は吸引キャップの洗浄に十分な回数を設定すればよく、洗浄性が良好であれば1回でもかまわない。生産性の点からは可能な限り少ない回数が望ましい。
図23は、ワイパーブレード174を洗浄するときの様子を示す。図6に示す実施形態において、洗浄用ヘッド213がワイパーブレード174に対して洗浄液207を吐出する。これによりワイパーブレード174も吸引キャップ173と同様に洗浄することができる。吐出された洗浄液207はワイパーブレード174の固定部に設けられた吸収体206により吸収される。そのため、吸収体206は、洗浄液207により画像形成装置100を汚すことを防止している。
ワイパーブレード174に付着したインクが乾燥及び固化する前に、ワイパーブレード174を洗浄すると洗浄効果が大きいので、ノズル面をワイピングした直後にワイパーブレード174を洗浄することが好ましい。ワイパーブレード174にインクが固着すると、ワイパーブレード174のノズル面に対するクリーニング性能を著しく低下させる。そのため、洗浄液207をワイパーブレード174に吐出することによりワイパーブレード174に付着したインクを除去することは、ノズルの抜けのない画像を維持することに極めて有効である。
またここで図23はキャリッジ103に搭載された洗浄用ヘッド213について記載しているが、図19および図20に示される洗浄ラインヘッド504の場合も同様に実施可能である。
図24は画像形成装置10に用いられる吸引キャップ173の拡大図である。吸引キャップ173の洗浄性を高めるためには、インクの吸引キャップ173内壁面への付着性を抑えるために内壁表面に撥水膜210を形成することが望ましい。
撥水膜の形成は、真空下での蒸着であっても良いし、適当な溶媒に溶解させて塗布しても良い。前者について言えば、例えば、真空排気ポンプにて真空槽内を所定の真空度まで排気したのち、撥水性材料を400℃で気化せしめて真空槽に導入し、真空雰囲気を調整するとともに、高周波電源から放電電極に電力を供給してRFグロー放電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に前記液体吐出ヘッドのオリフィス面を表面処理して、オリフィス面上に前記撥水膜を形成することができる。尚、材料および、真空槽内の真空度によっては、常温〜200℃程度の低温での撥水膜を形成することも可能である。また、後者について言えば、例えば、撥水性材料を有機溶剤に溶解させ、ワイヤーバーやドクターブレードなどの治具でコーティングすることができるし、スピンコーターによって回転塗布することもできるし、スプレーによって塗布することもできるし、塗工液を満たした容器に浸漬塗工(ディッピング)することもできる。
撥水性材料としては、フッ素原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機物、ジメチルシリキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等が使用できる。
フッ素原子を有する有機化合物としては、フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を有するアルカン、カンボン酸、アルコール、アミン等が望ましい。具体的には、フルオロアルキルシランとしては、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロトリクロオシラン;フルオロアルキル基を有するアルカンとしては、オクタフルオロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオローnーヘキサン、パーフルオローnーヘプタン、テトラデカフルオロー2ーメチルペンタン、パーフルオロドデカン、パーフルオロオイコサン;フルオロオアルキル基を有するカルボン酸としては、パーフルオロデカン酸、パーフルオロオクタン酸;フルオロアルキル基を有するアルコールとしては、3、3、4、4、5、5、5−ヘプタフルオロー2ーペンタノール;フルオロアルキル基を有するアミンとしては、ヘプタデカフルオロー1、1、2、2−テトラハイドロデシルアミン等が挙げられる。ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物としては、α、w−ビス(3ーアミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α、w−ビス(3ーグリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α、w−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
また、別の撥水性材料として、シリコン原子を有する有機化合物、チにアルキルシロキサン基を有する有機化合物が使用できる。
アルキルシロキサン基を有する有機化合物としては、含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物を構成する分子中にアルキルシロキサン基、及び環状脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシロキサンエポキシ樹脂としては、例えば、下記の一般式(a)及び(b)で表される構造単位を含む高分子化合物(A)が挙げられる。
上記のような構造を有する化合物は他の撥水性化合物と併用する際にバインダーとしての機能も果たす。つまり、撥インク性の組成物の塗布適性を高め、溶剤蒸発後の乾燥性を高める乾燥塗膜としての作業性を向上させる機能も与える。
撥水膜の膜厚は、5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。膜厚が5μmを超える場合、塗膜の乾燥が遅くなり生産性が悪くなったり、機械的耐久性が損なわれる場合がある。
ここで本発明に用いるインクに使われる顔料としては、以下に挙げるものが好適に用いられる。また、これら顔料は複数種類を混合して用いても良い。
有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。
これらの顔料の粒子径は0.01〜0.30μmで用いることが好ましく、0.01μm以下では粒子径が染料に近づくため、耐光性、フェザリングが悪化してしまう。また、0.30μm以上では、吐出口の目詰まりやプリンタ内のフィルタでの目詰まりが発生し、吐出安定性を得ることができない。0.01〜0.16μmであることが目詰まりや吐出安定性の観点からより好ましい。
ブラック顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15〜40ミリミクロン、BET法による比表面積が、50〜300平方メートル/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなものとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上、三菱化学製)、Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(以上、コロンビア製)、Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(以上、キャボット製)、カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(以上、デグッサ製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
カラー顔料の具体例を以下に挙げる。有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等が挙げられる。
色別により具体的には以下のものが挙げられる。イエローインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同73、同74、同75、同83、同93、同95、同97、同98、同114、同128、同129、同151、同154等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
マゼンタインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、同7、同12、同48(Ca)、同48(Mn)、同57(Ca)、同57:1、同112、同123、同168、同184、同202等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
シアンインクに使用できる顔料の例としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15:3、同15:34、同16、同22、同60、C.I.バットブルー4、同60等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
また、本発明で使用する各インクに含有される顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
以上に挙げた顔料は高分子分散剤や界面活性剤を用いて水性媒体に分散させることでインクジェット用記録液とすることができる。このような有機顔料粉体を分散させるための分散剤としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。
水溶性樹脂の具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。
これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも重量平均分子量3000〜20000のものが、インクジェット用記録液に用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。
高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組み合わせである。その理由は明かでないが、以下のように考えられる。高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
また、分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
更に両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
また、顔料は親水性基を有する樹脂によって被覆し、マイクロカプセル化することで、分散性を与えることもできる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法、酸析法、転相乳化法などを挙げることができる。
界面重合法とは、2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法である。in−situ重合法とは、液体または気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法である。液中硬化被膜法とは、芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法である。
コアセルベーション(相分離)法とは、芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法である。液中乾燥法とは、芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法である。
融解分散冷却法とは、加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法である。気中懸濁被覆法とは、粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法である。
スプレードライング法とは、カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法である。酸析法とは、アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性または酸性にし有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法である。転相乳化法とは、水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法である。
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
これらの中ではカルボン酸基またはスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
また、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類の量は、有機顔料またはカーボンブラックなどの水不溶性の色材に対して1重量%以上20重量%以下である。有機高分子類の量を上記の範囲にすることによって、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低いために、有機高分子類が顔料表面を被覆することに起因する顔料の発色性の低下を抑制することが可能となる。有機高分子類の量が1重量%未満ではカプセル化の効果を発揮しづらくなり、逆に20重量%を越えると、顔料の発色性の低下が著しくなる。さらに他の特性などを考慮すると有機高分子類の量は水不溶性の色材に対し5〜10重量%の範囲が好ましい。
すなわち、色材の一部が実質的に被覆されずに露出しているために発色性の低下を抑制することが可能となり、また、逆に、色材の一部が露出せずに実質的に被覆されているために顔料が被覆されている効果を同時に発揮することが可能となるのである。また、有機高分子類の数平均分子量としては、カプセル製造面などから、2000以上であることが好ましい。ここで「実質的に露出」とは、例えば、ピンホール、亀裂などの欠陥などに伴う一部の露出ではなく、意図的に露出している状態を意味するものである。
さらに、色材として自己分散性の顔料である有機顔料または自己分散性のカーボンブラックを用いれば、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低くても、顔料の分散性が向上するために、十分なインクの保存安定性を確保することが可能となるので本発明にはより好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合は、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合は、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、且つ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、勿論前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
マイクロカプセル化の方法として転相法または酸析法を選択する場合は、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能または溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物または複合体、あるいは自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤およびアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、記録液用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても何等問題はない。特に、直接記録液用の分散液を製造できることからいえば、記録液の液媒体を混入させる方がより好ましい。
一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部または全部を塩基性化合物で中和し、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材と、水性媒体中で混練する工程および酸性化合物でpHを中性または酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部または全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離または濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水および必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とする本発明に用いることができる記録液を得る。以上の如き方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50nm〜180nmであることが好ましい。
このように樹脂被覆することによって顔料が印刷物にしっかりと付着することにより、印刷物の擦過性を向上させることができる。
ここで示した全ての実施形態において記録用液滴としてインクの場合を記載しているが、本発明はインクに限られるものではなく、着色料を含むその他の液滴での実施が可能であり、前記洗浄液も着色料を含まない液滴であれば広く実施することが可能である。また用紙112についても各種記録媒体の利用が可能であり、紙に限定されるものではない。
なお、本発明に係る画像形成装置10及び100は、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、及びこれらの機能を複合した画像形成装置にも適用することができる。また、インク以外の液体、例えばDNA試料やレジスト、パターン材料などを吐出する液滴吐出ヘッドや液滴吐出装置にも適用することができる。