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JP4739780B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムの吸蔵,放出が可能な正極および負極と、ガンマブチロラクトンを含有する非水電解液とを備えた非水電解質電池に関わり、特に正極の改良による保存特性の向上を図ることができる非水電解質電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。充放電に伴い、リチウムイオンが正、負極間を移動することにより充放電を行う非水電解質電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。また、最近ではその特徴を利用して、携帯電話等のモバイル用途に限らず、電動工具や電気自動車、ハイブリッド自動車に至る中〜大型電池用途についても展開が進みつつある。
ここで、上記非水電解質電池の正極としてはリチウムを含有したコバルト酸化物が用いられているが、この中でも、コバルト酸リチウムに代表される層状岩塩型構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物を単独で用いると、例えば下記特許文献1に示されるように、充電状態で高温雰囲気に曝された場合、及び異常充電により連続充電された場合などに、層状岩塩型構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物から酸素が脱難し、電解液と発熱反応を起こす場合があるという問題がある。
そこで、上記のような異常時に備えて、現在のところ、電池パック内部には安全性維持のための保護回路が備わっており、電圧や電流の制御が精密に行われている。また、電池缶自体には、過大電流が流れた際の異常発熱を防止する役目を担うPTC(Positive Temperature Coefficient)素子や、電池内のガス圧上昇時に備えての、電流遮断機能付きガス排出弁といった数多くの保護機能が備わっており、電池の安全対策は十分に施されている。しかしながら、近年、上記の保護機能を簡略化して低コスト化を図るという観点から、正極活物質と電解液との反応を抑制することが必要とされている。
このようなことを考慮して、高沸点で熱的に安定なガンマブチロラクトンを溶媒として用いた非水電解液電池が提案されている。
しかし、ガンマブチロラクトンを電解質として用いた非水電解質電池は、ジエチルカーボネートを代表とする鎖状カーボネートを電解質として用いた非水電解質電池に比べて、十分な充電保存特性が得られなかった。その原因としては、正負極上でのガンマブチロラクトンの分解等が生じるということが考えられる。
そこで、下記特許文献2では、ガンマブチロラクトンを含有する非水電解質電池において、ガンマブチロラクトンの含有量や外装材の厚み等を最適化することにより、高温で貯蔵した際のガス発生を抑制し、かつ大電流放電特性及び充放電サイクル特性を向上させる手法が提案されている。
特開平11−16566号公報
特開2000−235868号公報
しかしながら、ガンマブチロラクトンの含有量や外装材の厚み等を最適化するだけでは、劣化の主原因と考えられる高温保存中に正極表面上でガンマブチロラクトンが副反応を生じるため、高温での充電保存特性を十分に向上させることができないという課題を有していた。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、初期放電容量を低下させることなく、高温での充電保存特性を向上させることができる非水電解質電池を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、リチウムの吸蔵,放出が可能な負極と、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムからなる正極活物質を含有する正極と、溶媒及び溶質を含有する非水電解質とを備え、且つ、上記溶媒にはガンマブチロラクトンが含まれる非水電解質電池において、前記正極活物質には、低温相のコバルト酸リチウムが含有されていることを特徴とする。
上記構成の如く、正極活物質に低温相のコバルト酸リチウムが含有されていれば、電池の初期放電容量を低下させることなく、充電保存特性を向上させることができる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
即ち、正極活物質に低温相のコバルト酸リチウムが含有されていれば、高温保存中の電解液(ガンマブチロラクトン)と正極活物質との副反応は、先ず低温相のコバルト酸リチウムとの間で生じるため(即ち、低温相のコバルト酸リチウムとの間で集中して生じるため)、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムとの間で生じるのを抑制できる。したがって、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムの劣化が抑制されるため、充電保存特性の低下が抑制されたものと考えられる。
また、低温相のコバルト酸リチウムは、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムに比べて充放電容量が小さいもののリチウムの挿入脱離が可能である(低温相のコバルト酸リチウムの放電容量は、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムの放電容量の40〜50%程度である)。したがって、低温相のコバルト酸リチウムを含有することによって、電池の初期放電容量が大幅に低下することもない。
これらのことから、電池の初期放電容量を低下させることなく、充電保存特性を改善させることができる。
ここで、上記構成における低温相のコバルト酸リチウムとは、リチウム化合物とコバルト化合物とを300〜600℃の温度範囲で熱処理した場合に得られるコバルト酸リチウムを意味し、リチウム金属に対する電位で3.3〜3.9V付近に放電容量を有する。
一方、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムは、低温相のコバルト酸リチウムよりも高い熱処理温度で得られるものであり、リチウム金属に対する電位で3.8〜4.3V付近に放電容量を有する。
尚、本発明における低温相のコバルト酸リチウムは、その構造安定性や電気化学的特性を向上させるために、NiやMnなどの元素を適宜添加することが可能である。
請求項2記載の発明は請求項1記載の発明において、上記溶媒の総量に対する上記ガンマブチロラクトンの量が50体積%以上に規制されることを特徴とする。
このように規制するのは、溶媒の総量に対する上記ガンマブチロラクトンの量が50体積%以上の場合に、ガンマブチロラクトンと正極活物質との副反応が多く生じるため、低温相のコバルト酸リチウムの添加効果が一層発揮されるからである。
請求項3記載の発明は請求項1又は2記載の発明において、前記低温相のコバルト酸リチウムが、スピネル型構造又はこれに類似する構造を有することを特徴とする。
本発明における低温相のコバルト酸リチウムは、例えば、非特許文献1(Materials Research Bulletin、28、pp.235〜246、1992)及び非特許文献2(Solid State lonics、62、pp.53〜60、1993)に記載されているようなスピネル型構造に類似した構造を有する。そこで、上記文献に基づく場合の低温相のコバルト酸リチウムの結晶構造を特定すべく、上記構成の如くスピネル型構造又はこれに類似する構造と規定している。
但し、上記2つの文献は、400℃で熱処理した場合のコバルト酸リチウムの結晶構造についての報告であり、他の温度(例えば、600℃)で熱処理した場合には、他の結晶構造となることも考えられる。したがって、本発明における低温相のコバルト酸リチウムの結晶構造としては、300〜600℃の温度範囲で熱処理した場合に得られるコバルト酸リチウムの全ての結晶構造を含むものである。
請求項4記載の発明は請求項1〜3記載の発明において、前記層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムに対する、前記低温相のコバルト酸リチウムの割合が、0.01〜3質量%に規制されることを特徴とする。
このように規制するのは、低温相のコバルト酸リチウムの割合が0.01質量%未満であると、低温相のコバルト酸リチウムの添加効果が十分に発揮されない一方、低温相のコバルト酸リチウムの割合が3質量%を超えると、上述の如く低温相のコバルト酸リチウムは層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムに比べて放電容量が小さいため、電池としての放電容量の低下を招くからである。
本発明によれば、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムの劣化が抑制されるため、電池の初期放電容量を低下させることなく、高温での充電保存特性を飛躍的に向上させることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
(正極の作製)
先ず、Li2CO3とCo34とを、Li:Coのモル比が1.03:1となるようにして石川式らいかい乳鉢にて混合し、空気雰囲気中にて850℃で20時間熱処理後した後、粉砕することにより、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウム(Li1.03CoO2)を得た。
次に、このコバルト酸リチウム(Li1.03CoO2)とCoCO3を、Li1.03CoO2とCoCO3とのモル比が1:0.03となるように秤量し、混合した。次いで、得られた粉末を400℃で20時間熱処理することで、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムに対して低温相のコバルト酸リチウム(LT)が3質量%含有されたコバルト酸リチウム(LT含有LiCoO2)からなる正極活物質を得た。
この後、上記正極活物質と導電剤としての炭素粉末とを、90:5の質量比で混合し正極合剤を得た。しかる後、結着剤としてのフッ素樹脂粉末(ポリフッ化ビニリデン)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液を上記の正極合剤に加えてスラリーを調製し(スラリー中の正極合剤とポリフッ化ビニリデンとの質量比は95:5)、更に、このスラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体の片面にドクターブレード法によって塗布した後、乾燥、圧延し、直径20mmの円板に切り出すことにより正極を作製した。
(負極の作製)
所定厚みのリチウム圧延板から直径20mmの円板を打ち抜くことにより、負極を作製した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とガンマブチロラクトン(γ−BL)とを体積比30:70の割合で混合した混合溶媒に、溶質としてのテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)を、濃度が1.2モル/リットルとなるように溶解させ、更に、上記混合溶媒100質量部に対し、ビニレンカーボネート2質量部と、界面活性剤としてのリン酸トリオクチルを2質量部の割合で添加することにより、電解液を調製した。
(電池の組立て)
図1に示すように、上記の如く作製した正極(作用極)2と、負極(対極)1との間に、ポリエチレン製の微多孔膜からなるセパレータ3を挟み込んだ。次に、試験セルの電池缶4の上蓋4bに、正極の集電体2aを接触させると共に、上記負極1を電池缶4の底部に接触させた。これらを電池缶4内に収容し、上記上蓋4bと底部4aとを絶縁パッキン5にて電気的に絶縁させ、本発明に係る非水電解質電池を作製した。
〔本実施例〕
(実施例1)
実施例1としては、前記発明を実施するための最良の形態で示した非水電解質電池を用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
(実施例2)
層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムに対する低温相のコバルト酸リチウム(LT)の割合が4質量%となるように正極活物質を作製すること以外は、実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
具体的には、Li2CO3とCo34とを、Li:Coのモル比が1.04:1となるようにしてコバルト酸リチウム(Li1.04CoO2)を作製すると共に、このコバルト酸リチウムとCoCO3を、Li1.04CoO2とCoCO3とのモル比が1:0.04となるようにした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A2と称する。
(比較例)
正極活物質として、低温相のコバルト酸リチウムを含有していない層状岩塩型構造を有するLiCoO2を使用すること以外は、実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
具体的には、Li2CO3とCo34とを、Li:Coのモル比が1:1となるようにして石川式らいかい乳鉢にて混合し、空気雰囲気中にて850℃で20時間熱処理後した後、粉砕することにより、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウム (LiCoO2)を作製し、これを正極活物質として用いる(即ち、この後、このコバルト酸リチウムとCoCO3とを混合して400℃で熱処理するという工程を行なわない)以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Xと称する。
(実験)
本発明電池A1、A2及び比較電池Xについて、以下の条件で充放電と保存とを行い、保存前放電容量(但し、表1においては、比較電池Xに対する保存前放電容量比で表示している)と、初期充放電効率と、容量復帰率とを測定したので、その結果を表1に示す。
試験条件
[初期充放電効率測定における充放電条件]
・充電条件
充電電流9.3mAで充電終止電圧4.3Vまで充電した後、充電電流3.1mAで充電終止電圧4.3Vまで充電。充電時の温度は25℃。
・放電条件
放電電流3.1mAで放電終止電圧2.75Vまで放電。放電時の温度は25℃。
そして、上記充放電時に充電容量と放電容量とを測定した。そして、当該放電容量を初期放電容量とした。
[初期充放電効率の算出]
上記初期の充電容量と放電容量とから、下記(1)式にしたがって、初期充放電効率を算出した。
初期充放電効率(%)={(初期放電容量)÷(初期充電容量)}×100…(1)
[保存前の放電容量測定における充放電条件]
上記初期の充放電が終了後、上記充放電条件と同様の条件で充放電を2回行い、2回目の放電容量を保存前の放電容量とした。
[充電保存時の充電条件と保存条件]
・充電条件
上記保存前の充放電が終了した後、上記充電条件と同様の条件で充電。
・保存条件
上記充電を行った後、温度60℃で、10日間保存。
[保存後の放電容量測定における充放電条件]
上記保存を終了した後、上記保存前の放電容量測定における充放電条件と同様の条件で、放電と充電と再度の放電とを行なう。
そして、再度の放電時に放電容量を測定し、これを保存後の放電容量とした。
[容量復帰率の算出]
上記保存前の放電容量と保存後の再度の放電時における放電容量とから、下記(2)式にしたがって、容量復帰率を算出した。
容量復帰率(%)={(保存後の再度の放電時における放電容量)÷(保存前の放電容量)}×100…(2)
尚、この容量復帰率が大きいほど、充電保存特性が優れることを示す。
表1から明らかなように、LT含有LiCoO2を正極活物質として用いた本発明電池A1、A2は、LTを含有しないLiCoO2を正極活物質として用いた比較電池Xに比べ、容量復帰率が大きくなっていることが認められる。
したがって、γ−BLを含む電解液を用いた電池では、正極活物質として低温相のコバルト酸リチウムを含有した層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムを使用することにより、高温での充電保存特性が向上することがわかる。
これは、正極活物質に低温相のコバルト酸リチウムを含有させることで、先にγ−BLと低温相のコバルト酸リチウムとが副反応を起こすため、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムの劣化を抑制し、充電保存特性の低下を抑制したものと考えられる。
但し、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムに対して低温相のコバルト酸リチウム(LT)の割合が4質量%の本発明電池A2は、その割合が3質量%の本発明電池A1に比べて、初期放電容量と初期充放電効率とが低下していることが認められる。
〔参考例〕
本参考例では、本発明の効果はγ−BLを含む溶媒を用いた非水電解質電池に特有の効果であることを確認するために行なった。以下、その内容について述べる。
(参考例1)
電解液の溶媒として、ECとγ−BLとの混合溶媒の代わりに、ECとエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(体積比は30:70)を用い、且つ、界面活性剤としてのリン酸トリオクチルを添加しない以外は、本実施例の実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、参考電池Y1と称する。
(参考例2)
電解液の溶媒として、ECとγ−BLとの混合溶媒の代わりに、ECとエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(体積比は30:70)を用い、且つ、界面活性剤としてのリン酸トリオクチルを添加しない以外は、本実施例の比較例と同様にして非水電解質電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、参考電池Y2と称する。
(実験)
参考電池Y1、Y2について充放電と保存とを行い、保存前の放電容量(但し、表2においては、参考電池Y2に対する保存前放電容量比で表示している)と、初期充放電効率と、容量復帰率とを測定したので、その結果を表2に示す。尚、実験条件は、前記本実施例の実験と同様の条件である。
表2から明らかなように、参考電池Y1、Y2では、容量復帰率に差異が認められない。即ち、γ−BLを含まない電解液を用いた電池では、正極における低温相のコバルト酸リチウム含有の有無が高温での充電保存特性に影響しない。
このことから、低温相のコバルト酸リチウムを含有することによる充電保存特性の優位性は、γ−BLを含む電解液を用いた場合にのみ発現するということがわかる。
〔その他の事項〕
(1)負極活物質としては、上記金属リチウムに限定するものではなく、非水電解液電池に従来から用いられてきた種々の負極材料、例えば、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−スズ合金などのリチウム合金、黒鉛、コークス、有機物焼成体などの炭素材料、並びにSnO2、SnO、TiO2などの電位が正極活物質に比べて卑な金属酸化物を用いることができる。
(2)ガンマブチロラクトンに混合できる溶媒としては、上記エチレンカーボネートに限定するものではなく、従来から非水電解液電池に用いられてきた溶媒、例えば、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル、プロパンスルトンなどの環状エステル、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテルなどの鎖状エーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリルなどが挙げられる。中でも、電池の諸特性向上のためには、実施例で用いたエチレンカーボネートが望ましい。
(3)本発明で用いられる電解質塩は、上記LiBF4に限定するものではなく、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(Cl2l+1SO2)(Cm2m+1SO2)(l、mは0以上の整数)、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(p、q、rは0以上の整数)、Li[(C242B]、LiBF2(C24)、LiPF4(C24)、LiPF2(C242等であっても良く、また、これらを複数組み合わせて使用しても良い。これらの中でも、特にガンマブチロラクトンを溶媒とする場合には、安定な被膜を形成するLiBF4を少なくとも含んでいることが望ましい。尚、これらの電解質塩は、前記の非水電解液に0.1〜1.5M、好ましくは0.5〜1.5Mの濃度で溶解して使用される。
(4)上記電解液には、C=C不飽和結合を有する環状炭酸エステル化合物が1種以上含有されているのが望ましい。これは、C=C不飽和結合を有する環状炭酸エステル化合物が含まれていれば、負極上にリチウムイオン透過性に優れた安定な被膜が形成されるので、γ−ブチロラクトンの分解を抑制することができるからである。
尚、C=C不飽和結合を有する環状炭酸エステル化合物の中でも、特に、C=C不飽和結合を有する環状炭酸エステルであることが好ましく、このC=C不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、ビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、4,5−ジプロピルビニレンカーボネート、4−エチル−5−メチルビニレンカーボネート、4−エチル−5−プロピルビニレンカーボネート、4−エチル−5−プロピルビニレンカーボネート、4−メチル−5−メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネートなどが例示される。
また、これら環状炭酸エステルなかでも、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートは、上記効果が一層発揮されるので、より好ましい。
尚、非水電解液中におけるC=C不飽和化合物を有する環状炭酸エステル化合物の割合は、非水電解質の総量に対して1〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部である。これは、C=C不飽和化合物を有する環状炭酸エステル化合物の含有量が少なすぎると充放電特性の改善効果が十分に得られない場合がある一方、含有量が多すぎると負極表面上に形成される被膜が厚くなり過ぎて、負極の反応抵抗が増大する結果、充放電特性が低下するおそれがあるからである。
(5)電解液には界面活性剤が添加されていることが望ましい。このように界面活性剤が添加されていれば、セパレータヘの濡れ性が向上するため、より電池の諸特性を向上させることができるからである。尚、界面活性剤としては、リン酸トリオクチルやエステル等が例示され、また、界面活性剤の添加量としては、非水電解液100質量部に対して0.5〜5質量部程度であるのが好ましい。
(6)電池の形状などについては上記扁平型に限定するものではなく、上記本発明は広く円筒型、角型など、特に制限はなく、種々の形状の非水電解質電池に適用し得ることは勿論である。また、セパレータ、電池ケース、および活物質を保持すると共に集電を担う集電体などの電池構成部材についても特段の制限はなく、公知の種々の部材を選択的に使用すればよい。
(7)本発明は液系の電池に限定するものではなく、ゲル系のポリマー電池にも適用することができる。この場合のポリマー材料としては、ポリエーテル系固体高分子、ポリカーボネート系固体高分子、ポリアクリロニトリル系固体高分子、オキセタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー及びこれらの2種以上からなる共重合体もしくは架橋した高分子若しくはPVDFが例示され、このポリマー材料とリチウム塩と電解質を組合せてゲル状にした固体電解質を用いることができる。
本発明は、例えば携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動電源のみならず、電気自動車やハイブリッド自動車の車載用電源等の大型電池に適用することもできる。
本発明電池の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 負極
2 正極
3 セパレータ

Claims (3)

  1. リチウムの吸蔵,放出が可能な負極と、層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムからなる正極活物質を含有する正極と、溶媒及び溶質を含有する非水電解質とを備え、且つ、上記溶媒にはガンマブチロラクトンが含まれる非水電解質電池において、
    前記正極活物質には、低温相のコバルト酸リチウムが含有され
    前記層状岩塩型構造を有するコバルト酸リチウムに対する、前記低温相のコバルト酸リチウムの割合が、0.01〜3質量%に規制されていることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 上記溶媒の総量に対する上記ガンマブチロラクトンの量が50体積%以上に規制される、請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 前記低温相のコバルト酸リチウムが、スピネル型構造又はこれに類似する構造を有する、請求項1又は2記載の非水電解質電池。
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