〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1〜図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図2(a)に、本実施例にかかる液晶表示装置100の構成の断面を示す。図2(a)に示すように、液晶表示装置100は、光源1、導光板2、液晶表示パネル(液晶表示媒体)13、及び偏光選択反射板(偏光選択反射手段)12よりなっている。光源1及び導光板2によりバックライト(光照射手段)14を構成し、このバックライト14を挟んで、液晶表示パネル13と偏光選択反射板12とが設けられている。また、本明細書では、バックライト14に対して、液晶表示パネル13が設けられている側を表面側(第2の側)とし、その反対の偏光選択反射板12が設けられている側を裏面側(第1の側)とする。また、導光板2から液晶表示パネル13への方向を上方向とし、その反対方向を下方向とする。また、種々の部材において、表面側の面を単に表面とし裏面側の面を裏面とする。
上記導光板2は散乱加工面を有している。光源1から発せられた光は、導光板2の散乱加工面3により散乱され、該導光板2から前面側へ向けて照射される光と、裏面側へ向けて照射される光とに分かれる。なお、バックライト14は、光源1及び導光板2を備えていれば、図示のものに特に限定しない。
液晶表示装置100の裏面側に配置されている偏光選択反射板12は、自身に入射する直線偏光の偏光方向が反射軸と平行であるときには、この光を反射し、偏光方向が透過軸と平行であるときにはこの光を透過させる。これにより、バックライト14から無偏光の光が偏光選択反射板12に入射すると、特定の偏光方向の光(一方直線偏光)は反射し、それとは異なる偏光方向の光(他方直線偏光)は透過する。すなわち、偏光選択反射板12は、透過軸及び反射軸の設定により、異なる偏光方向の光を選択的に透過もしくは反射させる機能を有する。本実施の形態では、高分子膜を積層することで作成された既知の偏光選択反射板を用いたが、一方直線偏光を透過し、他方直線偏光を反射する偏光選択反射板であればよい。
また図2(b)に、上記液晶表示装置100を携帯電話等に採用した場合の構成の概略断面図を示す。ケース613の表面側には液晶表示パネル13の画面表示領域を空けた表示窓615を、裏面側には表示窓615とほぼ同じ大きさの採光窓616を設けている。
上記液晶表示パネル13は、第1偏光板4、第1透明基板5、スイッチング素子605、液晶層6、透明電極607、カラーフィルター608、第2透明基板7、及び第2偏光板8を備えている。一対の透明基板である第1透明基板5と第2透明基板7との間に液晶層6を挟んだ構成になっており、裏面側に第1透明基板5、表面側に第2透明基板7が設けられている。第1偏光板4は、第1透明基板5の裏面に設けられており、第2偏光板8は第2透明基板7の表面に設けられている。なお、第1透明基板5にはスイッチング素子605が設けられ、第2透明基板7にはカラーフィルター608及び透明電極607が設けられている。
液晶層6は、例えばTN(Twist Nematic)液晶からなる。本実施の形態では、液晶層6は、自身に入射されて通過する直線偏光の光に対して電圧の無印加時に偏光方向を90°回転させる制御を行い、電圧の印加時に偏光方向を回転させない制御を行う。液晶層6は、TN液晶に限定されず、通過する光の偏光状態を制御することができる液晶であればよい。
第1偏光板4及び第2偏光板8は、所定の向きに設定された透過軸を有し、透過軸方向の直線偏光の成分となる光のみを透過させる。バックライト14から無偏光の光が第1偏光板4に入射すると、第1偏光板4はその透過軸に平行な直線偏光のみを透過する。また、上記液晶層6を透過した直線偏光が、第2偏光板8に入射すると、第2偏光板8はその透過軸に平行な直線偏光のみを透過する。
第1偏光板4及び第2偏光板8の材料としては、高分子樹脂フィルムにヨウ素、二色性染料等の吸収体を混入し延伸することで配向させたものが好ましいが、これに限定されず、特定の直線偏光を透過させることができるものであればよい。
カラーフィルター608は、第2透明基板7の裏面にRGBの3色分がそれぞれ設けられている。
透明電極607は、第2透明基板7上でカラーフィルター608の液晶層6側の面に設けられている。透明電極材料としてはITO(酸化インジウムと酸化錫からなる合金)が好適であるが、これに限定されず、他の透明性を有する導電性金属膜を用いてもよい。又、本実施例では金属からなる透明電極材料を用いた例を記載しているが、金属以外の樹脂、半導体等の透明性を有する導電性材料であればよい。
スイッチング素子605は、第1透明基板5の表面に設けられ、各画素を駆動するためにスイッチングするTFTなどのアクティブ素子である。
ここで、例えばTFT素子を用いた場合のスイッチング素子605の構成について、図3及び図4を用いて説明する。
スイッチング素子605は、図3に示すように、ゲート電極(ゲート電極線)701、ゲート絶縁膜702、i型アモルファスシリコン層703、n+型アモルファスシリコン層704、ソース電極(ソース電極線)705、画素電極706により形成されている。
また、図4に示すように、第1透明基板5上において、ゲート電極(ゲート電極線)701とソース電極(ソース電極線)705とが格子状に設けられている。さらに、隣り合うゲート電極(ゲート電極線)701の間には、該ゲート電極(ゲート電極線)701と平行して補助容量配線802が配置されている。
スイッチング素子605は、図3に示すように、第1透明基板5上に、ゲート電極701を有し、その上にゲート絶縁層702を有している。
ゲート電極701上には上記ゲート絶縁層702を介してi型アモルファスシリコン層703が形成されている。さらにその上にn+型アモルファスシリコン層704を介してソース電極705及び画素電極706が形成されている。ソース電極705及び画素電極706の端部はi型アモルファスシリコン層703上に位置する。ソース電極705の他端部はゲート絶縁層702上に位置する。また、画素電極706の他端部はゲート絶縁層702上に位置する。
ここで、液晶表示装置100において、偏光を制御する部材の軸構成(ここで、軸構成とは、透過軸、反射軸、及び液晶層の配向方向の構成とする)について図5を用いて説明する。上記部材として、偏光選択反射板12、第1偏光板4、液晶層6及び第2偏光板8が挙げられる。図5の白抜き矢印は偏光板の透過軸を示している。また、参照符号6a及び6bは、それぞれ液晶層6の表面側の液晶分子層と裏面側の液晶分子層を示しており、実線の矢印は液晶分子の配向方向を示している。
液晶表示パネル13は、図5に示すように、第1偏光板4及び第2偏光板8によって液晶層6を挟む構造となっており、液晶層6は厚さ方向に90°捩れたTN配向を有している。
また、第1偏光板4及び第2偏光板8の透過軸は、互いに直交するように設定されている。さらに、偏光選択反射板12の透過軸は、第1偏光板4と同じ方向になるように設定されている。また、反射軸は、この透過軸と直交するように設定されている。
このような構造を用いることにより、偏光選択反射板12の裏面から入射した周囲光が、第1偏光板4をほとんどロス無く通過できるため、強い周囲光下でも十分な視認性を得ることができる。
例えば、直射日光下(60000ルクス)で、通常の透過型液晶表示装置はバックライトからの光の輝度が、液晶表示パネル表面反射に対して十分でないため、コントラストは10以下に低下するのに対して、本実施の形態にかかる液晶表示装置100は裏面からの光を利用することでコントラスト20以上が確保でき、非常に美しい画像が表示できることが確認できた。さらに、液晶表示装置100の最も裏面側に偏光選択反射板12を配置しているため、裏面からは表示を確認することができず、十分にプライバシーを保護できる事が確認できた。
次に、上記液晶層6がTN層である場合の表示方法について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態にかかる液晶表示装置100の構成の概略及び画面表示の原理を示す断面図である。ここでは、第1偏光板4、第2偏光板8、及び偏光選択反射板12の軸構成を、下記のように、紙面に対して平行方向(以下、x方向(図5に示すx方向)とする)もしくは垂直方向(以下、y方向(図5に示すy方向)とする)に設定した場合について説明する。
図1では、第1偏光板4の透過軸は、x方向(第1の偏光状態)に設定され、第2偏光板8の透過軸は、y方向(第2の偏光状態)に設定されている。また、偏光選択反射板12の反射軸をy方向に設定し、透過軸をx方向に設定している。
液晶表示装置100は、画面表示のために、バックライト14から発せられる光及び裏面に照射される周囲光を利用することができる。
まず、液晶表示装置100の裏面に照射される周囲光(無偏光の光)の動作について図1により説明する。なお、図1、図8、図9、図12、及び図13において、両方向矢印及び八方方向の矢印並びに○付の×印は、それぞれ光の偏光状態を示している。すなわち、両方向矢印はx方向の偏光状態を表わし、八方方向の矢印は無偏光の状態を表わし、○付の×印はy方向の偏光状態を表わしている。図1に示すように、液晶表示装置100の裏面に照射される周囲光のうち、偏光選択反射板12によりy方向の直線偏光は反射され、x方向の直線偏光は透過する。偏光選択反射板12を透過したx方向の直線偏光(第1の直線偏光)は、液晶表示パネル13へ到達する。そして、第1偏光板4を偏光方向を変えずに透過し、液晶層6により偏光方向を90°回転してy方向の直線偏光(第2の直線偏光)になる。さらに、この光は、第2偏光板8を偏光方向を変えずに透過し、観察者に到達する。
このように、液晶表示装置100の裏面に照射される周囲光(無偏光の光)のうち、y方向の直線偏光は偏光選択反射板12で反射する。したがって、観察者が液晶表示装置100の裏面側から観察すると鏡のように見える。このため、観察者は、液晶表示装置100の裏面側から表示画面を確認することができなくなりプライバシーを保護することができる。
また、偏光選択反射板12は、周囲光のうちx方向の直線偏光を透過する。そして、その光が液晶表示装置100の画面表示に使用される。これにより、液晶表示装置100の裏面に照射される周囲光を効率的に画面表示に利用することができる。すなわち、周囲光が強い環境下でも良好な画面表示を可能にする液晶表示装置を実現することができる。
次に、バックライト14から発せられた光の動作について説明する。この光は、上述したように、導光板2に形成された散乱加工面3で散乱され、上方向の光と下方向の光に分かれる。上方向の光は液晶表示パネル13に到達し、下方向の光は偏光選択反射板12に到達する。
上記の上方向の光(無偏光の光)は、第1偏光板4を通過しx方向の直線偏光になる。さらに液晶層6にて偏光方向を90°回転しy方向の直線偏光となる。この光は、偏光方向を変えずに第2偏光板8を通過して観察者に到達する。
一方、上記の下方向の光(無偏光の光)のうち、偏光選択反射板12でy方向の直線偏光成分は反射され、液晶表示パネル13に到達する。また、x方向の直線偏光成分は偏光選択反射板12を透過し裏面側へ出射される。上記の液晶表示パネル13に到達した、y方向の直線偏光成分の反射光は、その偏光方向が第1偏光板4の透過軸方向と異なることから、第1偏光板4で吸収される。したがって、この下方向の光は画面表示に使用されない。
ここでは、偏光選択反射板12の反射軸及び透過軸を、y方向の直線偏光を反射して、x方向の直線偏光を透過するように設定したが、これに限らず、偏光選択反射板12の透過軸をy方向から0°から90°のうち任意の角度に捻った配置とすることも可能である。これにより、バックライト14から偏光選択反射板12に反射した光と液晶表示装置100の裏面へ入射する周囲光との利用程度を制御することができる。
また、ここでは特定の直線偏光を反射し、これに垂直な直線偏光を透過する偏光選択反射板12を使用した場合について説明したが、これに限らず、特定の円偏光を反射し、これと逆回転の円偏光を透過する円偏光選択反射板を用いても同様の効果が得られる。このとき、円偏光選択反射板と導光板の間に位相差板を配置し、任意の位相差を選択する事で、上記した偏光選択反射板12の透過軸方向を変化させるのと同等の効果が得られる。
〔実施の形態2〕
本発明にかかる他の実施形態について、図6〜図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、上記実施の形態1で述べた各種の特徴点については、本実施の形態についても組み合わせて適用し得るものとする。
図6は、本実施の形態にかかる液晶表示装置101の概略構成を示す断面図である。
上記実施の形態1にかかる液晶表示装置100では、バックライト14において液晶表示パネル13と反対側に偏光選択反射板12を設けた構成であった。これに対して、本実施の形態にかかる液晶表示装置101は、バックライト14の裏面側において、偏光選択反射板212に加えて偏光制御液晶パネル15を設けることにより、バックライト14から発せられた光をより有効に利用することができるものである。
すなわち、液晶表示装置101は、光源1及び導光板2からなるバックライト14、液晶表示パネル(液晶表示媒体)13、偏光制御液晶パネル(偏光制御液晶媒体)15、及び偏光選択反射板(偏光選択反射手段)212を備えている。バックライト14に対して表面側に液晶表示パネル13が設けられ、裏面側に偏光選択反射板212が設けられている。また、バックライト14と偏光選択反射板212との間に偏光制御液晶パネル15が配置されている。
この構成において、偏光制御液晶パネル15は、駆動電圧の印加の有無により、自身を通過する光の偏光方向を制御することができる。これにより、バックライト14から下方向に照射される光を有効に画面表示に利用することができる。
上記偏光制御液晶パネル15は、第1透明基板9、第1透明電極1002、偏光制御用液晶層10、第2透明電極1004、第2透明基板11、及び駆動回路1006を備えている。第1透明基板9と第2透明基板11との間に偏光制御用液晶層10を挟んだ構成になっており、表面側に第1透明基板9、裏面側に第2透明基板11が設けられている。
また、第1透明基板9及び第2透明基板11は、それぞれ第1透明電極1002及び第2透明電極1004を介して偏光制御用液晶層10と接触している。ここで第1透明電極1002及び第2透明電極1004は、少なくとも液晶表示パネル13の画面表示領域を含むように一面に配置されており、偏光制御用液晶層10は、駆動回路1006によって全面同時に駆動される。
偏光制御用液晶層10は、例えばTN液晶からなる。本実施の形態では、偏光制御用液晶層10は、自身に入射されて通過する直線偏光の光に対して電圧の無印加時に偏光方向を90°回転させる制御を行い、電圧の印加時に偏光方向を回転させない制御を行う。液晶層10は、TN液晶に限定されず、通過する光の偏光状態を制御することができる液晶であればよい。
このような液晶としては、例えば、平行配向液晶が挙げられる。この場合、その位相差をλ/2となるように設定することにより、TN液晶の場合と同様に直線偏光を90°捻ることができる。さらに電圧を印加することにより、液晶分子を基板に対して垂直に配向させると、位相差が消失し、通過する光の偏光軸は変化しない。このように、平行配向液晶を用いても、TN液晶と全く同様の動作を行うことが可能になる。
次に、液晶表示装置101において偏光方向を制御する部材の軸構成を図7に示す。図7において、偏光方向を制御するものとしては、液晶表示パネル13と偏光制御用液晶層10と偏光選択反射板212が挙げられる。液晶表示パネル13の軸構成は上記実施の形態1と同一である。したがって、ここでは、偏光制御用液晶層10及び偏光選択反射板212の軸構成に関して説明する。
ここで、10a及び10bはそれぞれ偏光制御用液晶層10の表面側の液晶分子層と裏面側の液晶分子層を示している。図7に示すように、偏光制御用液晶層10は厚さ方向に90°捩れたTN配向を有している。
さらに、偏光選択反射板212の透過軸は、第1偏光板4の透過軸に直交するように設定されている。そして、反射軸はこの透過軸と直交するように設定されている。ここで、液晶表示装置101の偏光選択反射板212としては、住友3M社製のD−BEFフィルムを用いた。しかし、偏光選択反射板212として、これに限定されず、Al薄膜を1/4波長以下でスリット状に形成するワイヤーグリッド偏光板なども使用可能である。また、偏光選択反射板212の軸構成は、これに限定されず、透過軸を第1偏光板4の透過軸に対して平行に設定することも可能である。
上述のように軸構成を設定すると、偏光制御用液晶層10に電圧を印加しない状態では、偏光選択反射板212を透過した周囲光の直線偏光は、偏光制御用液晶層10によって90°捻られ、第1偏光板4の透過軸と同じになる。そして、ほとんどロス無く第1偏光板4を通過することができるため、強い周囲光下でも十分な視認性を得ることができる。
例えば、直射日光下(60000ルクス)で、通常の透過型液晶表示装置は、バックライトからの光の輝度がパネル表面反射に対して十分でないため、コントラストが10以下に低下してしまう。これに対して、液晶表示装置101は、裏面からの周囲光を利用することにより、コントラストを20以上に確保することができる。したがって、周囲光が十分強い環境下でも非常に美しい画像が表示することができる液晶表示装置を提供することができる。
ただし、この場合、後述するバックライト14から下方向に出射した光は有効に使うことができないため、室内など周囲光が比較的弱い環境では、通常の透過型液晶表示装置より暗くなる。
そこで、偏光制御用液晶層10に十分に大きな電圧を印加すると、偏光制御用液晶層10の液晶分子は基板に対し垂直に配向する。これにより偏光制御用液晶層10を通過する光の偏光状態は変化しなくなる。
このような状態では、偏光選択反射板212を反射した導光板2からの光は、偏光状態を変化することなく偏光制御用液晶層10を透過し第1偏光板4に到達するため、導光板2からの光を最も効率よく利用することが可能となる。また、このときの画面表示が通常の透過型液晶表示装置と全く同等の明るさである事を確認することができた。
ここでは、偏光制御液晶パネル15に対して十分に大きな電圧を印加した場合と、電圧を印加しない場合とを記載したが、その中間の電圧を印加することで、周囲光を利用する状態と導光板裏面出射光を利用する状態を連続的に切り換えることも可能である。
また、液晶表示装置101の最も裏面側に偏光選択反射板212を配置しているため、裏面からは表示を確認することができず、十分にプライバシーを保護することができる。
次に、上記液晶層6及び偏光制御用液晶層10がTN層である場合の表示方法について、図8及び図9を用いて詳細に説明する。ここで偏光選択反射板212は、x方向の直線偏光は反射し、y方向の偏光は透過するように軸構成を設定している。
はじめに、図8を用いて、室内など比較的周囲光が強くない環境で、光源1から発せられる光を最も有効に利用する場合を説明する。
上述したように、光源1より出射した光は、導光板2に形成された散乱加工面3で散乱し、上方向に出射した光(無偏光)と下方向に出射した光(無偏光)とに分かれる。
上方向に出射した光は、液晶表示パネル13に到達し、第1偏光板4を通過する時、x方向の偏光だけが選択的に透過し、液晶層6にて90°捻られ、y方向の偏光となり、第2偏光板8を通過して観察者に到達する。
一方、下方向に出射した光は、偏光制御液晶パネル15を通過し、偏光反射板212に到達する。そして、偏光選択反射板212でx方向の直線偏光のみが反射される。偏光制御液晶パネル15に電圧を印加して偏光制御用液晶層10を垂直配向状態にすると、反射されたx方向の直線偏光は、偏光方向を変えずに偏光制御液晶パネル15を透過し液晶表示パネル13に到達する。そして、この光は第1偏光板4をロス無く透過し、液晶層6及び第2偏光板8を経て観察者に到達する。このように、偏光制御液晶パネル15に電圧を印加することにより、下方向に出射した光を有効に画面表示に利用することができる。
次に、図9を用いて、周囲光が強い環境で、裏面からの周囲光を有効に利用する方法を説明する。この環境下では、偏光制御液晶パネル15に電圧を印加しないことにより、裏面からの周囲光を有効に画面表示に利用することができる。
光源1より出射した光は導光板2に入射し、導光板2に形成された散乱加工面3で散乱し、上下方向に出射される。上方向に出射した光は、画像表示用の第一の液晶表示パネル13に到達し、第1偏光板4を通過する時、x方向の直線偏光だけが選択的に透過し、液晶層6にて90°捻られy方向の直線偏光となり、第2偏光板8を通過して観察者に到達する。
下方向に出射した光は、偏光制御液晶パネル15を通過し、偏光選択反射板212に到達する。偏光制御液晶パネル15に電圧を印加しない状態にすると、偏光制御用液晶層10はTN液晶になる。これにより、偏光選択反射板212で反射したx方向の直線偏光は、偏光制御用液晶層10を通過すると90°捻られy方向の直線偏光になり、第1偏光板4にて吸収される。したがって、この下方向に出射した光は、画面表示に利用されない。
一方、偏光選択反射板212の裏面側から入射した周囲光は、偏光選択反射板212を通過する時、y方向の直線偏光になる。さらに、偏光制御液晶パネル15を通過すると90°捻られ、x方向の直線偏光となる。そして、この光は、液晶表示パネル13の第1偏光板4をロス無く透過し、液晶層6及び第2偏光板8を経て観察者に到達する。このように、偏光制御液晶パネル15に電圧を印加しない状態にすることにより、周囲光が強い環境下でも画面表示が良好な液晶表示装置101を実現することができる。
以上のことから、電圧の印加、無印加により光の偏光方向を制御する偏光制御液晶パネル15を設けることにより、周囲光が比較的強くない環境下でも、光源1からの光を画面表示に有効に利用できる液晶表示装置を実現することができる。
また、偏光選択反射板212の軸構成を、x方向の直線偏光は反射しy方向の偏光は透過するように設定していたが、これに限定されず、y方向の直線偏光は反射し、x方向の偏光は透過するように設定してもよい。
この場合、周囲光が強い環境下で偏光制御用液晶層10の駆動電圧を印加し、周囲光が比較的強くない環境下でこの駆動電圧を印加しないことにより、上記の光源1からの光を有効に利用できる液晶表示装置を実現することができる。
〔実施の形態3〕
本発明にかかるさらに他の実施形態について、図10〜図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1及び実施の形態2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、前記実施の形態1及び実施の形態2で述べた各種の特徴点については、本実施の形態についても組み合わせて適用し得るものとする。
実施の形態1ないし2では、偏光選択反射板として、直線偏光を透過もしくは反射させるものを用いたが、他の偏光選択反射板を用いても同じことが言える。本実施の形態では、偏光選択反射板として、円偏光を透過もしくは反射させるものを用いた場合を説明する。
図10に、液晶表示装置102の断面構成を示す。液晶表示装置102は、液晶表示パネル13、光源1、導光板2、偏光制御液晶パネル315、位相差板16、及び偏光選択反射板312を備えている。光源1及び導光板2でバックライト14を形成している。バックライト14に対して最も裏面側に偏光選択反射板312が設けられている。偏光選択反射板312からバックライト14に向かって順に位相差板16及び偏光制御液晶パネル315が設けられている。
上記偏光制御液晶パネル315は、第1透明基板39、第1透明電極3002、偏光制御用液晶層310、第2透明電極3004、第2透明基板311、及び駆動回路3006を備えている。第1透明基板39と第2透明基板311との間に偏光制御用液晶層310を挟んだ構成になっており、表面側に第1透明基板39、裏面側に第2透明基板311が設けられている。
また、第1透明基板39及び第2透明基板311は、それぞれ第1透明電極3002及び第2透明電極3004を介して偏光制御用液晶層310と接触している。ここで第1透明電極3002及び第2透明電極3004は、少なくとも液晶表示パネル13の画面表示領域を含むように一面に配置されており、偏光制御用液晶層310は、駆動回路3006によって全面同時に駆動される。
上記偏光制御用液晶層310は、リタデーションが約λ/2(△n・d=220nm:ここで△nは液晶の複屈折、dは液晶のセル厚)の平行配向のネマティック液晶層である。
上記位相差板16は、裏面側から入射する円偏光の光を直線偏光にする。
また、偏光選択反射板312は、入射する右円偏光の光を反射させ左円偏光の光を透過させるものである。液晶表示装置103では、偏光選択反射板312として日東電工製PCFフィルムを用いたが、これに限らず、コレステリック液晶を高分子に分散させた、コレステリック液晶ポリマーなども使用可能である。また、左円偏光の光を反射させ右円偏光の光を透過させた偏光選択反射板でもよい。
次に、液晶表示装置102において偏光方向を制御する部材の軸構成を図11に示す。偏光方向を制御するものとして、液晶表示パネル13と偏光制御用液晶層310と位相差板16と偏光選択反射板312が挙げられる。液晶表示パネル13の軸構成は上記実施の形態1及び実施の形態2と同一である。ここでは、偏光制御用液晶層310及び位相差板16並びに偏光選択反射板312の軸構成に関して説明する。
ここで、310a及び310bはそれぞれ偏光制御用液晶層310の表面側の液晶分子層と裏面側の液晶分子層を示している。図11に示すように、偏光制御用液晶層310は厚さ方向に捩れのない平行配向を有しており、その配向方向は第1偏光板4の透過軸に対して45°右捩れの方向となるよう設定されている。
さらに、位相差板16の遅相軸は、偏光制御用液晶層310の配向方向と90°捩れた方向とし、そのリタデーションはλ/4となるように設定した。
偏光選択反射板312の透過回転方向は左回りであるものを配置した。
上述のような構造を用いると、偏光制御用液晶層310に電圧を印加しない状態では、偏光選択反射板312の裏面側から入射した左回りの直線偏光が、位相差板16によって、第1偏光板4の透過軸に垂直な方向の直線偏光となり、更に偏光制御用液晶層310によって、第1偏光板4の透過軸に平行な方向の直線偏光となる。従って、第1偏光板4をほとんどロス無く通過できるため、強い周囲光下でも十分な視認性を得ることができた。
例えば、直射日光下(60000ルクス)で、通常の透過型液晶表示装置はバックライトの輝度が、パネル表面反射に対して十分でないため、コントラストは10以下に低下するのに対して、液晶表示装置103は裏面からの光を利用することでコントラスト50以上が確保でき、非常に美しい画像が表示できることが確認できた。ただし、この場合導光板2から下方向に出射した光は有効に使うことができないため、室内など周囲光が比較的弱い環境では、通常の透過型液晶表示装置より暗くなる。
そこで偏光制御用液晶層310に十分に大きな電圧を印加すると、偏光制御用液晶層310の液晶分子が立ち上がり、自身を通過する光の偏光状態は変化しなくなる。このような状態では導光板2より下向きに出射した光のうち、右回りの円偏光が偏光選択反射板312で反射し、位相差板16を通過することで、第1偏光板4の透過軸と平行な直線偏光となる。ここで、偏光制御用液晶層310には十分な電圧を印加され、垂直配向をしているため、偏光状態を変化させないので、導光板からの光を最も効率よく利用することが可能となる。このような状態では通常の透過型液晶表示装置と全く同等の明るさである事が確認できた。
ここでは、偏光制御用液晶層310に対して十分に大きな電圧を印加した場合と、電圧を印加しない場合を記載したが、その中間の電圧を印加することで、周囲光を利用する状態と導光板2から下向きに出射された光を利用する状態とを連続的に切り換えることも可能である。
また、偏光制御用液晶層310の最も裏面側に偏光選択反射板312を配置しているため、裏面側からは表示を確認することができず、十分にプライバシーを保護することができる。
次に、液晶表示装置103の表示方法について、図12及び図13を用いて詳細に説明する。ここで、偏光選択反射板312は、右円偏光の光を反射させ左円偏光の光を透過させるように設定されている。
はじめに、図12を用いて、室内など周囲光の強くない環境で、バックライト14からの光を最も有効に利用する場合を説明する。
上述のように、バックライト14から上方向に出射した光は、偏光板4を通過する時、x方向の直線偏光だけが選択的に透過し、液晶層6にて90°捻られy方向の直線偏光となり、偏光板8を通過して観察者に到達する。
一方、下方向に出射した光は、偏光制御用液晶層310、位相差板16を経て、偏光反射板12に到達する。下方向に出射した光は偏光選択反射板312に到達したときは、まだランダム偏光のままである。しかしながら、偏光選択反射板312によって、右円偏光は反射し左円偏光は透過する。反射された右円偏光は位相差板16を通過するとき偏光状態が変化し、位相差板16をλ/4条件に設定すると、位相差板16の遅相軸に対して右45°方向の直線偏光となる。ここでは簡単のためx方向の直線偏光となることとする。
さらに、偏光制御用液晶層310に電圧を印加して垂直配向状態にすると、このx方向の直線偏光は、偏光状態を変えずに液晶表示パネル13に到達する。そして、この光は、第1偏光板4をロス無く透過し、液晶層6及び第2偏光板8を経て観察者に到達する。
次に、周囲光が強い環境で、液晶表示装置103の裏面側からの入射光を有効に利用する方法を、図13を用いて説明する。
光源1から発せられた光のうち、導光板2の散乱加工面3により上方向に出射した光は、図12と同様に液晶表示パネル13を経て観察者に到達する。
一方、下方向に出射した光は、偏光制御用液晶層310及び位相差板16を通過し、偏光選択反射板312に到達する。偏光選択反射板312で反射した右円偏光の光は、位相差板16によりx方向の直線偏光になる。
さらに、偏光制御用液晶層310に電圧を印加せずに平行配向状態にする。ここで偏光制御用液晶層310は平行配向状態で位相差板16の遅相軸と垂直な方向に遅相軸を有しており、その位相差はλ/2であるように設定されている。このような構成により、x方向の直線偏光は偏光制御用液晶層310を通過することで90°捩れ、y方向の直線偏光となる。従って、上記のx方向の直線偏光は、第1偏光板4に到達すると吸収されるため、有効に利用することはできない。
しかしながら、裏面から入射した周囲光は、偏光選択反射板312を透過するとき、左円偏光となり、更に位相差板16、偏光制御用液晶層310を通過するとx方向の直線偏光となり、更に液晶表示パネル13に到達し、ロス無く利用することが可能となる。
このように液晶表示パネル13には第1偏光板4が配置されており、この場合はx方向の直線偏光だけを利用するため、裏面側に配置した偏光反射板12が、左円偏光だけを透過してもロスは発生せず、全く有効に光を利用することが可能となる。
この時、図12,5おいて、偏光制御用液晶層310の平行配向液晶に代わって、TN液晶を配置しても平行配向液晶と同様に偏光軸を90°捻ることが可能となる。更に偏光制御用液晶層310に電圧を印加する事によって、液晶分子を垂直配向させると、通過する光の偏光方向は変化しない。この様にTN液晶を用いても、平行配向液晶と全く同等の動作を行うことが可能となる。
〔実施の形態4〕
本発明にかかるさらに他の実施形態について、図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、前記実施の形態で述べた各種の特徴点については、本実施の形態についても組み合わせて適用し得るものとする。
図14は、本実施の形態における液晶表示装置104の構成を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置104は、前面側から背面側に向かって、液晶表示パネル(液晶表示媒体)13、バックライト14、図示しない前記の偏光選択反射板(偏光選択反射手段)12、およびプリズムアレイ(光屈折手段)17を備えている。プリズムアレイ17は、液晶表示装置104の最背面側の位置に設けられている。
液晶表示装置104は、図2(b)に示したケース(筐体)613にて外面が覆われている。このケース613における背面側の採光窓616は、液晶表示パネル13の全背面からの採光が可能な大きさに形成されている。前記プリズムアレイ17は例えばケース613の採光窓616に嵌め込まれていてもよい。
液晶表示装置104は、プリズムアレイ17が設けられている構成およびこれによる作用以外は、実施の形態1において示した液晶表示装置100と同一の構成および作用を有するである。
ここで、液晶表示装置104を屋外のような周囲が明るい環境にて使用する場合、液晶表示装置104の背面の採光窓616から採光すると液晶表示装置104の輝度が向上し、視認性が向上する。しかしながら、液晶表示パネル13は、表示面が上を向くように傾けた状態にて使用されるのが通常である。したがって、この場合には、採光方位が背面下方となってしまい(液晶表示装置104の背面に対して垂直な入射方向が斜め上向きとなってしまい)、大きな採光効果が得られない。そこで、液晶表示装置104では、より光量の多い液晶表示装置104の背面上方から採光するために、上記のようにプリズムアレイ17を設けている。即ち、プリズムアレイ17は、液晶表示装置104の背面に対して斜め上方から入射した光を液晶表示装置104の前面方向に屈折させる機能を有する。
上記のプリズムアレイ17は、例えば光屈折フィルムからなり、複数のプリズム17aが並設された構造を有する透明基材である。各プリズム17aは、液晶表示パネル13の表示面に対して傾いた傾斜面17a1を有し、この面の境界前後で屈折率が異なる。
本実施の形態において、プリズムアレイ17は、屈折率が1.57の透明基材にて形成され、各プリズム17aは、空気界面に対して22度傾斜した傾斜面17a1を有する。このプリズムアレイ17は、プリズム17aの形成面である凹凸面が液晶表示パネル13側を向き、かつ傾斜面17a1が液晶表示装置104の上方を向く状態にて配置されている。
上記の構成において、液晶表示装置104の背面の斜め上方から液晶表示装置104の背面に入射した光は、直進するのではなく、観察者が液晶表示装置104を観視する方向(液晶表示装置104の前面方向)にプリズムアレイ17によって屈折される。
実際に様々な環境にて照度を測定した結果を表1に示す。測定環境は屋外(直射日光下)、屋外(日陰)、室内、室内(廊下)、室内(窓際)であり、それぞれの環境下において測定器を上方、横方向、下方に向けてそれぞれ測定した。その結果、各所の照度はいずれの場所であっても、測定器を上方に向けて測定した場合の方が下方に向けて測定した場合よりも3〜6倍の照度があった。この結果から、下方からよりも上方から採光した場合の方が大きな採光効果が得られることが容易に理解できる。
また、プリズムアレイ17を配置した構成(液晶表示装置104)とそうでない構成(液晶表示装置104からプリズムアレイ17を除いた構成)とにおいて、表示装置の正面輝度を測定したところ、特に屋外や窓際において採光効果の差が顕著に現れ、プリズムアレイ17を配置した場合の方が輝度が高く視認性の高い表示が得られた。
本実施の形態においては、光屈折手段として傾斜角22度、屈折率1.57のプリズムアレイを用いた。しかしながら、本質的には表示装置背面の光量が大きい方位からの光を観察者の方位へ屈折する作用を有する部材であれば問題無く本発明に適用でき、基材の材質や形状は適宜選択される。例えば3M社製のBEFと呼ばれる、図14に示したものとは異なる形状のプリズムアレイや透過ホログラムディフューザーなども使用できる。
本発明にかかる液晶表示装置は、一対をなす第1および第2の偏光板の間に液晶層が設けられている液晶表示媒体と、上記液晶表示媒体に対向して第1の偏光板側の位置に設けられ、上記液晶表示媒体側の面とは反対側の面から入射する光のうち、第1の偏光状態を有する成分の光を透過する一方、第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する成分の光を反射する偏光選択反射手段とを備えるとしてもよい。
上記の構成によれば、例えば、液晶表示媒体における第1の偏光板は第1の偏光状態を有する成分の光を透過させ、第2の偏光板は第2の偏光状態を有する成分の光を透過させる。
偏光選択反射手段に対して液晶表示媒体側の面とは反対側の面から入射する光(周囲光)のうち、第1の偏光状態を有する成分の光は偏光選択反射手段を透過する一方、第2の偏光状態を有する成分の光は偏光選択反射手段にて反射される。
偏光選択反射手段を透過した第1の偏光状態を有する成分の光は、液晶表示媒体の第1の偏光板を透過して液晶層に入射し、この液晶層を経て第2の偏光状態を有する成分の光となり、第2の偏光板を透過して観察者に到達する。これにより、液晶表示媒体側の面とは反対側の面から入射する光(周囲光)を有効に利用することができ、周囲光が強い環境下でも良好な画面表示が可能となる。
また、上記のように、周囲光のうち、第2の偏光状態を有する成分の光は偏光選択反射手段にて反射されるので、液晶表示装置の裏面側からは表示画面を見ることができなくなる。したがって、使用者のプライバシーを保護することができる。
本発明の液晶表示装置は、一対をなす第1および第2の偏光板の間に液晶層が設けられている液晶表示媒体と、上記液晶表示媒体に対向して第1の偏光板側の位置に設けられ、上記液晶表示媒体側の面とは反対側の面から入射する光のうち、第1の偏光状態を有する成分の光を透過する一方、第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する成分の光を反射する偏光選択反射手段と、上記偏光選択反射手段と上記液晶表示媒体との間に設けられ、光源からの光を液晶表示媒体に照射する光照射手段と、上記偏光選択反射手段と上記光照射手段との間に設けられ、偏光選択反射手段から液晶表示媒体へ向かう光の偏光状態を制御する偏光制御手段とを備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、例えば、液晶表示媒体における第1の偏光板は第1の偏光状態を有する成分の光を透過させ、第2の偏光板は第2の偏光状態を有する成分の光を透過させる。
したがって、光照射手段から液晶表示媒体側へ出射する光源からの光うち、第1の偏光状態の成分を有する光は第1の偏光板を透過し、液晶層に入射する。このとき、第1の偏光板を通過した第1の偏光状態を有する成分の光が第2の偏光状態を有する光の成分となるように、液晶層を動作させれば、その光は観察者に到達する。
一方、光照射手段から偏光選択反射手段側へ出射した光のうち、第2の偏光状態の成分を有する光は、偏光選択反射手段にて反射され、液晶表示媒体へ向かう。この場合、偏光制御手段は、液晶表示媒体へ向かう光の偏光状態を制御する。このとき、偏光制御手段は、例えば液晶層における液晶分子の配向状態により、偏光選択反射手段にて反射された第2の偏光状態を有する成分の光を第1の偏光状態を有する成分の光に変化させる。これにより、偏光制御手段を経た光は、液晶表示媒体の第1の偏光板を透過し、第2の偏光板を経て観察者に到達する。したがって、光照射手段から出射した光を有効に利用することができる。これにより、周囲光が弱い環境下においても明るい画面表示を得ることができる。
さらに、偏光選択反射手段の液晶表示媒体側の面とは反対側の面から入射した光(周囲光)のうち、第1の偏光状態を有する成分の光は偏光選択反射手段を透過し、第2の偏光状態を有する成分の光は偏光選択反射手段にて反射される。
このとき、偏光制御手段は例えば液晶層における液晶分子の配向状態により第1の偏光状態を有する成分の光の偏光状態を変えないようにすれば、偏光選択反射手段を透過した光は、偏光制御手段を第1の偏光状態で透過し、さらに液晶表示媒体の第1の偏光板を透過し、第2の偏光板を経て観察者に到達する。
すなわち、偏光選択反射手段の液晶表示媒体側の面とは反対側の面から入射する光が強い環境下でも、上記偏光制御液晶媒体による偏光制御により良好な画面表示を行う液晶表示装置を実現することができる。
また、上記のように、周囲光のうち、第2の偏光状態を有する成分の光は偏光選択反射手段にて反射されるので、液晶表示装置の裏面側からは表示画面を見ることができなくなる。したがって、使用者のプライバシーを保護することができる。
この結果、周囲光が強い環境下でも良好な画面表示を可能にしながら、周囲光が弱い環境下においても明るい画面表示を得ることができるとともに、周囲光が弱い環境下においても明るい画面表示を得ることができる。
上記の液晶表示装置において、上記偏光制御手段は、液晶層における液晶分子の配向状態により光の偏光状態を制御する偏光制御液晶媒体である構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記偏光制御手段として偏光制御液晶媒体を用いることにより、上記の光照射手段から偏光選択反射手段側へ出射した光を有効に画面表示に利用することができる。
上記の液晶表示装置において、上記偏光制御液晶媒体の液晶層はツイストネマティック液晶層である構成としてもよい。
上記の構成によれば、ツイストネマティック液晶層である偏光制御液晶媒体は、この液晶層における液晶分子の配向状態により、直線偏光の向きを変えることができる。これにより、周囲光を有効に利用することができると共に裏面側から表示画面を見ることができない液晶表示装置を実現することができる。
上記の液晶表示装置において、上記偏光制御液晶媒体の液晶層は平行配向のネマティック液晶層である構成としてもよい。
上記の構成によれば、平行配向のネマティック液晶層である偏光制御液晶媒体を、上記直線偏光の方向が90°捻れるように設定することにより、上記ネマティック液晶層のときと同様に、直線偏光の方向を制御することが可能になる。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。