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JP4725056B2 - 発光素子材料および発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電荷輸送材として有用なホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む発光素子材料、およびこれを用いた発光素子に関するものである。
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する際に発光するという有機薄膜発光素子の研究が、近年活発に行われている。この発光素子は、薄型でかつ低駆動電圧下での高輝度発光と、発光材料を選ぶことによる多色発光が特徴であり、注目を集めている。
この研究は、コダック社のC.W.Tangらによって有機薄膜発光素子が高輝度に発光することが示されて以来、多くの研究機関が検討を行っている。コダック社の研究グループが提示した有機薄膜発光素子の代表的な構成は、ITOガラス基板上に正孔輸送性のジアミン化合物、発光層であるトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)、そして陰極としてMg:Agを順次設けたものであり、10V程度の駆動電圧で1,000cd/mの緑色発光が可能であった(非特許文献1参照)。
また、有機薄膜発光素子は、発光層に種々の発光材料を用いることにより、多様な発光色を得ることが可能であることから、ディスプレイなどへの実用化研究が盛んである。三原色の発光材料の中では緑色発光材料の研究が最も進んでおり、現在は赤色発光材料と青色発光材料において、特性向上を目指して鋭意研究がなされている。
有機薄膜発光素子の構成としては、上記の陽極/正孔輸送層/発光層/陰極の他に、電子輸送層を設けたものが知られている。ここで、/は積層を表す。正孔輸送層は陽極より注入された正孔を発光層に輸送する機能を有し、電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に輸送する機能を有する。発光層と両極の間にこれらの層を設けることにより、有機薄膜発光素子の発光効率、耐久性が向上することが知られている。これらの層を用いた有機薄膜発光素子の例として、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極や陽極/発光層/電子輸送層/陰極などの層構成を持つ素子が挙げられ、各層に適した材料の研究が正孔輸送材料を中心に行われている。
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、これまでキノリノール、オキサジアゾール、キノキサリンといった電子受容性窒素を環内に有する複素環を中心に開発が進められてきた。例えば、正孔阻止能が高い電子輸送材料として、フェナントロリン誘導体を用いた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。一方では、ホスフィンオキサイド化合物を発光材料や電子輸送材料として用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、電子輸送層の構成として、配位部位を有する有機化合物にアルカリ金属をドーピングする方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
"Applied Physics Letters",(米国),1987年,51巻,12号p.913−915 特開平5−331459号公報(第1−2頁) 特開2002−63989号公報(第1−2頁) 特開2002−352961号公報(第1−2頁)
有機薄膜発光素子をフラットパネル・ディスプレイやバックライトなどの光源に応用するためには、低消費電力化が課題であった。しかし、従来の発光素子では駆動電圧が高く、消費電力が十分には低減されていない。そこで本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、駆動電圧が低く、消費電力が低減された発光素子を可能とする発光素子材料、およびこれを用いた発光素子を提供することを目的とするものである。
本発明は、陽極と陰極の間に少なくとも発光層と電子輸送層が存在し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、該電子輸送層がホスフィンオキサイド化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含み、該ホスフィンオキサイド化合物と該アルカリ金属またはアルカリ土類金属が該電子輸送層において全体的に混合されており、該ホスフィンオキサイド化合物と該アルカリ金属またはアルカリ土類金属の組成比が、ホスフィンオキサイド化合物(分子数):アルカリ金属またはアルカリ土類金属(原子数)=1:2〜2:1であり、該ホスフィンオキサイド化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする発光素子である。
Figure 0004725056
(ここでR 、R およびAr は同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基を表す。)
また、本発明は、陽極と陰極の間に少なくとも発光層と電子輸送層が存在し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、上記発光素子材料を含有することを特徴とする発光素子である。
本発明は、発光素子などに利用可能な電子輸送性に優れた発光素子材料を提供できる。さらに本発明によれば、上記発光素子材料を用いることによって、駆動電圧が低く、消費電力が低減された発光素子が得られる。従って、本発明の発光素子は表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
まず、本発明の発光素子材料について詳細に説明する。本発明の発光素子材料は、ホスフィンオキサイドと、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを特徴とする。ここで、本発明において発光素子材料とは、自ら発光するもの、その発光を助けるもののいずれかに該当し、発光に関与している化合物を指すものであり、具体的には、後に説明する正孔輸送材料、発光材料および電子輸送材料などが該当する。
本発明におけるホスフィンオキサイド化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 0004725056
ここでR 、R およびAr同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
これらの置換基のうち、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、縮合多環アリール基とは、上記アリール基の中でも特に2つ以上の芳香環が縮合したものを指し、例えば、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペンタセン残基などが挙げられ、これらは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を環内に有する芳香族基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
また、縮合多環ヘテロアリール基とは、上記ヘテロアリール基の中でも特に2つ以上の芳香環が縮合したものを指し、例えば、キノリニル基、フェナントロリン残基、ベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、カルバゾリル基などが挙げられ、これらは無置換でも置換されていてもかまわない
発明の一般式(1)で表されるホスフィンオキサイド化合物は、RおよびRがアリール基またはヘテロアリール基であることが、薄膜形成性の観点から好ましい。また、R、RおよびArのうち少なくとも一つが縮合多環アリール基または縮合多環ヘテロアリール基を含むことが、電荷輸送能の観点からさらに好ましい。RまたはRが縮合多環アリール基または縮合多環ヘテロアリール基である場合、これらはリン原子に直接結合しても他の置換基を介して結合してもどちらでもよい。縮合多環アリール基および縮合多環ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常それぞれ、6〜40および2〜30の範囲である。
上記のようなホスフィンオキサイド化合物として、具体的には以下の例が挙げられる。
Figure 0004725056
Figure 0004725056
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Figure 0004725056
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一般式(1)で表されるホスフィンオキサイド化合物の合成には、公知の方法を使用することができる。例えば、ハロゲン化ホスフィンオキサイドとグリニヤール試薬または有機リチウム試薬による置換反応、2置換ホスフィンオキサイドとハロゲン化アリールによるパラジウム触媒下でのカップリング反応、リン化合物の酸化反応などの方法により合成することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の発光素子材料に含まれるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムが好適に用いられる。
本発明の発光素子材料は、前述したホスフィンオキサイド化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むものであり、その構成例としては、1)ホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属が全体的に混合されたもの、2)ホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属が部分的に混合されたもの、3)ホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属が積層されたもの、4)上記1)〜3)を適宜組み合わせたものなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明の発光素子材料は、ホスフィンオキサイド化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むものであり、通常、薄膜の状態で存在する。この発光素子材料からなる薄膜の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されるものではないが、通常は、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が用いられる。ホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の組成比は、特に限定されるものではないが、ホスフィンオキサイド化合物(分子数)に対するアルカリ金属またはアルカリ土類金属(原子数)の割合(%)が、1%以上90%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以上70%以下である。ここで、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を複数種用いる場合には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(原子数)とは、それらの総原子数を意味する。ホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属が部分的あるいは全体的に混合された薄膜は、共蒸着法によって形成することができるが、ホスフィンオキサイド化合物と金属をあらかじめ混合してから蒸着してもよい。
次に、本発明における発光素子の実施形態について例をあげて詳細に説明する。本発明の発光素子は、少なくとも陽極と陰極、およびそれら陽極と陰極の間に介在する発光素子材料からなる有機層とで構成されている。
本発明で用いられる陽極は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料であれば特に限定されないが、比較的仕事関数の大きい材料を用いるのが好ましく、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性ポリマなどが挙げられる。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよく、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、100Ω/□以下の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶことができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
また、発光素子の機械的強度を保つために、発光素子を基板上に形成することが好ましい。基板としては、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板が好適に用いられる。ガラス基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することもできる。さらに、陽極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えば、プラスチック基板上に陽極を形成してもよい。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法および化学反応法など特に制限を受けるものではない。
本発明で用いられる陰極に用いられる材料としては、電子を有機層に効率良く注入できる物質であれば特に限定されないが、一般に白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの合金などが挙げられる。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多く、例えば、有機層に微量のリチウムやマグネシウム(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)をドーピングして安定性の高い電極を使用する方法が好ましい例として挙げることができる。また、フッ化リチウムのような無機塩の使用も可能である。更に、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法は、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
本発明の発光素子を構成する有機層は、発光素子材料からなる少なくとも発光層と電子輸送層により形成される。有機層の構成例としては、1)正孔輸送層/発光層/電子輸送層および、2)発光層/電子輸送層などの積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。正孔輸送層および電子輸送層が複数層からなる場合、電極に接する側の層をそれぞれ正孔注入層および電子注入層と呼ぶことがあるが、以下の説明では正孔注入材料は正孔輸送材料に、電子注入材料は電子輸送材料にそれぞれ含まれる。
本発明のホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む発光素子材料は、発光材料として用いてもよいが、電子輸送能が高いことから、電子輸送材料として好適に用いられる。
正孔輸送層は、正孔輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。正孔輸送材料としては、例えば、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
本発明において、発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。すなわち、本発明の発光素子では、各発光層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーパント材料は積層されていても、分散されていても、いずれであってもよい。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して20重量%以下で用いることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
また、本発明の発光材料は蛍光性であってもリン光性であってもどちらでもかまわない。なお、本発明における蛍光発光とは、スピン多重度が同じ状態間の遷移による発光を指し、リン光発光とはスピン多重度の異なる状態間の遷移による発光を指す。例えば、一重項励起状態から基底状態(一般に、有機化合物の基底状態は一重項である)への遷移に伴う発光は蛍光発光であり、三重項励起状態から基底状態への遷移に伴う発光はリン光発光である。
本発明で用いられるドーパント材料としては、特に限定されるものではなく、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。
具体的には、これに限定されるものではないが、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテン、イミダゾピリジンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロメテン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などが挙げられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロメテン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体など挙げられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。さらに、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)に代表されるイリジウムや白金を中心金属としたリン光性金属錯体も好適な例として挙げられる。
本発明で用いられるホスト材料としては、特に限定されるものではないが、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピロロピロール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体が好適に用いられる。
また、リン光発光を示す発光層のホスト材料としては、特に限定されるものではないが、4,4’−ビス(カルバゾリル−N−イル)ビフェニルやN,N’−ジフェニル−3,3’−ビスカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、インドール誘導体、トリアゾール、オキサジアゾール、イミダゾールなどのアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ナフチリジン誘導体、ビピリジンおよびターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体などが挙げられる。
本発明において、電子輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが望ましい。そのため電子輸送材料は電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが要求される。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本発明における電子輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。
本発明のホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む発光素子材料は、高い電子輸送能を有することから、電子輸送材料として好適に用いることができる。
電子輸送材料は、ホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる発光素子材料一種のみに限る必要はなく、複数の発光素子材料を混合または積層して用いたり、既知の電子輸送材料の一種類以上をホスフィンオキサイド化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる発光素子材料と混合して用いてもよい。既知の電子輸送材料としては特に限定されるものではないが、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送する、あるいは陽極からの正孔の移動を効率よく阻止できることが望ましく、具体的には8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタレン、クマリン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体などがあげられる。
電子輸送層のイオン化ポテンシャルは、特に限定されるものではないが、好ましくは5.0eV以上8.0eV以下であり、より好ましくは5.4eV以上7.5eV以下である。
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されるものではないが、通常は、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が素子特性の観点から好ましい。
層の厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1〜1,000nmの間から選ばれる。発光層、電子輸送層、正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる発光素子である。ここに電気エネルギーとは主に直流電流を指すが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるようにするべきである。
本発明の発光素子は、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイとして好適に用いられる。
本発明におけるマトリクス方式とは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。画素の配置方法としては、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。また、マトリクスの駆動方法としては線順次駆動法やアクティブマトリクス法などが挙げられるがどちらでもよい。線順次駆動法の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリクス法の方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
本発明におけるセグメント方式(タイプ)とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。そして、前記マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
本発明の発光素子は、各種機器などのバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本発明における発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量であることが特徴となる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、下記の各実施例にある化合物の番号は[化2]〜[化9]に記載した化合物の番号を指すものである。また、下記実施例中の電子輸送層における混合比とは、有機化合物の分子数とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の原子数の比を表すものである。
(実施例1)
化合物〔2〕とセシウムを含む発光素子材料を用いた発光素子を次のように作製した。ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板をアセトン、“セミコクリン(登録商標)56”(フルウチ化学(株)製)で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−5Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔輸送材料として、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルを50nm蒸着した。次に、発光材料として、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)を30nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料として、化合物〔2〕とセシウムの混合比が2:1になるように20nmの厚さに蒸着した。次に、アルミニウムを70nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の発光素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子を100mA/cmで直流駆動したところ、発光効率2.3lm/Wの高効率緑色発光が得られ、駆動電圧は3.9Vと低かった。
(比較例1)
電子輸送材料として、1,1’−ジピレニルとセシウムの混合比が2:1になるように蒸着した以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を100mA/cmで直流駆動したところ、発光効率1.5lm/Wの緑色発光が得られたが、駆動電圧は6.0Vと高かった。
(実施例2)
電子輸送材料として、化合物〔45〕とセシウムの混合比が1:1になるように蒸着した以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を100mA/cmで直流駆動したところ、発光効率2.4lm/Wの高効率緑色発光が得られ、駆動電圧は4.3Vと低かった。
(比較例2)
電子輸送材料として、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンとセシウムの混合比が1:1になるように蒸着した以外は、実施例2と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を100mA/cmで直流駆動したところ、発光効率1.6lm/Wの緑色発光が得られたが、駆動電圧は5.9Vと高かった。
(実施例3)
電子輸送材料として、化合物〔48〕とセシウムの混合比が1:2になるように蒸着した以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を100mA/cmで直流駆動したところ、発光効率2.4lm/Wの高効率緑色発光が得られ、駆動電圧は4.2Vと低かった。
(比較例3)
電子輸送材料として、化合物〔48〕のみを用いたこと以外は、実施例3と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を100mA/cmで直流駆動したところ、発光効率1.4lm/Wの緑色発光が得られたが、駆動電圧は6.5Vと高かった。
(実施例4)
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断し、フォトリソグラフィ法によって300μmピッチ(残り幅270μm)×32本のストライプ状にパターン加工した。ITOストライプの長辺方向片側は外部との電気的接続を容易にするために1.27mmピッチ(開口部幅800μm)まで広げてある。得られた基板をアセトン、“セミコクリン(登録商標)56”(フルウチ化学(株)製)で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔輸送材料として4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルを150nm蒸着した。次に、発光材料として、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)を30nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料として、化合物〔2〕とセシウムの混合比が2:1になるように20nmの厚さに蒸着した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。次に、厚さ50μmのコバール板にウエットエッチングによって16本の250μmの開口部(残り幅50μm、300μmピッチに相当)を設けたマスクを、真空中でITOストライプに直交するようにマスク交換し、マスクとITO基板が密着するように裏面から磁石で固定した。そしてアルミニウムを200nm蒸着して32×16ドットマトリクス素子を作製した。本素子をマトリクス駆動させたところ、クロストークなく文字表示できた。

Claims (2)

  1. 陽極と陰極の間に少なくとも発光層と電子輸送層が存在し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、該電子輸送層がホスフィンオキサイド化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含み、該ホスフィンオキサイド化合物と該アルカリ金属またはアルカリ土類金属が該電子輸送層において全体的に混合されており、該ホスフィンオキサイド化合物と該アルカリ金属またはアルカリ土類金属の組成比が、ホスフィンオキサイド化合物(分子数):アルカリ金属またはアルカリ土類金属(原子数)=1:2〜2:1であり、該ホスフィンオキサイド化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする発光素子。
    Figure 0004725056
    (ここでR、RおよびArは同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基を表す。)
  2. 、RおよびArのうち少なくとも一つが縮合多環アリール基または縮合多環ヘテロアリール基を含むことを特徴とする請求項1記載の発光素子。
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