JP4722962B2 - ブラシレスモータのロータ位置推定装置、ブラシレスモータの起動制御システム、および、ブラシレスモータの起動制御方法 - Google Patents
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Description
すなわち、請求項5に記載のブラシレスモータの起動制御システムは、ブラシレスモータの起動制御を実行するものである。
本発明のブラシレスモータの起動制御システムは、電流検出手段、電圧印加手段、電圧印加制御手段、電源電圧検出手段、電流補正手段、および、ロータ位置推定手段、を備えている。ただし、これらの手段は、上述したロータ位置推定装置が備える各手段と同様のものであるため、説明を割愛する。
手順(1)では、コイルに電圧を印加するための電源の電圧を検出する。
手順(2)では、ロータの回転方向に対して垂直な複数の方向のうち予め定められた方向に対し磁束を発生させるようコイルに対し電圧を印加する。
手順(3)では、手順(1)で検出される電源電圧を一定時間印加したときコイルに流れる電流である巻線電流を検出する。
手順(4)では、電圧印加時間が経過すると、電圧の印加を終了する。
手順(5)では、手順(1)で検出される電源電圧と予め定められる基準電圧との比率に基づき、巻線電流を補正する。
手順(6)では、予め定められた方向のすべてに対し、上記手順(1)〜(5)を繰り返す。
手順(7)では、手順(5)にて補正された巻線電流を比較することによって、予め定められた方向のうち巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向を特定し、当該特定される方向に基づき、ロータの停止位置を推定する。
手順(8)では、推定されるロータの停止位置に基づき、複数の方向の中からロータを転流させるための磁束の方向を決定し、当該方向に磁束を発生させるよう電圧印加手段を制御して、ブラシレスモータを起動する。
また、請求項11に示すように、手順(7)では、補正後の巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向に基づき、ロータの回転方向の所定角度範囲に前記ロータの磁極があるものとして、ロータの停止位置を推定することとしてもよい。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のブラシレスモータの起動制御システム1の概略構成を示すブロック図である。なお、本実施形態のブラシレスモータの起動制御システム1は、車載用の燃料ポンプの駆動に用いられるものである。
モータ10は、いわゆるブラシレスモータであり、ステータおよび、ステータに対して回転するロータ14(図4(a)参照)を有する(ステータは不図示)。図4(a)中のロータ14は、棒状となっているが、実際は円板状の部材であり、磁極を有するように、その表面に永久磁石が貼り付けられている。図4(a)では、N極およびS極を有するものとして模式的にロータ14を示している。このロータ14を内部に収容し、回転可能に支持するのが、ステータである。図4(a)に示したロータ14は、点Oを回転中心として、時計回りに回転するものとする。
制御部40は、ドライバ回路50を経由して、インバータ70を制御する。また、制御部40には、電流検出部30および電圧検出部80からの測定値が入力されるようになっている。
モータ10がステータおよびロータを有することは既に述べたが、このステータは径内方向へ所定角度毎に突出する突出部を有しており、この突出部に、三相コイル11、12、13が巻回されている。具体的には、U相コイル11、V相コイル12、W相コイル13が巻回されている。そして、三相コイル11、12、13への電圧印加の態様を切り換えるのが、上述したインバータ70である。
3つのFET71〜73のドレインが、電源電圧に接続されている。また、これらのFET71〜73のソースがそれぞれ、残り3つのFET74〜76のドレインに接続されている。さらにまた、これらのFET74〜76のソースが後述する図示しない電流検出部30を経由して接地されている。また、6つのFET71〜76のゲートは、ドライバ回路50の6つの出力端子に接続されている。かかる構成により、制御部40は、ドライバ回路50を経由して、6つのFET71〜76のON/OFFを個別に切り換え可能となっている。
図3は、制御部40にて実行される起動処理を示すフローチャートである。最初のステップS100において(以下、「ステップ」を省略し、単に記号Sで示す)、電源電圧を検出する。この処理は、電圧検出部80からの測定結果を取得するものである(図2参照)。続く、S101にて、電圧を印加する。この処理は、モータ10のステータに巻回された三相コイル11、12、13に電圧を印加するものである。
図4(a)は、三相コイル11、12、13への電圧印加によって発生する磁束の方向を示す説明図である。電圧印加によって発生させられる磁束の方向は、時計回りに60度毎に設定されている。図4(a)では、磁束の方向を、矢印V1、V2、V3、V4、V5、V6で示した。これらの磁束は、FET71〜76のON/OFFの組み合わせで電圧印加の態様を変えることにより、発生させられる。例えば、図4(a)に示した矢印V1で示す方向の磁束を発生させる場合、図4(b)に示すように、FET(Su+)71をONにし、FET(Sv+)72をOFFにし、FET(Sw+)73をOFFにし、FET(Su−)74をOFFにし、FET(Sv−)75をONにし、FET(Sw−)76をONにする。この場合、U相コイル11の一端部15に電源電圧が印加されて、V相コイル12およびW相コイル13の一端部16、17が低電位となる。したがって、U相コイル11→他端部18→V相コイル12およびW相コイル13というように電流が流れる。これにより、矢印V1で示す方向の磁束が発生する。矢印V2で示す方向の磁束を発生させる場合、図4(b)に示すように、FET71〜76をそれぞれ、ON、ON、OFF、OFF、OFF、ONとする。同様に、矢印V3で示す方向の磁束は、FET71〜76をそれぞれOFF、ON、OFF、ON、OFF、ONとすることで発生させる。矢印V4で示す方向の磁束はFET71〜76をそれぞれOFF、ON、ON、ON、OFF、OFFとすることで発生させ、矢印V5で示す方向の磁束はFET71〜76をそれぞれOFF、OFF、ON、ON、ON、OFFとすることで発生させ、矢印V6で示す方向の磁束はFET71〜76をそれぞれON、OFF、ON、OFF、ON、OFFとすることで発生させる。なお、以下では、電圧印加によって発生させられる磁束の方向を「電圧印加方向」という。特に矢印V1〜V6の方向を示す場合、電圧印加方向V1、電圧印加方向V2、・・・、電圧印加方向V6ということにする。
続くS102では、電流応答検出を行う。この処理は、電流検出部30からの測定結果を取得するものである(図2参照)。
S104では、電流の検出を終了する。したがって、S103にて肯定判断される直前にS102において検出された電流検出値が、採用されることになる。このとき、電圧印加時間において電流は右上がりに増加していくため、S104の処理が終了した時点でS102で検出されている電流は、ピーク振幅値となる。また、S104では、電圧の印加を終了する。この処理は、FET71〜76のすべてをOFFにするものであり、ドライバ回路50を経由してFET71〜76の各ゲートを所定の電位にすることで実現される。
したがって、それぞれの方向におけるピークの電流検出値をIx(xは1〜6の整数、以下同様)とし、図5中の時刻T1、T2、T3、T4、T5、T6にて検出される電源電圧をVinxとすれば、補正後の電流検出値Ix’は、
Ix’=Ix・(Vs/Vinx)
として表される。
本実施形態では、最初に電源電圧を検出し(図3中のS100)、電圧を一定時間だけ印加して、電流応答を検出する(S101〜S104)。そして、S100で検出された電源電圧と基準電圧との比率を電流検出値に乗じ、電流検出値を補正する(S105)。具体的には、図6(b)に記号A〜Fで示したように、各方向においてピークの電流検出値が上方または下方へ補正されることになる。そして、電流検出値が最大となる電圧印加方向が探索され(S107)、ロータ14の停止位置が推定される。このような方法によれば、電源電圧が変動したとしても、電流検出値が基準電圧に基づいて補正されるため、ロータ位置を精度よく推定することが可能となる。その結果、モータ10の適切な起動が実現される。
さらにまた、本実施形態では、電圧印加時間が経過したと判断された際(S103:YES)、S102にて検出されている電流検出値、すなわちピーク振幅値が補正される(S105)。これにより、検出される巻線電流をそのたびに補正する構成と比較して、処理に無駄がなくなる。
第2実施形態は、上記第1実施形態とは、制御部40にて実行される起動処理が異なっている。そこで、起動処理および、その特徴部分について説明し、上記第1実施形態と同様の構成についての説明は割愛する。なお、上記第1実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付して示す。
続くS201では、電圧を印加する。この処理は、モータ10のステータに巻回された三相コイル11、12、13に電圧を印加するものである。ここでは、最初に図4(a)中の電圧印加方向V1の電圧が印加される。また、電圧印加時点からカウントを開始する。このカウントは、制御部40の動作クロックに基づいて行う。
次のS203では、電流閾値に到達したか否かを判断する。電流閾値は、予め定められるものであり、三相コイル11、12、13が磁気飽和する範囲で設定される。ここで電流閾値に到達したと判断された場合(S203:YES)、S205へ移行する。一方、電流閾値に到達していないと判断された場合(S203:NO)、S204へ移行する。
電流閾値に到達したと判断された場合(S203:YES)または最大電圧印加時間が経過したと判断された場合(S204:YES)に移行するS205では、カウントを終了するとともに電圧の印加を終了する。電圧の印加の終了は、ドライバ回路50を経由してFET71〜76の各ゲートを所定の電位にすることで実現される。
続くS207では、電圧印加回数が「6」であるか否かを判断する。この処理は、電圧印加方向V1〜V6のすべての方向に対し電圧を印加したか否かを判断するものである。ここで電圧印加回数=「6」である場合(S207:YES)、S208へ移行する。一方、電圧印加回数≠「6」である場合(S207:NO)、S200からの処理を繰り返す。S200からの処理が繰り返されることによって、電圧印加方向毎に電源電圧が検出され、電圧印加方向V1→V2→V3→・・・→V6という順序で電圧が印加されることになる。
これに対し、本実施形態では、図8(b)に示すように、電流閾値Ithまで到達するまで電圧を印加する。そして、電圧印加開始から電圧印加終了まで、クロックに基づくカウントを行うようにした。三相コイル11、12、13が磁気飽和すると、コイルのインダクタンスが急激に小さくなることで、電流の増加度合いが大きくなる。例えば、図8(b)では、記号Aに示す点で電流の増加度合いが大きくなっている。したがって、クロックに基づくカウント数を最小にする電圧印加方向にロータ14のN極があるものと推定できる。
したがって、それぞれの方向におけるカウント数をTx(xは1〜6の整数、以下同様)とし、図9(b)中の時刻S1、S2、S3、S4、S5、S6にて検出される電源電圧をVinxとすれば、補正後のカウント数Tx’は、
Tx’=Tx・(Vs/Vinx)
として表される。
本実施形態では、最初に電源電圧を検出し(図7中のS200)、電圧を印加するとともにカウントを開始し(S201)、電流応答を検出して(S202)、電流閾値に到達すると(S203:YES)、カウントを終了するとともに電圧の印加を終了する(S205)。そして、S200で検出された電源電圧と基準電圧との比率をカウント数に乗じ、カウント数を補正する(S206)。そして、カウント数が最小となる電圧印加方向が探索され(S208)、ロータ14の停止位置が推定される。このような方法によれば、電源電圧が変動したとしても、カウント数が基準電圧に基づいて補正されるため、ロータ位置を精度よく推定することが可能となる。その結果、モータ10の適切な起動が実現される。
以上、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施可能である。
Claims (11)
- コイルが巻回されてなるステータ、および、当該ステータに回転可能に支持されるロータを有するブラシレスモータを備え、前記ロータの停止位置を推定するブラシレスモータのロータ位置推定装置であって、
前記コイルに流れる電流である巻線電流を、直接的または間接的に検出する電流検出手段と、
前記ロータの回転方向に対して垂直な複数の方向にそれぞれ磁束を発生させるよう前記コイルに対し電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加に使用される電源の電圧を検出する電源電圧検出手段と、
前記複数の方向のうち予め定められた方向に対し順に磁束を発生させるよう前記電圧印加手段を制御すると共に、所定の電圧印加時間が経過すると、前記電圧印加手段による電圧の印加を終了する電圧印加制御手段と、
前記電圧印加制御手段の制御により磁束が発生する方向毎に、前記電源電圧検出手段にて検出される電源電圧と予め設定される基準電圧との比率に基づき、電源電圧を一定時間印加したとき前記電流検出手段にて検出される巻線電流を補正する電流補正手段と、
前記電流補正手段による補正後の巻線電流を比較することによって、巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向を特定し、当該特定される方向に基づき、前記ロータの停止位置を推定するロータ位置推定手段と、
を備えることを特徴とするブラシレスモータのロータ位置推定装置。 - 請求項1に記載のブラシレスモータのロータ位置推定装置において、
前記電源電圧検出手段は、前記予め定められた各方向への電圧の印加に先立って、電源の電圧を検出することを特徴とするブラシレスモータのロータ位置推定装置。 - 請求項1または2に記載のブラシレスモータのロータ位置推定装置において、
前記電流補正手段は、前記巻線電流のピーク振幅値を補正することを特徴とするブラシレスモータのロータ位置推定装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のブラシレスモータのロータ位置推定装置において、
前記ロータ位置推定手段は、前記補正後の巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向に基づき、前記ロータの回転方向の所定角度範囲に前記ロータの磁極があるものとして、前記ロータの停止位置を推定することを特徴とするブラシレスモータのロータ位置推定装置。 - コイルが巻回されてなるステータ、および、当該ステータに回転可能に支持されるロータを有するブラシレスモータを備え、当該ブラシレスモータの起動制御を実行するブラシレスモータの起動制御システムであって、
前記コイルに流れる電流である巻線電流を、直接的または間接的に検出する電流検出手段と、
前記ロータの回転方向に対して垂直な複数の方向にそれぞれ磁束を発生させるよう前記コイルに対し電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加に使用される電源の電圧を検出する電源電圧検出手段と、
前記複数の方向のうち予め定められた方向に対し順に磁束を発生させるよう前記電圧印加手段を制御すると共に、所定の電圧印加時間が経過すると、前記電圧印加手段による電圧の印加を終了する電圧印加制御手段と、
前記電圧印加制御手段の制御により磁束が発生する方向毎に、前記電源電圧検出手段にて検出される電源電圧と予め設定される基準電圧との比率に基づき、電源電圧を一定時間印加したとき前記電流検出手段にて検出される巻線電流を補正する電流補正手段と、
前記電流補正手段による補正後の巻線電流を比較することによって、当該巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向を特定し、当該特定される方向に基づき、前記ロータの停止位置を推定するロータ位置推定手段と、
前記ロータ位置推定手段にて推定される前記ロータの停止位置に基づき、前記複数の方向の中から前記ロータを転流させるための磁束の方向を決定し、当該方向に磁束を発生させるよう前記電圧印加手段を制御して、前記ブラシレスモータを起動するモータ起動制御手段と、
を備えることを特徴とするブラシレスモータの起動制御システム。 - 請求項5に記載のブラシレスモータの起動制御システムにおいて、
前記電源電圧検出手段は、前記予め定められた各方向への電圧の印加に先立って、電源の電圧を検出することを特徴とするブラシレスモータの起動制御システム。 - 請求項5または6に記載のブラシレスモータの起動制御システムにおいて、
前記電流補正手段は、前記巻線電流のピーク振幅値を補正することを特徴とするブラシレスモータの起動制御システム。 - 請求項5から7のいずれか一項に記載のブラシレスモータの起動制御システムにおいて、
前記ロータ位置推定手段は、前記電流補正手段にて補正された巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向に基づき、前記ロータの回転方向の所定角度範囲に前記ロータの磁極があるものとして、前記ロータの停止位置を推定することを特徴とするブラシレスモータのロータ位置推定装置。 - コイルが巻回されてなるステータ、および、当該ステータに回転可能に支持されるロータを有するブラシレスモータを備え、当該ブラシレスモータの起動制御を実行するブラシレスモータの起動制御方法であって、
前記コイルに電圧を印加するための電源の電圧を検出する手順(1)と、
前記ロータの回転方向に対して垂直な複数の方向のうち予め定められた方向に対し磁束を発生させるよう前記コイルに対し電圧を印加する手順(2)と、
前記手順(1)で検出される電源電圧を一定時間印加したとき前記コイルに流れる電流である巻線電流を検出する手順(3)と、
電圧印加時間が経過すると、前記電圧の印加を終了する手順(4)と、
前記手順(1)で検出される電源電圧と予め定められる基準電圧との比率に基づき、前記巻線電流を補正する手順(5)と、
前記予め定められた方向のすべてに対し、上記手順(1)〜(5)を繰り返す手順(6)と、
前記手順(5)にて補正された巻線電流を比較することによって、前記予め定められた方向のうち巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向を特定し、当該特定される方向に基づき、ロータの停止位置を推定する手順(7)と、
前記推定される前記ロータの停止位置に基づき、前記複数の方向の中から前記ロータを転流させるための磁束の方向を決定し、当該方向に磁束を発生させるよう前記電圧印加手段を制御して、前記ブラシレスモータを起動する手順(8)と、
を備えることを特徴とするブラシレスモータの起動制御方法。 - 請求項9に記載のブラシレスモータの起動制御方法において、
前記手順(5)では、前記巻線電流のピーク振幅値を補正することを特徴とするブラシレスモータの起動制御方法。 - 請求項9または10に記載のブラシレスモータの起動制御方法において、
前記手順(7)では、前記補正後の巻線電流のピーク振幅値が最大となる方向に基づき、前記ロータの回転方向の所定角度範囲に前記ロータの磁極があるものとして、前記ロータの停止位置を推定することを特徴とするブラシレスモータの起動制御方法。
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