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JP4720068B2 - 積層型圧電素子 - Google Patents

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JP4720068B2
JP4720068B2 JP2003056092A JP2003056092A JP4720068B2 JP 4720068 B2 JP4720068 B2 JP 4720068B2 JP 2003056092 A JP2003056092 A JP 2003056092A JP 2003056092 A JP2003056092 A JP 2003056092A JP 4720068 B2 JP4720068 B2 JP 4720068B2
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piezoelectric element
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誠志 佐々木
一志 立本
慎也 東海林
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TDK Corp
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    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/50Piezoelectric or electrostrictive devices having a stacked or multilayer structure

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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロポンプの弁制御等、微小変位のための駆動源として用いられる積層型圧電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるこの種の積層型圧電素子は、例えば下記の特許文献1に開示されている。この特許文献1記載の積層型圧電素子は、多数の個別電極をパターン形成した圧電体層と、コモン電極をパターン形成した圧電体層とを交互に積層し、積層型圧電素子の厚さ方向に整列した各個別電極を、圧電体層に形成したスルーホールを介して導電部材により接続したものである。このような積層型圧電素子においては、所定の個別電極とコモン電極との間に電圧を印加することで、圧電体層において当該所定の個別電極に対応する活性部(圧電効果により歪みが生じる部分)を選択的に変位させることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−254634号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した積層型圧電素子には、次のような課題が存在していた。すなわち、コモン電極が多数の個別電極に対向してベタ状にパターン形成されているため、所定の個別電極とコモン電極との間に電圧を印加すると、当該所定の個別電極と、圧電体層の対向部分(所定の個別電極に対向する部分)との間だけでなく、その対向部分の周囲部分との間にも電界が生じることになる。このように圧電体層の厚さ方向と異なる方向にも電界が生じることになるため、当該所定の個別電極に対応する活性部の変位に狂いが生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、圧電体層における活性部を精度良く変位させることのできる積層型圧電素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る積層型圧電素子は、圧電体層を介在させて第1の内部電極第2の内部電極及び第3の内部電極を配置した積層型圧電素子であって、第1の内部電極は、圧電体層の面方向に沿って個別電極として複数形成され、第2の内部電極は圧電体層の厚さ方向において第1の内部電極のそれぞれに対向するように、圧電体層の面方向に沿って複数形成されると共に、互いに電気的に接続されてコモン電極として形成され、圧電体層の厚さ方向において対向する第1の内部電極又は第2の内部電極のいずれか一方の内部電極は、圧電体層の面方向に沿った所定の方向において、他方の内部電極を含む形状を有し、第3の内部電極は、圧電体層の外形に沿った外形を有すると共に、圧電体層の厚さ方向において両側に圧電体層を介在させて第1の内部電極が配置されてコモン電極として機能することを特徴とする。
【0007】
この積層型圧電素子の圧電体層においては、その厚さ方向に対向する第1の内部電極と第2の内部電極とで挟まれた部分が活性部となり、それらの内部電極間に電圧が印加されると、その間の活性部に電界が生じて、当該活性部が変位することになる。このとき、第2の内部電極が個別電極である第1の内部電極のそれぞれに対向して形成されているため、圧電体層の厚さ方向と異なる方向への電界の発生が抑制される。したがって、この積層型圧電素子によれば、圧電体層における活性部を精度良く変位させることが可能になる。
【0008】
また、第1の内部電極は、マトリックス状に配置されていることが好ましい。これにより、圧電体層に対して複数の第1の内部電極を効率良く配置することが可能になり、各活性部の面積を維持しつつ、積層型圧電素子の小型化或いは個別電極の高集積化を図ることができる。
【0009】
また、第2の内部電極互いに電気的に接続されてコモン電極として形成されている。これにより、第2の内部電極に対する外部からの配線を共通化するなど、積層型圧電素子の構造の単純化を図ることができる。
【0011】
また、圧電体層の厚さ方向において対向する第1の内部電極又は第2の内部電極のいずれか一方の内部電極は、圧電体層の面方向に沿った所定の方向において、他方の内部電極を含む形状を有している。これにより、圧電体層の面方向に沿った所定の方向においては、一方の内部電極の幅は、他方の内部電極の幅より大きくなる。したがって、当該所定の方向においては、幅の大きい分だけ一方の内部電極に対する他方の内部電極の位置ずれを吸収することが可能になり、対向する第1の内部電極と第2の内部電極との位置合わせを容易化することができる。
【0012】
複数層積層された圧電体層のうち少なくとも一層の圧電体層には、当該圧電体層の外形に沿った外形を有する第3の内部電極が形成されている。このような第3の内部電極が形成された圧電体層を少なくとも一層積層することで、複数層の圧電体層を積層した際の積層型圧電素子のうねりや反りを防止することができる。
【0013】
また、第3の内部電極は、第1の内部電極とにより電界を生じさせるコモン電極として形成されている。これにより、複数層積層された圧電体層のうち中間層に積層される圧電体層に第3の内部電極を形成することが可能になる。したがって、圧電体層の積層枚数が増加した場合にも、中間層の圧電体層に第3の内部電極を形成して、積層型圧電素子のうねりや反りを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層型圧電素子の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態に係る積層型圧電素子1は、個別電極(第1の内部電極)2が形成された圧電体層3と、コモン電極4が形成された圧電体層5とを交互に積層し、さらに、端子電極形成用の圧電体層7を最上層に積層して構成されている。
【0016】
各圧電体層3,5,7は、チタン酸ジルコン酸鉛等のセラミックスを主成分とし、例えば「10mm×30mm,厚さ30μm」の長方形薄板状に形成されている。また、個別電極2及びコモン電極4は、銀及びパラジウムを主成分とし、スクリーン印刷によりパターン形成されたものである。
【0017】
この積層型圧電素子1において、最上層の圧電体層7から数えて3層目、5層目、7層目、9層目の圧電体層3の上面には、図2に示すように、多数の個別電極2がマトリックス状に配置されており、互いに隣り合う個別電極2,2は、所定の間隔をとることによって、電気的な独立が達成され、且つ互いの振動による影響が防止されている。ここで、圧電体層3の長手方向を行方向、当該長手方向と直交する方向を列方向とすると、個別電極2は、例えば2行75列というように配置されている(明瞭化のため図面では2行20列とする)。
【0018】
このように多数の個別電極2をマトリックス状に配置することで、圧電体層3に対して効率の良い配置が可能となり、圧電体層3において振動に寄与する活性部の面積を維持しつつ、積層型圧電素子1の小型化或いは個別電極2の高集積化を図ることができる。
【0019】
上述の個別電極2は、長方形状に形成され、その長手方向が圧電体層3の長手方向と直交するように配置されている。各個別電極2の長手方向における外方側の端部2aは、圧電体層3の端部に到達し、圧電体層3,5間から外部に露出している。そして、図1に示すように、積層型圧電素子1の厚さ方向(以下、「積層型圧電素子1の厚さ方向」、すなわち「圧電体層3,5の厚さ方向」を単に「厚さ方向」という)に整列した各個別電極2の端部2aは、銀を主成分とする外部電極10aにより電気的に接続される。
【0020】
なお、図1では、図面の明瞭化のため1列分の外部電極10aのみを2点鎖線で示したが、実際には、厚さ方向に整列した各個別電極2の端部2aの列すべてがその列ごとに外部電極10aにより電気的に接続される。
【0021】
また、最上層の圧電体層7から数えて2層目、4層目、6層目、8層目、10層目の圧電体層5の上面にはコモン電極4が形成されているが、このコモン電極4は、図3に示すように、厚さ方向において圧電体層3の各個別電極2に対向する電極部(第2の内部電極)22と、1列目の電極部22と2列目の電極部22との間において圧電体層5の長手方向に延在する細幅の引出部23とを有している。これにより、各電極部22は、圧電体層3,5を介在させて厚さ方向において個別電極2のそれぞれに対応し、電極部22と個別電極2とは向かい合うことになる(すなわち、対面することになる)。
【0022】
各電極部22は、長方形状に形成され、その長手方向が圧電体層5の長手方向と直交するように配置されている。各電極部22の長手方向における外方側の端部22aは、圧電体層5の端部と所定の間隔をとることによって、積層型圧電素子1の外部との電気的絶縁が保たれている。一方、各電極部22の長手方向における内方側の端部22bは、引出部23に接続されている。
【0023】
この引出部23の長手方向における一方の端部23aは、圧電体層5の端部に到達し、圧電体層3,5間或いは圧電体層5,7間から外部に露出している。そして、図1に示すように、厚さ方向に整列した各引出部23の端部23aは、銀を主成分とする外部電極10bにより電気的に接続される。
【0024】
このように、引出部23を介して各電極部22を電気的に接続し、コモン電極4を形成することで、各電極部22に対する外部からの配線を共通化するなど、積層型圧電素子1の構造の単純化を図ることができる。しかも、コモン電極4をベタ状に形成する場合に比べ、コモン電極4の主成分である銀及びパラジウムの使用量を抑えることが可能になり、積層型圧電素子1の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0025】
また、図4に示すように、最上層の圧電体層7の上面縁部には、圧電体層7の側面から各外部電極10aの上端部が回り込むようにして端子電極17が一体的に形成されている。同様に、圧電体層7の上面縁部には、圧電体層7の側面から外部電極10bの上端部が回り込むようにして端子電極18が一体的に形成されている。これらの各端子電極17,18には、積層型圧電素子1を駆動電源に電気的に接続するためのリード線が取り付けられる。
【0026】
以上のように電極パターンが形成された圧電体層3,5,7を積層することで、各圧電体層3においては、上面を一端面側として個別電極2が、下面を他端面側としてコモン電極4の電極部22が形成されることになる。また、各圧電体層5においては、下面を一端面側として個別電極2が、上面を他端面側としてコモン電極4の電極部22が形成されることになる。
【0027】
そして、最上層の各端子電極17に対しては、厚さ方向において5つの電極部22と4つの個別電極2とが交互に整列することになる。そのため、所定の端子電極17と端子電極18との間に電圧を印加すると、外部電極10a,10bを介して、所定の端子電極17下に整列する個別電極2と電極部22との間に電圧が印加される。これにより、圧電体層3,5においては、図5に示すように、個別電極2と電極部22とで挟まれる部分に電界Eが生じ、当該部分が活性部21として変位することになる。
【0028】
したがって、電圧を印加する端子電極17を選択することで、マトリックス状に配置された個別電極2に対応する活性部21のうち、選択した端子電極17下に整列する活性部21を厚さ方向に変位させることができる。よって、積層型圧電素子1は、マイクロポンプの弁制御等、微小変位を必要とする種々の装置の駆動源に適用することができる。
【0029】
以上のように、積層型圧電素子1においては、厚さ方向に対向する個別電極2と電極部22とで挟まれた部分が活性部21となり、個別電極2と電極部22との間に電圧が印加されると、その間の活性部21に電界Eが生じて、当該活性部21が変位することになる。このとき、電極部22が個別電極2のそれぞれに対向して形成されているため、図5に示すように、厚さ方向と異なる方向への電界Eの発生が抑制される。換言すれば、圧電体層5の長手方向における電極部22の両側には絶縁部(互いに隣り合う電極部22,22間の間隙部)が形成されているため、厚さ方向と異なる方向への電界Eの発生が抑制される。したがって、この積層型圧電素子1によれば、圧電体層3,5における各活性部21を精度良く変位させることが可能になる。
【0030】
また、圧電体層3,5の長手方向において電極部22の幅を個別電極2の幅より大きくすれば、当該長手方向においては、幅の大きい分だけ電極部22に対する個別電極2の位置ずれを吸収することが可能になり、対向する個別電極2と電極部22との位置合わせを容易化することができる。ただし、個別電極2に対する電極部22の拡幅分は、個別電極2の幅の10%以下とすることが望ましい。10%を超えると、厚さ方向と異なる方向への電界発生の抑制効果が低減するからである。
【0031】
なお、これとは逆に、圧電体層3,5の長手方向において個別電極2の幅を電極部22の幅より大きくしても同様の効果を奏する。さらに、圧電体層3,5の長手方向に限らず、圧電体層3,5の面(上面)方向に沿った所定の方向において、個別電極2又は電極部22のいずれか一方の内部電極を、他方の内部電極を含む形状とすれば、当該所定の方向において同様の効果を奏する。
【0032】
次に、上述した積層型圧電素子1の作製手順について説明する。まず、チタン酸ジルコン酸鉛等のセラミックスを主成分とする圧電材料に有機バインダ・有機溶剤等を混合してペーストを作製し、各圧電体層3,5,7となる素材シートを成形する。また、所定比率の銀とパラジウムとからなる金属材料に有機バインダ・有機溶剤等を混合することで、電極パターン形成用の導電ペーストを作製する。
【0033】
続いて、素材シートに対し導電ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、個別電極2及びコモン電極4を形成する。このようにして電極パターンが形成された素材シートを上述の順序で積層し、積層方向にプレスを行って積層体グリーンを作製する。この積層体グリーンを脱脂・焼成した後、銀を焼き付けて外部電極10a,10b及び端子電極17,18を形成し、さらに、分極処理を行って積層型圧電素子1を完成させる。なお、外部電極10a,10b及び端子電極17,18は、金をスパッタリングすることにより形成してもよい。
【0034】
以上のように積層型圧電素子1の作製が行われるが、最下層の圧電体層5の下側に、次のような電極パターンが形成された圧電体層25を積層すると、プレスや焼成による積層型圧電素子1のうねりや反りを防止することができる。すなわち、圧電体層25は、図6(a)に示すように、圧電体層25の外形に沿った長方形状の外形を有するベタ状電極(第3の内部電極)26が上面に形成されたものである。このベタ状電極26は、積層型圧電素子1の外部との電気的絶縁を保つべく、圧電体層25の外周部から所定の間隔をとって形成されている。
【0035】
なお、このような電極パターンが形成された圧電体層25を、最上層の圧電体層7と2層目の圧電体層5との間に挿入してもよい。また、圧電体層3,5,7の積層枚数が増加した場合には(例えば20枚)、この位置と、上述した最下層の圧電体層5の下側位置とのそれぞれに、このような電極パターンが形成された圧電体層25を積層すると、プレスや焼成による積層型圧電素子1のうねりや反りを効果的に防止することが可能である。
【0036】
また、2層目、4層目、6層目、8層目、10層目の圧電体層5のうち、例えば6層目の圧電体層5に換えて、次のような電極パターンが形成された圧電体層27を積層しても、プレスや焼成による積層型圧電素子1のうねりや反りを防止することができる。すなわち、図6(b)に示すように、圧電体層27は、その上面に上記同様のベタ状電極26が形成されたものであり、このベタ状電極26には、圧電体層5の引出部23の端部23aに対向する位置に引出部28が一体的に形成されている。この引出部28は、外部電極10bを介して他の圧電体層5の引出部23の端部23aに電気的に接続され、個別電極2とにより圧電体層3,5に電界を生じさせるコモン電極として機能する。
【0037】
これにより、複数層の圧電体層3,5,7が積層された積層型圧電素子1において、中間層に積層される圧電体層5に換えて圧電体層27を用いることが可能になる。したがって、圧電体層3,5,7の積層枚数が増加した場合に、上述した2つの位置への圧電体層25の積層と共に、中間層への圧電体層27の挿入を行えば、積層型圧電素子1のうねりや反りをより一層効果的に防止することが可能になる。
【0038】
なお、以上のような電極パターンが形成された圧電体層25,27によれば、それらの積層枚数が積層型圧電素子1における圧電体層積層枚数の10%以下(例えば、圧電体層積層枚数が20枚の場合には1枚か2枚)で、積層型圧電素子1のうねりや反りを十分に防止することが可能である。また、各圧電体層25,27は、これらの間に積層される圧電体層3,5の積層枚数が同等となる位置に積層するのが望ましい。
【0039】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る積層型圧電素子1は、図7に示すように、第1実施形態に係る積層型圧電素子1と同様の積層パターンで構成されるが、個別電極2やコモン電極4等の内部電極を、圧電体層3,5等に形成されたスルーホールを介して電気的に接続する点で第1実施形態に係る積層型圧電素子1と異なる。以下、第1実施形態に係る積層型圧電素子1との相違点を中心に、第2実施形態に係る積層型圧電素子1について説明する。
【0040】
最上層の圧電体層7から数えて3層目、5層目、7層目の圧電体層3aの上面には、図8(a)に示すように、多数の個別電極2がマトリックス状に配置されている。各個別電極2は、長方形状に形成されてその長手方向が圧電体層3aの長手方向と直交するよう配置され、各個別電極2の長手方向における外方側の端部を接続端部2aとして、その直下において圧電体層3aに形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている。
【0041】
さらに、圧電体層3aの上面の縁部には、上下に位置する圧電体層5aのコモン電極4,4を電気的に接続するための中間電極6が形成されている。この中間電極6は、その直下において圧電体層3aに形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。
【0042】
なお、9層目に位置する圧電体層3bの上面にも、上述した3層目、5層目、7層目の圧電体層3aと同様の電極パターンが形成されている。ただし、図8(b)に示すように、9層目の圧電体層3bは、スルーホール13が形成されていない点で上述の圧電体層3aと異なっている。
【0043】
また、最上層の圧電体層7から数えて2層目、4層目、6層目、8層目の圧電体層5aの上面にはコモン電極4が形成されているが、このコモン電極4は、図9(a)に示すように、厚さ方向において圧電体層3の各個別電極2に対向する電極部22と、1列目の電極部22と2列目の電極部22との間において圧電体層3の長手方向に延在する細幅の引出部23とを有している。
【0044】
各電極部22は、長方形状に形成され、その長手方向における内方側の端部は、引出部23に一体的に接続されている。この引出部23の長手方向における一方の端部である接続端部23aは、厚さ方向において圧電体層3の中間電極6に対向すると共に、その直下において圧電体層5aに形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。
【0045】
さらに、圧電体層5aの上面には、厚さ方向において圧電体層3の各接続端部2aに対向するように中間電極16が形成されている。そして、各中間電極16は、その直下において圧電体層5aに形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている。
【0046】
なお、10層目に位置する圧電体層5bの上面にも、上述した2層目、4層目、6層目、8層目の圧電体層5aにおいて中間電極16を除いたものと同様の電極パターンが形成されている。ただし、図9(b)に示すように、10層目の圧電体層5bは、スルーホール8,13が形成されていない点で上述の圧電体層5aと異なっている。
【0047】
また、図10に示すように、最上層の圧電体層7の上面には、厚さ方向において圧電体層5aの各中間電極16に対向するよう外部電極17が形成され、厚さ方向において圧電体層3aの中間電極6に対向するよう外部電極18が形成されている。そして、各外部電極17は、その直下において圧電体層7に形成されたスルーホール13内の導電部材に接続され、外部電極18は、その直下において圧電体層7に形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。なお、各外部電極17,18は、駆動電源に電気的に接続するためのリード線を取り付けるべく銀の焼付電極が施され、積層型圧電素子1の端子電極として機能する。
【0048】
以上のように電極パターンが形成された圧電体層3,5,7を積層することで、最上層の各外部電極17に対しては、厚さ方向において4つの個別電極2が中間電極16を介在させて整列し、整列した各電極2,16,17は、スルーホール13内の導電部材により電気的に接続されることになる。一方、最上層の外部電極18に対しては、厚さ方向において5つのコモン電極4の接続端部23aが中間電極6を介在させて整列し、整列した各電極6,18,23aは、スルーホール8内の導電部材により電気的に接続されることになる。
【0049】
このような積層型圧電素子1における電気的接続により、所定の外部電極17と外部電極18との間に電圧を印加すると、所定の外部電極17下に整列する個別電極2とコモン電極4の電極部22との間に電圧が印加されることになる。これにより、圧電体層3,5においては、個別電極2とコモン電極4の電極部22とで挟まれる部分に電界が生じ、当該部分が活性部21として変位することになる。したがって、電圧を印加する外部電極17を選択することで、マトリックス状に配置された各個別電極2に対応する活性部21のうち、選択した外部電極17下に整列する活性部21を厚さ方向に変位させることができる。よって、この積層型圧電素子1も、マイクロポンプの弁制御等、微小変位を必要とする種々の装置の駆動源に適用することができる。
【0050】
そして、第2実施形態に係る積層型圧電素子1においても、第1実施形態に係る積層型圧電素子1と同様、コモン電極4の電極部22が個別電極2のそれぞれに対向して形成されているため、厚さ方向と異なる方向への電界の発生が抑制され、これにより、圧電体層3,5における各活性部21を精度良く変位させることが可能になる。
【0051】
次に、第2実施形態に係る積層型圧電素子1の作製手順について説明する。まず、第1実施形態に係る積層型圧電素子1と同様に、各圧電体層3,5,7となる素材シートを成形する。また、電極パターン形成用の導電ペーストを作製する。
【0052】
続いて、各圧電体層3,5,7となる素材シートの所定の位置にレーザ光を照射してスルーホール8,13を形成する。その後、スルーホール8,13内に対し導電ペーストを用いて充填スクリーン印刷を行い、導電部材を形成する。さらに、素材シートに対し導電ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、各電極2,4,17,18等を形成する。
【0053】
このようにして電極パターンが形成された素材シートを上述の順序で積層し、積層方向にプレスを行って積層体グリーンを作製する。この積層体グリーンを脱脂・焼成した後、分極処理を行って積層型圧電素子1を完成させる。
【0054】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る積層型圧電素子1は、第2実施形態に係る積層型圧電素子1において、コモン電極4の引出部23を形成せず、コモン電極4の電極部22を個別電極として形成したものである。
【0055】
すなわち、圧電体層5aにおいては、図11に示すように、各電極部22は、互いに電気的に独立すると共に、各電極部22の長手方向における内方側の端部を接続端部22cとして、その直下において圧電体層5aに形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。
【0056】
また、圧電体層3aにおいては、図12に示すように、各個別電極2の長手方向における内方側に、圧電体層5aの接続端部22cに対向するよう中間電極6が形成され、各中間電極6は、その直下において圧電体層3aに形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。
【0057】
さらに、圧電体層7においては、図13に示すように、圧電体層5aの各中間電極16に対向するよう外部電極17が形成され、圧電体層3aの中間電極6に対向するよう外部電極18が形成される。そして、各外部電極17は、その直下において圧電体層7に形成されたスルーホール13内の導電部材に接続され、各外部電極18は、その直下において圧電体層7に形成されたスルーホール8内の導電部材に接続される。
【0058】
以上のように電極パターンが形成された圧電体層3,5,7を積層することで、最上層の各外部電極17に対しては、厚さ方向において4つの個別電極2が中間電極16を介在させて整列し、整列した各電極2,16,17は、スルーホール13内の導電部材により電気的に接続されることになる。一方、最上層の外部電極18に対しては、厚さ方向において5つの電極部22が中間電極6を介在させて整列し、整列した各電極6,18,22は、スルーホール8内の導電部材により電気的に接続されることになる。
【0059】
このような積層型圧電素子1における電気的接続により、個別電極2と共に電極部22も個別電極となるため、第3実施形態に係る積層型圧電素子1によれば、マトリックス状に配置された個別電極2に対応する活性部21間の応答速度のばらつきを抑えることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る積層型圧電素子によれば、圧電体層における活性部を精度良く変位させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型圧電素子の第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示す積層型圧電素子の3層目、5層目、7層目、9層目の圧電体層の平面図である。
【図3】図1に示す積層型圧電素子の2層目、4層目、6層目、8層目、10層目の圧電体層の平面図である。
【図4】図1に示す積層型圧電素子の最上層の圧電体層の平面図である。
【図5】図1に示す積層型圧電素子の長手方向に垂直な拡大断面図である。
【図6】図1に示す積層型圧電素子に用いられる圧電体層の平面図であって、(a)はベタ状電極が形成されたもの、(b)はベタ状電極がコモン電極として形成されたものである。
【図7】本発明に係る積層型圧電素子の第2実施形態の分解斜視図である。
【図8】図7に示す積層型圧電素子を構成する圧電体層の平面図であって、(a)は3層目、5層目、7層目のもの、(b)は9層目のものである。
【図9】図7に示す積層型圧電素子を構成する圧電体層の平面図であって、(a)は2層目、4層目、6層目、8層目のもの、(b)は10層目のものである。
【図10】図7に示す積層型圧電素子の最上層の圧電体層の平面図である。
【図11】本発明に係る積層型圧電素子の第3実施形態の2層目、4層目、6層目、8層目の圧電体層の平面図である。
【図12】本発明に係る積層型圧電素子の第3実施形態の3層目、5層目、7層目の圧電体層の平面図である。
【図13】本発明に係る積層型圧電素子の第3実施形態の最上層の圧電体層の平面図である。
【符号の説明】
1…積層型圧電素子、2…個別電極(第1の内部電極)、3,5…圧電体層、4…コモン電極、22…電極部(第2の内部電極)、25,27…圧電体層、26…ベタ状電極(第3の内部電極)、E…電界。

Claims (2)

  1. 圧電体層を介在させて第1の内部電極第2の内部電極及び第3の内部電極を配置した積層型圧電素子であって、
    前記第1の内部電極は、前記圧電体層の面方向に沿って個別電極として複数形成され、
    前記第2の内部電極は、前記圧電体層の厚さ方向において前記第1の内部電極のそれぞれに対向するように、前記圧電体層の面方向に沿って複数形成されると共に、互いに電気的に接続されてコモン電極として形成され、
    前記圧電体層の厚さ方向において対向する前記第1の内部電極又は前記第2の内部電極のいずれか一方の内部電極は、前記圧電体層の面方向に沿った所定の方向において、他方の内部電極を含む形状を有し、
    前記第3の内部電極は、前記圧電体層の外形に沿った外形を有すると共に、前記圧電体層の厚さ方向において両側に前記圧電体層を介在させて前記第1の内部電極が配置されてコモン電極として機能することを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記第1の内部電極は、マトリックス状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子。
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