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JP4714943B2 - 析出硬化型銅合金条の製造方法 - Google Patents

析出硬化型銅合金条の製造方法 Download PDF

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JP4714943B2 JP2009552385A JP2009552385A JP4714943B2 JP 4714943 B2 JP4714943 B2 JP 4714943B2 JP 2009552385 A JP2009552385 A JP 2009552385A JP 2009552385 A JP2009552385 A JP 2009552385A JP 4714943 B2 JP4714943 B2 JP 4714943B2
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Description

本件発明は、析出硬化型銅合金条の製造方法に関する。
従来から、銅合金系の材料は機械強度に優れ、導電率も比較的良好であって安価であることから、端子やコネクタなどの通電部材や、機構部品には、銅合金条が多用されてきた。そして、近年の自動車の軽量化や電気電子部品の軽薄短小化に伴い、端子などの通電部材の小型化が図られてきた。その結果、当該通電部材を形成するための材料には、従来の銅合金条では実現困難なレベルの機械強度が必要とされる用途への対応が要求される。このような用途に対しては、必要な機械強度を確保するために、析出硬化型の銅合金条が用いられることが多い。そして、機械強度だけではなく、良好な曲げ加工性や良好な導電率を備える銅合金条に対する要求も高まっている。即ち、機械強度、曲げ加工性と導電率のバランスが良好な銅合金条を製造する方法が求められている。
このように課題に対し、例えば、特許文献1には、通電部材に適した銅合金として、銅−ニッケル−リン系の合金が開示されている。特許文献1では、銅−ニッケル−リン系合金に鉄、クロム、マンガン、コバルトのうち1種又は2種以上を添加することで、耐マイグレーション性に優れ、高強度で高導電性に優れるという特性を損なうことなく、溶接性、熱間圧延性、及び半田めっきやスズめっきの耐熱剥離性を改善した通電材料が開示されている。この銅−ニッケル−リン系合金は、析出硬化型合金として析出硬化能力に優れ、30%IACS〜50%IACSという導電率が得られるとしている。そして、実施例によれば、銅合金のインゴットを鋳造し、面削後熱間圧延を行い、その後は冷間圧延と焼鈍酸洗とを繰り返し、450℃で10時間の最終焼鈍後酸洗いし、加工率20%で冷間圧延を行っている。
特許文献2には、ニッケルとリンとを必須添加成分とした銅合金であって、70%IACS以上の高い導電性レベルを有しながら、強度、曲げ加工性、プレス打ち抜き性、耐応力緩和特性及びその異方性を同時に改善した銅合金材料が開示されている。特許文献2では、時効析出処理を兼ねた仕上げ前の焼鈍で一部のみ再結晶させる方法が採られている。また、特許文献2では、時効析出処理が中間加工で1回、回復熱処理も原則最終焼鈍のみの1回である。更に、特許文献2の銅合金は、圧延方向と板厚方向に平行な断面における結晶粒について、平均アスペクト比(長径/短径)Aが10以上、アスペクト比の最大値Amaxと最小値Aminの比Amax/Aminが1.0〜3.0を満たす板材が製造できるとしている。
また、特許文献3には、強度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和特性を同時に改善した、薄肉通電部材やバスバーに好適な銅合金が開示されている。特許文献3では、ニッケル−スズ−リン系銅合金を対象として、転位密度の少ない溶体化処理・時効析出処理で析出物を均一に生成させ、時効析出処理後に再結晶温度以上にあげないことで、整合性の高い析出物が、微細、且つ、均一に分散した組織状態が保たれ、加工硬化と相まってさらなる強度向上が得られるとしている。
特開平4−231433号公報 特開2006−299409号公報 特開2006−291356号公報
しかし、特許文献1〜特許文献3に開示されている方法を用いても、機械強度、曲げ加工性、導電性の全てにおいて高いレベルの特性を備える銅合金条を得ることは困難である。まず、特許文献1に開示の方法は、最終冷間圧延の加工率が20%程度と低いため、得られた銅合金条の強度は500N/mmに達せず、低レベルの機械強度を備える析出硬化型銅合金条しか得ることができない。
そして、特許文献2に開示の方法は、時効析出処理を兼ねた仕上げ前の焼鈍で、一部のみ再結晶化させている。しかし、時効析出処理は中間加工で1回のみ実施し、回復熱処理は原則最終焼鈍のみとする製造方法である。従って、ここで開示されている仕上げ前焼鈍前後の冷間圧延における加工率は比較的低く、仕上げ前の熱処理で初めて時効析出処理を施すことになる。その結果、強度は高くても500N/mm程度であり、不十分な機械強度を備える析出硬化型銅合金条しか得ることができない。
また、特許文献3に開示の方法は、ニッケル−スズ−リン系銅合金を、溶体化処理・時効析出処理で析出物を均一に生成させ、時効析出処理後の温度を再結晶温度以上に上げない方法を採用している。ところが、得られた銅合金条には、3μm〜30μmの再結晶組織の形成を確認できるような製造条件に設定することが前提となっている。即ち、特許文献3の方法を用いると、得られる銅合金条が備える再結晶粒は比較的大きいため硬度の低下を招く。そこで、この硬度の低下を補うためにスズ添加量を増量しているが、それでも強度の向上レベルは不十分である。更に、特許文献3に開示の方法を採用すると、得られる銅合金条の組成では、スズの添加量が増すことによって導電率が低くなり、市場要求である30%IACSを僅かにクリアしたレベルの銅合金条を得るのが通常である。また、溶体化処理を行う工程を採用しているため、設備コストとランニングコストの負担が大きい製造方法である。
本件発明は、このような従来技術の問題を鑑みてなされたものであり、機械強度、曲げ加工性と導電性とのトータルバランスに優れた銅合金条の製造方法を提供することを目的とする。
そこで発明者等は、銅−ニッケル−リン系合金について、以下に述べる回復現象を利用した製造方法を採用することで、上記課題を達成できることに想到した。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法は、ニッケルを0.50質量%〜1.50質量%、リンを0.05質量%〜0.20質量%含有残部銅及び不可避不純物よりなる銅合金条の製造方法であって、以下の工程A〜工程Cを含み、回復現象を利用して強化することを特徴としている。
工程A: 銅合金インゴットに熱間圧延を施し、その後時効析出処理して時効析出処理済み銅合金条を得る工程。
工程B: 工程Aで得られた時効析出処理済み銅合金条に、加工率50%〜90%で施す中間冷間圧延とその後施す中間回復熱処理とを1単位として含む中間加工を施し、回復熱処理済み銅合金条を得る工程。
工程C: 工程Bで得られた回復熱処理済み銅合金条に、加工率20%〜95%で最終冷間圧延を施し、その後最終回復熱処理を施して回復現象を利用して強化した析出硬化型銅合金条を得る工程。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法では、前記銅合金条において、更に0.04質量%以下のスズ及び0.50質量%以下の亜鉛のうち1種以上が添加されているものであることも好ましい。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法においては、前記工程Bは、前記1単位の中間加工を複数回繰り返すものであることも好ましい。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法において、前記工程Bは、前記1単位の中間加工の少なくとも1回は、当該中間回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該中間回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%〜15%とするものであることも好ましい。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法において、前記工程Bは、中間加工前の時効析出処理済み銅合金条に、加工率50%〜90%で冷間圧延を施し、その後、部分的に再結晶組織が現れる二次時効析出処理を行って、二次時効析出処理済み銅合金条とする工程を含むことが好ましい。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法においては、前記工程Cの最終回復熱処理は、当該最終回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該最終回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%未満とするものであることも好ましい。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法においては、前記工程Cの最終回復熱処理は、当該最終回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該最終回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%〜15%とするものであることも好ましい。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法においては、引張強さ500N/mm以上、伸び率5%以上、導電率50%IACS以上の物性を備え、曲げ加工性及び耐応力緩和性が良好な銅合金条を製造するものであることも好ましい。
更に、本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法において、上記いずれかに記載の析出硬化型銅合金条の製造方法を用いて、ニッケルを0.50質量%〜1.50質量%、リンを0.05質量%〜0.20質量%含み、Ni(質量%)/P(質量%)比率の値が6〜10の銅合金インゴットを用いることで、引張強さ500N/mm以上、伸び率5%以上、導電率65%IACS以上の物性を備える曲げ加工性及び耐応力緩和性が良好な銅合金条を製造することも好ましい。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法は、銅−ニッケル−リン系銅合金インゴットに熱間圧延を施し、その後時効析出処理して時効析出処理済み銅合金条を得る工程、時効析出処理済み銅合金条に加工率50%〜90%で中間冷間圧延とその後施す中間回復熱処理とを施す中間加工を施して回復熱処理済み銅合金条を得る工程、当該回復熱処理済み銅合金条に加工率20%〜95%で最終冷間圧延を施し、その後最終回復熱処理を施す工程を含む。本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法を用いれば、時効析出処理で形成される析出粒子の存在下で、冷間圧延で機械強度を強化した後に回復現象を利用しているため、機械強度、曲げ加工性、導電性のトータルバランスに優れた銅合金条を製造することができる。
以下、本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法の形態について説明するが、その前に、一般的な析出硬化型銅合金条の製造方法について述べておく。
一般的な析出硬化型銅合金条の製造工程では、熱間圧延後、最終厚みの1段階前又は2段階前までは冷間圧延と再結晶焼鈍とを施し、その後溶体化処理を施す。溶体化処理後は、冷間圧延を施した後、又は冷間圧延を施さずにそのまま時効析出処理を施す。そして、最終冷間圧延は比較的低い加工率で施し、歪み取り焼鈍を施して製品を仕上げている。このような工程では、比較的高い機械強度を溶体化処理と時効析出処理とで達成している。しかし、更に機械強度を高めるために最終の冷間圧延の加工率を高めると、伸び率が低下し、曲げ加工性が劣る銅合金条になる。そして、一般的な製造工程を経て得られた銅合金条の結晶組織は、溶体化処理で形成された再結晶粒が、冷間圧延により多少扁平化した形状で観察される。即ち、通常の製品である銅合金条の結晶粒は、溶体化処理で形成され、双晶を多く含むものであって、結晶粒子径も数十μmであることが通常である。
上記一般的な析出硬化型銅合金条の製造方法に対し、本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法は、ニッケルを0.50質量%〜1.50質量%、リンを0.05質量%〜0.20質量%含有残部銅及び不可避不純物よりなる銅合金条を強化する。このとき、前記銅合金条において、更に0.04質量%以下のスズ及び0.50質量%以下の亜鉛のうち1種以上が添加されていてもよい。
上記組成とすれば、時効析出処理を行うことによってニッケル−リン化合物が析出し、機械強度の強化に寄与すると同時に再結晶が起こるのを抑制できる。また、このときニッケル−リンの固溶量が減少するので導電率が向上する。しかし、含有量が1.5質量%を超えるニッケルをリンと同時添加すると熱間加工性が低下し、熱間圧延時にワレを生じる場合が多くなるため好ましくない。一方、ニッケル含有量が0.5質量%未満では十分な強度を得ることが困難になるため好ましくない。同様に、リン含有量が0.05質量%未満では、十分な強度を得ることが困難になるため好ましくない。一方、リン含有量が0.20質量%を超えると、導電率が低下する傾向が現れるため好ましくない。スズは、強度向上に効果があるので任意に添加しても良いが、スズ含有量が0.04質量%を超えると導電率が低下する傾向が現れるため好ましくない。亜鉛は、はんだやスズめっきを施した後加熱状態に置かれた皮膜の層剥離を防止する特性を有するため、必要な場合に任意に添加しても良い。しかし、亜鉛を0.5質量%を超えて添加しても層剥離の防止効果は飽和している。一方、導電率が低下する傾向が現れるため好ましくない。
更に、本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法は、ニッケルを0.50質量%〜1.50質量%、リンを0.05質量%〜0.20質量%含有残部銅及び不可避不純物よりなる組成において、Ni(質量%)/P(質量%)の値が6〜10とした銅合金条を選択することが適している。ここで、Ni(質量%)/P(質量%)の値が6未満であると、導電率が低下するため好ましくない。一方、Ni(質量%)/P(質量%)の値が10を超えると、銅合金条の強度及び導電率共に、低くなる傾向がある。
本件発明に係る析出硬化型銅合金の製造方法においては、上記添加成分の他に、クロム、ホウ素、チタン、マンガン、マグネシウムから選択される1種以上を、合計3%以下の範囲でさらに添加することもできる。これらの成分の添加は、機械強度の向上に効果を発揮する。しかし、これらの元素の1種以上を添加する場合は、その作用を十分に発揮させるためには総量が0.01%以上となるように添加する。一方、総添加量が3%を超えると熱間加工性や冷間加工性が低下する場合があるため好ましくない。上記に示した以外のその他の元素は不純物として0.05%未満に管理するのが好ましい。ただし、硫黄は脆性を備える銅合金条となることを避けるため、50ppm以下に管理するのが好ましい。
そして、上記組成を備える銅合金に対して、以下に示す工程を含む加工を施すことにより、回復現象を利用して強化した析出硬化型銅合金条を製造することができる。以下、工程別に説明する。
<工程A>
工程Aは、銅合金インゴットを熱間圧延し、その後時効析出処理して時効析出処理済み銅合金条を得る工程である。工程Aでは、熱間圧延直後に時効析出処理を行う。即ち、時効析出処理を熱間圧延直後に行うことにより、ニッケル−リン化合物が析出物として均質に析出し、析出硬化現象を発揮する。そして、その後の加工工程で銅合金条の硬化を図ることが容易になる。また、析出粒子は結晶粒界の移動を抑制するので、後述する工程Bにおいて、再結晶粒の発生を抑制し、微細な回復組織の生成に寄与する。更に、工程Aで熱間圧延を施せば、これ以降最終製品までの冷間圧延において、累積加工率を高く取ることができる。冷間圧延の累積加工率が大きいことは、中間加工が回復熱処理を含むことで若干の目減りは出るが、加工硬化量を増大させると同時に冷間圧延の際に生じるセル、更には回復の際に生じるサブグレインを微細に、且つ、密に発生させることができる。本件発明に係る製造方法によれば、通常の再結晶をまったく又は一部しか起こさせないため、サブグレインを微細化し、且つ、均質化した状態に保つことができ、曲げ加工性や伸び性も良好に維持することができる。
銅合金インゴットの熱間圧延では、まず、インゴットを700℃〜1000℃に加熱して、圧延する。熱間圧延前のインゴットの加熱は、ニッケル、リンを固溶させる効果もあるので、800℃〜950℃とすることがより好ましい。ところで、熱間圧延後にニッケル、リンを固溶させるために溶体化処理し、その後時効析出処理を行う製造方法を採用すると、特殊な設備を設置するための設備投資が必要になる。また、溶体化処理を施すことによるエネルギーコストの増加が明らかであり、経済性に問題があるため好ましくない。なお、熱間圧延後に時効析出処理を施す製造方法を採用すると、熱間圧延中に不可避的に粗大析出物が少量発生することがある。しかし、本件発明に係る析出硬化型銅合金条が備える組成であれば、当該粗大析出物は発生してもごく僅かであり、機械的特性に影響が生じるレベルではない。即ち、本件発明に係る工程Aでは、コストのかかる溶体化処理を行わなくても、時効析出処理を施すだけで、溶体化処理・時効析出処理と同等の効果を得ている。
<工程B>
工程Bは、工程Aで得られた時効析出処理済み銅合金条を、加工率50%〜90%で施す中間冷間圧延とその後施す中間回復熱処理とを1単位として含む中間加工を施し、回復熱処理済み銅合金条を得る工程である。このように、工程Bでは中間回復熱処理と中間冷間圧延とを組み合わせて行う。ここで施す冷間圧延は、強加工であるため、銅合金条に冷間圧延を施せば、サブグレインが細かく密に発生し、銅合金条は硬くなる。ここで加工硬化した銅合金条は、基本的には加熱すれば、回復過程、再結晶過程、結晶粒が成長する過程の3つの過程を経て、巨晶を備える銅合金条とすることができる。そして、一般的な工程では、再結晶焼鈍を行う。しかし、再結晶過程や結晶粒の成長過程に至るまでの加熱を行うと結晶粒が粗大化し、硬度が低下する。即ち、再結晶焼鈍は銅合金条の機械的強度を低下させる方向に働くため、再結晶焼鈍上がりの銅合金条に冷間圧延を施すと、本件発明が目的とする、析出硬化型銅合金の機械強度強化の達成が困難になる。
そこで、本件発明に係る製造方法では、通常の再結晶を起こさない、回復過程の熱処理を行う。回復過程の熱処理を行えば、冷間圧延時のエッジ割れを回避できる。ここで、加工率50%〜90%で中間冷間圧延とその後施す中間回復熱処理とで1単位の中間加工としたのは、加工率50%〜90%で冷間圧延を施しても、回復熱処理を施すことにより、次にまた同レベルの加工率で冷間圧延を施すことができ、繰り返し操作が可能になるからである。
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法においては、前記工程Bは、1単位の中間加工の少なくとも1回は、当該中間回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該中間回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%〜15%とする。当該中間回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該中間回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%〜15%とすれば、再結晶は出現しないため、引張強さと伸び率とがバランスよく確保できる。なお、微細な回復組織を好ましい状態で出現させるには、中間回復熱処理前の中間冷間圧延の加工率は、サブグレインを細かく密に分布させるためには50%以上の設定とすることが好ましく、60%以上の設定とすることがより好ましく、80%を超える設定とすることが更に好ましい。しかし、90%を超える加工率で施すと、回復熱処理を施してあっても曲げ加工性の確保が難しくなる傾向が現れるため好ましくない。この中間回復熱処理後の銅合金条に発生した微細な回復組織は、その後の冷間圧延によっても消滅しにくく、回復熱処理における成長も少ない。
なお、本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法においては、導電率を特に高くしたい場合は、前記工程Bで、中間加工前の時効析出処理済み銅合金条に、加工率50%〜90%で冷間圧延を施し、その後、部分的に再結晶組織が現れる二次時効析出処理を行って、二次時効析出処理済み銅合金条とする工程を採用しても良い。この二次時効析出処理は、回復組織と部分的な再結晶組織との混合組織となる事が好ましく、混合組織が出来ていることの代替え指標として、ビッカース硬度を使用することが可能である。このとき、ビッカース硬度が110〜150となるようにすれば、良好な混合組織を備えていると言える。上記二次時効析出処理を過剰に行うと、完全な再結晶が起こり、結果として得られる銅合金条の強度が500N/mmを下回るようになる。
<工程C>
工程Cは、工程Bで得られた回復熱処理済み銅合金条を加工率20%〜95%で最終冷間圧延し、その後、最終回復熱処理を行って回復現象を利用して強化した銅合金条を得る工程である。工程Cでは、最終冷間圧延と最終回復熱処理とを施す。前記中間回復熱処理済み銅合金条に施す最終冷間圧延の加工率は、その前の中間回復熱処理による強度低下を補う意味でも20%以上が好ましい。そして、加工率を高く取るほど冷間圧延後の銅合金条の強度レベルが上がる。しかし、最終冷間圧延の加工率が95%を超えると、回復熱処理の温度をどのように設定しても銅合金の曲げ加工性の確保が難しくなるため好ましくない。そして、工程Cの最終冷間圧延の加工率は、最終的に得る銅合金条の特性として、強度を優先するか、加工性や導電率を優先するかによって異なる。最終冷間圧延の加工率は、中間回復熱処理済み銅合金条の特性にもよるが、強度を優先するのであれば40%〜95%、加工性や導電率を優先するのであれば、その前の熱処理で再結晶組織を発生させない場合は20%〜50%程度、一部再結晶させる場合は40%〜85%とするのが望ましい。そして、最終回復熱処理は通常は低温焼鈍ないし歪とり焼鈍と称されているものに近く、強度の低下を押さえた上で、応力緩和特性の向上とばね限界値の向上を図ることを目的としている。そして、最終回復熱処理における銅合金条のビッカース硬度の変化は、最終回復熱処理前に比べ3%の上昇から3%の減少の範囲となるようにする。ただし、当該ビッカース硬度の低下率が4%〜15%となる回復熱処理を採用して、析出硬化型銅合金条の曲げ加工性の確保を優先することもできる。なお、用途に応じて、応力緩和率の向上、ばね限界値の向上が不要である場合には、低温焼鈍を省いても良い。例えば、連続焼鈍が困難な厚い板厚の場合は、まきぐせをつけずに低温焼鈍することが困難であるため、低温焼鈍を省くことがある。
以上、本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法について述べてきたが、以下に補足を加える。銅合金原料の溶解は定法で行うことができ、必要により酸化防止処理を施しても良い。インゴットの鋳造は金型鋳造、連続又は半連続鋳造法を用いることができる。熱間圧延は固溶促進の効果も狙うため、インゴットを800℃〜950℃に加熱して行う。時効析出処理は、400℃〜550℃で1時間〜10時間の条件で行うことができる。回復熱処理は連続焼鈍設備を用いて炉内温度を300℃〜600℃として通板時間3分以内で行うのが好ましいが、バッチ炉を用いて、指定したビッカース硬度の低下範囲に適合する条件で実施しても良い。
実施例及び比較例で作成した銅合金条の特性は、引張強さ及び伸び率、0.2%耐力、曲げ加工性及び導電率を取り上げて評価した。そして、実施例では耐応力緩和性についても評価した。各評価項目の測定方法を以下に述べる。
一般物性: 引張強さ及び伸び率はJIS Z 2241に準拠し、万能試験機を用いて測定した。0.2%耐力は、引張強さと伸び率とを測定する際に得られるS−S曲線から求めた。ビッカース硬度はJIS Z 2244に準拠して測定した。導電率は、日本ホッキング社製デジタル導電率計(オートシグマ3000)で測定した。
曲げ加工性: 銅合金条の曲げ加工性は、日本伸銅協会の技術標準JCBA−T307に準拠し、W曲げ試験で評価した。具体的には、曲げ軸を圧延方向に垂直方向に取ったGood Way、曲げ軸を圧延方向に平行方向に取ったBad Wayの両方向にW曲げ試験を行い、クラックを生じない最小曲げ半径Rを求め、試験片の厚みtを用いて曲げ加工性の指標であるR/tを算出した。そして、曲げ加工性の良否の判定基準は、R/tの値が一般の部品加工に耐えうる1.0以下を「良好」とし、微細な加工にも耐えうる0.5以下を「優れている」とした。
耐応力緩和性: 銅合金条の耐応力緩和性は、日本伸銅協会の技術標準JCBA−T309に準拠して測定した。具体的には、試験片が備える0.2%耐力の80%相当の曲げ応力を負荷し、150℃×1000時間後の応力緩和率で評価した。使用環境の厳しい自動車用端子用途で要求されている耐応力緩和性は、この評価方法で得られる応力緩和率で30%未満であるが、実用上35%程度まで許容されるのが通例である。
以下、本件発明の実施例と比較例とを比較し、本件発明をより詳細に説明する。後に示す表1には本件発明に係る製造条件に関する組成、加工工程を、表2には得られた析出硬化型銅合金条の諸特性を示している。
Figure 0004714943
実施例1では、ニッケルを1.00質量%、リンを0.11質量%、スズを0.03質量%、亜鉛を0.15質量%含む銅合金組成とした。当該試料を作成するにあたり、まず、上記成分調整に必要な材料を高周波溶解炉に投入し、木炭カバーをして溶解して溶湯とし、この溶湯を金型に流し込んで鋳造し、厚さ30mmのインゴット5kgを作成した。そして、このインゴットを900℃に加熱し、熱間圧延を施して厚さ13mmの銅合金板を得た。その後、当該銅合金板を460℃で時効析出処理を2時間行い、時効析出処理済み銅合金板を得た。この時効析出処理済み銅合金板を表面研磨後、冷間圧延を施して厚さ1.80mmの銅合金板を得た。その後、当該銅合金板を460℃で加熱して、回復熱処理を行った。このときの回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として4%とした。そして再度、当該銅合金板に加工率82%で冷間圧延を施して厚さ0.33mmの銅合金板とし、460℃で回復熱処理を行った。このときの回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として11%とした。そして、この回復熱処理済み銅合金板を、加工率39%で最終冷間圧延して厚さ0.20mmの銅合金板とし、385℃で最終回復熱処理を行い、試料A−1を得た。この最終回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として1%とした。
上記試料A−1の評価結果は、表2に示すように、引張強さが618N/mm、伸び率が9.3%、ビッカース硬度が197、0.2%耐力が606N/mm、応力緩和率が24%、導電率が55.5%IACSであった。そして、曲げ加工性の評価では、W曲げ試験でクラックを生じない最小曲げ半径Rは、Good Wayで0.05mm以下、Bad Wayで0.1mmであった。従って、曲げ加工性の指標であるR/tは、Good Wayで0.25以下、Bad Wayでは0.50である。
また、試料A−1については、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:以下TEMと称する。)を用い、倍率(×20000)で結晶組織を確認した。試料A−1(0.2mmの最終回復処理品)のTEM観察像を図1に示す。図1ではサブグレインと析出粒子が観察される。またA−1についてEBSPで倍率(×1500)でOIM(Orientation Imaging Microscopy)マップを観察した。結果を図2に示す。この図2から分かるように、微細な回復組織が観察される。
実施例2では、ニッケルを0.91質量%、リンを0.093質量%含む銅合金組成とした。当該試料を作成するにあたり、まず、上記成分調整に必要な材料を高周波溶解炉に投入し、木炭カバーをして溶解して溶湯とし、この溶湯を金型に流し込んで鋳造し、厚さ30mmのインゴット5kgを作成した。そして、このインゴットを900℃に加熱し、熱間圧延を施して厚さ13mmの銅合金板を得た。その後、当該銅合金板を460℃で時効析出処理を7時間行い、時効析出処理済み銅合金板を得た。この時効析出処理済み銅合金板を表面研磨後、冷間圧延を施して厚さ1.80mmの銅合金板を得た。その後、当該銅合金板を460℃で加熱し、回復熱処理を行った。このときの回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として2%とした。そして、当該銅合金板に、再度、加工率82%で冷間圧延を施して厚さ0.33mmの銅合金板とし、460℃で回復熱処理を行った。このとき、回復熱処理後のビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として10%であった。更に、この回復熱処理済み銅合金板を、加工率39%で最終冷間圧延して、厚さ0.20mmの銅合金板とし、380℃の最終回復熱処理を行って試料A−2を得た。このとき、最終回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として2%とした。
上記試料A−2の評価結果は、表2に示すように、引張強さが599N/mm、伸び率が5.4%、ビッカース硬度が187、0.2%耐力が585N/mm、応力緩和率が25%、導電率が58.7%IACSであった。そして、曲げ加工性の評価では、W曲げ試験でクラックを生じない最小曲げ半径Rは、Good Wayで0.05mm以下、Bad Wayで0.1mmであった。従って、曲げ加工性の指標であるR/tは、Good Wayで0.25以下、Bad Wayでは0.50である。
実施例3では、ニッケルを0.91質量%、リンを0.098質量%、スズを0.04質量%、亜鉛を0.11質量%含む銅合金組成とした。当該試料を作成するにあたり、まず、上記成分調整に必要な材料をガス炉に投入して溶解して溶湯とし、この溶湯を縦型半連続鋳造機を用いて厚さ160mmのインゴット3500kgを作成した。そして、このインゴットを860℃に加熱し、熱間圧延を施して厚さ13mmの銅合金条を得た。その後、当該銅合金条を460℃で時効析出処理を4時間行い、時効析出処理済み銅合金条を得た。この時効析出処理済み銅合金条の両面を各0.5mmずつ面削し、冷間圧延を施して厚さ1.80mmの銅合金条を得た。その後、当該銅合金条から採取した銅合金板を460℃で加熱し、回復熱処理を行った。このときの回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として4%とした。更に、当該銅合金板に加工率88%で最終冷間圧延を施して厚さ0.21mmの銅合金板とし、460℃で最終回復熱処理を行って試料A−3を得た。この最終回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として0.5%とした。
上記試料A−3の評価結果は、表2に示すように、引張強さが634N/mm、伸び率が8.6%、ビッカース硬度が205、0.2%耐力が617N/mm、応力緩和率が18%、導電率が55.4%IACSであった。そして、曲げ加工性の評価では、W曲げ試験でクラックを生じない最小曲げ半径Rは、Good Wayで0.05mm、Bad Wayで0.2mmであった。従って、曲げ加工性の指標であるR/tは、Good Wayで0.24、Bad Wayでは0.95である。
実施例4では、実施例3で製造した、厚さ1.8mmの冷間圧延上がりの銅合金条から試験用の銅合金板をサンプリングして出発材料とした。この銅合金板には、更に460℃で2時間の二次時効析出処理を行った。そして、この二次時効析出処理済み銅合金板に加工率80%で冷間圧延を施して厚さ0.36mmの銅合金板とし、460℃で回復熱処理を行った。このときの回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として6%とした。更に、この回復熱処理済み銅合金板を、加工率44%で最終冷間圧延して、厚さ0.20mmの銅合金板とし、440℃の最終回復熱処理を行って試料A−4を得た。この最終回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として4%とした。
上記試料A−4の評価結果は、表2に示すように、引張強さが550N/mm、伸び率が8.6%、ビッカース硬度が159、0.2%耐力が524N/mm、応力緩和率が24%、導電率が66.8%IACSであった。そして、曲げ加工性の評価では、W曲げ試験でクラックを生じない最小曲げ半径Rは、Good Wayで0.05mm、Bad Wayで0.1mmであった。従って、曲げ加工性の指標であるR/tは、Good Wayで0.25、Bad Wayでは0.50である。
この実施例5では、ニッケルを0.79質量%、リンを0.11質量%、スズを0.03質量%、亜鉛を0.14質量%含む銅合金のインゴットを、実施例1と同様にして得た。このインゴットを860℃に加熱し、熱間圧延を施し、厚さ12mmの銅合金板を得た。その後、当該銅合金板を430℃での時効析出処理を3時間行った。更に当該試料を研磨後、加工率78%の冷間圧延を加えた。冷間圧延後の試料の硬度は、ビッカース硬度が177であった。そして、この試料に、更に430℃で3時間の時効析出処理を加えた。この時効処理後の試料のビッカース硬度は126であり、結晶組織に再結晶粒が散在することを確認した。更に、この時効処理後の試料を、加工率62%の冷間圧延を加え、更に380℃の温度で回復熱処理を施した。この回復熱処理によって、ビッカース硬度が1%増加した。このようにして得られた最終段階の試料の厚さは1.0mmである。
Figure 0004714943
<実施例同士の対比>
ここで、表2のデータを参照しつつ、実施例同士を対比する。
試料A−1と試料A−2との対比: 試料A−1と試料A−2とは、合金組成と時効析出処理時間が異なる。そして、機械強度は試料A−1が試料A−2を上回っている。しかし、試料A−2は試料A−1よりも高い導電率を示している。
このように、試料A−2の導電率が高いのは、時効析出処理時間が長いためと考えられる。また、A−1の引張強さが大きいのは、適量のスズを含んでいる効果であると考えられる。
更に、上記試料A−1の物性が得られた背景の理解を容易にするために、中間冷間圧延から最終回復熱処理までの引張強さ、伸び率、ビッカース硬度、0.2%耐力、導電率についての特性推移を、表3に示す。回復熱処理によって、引張強さが低下し、伸び率が上昇し、導電率が上昇している。そして、最終回復熱処理後の引張強さは、中間回復熱処理後の引張強さよりも大きい。この物性の推移から、回復現象を利用すれば、析出硬化型銅合金条の機械強度を強化できることが明白である。
Figure 0004714943
試料A−3とその他実施例試料との対比: 試料A−3の引張強さは実施例の試料中最も大きい。これは、最終冷間圧延の加工率を高く取っているためである。
試料A−4及び試料A−5とその他実施例試料との対比: 試料A−4及び試料A−5は、導電率が特に高いが引張強さが小さい。これは時効処理を2回実施しているためである。ここで、試料A−5の導電率が最も高くなるのは、Ni(質量%)/P(質量%)の値が適正であるが故と考える。即ち、試料A−5のNi(質量%)/P(質量%)の値は7.2であるのに対し、試料A−1〜試料A−4のNi(質量%)/P(質量%)の値は9.1〜9.8である。
更に、応力緩和率も試料A−1が24%、試料A−2が25%、試料A−3が18%、試料A−4が24%、試料A−5が31%と、良好な特性を示している。このように、本件発明に係る製造方法を用いて得られる銅合金条は、析出粒子が均一に分散しているため、応力緩和率は35%以下となるのが通常である。なお、曲げ加工性についても、BadWay曲げのR/tで、試料A−1が0.50、試料A−2が0.50、試料A−3が0.95、試料A−4が0.50であり、ビッカース硬度205を備える試料A−3及び試料厚さの厚い試料A−5が若干劣るものの、総じて良好である。
比較例
[比較例1]
比較例1で作成する試料B−1は、ニッケルを1.90質量%、リンを0.098質量%、スズを0.04質量%、亜鉛を0.11質量%含む銅合金組成とした。当該試料を作成するにあたり、まず、上記成分調整に必要な材料を高周波溶解炉に投入し、木炭カバーをして溶解して溶湯とし、この溶湯を金型に流し込んで鋳造し、厚さ30mmのインゴット5kgを作成した。しかし、その後、このインゴットを900℃に加熱し、熱間圧延により厚みを13mmにする際に、ワレが発生したため、その後の試験は中止した。
[比較例2]
比較例2では、実施例3で作成した熱間圧延上がりの銅合金板を出発材料として用いた。その後、当該銅合金板に、冷間圧延を施して厚さ1.80mmの銅合金板を得た。この銅合金板を460℃で加熱し、回復熱処理を行った。このときの回復熱処理によるビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として4%とした。更に、この回復熱処理済みの銅合金板を厚さ0.60mmまで加工率67%で冷間圧延後、850℃で溶体化処理を施し、460℃で時効析出処理を4時間行った。更にその後、この時効析出処理済み銅合金板を、厚さ0.45mmまで加工率25%で冷間圧延を施し、380℃で回復熱処理を施して試料B−2を得た。なお、このときの回復熱処理による回復熱処理前後のビッカース硬度の低下率がほぼ−1%となるように設定した温度である。
上記試料B−2の評価結果は、表2に示すように、引張強さが441N/mm、伸び率が3.0%、ビッカース硬度が152、0.2%耐力が426N/mm、導電率が61.8%IACSであった。そして、曲げ加工性の評価では、W曲げ試験でクラックを生じない最小曲げ半径Rは、Good Wayで0.30mm、Bad Wayで0.20mmであった。従って、曲げ加工性の指標であるR/tは、Good Wayで0.67、Bad Wayでは0.44である。
[比較例3]
比較例3では、比較例2と同様、実施例3で作成した熱間圧延上がりの厚さ13mmの銅合金板を出発材料として用いた。そして、この銅合金板を厚さ2.50mmまで冷間圧延後、790℃で溶体化処理を施し、430℃で時効析出処理を16時間行った。更にその後、この時効析出処理済み銅合金板を、厚さ0.75mmまで加工率70%で冷間圧延を施し、460℃で回復熱処理を行った。このとき、回復熱処理後のビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として3%であった。更に、当該回復熱処理済み銅合金板を、厚さ0.40mmまで加工率47%で冷間圧延を施し、460℃で回復熱処理を行った。このとき、回復熱処理後のビッカース硬度の低下率は、当該銅合金板の回復熱処理前のビッカース硬度を基準として2%であった。更に、この回復熱処理済み銅合金板を、厚さ0.20mmまで加工率50%で冷間圧延を施し、385℃で加熱し、回復熱処理を施して試料B−3を得た。なお、このときの回復熱処理による当該回復熱処理前後のビッカース硬度の低下率がほぼ−3%になるように設定した温度である。
上記試料B−3の評価結果は、表2に示すように、引張強さが612N/mm、伸び率が4.4%、ビッカース硬度が198、0.2%耐力が601N/mm、導電率が58.6%IACSであった。そして、曲げ加工性の評価では、W曲げ試験でクラックを生じない最小曲げ半径Rは、Good Wayで0.05mm以下、Bad Wayでは0.20mmを超えた。従って、曲げ加工性の指標であるR/tは、Good Wayで0.25以下、Bad Wayでは1.00超である。
<実施例と比較例との対比>
試料B−1は、熱間圧延を施した時にワレが生じ、特性データが得られなかった。このワレは、ニッケル含有量が多くなると、ニッケル、リンを含む低融点化合物が生成されることに起因するものと考えられる。
以下、表2を参照しつつ対比を行う。
試料B−2と実施例の試料との対比: 試料B−2は、2回目の冷間圧延以降は通常の時効析出合金の製造工程に添って製造したものであるが、これでも通常の溶体化・時効析出処理以降の最終冷間圧延における加工率を若干高めにとっている。試料B−2の導電率は高めではあるが、引張強さが小さく、また、伸び率も低い。しかし、試料B−2の曲げ加工性はR/tが0.67であり、機械強度が小さいにもかかわらず優れた曲げ加工性は得られておらず、良好な機械強度と曲げ加工性とのバランスを備えている銅合金条であるとは言えない。
試料B−3と実施例の試料との対比: 試料B−3は、中間と最終の回復熱処理を合計で3回行っているが、回復熱処理によるビッカース硬度の低下率はいずれも4%未満であり、回復熱処理前の冷間圧延における加工率も全て低めとしている。このため、試料B−3は実施例の試料と比べて、伸び率及び曲げ加工性に満足できる効果が得られていないと考えられる。また、試料B−3の曲げ加工性は、R/tが1.0を超えており、実施例の試料と比べると明らかに劣っている。
通常の溶体化・時効析出処理を施した場合の物性変化について、参考のため表4に示す。表4から明らかなように、溶体化・時効析出処理以降の引張強さは、満足できる値を示していない。この結果から、本件発明に係る析出硬化型銅合金条と同様の合金組成を備える銅合金条に対して、時効析出現象を通常の工程通り利用しても、機械強度を強化するという目的を達成するために必要十分な特性を得ることは困難であることが分かる。
Figure 0004714943
本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法は、銅−ニッケル−リン系銅合金インゴットに熱間圧延を施し、その後時効析出処理して時効析出処理済み銅合金条を得る工程、時効析出処理済み銅合金条に加工率50%〜90%で中間冷間圧延とその後施す中間回復熱処理とを施す中間加工を施して回復熱処理済み銅合金条を得る工程、当該回復熱処理済み銅合金条に加工率20%〜95%で最終冷間圧延を施し、その後最終回復熱処理を施す工程を含む。従って、本件発明に係る析出硬化型銅合金条の製造方法を用いれば、時効析出処理で形成される析出粒子の存在の下で、冷間圧延で機械強度を強化した後に回復現象を利用しているため、機械強度、曲げ加工性、導電性のトータルバランスに優れた銅合金条を製造することができる。また、中間加工に時効析出処理を付加することにより、更に導電率を向上させることも可能である。
よって、本件発明に係る製造方法を採用すれば、引張強さ、伸び率、導電性、また、曲げ加工性等のトータルバランスが要求される、自動車のコネクタ−端子、電気電子部品の端子、リレー、スイッチ、ソケット等の通電部材に適用した銅合金条を、高品質で、大幅なコスト上昇を伴わずに提供することが可能となる。
本件発明に係る試料A−1表面の、TEM観察写真(×20000)である。 本件発明に係る試料A−1表面の、EBSP観察写真(×1500)である。

Claims (9)

  1. ニッケルを0.50質量%〜1.50質量%、リンを0.05質量%〜0.20質量%含有残部銅及び不可避不純物よりなる銅合金条の製造方法であって、以下の工程A〜工程Cを含む、回復現象を利用して強化することを特徴とする析出硬化型銅合金条の製造方法。
    工程A: 銅合金インゴットに熱間圧延を施し、その後時効析出処理して時効析出処理済み銅合金条を得る工程。
    工程B: 工程Aで得られた時効析出処理済み銅合金条に、加工率50%〜90%で施す中間冷間圧延とその後施す中間回復熱処理とを1単位として含む中間加工を施し、回復熱処理済み銅合金条を得る工程。
    工程C: 工程Bで得られた回復熱処理済み銅合金条に、加工率20%〜95%で最終冷間圧延を施し、その後最終回復熱処理を施して回復現象を利用して強化した析出硬化型銅合金条を得る工程。
  2. 前記銅合金条において、更に0.04質量%以下のスズ及び0.50質量%以下の亜鉛のうち1種以上が添加されているものである、請求項1に記載の析出硬化型銅合金条の製造方法。
  3. 前記工程Bは、前記1単位の中間加工を複数回繰り返すものである請求項1又は請求項2に記載の析出硬化型銅合金条の製造方法。
  4. 前記工程Bは、前記1単位の中間加工の少なくとも1回は、当該中間回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該中間回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%〜15%とするものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の析出硬化型銅合金条の製造方法。
  5. 前記工程Bは、中間加工前の時効析出処理済み銅合金条に、加工率50%〜90%で冷間圧延を施し、その後、部分的に再結晶組織が現れる二次時効析出処理を行って、二次時効析出処理済み銅合金条とする工程を含むものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の析出硬化型銅合金条の製造方法。
  6. 前記工程Cの最終回復熱処理は、当該最終回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該最終回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%未満とするものである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の析出硬化型銅合金条の製造方法。
  7. 前記工程Cの最終回復熱処理は、当該最終回復熱処理前の銅合金条のビッカース硬度を基準として、当該最終回復熱処理後の銅合金条のビッカース硬度の低下率を4%〜15%とするものである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の析出硬化型銅合金条の製造方法。
  8. 引張強さ500N/mm以上、伸び率5%以上、導電率50%IACS以上の物性を備え、曲げ加工性及び耐応力緩和性が良好な銅合金条を製造するものである請求項1〜請求項7のいずれかに記載の析出硬化型銅合金条の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項3、請求項5〜請求項7のいずれかに記載の析出硬化型銅合金条の製造方法において、
    ニッケルを0.50質量%〜1.50質量%、リンを0.05質量%〜0.20質量%含み、Ni(質量%)/P(質量%)比率の値が6〜10の銅合金インゴットを用いることで、
    引張強さ500N/mm以上、伸び率5%以上、導電率65%IACS以上の物性を備える曲げ加工性及び耐応力緩和性が良好な銅合金条を製造することを特徴とする析出硬化型銅合金条の製造方法。
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