以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のタグラベル作成装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、本実施形態によるタグラベル作成装置(無線タグ情報書き込み装置)2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
図2は、上記タグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
図2において、タグラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部に、カートリッジ100が着脱可能に取り付けられている。
装置本体8は、第2ロール104から繰り出されるカバーフィルム(被印字テープ)103に所定の印字(印刷)を行う印字手段としての印字ヘッド(サーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103と第1ロール(タグテープロール)102から繰り出される基材テープ(タグテープ)101とを貼り合わせつつ印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ100から繰り出すための圧着ローラ駆動軸(駆動手段)12と、印字済タグラベル用テープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行うアンテナ(アクセス用アンテナ)14と、同様に上記無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により信号の送受を行い、印字済みタグラベル用テープ110の搬送経路において無線タグ回路素子Toの位置を検出するタグ位置検出手段としてのアンテナ(位置検出用アンテナ)19と、この例ではこのアンテナ19のテープ搬送方向上流側に設けられ、上記アンテナ19による位置検出情報に基づき上記印字済タグラベル用テープ110を所定のタイミング(切断位置)で所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(詳細は後述)を生成するカッタ(切断手段)15と、無線タグラベルTを搬出口(排出口)16へと搬送し送出する送出ローラ17と、搬出口16における無線タグラベルTの有無を検出する排出センサ18と、それらを収納するように外郭を構成し、カートリッジ100を着脱可能に嵌合させる上記カートリッジホルダ部及び上記搬出口16を備える筐体(ハウジング)9とを有する。
アンテナ14は、一方側(この例では図2の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(この例では、図示および詳細な説明を省略する周知のパッチアンテナ)で構成されるとともに上記第1ロール102の軸方向(図2の紙面に向かって奥側)近傍に配置されており、第1ロール102の基材テープ101の送り出し部分近傍領域Xと通信可能となるように配置されている。なお、この例では第1ロール102の一部が領域Xからはずれているが、第1ロール102のすべてが領域Xに含まれるようにしてもよい。
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14又はアンテナ19を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11、圧着ローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路30とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し例えば通信回線に接続され、この通信回線に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。
図3は、上記カートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
この図3において、カートリッジ100は、筐体100Aと、この筐体100A内に配置され帯状の上記基材テープ101が巻回された上記第1ロール102と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された上記第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープとしつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする(=テープ送りローラとしても機能する)圧着ローラ107とを有する。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で(ピッチP、後述の図9参照)順次形成された上記基材テープ101を巻回している。
基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、適宜の粘着材からなる粘着層101c、剥離紙101dの順序で積層され構成されている。
ベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、情報の送受信を行うアンテナ(タグ側アンテナ)152が一体的に設けられており、これに接続するように情報を更新可能に(書き換え可能rewritableに)記憶するIC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。
ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。なお、この剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記圧着ローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
上記構成のカートリッジ100において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が上記印字ヘッド10に押圧されて当該カバーフィルム103の裏面に当接させられる。
そして、カートリッジ100が上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述の圧着ローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、圧着ローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字R(後述の図7参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープとして形成され、カートリッジ100外へと搬出される。
なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
また、この例では、第1ロール102の繰り出し近傍にガイドローラ120が設けられており、第1ロール102の残量により外径が変化しても装置側のアンテナ14と無線タグラベルTの位置関係が所定の範囲となるように規制して、無線タグ回路素子Toとの通信条件を一定に保つようになっている。
図4は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路21は、制御回路30により切り替えられるアンテナ切替手段としてのアンテナスイッチ(切替)回路341と、このアンテナスイッチ回路341を経てアンテナ14,19を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ14,19により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
アンテナスイッチ回路341は、周知の高周波用FETやダイオードを用いたスイッチ回路であり、制御回路30からの選択信号によりアンテナ14,19のいずれかを送受分離器34に接続するものである。
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase
Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波(無線タグ情報)を、制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14,19に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部33は、アンテナ14,19により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅する受信第1アンプ43と、この受信第1アンプ43の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ42と、上記アンテナ14,19により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器49で位相を90°遅らせた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を増幅する受信第2アンプ47と、この受信第2アンプ47の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ46とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
図5は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図5において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14,19とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部151の駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14,19からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図6(a)及び図6(b)は、上述のようにして無線タグ回路素子Toの情報書き込み及び印字済タグラベル用テープ110の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は下面図である。また図7は、図6中VII−VII′断面による横断面図である。
これら図6(a)、図6(b)、及び図7において、無線タグラベルTは、図3に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、カバーフィルム103側(図7中上側)よりその反対側(図7中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層を構成している。そして、前述のようにベースフィルム101bの裏側に設けられたアンテナ152を含む無線タグ回路素子Toが粘着層101c内に備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
図8は、上述したようなタグラベル作成装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(書き込み又は読み取り)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6に表示される画面の一例を表す図である。
図8において、この例では、タグラベル種別(アクセス周波数及びテープ寸法)、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有のIDであるアクセス(書き込み又は読み取り)ID、上記情報サーバ7に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が上記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、その端末5又は汎用コンピュータ6の操作によりタグラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、後述するようにIC回路部151に上記書き込みID及び物品情報等の無線タグ情報が書き込まれる(又はIC回路部151に予め記憶された上記読み取りID及び物品情報等の無線タグ情報が読みとられる)。
上記のような書き込み(又は読み取り)の際、無線タグ回路素子ToのIDとそのIC回路部151に書き込まれた情報(又はIC回路部151から読みとられた情報)との対応関係は、前述のルートサーバ4に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
以上において、本実施形態の要部は、印字済タグラベル用テープ110をカッタ15で切断して無線タグラベルTを作成する際、その切断位置を決定するための位置決めを、無線タグ回路素子Toの搬送位置をアンテナ19で検出することによって行うことである。以下、その詳細を説明する。
図9は、前述の基材テープ100と印字後のカバーフィルム103とを貼り合わされ、カートリッジ100より排出された印字済タグラベル用テープ110が、搬送されるときの様子を説明するための概念的上面図である。
図9において、この例では、無線タグ回路素子Toはその長手方向(図中左右方向)ほぼ中間位置に上記IC回路部151を備えている。2つのアンテナ152,152のうち、一方のアンテナ152がそのIC回路部151から長手方向一方側(図中左側、搬送方向下流側)へと延設され、他方のアンテナ152が上記IC回路部151から長手方向他方側(図中右側、搬送方向上流側)へと延設され ている。
この無線タグ回路素子Toは、前述のように基材テープ101上にピッチPで配置され、印字済タグラベル用テープ110は当該ピッチP(=2L、後述参照)ごとに切断線CLにて切断され、各無線タグラベルTに分断される。上記IC回路部151は隣接する切断線CL,CLのテープ搬送方向略中間に位置し、そのテープ搬送方向中心線は両切断線CL,CLからL(=2/P)の距離に位置している。このIC回路部151のテープ搬送方向中心線から上記アンテナ151,151の端部までのテープ搬送方向距離はそれぞれAであり、その端部151から切断線CLまでの距離(言い換えれば余白寸法)B=L−Aとなっている。
図10は、図3中R部の詳細配置構造及びアンテナ19による位置検出挙動を表す概念的拡大図である。図10において、前述したように本実施形態のタグラベル作成装置2では、印字済タグラベル用テープ110が圧着ローラ107及びサブローラ109で挟持されつつカートリッジ100より送り出され、カッタ15の位置を超えて所定位置まで搬送されたら(言い換えれば上記切断線CLがカッタ15に対向する位置まで来たら)、カッタ15によって切断線CLの切断を行い、その切断線CLより搬送方向下流側の印字済タグラベル用テープ110が1枚の無線タグラベルTとなる(言い換えれば無線タグラベルTとなる部分の後端側が切断される)。本実施形態では、そのときの位置決め(印字済タグラベル用テープ110の切断線CLがカッタ15位置に来たかどうか)を、アンテナ19と無線タグ回路素子Toとの通信結果に応じて行う。
図11は、このときのアンテナ19と無線タグ回路素子Toとの通信挙動を説明するための図であり、図11(a)はアンテナ19より無線タグ回路素子Toへ問いかけ信号(=無線タグ回路素子Toの位置を検出するための位置検出信号)として送信される信号(この例では全ての無線タグ回路素子に対して応答を求めるScroll
All ID信号)の送信態様の一例を表す図であり、図11(b)は、そのScroll All ID信号に応じて無線タグ回路素子ToのIC回路部151より返信される返信信号(タグID情報等を含む無線タグ情報であるリプライ信号)のアンテナ19での受信態様の一例を表す図である。
図11(a)において、本実施形態では、前述の図10で示すように印字済タグラベル用テープ110を下流側に搬送しながら、アンテナ19から上記Scroll All ID信号を同一の信号強度(好ましくはアンテナ14からの送信信号強度よりは小さい値とする)で送信していく。すると、通信電波は距離が遠いほど減衰する特性があることから、当該送信信号に対するIC回路部151からのリプライ信号のアンテナ19での受信信号強度は、図11(b)に示すように、IC回路部151がアンテナ19に近づくにつれて増大し、IC回路部151がアンテナ19と正対する位置になったときに最大値を示し、この後はIC回路部151がアンテナ19より遠ざかるにつれて減少していく。
本実施形態では、このような受信信号強度(前述したRSSI回路48にて検出されその検出信号が信号処理回路22を介し制御回路30へ入力される)の挙動を利用し、受信信号強度が最大値となるカッタ15とIC回路部151が正対した時点より、さらに距離L(=IC回路部151と切断線CLとの距離に相当、図9参照)−xだけ搬送方向下流側に搬送する。ここで距離xはカッタ15とアンテナ19とのテープ搬送方向距離(設置ずれ距離、図10参照)であり、この距離xを減じるのは、距離Lだけ搬送してしまうと切断線CLがアンテナ19と正対する位置となっていまい、カッタ15と正対する位置よりもxだけ搬送方向下流側にずれてしまうためである。このように受信信号強度が最大値となった位置からL−xだけ搬送することで、カッタ15と上記切断線CLとを自動的に正対させることができ、この時点で搬送を停止し、カッタ15によって切断線CLの切断を行う。
図12は、上述した無線タグラベルTの作成、すなわち、カバーフィルム103を搬送し印字ヘッド10で所定の印字を行いつつアンテナ14より所定の無線タグ情報を書き込んだ基材テープ101を貼り合わせて印字済タグラベル用テープ110とした後、無線タグ回路素子Toごとに上記切断線CLにて切断し無線タグラベルTとする際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
この図12において、タグラベル作成装置2の書き込み操作が行われるとこのフローが開始される。そして、まずステップS10において、上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作された、アンテナ14より無線タグ回路素子ToのIC回路部151へ書き込むべき無線タグ情報と、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字すべき印字情報とが、通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれる。
そして、ステップS15に移り、無線タグ回路素子Toからの応答がなく、リトライを行う回数(アクセス試行回数)をカウントするN、及び通信良好か不良かを表すフラグFを0に初期化する。
その後、ステップS20において、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され圧着ローラ107へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。さらに送出ローラ駆動回路29を介して送出ローラ用モータ28に制御信号を出力し、送出ローラ17を回転駆動させる。以上の結果、前述したように基材テープ101と(後述のように印刷が終了した)カバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ体100外方向へと搬送されていくように、各テープ101,103,110が駆動開始される。
その後、ステップS25に移り、アクセス用アンテナであるアンテナ14側に回路を切り替える。具体的には、アンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、アンテナ14が送受分離器34に接続されるようにアンテナスイッチ回路341を切り替える。
次に、ステップS30において、無線タグ情報を無線タグ回路素子Toに送信して書き込み処理を行う(詳細は後述の図13を参照)。
ステップS30が終了すると、ステップS35に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10を通電して、カバーフィルム103のうち所定の領域(例えば基材テープ101に所定ピッチで等間隔で配置された無線タグ回路素子Toの裏面に貼り合わせることとなる領域)に、ステップS10で読み込んだ文字、記号、バーコード等の印字Rを印刷させる。ステップS35が終了すると、ステップS39に移る。
ステップS39では、フラグF=0であるかどうかが判定される。書き込み処理が正常に完了していればF=0のまま(後述の図13に示すフローのステップS38参照)であるので、この判定が満たされ、ステップS40に移る。
ステップS40では、上記ステップS30で無線タグ回路素子Toへ書き込んだ無線タグ情報と、これに対応して印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせを、入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6を介して出力され、情報サーバ7やルートサーバ4に記憶される。なお、この記憶データは必要に応じて端末5又は汎用コンピュータ6より参照可能に例えばデータベース内に格納保持される。
その後、ステップS50で、カバーフィルム103のうちこの時点で処理対象としている無線タグ回路素子Toに対応する領域への印字がすべて完了しているかどうかを確認した後、ステップS55へ移る。
なお、何らかの理由でステップS200での書き込み処理が正常に完了していない場合はF=1とされている(後述の図13に示すフローのステップS38参照)ので前述のステップS39の判定が満たされず、ステップS45に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10を通電を中止し印字を停止させる。このように印字中途停止によって当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示するようにした後、ステップS55へ移る。
ステップS55では、位置検出用アンテナであるアンテナ19側に回路を切り替える。すなわち、アンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、アンテナ19が送受分離器34に接続されるようにアンテナスイッチ回路341を切り替える。
そして、ステップS60に移り、印字済タグラベル用テープ110がカッタ15で切断されるべき所定位置にまで搬送されたかどうかを判定する。
具体的には、例えば、図11(a)を用いて前述したように、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll
All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Scroll All ID」信号が生成されて高周波回路21を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。その後、上記「Scroll
All ID」信号に対応して読み取り対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(タグID情報等を含む無線タグ情報)をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。この際、図9、図10、及び図11を用いて上述したように、高周波回路21の受信部33のRSSI回路48から信号処理回路22を介し入力される受信信号強度に基づき、IC回路部151がアンテナ19の正対位置に到達したかどうか(受信信号強度が最大となったか)を検出し、その後、その時点からさらに前述のL−xだけ搬送したかどうかを判定する。
受信信号強度が最大となったかどうかについては、図11(a)に一例を示したように連続的にScroll All ID信号を送信したときの各受信信号強度の増減に応じて判断すればよく、例えば図11(a)及び図11(b)に示すよりも単位時間あたり多数のScroll
All ID信号の送信及びリプライ信号受信を行い、直前の受信信号強度と今回受信信号強度との差があるしきい値より小さくなったこと、あるいは直前受信信号強度より今回受信信号強度が小さくなったことをもってピークを迎えたと判断する等とすれば足りる。また、上記距離L−xの判定については、例えば上記圧着ローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23としてパルスモータを用い、そのパルス数をカウントすることで検出すれば足りる。
以上のようにしてステップS60の判定が満たされたら、ステップS70に移る。ステップS70では、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28の駆動を停止して、リボン巻取りローラ106、圧着ローラ107、送出ローラ17の回転を停止する。これにより、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び送出ローラ17による印字済タグラベル用テープ110の搬送が停止する。
なお、前述したようにステップS200の書き込み処理が正常に終了しなかった場合、ステップS45を経た後、上記ステップS55及びステップS60のようにアンテナ19を用いて無線タグ回路素子Toとの通信により位置決めをしてカッタ15による切断を行うようにせず、ステップS45から別途設けたステップS46(図示省略)に移り、予め十分に大きく設定された所定の搬送距離だけ強制的に搬送を行った後、ステップS70に移って搬送停止するようにしてもよい。
ステップS70が終了した後は、ステップS80でソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動し、カッタ15によって印字済タグラベル用テープ110の切断を行う。前述したように、この時点で、カッタ15に正対する位置に切断位置CLが位置しており(但し上記ステップS46を経た場合を除く)、このカッタ15の切断によって、無線タグ回路素子Toに所定の無線タグ情報が書き込まれかつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTが生成される。
その後、ステップS90に移り、送出ローラ用駆動回路29に制御信号を出力し、送出ローラ用モータ28の駆動を再開して、送出ローラ17を回転させる。これにより、送出ローラ17による搬送が再開されて上記ステップS150でラベル状に生成された無線タグラベルTが搬出口16へ向かって搬送され、搬出口16から装置2外へと排出される。
そして最後に、ステップS100で、カートリッジ100内の通信範囲(前述の領域X)に残存する無線タグラベル回路素子Toに備えられたIC回路部151の全無線タグ情報を消去(初期化)する。詳細には、無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記憶された情報を初期化する「Erase」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Erase」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介し通信範囲(上記領域X)内の全無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157を初期化する。
図13は、上記ステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
図13において、図12における前述のステップS25が終了すると、まずステップS201に移り、所望のデータをメモリ部157に書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ回路素子ToのID情報を含む無線タグ情報としての「Program」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して通信可能エリア内(前述の領域X内)にあるすべての無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157に情報が書き込まれる。
その後、ステップS202において、メモリ部157の内容を確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
そして、ステップS203に移り、上記「Verify」信号に対応して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ(応答)信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS204において、上記ステップS203の受信結果に基づき、上記通信エリア内の全無線タグ回路素子Toのうち、少なくとも1つから何らかの有効なリプライ信号(メモリ部157に正常に記憶されたことを表す信号)が受信されたかどうかを判定する。
判定が満たされたら、上記領域X内の少なくとも1つの無線タグ回路素子Toには正しく書き込まれており、領域X内の全無線タグ回路素子Toへの書き込み失敗は回避されていることから、このルーチンを終了する。判定が満たされない場合はステップS205に移ってNに1を加え、さらにステップS206においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS201に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS207に移る。ステップS207では、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせた後、ステップS208でフラグF=1としてこのルーチンを終了する。このようにして情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われる。
上記において、信号処理回路22及び高周波回路送信部32は、各請求項記載の、無線タグ回路素子のIC回路部へのアクセス情報を生成し、アクセス用アンテナを介して前記無線タグ回路素子へ送信し、無線タグ回路素子のIC回路部へのアクセスを行う情報アクセス手段を構成する。高周波回路送信部32はまた、無線タグ回路素子の位置を検出するための位置検出信号を位置検出用アンテナを介して非接触で無線タグ回路素子に送信する位置検出信号送信手段をも構成する。高周波回路受信部33は、この位置検出信号送信手段による位置検出信号に応じてIC回路部より返信される返信信号を位置検出用アンテナを介し非接触で受信する返信信号受信手段を構成する。
制御回路30は、返信信号受信手段における受信信号に応じて、駆動手段によるタグテープの繰り出し動作を停止させる駆動停止制御手段を構成するとともに、 駆動停止制御手段によりタグテープの繰り出し動作が停止したとき、切断手段を駆動制御し、その停止したタグテープを切断位置において切断させる切断制御手段をも構成する。
以上説明した本実施形態のタグラベル作成装置2においては、印字後のカバーフィルム103と、無線タグ回路素子ToのIC回路部151への無線タグ情報の書き込み後の基材テープ101が貼り合わされて印字済タグラベル用テープ110が生成され、この印字済タグラベル用テープ110をカートリッジ100外へ排出してカッタ15で切断し無線タグラベルTを作成する。このようにしてカートリッジ外100へ繰り出した印字済タグラベル用テープ110をカッタ15で切断する際、無線タグ回路素子Toの位置を検出(この例では、アンテナ19を介しIC回路部151との間で行った通信結果にて無線タグ回路素子Toの位置を検出)し、その位置情報に基づき切断線CLにおいて切断を行う。このように無線タグ回路素子To自体の位置を検出してそれに基づき切断を行うことにより、従来技術のように検出用マークを用いなくても、信頼性の高い印字済タグラベル用テープ110の位置決め切断を行うことができる。
また特に、本実施形態では、上記のようにアンテナ19を用いた無線タグ回路素子Toとの通信による位置決め検出の際、アンテナ切替手段としてのアンテナスイッチ回路341を用いてIC回路部151へのアクセス時にはアンテナ14側へ切り替え、無線タグ回路素子Toの位置検出の時にはアンテナ19側へ切り替えるようにすることで、信号送受信に用いる回路(高周波回路21の送信部32、受信部33、及び送受分離器34等)を共用することができる。
さらに本実施形態では特に、上記無線タグ回路素子Toの位置を検出するためにアンテナ19より送信する位置検出信号(Scroll
All ID信号)の送信電力を、情報アクセスのためにアンテナ14より送信するときの送信電力よりも小さい電力で送信するので、位置検出信号の信号到達範囲を比較的小さくすることができ、精度の高い印字済タグラベル用テープ110の位置決めを行うことができる。
また特に、本実施形態では、上記位置決めを行って印字済タグラベル用テープ110の搬送動作停止したとき(図12のステップS60及びステップS70)、ステップS80にてカッタ15を駆動制御することで、自動的にテープ切断を行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態以外にも、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
(1)シールド部材を設ける構成
図14は、この変形例において、印字済タグラベル用テープ110が搬送されアンテナ19で位置検出を行うときの挙動を表す図であり、前述の図10にほぼ相当する図である。
図14において、この例では、カッタ15の搬送方向下流側に、搬送方向に直角に立設された出口壁部131と、搬送方向に沿うように配置されたガイド壁部132とを有し、公知の電波強度低減機能を備えた材質からなるシールド部材(シールド手段)130が、タグラベル作成装置2側に設けられている。出口壁部131には印字済タグラベル用テープ110を通過させる開口部131Aが設けられており、またガイド壁部132のうち出口壁部131側の部分にも開口部132Aが設けられ、この開口部132Aに上記位置検出用のアンテナ19が設けられている。
この結果、シールド部材130は、全体として、上記開口部131A,132Aにおいて無線タグ回路素子Toとの信号送受を許容する一方、これら開口部131A,132A以外の部分ではその送受される信号強度を低減する。
図15(a)及び図15(b)は、本変形例における上記の受信信号強度の挙動を表したものであり、図15(a)はアンテナ19より無線タグ回路素子Toへ送信されるScroll All ID信号の送信態様の一例を表す図、図15(b)はそれに応じて無線タグ回路素子Toより返信されるリプライ信号の受信態様の一例を表す図であり、それぞれ前述の図11(a)及び図11(b)に相当する図である。
これら図15(a)及び図15(b)において、上記シールド部材130のシールド機能によって、印字済タグラベル用テープ110の搬送によって無線タグ回路素子Toが開口部131Aに到達してアンテナ19側に出現(露出)するまでは受信信号強度は非常に小さく(あるいはほとんどなく)、無線タグ回路素子Toが開口部131Aよりアンテナ19側に出現(露出)すると、アンテナ19と無線タグ回路素子Toとの距離に応じた受信信号強度が生じる。本変形例では、この受信信号強度の挙動を利用し、受信信号強度が(比較的小さい)所定値以上となったことで無線タグ回路素子Toの先端部(搬送方向下流側に位置するアンテナ152の先端)がアンテナ19と正対したとみなし、この時点よりさらに距離2L−xだけ搬送方向下流側に搬送し、カッタ15と上記切断線CLとを自動的に正対させて搬送を停止し、カッタ15によって切断線CLの切断を行う。シールド部材130を介在させることで図15(b)に示すように受信信号強度とIC回路部151との対応付けをさらに明確にできるので、さらに精度の高い位置決めを行うことができる。またそのシールド機能によって、この信号送受が他の装置へ与える影響及びこの信号送受が他の装置より受ける影響を少なくすることもできる。
(2)位置検出精度をさらに高めるシールド構造及びタグ配置
図16は、本変形例において、カートリッジ100より排出された印字済タグラベル用テープ110が搬送されるときの様子を説明するための概念的上面図であり、前述の図9に対応する図である。図16に示すように、長手方向ほぼ中間位置にIC回路部151を備えその長手方向両端側にアンテナ152,152を延設した無線タグ回路素子Toが、当該長手方向をテープ搬送方向に対し所定の角度で斜めを向くようにして、等ピッチPにて配置されている。
図17(a)は、アンテナ19による位置検出挙動を表す図であり、上記図10や図14に相当する図である。また図17(b)は、図17(a)中Q方向から見た矢視下面図(裏面図)である。
これら図17(a)及び図17(b)において、この例では、カッタ15の搬送方向下流側に、搬送方向に直角に立設された縦壁部141及び搬送方向に沿うように配置された横壁部142とを備えた略箱形状を有し、公知の電波強度低減機能を備えた材質からなるシールド部材(シールド手段)140が、タグラベル作成装置2側に設けられている。横壁部142には、前述の印字済タグラベル用テープ110における無線タグ回路素子Toの形状・配置向きにほぼ合致した形状・向きの開口部(スリット)142Aが設けられており、このスリット142Aの直近に上記位置検出用のアンテナ19が設けられている。
このような印字済タグラベル用テープ110における無線タグ回路素子Toの斜め配置及びこれに合致したスリット142Aの形状の結果、略箱形のシールド部材140は、印字済タグラベル用テープ110が搬送されて無線タグ回路素子Toが上記スリット142Aに到達したとき(比較的短い瞬間)のみにおいて無線タグ回路素子Toをアンテナ19側に露出させそれらの間の信号送受を許容する。その一方、それ以外の期間ではアンテナ19にて送受される信号強度を著しく低減する(ほとんど信号強度を0にする)ようになっている(言い換えれば一瞬のみ露出させ、それ以外は無線タグ回路素子Toを隠す)。
図18(a)及び図18(b)は、本変形例における上記の受信信号強度の挙動を表したものであり、図18(a)はアンテナ19より無線タグ回路素子Toへ送信されるScroll All ID信号の送信態様の一例を表す図、図18(b)はそれに応じて無線タグ回路素子Toより返信されるリプライ信号の受信態様の一例を表す図であり、それぞれ前述の図11(a)や図15(a)、及び図11(b)や図15(b)に相当する図である。
これら図18(a)及び図18(b)において、前述したように、本変形例においては、上記シールド部材140のシールド機能によって、印字済タグラベル用テープ110の搬送によって無線タグ回路素子Toがスリット142Aに到達しアンテナ19側に露出したときのみアンテナ19ではスリット142Aを介し著しく高い受信信号強度を得ることができ、それ以外ではアンテナ19での受信信号強度はほとんど0となる。本変形例では、この受信信号強度の挙動を利用し、受信信号強度が0より大きく(あるいは0に近い所定値以上に)なったことでIC回路部151が正対したとみなす。図17(a)に示すように、この例ではスリット142Aの中心位置とカッタ15との距離が上記Lとなるように予め設定されており、IC回路部151が上記のようにスリット142Aを介しアンテナ152に正対したら(=カッタ15と上記切断線CLとが正対していることとなる)自動的に搬送を停止し、カッタ15によって切断線CLの切断を行う。シールド部材140のスリット142Aを介在させることで上記(1)の変形例よりもさらに受信信号強度とIC回路部151との対応付けを明確にできるので、さらに精度の高い位置決めを行うことができる。また箱形形状のシールド部材140のシールド機能によって、この信号送受が他の装置へ与える影響及びこの信号送受が他の装置より受ける影響をさらに少なくすることができる。
(3)情報読みとりを行う場合
以上においては、無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報を送信しIC回路部151に書き込みを行う場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、予め所定の無線タグ情報(タグ識別情報等)が書き換え不可に記憶保持されている読み取り専用の無線タグ回路素子から無線タグ情報を読み取りながら、これに対応する印字を行ってラベルを作成する場合があり、このような場合にも適用可能である。
この場合には、図3に示すカートリッジ構造においてロール102内に領域Xが入り込まないように(ロール102内の無線タグ回路素子Toとは通信しないように)適宜のシールド手段等を設けた上で、図12におけるステップS10においては印字情報のみを読み込み、ステップS200で無線タグ情報の読み込み処理を行うようにすればよい(詳細は後述の図19参照)。その後ステップS40では印字情報とその読み込んだ無線タグ情報との組み合わせを保存する。
図19は、上記無線タグ読み込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。
図19において、情報読み取り対象とする無線タグ回路素子Toがアンテナ14近傍に搬送されてきたら、ステップS301において、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll
All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Scroll All ID」信号が生成されて高周波回路21を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
次に、ステップS302において、上記「Scroll All ID」信号に対応して読み取り対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(タグID情報等を含む無線タグ情報)をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS303において、上記ステップS302で受信したリプライ信号に誤りがないか否かを公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて判定する。
判定が満たされない場合はステップS304に移ってNに1を加え、さらにステップS305においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS301に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS306に移り、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する読み取り失敗(エラー)表示を行わせた後、ステップS307でフラグF=1としてこのルーチンを終了する。このように、情報読み取りが不調でも5回までは再試行が行われることにより、書き込み信頼性の確保上、万全を期すことができる。
ステップS303の判定が満たされた場合、読み取り対象とする無線タグ回路素子Toからの無線タグ情報の読み取りが完了し、このルーチンを終了する。
以上のルーチンにより、カートリッジ内の読み取り対象の無線タグ回路素子Toに対し、IC回路部151の無線タグ情報(タグID情報、物品情報等)にアクセスし、これを読み出すことができる。
(4)その他
(A)アクセス用アンテナの配置位置
なお、以上の実施形態及び(1)〜(3)の変形例においては、アンテナ14の配置個所として、上述した領域Xを通信可能とするように配設した場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。要は、第1ロール102等から順次送り出される基材テープ101等が、最終的にアンテナ14等からの送信電波が届かない位置に到達する前に必ず通過する経路位置に対し、通信可能な配設位置であれば足りる。この場合も上記と同様の効果を得る。
(B)停止させてアクセス
以上においては、印刷動作に伴いカートリッジ100等の内部を移動中の基材テープ101に対して情報書き込み又は読み取りを行う例を示したが、これに限られず、基材テープ101等を所定位置で停止させて(さらに所定の搬送ガイドにて保持した状態で)上記情報書き込み又は読み取りを行うようにしてもよい。この場合も上記と同様の効果を得る。
(C)印字タイミング
以上においては、無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の書き込み又は読み取りを開始した後に印字を開始したが、これに限られず、その逆に印字を開始した後、書き込みを行ってもよい。この場合も同様の効果を得る。
(D)印字を行わない場合
以上においては、カバーフィルム103に印字ヘッド10により印刷を行い、これによって印字R付きの無線タグラベルTとしたが、印字Rは必ずしも必要でなく、印字なしの無線タグラベルとしてもよい。この場合も、カッタ15による切断時に信頼性の高いテープの位置決め切断を行うことができるという上記と同様の効果を得る。
(E)手動切断
以上においては、図12のステップS80に示したように、タグ位置検出手段としてのアンテナ19による無線タグ回路素子Toの位置検出信号に応じて、切断手段としてのカッタ15が自動的に切断を行う場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、上記位置検出をおこなった後に、カッタ15による切断位置において自動的に印字済みタグラベル用テープ110を停止させ、この停止後は例えば通信回線3を介した端末5又は汎用コンピュータ6等からの手動操作信号によりカッタ15を駆動して手動操作による切断を行うようにしてもよい。この場合も、上述したように、カッタ15による切断時に信頼性の高いテープの位置決め切断を行えるという、本発明本来の効果を得ることができる。
(F)規格等
さらに、以上で用いた「Scroll All ID」信号、「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号とは、EPC globalが策定したAuto−ID仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。