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JP4707278B2 - 吐出製品 - Google Patents

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JP4707278B2
JP4707278B2 JP2001232002A JP2001232002A JP4707278B2 JP 4707278 B2 JP4707278 B2 JP 4707278B2 JP 2001232002 A JP2001232002 A JP 2001232002A JP 2001232002 A JP2001232002 A JP 2001232002A JP 4707278 B2 JP4707278 B2 JP 4707278B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出製品に関する。さらに詳しくは、1本の吐出製品で2液以上の反応または相溶による効果が得られる吐出製品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来の2液反応型吐出製品は、反応成分を別々に配合した内容物を別々の容器に充填し、2本の吐出製品を連結させて同時に吐出させ、吐出させた内容物を混合することにより反応成分を反応させ、そのとき発現する効果を得ている。
【0003】
そのため、容器やバルブなどが複数個必要になり、さらに、容器を連結させる結合部材や、複数の内容物を同時に吐出させ、該吐出物を混合する特殊な吐出部材が必要となる。
【0004】
また、このタイプの吐出製品は所定の効果を得るために、各吐出製品からの吐出物の量を調整する必要があり、内容物の粘度やバルブの孔径、製品圧力など、多くの要素について検討しなければならない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1本の吐出製品で2液以上の反応または相溶による効果が得られる吐出製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
配合される成分の一部が他の成分と反応または相溶する2成分以上を内容物中に分離した状態で含み、かつ、1つの容器に充填した吐出製品であって、吐出物に剪断を加えることで前記成分が反応または相溶を開始する吐出製品(請求項1)、
反応または相溶する成分を分離する手段が、内容物の粘度の違い、比重の違い、相溶性の違いまたは界面での膜の形成による請求項1記載の吐出製品(請求項2)、
容器が、一般的なエアゾール用容器、ピストン型2重容器または袋型2重容器である請求項1または2記載の吐出製品(請求項3)、
反応する成分同士の反応が、中和反応、イオン交換反応、水和反応、酸化還元反応である請求項1、2または3記載の吐出製品(請求項4)、および
反応する成分同士が反応して発現する効果が、発熱、冷却、増粘、発色(変色)、膜形成である請求項1、2、3または4記載の吐出製品(請求項5)
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の吐出製品は、配合される成分の一部が他の成分と反応または相溶する2成分以上を内容物中に分離した状態で含み、かつ、1つの容器に充填した吐出製品であって、吐出物に剪断を加えることで前記成分が反応または相溶を開始する吐出製品である。前記反応または相溶する成分を、以下、配合成分ともいう。
【0008】
前記配合される成分の一部が他の成分と反応または相溶するというのは、2種以上の配合成分同士が混合・接触することにより反応または相溶することを意味し、具体的には、内容物中に分離された状態で配合されている成分同士が反応または相溶すること、または配合成分と該配合成分が配合されていないもう1つの異なる相を形成する溶媒とが反応または相溶することを意味する。配合成分同士または配合成分と該配合成分が配合されていないもう1つの異なる相を形成する溶媒とが反応または相溶するため、たとえば発熱、冷却、増粘、発色、変色、膜形成などがおこり、所望の効果が得られる。
【0009】
前記配合成分を内容物中に分離した状態で含有せしめるというのは、互いに反応または相溶する成分が直接混合・接触する状態にならないように含有せしめることを意味する。このように、互いに反応または相溶する成分が直接混合・接触する状態にならないように内容物中に含有せしめるため、該内容物を1本の吐出容器に充填した吐出製品にした場合にも、容器中では配合成分同士が反応または相溶することがなく、長期間にわたって使用することができる吐出製品を得ることができる。
【0010】
前記直接混合・接触する状態にならないようにする方法としては、たとえば含有させる各配合成分を含む内容物の粘度、比重、相溶性の違いまたは界面での膜の形成などにより、各配合成分が直接混合・接触する状態にならないようにして含有せしめる方法があげられる。具体的な方法としては、以下の方法があげられるが、必要により、これらの方法を組み合わせて実用に供することができる。
【0011】
各配合成分を含む内容物の粘度の違いにより、各配合成分が直接混合・接触する状態にしないように内容物中に含有せしめる方法としては、各内容物の粘度差により、容器内で分離した状態、好ましくは内容物が液密となり、分離した状態にすることにより、各配合成分が直接混合・接触する状態にならないように、内容物中に含有せしめる方法があげられる。
【0012】
各配合成分を含む内容物の比重の違いにより、各配合成分が直接混合・接触する状態にしないように内容物中に含有せしめる方法としては、各内容物の比重の違いにより、容器内で上下に分離した状態、好ましくは内容物が液密となり、分離した状態にすることにより、各配合成分が直接混合・接触する状態にならないように内容物中に含有せしめる方法があげられる。
【0013】
各配合成分を含む内容物の相溶性の違いにより、各配合成分が直接混合し、接触する状態にならないように内容物中に含有せしめる方法としては、各内容物が相溶しないようにし、各配合成分が直接混合・接触する状態にならないように内容物中に含有せしめる方法があげられる。
【0014】
各配合成分を含む内容物の界面での膜の形成により、各配合成分が直接混合・接触する状態にならないように内容物中に含有せしめる方法としては、各内容物の界面に界面活性剤や粉末を存在させて膜を形成し、各配合成分を隔離し、互いに直接混合・接触する状態にならないように内容物中に含有せしめる方法があげられる。
【0015】
実用に供することができる具体的な方法としては、たとえば表1に記載の2液型内容物および表2に記載の3液型内容物などがあげられる。
【0016】
【表1】
Figure 0004707278
【0017】
【表2】
Figure 0004707278
【0018】
図1は、表1の内容物(a)〜(e)に記載の2液型内容物および表2の内容物(f)に記載の3液型内容物が容器内に存在する状態を示す説明図である。
【0019】
図1の内容物(a)は、A剤(上相)およびB剤(下相)がともにW/O型相であり、A剤(上相)は、配合成分(反応または相溶により、所望の効果を得るための成分)を含む親水性の不連続相1が連続相である油相3中に乳化または分散(以下、乳化・分散ともいう)しており、B剤(下相)は、配合成分を含む親水性の不連続相2が連続相である油相4中に乳化・分散している。油相3と油相4とは互いに相溶せず、異なる相として存在するため、それらのそれぞれに含まれる親水性の不連続相1と親水性の不連続相2とが実質的に混合して接触する状態にはなりにくく、実質的に反応したり相溶したりしない。
【0020】
親水性の不連続相1を形成する親水性液体の具体例としては、たとえば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの親水性アルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどの親水性ケトン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの親水性エーテル、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドなどのその他の親水性溶媒があげられる。これらのうちでは、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの揮発性の親水性液体が、吐出後、速やかに揮発し、配合成分同士が混合・接触しやすく、したがって、反応または相溶しやすく、効果を発現しやすい点から好ましい。
【0021】
前記親水性の不連続相1に含まれる配合成分の具体例としては、たとえば色素、染料、過酸化水素、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水溶性高分子、pH調整剤(酸性成分またはアルカリ成分)、多価アルコール、無機粉体などがあげられる。
【0022】
油相3を構成する油成分の具体例としては、下記のごとき成分があげられる。
炭化水素:プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、イソパラフィン、灯油など
高級アルコール:ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなど
脂肪酸エステル油:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、イソオクタン酸セチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、コハク酸ジエトキシエチルなど
脂肪酸:オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸など
シリコーンオイル:メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなど
ロウ類:液状ラノリンなど
油脂類:オリーブ油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、パーム油など。
【0023】
これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうちでは、炭化水素、高級アルコール、脂肪酸エステル油、脂肪酸が、比重が小さく、B剤と分離しやすい点から好ましい。
【0024】
なお、油相3を構成する前記液状の油成分に、下記常温で固体の油成分を溶解させたものを使用してもよい。
固状炭化水素:ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックスなど
固状脂肪酸:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など
固状高級アルコール:セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロールなど
固状エステル油:ミリスチン酸ミリスチル、酢酸ラノリン、乳酸セチルなど
固状ロウ類:ミツロウ、ラノリン、鯨ロウなど。
【0025】
前記固体の油成分を溶解させる割合としては、混合した油成分が常温で液状を保つ範囲であるのが好ましい。
【0026】
前記油成分の中から、油相4と互いに相溶せず、親水性の不連続相1を乳化・分散させることができるものを選んで使用すればよい。
【0027】
親水性の不連続相2を形成する親水性液体の具体例としては、親水性の不連続相1を形成する親水性液体の具体例としてあげたものを、親水性の不連続相1を形成する親水性液体の場合と同様に使用することができる。
【0028】
また、親水性の不連続相2に含まれる配合成分としては、親水性の不連続相1に含まれる配合成分と反応・相溶し、所望の効果が得られる成分があげられる。
【0029】
親水性の不連続相2に含まれる配合成分の具体例としては、たとえば色素、染料、過酸化水素、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水溶性高分子、pH調整剤(酸性成分、アルカリ成分)、多価アルコール、無機粉体などがあげられる。
【0030】
親水性の不連続相2が乳化・分散する油相4としては、親水性の不連続相1が乳化・分散する油相3と相溶性を有さないものが、不連続相1と2とを確実に分離することができ、不連続相中に含まれる配合成分を未反応・未相溶の状態で長期間保存できる点から好ましい。
【0031】
油相4を構成する油成分の具体例としては、たとえば前述の炭化水素、流動パラフィン、高級アルコール、脂肪酸のエステル油、脂肪酸、シリコーンオイル、油脂類、ロウ類などがあげられる。これらのうちでは、油相3として好適に使用される炭化水素、高級アルコール、脂肪酸エステル油、脂肪酸などと相溶しないシリコーンオイル、油脂類などが、比重が大きく、A剤と異なった相を形成しやすい点から好ましい。
【0032】
前記親水性の不連続相1に含有せしめられる配合成分と、親水性の不連続相2に含有せしめられる配合成分との組み合わせとしては、配合成分同士が、たとえば中和反応、水和反応、酸化・還元反応、イオン交換反応、溶解などする成分があげられる。
【0033】
前記配合成分同士が中和反応をする配合成分の組み合わせとしては、水溶性高分子とpH調整剤(酸性成分またはアルカリ性成分)、たとえばカルボキシビニルポリマーとアルカリ成分、アクリル酸/スレアレス共重合体やアクリル酸/セテス共重合体とアルカリ成分、アクリル酸/アミノアクリル酸/PEG・アルキル(炭素数10〜20)共重合体と酸性成分などがあげられる。これらは、頭髪用セット剤や染毛剤、ほてり止め、冷却剤などの用途に用いることができ、内容物(吐出物)を増粘させることにより付着性を向上させたり、冷却感の持続性を向上させたりする効果を得ることができる。
【0034】
前記配合成分同士が水和反応をする配合成分の組み合わせとしては、たとえばグリセリンやジエチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコールと水、無水ケイ酸、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機粉体と水などがあげられる。これらは、保湿クリームやクレンジング、パック、シェービングフォームなどの用途に用いられ、温熱感を得ることができる。
【0035】
前記配合成分同士が酸化・還元反応をする配合成分の組み合わせとしては、たとえばパラフェニレンジアミンなどの染料と過酸化水素、亜硫酸ナトリウムと過酸化水素、チオ硫酸ナトリウムと過酸化水素などがあげられる。これらは、染毛剤、保湿クリーム、クレンジング、パック、シェービングフォームなどの用途に用いられ、染毛、発熱による血行促進、皮膚軟化などの効果を得ることができる。
【0036】
前記配合成分同士がイオン交換反応をする配合成分の組み合わせとしては、たとえばアルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムなどがあげられる。これらの組み合わせの場合には、保護膜以外にも食品や遊戯具、趣向品などの用途に用いられ、膜形成効果を得ることができる。
【0037】
前記配合成分同士が溶解する配合成分の組み合わせとしては、たとえば尿素と水などがあげられる。これらの組み合わせの場合には、皮膚軟化剤、角質除去剤、軟膏などの用途に用いられ、吸熱による冷却感効果を得ることができる。
【0038】
前記親水性の不連続相1、2に含まれる反応成分などの配合成分の割合は、配合成分の種類、得ようとする効果などにより異なるため一概に規定することはできないが、たとえば中和反応による増粘効果を目的とする場合には、0.01〜20重量%(以下、%という)、さらには0.05〜15%であるのが、反応後の吐出物が適度な粘度を有し、付着性やぬりのばしやすさなどの使用感にすぐれている点から好ましい。水和反応による温熱効果を目的とする場合には、水和する成分が50〜100%、さらには60〜100%と水和させる水が0.01〜20%、さらには0.1〜10%であるのが、適度な温熱感が得られる点から好ましい。酸化還元反応による発熱効果を目的とする場合には、0.5〜40%、さらには1〜30%であるのが、吐出物を適度な温度にすることができる点から好ましく、また、酸化還元反応による発色効果を目的とする場合には、0.1〜15%、さらには0.5〜10%であるのが、たとえば毛髪を適度に染色することができ、かつ、頭皮や頭髪への刺激が少ない点から好ましい。
【0039】
また、A剤(上相)に含まれる親水性の不連続相1の割合およびB剤(下相)に含まれる親水性の不連続相2の割合は、いずれも安定なW/O型相となる点から、1〜90%、さらには3〜87%であるのが好ましい。
【0040】
なお、親水性の不連続相1を油相3に、また、親水性の不連続相2を油相4に乳化・分散させるために、通常、乳化剤などの1種以上が含有せしめられるが、これらの使用割合は、乳化剤の場合、0.1〜30%、さらには0.3〜27%であるのが、使用感や安定性の点から好ましい。
【0041】
前記乳化剤の具体例としては、たとえば非イオン型界面活性剤、陽イオン型界面活性剤、陰イオン型界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤などがあげられる。
【0042】
A剤とB剤との充填割合は、75/25〜25/75であるのが、配合成分が反応しやすく、効果が発揮しやすくなる、A剤とB剤の吐出割合で吐出できる点から好ましい。
【0043】
前記内容物(a)における割合は、いずれも仕込比から求めたものである。
【0044】
図1の内容物(b)は、A剤(上相)がW/O型相であり、B剤(下相)が油相である。A剤(上相)では、配合成分を含む親水性の不連続相1が連続相である油相3中に乳化・分散しており、B剤(下相)では、配合成分が油相5中に溶解している。油相3と油相5とは互いに相溶せず、異なる相となるため、親水性の不連続相1と油相5とは実質的に混合して接触する状態にはならず、それぞれに含まれる成分も反応したり相溶したりしない。
【0045】
A剤(上相)は、内容物(a)の場合と同じであるため、説明は省略する。
【0046】
B剤(下相)である油相5を形成する油成分の具体例は、内容物(a)の場合における油相4の具体例と同じである。異なるのは、配合成分が、内容物(a)の場合、親水性の不連続相2中に溶解したものが油相4中に乳化・分散しているのに対して、内容物(b)の場合、該油成分中に直接溶解または分散している点である。このため、親水性の不連続相2に含まれる配合成分は、親水性液体に溶解しやすいものが好ましいが、油相5に含まれる配合成分は、油成分に溶解または分散しやすいものが好ましく、油相3には溶解または分散しにくいものが好ましい。
【0047】
前記油相5に含まれる配合成分の具体例としては、たとえば尿素、油溶性の色素や染料などがあげられる。
【0048】
油相5に含有せしめられる配合成分の量は、基本的にはA剤に含有される配合成分と反応または相溶する量になるが、配合成分の種類、得ようとする効果などにより異なるため一概に規定することはできない。たとえば冷却効果を得たい場合には、1〜40%、さらには3〜30%であるのが、適度に吐出物が冷却され、すぐれた使用感が得られる点から好ましく、また、染毛剤(発色・変色効果)に使用する場合には、0.1〜15%、さらには0.5〜10%であるのが、染毛効果や配合成分の安定性の点から好ましい。
【0049】
内容物(b)の具体例としては、A剤として、水を乳化・分散させたW/O型相を使用し、B剤として、尿素が溶解しない油成分に、たとえば分散剤を用いて尿素を直接分散させた相を使用し、尿素がA剤の水に溶解するときの冷却効果を得る例があげられる。
【0050】
A剤とB剤との充填割合は、75/25〜25/75であるのが、配合成分が反応しやすく、効果が発揮しやすくなる、A剤とB剤の吐出割合で吐出できる点から好ましい。
【0051】
前記内容物(b)における割合は、いずれも仕込比から求めたものである。
【0052】
なお、A剤(上相)がW/O型相、B剤(下相)が油相である形態について説明したが、本発明ではA剤が油相、B剤がW/O型相であってもよく、配合成分の溶解性やW/O型相の形成しやすさなどを考慮して連続相および油相とする油成分を適宜選択し、どちらの形態でも実施することができる。
【0053】
図1の内容物(c)は、A剤(上相)がW/O型相であり、B剤(下相)が親水性相である。A剤(上相)では、配合成分を含む親水性の不連続相1が連続相である油相3中に乳化・分散しており、B剤(下相)では、配合成分が親水性相6中に溶解して含有されている。油相3と親水性相6とは互いに相溶せず、異なる相となるため、親水性の不連続相1と親水性相6とは実質的に混合して接触する状態にはならず、それぞれに含まれる成分も反応したり相溶したりしない。
【0054】
A剤(上相)は、内容物(a)の場合と同じであるため、説明は省略する。
【0055】
B剤(下相)である親水性相6を形成する親水性液体の具体例は、内容物(a)の場合における親水性の不連続相1の具体例と同じである。異なるのは、配合成分が、内容物(a)の場合、親水性の不連続相2中に溶解したものが油相4中に乳化・分散しているのに対して、内容物(c)の場合、親水性相6中に直接溶解または分散している点である。それゆえ、親水性相6に含まれる配合成分は、親水性液体に溶解・分散しやすいものが好ましく、親水性の不連続相2に含まれる配合成分と同じものが親水性相6中に溶解・分散されていればよい。親水性相6の場合、内容物(a)における親水性の不連続相2と比較して、通常、多量に使用されるため、反応または相溶に必要な成分量の差が大きい場合などに適する。
【0056】
親水性相6に含有せしめられる配合成分の量は、基本的にはA剤に含有される配合成分と反応または相溶する量になるが、配合成分の種類、得ようとする効果などにより異なるため一概に規定することはできない。たとえば水和反応による温熱効果を得たい場合には、50〜100%、さらには60〜100%であるのが、適度に温熱感が得られ、すぐれた使用感が得られる点から好ましく、また、中和反応を利用して頭髪や人体に使用するゲル製品に使用する場合には、0.1〜15%、さらには0.2〜10%であるのが、吐出物が適度に増粘し、付着性や冷却感の保持効果などの点から好ましい。酸化還元反応による発熱効果を目的とする場合には、0.5〜40%、さらには1〜30%であるのが、吐出物を適度な温度にすることができる点から好ましい。
【0057】
内容物(c)の具体例としては、A剤として、水を乳化・分散させたW/O型相を使用し、B剤として、グリセリン、ジエチレングリコールなどの多価アルコールを使用し、水と多価アルコールとが混合するときの水和熱を用いる例、さらにB剤として、前記多価アルコール中にゼオライトや無水ケイ酸、炭酸ナトリウムなどの無機粉体を、たとえば分散剤を用いて分散させ、水と無機粉体が混合するときの水和熱を用いる例、A剤として、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ成分、またはグリコール酸、クエン酸、コハク酸、乳酸などの酸性成分を含む親水性不連続相1を油相3に乳化・分散させたW/O型相を使用し、B剤として、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸/ステアレス共重合体、アクリル酸/セテス共重合体、アクリル酸/アミノアクリル酸/ポリエチレングリコール・アルキル(炭素数10〜20)共重合体などの水溶性高分子を含む親水性相6を使用し、これらの配合成分が混合、中和したときに生ずる増粘などを利用する例、A剤として、チオ硫酸ナトリウムを配合した水相を乳化させたW/O型相を使用し、B剤として、過酸化水素水を配合した水相を使用し、チオ硫酸ナトリウムと過酸化水素とが酸化・還元し、発熱する例、A剤として水を乳化・分散させたW/O型相を使用し、B剤としてニトロセルロースやエチルセルロースなどの樹脂をアセトンやメチルエチルケトンなどの親水性溶剤に溶解させた親水性相を使用し、親水性溶剤が水に溶解することにより樹脂が析出して被膜を形成する例などがあげられる。
【0058】
A剤とB剤との充填割合は、75/25〜25/75であるのが、配合成分が反応しやすく、効果が発揮しやすくなる、A剤とB剤の吐出割合で吐出できる点から好ましい。
【0059】
前記内容物(c)における割合は、いずれも仕込比から求めたものである。
【0060】
なお、A剤(上相)がW/O型相、B剤(下相)が親水性相である形態について説明したが、本発明ではA剤が親水性相、B剤がW/O型相であってもよく、W/O型相の形成しやすさや安定性などを考慮して、連続相とする油成分を適宜選択し、どちらの形態でも実施することができる。
【0061】
図1の内容物(d)は、内容物(c)におけるB剤に油成分が分散したもの、あるいは内容物(c)のB剤が親水性相6中に配合成分が直接溶解または分散するかわりに、配合成分の溶解または分散した油性の不連続相7が、親水性の連続相8中に乳化分散したものである。すなわち、A剤(上相)がW/O型相であり、B剤(下相)がO/W型相である。A剤(上相)では、配合成分を含む親水性の不連続相1が連続相である油相3中に乳化・分散している。B剤(下相)では、油性の不連続相7が親水性の連続相8中に乳化・分散しており、配合成分は、前者では連続相8中に溶解し、後者では油性の不連続相7中に溶解している。油相3と親水性の連続相8とは互いに相溶せず、異なる相となるため、親水性の不連続相1と親水性の連続相8および油性の不連続相7とは実質的に混合して接触する状態にはならない。
【0062】
A剤(上相)は、内容物(a)の場合と同じであるため、説明は省略する。
【0063】
B剤(下相)を構成する油性の不連続相7を形成する油成分の具体例としては、前者の場合には、プロパンやブタン、ペンタンなどの蒸気圧を有する炭化水素を含む油成分があげられ、前記炭化水素は発泡剤として作用し、泡状で吐出したり、吐出後発泡させることができる。後者の場合には、とくに限定はなく、A剤で用いた油成分3と相溶するものであってもよい。また、A剤の油成分3と相溶しない油成分を用いた場合には、吐出製品を長期間保存した場合であっても、配合成分を安定に分離した状態で保存することができる。
【0064】
また、配合成分としては、親水性の不連続相1に含まれる配合成分と反応または相溶し、所望の効果が得られる成分があげられる。
【0065】
前記配合成分の具体例としては、前者の場合、内容物(c)で例示したものと同じ配合成分を用いることができる。後者の場合、たとえば油溶性の色素や染料などがあげられる。
【0066】
前記油性の不連続相7が乳化・分散する親水性の連続相8としては、親水性の不連続相1が乳化・分散する油相3と相溶性を有さないものが、配合成分を未反応または未相溶の状態で長期間保存できる点から好ましい。
【0067】
親水性の連続相8の具体例としては、たとえば内容物(a)の不連続相1と同じ親水性液体などがあげられる。これらのうちでは、油相3として好適に使用される炭化水素、高級アルコール、脂肪酸のエステル油、脂肪酸などと相溶しにくい水や多価アルコールなどが、前記油成分との比重差が大きく、A剤と分離しやすい点から好ましい。
【0068】
前記配合成分の割合は、配合成分の種類、得ようとする効果などにより異なるため一概に規定することはできないが、前者の場合には内容物(c)で例示した配合成分およびその配合量と同じものがあげられ、後者の場合には、たとえば発色や変色効果を目的とするとき、0.1〜15%、さらには0.5〜10%であるのが、たとえば毛髪を適度に染色することができ、かつ頭皮や頭髪への刺激が少ない点から好ましい。
【0069】
また、A剤(上相)に含まれる親水性の不連続相1の割合およびB剤(下相)に含まれる油性の不連続相7の割合は、それぞれ安定なW/O型相およびO/W型相となる点から、いずれも1〜90%、さらには3〜85%であるのが好ましい。
【0070】
内容物(d)の具体例としては、A剤として、水を乳化・分散させたW/O相を使用し、B剤として、多価アルコールに界面活性剤を加えた親水性相に蒸気圧を有する炭化水素を乳化・分散させたO/W型相を使用し、B剤を発泡させて、B剤の多価アルコールがA剤の水と水和するときの発熱効果を得る例などがあげられる。
【0071】
A剤とB剤との充填割合は、75/25〜25/75であるのが、配合成分が反応しやすく、効果が発揮しやすくなる、A剤とB剤の吐出割合で吐出できる点から好ましい。
【0072】
前記内容物(d)における割合は、いずれも仕込比から求めたものである。
【0073】
なお、A剤(上相)がW/O型相、B剤(下相)がO/W型相である形態について説明したが、本発明ではA剤がO/W型相、B剤がW/O型相であってもよく、配合成分の溶解性や各エマルジョンの形成しやすさなどを考慮して、分散相および連続相とする油成分を適宜選択し、どちらの形態でも実施できる。
【0074】
図1の内容物(e)は、A剤(上相)が油相であり、B剤(下相)がO/W型相である。A剤(上相)では、連続相である油相9中に配合成分が直接溶解・分散しており、B剤(下相)では、連続相の親水性相8中に乳化・分散した不連続相の油相7中に配合成分が溶解している。
【0075】
内容物(e)におけるA剤は、内容物(b)のB剤と同等または内容物(a)のA剤を構成する連続相の油相3に配合成分が溶解・分散したものと同等のものであり、また、B剤は、内容物(d)のB剤と同等のものである。
【0076】
A剤(上相)である油相9を形成する油成分の具体例は、内容物(a)の場合における油相3、4の具体例と同じである。異なるのは、配合成分が、内容物(a)の場合、親水性の不連続相1、2中に溶解したものが油相3、4中に乳化・分散しているのに対して、内容物(e)の場合、該油成分中に直接溶解または分散している点である。このため、親水性の不連続相1に含まれる配合成分は、親水性液体に溶解しやすいものが好ましいが、油相9に含まれる配合成分は、油成分に溶解または分散しやすいものが好ましく、親水性相8には溶解または分散しにくいものが好ましい。
【0077】
油相9に含まれる配合成分の具体例としては、たとえば油溶性の色素や染料などがあげられる。
【0078】
B剤において、不連続相の油相7を形成する油成分の具体例としては、親水性相8と相溶しない油成分であればとくに限定はなく、油相9と同じ油成分でもよい。この場合、吐出物に剪断が加わったときに配合成分が反応しやすくなり、効果が得られやすい。また、油相9と相溶しない油成分を使用した場合には、配合成分がより安定に分離されるため、吐出製品の保存安定性にすぐれる。
【0079】
また、不連続相の油相7に含まれる配合成分としては、連続相の油相9に含まれる配合成分と反応または相溶し、所望の効果が得られる成分があげられる。
【0080】
不連続相の油相7に含まれる配合成分の具体例としては、たとえば油溶性色素や染料などがあげられる。
【0081】
不連続相の油相7が乳化・分散する連続相の親水性相8としては、油相9と相溶性を有さないものが、不連続相の油相7と連続相の油相9とを確実に分離することができ、各相中に含まれる配合成分を未反応または未相溶の状態で長期間保存できる点から好ましい。
【0082】
連続相の親水性相8の具体例としては、たとえば内容物(a)の不連続相1と同じ親水性液体などがあげられる。これらのうちでは、油相9として好適に使用される炭化水素、高級アルコール、脂肪酸のエステル油、脂肪酸などと相溶しにくい水や多価アルコールなどが、前記油成分との比重差が大きく分離しやすいなどの点から好ましい。
【0083】
連続相の油相9および不連続相の油相7に含まれる配合成分の割合は、配合成分の種類、得ようとする効果などにより異なるため一概に規定することはできないが、たとえば発色や変色効果を目的とする場合には、不連続相の油相7中に0.1〜15%、さらには0.5〜10%であるのが、毛髪を適度に染色することができ、かつ頭皮や頭髪への刺激が少ない点から好ましい。連続相の油相9中に含まれる配合成分の割合は、不連続相の油相7に含まれる配合成分に対応する量であればよいから、たとえば発色効果を目的とする場合には、連続相の油相9中に0.1〜15%、さらには0.5〜10%であるのが好ましい。
【0084】
また、B剤(下相)に含まれる油性の不連続相7の割合は、安定なO/W型相となる点から、1〜90%、さらには3〜85%であるのが好ましい。
【0085】
内容物(e)の具体例としては、A剤として、油性染料を溶解させた油相を使用し、B剤として、油性染料を油相に溶解させたものを乳化・分散させたO/W型相を使用し、前記染料が混合して変色するときの効果を得る例などがあげられる。
【0086】
A剤とB剤との充填割合は、75/25〜25/75であるのが、配合成分が反応しやすく、効果が発揮しやすくなる、A剤とB剤の吐出割合で吐出できる点から好ましい。
【0087】
前記内容物(e)における割合は、いずれも仕込比から求めたものである。
【0088】
なお、A剤(上相)が油相、B剤(下相)がO/W型相である形態について説明したが、本発明ではA剤がO/W型相、B剤が油相であってもよく、配合成分の溶解性やO/W型相の形成しやすさや安定性などを考慮して、分散相および連続相とする油成分を適宜選択し、どちらの形態でも実施できる。
【0089】
図1の内容物(f)は、A剤(上相)およびB剤(下相)がともにW/O型相であり、A剤(上相)およびB剤(下相)の間に中間層10が設けられている3液型内容物である。
【0090】
内容物(f)におけるA剤(上相)およびB剤(下相)は、内容物(a)におけるA剤(上相)およびB剤(下相)と同じものでよい。ただし、各比重は、A剤(上相)<中間層<B剤(下相)であることが必要で、A剤(上相)の連続相、中間層およびB剤(下相)の連続相が互いに混合しないことが必要であり、各比重の差が0.1以上であることが好ましい。中間相を設けることにより、配合成分をより安定に分離することができる。
【0091】
表2に記載の内容物(g)、(h)についても、中間相を設けることにより、配合成分同士を分離した状態で長期間保存することができる。
【0092】
前記内容物が充填される容器の具体例としては、たとえば一般的なエアゾール容器、ピストン型2重容器または袋型2重容器などがあげられる。
【0093】
前記一般的なエアゾール容器というのは、アルミニウム、ブリキなどの金属や、PET、PBTなどの樹脂、ガラスなどを有底筒状に成形し、所定の耐圧強度を有するエアゾール容器のことである。該容器を本発明の吐出製品に使用する場合、特殊な製造工程が不要で、低コストで製造できる点から好ましい。
【0094】
また、前記ピストン型2重容器というのは、前記一般的なエアゾール容器の内部に、内容物と加圧剤とを隔離するピストンを備え、加圧剤の圧力により前記ピストンが移動して内容物を吐出する容器のことである。該容器を本発明の吐出製品に使用する場合、内容物が液密状態で充填されるため、容器が転倒したり容器を振っても内容物は撹拌されず、有効成分同士が反応するのを防止することができる点から好ましい。該ピストン型2重容器の詳細については、特開平5−25447号公報に記載されている。
【0095】
さらに、前記袋型2重容器というのは、前記一般的なエアゾール容器の内部に、内容物を充填する袋(内部容器)を備え、加圧剤の圧力により前記袋を収縮させて内容物を吐出する容器のことである。該容器を本発明の吐出製品に使用する場合、ピストン型と同じ効果を奏する点から好ましい。該袋型2重容器の詳細については、特許第3079150号公報に記載されている。
【0096】
本発明の吐出製品は、たとえば前述のごとき容器の1本に、たとえば表1に記載の内容物(a)〜(f)のうちの1種を充填し、さらに必要に応じて加圧剤(内容物とは隔離された空間に充填され吐出されない)を充填したものである。
【0097】
前記加圧剤としては、たとえばチッ素、炭酸ガス、圧縮空気、亜酸化窒素などの圧縮ガスや液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガスがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうちではチッ素が、内容物の安定性がよい点から好ましい。
【0098】
前記内容物100重量部(以下、部という)に対する加圧剤の使用量は、0.1〜10部が好ましく、0.2〜5部がさらに好ましい。
【0099】
このようにして製造された本発明の吐出製品は、25℃における内圧が0.2〜1.0MPa、好ましくは0.3〜0.8MPa、吐出物の形態としては、泡状、クリーム状、ゲル状、液状、ミスト状などの形態を有するものであり、吐出後、吐出物に剪断を加えることにより、異なった相に含まれる配合成分同士が混合されることによって、反応または相溶が開始し、目的とする効果が得られる。また、補助的に熱を加えて、配合成分を溶解していた油成分や親水性液体を揮発させ、反応しやすくしてもよい。
【0100】
前記吐出物に剪断を加えるとは、たとえば手のひらに吐出した吐出物を手のひらの間でこすり合わせる、うでや足などに吐出した吐出物を指でこする、頭髪に付着した吐出物をくしやブラシなどでとくなどにより、分離されていた配合成分を物理的な力で混合し、反応させることをいう。
【0101】
なお、A剤(上相)とB剤(下相)との吐出割合としては、A剤(上相)に含まれる配合成分とB剤(下相)に含まれる配合成分とが、効率よく反応または相溶する割合であるのが好ましく、90/10〜10/90(容量比)、さらには80/20〜20/80であるのが好ましい。
【0102】
つぎに、容器として袋型2重容器を使用し、内容物としてホットクリーム(W/O型相とW/O型相との組み合わせ)を使用した具体例に基づいて、本発明の吐出製品の製造方法を説明する。
【0103】
A剤として、反応成分(亜硫酸ナトリウム)を溶解させた水を、流動パラフィンに界面活性剤を溶解した油成分中に注入して、両成分を撹拌してW/O型相を調製する。
【0104】
B剤として、反応成分(過酸化水素)を溶解させた水を、メチルポリシロキサンに界面活性剤を溶解した油成分中に注入して、両成分を撹拌してW/O型相を調製する。
【0105】
袋型2重容器の内部容器にB剤、A剤を順次充填し、内部容器と容器本体との間の空間に加圧剤(チッ素ガス)を充填し、バルブを固着する。ついで、吐出部材を取り付けることで、吐出製品が得られる。
【0106】
前記のごとき本発明の吐出製品は、内容物を吐出し、その吐出物を指で塗りのばすなど、剪断を加えることにより配合成分同士が反応または相溶し、効果を発揮する。
【0107】
たとえば図1の内容物(a)において、油相3および(または)油相4として、吐出すると揮散するものを選べば、吐出後、吐出物に剪断を加えることにより油相3および(または)油相4が揮散しやすくなり、親水性の不連続相1および親水性の不連続相2は、容易に接触・混合し、それらに含まれる反応成分同士が反応または相溶し、所望の効果が発現する。
【0108】
【実施例】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明の吐出製品をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0109】
実施例1
表3に記載の成分を表3に記載の割合で使用して、A剤およびB剤を製造した。
【0110】
内部にピストン付きの樹脂(ポリエチレンテレフタレート)シリンダーを備えたポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器(満注量100ml)のシリンダー内に、A剤およびB剤を表3に記載の割合で合計量が60gになるように充填し、ついでバルブ(St(ステム)径0.5φ×(2)、Vt(A剤導入孔)径0.4φ、Ut(B剤導入孔)径0.5φ)を取り付け、吐出製品(ホットクリーム)を得た。なお、加圧剤としてチッ素ガスをシリンダーの外部に充填し、製品圧力を0.8MPaに調整した。
【0111】
得られた吐出製品は、A剤およびB剤が2相として存在しており、吐出させると、2相に分れたクリーム状態で吐出した。吐出物を手のひらでこすり合わせると、発熱し、暖かくなった。亜硫酸ナトリウムと過酸化水素水との酸化還元反応がおこったためと考えられる。
【0112】
なお、得られた吐出製品は、25℃にて正立の状態で3ヵ月保存したのちも、同様の外観および性能を保持した。
【0113】
【表3】
Figure 0004707278
【0114】
実施例2
表4に記載の成分を表4に記載の割合で使用して、A剤およびB剤を製造した。
【0115】
実施例1で用いた容器に、A剤およびB剤(イソペンタン以外の成分を調合し、O/W型乳化物を作り、ついで、乳化物を冷却し、これにイソペンタンを加える)を表4に記載の割合で合計量が60gになるように充填し、ついでバルブ(St径0.5φ×(2)、Vt径0.5φ、Ut径0.5φ)を取り付け、吐出製品(ホットクリームワックス)を得た。なお、加圧剤としてチッ素ガスをシリンダー外部に充填し、製品圧力を0.8MPaに調整した。
【0116】
得られた吐出製品は、A剤およびB剤が2相として存在しており、吐出させると、2相に分れたクリーム状態で吐出した。吐出物を手のひらでこすり合わせると、発泡し、さらに発熱し、暖かくなった。チオ硫酸ナトリウムと過酸化水素水との酸化還元反応がおこったためと考えられる。
【0117】
なお、得られた吐出製品は、25℃にて正立の状態で3ヵ月保存したのちも、同様の外観および性能を保持した。
【0118】
【表4】
Figure 0004707278
【0119】
実施例3
表5に記載の成分を表5に記載の割合で使用して、A剤およびB剤を製造した。
【0120】
内部に収縮可能な内袋を備えたポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器(満注量100ml)の内袋内にA剤およびB剤を表5に記載の割合で合計量が60gになるように充填し、ついでバルブ(St径0.5φ、Vt径0.5φ、Ut径0.5φ)を取り付け、吐出製品(ジェル)を得た。なお、加圧剤としてチッ素ガスを内袋外部に充填し、製品圧力を0.8MPaに調整した。
【0121】
得られた吐出製品は、A剤およびB剤が2相として存在しており、吐出させると、A剤がクリーム状、B剤がわずかに粘性を有する液状で2相に分れた状態で吐出した。吐出物を手のひらでこすり合わせると、増粘した。カルボキシビニルポリマー(商品名、カーボポール)、とトリエタノールアミンとの中和反応がおこったためと考えられる。
【0122】
なお、得られた吐出製品は、25℃にて正立の状態で3ヵ月保存したのちも、同様の外観および性能を保持した。
【0123】
【表5】
Figure 0004707278
【0124】
実施例4
表6に記載の成分を表6に記載の割合で使用して、A剤およびB剤を製造した。
【0125】
実施例3で用いた容器にA剤およびB剤を表6に記載の割合で合計量が60gになるように充填し、ついでバルブ(St径0.5φ、Vt径0.5φ、Ut径0.5φ)を取り付け、吐出製品(染毛剤)を得た。なお、加圧剤としてチッ素ガスを内袋外部に充填し、製品圧力を0.8MPaに調整した。
【0126】
得られた吐出製品は、A剤およびB剤が2相として存在しており、吐出させると、2相に分れたクリーム状態で吐出した。吐出物をブラシ上にとり、これを髪の毛につけてブラッシングすると、発色した。パラフェニレンジアミン、レゾルシンおよび過酸化水素水の酸化還元反応がおこったためと考えられる。
【0127】
なお、得られた吐出製品は25℃にて正立の状態で3ヵ月保存したのちも、同様の外観および性能を保持した。
【0128】
【表6】
Figure 0004707278
【0129】
実施例5
表7に記載の成分を表7に記載の割合で使用して、A剤およびB剤を製造した。
【0130】
実施例3で用いた容器にA剤およびB剤を表7に記載の割合で合計量が60gになるように充填し、ついでバルブ(St径0.5φ、Vt径0.4φ、Ut径0.6φ)を取り付け、吐出製品(ホットクリーム)を得た。なお、加圧剤としてチッ素ガスを内袋外部に充填し、製品圧力を0.8MPaに調整した。
【0131】
得られた吐出製品は、A剤およびB剤が2相として存在しており、吐出させると、A剤がクリーム状、B剤が液状で2相に分れた状態で吐出した。吐出物を手のひらでこすり合わせると、発熱し、暖かくなった。グリセリンおよびジエチレングリコールと水との水和反応がおこったためと考えられる。
【0132】
なお、得られた吐出製品は、25℃にて正立の状態で3ヵ月保存したのちも、同様の外観および性能を保持した。
【0133】
【表7】
Figure 0004707278
【0134】
【発明の効果】
本発明によると、1本の吐出製品で、2液反応による効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する内容物の相状態の例を説明するための説明図であり、(a)は、A剤(上相)およびB剤(下相)がともにW/O型相の場合、(b)は、A剤(上相)がW/O型相で、B剤(下相)が油相の場合、(c)は、A剤(上相)がW/O型相で、B剤(下相)が親水性相の場合、(d)は、A剤(上相)がW/O型相で、B剤(下相)がO/W型相の場合、(e)は、A剤(上相)が油相で、B剤(下相)がO/W型相の場合、(f)は、A剤(上相)およびB剤(下相)がともにW/O型相で、A剤(上相)およびB剤(下相)の間にC剤(中間相)が存在する場合を示す。
【符号の説明】
1、2 親水性の不連続相
3、4、5、9 油相の連続相
6、8、10 親水性の連続相
7 油性の不連続相

Claims (4)

  1. 配合される成分の一部が他の成分と反応または相溶する2成分以上を内容物中に分離した状態で含み、かつ、1つの容器に充填した吐出製品であって、
    反応または相溶する2成分以上が、内容物の粘度の違い、比重の違い、相溶性の違いまたは界面での膜の形成により分離されており、
    吐出物に剪断を加えることで前記成分が反応または相溶を開始する吐出製品。
  2. 容器が、一般的なエアゾール用容器、ピストン型2重容器または袋型2重容器である請求項記載の吐出製品。
  3. 反応する成分同士の反応が、中和反応、イオン交換反応、水和反応、酸化還元反応である請求項1または2記載の吐出製品。
  4. 反応する成分同士が反応して発現する効果が、発熱、冷却、増粘、発色(変色)、膜形成である請求項1、2または3記載の吐出製品。
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