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JP4703139B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents

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JP4703139B2
JP4703139B2 JP2004189489A JP2004189489A JP4703139B2 JP 4703139 B2 JP4703139 B2 JP 4703139B2 JP 2004189489 A JP2004189489 A JP 2004189489A JP 2004189489 A JP2004189489 A JP 2004189489A JP 4703139 B2 JP4703139 B2 JP 4703139B2
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Description

本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子に関する。
今日、種々の表示素子に関する研究開発が活発であり、中でも有機電界発光(EL)素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な表示素子として注目されている。
このEL素子特性向上の手段として、オルトメタル化イリジウム錯体(Ir(ppy)3:Tris−Ortho−Metalated Complex of Iridium(III) with 2−Phenylpyridine)の三重項状態からの発光を利用した緑色発光素子が報告されている(非特許文献1)。本素子は外部量子収率8%を達しており、従来素子の限界といわれていた外部量子収率5%を凌駕しているが、緑色発光に限定されている為、ディスプレイとしての適用範囲が狭く、高効率で他色に発光素子の開発が求められていた。
特に最近は素子耐久性の向上が求められているが、この三重項発光材料を利用した素子においては素子耐久性が低いことが大きな問題であり、これを改良することが求められていた。
素子の耐久性を向上させるために好適な手段として種々の芳香族縮環炭化水素材料が提案されている。例えば特許文献1および2にはジフェニルアントラセン誘導体が開示されている。
しかし、上記のような芳香族縮環材料はT1のエネルギーレベルが低く、三重項発光素子のホスト材料として使用する場合にはドーパントに対するエネルギー移動効率の点で不利である。発光効率向上のためには、より高いT1エネルギーレベルを有する芳香族縮環材料の開発が望まれていた。
一方、トリフェニレンは高いT1レベルを有するため特に三重項発光素子のホスト材料に有用な骨格である。
トリフェニレン骨格を有する化合物を三重項発光素子に用いた例としては特許文献3および4にトリフェニレン構造を有する液晶性化合物を用いた素子が開示されている。上記発明においては発光層にトリフェニレン化合物に由来する液晶性を発現させることで発光効率が向上することが報じられている。
しかしここで開示されている発明においてはトリフェニレン構造を有する化合物を含有する発光層が液晶性を有するため、通常の固体膜による発光素子にくらべ熱振動の影響を大きく受け、素子耐久性の点でさらなる改良が望まれる。
特開平8−12600号公報 特開2001−335516公報 特開2002−43056公報 US2002/0038860A1 アプライド・フィジクス・レター(Applied Physics Letters), 75,4(1999).
本発明の目的は、発光特性および素子駆動耐久性が良好な有機EL発光素子の提供にある。
この課題は下記手段によって達成された。
(1)一対の電極間に、発光層を含む少なくとも1層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(1)で示される化合物よりなる、りん光材料に対するホスト材料(A)を少なくとも1種と、りん光材料の少なくとも1種とを含み、前記発光材料の三重項励起状態からのりん光発光を利用することを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(1) L−T
(式中、Lは単結合あるいは2〜8価の芳香環、2〜8価の芳香族複素環、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子からなる連結基を表し、Tは置換基を有していてもよいトリフェニレンを有する基である。nは2〜8の整数を表し、Tは互いに独立に異なっていても、同じであってもよい。)
(2)(1)に記載の発光素子の発光層中にさらに金属錯体ホスト材料(B)として下記一般式(2)あるいは一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
Figure 0004703139
(式中、M11、M21はそれぞれ独立に金属イオンを表し、L11、L21はそれぞれ独立に配位子を表す。X11、X21はそれぞれ独立に酸素原子、置換または無置換の窒素原子、硫黄原子を表し、Q11、Q21はそれぞれ独立に芳香環を形成する原子群を表す。Q12、Q22はそれぞれ独立に含窒素芳香環を形成する原子群を表す。m11、m21はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、m12、m22はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
(3)前記の一般式(1)の連結基Lが、単結合又は下記の基のいずれか1つの基である(1)又は(2)に記載の有機電界発光素子。
Figure 0004703139
Figure 0004703139
(4)前記一般式(1)で示される化合物が下記一般式(1A)で示される化合物であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の有機電界発光素子。
Figure 0004703139
(式中、T1はそれぞれ同じでも異なっていても良い、置換基を有していてもよいトリフェニレンを含む基を表し、Ar1はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。pは2以上4以下の整数を表す。)
(5)前記一般式(1)で表わされる化合物が下記一般式(1B)で示される化合物であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の有機電界発光素子。
Figure 0004703139
(式中、T2はそれぞれ同じでも異なっていても良い、置換基を有していてもよいトリフェニレンを含む基を表し、Ar2はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。L2はアリーレン基又はヘテロアリーレン基である2価以上6価以下の連結基を表し、qは2以上6以下の整数を表す。)
(6)一般式(1A)で表される化合物。
Figure 0004703139
(式中、T1はそれぞれ同じでも異なっていても良い、置換基を有していてもよいトリフェニレンを含む基を表し、Ar1はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。pは2以上4以下の整数を表す。)
(7)一般式(1B)で表される化合物。
Figure 0004703139
(式中、T2はそれぞれ同じでも異なっていても良い、置換基を有していてもよいトリフェニレンを含む基を表し、Ar2はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。L2はアリーレン基又はヘテロアリーレン基である2価以上6価以下の連結基を表し、qは2以上6以下の整数を表す。)
(8)前記一般式(1A)または一般式(1B)で表わされる、有機電界発光素子用ホスト材料。
本発明の発光素子は発光特性、耐久性が優れる。
本発明は一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物層を有する発光素子において、少なくとも2つのトリフェニレン構造を有するホスト材料(A)を少なくとも1種含み、さらに三重項励起状態からの発光を利用することを特徴とする有機電界発光素子に関する。
ホスト材料(A)は、有機層のいずれに含まれてもよいが、正孔輸送層もしくは発光層中に含まれることが好ましい。
三重項励起状態からの発光はりん光と同義であり、今後、りん光を発する材料のことをりん光材料と記述する。りん光材料としては特に限定しないが、遷移金属錯体が好ましい。遷移金属錯体の中心金属としては特に限定されないが、イリジウム、白金、レニウム、ルテニウムが好ましく、イリジウム、白金がより好ましく、イリジウムが更に好ましい。
また、遷移金属錯体としては、オルトメタル化錯体が好ましい。オルトメタル化錯体(orthometalated Complexes)とは、例えば「有機金属化学−基礎と応用−」p150,232 裳華房社 山本明夫著 1982年発行、および「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 p71-p77,p135-p146 Springer-Verlag社 H.Yersin著1987年発行 等に記載されている化合物群の総称である。
本発明に用いられるりん光材料は、20℃でのりん光量子収率が 70%以上の材料が好ましく、20℃でのりん光量子収率が 80%以上材料がより好ましく、20℃でのりん光量子収率が 85%以上の材料がさらに好ましい。
本発明の発光素子は陰極と発光層の間にイオン化ポテンシャル5.9eV以上(より好ましくは6.0eV以上)の化合物を含有する層を用いるのが好ましく、イオン化ポテンシャル5.9eV以上の電子輸送層を用いるのがより好ましい。
本発明の発光素子は色純度の観点から、発光スペクトルの半値幅は100nm以下が好ましく、90nm以下がより好ましく、80nm以下がさらに好ましく、70nm以下が特に好ましい。
ホスト材料(A)について説明する。ホスト材料(A)はトリフェニレンを有する基(トリフェニレン構造を含み、かつ液晶性を示さない化合物である。
ホスト材料に含まれるトリフェニレン構造は置換基を有しても良く、置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、
アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、
アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、
ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
ホスト材料(A)に含まれるトリフェニレン構造が有してもよい置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、より好ましくはフェニル基、ビフェニル基である。
ホスト材料(A)は低分子化合物であっても良く、また、オリゴマー化合物、ポリマー化合物(重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であっても良い。ポリマー化合物の場合、トリフェニレン構造がポリマー主鎖中に含まれても良く、また、ポリマー側鎖に含まれていても良い。また、ポリマー化合物の場合、単独重合体であっても良く、共重合体であっても良い。本発明の化合物は低分子化合物が好ましい。
ホスト材料(A)のTレベル(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は45 Kcal/mol 以上(188.3 KJ/mol以上)が好ましく、55Kcal/mol以上(230.1KJ/mol以上)がより好ましく、60Kcal/mol以上(251.1KJ/mol以上)がさらに好ましい。
次に一般式(1)について説明する。Lは単結合あるいは2〜8価の芳香環、2〜8価の芳香族複素環、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子からなる連結基を表す。Lで表される連結基として好ましくは、C、N、O、S、Si、Geなどで形成される連結基であり、より好ましくは単結合、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、芳香環、ヘテロ環であり、さらに好ましくはアリーレン基、炭素原子、ケイ素原子である。
Lで表される連結基の具体例としては単結合の他、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0004703139
Figure 0004703139
Figure 0004703139
Lで表される連結基として好ましくは2価以上の芳香環、2価以上の芳香族複素環、炭素原子、ケイ素原子であり、より好ましくは2価以上のベンゼン、2価以上のナフタレン、2価以上のアントラセン、2価以上のビフェニル、2価以上のテルフェニル、2価以上のトリフェニレン、2価以上のフェナンスレン、2価以上のトリアゾール、2価以上のピリジン、2価以上のピリミジン、炭素原子、ケイ素原子であり、さらに好ましくは2価以上のベンゼン、2価以上のビフェニル、2価以上のトリアゾール、炭素原子、ケイ素原子である。
Lで表される連結基は置換基を有しても良く、置換基は前記置換基と同義である。置換基として好ましくはフェニル基、ビフェニル基である。
Tはトリフェニレン構造を含む基を表し、互いに独立に異なっていても、同じであってもよい。Tに含まれるトリフェニレン構造は置換基を有してもよく、互いに結合して環を形成してもよい。置換基は前記置換基と同義である。
nは2から8の整数を表し、好ましくは2から4の整数である。
次に本発明に用いられるホスト材料(A)の例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 0004703139
Figure 0004703139
Figure 0004703139
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次に、本発明に用いられるホスト材料(A)の化合物の製造方法について述べる。このトリフェニレン構造を含むが、液晶性を示さないホスト材料は、種々の芳香族炭素炭素結合生成反応などを利用して合成可能であり、例えば、Organic Synthesis Reaction Guide (John Wiley & Sons,Inc.社) p.617〜p.643、及び、Comprehensive Organic Transformation(VCH社) p.5〜p.103 などに記載されている手法を利用して合成することができる。
次に、本発明の発光素子の発光層中には前記のホスト材料(A)とともに金属錯体ホスト材料をホスト材料(B)として用いてもよい。ホスト材料(B)を構成する金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンであり、更に好ましくは亜鉛イオンである。
ホスト材料(A)に対するホスト材料(B)の使用量は、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは20〜50質量%である。
ホスト材料(B)としての金属錯体中に含まれる配位子としては種々の配位子が有るが、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、シロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子である。
本発明の発光素子に含まれる金属錯体ホスト材料(B)のガラス転移点は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは120℃以上である。
本発明の金属錯体ホスト材料(B)は一般式(2)または一般式(3)で表される化合物、または、その互変異性体が好ましく(より好ましくは、一般式(2)で表される化合物、または、その互変異性体である)、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物、または、その互変異性体がより好ましく、一般式(4)で表される化合物、または、その互変異性体がさらに好ましい。
Figure 0004703139
一般式(2)について説明する。M11は金属イオンを表す。金属イオンとして好ましくは、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンであり、更に好ましくは亜鉛イオンである。
11は配位子を表す。配位子としては前記金属錯体中に含まれる配位子で説明した配位子が挙げられ、好ましい範囲も同じである。
11は酸素原子、置換または無置換の窒素原子、硫黄原子であり、酸素原子がより好ましい。窒素原子上の置換基としては、−SO、−CORまたは−P(=O)(R)(R)(R、R、R、Rはそれぞれ脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基を表す。)が好ましく、 −SO がより好ましい。
11は芳香環を形成する原子群を表す。Q11が形成する芳香環は、好ましくは4〜8員環、より好ましくは5〜6員環である。Q11とQ12が結合して縮環構造を取っても良い。Q11で形成される芳香族環は芳香族炭化水素、芳香族ヘテロ環のいずれでもよく、例えばベンゼン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾールなどが挙げられ、好ましくはベンゼン、ピリジンであり、より好ましくはベンゼンである。
11で形成される環は、置換基を有しても良く、置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基である。
12 は含窒素芳香環を形成する原子群を表し、Q12が形成する含窒素芳香環は好ましくは4〜8員環、より好ましくは5〜6員環である。その含窒素芳香環は好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数3〜20、さらに好ましくは炭素数3〜15、特に好ましくは炭素数4〜10である。Q12で形成される含窒素芳香環としては、例えばピリジン、キノリン、ピラジン、ピリダジン、イソキノリン、キノキサリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インドレニンピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾロトリアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピロロトリアゾール、イミダゾトリアゾールなどが挙げられ、好ましくはピリジン、キノリン、ピラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、ピラゾロトリアゾール、ピロロトリアゾール、チアジアゾールであり、より好ましくはベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、オキサジアゾールである。
12は置換基を有していても良く、置換基としては前記Q11で説明した基が挙げられる。
11は0〜3の整数を表し、0,1が好ましく、0がより好ましい。m12は1〜4の整数を表し、2,3が好ましく、3がより好ましい。
一般式(3)について説明する。L21、X21 は前記 L11、X11 と同義であり、好ましい範囲も同じである。、 m21 は0〜3の整数を表し、0,1が好ましく、0がより好ましい。m22は1〜4の整数を表し、2,3が好ましく、3がより好ましい。
21は金属イオンを表す。金属イオンとして好ましくは、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオンである。
21 は芳香環を形成する原子群を表す。Q21で形成される芳香族環は芳香族炭化水素、芳香族ヘテロ環のいずれでもよく、その員環数は、Q11で述べたと同様であり、好ましくはベンゼン、ピリジンであり、より好ましくはベンゼンである。
22 は含窒素芳香環を形成する原子群を表し、好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、さらに好ましくは炭素数3〜15、特に好ましくは炭素数4〜10である。Q22で形成される含窒素芳香環の員環数はQ12で述べたと同様であり、好ましくはピリジン、ピラジンであり、より好ましくはピリジンである。
一般式(4)について説明する。 L31、M31、m31、m32 は前記 L11、M11、m11、m12 と同義であり、好ましい範囲も同じである。R101は置換基を表し、好ましくはアルキル基である。m33は0〜4の整数を表し、0、1が好ましい。
31は酸素原子、硫黄原子、セレン原子、置換または無置換の窒素原子を表し、酸素原子、置換または無置換の窒素原子が好ましい。窒素原子上の置換基としてはアルキル基、アリール基が好ましい。
31は芳香環を形成する原子群を表す。Q31で形成される芳香族環は芳香族炭化水素、芳香族ヘテロ環のいずれでもよく、その員環は、Q11で述べたと同様であり、好ましくはベンゼン、ピリジンである。
一般式(5)について説明する。 L41、M41、R111、Y41、m41、m42、m43 は前記 L11、M11、R101、Y31、 m11、m12、m33 と同義であり、好ましい範囲も同じである。R112は置換基を表し、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基がより好ましい。
一般式(6)について説明する。 L51、M51、R121、m51、m52は前記 L21、M21、R101、m21、m22 と同義であり、好ましい範囲も同じである。m53は0〜6の整数を表し、0、1が好ましい。
本発明の金属錯体ホスト材料(B)の化合物例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 0004703139
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本発明はさらに一対の電極間に、発光層を含む少なくとも1層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(1A)または(1B)で示される材料を少なくとも1種含有することを特徴とする有機電界発光素子に関する。
この場合、一般式(1A)および一般式(1B)の化合物は、有機層のいずれに含まれてもよいが、正孔輸送層もしくは発光層中にホスト材料として含まれることが好ましい。
本発明の発光素子中に一般式(1A)あるいは一般式(1B)で表される化合物が含まれる場合、発光材料は一重項励起子から発光する蛍光発光性化合物、または、三重項励起子から発光するりん光発光性化合物のいずれであっても良いが、発光効率および耐久性の観点から、りん光発光材料であることがより好ましい。
発光材料としては例えばベンゾオキサゾールおよびそれらの誘導体、ベンゾイミダゾールおよびそれらの誘導体、ベンゾチアゾールおよびそれらの誘導体、スチリルベンゼンおよびそれらの誘導体、ポリフェニルおよびそれらの誘導体、ジフェニルブタジエンおよびそれらの誘導体、テトラフェニルブタジエンおよびそれらの誘導体、ナフタルイミドおよびそれらの誘導体、クマリンおよびそれらの誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノンおよびそれらの誘導体、オキサジアゾールおよびそれらの誘導体、オキサジンおよびそれらの誘導体、アルダジンおよびそれらの誘導体、ピラリジンおよびそれらの誘導体、シクロペンタジエンおよびそれらの誘導体、ビススチリルアントラセンおよびそれらの誘導体、キナクリドンおよびそれらの誘導体、ピロロピリジンおよびそれらの誘導体、チアジアゾロピリジンおよびそれらの誘導体、シクロペンタジエンおよびそれらの誘導体、スチリルアミンおよびそれらの誘導体、ジケトピロロピロールおよびそれらの誘導体、芳香族ジメチリディンおよびそれらの化合物、8−キノリノールおよびそれらの誘導体の金属錯体やピロメテンおよびそれらの誘導体の金属錯体、希土類錯体、遷移金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シランおよびそれらの誘導体等が挙げられる。発光材料は好ましくは縮合芳香族化合物、キナクリドンおよびそれらの誘導体、ジケトピロロピロールおよびそれらの誘導体、ピロメテンおよびそれらの誘導体の金属錯体、希土類錯体、遷移金属錯体であり、さらに好ましくは縮合芳香族化合物、遷移金属錯体である。
次に一般式(1A)について説明する。
Figure 0004703139
式中、T1はそれぞれ同じでも異なっていても良いトリフェニレン構造を含む基を表す。T1で表されるトリフェニレン構造を含む基は前記Tで説明したトリフェニレン構造を含む基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Ar1はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。Ar1として好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピリジル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、アンスリル基であり、最も好ましくはフェニル基である。
Ar1は置換基を有しても良く、置換基の例は前記置換基と同義である。Ar1が有しても良い置換基として好ましくはフェニル基、ビフェニル基であり、最も好ましくはフェニル基である。
pは2以上4以下の整数を表し、pとして好ましくは2もしくは3であり、2が最も好ましい。
次に一般式(1B)について説明する。
Figure 0004703139
一般式(1)は好ましくは一般式(1B)である。式中、T2はそれぞれ同じでも異なっていても良いトリフェニレン構造を含む基を表す。T2で表されるトリフェニレン構造を含む基は前記Tで説明したトリフェニレン構造を含む基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Ar2はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。Ar2として好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピリジル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、アンスリル基であり、最も好ましくはフェニル基である。
Ar2は置換基を有しても良く、置換基の例は前記置換基と同義である。Ar2が有しても良い置換基として好ましくはフェニル基、ビフェニル基であり、最も好ましくはフェニル基である。
2は2価以上6価以下の連結基を表す。L2で表される2価以上6価以下の連結基はアリーレン基、ヘテロアリーレン基である。
L2で表されるアリーレン基としては単環または2環以上の環が縮環した縮合環のアリーレン基であり、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、フェナントレニレン基、ピレニレン基、ペリレニレン基、フルオレニレン基、ルブレニレン基、クリセニレン基、トリフェニレニレン基、ベンゾアンスリレン基、ベンゾフェナントレニレン基、ジフェニルアンスリレン基などが挙げられる。
L2で表されるヘテロアリーレン基としては単環または2環以上の環が縮合した縮合環のヘテロアリール基であり、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜12さらに好ましくは2〜10のヘテロアリール基であり、例えばピリジレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、アクリジニレン基、フェナントリジニレン基、ピラジニレン基、キノキサリニレン基、ピリミジニレン基、トリアジレン基、イミダゾリレン基、ピラゾリレン基、オキサジアゾリレン基、トリアゾリレン基、フリレン基、チエニレン基、ピロリレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基等が挙げられる。
L2は前記アリーレン基とヘテロアリーレン基が互いに連結したものであっても良い。
2 で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基として好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ピリジレン基、ピリミジレン基、トリアジレン基、オキサジアゾリレン基、トリアゾリレン基、チエニレン基、ピロリレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基であり、より好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、トリアジレン基、オキサジアゾリレン基、チエニレン基、カルバゾリレン基であり、さらに好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、ピリジレン基であり、最も好ましくはメタフェニレン基である。
qは2以上6以下の整数を表す。qとして好ましくは2以上4以下の整数であり、最も好ましくは2もしくは3である。
一般式(1A)の具体例としては前記ホスト材料(A)の具体例として表した化合物例のうち、例えば化合物(1−4)、(1−15)、(1−20)、(1−21)、(1−22)、(1−23)、(1−24)で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
一般式(1B)の具体例としては前記ホスト材料(A)の具体例として表した化合物例のうち、例えば化合物(1−14)、(1−16)、(1−17)、(1−18)、(1−19)で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
次に一般式(1A)および一般式(1B)で表される化合物の製造方法について説明する。
一般式(1A)で表される化合物はトリフェニレン誘導体のハロゲン置換体から種々の炭素-ケイ素結合形成反応を利用して合成可能であり、その方法は特に限定しないが、例えば、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・シリコン・コンパウンズ(The Chemistry of Organic Silicon compounds), part1, John Wiley & Sons, P.655〜761などに記載されている手法を利用して合成することが出来る。
この方法とは、例えば、トリフェニレン誘導体のハロゲン置換体からハロゲン−金属交換反応によって、トリフェニレン誘導体の有機金属化合物を合成し、これとハロシラン化合物とを反応させる方法である。
一般式(1B)で表される化合物はトリフェニレン誘導体のハロゲン置換体から種々の炭素-窒素結合形成反応を利用して合成可能であり、その方法は特に限定しないが、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(Journal of American Chemical Society), 1996, 118, 7215、あるいは、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(Journal of American Chemical Society), 1996, 118, 7217などに記載されているようなパラジウム触媒を用いた方法を利用して合成する手法が好ましい。
この方法とは、例えば、トリフェニレン誘導体のハロゲン置換体とアリールアミン化合物とを、パラジウム触媒および塩基の存在下、触媒的にカップリングさせる方法である。
パラジウム触媒としては、特に限定しないが、例えば、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、パラジウムカーボン、酢酸パラジウム、パラジウムジクロライド(dppf)(dppf:1,1’−ビスジフェニルホスフィノフェロセン)などが挙げられる。トリフェニルホスフィン、P(t-Bu)3などの配位子を同時に添加しても良い。
上記一般式(1B)の合成の炭素−窒素結合形成反応は、塩基を用いたほうが好ましい。用いる塩基の種類は特に限定しないが、例えば、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、トリエチルアミン、t−ブトキシナトリウム、t−ブトキシカリウムなどが挙げられる。用いる塩基の量は特に限定しないが、カルバゾールあるいはその誘導体、イミノスチルベンあるいはその誘導体に対して、好ましくは0.1〜20当量、特に好ましくは1〜10当量である。
上記一般式(1B)の合成の炭素−窒素結合形成反応は、溶媒を用いた方が好ましい。用いる溶媒は特に限定しないが、例えば、エタノール、水、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、トルエン、テトラヒドロフラン、キシレン、メシチレン及びそれらの混合溶媒を用いることができる。
上記一般式(1B)の化合物を合成する際の、炭素−窒素結合形成反応の反応温度は特に限定はないが、好ましくは20〜220℃、好ましくは20〜180℃、より好ましくは20〜160℃である。
次に、本発明の発光素子に関して説明する。本発明の発光素子は、本発明の化合物を利用する素子であればシステム、駆動方法、利用形態など特に問わないが、ホスト材料(A)とりん光材料が同一層に有る物が好ましい。代表的な発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を挙げることができる。
本発明の化合物を含有する発光素子の有機層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法、転写法が好ましい。
本発明の発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物膜を形成した素子であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。
陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。
陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)及びそのフッ化物または酸化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物または酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記化合物及び混合物を含む積層構造を取ることもできる。例えば、アルミニウム/フッ化リチウム、アルミニウム/酸化リチウム の積層構造が好ましい。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよく、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノールの金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、
ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、イリジウムトリスフェニルピリジン錯体、及び、白金ポルフィリン錯体に代表される遷移金属錯体、及び、それらの誘導体等が挙げられる。発光層の材料の少なくとも一つは、りん光材料である。発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、インクジェット法、印刷法、LB法、転写法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
発光層は単一化合物で形成されても良いし、複数の化合物で形成されても良い。また、発光層は一つであっても複数であっても良く、それぞれの層が異なる発光色で発光して、例えば、白色を発光しても良い。単一の発光層から白色を発光しても良い。発光層が複数の場合は、それぞれの発光層は単一材料で形成されていても良いし、複数の化合物で形成されていても良い。
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン誘導体、カーボン膜、本発明の化合物、及び、それらの誘導体等が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記正孔注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、インクジェット法、印刷法、転写法が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノールの金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン、本発明の化合物、及び、それらの誘導体等が挙げられる。電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、インクジェット法、印刷法、転写法などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、SiN、SiO などの窒化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
以下に本発明の具体的実施例を述べるが、本発明の実施の態様はこれらに限定されない。
[合成例1] 2−ブロモトリフェニレンAの合成
トリフェニレン3.2g、鉄粉0.15g、二硫化炭素100ml中に臭素2.3gを10分かけて滴下した。滴下終了後、攪拌を続け1晩攪拌後、水50ml、クロロホルム50mlを加えて分液。得られた有機層を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムろ別後、溶媒を減圧下留去し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)で精製することで2−ブロモトリフェニレンA 3.0gを得た。
Figure 0004703139
[合成例2] 例示化合物(1−15)の合成
窒素気流下、合成例1で合成した2−ブロモトリフェニレンA 0.55g、エーテル40mlを氷冷し、ここに1.6mol/lのノルマルブチルリチウム/ヘキサン溶液1.2mlを10分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴をはずして室温まで昇温し、さらに攪拌した。30分後再び氷冷して、ここにジクロロジフェニルシラン0.2gを10分かけて滴下し、滴下終了後、室温まで昇温してさらに攪拌を続けた。3時間後、1.0mol/lの塩酸水溶液20mlを滴下し、滴下終了後、さらにクロロホルム50ml、水50mlを加えた。分液して得られた有機層を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧下留去した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)で精製し、ヘキサン/クロロホルム混合溶媒から再結晶することで例示化合物(1−15)0.72gを得た。本化合物の融点は244℃であった。
Figure 0004703139
[合成例3] 化合物Bの合成
m−フェニレンジアミン18.5g、ピリジン17ml中に氷冷下、無水酢酸32.5gを20分かけて滴下し、室温に昇温して攪拌を続けた。8時間後、これにベンゼン120mlを加え、析出した固体をろ取することで化合物B 30.1gを得た。
[合成例4] 化合物Cの合成
窒素気流下、合成例3で合成した化合物B 10.0g、ヨードベンゼン27.6g、炭酸カリウム23.0g、銅粉0.7g、ヨウ素0.03gを180℃に加熱し、10時間攪拌した。反応の進行をTLC(薄層クロマトグラフィー)で追跡し、化合物Bの消失を確認した後、反応混合物中にクロロホルム100ml、水100mlを加え、分液した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、硫酸マグネシウムをろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をメタノールから再結晶することで化合物C 5.3gを得た。
[合成例5] 化合物Dの合成
合成例4で合成した化合物C 5.0g、エタノール100ml中に水酸化カリウム6.0gを加え、加熱還流した。8時間後室温まで冷却し、ここに水40mlを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体をメタノールで再結晶することで化合物D 3.5gを得た。
Figure 0004703139
[合成例6] 例示化合物(1−16)の合成
窒素気流下、合成例1で合成した2−ブロモトリフェニレンA 1.0g、合成例5で合成した化合物D 0.4g、2酢酸パラジウム 35mg、トリス-t−ブチルホスフィン0.10g、t-ブトキシナトリウム0.60g、メシチレン30mlを加熱還流し、8時間攪拌した。反応の進行をTLC(薄層クロマトグラフィー)で追跡し、2−ブロモトリフェニレンAの消失を確認した後、反応混合物中にクロロホルム50ml、水50mlを加え、分液した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)で精製した後、ヘキサン/クロロホルム混合溶媒から再結晶することで例示化合物(1−16) 0.60gを得た。本化合物の融点は258℃であった。
Figure 0004703139
[実施例1]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、まず正孔輸送材料としてα−NPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)−ベンジジン)を50nm蒸着した。この上に化合物(1−1)と 化合物a を 17対1 の比率(重量比)で36nmの厚さに共蒸着し、この上にアゾ−ル化合物bを36nm蒸着した。有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積が4mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内でフッ化リチウムを約1nm蒸着し、この上にアルミニウムを膜厚約200nm蒸着して素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社の輝度計BM−8、発光波長を浜松フォトニクス社製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。
その結果、色度値(0.27、0.62)の緑色発光が得られ、素子の外部量子効率は 7.1% であった。
また本素子の素子耐久性評価を初期輝度1200cd/m2、電流値一定にて行うと半減時間400時間である。
[実施例2]
化合物(1−1) の代わりに化合物(1−1)と金属錯体(2−9)を重量比1:1で混合したものを用い、実施例1と同様に素子作製評価した。その結果、色度値(0.28、0.62)の緑色発光が得られ、素子の外部量子効率は12.1%であった。
本素子の素子耐久性評価を初期輝度1200cd/m2、電流値一定にて行うと半減時間820時間である。
[実施例3]
NPDの代わりに化合物(1−16)を用い、化合物(1−1)の代わりに化合物dを用いて実施例1と同様に素子作成評価した。その結果、色度値(0.28、0.62)の緑色発光が得られ、素子の外部量子効率は10.0%であった。
[実施例4]
化合物(1−1) の代わりに化合物(1−2)を用い、実施例1と同様に素子作製評価した。その結果、色度値(0.27、0.60)の緑色発光が得られ、素子の外部量子効率は 8.1% であった。
本素子の素子耐久性評価を初期輝度1200cd/m2、電流値一定にて行うと、半減時間530時間である。
[実施例5]
化合物(1−1)の代わりに化合物(1−15)を用い、実施例1と同様に素子を作成し評価した。その結果、色度値(0.27、0.64)の緑色発光が得られ、素子の外部量子効率は9.0%であった。
[比較例1]
化合物 (1−1) の代わりにCBP(4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル)を用い、実施例1と同様に素子作製評価した。
本素子の素子耐久性評価を初期輝度1200cd/m2、電流値一定にて行うと半減時間70時間である。
[比較例2]
化合物 (1−1) の代わりに化合物cを用い、実施例1と同様に素子作製評価した。その結果、色度値(0.26、0.62)の緑色発光が得られ、素子の外部量子効率は 2.7% であった。
本素子の素子耐久性評価を初期輝度1200cd/m2、電流値一定にて行うと半減時間30時間である。
[比較例3]
比較例2の方法で作成した素子を化合物cが液晶相温度となる70℃に昇温して比較例2と同様に評価した。その結果、色度値(0.26、0.64)の緑色発光が得られ、素子の外部量子効率は8.1%であった。
また本素子の素子耐久性評価を初期輝度1200cd/m2、電流値一定にて行うと輝度半減時間80時間である。
同様に、他の本発明の化合物を用いても、高効率発光素子を作製することができる。
Figure 0004703139

Claims (5)

  1. 一対の電極間に、発光層を含む少なくとも1層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(1)で示される化合物よりなる、りん光材料に対するホスト材料(A)を少なくとも1種と、りん光材料の少なくとも1種とを含み、前記発光材料の三重項励起状態からのりん光発光を利用することを特徴とする有機電界発光素子。
    一般式(1) L−T
    (式中、Lは単結合あるいは2〜8価の芳香環、2〜8価の芳香族複素環、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子からなる連結基を表し、Tは置換基を有していてもよいトリフェニレンを有するである。nは2〜8の整数を表し、Tは互いに独立に異なっていても、同じであってもよい。)
  2. 請求項1に記載の発光素子の発光層中にさらに金属錯体ホスト材料(B)として下記一般式(2)あるいは一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0004703139
    (式中、M11、M21はそれぞれ独立に金属イオンを表し、L11、L21はそれぞれ独立に配位子を表す。X11、X21はそれぞれ独立に酸素原子、置換または無置換の窒素原子、硫黄原子を表し、Q11、Q21はそれぞれ独立に芳香環を形成する原子群を表す。Q12、Q22はそれぞれ独立に含窒素芳香環を形成する原子群を表す。m11、m21はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、m12、m22はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
  3. 前記の一般式(1)の連結基Lが、単結合又は下記の基のいずれか1つの基である請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
    Figure 0004703139
    Figure 0004703139
  4. 前記一般式(1)で示される化合物が下記一般式(1A)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
    Figure 0004703139
    (式中、T1はそれぞれ同じでも異なっていても良い、置換基を有していてもよいトリフェニレンを含む基を表し、Ar1はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。pは2以上4以下の整数を表す。)
  5. 前記一般式(1)で表わされる化合物が下記一般式(1B)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
    Figure 0004703139
    (式中、T2はそれぞれ同じでも異なっていても良い、置換基を有していてもよいトリフェニレンを含む基を表し、Ar2はそれぞれ同じでも異なっていても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。L2アリーレン基又はヘテロアリーレン基である2価以上6価以下の連結基を表し、qは2以上6以下の整数を表す。)
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