JP4702557B2 - 排気浄化装置 - Google Patents
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Description
図6は、このような排気浄化装置に使用されるPM捕集用のフィルタの例としてその一部を示した模式図であり、図7は図6のフィルタの一部を拡大した図である。同図に示すようにフィルタ102は、上流側と下流側とを連通する通路102aが多数並設されると共に通路102aの上流側開口と下流側開口とが交互に閉鎖されたセラミック担体102bからなり、セラミック担体102bには内部に多数の細孔102cが形成されている。
このように排気中のPMがフィルタ102に堆積すると、フィルタが目詰まりを起こしてフィルタの圧損によるエンジンの出力低下を無視することができなくなることから、フィルタへのPM堆積量が相当量に達したときには、堆積したPMを適宜焼却除去してフィルタの再生を行うようにしており、フィルタの再生方法としては連続再生と強制再生とがある。
一方、連続再生はエンジンの運転状態によって影響を受けるため、連続再生だけではフィルタに堆積したPMを十分に除去することができない。そこで、フィルタに堆積したPMを強制的に焼却して除去するために強制再生が行われる。強制再生の方法としては、排気通路に設けた燃料添加弁から排気中にHCを供給したり、エンジンの膨張行程や排気行程で気筒内に追加燃料を噴射することにより排気通路にHCを供給したりして、PMが燃焼可能な温度まで排気温度を上昇させるものが知られている。
特許文献1の排気浄化装置によれば、フィルタにおけるPM燃焼速度はフィルタ温度やフィルタに流入する排気中のNOx濃度やO2濃度によって変化するため、これらフィルタ温度、NOx濃度及びO2濃度によって補正した燃焼速度を用いてPM堆積量の推定が行われる。
図1は、本発明に係る排気浄化装置が適用された4気筒のディーゼルエンジン(以下、エンジンという)の全体構成図を示しており、図1に基づき本発明に係る排気浄化装置の構成を説明する。
エンジン1は各気筒に共通のコモンレール2を備えており、図示しない燃料噴射ポンプから供給されてコモンレール2に蓄えられた高圧の燃料(軽油)が各気筒に設けられたインジェクタ4に供給され、各インジェクタ4からそれぞれの気筒の燃焼室6内に燃料が噴射される。
インジェクタ4から噴射された燃料は燃焼室6内に導入された吸気と混合し、上昇するピストン24によって圧縮されることにより圧縮着火し、そのときの爆発力によってピストン24を押し下げクランク軸26を回転させる。
排気後処理装置38は、上流側ケーシング40と、上流側ケーシング40の下流側に連通路42で連通された下流側ケーシング44とで構成されている。上流側ケーシング40内には酸化触媒46が収容され、下流側ケーシング44内には、排気中のパティキュレートマター(以下PMという)を捕集するパティキュレートフィルタ(以下フィルタという)48が収容されている。
排気管32には、排気後処理装置38の入口近傍に位置して排気後処理装置38に流入する排気、即ち酸化触媒46に流入する排気の温度を検出する入口側排気温度センサ52が設けられている。
更に、フィルタ48の上流側となる連通路42で分岐した上流側分岐通路56と、フィルタ48の下流側で分岐した下流側分岐通路58とが差圧センサ(差圧検出手段)60に接続されており、差圧センサ60によりフィルタ48の上流側と下流側との差圧、即ちフィルタ48前後の差圧が検出される。
ECU62の入力側には、各種制御に必要な情報を収集するために、上述したエアフローセンサ22、入口側排気温度センサ52、出口側排気温度センサ54、及び差圧センサ60のほか、エンジン回転数を検出する回転数センサ64、及びアクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ66などの各種センサ類が接続されており、出力側には演算した制御量に基づき制御が行われる各気筒のインジェクタ4、吸気制御弁16及びEGR弁34などの各種デバイス類が接続されている。
まず、図2のステップS2において、強制再生フラグF1の値が1であるか否かを判定する。強制再生フラグF1は強制再生が必要であるか否かを示すものであり、値が1であると強制再生が必要であり、値が0であると強制再生が不要であることを示す。強制再生フラグF1の初期設定値は0となっており、最初の制御周期ではステップS2からステップS4へと進む。
PMの推定堆積量が強制再生開始判定値未満である場合は、現時点での強制再生が不要であると判定し、この制御周期を終了し、次の制御周期において再びステップS2から処理を行う。
ステップS8では、入口側排気温度センサ52によって検出された酸化触媒46に流入する排気の温度Tinが250℃以上であるか否かを判定することにより、酸化触媒46が活性化しているか否かを判定する。
上述のように酸化触媒46はまだ十分活性化していない状況であるためPMの焼却は行われておらず、PMの推定堆積量は強制再生終了判定値より大であると判定されて今回の制御周期を終えるので、次の制御周期で再びステップS2から強制再生制御が行われる。
ステップS8で、酸化触媒46に流入する排気の温度Tinが250℃未満で酸化触媒46が依然として活性化していないと判定した場合には、再びステップS10で吸気制御弁16の閉方向への制御と第1の追加燃料の噴射による触媒昇温制御が行われる。従って、酸化触媒46に流入する排気の温度Tinが250℃未満で、酸化触媒46が活性化していない間は、制御周期ごとにステップS10による触媒昇温制御が繰り返し行われる。
ステップS12では、出口側排気温度センサ54によって検出されたフィルタ48出口側の排気温度Toutに基づき、フィルタ48の温度が所定温度以上であるか否かが判定される。この所定温度は、フィルタ48でPMが最も効率よく燃焼する温度であり、本実施形態では600℃を所定温度とし、出口側排気温度センサ54によって検出されたフィルタ48出口側の排気温度Toutをフィルタ48の温度と見なしている。
ステップS14及びS16は、フィルタ48の温度を600℃に維持するように、インジェクタ4から第2の追加燃料を各気筒の燃焼室6内に噴射するものであって、第2の追加燃料は排気行程で噴射される。このような噴射タイミングで第2の追加燃料が燃焼室6内に噴射されることにより、第2の追加燃料は燃焼室6内や排気マニホールド30内で燃焼することなく酸化触媒46に達し、活性化温度にある酸化触媒46で燃料のHCが酸化される。このHCの酸化による排気温度の上昇によってフィルタ48の温度が600℃まで上昇し、フィルタ48に堆積したPMが焼却される。従って、本実施形態ではインジェクタ4が強制再生手段に相当する。
ステップS20により強制再生フラグF1の値が0になると、次の制御周期ではステップS2からステップS4へと処理が進むので、再びフィルタ48の強制再生が必要となるまでは、ステップS2からステップS4の処理が繰り返され、制御周期毎に強制再生の要否が判断される。
図3には、フィルタ48への全PM堆積量とフィルタ48前後の差圧との関係を示してあるが、同図に実線で示すように、フィルタ48へのPMの堆積はまず細孔内で行われ(上記図7の符号106bと同様)、細孔内へのPM堆積が飽和するとフィルタ48表面への堆積が始まる(上記図7の符号106aと同様)。
即ち、図3に示すように、細孔内のPMの燃焼に伴い、c点から破線に沿って差圧が下降していく。そして、d点で細孔内のPMの燃焼が完了すると、フィルタ48表面のPM燃焼に伴い、緩やかにa点に向け破線に沿って差圧が下降していく。
なお、フィルタ48は、フィルタ48の表面にPMが堆積している状態では細孔内へのPM堆積は行われないという特性を有しており、フィルタ48表面に堆積しているPMが全て燃焼しない限り、PMが再び細孔内へ堆積することはない。つまり、フィルタ48表面のPM燃焼が完了してa点に戻らない限り、フィルタ48内のPM堆積量とフィルタ48前後の差圧との関係は破線上をa点とd点との間で緩やかに行き来することとなる。
ところで、強制再生によってPMが燃焼すると、PMのアッシュ(灰)が残り、当該アッシュはフィルタ48内、具体的には細孔内及びフィルタ48の表面に付着して堆積する。このようにアッシュがフィルタ48内に堆積した状態になると、上述したように、当該アッシュが抵抗となって圧損が増大し、差圧センサ60により検出される実際の差圧が増大し、PM堆積量の推定に誤差が生じるという問題がある。
ところが、最近の研究によれば、上述したように、フィルタ48の表面に堆積したアッシュは推定誤差に影響を与える一方、細孔内に堆積したアッシュについては推定誤差に殆ど影響を与えないことが分ってきた。即ち、細孔内及びフィルタ48の表面に付着して堆積するアッシュの全てが推定誤差を生じるわけではないことが分ってきた。
図4には、本発明に係るPMの堆積量推定制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下、上記推定誤差分の補正を含めた本発明に係る堆積量推定制御内容について説明する。
具体的には、フィルタ48の仕様などに応じて予め設定されて記憶しているフィルタ48の温度とフィルタ48内におけるPMの基本燃焼速度との関係から、フィルタ48の温度に対応するPMの基本燃焼速度を読み出す。なお、実際には細孔内とフィルタ48の表面とではフィルタ48の温度に対するPMの基本燃焼速度は異なることから、フィルタ48の温度に対するPMの基本燃焼速度はそれぞれについて予め設定され記憶されており、細孔内とフィルタ48の表面のそれぞれについて基本燃焼速度を読み出す。そして、当該基本燃焼速度に基づき単位時間当たりのフィルタ48内におけるPMの基本燃焼量を求める。
ステップS34では、細孔内およびフィルタ48の表面それぞれのPMの燃焼量にアッシュ係数(例えば、PM重量に対するアッシュ重量の割合)を乗算し、PMの細孔内アッシュ量とフィルタ表面アッシュ量を求める(アッシュ量検出手段)。
同図に示すように、アッシュのうち細孔内に堆積したアッシュは殆ど推定誤差に影響を与えないため、細孔内に堆積したアッシュ量による推定誤差は極めて小さく、フィルタ48の表面に堆積したアッシュ量による推定誤差はアッシュ量に比例して大きく増大する。
そして、ステップS40において、当該補正したフィルタ48への全PM堆積量とフィルタ48前後の差圧との関係に基づきPM堆積量の推定を行う(堆積量推定手段)。以降、ステップS30乃至ステップS40を繰り返し実行し、例えば1回の強制再生を終了した時点では図3の一点鎖線に沿ってPM堆積量の推定を行う。
従って、PM堆積量を現実に即して正確に推定することができ、強制再生を効率良く的確に実施することができる。これにより燃費の悪化等を防止することができる。
ところで、上記実施形態では、排気浄化装置は、例えば、強制再生によってフィルタ48内の全て、即ち細孔内とフィルタ48の表面に堆積した全てのPMを完全に燃焼させてフィルタ48の再生を完了するものとして構成されるが(強制再生終了判定値が値0)、他の実施形態として、フィルタ48の表面に堆積した全てのPMが燃焼し尽くす直前でフィルタ48の再生を完了するようなものとして構成するようにしてもよい(強制再生終了判定値が所定値)。
例えば、上記実施形態では、フィルタ48の温度に基づきフィルタ48内におけるPMの基本燃焼量を演算するようにしているが、フィルタ48に供給されるNOx或いはO2の量に基づいて当該基本燃焼量を適宜補正するようにしてもよい。これにより、PMの燃焼量をより精度よく求めることができる。
更に、上記実施形態では、エンジン1として4気筒ディーゼルエンジンを用いたが、エンジン1の気筒数及び種類はこれに限られるものではなく、エンジン1は排気中のPMを捕集するためのフィルタを必要とするものであればよい。
4 インジェクタ(強制再生手段)
48 フィルタ
54 出口側排気温度センサ
60 差圧センサ(差圧検出手段)
62 ECU
Claims (1)
- エンジンの排気通路に配設され、細孔内及び表面に排気中のパティキュレートマターを捕集して堆積させるフィルタと、
前記フィルタの上流側と下流側との差圧を検出する差圧検出手段と、
前記差圧検出手段により検出される差圧に基づき、前記フィルタに堆積したパティキュレートマターの量を推定する堆積量推定手段と、
前記堆積量推定手段により推定されたパティキュレートマターの量に基づき、前記フィルタに堆積したパティキュレートマターを燃焼させ、該フィルタの強制再生を行う強制再生手段と、
前記強制再生手段による燃焼により生成され、前記フィルタに堆積するパティキュレートマターの細孔内及び表面のアッシュの量を検出するアッシュ量検出手段と、
前記アッシュ量検出手段により検出された少なくとも表面のアッシュ量に基づき、前記堆積量推定手段により推定するパティキュレートマターの量の推定誤差を算出する推定誤差算出手段と、
前記推定誤差算出手段により算出された推定誤差に基づき、パティキュレートマターの量の推定値を補正する補正手段とを備え、
前記フィルタは、前記強制再生手段により強制再生が行われるとき、前記細孔内に堆積したパティキュレートマターが燃焼した後に前記表面に堆積したパティキュレートマターが燃焼し、該表面に堆積したパティキュレートマターが燃焼を完了するまでは前記細孔内にはパティキュレートマターが再び堆積しないような機能を有するものであって、
前記強制再生手段は、前記表面に堆積したパティキュレートマターが燃焼を完了する前に強制再生を終了することを特徴とする排気浄化装置。
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