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JP4795616B2 - Bmp−2経路アンタゴニストの存在下においてes細胞を培養することによって胚性幹細胞の分化をコントロールする方法 - Google Patents

Bmp−2経路アンタゴニストの存在下においてes細胞を培養することによって胚性幹細胞の分化をコントロールする方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、特に培養中の幹細胞の維持及び持続性を改善するために、胚性幹(ES)細胞を培養する方法に関する。本発明はまた、本発明の方法によって作製されるES細胞培養物及び本発明によって提供される誘導分化手法によって得られる胚細胞由来の分化細胞を提供する。
【0002】
[序文]
未分化状態で維持することができるか、又はインビトロにおいて胚体外又は体細胞系統への分化を受けるように誘導することができるヒトES細胞が作製されることにより、早期ヒト発生の細胞生物学及び分子生物学、機能的ゲノム工学、移植又はインビトロにおける薬物スクリーニング及び薬物発見に使用するための幹細胞からの分化細胞の作製を検討することができる。
【0003】
一般に、幹細胞は、成熟した一連の機能的細胞を生ずることができる未分化細胞である。例えば、造血幹細胞は、異なる種類の最終分化血液細胞のいずれかを生ずることができる。ES細胞は胚由来であり、多分化能であるので、発生して任意の細胞を生ずる能力を有する。
【0004】
最近生物学及び医学における幹細胞の可能な適用に多大な注目が寄せられている。多分化能性及び不死性という特性はES細胞独自であり、これらの特性により、研究者はヒトの生物学及び医学における多数の問題に初めて取り組むことができる。特に必要な前駆幹細胞の増殖を支持することができる別の培養系がない場合には、ES細胞は移植手法に使用するためのドナー組織の不足に対処できると思われる。しかし、ヒト医学に基づいた発生学的研究、機能的ゲノム工学、増殖因子及び薬物発見、毒性学並びに細胞移植におけるES細胞技術の可能な広い範囲の適用のほとんど全ては、遺伝的改変をES細胞に導入するため及び分化を誘導するために、ES細胞を大規模に増殖することが可能であるという前提に基づいていることに注目しなければならない。現在の系はこれらの目標に達していない。ヒトES細胞を増殖するための現在の系は、基本培地としてのダルベッコ変法イーグル培地に、アミノ酸及びβメルカプトエタノール、血清補給並びに胚間葉細胞フィーダー細胞による担体を加えたものを使用することを含む。このような条件下における増殖は、培養のスケールアップ及び単一細胞のクローニングを含む多数の用途には十分ではなく、後者は、遺伝子操作後の形質転換体の選択に必須である。さらに、現在の増殖条件下では、幹細胞は、培養皿表面に接着する平らな扁平細胞として増殖するか、又は嚢胞状態で増殖する上皮細胞種への分化のデフォルト経路をとることが多い。この形態の分化は胚体外内胚葉分化を示すと思われ、この細胞種は霊長類の胚の初期の卵黄嚢細胞に類似していると仮定されている。先に記載したように、この形態の分化が優勢である条件は、ES細胞を望ましい体細胞種に分化させるのに望ましくない。細胞を未分化状態で維持し、必要時にその種類の細胞への分化を誘導するように分化経路をコントロールすることが望ましいと思われる。分化の前に、ES細胞の遺伝子操作を実施することができる。しかし、細胞を未分化幹細胞段階で維持し、胚体外分化へのデフォルト経路を防ぐのは困難であった。体細胞系統が望ましい場合には、ES細胞の胚体外分化を受けないように調節する手段が、細胞の運命を支配する際の重要な局面である。さらに重要なことには、分化過程の種々の段階が、例えば、始原細胞段階において調節される場合に、分化過程はより大きくコントロールされる。
【0005】
従って、本発明の目的は、従来技術の問題のいくつかを克服又は軽減し、ES細胞の体細胞又は胚体外系統への分化過程に関し、その調節を行うことにある。
【0006】
[発明の開示]
本発明の第1の側面において、未分化状態で長期間維持可能で、幹細胞再生又は体細胞分化を受ける未分化ES細胞の調製物が提供される。好ましくは、細胞は、インビトロにおいて体細胞分化することができ、胚体外系統へ分化しないようにされる。
【0007】
ES細胞は、早期胚の胚体外内胚葉系統に見られるものと同様の細胞に分化する自然の傾向を有する。従って、細胞がこのデフォルト分化経路をとらないように処理されなければ、体細胞系統は、さらに検討又は操作を行うために、インビトロにおいて効果的に得ることも、維持することもできない。特に体細胞系統に分化する大きい操作能力を生ずる未分化状態で細胞を維持することが望ましい。
【0008】
本発明の別の側面において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化(extraembryonic endoderm differentiation)のBMP−媒介性デフォルト経路の間接的又は直接的アンタゴニストの存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0009】
好ましい形態において、本発明は、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP−2媒介性デフォルト経路の間接的又は直接的アンタゴニストの存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法を提供する。
【0010】
従って、本発明の好ましい実施形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
ノギンの存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法。
【0011】
本発明の別の側面において、胚性幹(ES)細胞から始原細胞(progenitor cell)を作製する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路のアンタゴニストの存在下において、ES細胞を始原細胞に分化させるのに十分な期間ES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の側面において、ES細胞から体細胞を作製する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路のアンタゴニストの存在下において、ES細胞を始原細胞に分化させるのに十分な期間ES細胞を培養するステップと、
別の体細胞始原細胞培養物由来の始原細胞培養培地を入手するステップと、
上記始原細胞培養培地中で上記始原細胞を培養するステップと、
体細胞始原細胞系統から体細胞を入手するステップと
を含む方法が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
ノギン及び細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質因子の存在下においてES細胞を培養するステップと、
を含む方法が提供される。
【0014】
本発明の別の側面において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘発される因子の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0015】
本発明の別の側面において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
インスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の側面において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
繊維芽細胞及びインスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0017】
従って、本発明のこの側面では、通常の培養中に幹細胞の生存率及び増殖を増大し、分化条件下において入手される体細胞の程度及び多様性を増大するようにES細胞を培養する方法を提供する。
【0018】
本発明の別の側面において、インビトロにおいて体細胞分化することができる未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘発される因子の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0019】
未分化ES細胞は胚から直接誘導しても、又はPCT/AU99/00990に記載されているように予め獲得されたES細胞培養物から誘導してもよい。
【0020】
好ましくは、因子を誘導する細胞はES細胞である。
【0021】
本発明の別の側面において、インビトロにおいて体細胞分化することができる未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
繊維芽細胞及びインスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0022】
本発明の別の側面において、インビトロにおいて体細胞分化することができる未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
インスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法。
【0023】
本発明の別の側面において、ES細胞を未分化状態で維持することができるが、体細胞分化を行うことができる、細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘発される因子が提供される。因子を誘導する細胞はES細胞を含有する培養物であってもよい。
【0024】
本発明のさらに別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路のアンタゴニスト及び細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘発される因子の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0025】
本発明の別の側面において、ノギン又は骨形成タンパク質(BMP)の他の阻害物質もしくはアンタゴニストを用いたES細胞の処理によって得られ、多種多様の体細胞にインビトロにおいて分化することができる、ES細胞とは異なる多分化能始原細胞が提供される。
【0026】
別の側面において、体細胞に分化することができる分化委任始原細胞系統が提供される。
【0027】
本発明の別の側面において、ニューロン及びグリア(glial)細胞への分化を受けることができるノギン処理したES細胞由来の神経始原細胞が提供される。
【0028】
別の側面において、未分化ES細胞からインビトロにおいて分化することができる体細胞が提供される。成熟体細胞を生ずることができる前駆体細胞が提供される。細胞は、軟骨、筋肉、骨、肝細胞、膵臓島細胞及び呼吸器内皮細胞を含むが、これらに限定されない肺性中胚葉及び肺性内胚葉系統に分化することができる。
【0029】
本発明の第1の側面において、未分化状態で長期間維持可能で、幹細胞再生又は体細胞分化を受ける未分化ES細胞調製物が提供される。好ましくは、細胞はインビトロにおいて体細胞分化することができ、胚体外系統へ分化しない傾向がある。
【0030】
本願の説明及び特許請求の範囲において、「含む」という用語及び「含んでいる」及び「1つのものを含む」などの用語の変化形は、他の添加物、成分、完全体(integers)及びステップを排除することを意図していない。
【0031】
ES細胞は、早期ヒト胚の胚体外内胚葉系統の細胞に類似した細胞に分化する自然の能力を有する。従って、このデフォルト化されている分化経路を受けないように細胞が処理されないと、体細胞系統はさらなる検討又は操作を実施するためにインビトロにおいて効果的に達成又は維持されない。細胞を未分化状態で維持して、特に体細胞系統への分化という操作をする大きな能力を与えることが望ましい。
【0032】
本発明の調製物は、好ましくは、精製調製物で、長期培養することができ、細胞死又は分化を誘発しない条件下で実質的に維持される。しかし、細胞は、分化信号が導入されたとき、特に体細胞に分化することができることが好ましい。
【0033】
好ましくは、胚細胞は、一般に分化しない条件下において繊維芽細胞フィーダー細胞層で培養するとき、未分化状態で維持することができる。望ましくは、繊維芽細胞フィーダー細胞層は細胞死又は胚体外分化を誘発しない。
【0034】
未分化状態で維持されている培養細胞は、分化条件に曝されるときインビトロにおいて分化する可能性を有することができる。しかし、分化信号が与えられるとき、多種多様の体細胞系統にインビトロにおいて分化する能力を細胞が有することが最良である。
【0035】
一方では、インビトロにおいて未分化状態で維持することができ、他方ではインビトロにおいて体細胞系統に分化することができる幹細胞を促進することにより、早期ヒト発生の細胞生及び分子生物学、機能的ゲノム工学、移植又は薬剤スクリーニング及び薬剤発見にインビトロにおいて使用するための分化細胞を幹細胞から作製を検討することができる。
【0036】
細胞は未分化状態で維持されると、成熟した機能細胞に分化させることができる。ES細胞は胚由来で、多分化能であり、血液細胞、ニューロン細胞又は筋細胞などの任意の器官又は組織種に発生する能力を有する。
【0037】
本発明の別の側面において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP−媒介性デフォルト経路の間接的又は直接的アンタゴニストの存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0038】
標準的な条件下において増殖させたES細胞培養物中に見られる胚体外内胚葉分化のデフォルト経路は、増殖及び分化因子又はトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)スーパーファミリーのメンバーであるBMP(骨形成タンパク質)によって媒介されることを出願人らは見出した。本明細書において使用する、これらのタンパク質及びTGF−βスーパーファミリーの関連タンパク質は集合的にBMPとして周知である。標準的な条件下において増殖させた未処理のES細胞培養物はBMP及びそれらのリセプターの転写物を発現する。さらに、BMPで処理した培養物は、自然に分化している培養物中に見られる平坦な扁平細胞に類似した形態を有する細胞種への分化を受け、この細胞種に特徴的な免疫化学的マーカー及び遺伝子を発現する。従って、ヒトES細胞培養物中で胚体外内胚葉分化を誘導するBMP−媒介性オートクリンループは幹細胞(未分化)を消失させ、望ましい体細胞種の作製が阻止されることを出願人らは仮定している。
【0039】
本発明の「未分化ES細胞」は当業者に利用可能な任意の手段によって入手することができる。この用語は新たに単離された未分化ES細胞並びに樹立され、培養されている未分化ES細胞を含むことが意図されている。しかし、それらは、ES細胞の培養物として胚から誘導されるES細胞を含む、PCT/AU99/00990号に概略されている方法によって入手することができる。その出願の全体の内容は本明細書に組み入れられる。
【0040】
BMPは多機能性サイトカインで、TGFベータβスーパーファミリーのメンバーである。それらはノギン及びコーディンなどのBMP結合タンパク質によって調節される。種々の機能を有するいくつかのBMPが存在する。例えば、BMP−2は骨形成の調節に関与するが、BMP−4は中胚葉誘導の調節因子として発生に関係している。
【0041】
BMP及びそれらのリセプターの発現によって測定するとき、BMP媒介性デフォルト経路はBMPの発現によって媒介される。好ましくは、それは、BMP−2及びそれらのリセプターの発現によって測定される。
【0042】
好ましい実施の形態において、本発明は、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP−2媒介性デフォルト経路の間接的又は直接的アンタゴニストの存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法を提供する。
【0043】
BMP−2は、幹細胞再生の拡大又は体細胞分化の実施に関与すると以前には示されていないので、これは驚くべき結果である。
【0044】
BMPの天然型の間接的又は直接的アンタゴニストが数多く同定されている。BMPの直接的アンタゴニストは、フェチュイン、ノギン、コーディン、グレムリン(gremlin)、フォリスタチン、ケルベロス、アムニオンレス(amnionless)、DAN、又はBMPR1A(BMPリセプタータンパク質)の細胞外ドメイン又は他のBMPリセプターのリガンド結合ドメインを含むが、これらに限定されない群から選択することができる。好ましくは、BMP−2アンタゴニストはノギンである。
【0045】
間接的BMPアンタゴニストは、BMPに直接作用しないが、BMPの作用を調節する細胞内信号伝達経路に影響を与えるものである。好ましくは、間接的BMPアンタゴニストはインスリン又はインスリン類似物質である。
【0046】
インスリン又はインスリン類似物質及び相同物質は、ヒトES細胞のストレス応答を遮断することによって、間接的にBMPと拮抗することができる。幹細胞にストレスを加える条件は、胚体外内胚葉分化へのこのデフォルト形態の分化を生じることがある。
【0047】
従って、本発明の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
ノギンの存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0048】
任意の期限のBMPアンタゴニストを使用することができる。しかし、マウスBMPアンタゴニストノギンは、胚体外内胚葉分化を防止する際に特に効果的であることを出願人らは見出した。アミノ酸残基20〜232のマウスノギンペプチドであるシグナルペプチドと、ペプチドリンカーと、ヒトIgGIのFc領域とからなるマウスBMPアンタゴニストノギン(R&D Systems)は、未分化ES細胞培養物を維持するために使用することができることを出願人らは見出した。しかし、胚体外分化を防止し、好ましくは、体細胞分化又はES細胞再生のどちらかの望ましい方向にES細胞を誘導するために、他の起源のノギン及びペプチド配列を使用することができる。
【0049】
BMPアンタゴニストの好ましい範囲は、標準的なES細胞培養条件において増殖される細胞に対して100〜500ng/mlの範囲である。この範囲は、ノギンに特に有効である。
【0050】
BMPアンタゴニストは任意の段階の未分化ES細胞培養物に添加することができる。しかし、胚体外内胚葉分化のデフォルト経路が開始する前にアンタゴニストを添加することが好ましい。
【0051】
BMPアンタゴニストは、任意の期間、好ましくは均一な集団を得るのに十分な期間細胞と共に培養することができる。
【0052】
本発明の別の側面において、ES細胞から始原細胞を作製する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路の間接的又は直接的アンタゴニストの存在下において、ES細胞を始原細胞に分化させるのに十分な期間ES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0053】
好ましくは、アンタゴニストは、上記の任意のアンタゴニストの単独又は組み合わせである。さらに好ましくは、アンタゴニストはBMP−媒介性デフォルト経路のアンタゴニストである。ノギンは、直接的なアンタゴニストとして最も好ましい。
【0054】
ES細胞を分化させるのに十分な期間は使用するアンタゴニストに依存する。ノギンを使用する場合には、少なくとも5日間で、ES細胞とは性状が異なる始原細胞を提供することができる。
【0055】
約5日後、ノギン処理した培養物(100〜500ng/ml)は、ES細胞とは性状が異なる明瞭な小型の丸い細胞からなっていることを出願人らは見出した。対照培養物とは異なり、ノギン処理した培養皿のコロニーは、BMP−2処理した培養物の細胞に類似した平坦な扁平上皮細胞又は嚢胞構造物を含有しなかった。コロニーの増殖もノギンの存在下において阻止され、幹細胞マーカーGCTM−2を保有する細胞の割合は、対照培養物と比較して低下した。ノギン培養物は性状が均一になるが、後には、柵状細胞構造を形成する傾向を示すことがある。
【0056】
ノギン処理細胞の免疫表現型は、標準的な条件下におけるES細胞の継代培養後約7〜10日経過時という早期経過時点において自然に見られるES細胞又は分化細胞に特徴的な数多くのマーカーを発現しないことによって識別することができる。従って、ノギン誘導細胞は、MHCクラス1表面分子を認識するPHM4、抗−デスミン、ポリシアリル化N−CAMと反応性のUJ13A、低分子量サイトケラチンと反応性のCam5.2、ビメンチン中間径フィラメントと反応性のAMF、160kDa神経線維タンパク質に対する抗体、ES細胞表面に存在するプロテオグリカンと反応性のGCTM−2、GCTM−2によって認識されるプロテオグリカンと同時に精製され、幹細胞及び他の細胞種に見られる25kDaのタンパク質と反応性のTG42.1、自然に分化するヒトEC細胞培養物中の少数の細胞に存在する未知の分子と反応性のモノクローナル抗体GCTM−5を含む抗体を含む抗体のいずれかと反応しないことによって特徴づけることができる。しかし、ノギン処理した培養物中に存在する種々の割合の細胞が、68kDaの神経線維タンパク質を認識する抗体と反応することができる。
【0057】
ノギン処理した細胞は、生物学的アッセイでさらに特徴づけることができる。25ng/mlの組み換えヒトBMP−2と250ng/mlのノギンを添加すると、自然に分化するES細胞培養物又はBMP−2処理した培養物に特徴的な扁平細胞又は嚢胞が出現し、これはBMP−2がノギンの作用に拮抗していると思われることを示していること出願人らは見出した。ノギン処理した細胞を標準的なES細胞培養条件下で継代培養し、特有の形態を保持し、これらの条件下においてES細胞、胚体外内胚葉、神経始原細胞又は他の種類の体細胞のマーカーを発現させないことができた。
【0058】
本発明のさらに別の側面において、ES細胞から体細胞を作製する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路の間接的又は直接的アンタゴニストの存在下において、ES細胞を始原細胞に分化させるのに十分な期間ES細胞を培養するステップと、
始原細胞培養培地を入手するステップと、
始原細胞培養培地で始原細胞を培養するステップと、
始原細胞系統から体細胞を入手するステップと
を含む方法が提供される。
【0059】
体細胞は、体細胞系統の任意の細胞であってよい。BMPアンタゴニストを使用すると、任意の体細胞系統に分化することができる始原細胞を作製することができる。
【0060】
始原細胞培養培地は、望ましい体細胞に分化することもできる体細胞始原細胞培養物から誘導されても、又は体細胞始原細胞に特注で、特定の体細胞種用に調製直後である培養培地であってもよい。好ましくは、神経細胞については、始原細胞培養培地は神経始原細胞培養物から誘導されることが望ましく、このような培地はPCT/AU01/00278号に記載されている神経始原細胞培養物から誘導することができる。このように、記載されている経路を介して分化する体細胞(好ましくは、神経細胞)は体細胞始原細胞(神経始原細胞)の系統を有する。始原細胞培養培地は上記のように特注製造することもでき、例えば、神経細胞では、始原細胞培養培地は神経始原細胞用に特別に調製された培地であってもよい。
【0061】
始原細胞は、PCT/AU01/00278号に記載されているように培養した神経始原細胞であってもよい。神経始原細胞は、その明細書に記載されているように、成熟したニューロン又はグリアに分化するように誘導することができる。
【0062】
始原細胞は、血清が存在し、フィーダー細胞層が存在しない場合に単層培養でプラスチック表面で培養し、グリア細胞又は他の細胞種を生じることもできる。
【0063】
BMPアンタゴニストは上記のようである。好ましくは、アンタゴニストはBMP−2アンタゴニストである。最も好ましくは、それは、ノギンなどの直接的なアンタゴニストである。
【0064】
ノギン処理した細胞を神経始原細胞培養培地で培養する場合、それらは、培養状態で維持することができ、ニューロスフェアの性状を有する構造物を形成することを出願人らは見出した。この所見は、ノギン処理した培養物中に68kDaの神経線維タンパク質を発現する細胞が存在することと共に、ノギン細胞は、早期脊椎動物胚におけるノギンの影響と共に、神経形成系統の委任を受けることができることを示唆している。これらのニューロスフェアは、成熟したニューロンの特性を有する細胞を生ずると思われる。
【0065】
または、ノギン細胞は、フィーダー細胞層が存在しない場合にさらに継代培養してグリア細胞及び他の細胞種を生じでも又は、他の体細胞始原細胞及び/又はそれら由来の分化細胞の形成を誘導する条件下において培養してもよい。
【0066】
従って、BMP−2のアンタゴニストはヒトES細胞の分化結果を変更することができる。
【0067】
本発明の好ましい側面において、神経形成系統の細胞を作製する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
ノギンの存在下においてES細胞を培養して始原細胞を作製するステップと、
神経始原細胞培養培地を入手するステップと、
神経始原細胞培養物及び神経形成系統の細胞を入手するのに十分な期間、神経始原細胞培養培地中で神経始原細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0068】
作製及び調製直後の始原細胞培養培地をノギンと併用使用して、体細胞分化を生じることができる。
【0069】
さらに別の好ましい側面において、神経形成系統の細胞を作製する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
ノギンの存在下において、ES細胞を培養して、始原細胞を作製するステップと、
別の培養物由来の神経始原細胞を入手するステップと、
神経始原細胞及び神経形成系統の細胞を入手するのに十分な期間始原細胞を神経始原細胞培養培地中で培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0070】
始原細胞を培養する期間は、始原細胞培養培地に依存してもよい。しかし、期間は、実質的に均一な細胞集団が入手されるとき決定されることができる。
【0071】
始原細胞培養培地は、別の神経始原細胞培養物から入手される調整培地であってもよい。好ましくは、調整培地は、神経又はグリア細胞への分化を受けていない始原細胞から入手される。
【0072】
任意の培地が好適であり、市販品を購入可能である。好ましくは、培地は、PCT/AU01/00278号に記載されている神経始原細胞培養物由来である。
【0073】
本発明の別の側面において、GCTM−2などのES細胞マーカーの発現の欠如並びにMHCクラス1表面分子を認識するPHM4、抗−デスミン、ポリシアリル化N−CAMと反応性のUJ13A、低分子量サイトケラチンと反応性のCam5.2、ビメンチン中間径フィラメントと反応性のAMF、160kDa神経線維タンパク質に対する抗体、ES細胞表面に存在するプロテオグリカンと反応性のGCTM−2、GCTM−2によって認識されるプロテオグリカンと同時に精製され、幹細胞及び他の細胞種に見られる25kDaのタンパク質と反応性のTG42.1、自然に分化するヒトEC細胞培養物中の少数の細胞に存在する未知の分子と反応性のモノクローナル抗体GCTM−5を含む抗体のいずれかと反応しないことによる表面抗原発現を含むが、これらに限定されない、特定パターンの抗原発現によって同定される幹細胞又は始原細胞集団が提供される。
【0074】
本発明の別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
細胞由来のインスリンもしくはインスリン類似物質によって誘導される因子の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0075】
好ましくは、因子を誘導する細胞はES細胞を含有する培養物である。
【0076】
本明細書に記載する方法は、インスリン又はインスリン類似物質の存在下において幹細胞を新規に誘導するステップと、未分化ES細胞培養物を維持するステップとを含むことが意図されている。
【0077】
本発明の別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
インスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0078】
本発明のさらに別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
繊維芽細胞フィーダー細胞層及びインスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0079】
従って、本発明のこの実施の形態は、通常の培養中に幹細胞の生存率及び増殖を増大し、分化条件下において入手される体細胞の程度及び多様性を増大するようにES細胞を培養する方法を提供する。インスリン及びインスリン類似物質は、BMP媒介性デフォルト経路に対する間接的なアンタゴニスト作用を有する可能性がある。
【0080】
ES細胞は、いくつかのレベル、細胞生存、多分化能性の維持及び幹細胞再生(細胞増殖)において外因性因子によってコントロールすることができる。インスリン又はインスリン類似物質は細胞生存及び多分化能性の維持に影響を与える可能性がある。幹細胞再生を誘導する他の因子と組み合わせて、インスリン又はその類似物質は幹細胞数の増殖を強化する。
【0081】
本発明のさらに別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
繊維芽細胞フィーダー細胞層上でES細胞を培養するステップと、
培養中の細胞を、有効量のインスリン又はインスリン類似物質に暴露するステップと
を含む方法が提供される。
【0082】
繊維芽細胞上で細胞を培養し、おそらく、ES細胞培養物を樹立する間、細胞を最初に培養してからインスリン又はインスリン類似物質に暴露することができる。
【0083】
出願人らは、インスリン又はインスリン類似物質の存在下において、繊維芽細胞フィーダー細胞層上でES細胞を一般に培養することによってこれを実施する手段を見出した。類似物質はIGF−1又はIGF−2であってもよい。好ましくは、インスリン類似物質はIGF−2である。インスリン又は類似物質は、幹細胞の増殖を支持し、体細胞分化を実施する因子を作製するように幹細胞を誘導することができる。
【0084】
インスリン、又はIGF−1もしくはIGF−2を含むインスリンの類似物質は、多種多様の培養中の哺乳類細胞の増殖及び生存を支持するために使用されている。しかし、血清が存在し、フィーダー細胞支持が存在する場合又は存在しない場合においてES細胞の増殖及び生存に対して与える、インスリン、又はIGF−1もしくはIGF−2を含むインスリンの類似物質の考えられる影響は報告されていない。
【0085】
インスリン又はIGF−2などのインスリン類似物質の作用はES細胞に直接的であることもある。インスリン又は類似物質は、クリプト又はGDF−3などの幹細胞自体によって産生される因子と組み合わせて機能することがある。
【0086】
例えば、フィーダー細胞層の存在しない場合にES細胞増殖させる場合には、細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘導される因子は、インスリン又はインスリン類似物質に暴露させた幹細胞などの別個の細胞培養物から回収することができる。次いで、インスリン又はインスリン類似物質誘導性因子を含有するこの起源由来の調整培地を、未分化状態で維持するが、体細胞系統に分化することができる細胞を維持するのに好適な濃度でES培養物に導入することができる。
【0087】
または、ES細胞を繊維芽細胞フィーダー細胞層上で増殖させ、繊維芽細胞又は幹細胞自体によって産生される因子と併用してインスリン又はインスリン類似物質がES細胞に作用することができる。増殖因子GDF−3及びクリプトはヒトES細胞によって産生される。これらの因子をインスリン又はインスリン類似物質と共に添加すると細胞増殖をさらに強化することができる。幹細胞増殖又は生存を増加する他の因子が、インスリン又はインスリン類似物質で処理した幹細胞によって産生されうる。
【0088】
インスリン又はIGF−2などのインスリン類似物質は、約10ng/ml〜10μg/mlの濃度で、その因子が遊離され、好ましくは回収される幹細胞培養物に添加されうる。それは、繊維芽細胞フィーダー細胞層上で維持されるES細胞培養物に添加されてもよく、又はES細胞に直接作用することもできる。理想的には、濃度は10μg/mlである。
【0089】
インスリン又は類似物質は、培養時又は繊維芽細胞フィーダー細胞層上のES細胞に直接添加してもよい。
【0090】
本発明の別の側面において、ES細胞を未分化状態で維持することができるが、体細胞系統に分化することができる細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘導される因子が提供される。好ましくは、因子は、インスリン又はインスリン類似物質にES細胞を暴露することによって誘導される。因子は、一般に、ES細胞の培養培地(上清)に見られ、それから単離することができる。
【0091】
繊維芽細胞由来の細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘導される因子は、以下によって同定することができる:
1)インスリン又は類似物質でES細胞を処理し、処理した細胞又は対照の細胞から調整培地を回収し、ES細胞に対するこれらの培地の生物学的影響を試験し、各因子を試験することによるクロマトグラフィーなどの当業者に周知の生化学的手段によって活性な因子を同定する、又は
2)例えば、具象的なディスプレイ分析並びに分子クローニング及び組み換えタンパク質発現という標準的な技法又は当業者に周知の関連する技法を使用してこれらの因子を同定するための、対照ES細胞及びインスリン又は類似物質で処理したES細胞における遺伝子発現の鑑別分析。
【0092】
ES細胞はフィーダー細胞層が存在する場合又は存在しない場合において増殖させることができる。フィーダー細胞層を使用する場合には、それは、好ましくは、PCT/AU99/00990号に記載されている種類の繊維芽細胞フィーダー細胞層である。その出願は全体の内容が本明細書に組み入れられている。
【0093】
幹細胞由来のインスリンによって誘導される因子に対するインスリン又はインスリン類似物質の影響は、インスリンを含有する培地でESコロニーを5〜7日間継代培養すると明らかになる。
【0094】
本発明の別の側面において、GCTM−2及びTRA 1−60の両方に陽性のもの、これらの抗原の一方又は他方に陽性のもの及び表面にどちらの抗原も欠損するものを含むが、これらに限定されない、特定パターンの表面抗原発現によって同定される幹細胞集団又は前駆始原細胞集団が提供される。
【0095】
インスリンもしくは類似物質又はインスリンもしくは類似物質によって誘導される因子の影響は、インスリンもしくは類似物質又は因子が存在しない場合に増殖されるコロニーと比較したとき、より密にパックされ、均一な性状によって形態的に明らかにされる。均一な幹細胞形態の細胞が処理したコロニーにはより多く存在し、このようなマーカーを発現する細胞の数を計数するために幹細胞特異的マーカーを使用する免疫染色方法又はこのような幹細胞特異的マーカーを使用するフローサイトメトリーによりそれらの割合を推定することを使用してこのことを確認することができる。理論に結びつけるのではないが、インスリンもしくは類似物質処理の主な影響又は因子の短期間の影響は、幹細胞の増殖又は生存に対する影響と一致して、存在する幹細胞の割合に顕著な影響を与えることなく、各コロニーの細胞数を増加することであると考えられる。
【0096】
幹細胞の性状を有する細胞からなる培養物においても不均一性が存在することを出願人らは観察した。例えば、マーカーGCTM−2に反応性の細胞の割合は、TRA 1−60に反応する細胞の割合より常に低い。これは、異なる成熟レベルの幹細胞が集団内に存在することを反映している可能性がある。インスリン又は類似物質による処理は、TRA 1−60陽性細胞の割合の中程度の低下を常に生ずるが、GCTM−2陽性細胞の割合を変化しない。これは、幹細胞の成熟速度の変化を示している可能性がある。対照培養物及びインスリン又は類似物質処理した培養物における種々の細胞亜集団の単離(例えば、TRA 1−60+GCTM−2+、GCTM−2+TRA 1−60−、TRA 1−60+GCTM−2−又はTRA 1−60−GCTM−2−)は、コロニー形成能力又は体細胞分化能の増強などの望ましい特性を有する新規細胞中間体を同定する助けとなることがある。
【0097】
インスリンもしくは類似物質又はインスリンもしくは類似物質によって誘導される因子の存在下において増殖される幹細胞は、インスリンもしくは類似物質又は因子が存在しない場合に増殖される幹細胞よりはるかに長期間持続することが本発明において見出された。それらは3週間以上になっても存在することができるが、対照コロニー(インスリン又は因子が存在しない場合に増殖)は分化細胞からなる。
【0098】
インスリン又はその類似物質のこのような影響は、幹細胞生存の増強及び多分化能性の維持と解釈することができる。
【0099】
インスリンもしくは類似物質又は因子の存在下において、未分化幹細胞を増殖し、何継代も継代培養することができる。インスリンもしくは類似物質又は因子の存在下において幹細胞の長期維持が成功していることは、幹細胞マーカーを保有し、Oct−4などの幹細胞特異的遺伝子を発現する2倍体細胞が培養物中に存在し続けることによって証明することができる。さらに、20〜30細胞集団倍加するまで継代培養した培養物において、幹細胞は、3つの胚性胚葉全ての誘導物を含有するSCIDマウスの奇形腫を形成する幹細胞によって証明することができる。
【0100】
このように、インスリンもしくは類似物質又は細胞由来のインスリンもしくはインスリン類似物質によって誘導される因子は、本明細書に記載されるように、通常の継代中に幹細胞の数及び持続性を増加するのに有用である。
【0101】
インスリン又はインスリン類似物質は、PCT/AU99/00990号に記載されているように、胚盤胞からES細胞を誘導中に培養物に添加してもよい。
【0102】
本発明の別の側面において、インビトロにおいて体細胞分化することができる未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘導される因子の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0103】
好ましくは、因子を誘導する細胞はES細胞培養物である。
【0104】
本発明の別の側面において、インビトロにおいて体細胞分化することができる未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
繊維芽細胞及びインスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0105】
本発明の別の側面において、インビトロにおいて体細胞分化することができる未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
インスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0106】
通常の継代中の幹細胞の数及び持続性に影響を与えるだけでなく、インスリンもしくは類似物質又は因子を添加すると、分化の結果に影響を与えることもある。
【0107】
本発明の好ましい側面において、インビトロにおいて体細胞分化することができる未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
繊維芽細胞フィーダー細胞層上でES細胞を培養するステップと、
有効量のインスリン又はインスリン類似物質に培養中の細胞を暴露するステップと
を含む方法が提供される。
【0108】
繊維芽細胞上で細胞を培養し、おそらく、ES細胞培養物を樹立する間、細胞を最初に培養してからインスリン又はインスリン類似物質に暴露することができる。
【0109】
体細胞分化は、幹細胞再生を制限するが、細胞の生存を支持し、胚体外分化を制限する条件下において実施される。出願人らは、繊維芽細胞フィーダー細胞にインスリンを添加すると、胚体外内胚葉細胞主への胚体外分化を制限することを見出した。胚体外分化を受ける細胞の割合の低下は、この系統の特徴的なマーカーを保有する割合の低下によって証明することができる。胚体外細胞の表現型の同定は、免疫細胞化学又はRT−PCRを使用して、胚体外内胚葉系統の特異的マーカーが存在することによって証明することができ、このようなマーカーには、HNF3α及びβなどの転写因子、サイトケラチン19を含むサイトケラチン、細胞接着分子ビトロネクチン及びIV型コラーゲン及びラミニンなどの基底膜分子が挙げられる。幹細胞は、インスリンもしくはその類似物質又は幹細胞由来のインスリンもしくはインスリン類似物質によって誘導される因子で処理した培養物において長く存続し、このような培養物はフィーダー細胞層を再生しなくても維持することができるので、体細胞分化が主に実施され、神経外胚葉前駆体(N−CAM及びネスチンを染色し、Pax−6を発現する)が対照の培養皿より数多く最初に出現する。その後、対照の培養物中では胚体外細胞の割合が高いことによって通常対照培養物中では検出されない多数の別の細胞種がインスリン又はインスリンによって誘導された因子で処理した培養物中に見ることができる。これらの新規細胞種は、明白な形態、表面マーカー発現及び遺伝子発現パターンによって特徴づけることができる。
【0110】
本発明のさらに別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路のアンタゴニスト及び細胞由来のインスリン又はインスリン類似物質によって誘導される因子の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0111】
本発明の別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路のアンタゴニスト及び繊維芽細胞及びインスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0112】
本発明の別の好ましい実施の形態において、未分化ES細胞を培養する方法であって、
未分化ES細胞源を入手するステップと、
胚体外内胚葉分化のBMP媒介性デフォルト経路のアンタゴニスト及びインスリン又はインスリン類似物質の存在下においてES細胞を培養するステップと
を含む方法が提供される。
【0113】
BMP−アンタゴニスト及びインスリン又はインスリン類似物質の使用は上記に記載されているとおりであるが、胚体外内胚葉分化に向かうBMP−媒介性デフォルト経路と競合するために併用使用することができる。好ましくは、BMP−アンタゴニストはBMP−2アンタゴニストである。最も好ましくは、アンタゴニストはノギンである。
【0114】
別の好ましい実施の形態において、本発明により培養される未分化細胞は、分化シグナルに暴露されると、インビトロにおいて分化条件下において分化して体細胞系統を形成する。
【0115】
別の側面において、好ましくは本明細書に記載する方法によって作製される、体細胞に分化することができる前駆始原細胞系統が提供される。
【0116】
別の側面において、未分化ES細胞からインビトロにおいて分化することができる体細胞が提供される。成熟した体細胞を生ずることができる前駆体細胞も提供される。細胞は、軟骨、筋肉、骨、肝細胞、膵臓島細胞及び呼吸器内皮を含むが、これらに限定されない胚性中胚葉及び胚性内胚葉系統に分化することができる。好ましくは、体細胞は、本明細書に記載される方法のいずれかから誘導される。
【0117】
これらの細胞はヒトES細胞の体細胞分化によって入手することができ、マーカーによって同定することができる。これらの細胞は純粋な形態で分化中のES細胞からインビトロにおいて単離し、インビトロにおいて増殖することができる。それらは、成熟した体細胞系統への分化を受けるように誘導することができる。
【0118】
分化シグナルの存在下において、適切な条件下における未分化ES細胞は、胚性胚葉(内胚葉、中胚葉及び外胚葉)の誘導体及び/又はニューロン組織などの胚体外組織に分化する。この分化過程はコントロールすることができる。
【0119】
ES細胞から体細胞の分化培養物を入手する条件は、その内容が本明細書に組み入れられている、PCT/AU99/00990号に記載されている。
【0120】
細胞が分化するように誘導されたら、上記の手段によって同定される、種々の細胞種を分離し、別個に培養することができる。始原細胞は、軟骨、筋肉、骨、肝細胞、膵臓島細胞及び呼吸器内皮を含むが、これらに限定されない胚性中胚葉及び胚性内胚葉系統を含む任意の細胞に分化することができる。
【0121】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに詳細に記載される。しかし、以下の説明は例示的にすぎず、上記の本発明の一般性を制限するものといかなるようにも考えられるべきではないことが理解されるべきである。
【0122】
[実施例]
[実施例1:ヒトES細胞の短期維持に対するインスリンの作用]
PCT/AU99/00990号に記載されているHES−1又はHES−2細胞をインスリンが存在する場合又は存在しない場合において継代培養し、継代しないで、1〜4週間維持した。処理した細胞又は対照細胞のコロニーをディスパーゼを使用して回収した。いくつかのコロニーを使用して、培養物中の幹細胞特異的遺伝子(Oct−4、クリプト、ゲネシス、GDF−3、GCNF)の転写物の存在をRT−PCRによって求めた。他のコロニーを1個の細胞に分離し、GCTM−2抗原などの幹細胞特異的マーカーの存在について染色した。コロニーあたりの細胞の総数を求め、幹細胞パーセントの割合をフローサイトメトリーによって評価した(図1及び2参照)。
【0123】
[実施例2:ヒトES細胞の長期維持に対するインスリンの作用]
HES 1及びHES−2をインスリンの存在下において少なくとも10継代培養し、HES−3及びHES−4をインスリンの存在下において胚盤胞から誘導し、少なくとも10継代培養した。少なくとも50細胞集団倍加であるこの培養期間の後、幹細胞マーカーの免疫化学及びRT−PCRを使用して細胞表現型を判定し、核型をG−バンド法(G−banding)によって評価し、種々の細胞種に分化する能力を、前記マウスへの細胞を移植し、神経及び筋細胞を含む特定の分化細胞種の種々のマーカーについて高密度まで増殖させた細胞を免疫染色することによって評価した(図5)。
【0124】
[実施例3:ヒトES細胞の体細胞分化に対するインスリンの影響]
HES1及びHES2をインスリンの存在下において継代培養し、移さないで3〜6週間維持した。胚体外分化の程度は、嚢胞を形成する扁平細胞の存在を形態学的に評価することによって評価した。体細胞分化の程度は形態学的及び神経マーカーを含む体細胞系統の既知のマーカーを染色する免疫化学によって評価した(図3及び4)。
【0125】
[実施例4:未分化ES細胞に対するノギンの影響]
未分化幹細胞はPCT/AU99/00990号に記載されているように誘導した。
【0126】
シグナルペプチドからなる組み換え型のマウスBMPアンタゴニストノギン、アミノ酸残基20〜232のマウスノギンペプチド、ペプチドリンカー及びヒトIgG1のFc領域(R&D Systems)を、用量範囲100〜500ng/mlで、標準的なES細胞培養条件下において増殖中の細胞に添加した。
【0127】
標準的な条件下において増殖中のES細胞培養物に見られる胚体外内胚葉分化のデフォルト経路は、トランスフォーミング増殖因子βスーパーファミリーのメンバーである、増殖及び分化因子BMP(骨形態形成タンパク質)の内因性の産生によって媒介されうることを出願人らは見出した。標準的な条件下において増殖中のES細胞の未分化培養物はBMP及びそのリセプターの転写物を発現する(図6)。
【0128】
BMPで処理した培養物は、自然に分化する培養物に見られる平坦な扁平細胞と同様の形態を有する細胞種への分化を受け、この細胞種に特徴的な免疫化学的マーカー及び遺伝子を発現する(図7並びに図8A及びB)。
【0129】
約5日後、ノギン処理した培養物(100〜500ng/ml)は、ES細胞とは性状が異なる明白で小型で丸い細胞のコロニーからなった(図9)。対照の培養物とは異なり、ノギン処理した培養皿中のコロニーは、BMP−2処理した培養物の構造と同様の平坦な扁平上皮細胞又は嚢胞構造を含有しなかった。コロニーの増殖はノギンの存在下においても阻止され、幹細胞マーカーGCTM−2を保有する細胞の割合は、対照の培養物と比較して低下した(図10)。ノギン培養物は性状が均一であったが、後には一部は柵状細胞構造を形成する傾向を示した。
【0130】
ノギン処理した細胞の免疫表現型は、それらは、ES細胞又は標準的な条件下におけるES細胞の継代培養後の早期経過時点(7〜10日)において自然に見られる分化細胞に特徴的な数多くのマーカーを発現しないことによって識別された。従って、ノギンによって誘導した細胞は以下の抗体と反応しない:MHCクラス1表面分子を認識するPHM4、抗−デスミン、ポリシアリル化N−CAMと反応性のUJ13A、低分子量サイトケラチンと反応性のCam5.2、ビメンチン中間径フィラメントと反応性のAMF、160kDa神経線維タンパク質に対する抗体、ES細胞表面に存在するプロテオグリカンと反応性のGCTM−2、GCTM−2によって認識されるプロテオグリカンと同時に精製され、幹細胞及び他の細胞種に見られる25kDaのタンパク質と反応性のTG42.1、自然に分化するヒトEC細胞培養物中の少数の細胞に存在する未知の分子と反応性のモノクローナル抗体GCTM−5。
【0131】
ノギン処理した細胞は、Oct−4又はクリプトなどの多分化能ES細胞に特徴的な遺伝子を発現しなかった(図11)。また、それらは、Pax−6又はネスチンなどの神経外胚葉のマーカーの転写物も発現しなかった(図11)。従って、ノギン細胞はニューロスフェアを形成することができたが、それらはおそらくその運命に委任されない。
【0132】
ノギン処理した細胞は生物学的アッセイにおいてさらに特徴づけることができる。25ng/mlの組み換えヒトBMP−2及び250ng/mlのノギンを添加すると、自然に分化するES細胞培養物又はBMP−2処理した培養物に特徴的な扁平細胞又は嚢胞が出現し、これはBMP−2がノギンの作用に拮抗していると思われることを示していた。ノギン処理した細胞を標準的なES細胞培養条件下で継代培養し、これらの条件下において明白な形態を保持することができた(図12)。
【0133】
ノギン処理した細胞を神経始原細胞培養培地で培養すると、それらは、少なくとも2週間培養状態で維持することができる、ニューロスフェアの性状を有する構造物を形成した(図13)。この所見は、ノギン細胞は、早期脊椎動物胚におけるノギンの影響と共に、神経形成系統への委任を受けることができることを示唆している。
【0134】
ノギン処理した細胞は、フィーダー細胞層の存在下において標準的なES細胞培養条件下で継代培養して、これらの条件下において明白な形態を保持することができた。その後、神経幹細胞の増殖を支持するように設計した培地にノギン処理した細胞を移すと、それらは、連続的に培養することができる球形物を形成した。これらの球形物を培養皿に再度接着させると、細長い突起を形成する細胞が単層に移動した。これらの細胞は、成熟したニューロンとしての同定と一致する免疫表現型を示した(図14)。一方、ノギン処理した細胞を、フィーダー細胞層が存在せず、血清が存在する条件下において単層で培養すると、それらは、繊維芽細胞(fibroblastoid)の形態を有する細胞からなる培養物を生じた。これらの培養物の細胞の少なくとも50%は、グリア線維酸性タンパク質及びビメンチンに対する抗体で染色した(図15)。
【0135】
従って、ノギン細胞は、ヒトES細胞培養物から神経及びグリア分化することができる神経始原細胞の単離への容易な経路を提供する。ノギン細胞はそれ自体が神経始原細胞ではなく、多種多様の他の細胞種に分化することができる。
【0136】
従って、ノギンによるヒト細胞の処理によって誘導される細胞の同定及び分化の可能性はまだ規定されなければならないが、BMP−2のアンタゴニストはBMPオートクリンループモデルで予測されるように、ヒトES細胞の分化の結果を変更することができ、ES細胞の胚体外分化を調節するコントロールポイントが、この細胞の運命を支配する際の重要な調節点であるという原則の証明を確立していることを結果は示している。幹細胞の再生を増大するため、又は異なる形態の前駆細胞を作製するために、Gremlin又は特徴づけられていないBMPアンタゴニストなどの異なるアンタゴニストがヒトES細胞の自然の分化を改変してもよい。ノギンの結果は、ポリペプチドによるヒトES細胞の均一な細胞集団への指向的な分化を始めて示している。
【0137】
最後に、本明細書に概略されている本発明の精神から逸脱することなく、種々の他の改良及び/又は変更を加えることができることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、ES細胞を対照条件下又はインスリンの存在下において7日間培養するとき得られる細胞/コロニーの数のグラフを示す。幹細胞マーカーGCTM−2と反応性の細胞の割合を図1Bに示す。
【図2】 対照ES細胞培養物(A)及びインスリンの存在下において5継代維持したES細胞培養物について実施した、Oct−4、GCNF、クリプト(cripto)、GDF−3、ゲネシス(genesis)又はβアクチンのRT−PCRのアガロースゲル電気泳動分析を示す。
【図3】 対照培地(A)又はインスリンの存在下において(B−C)増殖させた分化中のES細胞培養物の位相差形態を示す。対照培養物は、主に、嚢胞を形成する扁平上皮細胞からなるが、インスリン処理した培養物は種々の細胞種を保持する。
【図4】 幹細胞又は自然に分化中のES細胞から得られる内皮細胞系統のマーカーのRT−PCR分析のアガロースゲル電気泳動を示す。マーカーには、αフェトプロテイン、HNF3 α、トランスフェリン、ビトロネクチンが含まれる。アクチンは、RNAの量を示すことが示されている。
【図5】 インスリンの存在下において増殖させたES細胞を免疫破壊マウスに注射したときに形成される奇形腫の断面を示す。
【図6】 ES細胞培養物中のBMP−2及びそのリセプターサブユニットの発現のRT−PCR分析を示す。産物の各ペアーについては、左側のレーンが対照を示し、右側のレーンが分化培養物を示す。レーン:分子量マーカー、BMP−2、BMPR1a、BMPR2βアクチン及びアクチビンリセプターβ。
【図7】 幹細胞及び内胚葉マーカーの発現に対するヒトES細胞のBMP−2処理の影響のRT−PCR分析を示す。左側、対照、右側BMP−2処理。αフェトプロテイン、肝核因子3α、Sox17、トランスフェリン、ビトロネクチン、βアクチン及びβアクチンRT対照なし(no RT control)を示す。
【図8】 低分子量サイトケラチンA(図8A)及びBMP−2で処理したヒトES細胞における細胞外基質タンパク質ラミニン(図8B)の発現の免疫化学的分析を示す。
【図9】 対照(A)及びノギン処理ES細胞(B)の位相差顕微鏡写真を示す。
【図10】 幹細胞マーカーGCTM−2を発現するヒトES細胞の割合に対するノギン処理の影響を示す。gp−130に対する遮断抗体はES分化に影響を与えない。これは、このリセプターの刺激に対してヒトES細胞が応答しないことを示している。
【図11】 対照及びノギン処理したES細胞培養物における遺伝子発現のRT−PCR分析を示す。左、ノギン処理した細胞;右、対照のES細胞。Oct−4、Cript、αフェトプロテイン、トランスフェリン、ビトロネクチン、ネスチン、Pax−6、βアクチン及びβアクチンのno RT対照のcDNAを発現するRT−PCR産物を示す。Oct−4及びCriptは幹細胞マーカーであり、αフェトプロテイン、トランスフェリン及びビトロネクチンは胚体外内胚葉マーカーであり、ネスチン及びPax−6は早期神経外胚葉のマーカーである。ES対照培養物は分化を開始しているので、Cript転写物がないが、αフェトプロテイン及びトランスフェリン並びにネスチン及びPax−6を発現する。
【図12】 マウス肺繊維芽細胞フィーダー細胞層で連続的に培養したノギン細胞を示す。
【図13】 ノギン処理したES細胞培養物由来のニューロスフェアの位相差像を示す。
【図14】 ラミニンをコーティングした培養皿に接着させられ、神経細胞への分化を受ける、ノギン処理したニューロスフェアの蛍光顕微鏡写真を示す。染色は、200kDaの神経線維タンパク質に対する抗体による。
【図15】 血清の存在下において標準的なES細胞培養培地で単層培養で増殖させたノギン処理したES細胞の蛍光顕微鏡写真を示す。染色は、グリア線維酸性タンパク質に対する抗体による。

Claims (6)

  1. 未分化胚性幹(ES)細胞を培養する方法であって、
    100〜500ng/mlのノギンの存在下において未分化ES細胞を培養するステップ
    を含む方法。
  2. ES細胞から始原細胞を作製する方法であって、
    100〜500ng/mlのノギンの存在下において少なくとも5日間未分化ES細胞を培養してES細胞を始原細胞に分化させるステップ
    を含む方法。
  3. 前記ノギンがヒト又はマウスノギンである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ノギンが、マウスノギンのアミノ酸残基20〜232を含むマウスノギンである請求項3に記載の方法。
  5. 未分化ES細胞から体細胞を作製する方法であって、
    請求項2に記載の方法により始原細胞を入手するステップと、
    始原細胞系統から体細胞を入手できる条件下において始原細胞培養培地で始原細胞を培養するステップと
    を含む方法。
  6. 始原細胞培養培地が、神経細胞又はグリア細胞に分化する神経始原細胞培養物由来である請求項に記載の方法。
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