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JP4792653B2 - 流量計 - Google Patents

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JP4792653B2
JP4792653B2 JP2001122423A JP2001122423A JP4792653B2 JP 4792653 B2 JP4792653 B2 JP 4792653B2 JP 2001122423 A JP2001122423 A JP 2001122423A JP 2001122423 A JP2001122423 A JP 2001122423A JP 4792653 B2 JP4792653 B2 JP 4792653B2
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Panasonic Holdings Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の流量を計測する超音波流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の流量計として、図5に示すような流量計1がある。図5は、断面図を示し、流体の流れる流路2の上流側と下流側とに一対の超音波変換器3、4を流体を介し、対向して設置し、一対の超音波変換器3、4間を伝搬する超音波の伝搬時間の時間差から流体の流速を計測し、流量を演算し、流量計としていた。なお、図中の片矢印5(実線)は流体の流れる方向を示し、両矢印6(破線)は超音波の伝搬する方向を示している。なお、流体の流れる方向と、超音波の伝搬する方向とは角θで交叉している。
【0003】
図6に、上流側(もしくは下流側)の超音波変換器3(もしくは4)を駆動した時の矩形状の駆動波形7と、下流側(もしくは上流側)の超音波変換器4(もしくは3)で受信した時の受信波形8とを示す。横軸に時間を、縦軸に電圧を示す。なお、図中の横線9(破線)は、コンパレータの設定電圧(Vref)を示す。なお、コンパレータの設定電圧9(Vref)は、雑音信号でコンパレータが誤動作しないように、受信波形8の第3番目の受信電圧の山(V3)と第4番目の受信電圧の山(V4)との間となるよう設定してある。超音波変換器3、4間を伝搬する超音波の伝搬時間Tpは、駆動波形の立ち上がり点10から、受信波形8が、コンパレータの設定電圧9を越えた次のゼロクロス点11(黒丸)までとしていた(図中のTp参照)。この場合、真の伝搬時間Tsは、上記の伝搬時間Tpから、受信波形の3.5波分(図中のTi参照)を差し引いた時間となる。即ち、超音波の真の伝搬時間Tsは、Ts=TpTiとして、流量演算に用いていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の流量計1の計測される超音波伝搬時間Tp(=Ts+Ti)には、超音波が受信側の超音波変換器の表面に到達した後、検知されるまでの時間(Ti)が含まれているため、一対の超音波変換器3、4の特性差により誤差が発生することがあった。即ち、超音波変換器の温度特性や経時変化などにより、例えば、受信周波数が変化したり、あるいは、受信感度が変化したり、検知される間での時間(Ti)が一対の超音波変換器間で異なることがあった。この差異が、超音波流量計の誤差となり、流量値が不正確となるという課題を有していた。
【0005】
即ち、上流側の超音波変換器から下流側の超音波変換器への計測される超音波の伝搬時間をTp(ud)、下流側の超音波変換器から上流側の超音波変換器への計測される超音波の伝搬時間をTp(du)、流体中を伝搬する超音波の伝搬速度をVs、流体の流速をVf、上流側と下流側の超音波変換器間の距離をLdとすると、以下のようになる。
【0006】
Tp(ud)=Ts(ud)+Ti(d)、=Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]+Ti(d)、Tp(du)=Ts(du)+Ti(u)=Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]+Ti(u)となる。
【0007】
ここで、Ti(d)は超音波が伝搬してきて下流側の超音波変換器の表面に到着後検知されるまでの時間を、Ti(u)は超音波が伝搬してきて上流側の超音波変換器の表面に到着後検知されるまでの時間を、それぞれ示す。なお、Ts(ud)およびTs(du)は、それぞれ上流側の超音波変換器から計測した超音波が一対の超音波変換器間を往復する間の真の伝搬時間、および下流側の超音波変換器から計測した超音波が一対の超音波変換器間を往復する間の真の伝搬時間を示す。
【0008】
これらより、Tp(ud)−Ti(d)=Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]
であるから、Vs+Vf×cos(θ)=Ld/[Tp(ud)−Ti(d)]、
また、Tp(du)−Ti(u)=Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]であるから、
Vs−Vf×cos(θ)=Ld/[Tp(du)−Ti(u)]となり、両辺を引き算すると、流体中の超音波伝搬速度Vsはキャンセルされ、
2×Vf×cos(θ)={Ld/[Tp(ud)−Ti(d)]}−{Ld/[Tp(du)−Ti(u)]}となる。
【0009】
よって、(右辺の分子)=Ld×{[Tp(du)−Ti(u)]−[Tp(ud)−Ti(d)]}=Ld×{[Tp(du)−Tp(ud)]+[Ti(d)−Ti(u)]}(右辺の分母)=[Tp(ud)−Ti(d)]×[Tp(du)−Ti(u)]となる。
【0010】
通常の場合、Tp(ud)、Tp(du)>>Ti(d)、Ti(u)、Tp(ud)≒Tp(du)であるので、(右辺の分母)=[Tp(ud)−Ti(d)]×[Tp(du)−Ti(u)]=Tp(ud)×Tp(du)−Tp(ud)×[Ti(d)+Ti(d)]+Ti(d)×Ti(u)≒Tp(ud)×Tp(du)とすることができ、Vf=Ld×{[Tp(du)−Tp(ud)]+[Ti(d)−Ti(u)]}/[2×cos(θ)×Tp(ud)×Tp(du)]となる。
【0011】
ここで、Vmeas=Ld×[Tp(du)−Tp(ud)]/[2×cos(θ)×Tp(ud)×Tp(du)]、Verr=Ld×[Ti(d)−Ti(u)]/[2×cos(θ)×Tp(ud)×Tp(du)]とすると、
Vf=Vmeas+Verrとなり、Vmeasが真の流速値、Verrが流速計測の誤差項となる。
【0012】
よって、流量は、流速Vfに流路22の断面積Srを乗じ、以下のようになる。
【0013】
Qmeas=Vmeas×Sr
Qerr=Verr×Srとなる。
【0014】
真の流量値Qmeasおよび誤差項Qerrが得られることになる。
【0015】
なお、この流速の誤差項Verrあるいは流量の誤差項Qerrは、流速が小さい時ほど、その真の流速値Vmeasに対する影響度は大きくなる。即ち、流体の流速が遅い時は、[Tp(du)−Tp(ud)]の値が、非常に小さくなるためである。
【0016】
このように、計測される超音波の伝搬時間Tp(ud)、あるいはTp(du)は、それぞれ真の超音波伝搬時間Tsと検知されるまでの時間Tiとを含んでいるので、上流側の超音波変換器および下流側の超音波変換器で検知されるまでの時間Ti(u)、Ti(d)に差異が発生すると、流速の計測に誤差を含むことになり、流量計測精度が悪くなることになる。即ち、流速計測における誤差分、Ti(d)−Ti(u)、が含まれる。なお、この流速の誤差項、Verr(=Ti(d)−Ti(u))、あるいは、流量の誤差項Qerr(=Verr×Sr)は通常オフセット値と言われることが多い。
【0017】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、温度変化あるいは経時変化などにより、一対の超音波変換器間で、検知される時間(Ti)に差異が発生しても、即ち、オフセット値が発生しても、あるいは変化しても、それを補正し、正確な流量値を計測する超音波流量計を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、流体の流れる流路の上流側と下流側とにそれぞれ対向して配置された一対の超音波変換器と、前記超音波変換器の間を伝搬する超音波の伝搬時間を計測する時間回路と、前記時間回路から計測された伝搬時間から流体の流量を計測するとともに、オフセット値を検定する制御演算回路と、記憶部と、を備え、前記制御演算回路は、オフセット値の検定に加えて、一対の超音波変換器のうちの一方から送信された超音波が、前記一対の超音波変換器間を往復し、同一の超音波変換器で受信されたときの受信信号と前記記憶部に記憶された当該受信信号の初期値とを比較することで超音波変換器の劣化を検定する構成とした。
【0019】
この構成により、本発明の超音波流量計は、温度変化や経時変化などにより一対の超音波変換器間で、受信周波数が変化したり、あるいは、受信感度が変化したりして、検知される間での時間(Ti)が異なっても、即ち、オフセット値が発生したり、変動しても、それを補正し、正確な流量値を計測することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、同一の超音波変換器で超音波の送信及び受信をする構成としているので、超音波変換器の特性、特に受信感度を検定することができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、図中の同一番号を付けているものは、同一なものを示しているので、説明を省略する。
【0022】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における流量計21の断面図を示し、流体の流れる流路22の上流側と下流側とに一対の超音波変換器23、24を流体を介し対向して設置し、超音波変換器間の距離Ldは、約100[mm]、流路22の断面積Srは約30[mm^2]とした。なお、図中の片矢印25(実線)は流体の流れる方向を示し、両矢印26(破線)は超音波の伝搬する方向を示している。なお、流体の流れる方向は、超音波の伝搬する方向とは角θ(45度)で交叉するようにした。
【0023】
この構成において、上流側の超音波変換器から下流側の超音波変換器の表面で反射し、上流側の超音波変換器で検知される超音波の伝搬時間Tw(ud)は、Tw(ud)=Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]+Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]+Ti(u)=(Ld××Vs)/[Vs^2−(Vf×cos(θ))^2]+Ti(u)
ここで、通常の場合、Vs^2>>(Vf×cos(θ))^2である。
【0024】
例えば、流体が空気の場合には、超音波の伝搬速度Vsは約340[m/sec]、流路を流れる流体の流速は、概ね、約1[mm/sec]〜10[m/sec]である。
【0025】
従って、微少項を省略することができ、Tw(ud)=(Ld×2×Vs)/Vs^2+Ti(u)=(2×Ld)/Vs+Ti(u)=2×Ts+Ti(u)となる。
【0026】
同様にして、下流側の超音波変換器から上流側の超音波変換器の表面で反射し、下流側の超音波変換器で検知される超音波の伝搬時間Tw(du)は、Tw(du)=2×Ts+Ti(d)となる。
【0027】
これより、上流側から計測した超音波の往復時間および下流側から計測した超音波の往復時間には、流体の流速に依存しない値となることがわかる。即ち、流体の流速が大きくても、小さくても、流体中を伝搬する超音波の伝搬速度で決まる一定値となる。
【0028】
また、往復時間の差を演算すると、Tw(ud)−Tw(du)=Ti(u)−Ti(d)となり、流速計測における誤差項(オフセット値)が、超音波が超音波変換器間を往復する時間を計測することにより、得られたことになる。
【0029】
従って、この誤差項(オフセット値)を予め計測することにより、流速計測において発生する誤差項(オフセット値)を補正することができ、誤差項(オフセット値)のない流速計測ができる。このため、高精度な流量計を実現することができる。
【0030】
図2に、本発明の実施例において用いた一方の超音波変換器で送信し、かつ、同一の超音波変換器で受信する回路ブロック図を示す。27は超音波変換器を駆動する駆動部で、バースト信号を発生する。28、29はダイオードブロックを、30は超音波変換器を示す。31は負荷抵抗を、32は信号抵抗を示し、それぞれ2および1[kohm]とした。33は受信信号を増幅する増幅器を示す。この構成において、駆動部27からの数V〜数十Vのバースト駆動信号が、ダイオードブロック28を介して、超音波変換器30と負荷抵抗31とに印加される。超音波変換器の共振周波数近傍では、超音波変換器のインピーダンスは負荷抵抗31に比べ充分低いので、駆動信号はすべて超音波変換器に印加されると考えることができ、超音波変換器からバースト状の超音波が放出される。
【0031】
また、駆動部27からの信号は、信号抵抗32を介して、ダイオードブロック29と増幅器33にも印加される。この場合、大電圧の駆動信号は、ダイオードブロック29を介して接地ラインに接続されているので、増幅器にはダイオードで決まる閾値、約0.9V程度の信号しか入力されないので、増幅器33が破壊されることはない。超音波変換器30から流体中に放出された超音波は、流体を介して対向設置されている超音波変換器の表面で反射して戻ってくる。戻って来た超音波は、同一の超音波変換器30で受信される。受信された超音波は、超音波変換器30に電荷を発生させる。この発生した電荷は、負荷抵抗31の両端に受信電圧を発生させる。この受信電圧は充分小さく、通常は100[mV]程度以下である場合が多い。ダイオードブロック28を介して駆動部と、信号抵抗31を介して増幅器33とに伝達される。充分小さい受信電圧は、ダイオードブロック29で接地されても、その受信電圧は、ダイオードで決まる閾値以下であるため減衰することなく増幅器33に伝達される。
【0032】
また、駆動部27から超音波変換器へ供給された駆動信号は、超音波が超音波変換器間約100[mm]を往復する間に、充分減衰するので、受信信号に対する雑音とはならない。例えば、流体が空気である場合、超音波が往復する時間は約590[μsec]程度となり、駆動信号が減衰するのに充分な時間となる。
【0033】
このように、超音波変換器間を往復する超音波の伝搬時間を計測することにより、流量計測における誤差項(オフセット値)を計測することができる。従って、この誤差項(オフセット値)を補正することができるので、誤差分のない精確な流量計を実現することができる。
【0034】
(実施例2)
次に、シングアラウンド法による往復時間の高精度な計測方法を説明する。
【0035】
一般に、シングアラウンド法は、送信側の超音波変換器から超音波を送信し、送信された超音波が受信側の超音波変換器で受信され、その信号を送信側の超音波変換器に伝達し、予め決められた回数だけ送信、受信を繰り返し、時間分解能を上げて、高精度に超音波の伝搬時間を計測しようとすることである。
【0036】
ここでは遅延時間Tdelayを用いた、シングアラウンド法を説明する。
【0037】
シングアラウンド回数をNsig、遅延時間をTdelayとすると、上流側の超音波変換器から下流側の超音波変換器へ計測する場合の往復時間Tw(N,ud)は、Tw(N,ud)=N×[Tw(ud)+Ti(u)]+N×Tdelay、また、下流側の超音波変換器から上流側の超音波変換器へ計測する場合の往復時間Tw(N,du)は、Tw(N,du)=N×[Tw(du)+Ti(d)]+N×Tdelayとなる。なお、遅延時間は、受信信号が多数回往復する、例えば、2往復あるいは3往復する超音波と重ならないように、往復時間の0.7〜0.9の範囲内で設定した。この設定により、雑音が非常に小さく、かつ、高S/Nの受信信号が得られた。
【0038】
ここで、Tw(ud)=Tw(du)であるから、上式の両辺を引き算すると、Tw(N,ud)−Tw(N,du)=N×Ti(u)−N×Ti(d)、これより、N×[Ti(u)−Ti(d)]=Tw(N,ud)−Tw(N,du)となり、誤差項[Ti(u)−Ti(d)]を、N倍した値が得られたことになる。
【0039】
この意味するところは、シングアラウンド法を採用することにより、N倍の分解能で誤差項を計測できる、例えば、100回のシングアラウンド(N=100)の場合、10[MHz]のクロックで、1000[MHz]相当、即ち、1[nsec]相当の分解能で誤差項を計測できることを意味している。このようにして、誤差項(オフセット値)を高分解能、高精度に計測することができ、高精度な流量計が実現できる。
【0040】
(実施例3)
より高精度な流量計を実現するための実施例3を以下に説明する。実施例1において、一対の超音波変換器間Ldを超音波が往復する時間Tw(ud)として、
Tw(ud)=Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]+Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]+Ti(u)=(Ld××Vs)/[Vs^2−(Vf×cos(θ))^2]+Ti(u)
として与え、通常の場合、
Vs^2>>(Vf×cos(θ))^2
であるから、上記のように省略したが、より正確には以下のようになる。
【0041】
Tw(ud)=(Ld××Vs)/{[Vs^2]×[1−(Vf×cos(θ)/Vs])^2}+Ti(u)=(Ld×2)/{Vs×[1−(Vf×cos(θ)/Vs])^2}+Ti(u)≒(Ld×2/Vs)×[1+2×Vf×cos(θ)/Vs]+Ti(u)
同様にして、
Tw(du)≒(Ld×2/Vs)×[1+2×Vf×cos(θ)/Vs]+Ti(d)
となる。
【0042】
従って、流体の流速Vfが大きい場合、例えば、空気の場合、超音波の伝搬速度Vsは、約340[m/sec]、θ=45[deg]、流体の流速Vfを10[m/sec]とすると、誤差は約4[%]となる。また、流体の流速Vfが1[m/sec]であれば、誤差は約0.4[%]となる。このように、流体の流速Vfが、小さいほど、その誤差は小さくなる。従って、流速が有る程度、例えば、1[m/sec]
以下、即ち、流量値換算ほぼ1000[L/hr]程度以下で、オフセット値を計測するようにすると、誤差項をより正確に計測することができ、より高精度な流量計を実現することができる。
【0043】
(実施例4)
より安定な流量計を実現するための実施例4を以下に説明する。温度変化や経時変化などにより、流量計の誤差項(オフセット値)が変動する場合がある。このため、例えば、一日毎に、あるいは一週間毎に、あるいは一ヶ月毎に、のように定期的にオフセット値を計測し、更新することにより、より安定した流量計を実現することができる。また、外部SWなどを設け流量計を移動させた時や、あるいは設置した場合、あるいは周囲の環境大きく変化した時などにオフセット値を計測し、更新するようにすれば、より安定した、環境変化に強い流量計を実現することができる。また、外部から遠隔操作などにより、オフセット値を計測し、更新するようにすれば、より安定した流量計を実現することができる。これらの場合、計測される流量値を監視し、計測される最低流量値の変動と連動して、オフセット値を計測・更新するようにしてもよい。即ち、最低流量値が負と表示される場合などオフセット値を計測・更新するようにするとよい。この構成により、数年〜数十年の長期間にわたって安定した、信頼性の高い流量計が実現できる。
【0044】
(実施例5)
以下に、実施例5を説明する。実施例5は、オフセット値の異常を検出可能にするとともに、流量値の異常をも補正可能とする流量計を実現可能とすることができる。
【0045】
即ち、実施例5において、流量計にオフセット記憶部を設け、オフセット値の更新時刻と更新前後のオフセット値を記憶するようにした。この構成により、例えば、出荷時のオフセット値からある一定の幅を越えてオフセット値が更新された場合に、流量計異常であると判定することも可能となる。また、その場合には、例えば、通信回線などを用いて、流量計設置者に報知することも可能となる。また、流量計の外部表面に異常を報知する表示部を設け、そこに異常表示させることも可能となる。また、例えば、積算流量値に異常が発生した場合にも、流量計記憶部に記憶されているオフセット値から、過去の積算流量値を検算し、大まかな補正を実施することも可能となる。このように、オフセット値の更新時刻および更新値を記憶する構成により、オフセット値の異常を検出可能にするとともに、積算流量値の異常をも補正可能とする流量計を実現することができる。
【0046】
(実施例6)
以下に、実施例6を説明する。実施例6による流量計においては、オフセット値の一回当たりの更新値の増減にある一定の閾値を設けるようにした。この増減値の閾値を予め、例えば、流量換算値として、例えば約1[L/hr]に設定しておくと、この値を越えた場合、流量計が異常であると判定することも可能となり、異常と判定すれば、通信回線などを用い、通報することも可能となる。また、流量計表面に異常を報知する表示部を設けるようにしてもよい。なお、この増減値の閾値は、更新時間と連動するようにしてもよい。例えば、更新時間が一ヶ月であれば、その閾値は約3[L/hr]程度に設定するようにしてもよい。この構成により、オフセット値の更新毎に、流量計の異常判定を実施することができる。常に、安定した信頼性の高い流量計が実現できる。
【0047】
(実施例7)
図3に、実施例7における流量計の計測回路ブロック図を示す。この構成において、トリガー回路34は予め設定された間隔でスタート命令を、駆動回路27および時間回路35に出力する。スタート命令を受けた駆動回路27では、送信側切換SW36で選択されている送信側超音波変換器(例えば、上流側の超音波変換器3)にバースト信号からなる駆動信号を出力する。送信側超音波変換器が、流路の流体中に送信した超音波は、受信側切換SW37で選択されている超音波変換器(例えば、下流側の超音波変換器4)で受信され、その信号は増幅器33で増幅される。一方、スタート命令を受けた時間回路35では、一定間隔の時間パルスを生成する。また、予め決められたゲート開放時間(Tgk)経過後、検知回路38へ、ゲート開放信号を送出する。ゲート開放信号を受けた検知回路38では、コンパレーなどを動作させ、超音波の受信波からゼロクロス点を検出し、超音波受信時間を検知する。この検知時間には、超音波の真の伝搬時間Tsと、超音波変換器の表面に到着後検知されるまでの時間Tiがふくまれている。この検知時間を用い、制御・演算回路39では真の超音波伝搬時間を演算し、流体の流速Vmeasを演算する。この流速、Vmeasから流量値Qmeasを算出し、流量値を得る。この時、ゲート開放時間(Tgk)を決めるために、上記実施例に示した一対の超音波変換器間を往復する時間を用いる。
【0048】
即ち、上流側の超音波変換器から計測した超音波が往復する時間はTw(ud)=2×Ts+Ti(u)、下流側の超音波変換器から計測した超音波が往復する時間はTw(du)=2×Ts+Ti(d)となる。
【0049】
ここで、Ti(d)およびTi(u)は、例えば、3.5波分などのように決められているので、超音波変換器の使用する周波数から簡単に決められるので、超音波が真に往復する時間Tsを簡単に算出することができる。なお、Ti(d)およびTi(d)は、上流側および下流側、あるいは、送信側および受信側の超音波変換器の特性およびゼロクロス設定で決まる値であるため、おおまかには予め決めることができる値である。これより、超音波が真に伝搬する時間Tsを決定することができ、本実施例では、この時間Tsからゲート開放時間Tgkを以下のようにして決めた。
【0050】
即ち、Tgk=Ts+(3.0波分)とした。
【0051】
このことを図4を用いて説明する。図4は、バースト信号からなる駆動波形40と、超音波の受信波形41とを示す。時間計測の起点は、駆動信号のバースト波形の立ち上がり点42とし、Tsは真の超音波伝搬時間、約295[μsec]を示し、Tiは超音波が超音波変換器の表面に到着後検知されるまでの時間、数〜十数[μsec]を示す。TiはTsに比べると十分小さい値である。Tgkは上記で示したゲート開放時間を示し、Tpは検知回路38で得られるゼロクロス点43で検知された超音波の検知時間を示す。この時、コパレータはゲート開放時間、Tgk、後の負勾配のゼロクロス点を検知するように設定した。従って、ゲート開放時間、Tgk直後の正勾配のゼロクロス点は検知しない。以上説明したように、超音波が往復する時間から、ゲート開放時間(Tgk)を設定し、上流側から下流側への超音波の伝搬時間、Tp(ud)、および下流側から上流側への超音波の伝搬時間、Tp(du)を検知することにより、流体の流速を計測する。この場合、オフセット値も超音波の往復時間から上記実施例で説明したように計測できるので、補正することができ、高精度な流量計を実現することができる。またこの場合、図で示したコンパレータの電圧設定9(Vref)が不要となる。従って、受信波形が温度特性や、環境変化あるいは経時変化などにより不安定となっても、超音波の伝搬時間を安定して正確に計測することができ、高精度、高安定な流量計が実現できる。
【0052】
(実施例8)
超音波変換器間を超音波が往復する時間は、上流側の超音波変換器および下流側の超音波変換器で計測すると、上記実施例1で示したように、それぞれTw(ud)=2×Ts+Ti(u)、Tw(du)=2×Ts+Ti(d)となる。
【0053】
従って、流体中を伝搬する超音波の伝搬時間Tsは、Ts=(Tw−Ti)/2、よって、超音波の伝搬速度Vsは、Vs=Ld/[(Tw−Ti)/2]となる。
【0054】
なお、Tw(ud)、Tw(du)は同程度の大きいさなのでTwと記し、Ti(u)、Ti(d)も同程度の大きいさなのでTiと記した。また、Twは約590[μsec]程度であり、Tiは約数〜十数[μsec]程度である。従って、Tw>>Tiと見なすことができ、超音波の音速Vsは、以下のようになる。
【0055】
Vs=2×Ld/Tw
このように、超音波が流体中を伝搬する伝搬速度Vsを計測することができる。理科年表などによれば、流体の種類が決まればその流体中を伝搬する超音波の伝搬速度と流体の温度とは、幅広い温度範囲において一次関数で示される。従って、超音波の音速(伝搬速度)がわかれば、流体の温度が計測できたことになる。
【0056】
例えば、空気中では、超音波の伝搬速度Vsは、空気の温度をt[℃]とすると、Vs=341.45+0.607×t[m/sec]となる。
【0057】
この関係より、超音波の音速から空気の温度を検出することができる。
【0058】
この流体の温度を用い、例えば、計測した流量値を基準温度での流量値に換算するという温度補正を行うことも可能となる。また、計測した流体の温度を、例えば、流量計に表示することも可能となる。
【0059】
このように、本発明の流量計によれば、超音波が超音波変換器間を往復する時間から簡
単に流体の温度を計測することができ、温度補正や温度表示が可能な流量計を実現できる。
【0060】
(実施例9)
実施例9について、以下に説明する。図2に示した超音波の往復時間計測回路ブロックにおいて、駆動部27から一定電圧の駆動信号を超音波変換器に印加し、超音波が一定距離間、即ち、一対の超音波変換器間を往復し、同一の超音波変換器で受信される。この受信信号の大きさを検出することにより、超音波変換器の送信・受信特性を評価・検定できる。即ち、初期値を記憶部に記憶しておき、その値の、例えば、0.5まで劣化した時点を、超音波変換器の劣化と判定することが可能となる。この場合、上流側、下流側を独立して評価・検定することができる。従って、劣化判定基準を、上流側と下流側の超音波変換器間の受信電圧の差と規定すること可能となる。従来の流量計では、上流側から下流側へ、あるいは、下流側から上流側への超音波の送信・受信感度を評価・検定していた。この場合には、上流側と下流側の超音波変換器の特性が、複雑にからみあった評価・検定となっていたので、どちらか一方が劣化しても、それを検出することが出来なかった。たとえ劣化が検出できても、どちらの超音波変換器が劣化したと判別することはできなかった。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本願発明によれば、超音波変換器間のオフセット値を検出し、補正することができ、高精度な超音波流量計を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における超音波流量計の断面図
【図2】 本発明の実施例1及び9における超音波送信・受信回路ブロック図
【図3】 本発明の実施例7における伝搬時間計測のブロック図
【図4】 本発明の実施例7における超音波の伝搬時間を説明する図
【図5】 従来の流量計の断面図
【図6】 従来の流量計における超音波伝搬時間を説明する図
【符号の説明】
21 流量計
22 流路
23 上流側の超音波変換器
24 下流側の超音波変換器
27 駆動部
28、29 ダイオードブロック
30 超音波変換器
33 増幅部

Claims (1)

  1. 流体の流れる流路の上流側と下流側とにそれぞれ対向して配置された一対の超音波変換器と、
    前記超音波変換器の間を伝搬する超音波の伝搬時間を計測する時間回路と、
    前記時間回路で計測された伝搬時間から流体の流量を計測するとともに、オフセット値を検定する制御演算回路と、
    記憶部と、を備え、
    前記制御演算回路は、オフセット値の検定に加えて、一対の超音波変換器のうちの一方から送信された超音波が、前記一対の超音波変換器間を往復し、同一の超音波変換器で受信されたときの受信信号と前記記憶部に記憶された当該受信信号の初期値とを比較することで超音波変換器の劣化を検定する超音波流量計。
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