JP4783182B2 - プレス機械 - Google Patents
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Description
従来、プレス機械には、クラウンフレーム内に、複数のギヤを有する減速機や大がかりなリンク機構等の部品が設けられたものがある(例えば特許文献1参照)。この減速機にはモータからの回転運動を不等速回転運動に変換して減速する不等速減速機が用いられる。
この問題を解決するために、駆動源および減速機をクラウンフレームの外部に配置することが考えられる。
このような構造の減速機では、減速機を単にクラウンフレームの外部に配置しても、この減速機が異なる種類の複数からなり、それぞれの減速機構が複雑な構造の歯車機構であり、これらの歯車機構がケースの内部に収納される構造であるため、減速機の組立作業やメンテナンス作業の十分な向上が望めない。特に、不等速減速機構のリングは、その外周部にギヤが形成されているため、そのギヤと連結する等速減速機構はリングの径方向、つまり、偏心軸の径方向に展開されることになり、狭いケース内での組立作業やメンテナンス作業が煩雑とならざるを得ない。
したがって、本発明では、減速機がクラウンフレーム外部に配置されているので、メンテナンスの際には、作業員がクラウンフレーム内部にアクセスする必要がないから、メンテナンス作業が容易となる。
そして、種類の異なる2つの減速機構を予めユニット化しているので、減速機を組立やメンテナンスをする際に、ユニット化された減速機構をクラウンフレーム等に取り付け取り外せばよいから組立・メンテナンス作業が容易となる。特に、第1減速機構と第2減速機構とは偏心軸の軸線方向に沿って直列配置されているので、第1減速機構と第2減速機構とを偏心軸の軸線と直交する方向、換言すれば、クラウンフレームの外面に沿った方向に配列する必要がないので、この点からも減速機の組立・メンテナンス作業を容易にできる。
ここで、リングは、その外周部がケースの内周部に回転自在に支持されているから、リングの外周部分に連結される歯車を配置する必要がない。そのため、ケースの内部を省スペースとすることができる他、リングの外周部にギヤを形成する必要がないので、減速機の構造を簡易なものにすることができる。
したがって、減速機のクラウンフレーム外側における占有スペースを最小限に抑制できる。
図1および図2は、本発明の一実施形態にかかるサーボプレス(プレス機械)1の全体を示す図である。ここで、図1は、サーボプレス1の正面図であり、図2は、サーボプレス1の側面図である。
図1および図2において、サーボプレス1は、ベッド11と、ベッド11上に立設される柱状の4本のアプライト12と、アプライト12の上面に設置されるクラウン13とを備えている。クラウン13の下方にはスライド14が設けられており、クラウン13に支持されるスライド駆動装置20によって昇降動可能とされている。このスライド14の下面には上金型151が取り付けられている。
ベッド11上において4本のアプライト12間にはムービングボルスタ16が設置されており、このムービングボルスタ16上には、下金型152が取り付けられている。スライド駆動装置20の駆動によってスライド14が昇降動すると、上金型151および下金型152の間に載置されたワーク(図示せず)がプレス成形される。
なお、ワーク搬送方向とは、プレス機械に対してワークを搬入、搬出する方向をいい、例えば当該プレス機械を複数工程のうちの一工程のプレス加工を行うものとして使用する場合には、前工程または次工程のプレス機械が配置される方向をいう。図1において、ワーク搬送方向とは、サーボプレス1の前後方向となる。
それぞれのスライド駆動装置20は、駆動源としてのサーボモータ21と、サーボモータ21の回転運動を等速回転運動に変換して減速する第1減速機構22と、この第1減速機構22で伝達された回転運動を減速して伝達する第2減速機構23と、第2減速機構23で減速された回転運動を往復運動に変換する偏心機構24と、一端がスライド14に固定されてスライド14を鉛直方向に昇降動させるプランジャ25とを備えている。
第1減速機構22は等速減速機構であり、第2減速機構23は不等速減速機構(ウィットウォース減速機)であり、これらの減速機構から本実施形態の減速機が構成される。
4つのエキセン軸241は、サーボプレス1の前後方向に沿って配置され、2本ずつのエキセン軸241が同軸上に配置されている。これらのエキセン軸241は、それぞれエキセンドラム242両側でクラウンフレーム131に軸支されている。ここで、同軸上に配置された2本のエキセン軸241の互いに対向する端部は、共通のクラウンフレーム131に軸支されている。
エキセンドラム242は、エキセン軸241に対して偏心した円盤状に形成されている。エキセンドラム242は、クラウンフレーム131内に配置され、エキセン軸241の回転とともに偏心回転する。
プランジャ25は、クラウンフレーム131に取り付けられたガイドフレーム133によって鉛直上下方向に移動可能となっている。
以上のような構成により、スライド14は、コンロッド243に吊り下げられ、コンロッド243はエキセン軸241に保持され、そして、エキセン軸241はクラウンフレーム131に軸支されている。したがって、偏心機構24およびスライド14は、クラウンフレーム131に支持され、吊り下げられている。
図3および図4に示されるように、第1減速機構22は、サーボモータ21からの回転駆動力がベルト222を介して伝達される入力軸223と、この入力軸223の回転力を伝達する歯車機構224と、入力軸223および歯車機構224が収納された第1ケース225とを備えたユニット化された構造である。第1減速機構22がユニット化されているため、減速機の組立やメンテナンスが容易に行える。
ここで、符号226は機械式ブレーキを示すものであり、機械式ブレーキ226は入力軸223の回転を確実にロックする機能を有する。
第1ケース225は円筒ギヤ2243が固着されている円筒部2251と、この円筒部2251の先端面に設けられ歯車群を収納する扇状部2252と、この扇状部2252の端部側に取り付けられ入力軸223を収納する円筒部2253と、円筒部2251の基端側に取り付けられたフランジ部2254とを備えている。このフランジ部2254の内周部では端面部材2244が軸受けで回転自在に支持されている。
リング231は、クラウンフレーム131から突出して設けられるエキセン軸241に対して支持部材234を介して回転可能に支持されており、リング231の回転中心は、エキセン軸241の軸心に対して鉛直方向上側に配置されている。
連結部材233は、平面形状略円弧状の棒状部材であり、その一旦がリング231の内周の所定位置に回動自在に支持され、その他端がクランク部材232において厚み方向(図4の左右方向)略中央に取り付けられている。
前述のように、第2減速機23は、ボックス134に収納されており、ボックス134は、クラウン13の外部側面に配置されている。エキセン軸241は、クラウンフレーム131から突出して設けられており、クラウンフレーム131外部で第2減速機23に接続されている。
第2ケース234の上にサーボモータ21が設置されている(図2参照)。第1減速機構22および第2減速機構23は、偏心軸241の軸線方向に沿って直列配置されている。そのため、減速機の組立やメンテナンスが容易となる。
連結部材233は、平面形状略円弧状の棒状部材で、その一端がリング231の内周の所定位置に回動可能に支持され、他端がクランク部材232に回動可能に支持されている。
リング231は、その外周面が平滑に形成されており、第2ケース234の内周面に設けられた滑り軸受け235を介して回転自在に支持されている。そのため、リング231の外周部分に連結される歯車を省略することができるので、第2ケース234を小型化することができる。リング231の外周面と直交する側面に回転部材2311の外周部が図示しないボルトなどで結合されている。回転部材2311の中央部にはスプライン穴が穿っていて、第1減速機22の端面部材2244から突出したスプライン軸2245が噛合している。そのため、第1減速機構22の駆動力を第2減速機構23に確実に伝達することができる。
滑り軸受け235は、リング231の両側外周縁部をそれぞれ回転自在に支持する2個のリング状部材であり、内部に潤滑油が含浸された金属などから形成される。
第2ケース234はクラウンフレーム131にボルトで着脱自在に取り付けられている。第1ケース225は第2ケース234にボルトで着脱自在に取り付けられている。
すると、第2減速機構23では、リング231が第2ケース234の内周部に設けられた滑り軸受け235で支持されながら回転し、このリング231の回転に伴って、クランク部材232を介してエキセン軸241が回転する。
プランジャ25の往復運動によって、スライド14が昇降動し、上金型151と下金型152との間に介装されたワークがプレス加工される。
ここで、第2減速機構23として不等速減速機を用いたので、スライド14は、上金型151がワーク近傍に位置するまでは速く移動し、ワークをプレス加工している間は、ゆっくりと移動し、そしてワークから離間する時には再び速く移動する。したがってプレス加工に必要な動作の部分の速度のみを遅くできるので、プレス成形の品質を良好に確保しながらプレス加工のサイクルタイムを短縮できる。
図5に示される通り、不等速減速機を用いた本実施形態のサーボプレス1の場合、エキセンプレスに対し、下死点到着直前の線図Aの傾きがなだらかであり、下死点近傍のスライド下降速度がエキセンプレスの下降速度より遅いことがわかる。このことによって、プレス加工中のスライド下降速度を落とすことができ、プレス成形の品質を良好にすることができる。
なお、本実施形態のサーボプレス1では、下死点を通過するとほどなく、スライド上昇速度がエキセンプレスに対して速くなり、エキセンプレスよりも速く上死点に達する。
また、駆動源をサーボモータ21としたサーボプレス1の場合、スライド14の1サイクル中にサーボモータ21の回転速度を変化させることで、スライドモーションを自由に設定できることが利点である。反面、サーボモータ21といえども、回転速度を終始大きく変化させていては駆動効率が落ちる。そこで、プレス成形に適したスライドモーションをある程度、第2減速機23で設定することにより、サーボモータ21の回転速度の変化が抑えられ、駆動効率よくサーボプレス1の運転が行える。また、サーボモータ21の回転制御が容易になる。
例えば、偏心機構として、本実施形態ではエキセンドラムを備えたエキセン方式を用いているが、クランク軸を備えたクランク方式を採用してもよい。また、偏心機構は、これらの構成のものに限らず、任意の構成を採用できる。
減速機は、前記実施形態に用いられたものに限らず、任意の形式のものを採用できる。
駆動源は、サーボモータに限らず、任意の形式のものを採用できる。
また、本発明では、4つのサーボモータ21は、クラウンフレーム131の上方に取り付けらるものであってもよい。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (5)
- 昇降動するスライド(14)と、
このスライド(14)を支持するクラウンフレーム(131)と、
前記スライド(14)を駆動する駆動源(21)と、
前記クラウンフレーム(131)の外側に配置され前記駆動源(21)からの回転運動を減速する減速機と、
偏心軸(241)を有し前記減速機からの回転運動を往復運動に変換する偏心機構(24)とを備え、
前記減速機は前記駆動源(21)側に設けられた第1減速機構(22)と、前記偏心機構(24)側に設けられた第2減速機構(23)とを備え、
前記第1減速機構(22)は、前記駆動源(21)からの回転運動を等速回転運動に変換して減速する等速減速機であって、前記駆動源(21)からの回転駆動力が伝達される入力軸(223)と、この入力軸(223)の回転力を伝達する歯車機構(224)と、前記入力軸(223)および前記歯車機構(224)が収納された第1ケース(225)とを備え、前記歯車機構(224)が出力軸(2245)を有するユニット化された構造であり、
前記第2減速機構(23)は、前記駆動源(21)からの回転運動を不等速回転運動に変換して減速する不等速減速機であって、前記出力軸(2245)と側面側が連結されるリング(231)と、このリング(231)の外周部を回転可能に支持し前記クラウンフレーム(131)の外部に取り付けられた第2ケース(234)とを備え、
前記第2ケース(234)は、前記第2減速機構(23)を収納したユニット化された構造であり、前記クラウンフレーム(131)に着脱自在に取り付けられ、
前記第1ケース(225)は前記第2ケース(234)に着脱自在に取り付けられ、
前記第1減速機構(22)および前記第2減速機構(23)は前記偏心軸(241)の軸線方向に沿って直列配置された
ことを特徴とするプレス機械(1)。 - 請求項1に記載のプレス機械(1)において、
前記第2減速機構(23)の前記リング(231)は、前記外周面と略直交する側面に結合される回転部材(2311)を備え、この回転部材(2311)に、前記第1減速機構(22)の前記出力軸(2245)が連結される
ことを特徴とするプレス機械(1)。 - 請求項1または請求項2に記載のプレス機械(1)において、
前記第2ケース(234)と前記リング(231)との間には滑り軸受け(235)が設けられている
ことを特徴とするプレス機械(1)。 - 請求項1に記載のプレス機械(1)において、
前記第2減速機構(23)は、ウィットウォース減速機である
ことを特徴とするプレス機械(1)。 - 請求項2に記載のプレス機械(1)において、
前記偏心軸(241)は前記クラウンフレーム(131)の側面から突出しており、前記クラウンフレーム(131)の側面に前記第2ケース(234)を取り付ける際、前記偏心軸(241)は前記第2減速機構(23)に連結し、前記出力軸(2245)の軸線は、前記偏心軸(241)の軸線と平行であり、かつ、前記第1ケース(225)の端面から突出しており、
前記第1ケース(225)を前記第2ケース(234)に取り付ける際、前記出力軸(2245)が前記回転部材(2311)に連結する
ことを特徴とするプレス機械(1)。
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