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JP4778535B2 - フェノール樹脂およびその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂およびその製造方法 Download PDF

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JP4778535B2 JP2008086895A JP2008086895A JP4778535B2 JP 4778535 B2 JP4778535 B2 JP 4778535B2 JP 2008086895 A JP2008086895 A JP 2008086895A JP 2008086895 A JP2008086895 A JP 2008086895A JP 4778535 B2 JP4778535 B2 JP 4778535B2
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Description

本発明は、耐熱性やプラズマ耐性(又は耐エッチング性)などに優れたフェノール樹脂(特にノボラック型フェノール樹脂)、その製造方法、前記フェノール樹脂を含む樹脂組成物(感光性樹脂組成物など)および前記感光性樹脂組成物で形成されたパターンに関する。
一般にノボラック型フェノール樹脂は、成形品、積層品、シェルモールド、摩擦材、砥石、感光剤、感熱紙、感圧紙、半導体封止材用エポキシ樹脂の硬化剤などに使用されている。そして、近年のIT分野の急速な発展に伴い、高い耐熱性を有するノボラック型フェノール樹脂が渇望されている。
ノボラック型フェノール樹脂の耐熱性を向上させるため、ノボラック型フェノール樹脂に、フルオレン骨格などの剛直な骨格を導入することが知られている。例えば、特開2003−226727号公報(特許文献1)には、フェノール類(A)(フェノール、ナフトール類、ビスフェノールフルオレン型フェノール、クレゾールなどのアルキルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、フェニルフェノール、アミノフェノールなど)及びフェノール類を除く芳香族類(B)を反応して得られる多芳香族類と、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)とが、アルデヒド類(D)を介して縮合したフェノール系縮合体を含み、該芳香族類(B)が、下記式で表される化合物である難燃性フェノール系樹脂材料が開示されている。
XCH−R−CH
(式中、Rはビフェニル誘導体、フェニレン誘導体、ナフタレン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ビスフェノールフルオレン誘導体のいずれかを表し、Xはハロゲン原子、水酸基、炭素数10以下のアルコキシル基のいずれかを表す。)
この文献には、前記フェノール系樹脂材料を得る代表的な製造方法において、まず、フェノール類(A)と芳香族類(B)を、酸触媒の存在下で縮合反応させて縮合体を得ること、縮合反応を行う場合、フェノール類(A)の使用量は、芳香族類(B)で表される化合物1モルに対して、通常0.3〜20モル、好ましくは0.4〜15モルであることが記載されている。
特に、フルオレン骨格を導入した例として、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、フルオレン骨格を有する樹脂と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。この文献には、フルオレン骨格を有する樹脂として、フェノール系樹脂が記載されており、フェノール系樹脂の製造において、ビスフェノールフルオレン類と共に、共縮合成分、例えば、フェノール類(フェノール、クレゾールなどのC1−4アルキル−フェノール、レゾルシンなどのジヒドロキシベンゼンなど)、尿素、グアナミン類、メラミン類などを併用してもよいこと、ビスフェノールフルオレン類と共縮合成分との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜5/95、好ましくは100/0〜10/90、さらに好ましくは100/0〜20/80程度であってもよいことが記載されている。
これらの文献の記載のフェノール樹脂では、フルオレン骨格が導入されているものの、耐熱性やプラズマ耐性などの特性において未だ十分ではないため、これらの特性のさらなる向上が望まれている。また、前記のようなフルオレン骨格を有するビスフェノール類を慣用の方法を用いて縮合させると、得られるノボラック型フェノール樹脂の分子量を十分に大きくすることができない(例えば、重量平均分子量でせいぜい1000程度)ためか、フルオレン骨格を導入できても、分子量が小さく、実用的ではなかった。
特開2003−226727号公報(特許請求の範囲、段落番号[0022]、段落番号[0045]) 特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0068]〜[0071])
従って、本発明の目的は、耐熱性に優れた新規なフェノール樹脂、その製造方法、前記フェノール樹脂を含む樹脂組成物(感光性樹脂組成物など)および前記感光性樹脂組成物で形成されたパターンを提供することにある。
本発明の他の目的は、プラズマ耐性又は耐エッチング性に優れたフェノール樹脂、その製造方法、前記フェノール樹脂を含む樹脂組成物(感光性樹脂組成物など)および前記感光性樹脂組成物で形成されたパターンを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フェノール成分と架橋剤成分とが反応(縮合反応)して得られるフェノール樹脂において、前記フェノール成分をフェノール性水酸基および縮合多環式炭化水素骨格を有する特定のフルオレン類で構成するとともに、前記架橋剤成分を芳香族骨格を有する特定の架橋剤(芳香族系架橋剤)で構成すると、フェノール成分が通常又は慣用のフェノール(フェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニルフルオレン)など)である場合などに比べて、耐熱性やプラズマ耐性において著しく向上したフェノール樹脂が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のフェノール樹脂は、下記式(1)で表される化合物で構成されたフェノール成分(A)と、芳香族ポリオール成分および芳香族アルデヒド成分から選択された少なくとも1種の芳香族系架橋剤で構成された架橋剤(B)とが反応して得られるフェノール樹脂である。
Figure 0004778535
(式中、環Zおよび環Zは縮合多環式芳香族炭化水素環、R1a、R1b、R2aおよびR2bは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0又は1〜4の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ0又は1以上の整数、n1およびn2はそれぞれ0又は1以上の整数を示す。ただし、n1+n2≧1である。)
前記式(1)において、環Zおよび環Zがナフタレン環であり、n1およびn2がそれぞれ1又は2であり、m1およびm2がそれぞれ0〜2であり、R2aおよびR2bが炭化水素基であってもよい。代表的には、前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンであってもよい。
前記フェノール成分(A)は、式(1)で表される化合物とフェノール類(例えば、クレゾールなど)とで構成されていてもよい。このような場合、前記フェノール類の割合は、前記式(1)で表される化合物1重量部に対して、0.1〜10重量部程度であってもよい。
前記架橋剤(B)において、前記芳香族ポリオール成分は、アレーンジメタノール成分(又はジ(ヒドロキシメチル)アレーン成分、例えば、ジ(ヒドロキシメチル)C6−20アレーン成分、特に、キシリレングリコール成分、ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレン成分、およびジ(ヒドロキシメチル)アントラセン成分から選択された少なくとも1種)であってもよい。芳香族ポリオール成分(又はアレーンジメタノール成分)は、例えば、アレーンジメタノール類、ジ(ハロメチル)アレーン類、およびジ(C1−6アルコキシ−メチル)アレーン類から選択された少なくとも1種のアレーンジメタノール成分であってもよい。
また、前記芳香族アルデヒド成分は、ベンズアルデヒド類およびナフトアルデヒド類から選択された少なくとも1種(特に、ベンズアルデヒド)であってもよい。
前記架橋剤(B)は、芳香族系架橋剤と非芳香族系架橋剤(ホルムアルデヒド類など)とで構成してもよい。このような場合、前記非芳香族系架橋剤の割合は、前記芳香族系架橋剤1重量部に対して0.1〜5重量部程度であってもよい。
本発明のフェノール樹脂において、前記フェノール成分(A)と架橋剤(B)との割合が、フェノール成分(A)に含まれるフェノール性水酸基をAモル、架橋剤(B)全体に含まれるヒドロキシル基及びアルデヒド基から選択された少なくとも1種の官能基をBモルとするとき、B/A=0.1〜1程度となる割合であってもよい。
本発明のフェノール樹脂は、通常、ノボラック型フェノール樹脂(例えば、ナフトールノボラック樹脂)であってもよい。
本発明には、フェノール樹脂は、前記フェノール成分(A)と前記架橋剤(B)とを反応させて前記フェノール樹脂を製造する方法も含まれる。このような方法は、代表的には、酸触媒の存在下で、ノボラック型フェノール樹脂を製造する方法であってもよい。
また、本発明には、前記フェノール樹脂が硬化した硬化物も含まれる。このような硬化物は、成形体又は成形品であってもよい。
また、本発明には、少なくとも前記フェノール樹脂を含む樹脂組成物も含まれる。このような樹脂組成物は、前記フェノール樹脂および硬化剤又は硬化性樹脂[例えば、エポキシ化合物など]を含む硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)であってもよい。そして、本発明には、このような硬化性樹脂組成物が硬化した硬化物も含まれる。
さらに、前記樹脂組成物は、前記フェノール樹脂と感光剤とを含む感光性樹脂組成物であってもよい。代表的な前記感光性樹脂組成物には、前記フェノール樹脂と、酸の作用により硬化可能な熱硬化性樹脂と、光酸発生剤とで構成されたネガ型感光性樹脂組成物などが含まれる。さらに、本発明には、前記樹脂組成物(感光性樹脂組成物)で形成されたパターンも含まれる。このようなパターンは、例えば、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布して感光層を形成し、この感光層を露光した後、加熱処理し、さらに現像して形成してもよい。
前記硬化物(又は前記硬化性樹脂組成物又は感光性樹脂組成物又はパターン)は、プラズマ耐性又は耐エッチング性(例えば、耐ドライエッチング性)に優れているため、前記硬化物(又は前記硬化性樹脂組成物)は、レジストのハードマスクに用いる硬化物(又は硬化性樹脂組成物)であってもよい。
なお、本明細書において、化合物名などの「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。
本発明の新規なフェノール樹脂(特にノボラック型フェノール樹脂)は、フェノール性水酸基および縮合多環式炭化水素骨格を有する特定のフルオレン類で構成されたフェノール成分と、芳香族骨格を有する特定の芳香族系架橋剤で構成された架橋剤成分とを重合性分として用いており、樹脂中に高割合で芳香族骨格を有しているためか、耐熱性に優れている。特に、本発明のフェノール樹脂は、プラズマ耐性又は耐エッチング性においても優れているため、レジストのハードマスク用途などに好適に適用できる。
本発明のフェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類で構成されたフェノール成分(A)と、芳香族ポリオール成分および芳香族アルデヒド成分から選択された少なくとも1種の芳香族系架橋剤で構成された架橋剤(B)との反応により得られるフェノール樹脂である。
[フェノール成分(A)]
(フェノール性水酸基を有するフルオレン類)
フェノール性水酸基を有するフルオレン類(単に、フルオレン類などということがある)は、フェノール性水酸基およびフルオレン骨格を有している限り、特に限定されないが、通常、下記式(1)で表される化合物であってもよい。
Figure 0004778535
(式中、環Zおよび環Zは縮合多環式芳香族炭化水素環、R1a、R1b、R2aおよびR2bは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0又は1〜4の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ0又は1以上の整数、n1およびn2はそれぞれ0又は1以上の整数を示す。ただし、n1+n2≧1である。)
前記式(1)において、環Zおよび環Zで表される縮合多環式芳香族炭化水素環(詳細に対応する縮合多環式芳香族炭化水素としては、縮合二環式芳香族炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式芳香族炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合2乃至4環式芳香族炭化水素などが挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素としては、ナフタレン、アントラセンなどが挙げられ、特にナフタレンが好ましい。なお、環ZおよびZはそれぞれ同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
基R1aおよびR1bで表される置換基としては、特に限定されず、シアノ基、炭化水素基(例えば、アルキル基など)などであってもよく、通常、アルキル基である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。基R1aおよびR1bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、k1(又はk2)が2以上である場合、基R1a(又はR1b)は、同一のベンゼン環において、それぞれ、異なっていてもよく、同一であってもよい。
なお、フルオレン骨格を構成するベンゼン環に対する基R1a(又はR1b)の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数k1およびk2は、0又は1、特に0である。なお、置換数k1及びk2は、異なっていてもよいが、通常、同一である。
環Zおよび環Zに置換するヒドロキシル基の置換数n1およびn2は、n1+n2≧1を充足する限り特に限定されないが、通常、n1およびn2が、それぞれ1以上、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。特に、環Zおよび環Zがベンゼン環である場合、n1およびn2は、それぞれ、1〜2、特に1であってもよい。なお、ヒドロキシル基の置換数n1およびn2は、それぞれの環ZおよびZにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
なお、ヒドロキシル基の置換位置は、特に限定されず、環Zおよび環Zの適当な置換位置に置換していればよい。特に、環Zおよび環Zがベンゼン環である場合、ヒドロキシル基は、ベンゼン環がフルオレンに結合した位置に対して3位(又はメタ位)又は4位(又はパラ位)、特に4位(パラ位)に少なくとも置換している場合が多い。
環Z及び環Z(以下、これらをまとめて環Zということがある)に置換する置換基R2aおよびR2bとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基など);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アミノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
好ましい置換基R2aおよびR2bは、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)などの炭化水素基であり、特に、C1−4アルキル基(特にメチル基)、C1−4アルコキシ基、C6−8アリール基が好ましい。m1又はm2が2以上の場合、置換基R2aおよびR2bは、同一の環(環Z又は環Z)において、単独で又は2種以上組み合わせて置換していてもよい。また、異なる環ZおよびZに置換する置換基R2aおよびR2bは互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。
置換基R2aおよびR2bの置換数m1およびm2は、それぞれ、環Zおよび環Zの種類などに応じて適宜選択でき、特に限定されず、例えば、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4程度であってもよい。特に、環Zおよび環Zが、ベンゼン環である場合には、置換数m1およびm2は、ヒドロキシル基の置換数n1およびn2にもよるが、それぞれ、0〜3、好ましくは1〜2、特に1である。なお、置換数m1およびm2は、それぞれの環ZおよびZにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
なお、置換基R2aおよびR2bの置換位置は、特に限定されず、ヒドロキシル基の置換位置に応じて、適当な置換位置に置換していてもよいが、通常、ヒドロキシル基(すなわち、フェノール性水酸基、フェノール性ヒドロキシル基)に対してオルト位およびパラ位に位置する3つの炭素原子(すなわち、メチロールを置換しやすい炭素原子)のうち、少なくとも1つが無置換(すなわち、置換基が水素原子)である。
代表的なフェノール性水酸基を有するフルオレン類には、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は6,6−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(6−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9-フルオレニリデン)−ジ(1−ナフトール))など]などの置換基を有していてもよい9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン}、これらの9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン類に対応する9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類(例えば、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシナフチル)フルオレン類)などが挙げられる。
なお、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類は、前記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、ヒドロキシナフタレン類(例えば、ナフトールなどのナフトール類、ジヒドロキシナフタレンなどのポリヒドロキシナフタレン類)を使用することにより製造できる。
これらのフェノール性水酸基を有するフルオレン類は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。特に好ましい式(1)で表される化合物には、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンが含まれる。
(フェノール類)
フェノール成分(A)は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類で少なくとも構成されていればよく、フェノール性水酸基を有するフルオレン類単独で構成してもよく、フェノール性水酸基を有するフルオレン類(又は前記式(1)で表される化合物)とフェノール類(詳細には、前記式(1)で表される化合物以外のフェノール類)とで構成してもよい。
フェノール類としては、前記フェノール性水酸基を有するフルオレン以外のフェノール類が挙げられる。フェノール類は、置換基[アルキル基(メチル基などのC1−8アルキル基、好ましくはC1−4アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)など]を有していてもよい。なお、フェノール類は、同一又は異なる置換基を有していてもよい。フェノール類において置換基の数は、例えば、0〜6(例えば、0〜4)、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2程度であってもよい。なお、フェノール類は、市販品を用いてもよく、当該分野で知られている公知の方法により調製することもできる。
前記フェノール類には、例えば、下記式(a1)で表される化合物、下記式(a2)で表される化合物、これらの化合物の複数が連結基(例えば、メチレン基、1,1−ジメチルメチレン基などのアルキリデン基、エチレン基などのアルキレン基など)により連結された化合物などが挙げられる。
Figure 0004778535
(式中、Rは、C1−8アルキル基又はC1−8アルコキシ基、iは1〜3の整数、jは0〜2の整数を示し、iとjとの合計は4以下である)
Figure 0004778535
(式中、RおよびRは、C1−8アルキル基又はC1−8アルコキシ基、hは1〜3の整数、gおよびfはそれぞれ0〜2の整数を示す)
代表的なフェノール類には、例えば、モノフェノール類{例えば、フェノール、アルキルフェノール[クレゾール(o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール)、エチルフェノール(2−エチルフェノールなど)、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのモノC1−20アルキルフェノール(例えば、モノC1−10アルキルフェノールなど);キシレノール(2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノールなど)などのジC1−10アルキルフェノールなど]、シクロアルキルフェノール(2−シクロヘキシルフェノールなど)、アリールフェノール(o−フェニルフェノールなど)、アルコキシフェノール(o−メトキシフェノールなどのアニソール類など)、アミノフェノールなどの置換基を有するフェノール;ナフトール類[例えば、ナフトール(α−ナフトール、β−ナフトールなど)、アルキルナフトール(メチルナフトール、エチルナフトール、ジメチルナフトール、プロピルナフトールなどのC1−4アルキルナフトールなど)など]など}、複数のフェノール性水酸基を有するフェノール類[例えば、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン)、アルキル−ジヒドロキシベンゼン(ジヒドロキシトルエン、ジヒドロキシキシレンなどのモノ又はジC1−6アルキル−ジヒドロキシベンゼンなど)、アリール−ジヒドロキシベンゼン(2,3−ジヒドロキシビフェニル、3,4−ジヒドロキシビフェニルなどのC6−8アリール−ジヒドロキシベンゼンなど)、アルコキシ−ジヒドロキシベンゼン(3−メトキシカテコールなどのモノ又はジC1−6アルコキシ−ジヒドロキシベンゼンなど)、トリヒドロキシベンゼン類(ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、フロログルシノールなど)などの多価フェノール類;ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)など]などが挙げられる。
これらのフェノール類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのフェノール類の中でも、フェノール、アルキルフェノールなどのモノフェノール類が好ましく、特にクレゾールなどの置換フェノール類が好ましい。
フェノール成分(A)において、フェノール類の割合は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類1重量部に対して、0.01〜30重量部(例えば、0.05〜20重量部)の範囲から選択でき、例えば、0.05〜15重量部(例えば、0.1〜10重量部)、好ましくは0.15〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部(例えば、0.25〜2重量部)程度であり、通常0.1〜1.5重量部(例えば、0.2〜1重量部)程度であってもよい。
[架橋剤(B)]
(芳香族系架橋剤)
架橋剤(B)は、芳香族ポリオール成分および芳香族アルデヒド成分から選択された少なくとも1種の芳香族系架橋剤で構成されている。
芳香族ポリオール成分としては、芳香族ジオール成分、例えば、下記式(b1)で表される化合物などが含まれる。
Figure 0004778535
(式中、環Zは芳香族炭化水素環、RおよびRは同一又は異なって二価の炭化水素基、Xはヒドロキシル基、ハロゲン原子又はC1−6アルコキシ基を示す。)
上記式(b1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環(ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環などの縮合2乃至6環式芳香族炭化水素環、好ましくは縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環)などが挙げられる。また、芳香族炭化水素環は、少なくとも芳香族炭化水素骨格(ベンゼン骨格)を有している限り、部分的に水素化された芳香族炭化水素環[例えば、ジヒドロナフタレン(1,4−ジヒドロナフタレンなど)、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどの水素化ナフタレン環など]なども含まれる。芳香族炭化水素環は、置換基[アルキル基(例えば、メチル基などのC1−8アルキル基、好ましくはC1−4アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)などの炭化水素基;アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−8アルコキシ基、好ましくはC1−4アルコキシ基)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)など]を有していてもよい。なお、置換基を複数有する場合、置換基は同一又は異なる置換基であってもよい。置換基の数は、例えば、0〜4(例えば、0〜3)、好ましくは0〜2程度であってもよい。
また、前記式(b1)において二価の炭化水素基RおよびRとしては、アルキリデン基(メチレン基、1,1−ジメチルメチレン基などのC1−4アルキリデン基)、アルキレン基(エチレン基、プロピレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基)などが含まれる。好ましい二価の炭化水素基は、メチレン基である。なお、RおよびRはそれぞれ同一又は異なる基であってもよい。また、Xにおいて、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、C1−6アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。Xは同一又は異なる基であってもよい。
代表的な芳香族ポリオール成分としては、アレーンジメタノール成分[又はジ(ヒドロキシメチル)アレーン成分]、例えば、キシリレングリコール類(例えば、1,4−ベンゼンジメタノール(p−キシリレングリコール又はテレフタリルアルコール)、1,3−ベンゼンジメタノール(m−キシリレングリコール又はイソフタリルアルコール)など)などのキシリレングリコール、ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレン類[例えば、ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレン(例えば、1,5−ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレン、2,6−ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレンなど)、ジ(ヒドロキシメチル)−ジアルキルナフタレン[例えば、ジ(ヒドロキシメチル)ジメチルナフタレン[例えば、2,6−ジ(ヒドロキシメチル)−1,5−ジメチルナフタレンなど]などのジ(ヒドロキシメチル)−C1−4アルキルナフタレン]など]、ジ(ヒドロキシメチル)アントラセン類[例えば、ジ(ヒドロキシメチル)アントラセン(例えば、9,10−ジ(ヒドロキシメチル)アントラセンなど)など]などのジ(ヒドロキシメチル)アレーン類[例えば、ジ(ヒドロキシメチル)C6−20アレーン類、好ましくはジ(ヒドロキシメチル)C6−18アレーン類、さらに好ましくはジ(ヒドロキシメチル)C6−16アレーン類];これらのジ(ヒドロキシメチル)アレーン類に対応する誘導体(例えば、ジ(ハロメチル)アレーン類、1,4−ジ(メトキシメチル)ベンゼンなどのジ(C1−6アルコキシ−メチル)アレーン類など)など]などが挙げられる。
好ましい芳香族ポリオール成分には、キシリレングリコール成分{例えば、キシリレングリコール類(キシリレングリコールなど)、ジ(ハロメチル)ベンゼン類[ジ(ハロメチル)ベンゼンなど]、ジ(C1−6アルコキシ−メチル)ベンゼン類[例えば、ジ(メトキシメチル)ベンゼンなどのジ(C1−6アルコキシ−メチル)ベンゼン、好ましくはジ(C1−2アルコキシ−メチル)ベンゼン]など}、ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレン成分{例えば、ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレン類[ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレンなど]、ジ(ハロメチル)ナフタレン類[例えば、ジハロメチルナフタレン(例えば、1,5−ジ(クロロメチル)ナフタレンなどのジ(クロロメチル)ナフタレンなど)など]、ジ(C1−6アルコキシ−メチル)ナフタレン類[例えば、ジ(メトキシメチル)ナフタレンなどのジ(C1−6アルコキシ−メチル)ナフタレン、好ましくはジ(C1−2アルコキシ−メチル)ナフタレンなど]、ジ(C1−6アルコキシ−メチル)−ジアルキルナフタレン[例えば、ジ(C1−6アルコキシメチル)ジメチルナフタレン[例えば、2,6−ジ(メトキシメチル)−1,5−ジメチルナフタレンなど]などのジ(C1−6アルコキシメチル)−ジC1−4アルキルナフタレン、好ましくはジ(C1−2アルコキシメチル)−C1−4アルキルナフタレン]など]など}、ジ(ヒドロキシメチル)アントラセン成分{例えば、ジ(ヒドロキシメチル)アントラセン類[例えば、ジ(ヒドロキシメチル)アントラセンなど]、ジ(ハロメチル)アントラセン類[例えば、ジハロメチルアントラセン(例えば、9,10−ジ(クロロメチル)アントラセンなど)など]、ジ(C1−6アルコキシ−メチル)アントラセン類[例えば、ジ(メトキシメチル)アントラセンなどのジ(C1−6アルコキシ−メチル)アントラセン、好ましくはジ(C1−2アルコキシ−メチル)アントラセンなど]など}などが含まれる。
芳香族ポリオール成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、芳香族アルデヒド成分としては、例えば、ベンズアルデヒド類(例えば、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなど)、ナフトアルデヒド類(例えば、ナフトアルデヒドなど)などが含まれる。
好ましい芳香族アルデヒド成分には、ベンズアルデヒド類(特に、ベンズアルデヒド)が含まれる。
芳香族アルデヒド成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、芳香族ポリオール成分および芳香族アルデヒド成分を組み合わせてもよい。
なお、架橋剤(B)は、前記芳香族系架橋剤で少なくとも構成すればよく、芳香族系架橋剤単独で構成してもよく、芳香族系架橋剤と非芳香族系架橋剤とで構成してもよい。
非芳香族系架橋剤としては、非芳香族ポリオール成分{例えば、脂肪族ジオール成分[例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC1−10アルカンジオール、好ましくはC1−6アルカンジオール)など]、脂環族ジオール成分[例えば、シクロペンタンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカンなど]、非芳香族アルデヒド成分[例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンなどのホルムアルデヒド類(又はホルムアルデヒド源)、アセトアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド成分など]などが含まれる。これらの非芳香族系架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの非芳香族系架橋剤のうち、ホルムアルデヒド類が好ましい。
非芳香族系架橋剤の割合は、芳香族系架橋剤1重量部に対して、例えば、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度であってもよい。
架橋剤(B)は、代表的には、(1)芳香族ポリオール成分のみで構成された架橋剤、(2)芳香族ポリオール成分と芳香族アルデヒド成分とで構成された架橋剤、(3)芳香族系架橋剤と非芳香族架橋剤とで構成された架橋剤などが含まれる。
なお、架橋剤(B)全体に対する芳香族系架橋剤の割合は、例えば、30重量%以上(例えば40〜100重量%)、好ましくは50重量%以上(例えば、60〜100重量%)、さらに好ましくは70重量%以上(例えば、80〜100重量%)であってもよい。
また、フェノール成分(A)と架橋剤(B)との割合は、フェノール成分(A)に含まれるフェノール性水酸基をAモル、架橋剤(B)全体に含まれるヒドロキシル基及びアルデヒド基から選択された少なくとも1種の官能基をBモルとするとき、B/A=0.05〜2、好ましくは0.08〜1.5、さらに好ましくは0.1〜1程度となる割合であってもよい。
本発明のフェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂であってもよいが、通常、ノボラック型フェノール樹脂(ノボラックフェノール樹脂)であってもよい。なお、ノボラック型フェノール樹脂は、後述するように、酸触媒の存在下で、前記フェノール成分(A)および前記架橋剤(B)を反応(縮合反応)させることにより得られる。
本発明のフェノール樹脂のうち、ノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量は、通常2000以上(例えば、2200〜50000程度)の範囲から選択でき、例えば、2500以上(例えば、2700〜40000程度)、好ましくは3000以上(例えば、3200〜30000程度)、さらに好ましくは3300〜25000(例えば、3500〜20000)程度であってもよい。
なお、重量平均分子量は、通常、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定でき、所定の条件(例えば、ポリスチレン換算など)で測定可能である。
また、本発明のフェノール樹脂は、耐熱性が高い。例えば、本発明のフェノール樹脂のガラス転移温度は、例えば、100℃以上(例えば、105〜300℃程度)、好ましくは110℃以上(例えば、115〜250℃程度)、さらに好ましくは120℃以上(例えば、125〜230℃程度)、特に130℃以上(例えば、135〜210℃程度)であってもよい。
[製造方法]
本発明のフェノール樹脂は、前記フェノール成分(A)と前記架橋剤(B)とを反応させることにより製造できる。なお、反応において、フェノール成分(A)と架橋剤(B)との割合は前記と同様である。
反応は、通常、触媒の存在下で行うことができる。触媒は、レゾール型フェノール樹脂又はノボラック型フェノール樹脂の種類に応じて選択でき、ノボラック型フェノール樹脂を得る場合には、反応(縮合反応)は、通常、酸触媒の存在下(又は酸性条件下)で行うことができる。以下、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法について詳述する。
酸触媒としては、特に限定されず、無機酸[例えば、プロトン酸(硫酸、塩化水素(又は塩酸)、リン酸など)、ルイス酸(三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化亜鉛など)など]、有機酸{例えば、スルホン酸(メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)、脂肪族カルボン酸[例えば、アルカン酸(例えば、酢酸、シュウ酸などのアルカンモノ又はジカルボン酸)など]などのカルボン酸}などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
酸触媒の使用量は、例えば、前記フェノール成分(A)1重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜8重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部程度であってもよい。
反応(縮合反応)は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されず、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール、シクロヘキサノールなど)、ケトン類(アセトン、ジイソプロピルケトンなどのアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテルなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類(メチルセロソルブアセテートなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、ニトリル類、セロソルブ類、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)など]などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されず、前記フェノール成分(A)および前記架橋剤(B)の総量1重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。
反応(縮合反応)において、反応温度は、例えば、0〜250℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは30〜150℃(例えば、50〜100℃)程度であってもよい。また、縮合反応時間は、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、さらに好ましくは1〜10時間程度であってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下で行ってもよい。また、反応は還流下で行ってもよい。
上記のような縮合反応によりフェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)が得られる。
なお、縮合反応終了後の反応混合物には、フェノール樹脂以外に、溶媒、触媒(酸触媒など)、未反応成分などが含まれている。そのため、前記フェノール樹脂は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再沈殿などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により縮合反応後の反応物から分離精製してもよい。レジストハードマスク用途に使用するためには分子量分布をできるだけ狭く(例えば、分散度又は分子量分布Mw/Mnが2.0以下)であることが望ましい。
[フェノール樹脂の用途]
本発明のフェノール樹脂は、種々の用途に使用でき、熱可塑性樹脂としても、熱硬化性樹脂として利用することもできる。すなわち、本発明のフェノール樹脂は、自己架橋性を有しており、単独で硬化可能である。そして、このようなフェノール樹脂の硬化物は、耐熱性やプラズマ耐性(又は耐エッチング性)に優れている。そのため、本発明には、前記フェノール樹脂の硬化物(前記フェノール樹脂が硬化した硬化物)も含まれる。
(フェノール樹脂の硬化物)
前記フェノール樹脂の硬化物は、樹脂成分として、前記フェノール樹脂が単独で硬化(又は架橋)した硬化物(架橋物、自己架橋物)であればよい。このような硬化物は、例えば、前記フェノール樹脂を加熱することにより得ることができる。このような硬化物は、慣用の成形方法(圧縮成形法、トランスファー成形法など)を利用して成形でき、例えば、前記フェノール樹脂を含む塗膜を加熱することにより得られる硬化膜(硬化塗膜)の形態であってもよい。前記塗膜は、例えば、前記フェノール樹脂および溶媒を含むコーティング液(塗布液)を基板に塗布することにより形成してもよい。
溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、エーテル類(テトラヒドロフランなど)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチル−1−アセテートなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなど)、エステル類(2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
前記コーティング液において、溶媒の割合は、例えば、前記フェノール樹脂1重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよい。
なお、前記コーティング液(又は硬化物)は、樹脂成分として前記フェノール樹脂のみを含んでいればよく、添加剤などを含んでいてもよい。添加剤としては、用途に応じて、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、充填剤(又は補強剤)、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、滑剤などが挙げられる。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記基板としては、特に限定されず、金属、セラミック、ガラス、プラスチックなどで形成された基板であってもよく、半導体基板(シリコンウェハーなど)であってもよい。
なお、塗布後の塗膜には、必要に応じて乾燥処理を施してもよい。乾燥は、自然乾燥であってもよく、塗膜の加熱(例えば、加熱温度40〜120℃、好ましくは60〜110℃程度)などにより行うことができる。
前記フェノール樹脂(又は塗膜)の加熱において、加熱温度(又はポストベーク温度)としては、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜250℃、さらに好ましくは160〜220℃程度であってもよい。また、加熱時間は、硬化物の形態又は形状によるが、例えば、30秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、さらに好ましくは2分〜3時間程度であってもよい。
このような硬化物(又は硬化塗膜)は、耐熱性や耐エッチング性において優れている。なお、硬化膜の平均厚みは、用途に応じて適宜選択でき、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましくは0.1〜100μm程度であってもよい。
(フェノール樹脂を含む樹脂組成物)
本発明のフェノール樹脂は、樹脂組成物を構成することもできる。このような樹脂組成物は、前記フェノール樹脂を少なくとも含んでいればよく、熱可塑性樹脂組成物(例えば、前記例示の添加剤、前記フェノール樹脂以外の樹脂などを含む樹脂組成物)であってもよく、硬化性樹脂組成物であってもよい。また、硬化性樹脂組成物は、後述するように、感光性樹脂組成物であってもよい。特に、本発明のフェノール樹脂を硬化性樹脂(熱硬化性樹脂)又は硬化剤とする硬化性樹脂組成物は、耐熱性や耐エッチング性に優れた硬化物(特に硬化膜)を得るのに有用である。
(硬化性樹脂組成物およびその硬化物)
硬化性樹脂組成物は、前記フェノール樹脂を硬化性樹脂成分とする場合、硬化剤成分とする場合などに応じて適宜選択でき、例えば、(i)前記フェノール樹脂と硬化剤とで構成された硬化性樹脂組成物、(ii)前記フェノール樹脂と硬化性樹脂(又は硬化性化合物)とで構成された硬化性樹脂組成物などが含まれる。なお、前記フェノール樹脂は、前記のように、単独でも(硬化剤の非存在下でも)硬化可能である。
硬化性樹脂組成物(i)において、硬化剤(硬化促進剤又は硬化助剤を含む)としては、例えば、メチロール化合物{又はメチロール誘導体、例えば、メラミン樹脂[又はメラミン樹脂の前駆体(メラミンのホルムアルデヒド付加物又は縮合物)、例えば、メチロールメラミン(モノ乃至トリメチロールメラミン)又はその縮合物(部分縮合物)、メトキシメチロール誘導体など]、エポキシ化合物[又はエポキシ誘導体、例えば、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、ポリオールポリグリシジルエーテル(ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなど)、ジグリシジルアニリン、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル類、エポキシ樹脂(エピ・ビス型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂など)など]、ホスフィン類[例えば、エチルホスフィン、プロピレンホスフィン、フェニルホスフィン、トリフェニルホスフイン、トリアルキルホスフィンなどの有機ホスフィン類(第1、第2、および第3ホスフィン類)など]、プロトン酸(例えば、硫酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸など)、酸無水物(無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸など)、アミン類などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
好ましい硬化剤には、メチロール化合物、エポキシ化合物などが含まれる。
硬化性樹脂組成物(i)において、硬化剤(又は架橋剤)の割合は、前記フェノール樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよい。
また、硬化性樹脂組成物(ii)において、硬化性樹脂(詳細には、前記フェノール樹脂以外の硬化性樹脂)としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂(ノボラックフェノール樹脂など)、フラン樹脂、尿素樹脂[又は尿素樹脂の前駆体、例えば、モノ又はジメチロール尿素又はその縮合物(部分縮合物)など]、メチロール化合物{又はメチロール誘導体、例えば、メラミン樹脂[又はメラミン樹脂の前駆体(メラミンのホルムアルデヒド付加物又は縮合物)、例えば、メチロールメラミン(モノ乃至トリメチロールメラミン)又はその縮合物(部分縮合物)、メトキシメチロール誘導体など]}、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂(前記例示のエポキシ化合物、例えば、エピ・ビス型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂など)、ウレタン系樹脂(ポリイソシアネートの多量体など)、シリコーン樹脂、ポリイミド、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)が挙げられる。
また、硬化性樹脂には、複数の官能基(又は架橋性基)を有するフルオレン骨格含有化合物も含まれる。このようなフルオレン骨格を有する化合物としては、例えば、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物などが含まれる。フルオレン骨格を有するエポキシ化合物としては、下記式(3)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 0004778535
(式中、R4aおよびR4bは同一又は異なってアルキレン基、q1およびq2は同一又は異なって0又は1以上の整数を示し、Z、Z、R1a、R1b、R2a、R2b、k1、k2、m1、m2、n1、n2は前記と同じ。)
前記式(3)において、R4aおよびR4bで表されるアルキレン基としては、限定されないが、例えば、C2−4アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基など)などが例示でき、特に、C2−3アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基)が好ましい。なお、R4aおよびR4bは互いに同一の又は異なるアルキレン基であってもよいが、通常、同一のアルキレン基である。また、q1およびq2は、特に限定されないが、同一又は異なって、0〜15程度の範囲から選択でき、例えば、0〜12(例えば、1〜12)、好ましくは0〜8、さらに好ましくは0〜6、特に0〜4程度であってもよい。なお、q1(又はq2)が2以上の場合、ポリアルキレンオキシ基は、同一又は異種のアルコキシ基(例えば、エトキシ基とプロピレンオキシ基)が混在して構成されていてもよい。
代表的なフルオレン骨格を有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂)としては、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシアリール)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリールグリシジルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリール−グリシジルオキシフェニル)フルオレンなど]などの9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−グリシジルオキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(6−グリシジルオキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(5−グリシジルオキシナフチル)]フルオレンなど]などの9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン類}、9,9−ビス(ポリグリシジルオキシアリール)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリグリシジルオキシアリール)フルオレン}、これらの化合物に対応し、前記式(3)においてq1およびq2が1以上である化合物{例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキルグリシジルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリールグリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリールグリシジルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど]、9,9−ビス[ジ又はトリ(グリシジルオキシアルコキシ)フェニル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ(グリシジルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン]などの前記式(3)においてq1およびq2が1である化合物;これらの化合物に対応し、前記式(3)においてq1およびq2が2以上である化合物[例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{[2−(2−グリシジルオキシC2−4アルコキシ)C2−4アルコキシ]フェニル}フルオレンなど]など}などが挙げられる。これらのフルオレン骨格を有するエポキシ化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのフルオレン骨格を有するエポキシ化合物のうち、特に、9,9−ビス(グリシジルオキシアリール)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレンなど]、9,9−ビス(グリシジルオキシアリール)フルオレン類のC2−4アルキレンオキシド付加体[例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]などが好ましい。
これらの硬化性樹脂(又は硬化性樹脂)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、硬化性樹脂組成物(ii)において、前記フェノール樹脂は、前記硬化性樹脂に対して非反応性であってもよく、反応性であってもよい。例えば、前記フェノール樹脂および硬化性樹脂のうち、一方の成分が他方の成分の硬化剤として作用してもよく(又は一方の成分と他方の成分とが反応により結合可能であってもよく)、一方の成分と他方の成分とは互いに非反応性であってもよい。
硬化性樹脂組成物(ii)において、硬化性樹脂の割合は、用途などにもよるが、前記フェノール樹脂100重量部に対して、例えば、1〜1000重量部、好ましくは2〜500重量部、さらに好ましくは5〜300重量部(例えば、10〜200重量部)程度であってもよい。
なお、硬化性樹脂組成物(ii)は、さらに、硬化剤(又は硬化促進剤)を含んでいてもよい。このような硬化剤は、前記フェノール樹脂又は前記硬化性樹脂に対する硬化剤であってもよく、前記フェノール樹脂および前記硬化性樹脂双方に対する硬化剤であってもよい。硬化剤としては、前記硬化性樹脂組成物(i)の項で例示の硬化剤(又は硬化促進剤又は硬化助剤、例えば、ホスフィン類など)などが挙げられる。硬化剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
代表的な硬化剤(又は硬化促進剤)には、アミン類、ホスフィン類などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物(ii)において、硬化剤の割合は、前記フェノール樹脂および前記硬化性樹脂の総量100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよく、通常0.1〜10重量部程度であってもよい。
好ましい硬化性樹脂組成物(ii)には、前記フェノール樹脂と、硬化性樹脂[特に、エポキシ樹脂などの前記フェノール樹脂に対する硬化剤又は架橋剤として作用しうる熱硬化性樹脂]と、必要に応じてさらに硬化剤又は硬化促進剤(ホスフィン類など)とで構成された硬化性樹脂組成物などが含まれる。
なお、硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物(i)および熱硬化性樹脂組成物(ii))は、後述するように、溶媒を含む組成物(コーティング組成物)であってもよい。
また、硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂組成物(i)および硬化性樹脂組成物(ii))は、添加剤などを含んでいてもよい。添加剤としては、前記例示の添加剤が挙げられる。添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記硬化性樹脂組成物は、前記のように、耐熱性や耐エッチング性に優れた硬化物を得るのに有用である。このような硬化物は、前記硬化性樹脂組成物を加熱することにより得ることができる。このような硬化物は、例えば、前記硬化性樹脂組成物を含む塗膜を加熱することにより得られる硬化膜(硬化塗膜)の形態であってもよい。前記塗膜は、例えば、前記硬化性樹脂組成物および溶媒を含むコーティング液(塗布液)を基板に塗布することにより形成してもよい。溶媒や基板は、前記と同様のものが使用できる。
前記コーティング液(又はコーティング組成物)において、溶媒の割合は、例えば、前記フェノール樹脂および熱硬化性樹脂の総量1重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.3〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部程度であってもよい。なお、塗布後の塗膜には、必要に応じて乾燥処理を施してもよい。乾燥は、自然乾燥であってもよく、塗膜の加熱(例えば、加熱温度40〜120℃、好ましくは60〜110℃程度)などにより行ってもよい。
前記硬化性樹脂組成物(又は塗膜)の加熱において、加熱温度(又はポストベーク温度)としては、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜250℃、さらに好ましくは160〜220℃程度であってもよい。また、加熱時間は、硬化物の形態又は形状によるが、例えば、30秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、さらに好ましくは2分〜3時間程度であってもよい。
このような硬化物(又は硬化塗膜)は、耐熱性や耐エッチング性において優れている。なお、硬化膜の平均厚みは、用途に応じて適宜選択でき、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましくは0.1〜100μm程度であってもよい。
(感光性樹脂組成物およびパターン)
前記樹脂組成物(又は硬化性樹脂組成物)は、感光性樹脂組成物であってもよい。すなわち、本発明のフェノール樹脂は、好適に感光性樹脂組成物を構成する樹脂(特に、ベース樹脂)として用いることもできる。前記フェノール樹脂で構成された感光性樹脂組成物は、耐エッチング性の高いパターンを形成するのに極めて有用である。なお、感光性樹脂組成物は、組み合わせる感光剤や後述の他の樹脂を適宜選択することにより、ネガ型又はポジ型感光性樹脂組成物とすることができる。
前記感光性樹脂組成物の樹脂成分は、少なくとも前記フェノール樹脂で構成すればよく、前記フェノール樹脂単独で構成されていてもよく、前記フェノール樹脂とそれ以外の樹脂(以下、「他の樹脂」などと称する場合がある。)とで構成されていてもよい。
他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂{例えば、ヒドロキシル基含有ポリマー[ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ヒドロキシル基含有セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリビニルフェノール系樹脂、ノボラック樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)など]、カルボキシル基含有ポリマー[重合性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸など)の単独又は共重合体、カルボキシル基含有セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース又はその塩など)など]、エステル基含有ポリマー[カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニルなど)、(メタ)アクリル酸エステル(メタクリル酸メチルなど)などの単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂など)、ポリエステルなど]、エーテル基を有するポリマー(ポリビニルエーテル系樹脂など)、アミド基又は置換アミド基を有するポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリウレタン系重合体、ポリ尿素、ポリアミド系重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド系重合体、ポリアミノ酸、タンパク質など)、ニトリル基を有するポリマー(アクリロニトリル系重合体など)、グリシジル基を有するポリマー(グリシジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、非芳香族性環基を有するポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのC5−8シクロアルキル基を有するモノマーのポリマー;(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルなどの架橋環式C7−20脂肪族炭化水素環基を有するモノマーのポリマーなど)など}、硬化性樹脂(熱又は光硬化性樹脂)[前記例示の硬化剤又は硬化性樹脂(メラミン樹脂などのメチロール化合物など)、光重合性オリゴマー又はポリマー((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、シンナモイル基などの重合性基を有するオリゴマーなど)など]などが例示できる。
また、他の樹脂には、これらの樹脂(ヒドロキシル基含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマーなど)の親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基(特に、酸の作用により脱離可能な保護基)で保護された樹脂なども含まれる。脱離可能な保護基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基)など)など]で保護された親水性基を有する樹脂において、対応する親水性基を有する樹脂としては、例えば、ポリビニルフェノール系樹脂[ビニルフェノール系単量体(ビニルフェノールなど)の単独又は共重合体(例えば、ポリビニルフェノールなど)、ビニルフェノール系単量体と共重合性単量体との共重合体など]、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂[例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合性単量体との共重合体など]などが挙げられる。
これらの他の樹脂は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、他の樹脂が熱可塑性樹脂である場合、他の樹脂の重量平均分子量は、例えば、800〜30000、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは1500〜7000程度であってもよい。また、他の樹脂が硬化性樹脂である場合、他の樹脂の重量平均分子量は、例えば、120〜3000、好ましくは130〜2000、さらに好ましくは150〜1000程度であってもよい。
他の樹脂を使用する場合、他の樹脂の割合は、例えば、前記フェノール樹脂100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは10〜50重量部程度であってもよい。
感光性樹脂組成物は、前記フェノール樹脂(および必要に応じて他の樹脂)で構成でき、通常、前記フェノール樹脂(および必要に応じて他の樹脂)と感光剤とで構成されている。
感光剤としては、ポジ型、ネガ型の種類などに応じて、慣用の感光剤又は光増感剤、例えば、ジアゾニウム塩類(ジアゾニウム塩、テトラゾニウム塩、ポリアゾニウム塩など)、キノンジアジド類(ジアゾベンゾキノン誘導体、ジアゾナフトキノン誘導体など)、光酸発生剤、溶解抑制剤などが選択できる。
光酸発生剤としては、スルホニウム塩誘導体[スルホン酸エステル(1,2,3−トリ(メチルスルホニルオキシ)ベンゼンなどのアリールアルカンスルホネート(特にC6−10アリール−C1−2アルカンスルホネート);2,6−ジニトロベンジルトルエンスルホネート、ベンゾイントシレートなどのアリールベンゼンスルホネート(特にベンゾイル基を有していてもよいC6−10アリールトルエンスルホネート);2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルトルエンスルホネートなどのアラルキルベンゼンスルホネート類(特にベンゾイル基を有していてもよいC6−10アリール−C1−4アルキルトルエンスルホネート);ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類;ルイス酸塩(トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム メタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネートなどのトリアリールスルホニウム塩(特にトリフェニルスルホニウム塩)など)など]、ホスホニウム塩誘導体、ジアリールハロニウム塩誘導体[ジアリールヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム カンファスルホネート、ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニル フェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネートなど)などのルイス酸塩など]、ジアゾニウム塩誘導体(p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのルイス酸塩など)、ジアゾメタン誘導体、トリアジン誘導体[1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン、1,2−メチレンジオキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ナフタレンなどのハロアルキルトリアジニルアレーン、1−メトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン、1,2−ジメトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン、1−メトキシ−2−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼンなどのハロアルキルトリアジニルアルケニルアレーンなど]、イミジルスルホネ−ト誘導体[スクシンイミジル カンファスルホネート、スクシンイミジル フェニルスルホネート、スクシンイミジル トルイルスルホネート、スクシンイミジル トリフルオロメチルスルホネート、フタルイミジル トリフルオロスルホネート、ナフタルイミジル カンファスルホネート、ナフタルイミジル メタンスルホネート、ナフタルイミジル トリフルオロメタンスルホネート、ナフタルイミジル トルイルスルホネート、ノルボルネンイミジル トリフルオロメタンスルホネートなど]などが例示できる。
これらの感光剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
感光剤の割合は、感光性樹脂組成物の樹脂成分(前記フェノール樹脂、又は前記フェノール樹脂及び他の樹脂の総量)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜8重量部(例えば、1〜5重量部)程度であってもよい。
前記感光性樹脂組成物は、組み合わせる他の樹脂や感光剤の種類などに応じて、ポジ型感光性樹脂組成物であってもよく、ネガ型感光性樹脂組成物であってもよい。例えば、他の樹脂として、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂(例えば、酸の作用により脱離可能な保護基で保護された親水性基を有する樹脂)を使用することにより、前記フェノール樹脂と、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂と、光酸発生剤とでポジ型感光性樹脂組成物を構成することができる。また、感光剤として光酸発生剤を使用する(さらには、必要に応じて、他の樹脂として、酸により硬化可能な熱硬化性樹脂又は前記フェノール樹脂の硬化剤として作用する熱硬化性樹脂を使用する)ことにより、ネガ型感光性樹脂組成物を構成することができる。
具体的な感光性樹脂組成物には、例えば、(1)前記フェノール樹脂と、酸の作用により架橋又は硬化可能な樹脂(メラミン樹脂など)と、光酸発生剤とで構成された感光性樹脂組成物(ポジ型又はネガ型感光性樹脂組成物、特にネガ型感光性樹脂組成物)、(2)前記フェノール樹脂と、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂(例えば、ヒドロキシル基が酸の作用により脱離可能な保護基(例えば、アルキル基など)により保護されたポリビニルフェノール系樹脂など)と、光酸発生剤とで構成された感光性樹脂組成物(ポジ型感光性樹脂組成物)、(3)前記フェノール樹脂[および必要に応じて他の樹脂(例えば、フェノール樹脂など)]と、キノンジアジド類とで構成された感光性樹脂組成物(ポジ型感光性樹脂組成物)などが含まれる。
これらの感光性樹脂組成物のうち、特に、前記フェノール樹脂と、酸の作用により架橋又は硬化可能な樹脂(例えば、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂)と、光酸発生剤とで構成された感光性樹脂組成物が好ましい。
なお、感光性樹脂組成物は、硬化剤又は硬化促進剤(例えば、前記例示の硬化剤など)を含んでいてもよい。また、感光性樹脂組成物は、前記例示の添加剤を含んでいてもよい。
さらに、感光性樹脂組成物は、塗布性などの作業性を改善するため、溶媒を含む組成物(コーティング組成物)であってもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒を使用できる。溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。溶媒の使用量は、特に制限されず、例えば、感光性樹脂組成物の固形分1重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度であってもよい。
前記感光性樹脂組成物は、高感度、高解像度であり、また、前記のように、耐熱性や耐エッチング性に優れたパターンを得るのに有用である。そのため、本発明には、前記感光性樹脂組成物で形成されたパターンも含まれる。このような前記感光性樹脂組成物で形成されたパターンは、前記感光性樹脂組成物で形成された感光層に、慣用のリソグラフィー技術を適用して形成できる。
感光層は、前記感光性樹脂組成物を基板(又は基体)に適用(塗布又は被覆)することにより形成できる。基板としては、パターンの特性や用途に応じて、金属(アルミニウムなど)、ガラス、セラミックス(アルミナ、銅ドープアルミナ、タングステンシリケートなど)、プラスチックなどで形成された基板、シリコンウェハーなどの半導体基板などが挙げられる。
基体(基板)は、用途に応じて、感光層との密着性を向上させるため、予め、表面処理してもよい。表面処理には、例えば、シランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤など)などによる表面処理、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂など)、又はこれらの下地剤と無機微粒子との混合物によるコーティング処理などが含まれる。
感光層は、レジスト層の少なくとも表面に形成してもよい。感光層の構造は、パターン形成プロセスや回路構造などに応じて選択でき、単層構造や多層構造(又は積層、複合構造)であってもよい。
感光層の厚みは、特に制限されず、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.08〜2μm程度の範囲から選択でき、通常、0.09〜1μm(例えば、0.1〜0.7μm)程度であってもよい。
前記感光層は、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法などにより行うことができる。なお、感光性樹脂組成物を基板に塗布した後、乾燥により溶媒を蒸発させてもよい。溶媒の除去は、例えば、ホットプレートなどの加熱手段を利用して、ソフトベーク(プリベーク)などにより行ってもよい。
前記パターン(特に微細なパターン)は、露光,現像やエッチングなどを組み合わせた慣用のリソグラフィー技術を利用して行うことができる。例えば、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布して感光層を形成し、この感光層を露光し、必要に応じて加熱処理し、さらに現像することによりパターンを形成できる。特に、光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物では、露光により発生した酸を効率よく拡散させるため、露光後、加熱処理(露光後ベーク(ポストベーク又はポストエクスポージャーベーク,PEB)など)するのが好ましい。また、現像によりパターンニングした後、プラズマ処理(酸素プラズマなど)によりエッチング処理をしてもよい。
感光層に対する露光は、慣用の方法、例えば、所定のマスクを介して光線をパターン照射又は露光することにより行うことができる。光線としては、感光性樹脂組成物の感光特性、パターンの微細度、アルカリ可溶性樹脂の種類などに応じて種々の光線(活性光線)、例えば、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、UVランプなどの光線;g線(436nm)、i線(365nm)、エキシマーレーザー(例えば、XeCl(308nm)、KrF(248nm)、KrCl(222nm)、ArF(193nm)、ArCl(172nm)、F(157nm)など),電子線(EB)、EUV(13nm)、X線などの放射線などが利用でき、単一波長であっても、複合波長であってもよい。特に、KrF(248nm)、ArF(193nm)、F(157nm)などのエキシマーレーザーが有利に利用できる。
なお、露光エネルギーは感光性樹脂組成物の感光特性(溶解性など)などに応じて選択でき、露光時間は、通常、0.005秒〜10分、好ましくは0.01秒〜5分、さらに好ましくは0.1秒〜3分程度の範囲から選択できる。
加熱(プリベーク及びPEB)の温度は、50〜150℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜130℃程度であってもよく、加熱時間は、30秒〜5分、好ましくは1〜2分程度である。
パターン露光の後、慣用の方法で現像することにより解像度の高いパターンを形成できる。現像には、感光性樹脂組成物の種類に応じて種々の現像液(水、アルカリ水溶液など)が使用できる。好ましい現像液は水又はアルカリ現像液であり、必要であれば、少量の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類などの親水性又は水溶性溶媒)や界面活性剤などを含んでいてもよい。現像法も特に制限されず、例えば、パドル(メニスカス)法、ディップ法、スプレー法などが採用できる。
なお、前記プリベーク及びPEBのみに限らず、感光性樹脂組成物の塗布から現像に至る工程のうち適当な工程で、塗膜(感光層)を適当な温度で加熱又は硬化処理してもよい。例えば、現像後などにおいて、必要により加熱処理してもよい。
本発明のフェノール樹脂(又は硬化性樹脂組成物、樹脂および硬化性樹脂組成物を含めて単に「フェノール樹脂」、「樹脂」などということがある)は、耐熱性、耐環境性、機械的特性(曲げ特性、靱性、熱衝撃性など)などの各種特性に優れている。そして、このようなフェノール樹脂は、成形加工性に優れるため、簡便にかつ効率よく成形体を得ることができる。このような成形体は、前記フェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂)を所定の形状に成形する、あるいは基板上に薄膜を形成し、硬化させるなどの方法により得ることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物又はその硬化物(硬化塗膜)は、プラズマ耐性や耐エッチング性において優れている。
このため、本発明のフェノール樹脂およびその樹脂組成物[又はその(予備)硬化物]は、硬化剤[例えば、エポキシ樹脂用硬化剤(半導体封止用エポキシ樹脂用硬化剤など)など]、接着剤、塗料(下塗塗料など)、ゴム配合剤、結合剤(砥石用、研磨紙用、摩擦材用などの結合剤)、積層材料(又は積層品、例えば、銅張積層板、積層管、積層棒など)、感熱材料(感熱紙用材料など)、カーボン材料、絶縁材料、発泡体、感圧材料(感圧紙用材料など)、シェルモールド、各種樹脂材料(ノボラック型エポキシ樹脂の原料、樹脂バインダーなど)、成形体(電気・電子部品用成形体、薄膜など)、回路形成材料(半導体製造用レジスト、プリント配線板など)、画像形成材料(印刷版材,レリーフ像など)、レジスト(半導体製造用レジストなど)の下層膜(ハードマスク)などの種々の用途に適用可能である。また、本発明のフェノール樹脂およびその樹脂組成物[又はその(予備)硬化物]は透明性に優れており、光学デバイス用熱硬化性樹脂(又は組成物)などとしても有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、分子量およびガラス転移温度は以下のようにして測定した。
(分子量の測定)
試料(フェノール樹脂)を含むテトラヒドロフラン溶液(約5重量%溶液)を作成し、ゲル透過型クロマトグラフ(TOSOH製、「HLC−8020」)により、40℃の測定条件下、ポリスチレン換算で、重量平均分子量(Mw)を測定した。
(ガラス転移温度の測定)
示差走査熱量計(DSC、SII製、「DSC6220」)により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
(耐ドライエッチング性の評価方法)
リアクティブイオンエッチング装置(サムコ(株)製、ロードロック式RIE装置)を用いて、以下の条件でエッチングを行った。
装置:SAMCO ロードロック式RIE装置
Model RIE 200−L
気体:O:SF=5:30(sccm)
圧力:6Pa
出力:150W/24cmφ
時間:3min
そして、エッチングにより消失した膜の厚み(nm)をエッチング時間(分)で除した値を、耐ドライエッチング性[又はエッチング速度(nm/分)]として表示した。この値が小さいほど耐ドライエッチング性が高いことを示す。
(実施例1)
9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)450重量部と、1,4-ジメトキシメチルベンゼン158重量部と、溶媒としてのメチルイソブチルケトン(MIBK)1350重量部および酸触媒としての35%塩酸45重量部とを混合し、攪拌しながら還流下20時間反応させた。
得られた反応物に、900重量部のイオン交換水を添加した後、50℃にて攪拌後、静置を行い、下部に分離した洗浄水を除去した。この操作を反応物内の塩素濃度が1ppm以下になるまでこの操作を行った。その後系内の水分を除去するために還流脱水を5時間行った。還流脱水後、n−ヘプタンを900重量部添加し、未反応のモノマーを抽出した。未反応のモノマーを除去した反応液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを600重量部添加し、MIBKを除去するために真空下にて溶剤置換を行い、目的とするナフトール樹脂720重量部を得た。
得られたナフトール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、10,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.95であった。また、GPCチャートから算出された重量平均分子量1000以下の成分の割合は、1重量%以下であった。
(実施例2)
実施例1において、1,4-ジメトキシメチルベンゼン158重量部に代えて、ベンズアルデヒドを101重量部及び溶剤置換のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに代えてN−メチルピロリドンを使用した以外は、実施例1と同様にしてナフトール樹脂を得た。
得られたナフトール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、10,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.90であった。また、GPCチャートから算出された重量平均分子量1000以下の成分の割合は、1重量%以下であった。
(実施例3)
実施例1において、1,4−ジメトキシメチルベンゼン158重量部に代えて、ビスクロロメチルアントラセン(東京化成工業(株)製)151重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてナフトール樹脂を得た。
得られたナフトール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、3900であり、分子量分布(Mw/Mn)は3.30であった。
(比較例1)
α−ナフトール144重量部と、1,4-ジメトキシメチルベンゼン158重量部と、溶媒としてのMIBK324重量部および酸触媒としての35%塩酸11重量部とを混合し、攪拌しながら還流下20時間反応させた。
得られた反応物に、900重量部のイオン交換水を添加した後、50℃にて攪拌後、静置を行い、下部に分離した洗浄水を除去した。この操作を反応物内の塩素濃度が1ppm以下になるまでこの操作を行った。洗浄後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを700重量部添加し、MIBKを除去するために真空下にて溶剤置換を行い、目的とするナフトール樹脂820重量部を得た。
得られたナフトール樹脂の重量平均分子量Mwを測定したところ、5,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は4.10であった。
(比較例2)
メタクレゾール(MCR)70重量部、パラクレゾール(PCR)30重量部、p−ホルムアルデヒド77重量部、水300重量部およびメタノール60重量部と、アルカリとしての水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)51重量部とを混合し、50℃にて攪拌しながら6時間反応させ、汎用のノボラック型フェノール樹脂(Mw=4899)を調製した。得られた汎用ノボラックフェノール樹脂100重量部、架橋剤としての下記式(A)で表される化合物(メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、アメリカン・シアナミド社製、商品名cymel303)25重量部、および光酸発生剤としての下記式(B)で表される化合物(トリアジン系光酸発生剤、みどり化学製、TAZ−107)3重量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(東京化成製)1000重量部に溶解させ、感光性樹脂組成物を得た。
Figure 0004778535
洗浄したシリコンウェハーをヘキサメチルジシラザンで処理した後、スピンコーターを用いて調製した感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、ホットプレートにて100℃で1分間加熱した。次いで、248nm(KrFエキシマーレーザー)の露光波長を有する縮小投影露光機(キヤノン(株)製、FPA−3000EX5,NA=0.63)を用いて、線幅の異なるラインアンドスペースパターンを有するテストマスクを介して、露光量を段階的に変化させて露光した。このウェハーをホットプレートにて120℃で2分間加熱した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で1分間パドル現像してネガ型パターンを得た。このようにして得られた膜のエッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は44.8nm/分であり、未露光部のエッチング速度は46.3nm/分であった。
(実施例4)
比較例2において、汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて、実施例1で得られたナフトール樹脂100重量部を使用した以外は比較例2と同様に膜を作製し、エッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は31.8nm/分であり、未露光部のエッチング速度は33.8nm/分であった。比較例2で得られた膜のエッチング速度(露光部又は未露光部)を100としたときのエッチング速度(以下、エッチングレートという)は、露光部で71、未露光部で73であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
(実施例5)
比較例2において、汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて、実施例2で得られたナフトール樹脂100重量部を使用した以外は比較例2と同様に膜を作製し、エッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は31.4nm/分であり、未露光部のエッチング速度は32.8nm/分であった。エッチングレートは、露光部で70、未露光部で71であり、汎用ノボラック型フェノール樹脂と比較してエッチング耐性に優れることがわかった。
(比較例3)
比較例2において、汎用ノボラック型フェノール樹脂100重量部に代えて、比較例1で得られたナフトール樹脂100重量部を使用した以外は比較例2と同様に膜を作製し、エッチング速度を測定した結果、露光部のエッチング速度は41.2nm/分であり、未露光部のエッチング速度は43.5nm/分であった。エッチングレートは、露光部で92、未露光部で94であった。
エッチング速度およびエッチングレートの結果をまとめた表を以下の表1に示す。
Figure 0004778535

Claims (16)

  1. 下記式(1)で表される化合物で構成されたフェノール成分(A)と、アレーンジメタノール類、ジ(ハロメチル)アレーン類、ジ(C 1−6 アルコキシ−メチル)アレーン類および芳香族アルデヒド成分から選択された少なくとも1種の芳香族系架橋剤で構成された架橋剤(B)とが反応して得られるフェノール樹脂。
    Figure 0004778535
    (式中、環Zおよび環Zは縮合多環式芳香族炭化水素環、R1a、R1b、R2aおよびR2bは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0又は1〜4の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ0又は1以上の整数、n1およびn2はそれぞれ0又は1以上の整数を示す。ただし、n1+n2≧1である。)
  2. 式(1)において、環Zおよび環Zがナフタレン環であり、n1およびn2がそれぞれ1又は2であり、m1およびm2がそれぞれ0〜2であり、R2aおよびR2bが炭化水素基である請求項1記載のフェノール樹脂。
  3. 式(1)で表される化合物が、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンである請求項1記載のフェノール樹脂。
  4. フェノール成分(A)が、式(1)で表される化合物とフェノール類とで構成されている請求項1記載のフェノール樹脂。
  5. 芳香族系架橋剤が、キシリレングリコール類、ジ(ハロメチル)ベンゼン類、ジ(C 1−6 アルコキシ−メチル)ベンゼン類、ジ(ヒドロキシメチル)ナフタレン類、ジ(ハロメチル)ナフタレン類、ジ(C 1−6 アルコキシ−メチル)ナフタレン類、ジ(ヒドロキシメチル)アントラセン類、ジ(ハロメチル)アントラセン類、及びジ(C 1−6 アルコキシ−メチル)アントラセン類から選択された少なくとも1種である請求項1記載のフェノール樹脂。
  6. 芳香族アルデヒド成分が、ベンズアルデヒド類およびナフトアルデヒド類から選択された少なくとも1種である請求項1記載のフェノール樹脂。
  7. 芳香族アルデヒド成分が、ベンズアルデヒドである請求項1記載のフェノール樹脂。
  8. 架橋剤(B)が、芳香族系架橋剤と非芳香族系架橋剤とで構成されている請求項1記載のフェノール樹脂。
  9. フェノール成分(A)と架橋剤(B)との割合が、フェノール成分(A)に含まれるフェノール性水酸基をAモル、架橋剤(B)全体に含まれるヒドロキシル基及びアルデヒド基から選択された少なくとも1種の官能基をBモルとするとき、B/A=0.1〜1となる割合である請求項1記載のフェノール樹脂。
  10. ノボラック型フェノール樹脂である請求項1記載のフェノール樹脂。
  11. 請求項1記載のフェノール成分(A)と請求項1記載の架橋剤(B)とを反応させて、請求項1記載のフェノール樹脂を製造する方法。
  12. 酸触媒の存在下で、ノボラック型フェノール樹脂を製造する請求項11記載の製造方法。
  13. 請求項1記載のフェノール樹脂を含む樹脂組成物。
  14. 請求項1記載のフェノール樹脂と感光剤とを含む感光性樹脂組成物である請求項13記載の樹脂組成物。
  15. 請求項1記載のフェノール樹脂と、酸の作用により硬化可能な熱硬化性樹脂と、光酸発生剤とで構成されたネガ型感光性樹脂組成物である請求項14記載の樹脂組成物。
  16. 請求項14記載の樹脂組成物で形成されたパターン。
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