JP4776362B2 - 車両のグリップ構造 - Google Patents
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Description
このように構成された乗降用グリップ機構では、先ずストッパピンの頭部を、スプリングの弾性力に抗してグリップから引離すことにより、ストッパピンのスライダからの突出端とガイドレールの位置決め用穴との係合を解く。この状態でグリップをスライダを介しガイドレールの案内溝に沿って上方又は下方に移動し、乗員の身長に合わせて位置を調整する。次にストッパピンから手を離すと、スプリングの弾性力によりストッパピンの頭部がグリップ表面に押付けられストッパピンのスライダからの突出端が位置決め用穴に係合してグリップが位置決め固定される。このように簡単にグリップの高さ位置の調整を行うことができるとともに、高さ位置を調整したグリップを利用することにより、乗員が無理な体勢をとることなく乗降できるようになっている。
このため、上記従来の特許文献1に示された乗降用グリップ機構では、運転者の眼の焦点が上記目立っている黒色のガラスランに合ってしまい、フロントコーナ部材の向こう側の視認性が低下してしまうという傾向があった。またフロントピラートリムとオープニングトリムの間、またオープニングトリムとガラスランの間、更にガラスランとサイドガラスの間には、段差等の部品の目立つ見切り部が存在し、運転者の眼の焦点がこれらの目立つ見切り部に合ってしまい、フロントコーナ部材の向こう側の視認性が低下してしまうという傾向にもあった。
本発明の目的は、室内色と色差の大きいガラスラン等をフロントピラートリム等の室内色と同系色のアシストグリップで遮ることにより、更にフロントコーナ部材を構成する各部品の目立つ見切り部をアシストグリップで遮ることにより、運転席に着席した運転者から見たフロントコーナ部材の向こう側の視認性を向上できる、車両のグリップ構造を提供することにある。
その特徴ある構成は、アシストグリップ29が、フロントコーナ部材23にそれぞれ取付けられた一対の取付部29a,29bと、フロントコーナ部材23に沿って設けられかつ運転者15により握られる室内色と同系色の把持部29cとを有し、車両10の運転席12に着席した運転者15からフロントコーナ部材23を見たときに、サイドガラス22の前縁を保持し案内する黒色系のガラスラン26が把持部29cにより遮られるように構成されたところにある。
この請求項1に記載された車両のグリップ構造では、車両10が交差点で右折又は左折するために、車両10の走行道路に交差する交差道路の右側又は左側の横断歩道上を見て歩行者が横断しているか否かを確認するとき、車両10の運転者15は右斜め前の運転席側のフロントコーナ部材23の方向又は左斜め前方の助手席側のフロントコーナ部材23の方向を見るけれども、フロントコーナ部材23に沿って設けられた黒色系の目立つガラスラン26が、室内色と同系色の目立たないアシストグリップ29の把持部29cにより遮られて、運転者15から見えない。このため運転者15の眼15aの焦点が室内色と色差の大きな色のガラスラン26に合わなくなるため、フロントコーナ部材23の向こう側の視認性を向上できる。またガラスラン26とサイドガラス22の間には、段差等の部品の目立つ見切り部が存在するけれども、この見切り部はアシストグリップ29の把持部29cにより遮られるため、運転者の眼15の焦点がこの見切り部に合うことはなく、フロントコーナ部材23の向こう側の視認性を向上できる。
この請求項2に記載された車両のグリップ構造では、車両10が交差点で右折又は左折するために、車両10の走行道路に交差する交差道路の右側又は左側の横断歩道上を見て歩行者が横断しているか否かを確認するとき、車両10の運転者15は右斜め前方の運転席側のフロントコーナ部材23の方向又は左斜め前方の助手席側のフロントコーナ部材の方向を見るけれども、黒色系の目立つガラスラン26とオープニングトリム28の黒色系の目立つシール部28bがアシストグリップ29の把持部29cにより遮られて、運転者15から見えない。このため運転者15はフロントコーナ部材23のうち室内色と同系色の目立たないアシストグリップ29の把持部29c及び室内色の目立たないフロントピラートリム27を見ることになるので、運転者15から見えるフロントコーナ部材23の向こう側の視認性を向上できる。一方、フロントピラートリム27とオープニングトリム28の間、またオープニングトリム28とガラスラン26の間、更にガラスラン26とサイドガラス22の間には、段差等の部品の目立つ見切り部が存在するけれども、これらの見切り部はアシストグリップ29の把持部29cにより遮られるため、運転者の眼15の焦点がこれらの見切り部に合うことはなく、フロントコーナ部材23の向こう側の視認性を向上できる。
またフロントコーナ部材が、フロントピラーと、フロントピラーの車室内側の面を覆うフロントピラートリムと、黒色系のガラスランが装着されたドアフレームの前側起立片と、フロントピラー及び前側起立片間の隙間を塞ぐオープニングトリムの黒色系のシール部とを備え、車両の運転席に着席した運転者からフロントコーナ部材を見たときに、黒色系のガラスラン及び黒色系のシール部を室内色と同系色の把持部が遮るように構成すれば、車両が交差点で右折又は左折するために、交差道路の右側又は左側の横断歩道上を見て歩行者が横断しているか否かを確認するとき、室内色と色差が大きく目立つ黒色系のガラスランと、オープニングトリムの室内色と色差が大きく目立つ黒色系のシール部と、フロントピラートリムとオープニングトリムの間、またオープニングトリムとガラスランの間、更にガラスランとサイドガラスの間のそれぞれ目立つ見切り部とが、室内色と同系色のアシストグリップの把持部により遮られる。この結果、運転者はフロントコーナ部材のうち室内色と同系色の目立たないアシストグリップの把持部及びフロントピラートリムを見ることになるので、運転者の眼の焦点がフロントコーナ部材に合わなくなり、フロントコーナ部材の向こう側の視認性を向上できる。
<第1の実施の形態>
図1及び図2に示すように、トラック10のキャブ11の右側には運転者15の着席する運転席12が設けられ、キャブ11の前面のフロント開口部13は透明のウインドシールドガラス14により閉止される。またキャブ11の運転席側の側面には運転者15が乗降するためのサイド開口部16が設けられ、このサイド開口部16はサイドドア17により開放可能に閉止される。サイドドア17は、ドア本体18と、このドア本体18の上面に設けられドア窓19を形成するために略逆U字状に形成されたドアフレーム21と、ドア窓19を開放可能に閉止する透明のサイドガラス22とを有する。ウインドシールドガラス14の右側縁とサイドガラス22の前縁との間には、ウインドシールドガラス14の右側縁及びサイドガラス22の前縁に沿って延びるフロントコーナ部材23が設けられる(図1及び図2)。フロントコーナ部材23は、この実施の形態では、フロントピラー24と、ガラスフレーム25が挿着されるとともに黒色系のガラスラン26が装着されたドアフレーム21の前側起立片21dと、フロントピラー24に沿って設けられフロントピラー24の車室側の面を覆う室内色のフロントピラートリム27と、フロントピラー24に沿って取付けられ黒色系のシール部28bを有するオープニングトリム28とを備える。またフロントコーナ部材23には運転者15の乗降を支援する室内色と同系色のアシストグリップ29が取付けられる。
トラック10が交差点で右折するとき、走行道路の対向車線を直進する対向車が通り過ぎるまで交差点で停止して待つ。対向車が通り過ぎた後に、トラック10の走行道路に交差する交差道路の右側の横断歩道上を見て歩行者が横断しているか否かを確認する。このときトラック10の運転者15は右斜め前方の運転席側のフロントコーナ部材23の方向を見るけれども、室内色と色差が大きく目立つ黒色系のガラスラン26と、オープニングトリム28の室内色と色差が大きく目立つ黒色系のシール部28bと、フロントピラートリム27とオープニングトリム28の間、またオープニングトリム28とガラスラン26の間、更にガラスラン26とサイドガラス22の間のそれぞれ目立つ見切り部とが、フロントピラー24の略全長にわたって延びる室内色と同系色の目立たないアシストグリップ29の把持部29cにより遮られて、運転者15から見えない。この結果、運転者15はフロントコーナ部材23のうち室内色と同系色の目立たないアシストグリップ29の把持部29cと室内色の目立たないフロントピラートリム27を見ることになるので、運転者15の眼15aの焦点がフロントコーナ部材23に合わなくなり、フロントコーナ部材23の向こう側の視認性を向上できる。従って、運転者15の右斜め前方の視界をすっきりさせることができる、換言すれば、フロントコーナ部材23の印象を薄くしてその存在を忘れさせ、運転者15の右斜め前方の視界に関する違和感を低減させることができる。なお、この実施の形態では、トラックが交差点で右折するときの動作を説明したが、本発明は交差点以外の場所や状況における動作にも適用できる。
図3は本発明の第2の実施の形態を示す。図3において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、フロントピラー54の剛性を保持しながら、運転者15から見たフロントピラー54の幅が狭く形成される。具体的には、ピラーインナパネル61は、トラックの運転席に着席した運転者15の視線方向に沿って設けられたピラーインナ本体61aと、ピラーインナ本体61aの前縁にこのピラーインナ本体61aと一体的に形成された第1フロントフランジ61bと、ピラーインナ本体61aの後縁にこのピラーインナ本体61aと一体的に形成された第1リヤフランジ61cとを有する。第1フロントフランジ61bは、ウインドシールドガラス14の内面から所定の隙間をあけたキャブ11内方であって、上記ウインドシールドガラス14の内面に略平行にかつウインドシールドガラス14の側縁に向って延びて設けられる、即ちドアフレーム21に近付く方向に延びて設けられる。また第1リヤフランジ61cは、ドアフレーム21の内面から所定の間隔をあけたキャブ11内方であって、ドアフレーム21の内面に略平行にかつ後方に向って延びて設けられる。
ピラーインナ本体61aがトラックの運転席に着席した運転者15のこのピラーインナ本体61aに向けた視線とほぼ平行であり、第2フロントフランジ62bに接合される第1フロントフランジ61bがウインドシールドガラス14の側縁とは反対側に突出しない、即ちウインドシールドガラス14の幅方向の中心に向って突出しないので、運転者15から見たフロントピラー54の幅を狭くすることができる。またピラーインナ本体61aとピラーアウタ本体62aと第1及び第2フロントフランジ61b,62bの接合部と第1及び第2リヤフランジ61c,62cの接合部によりフロントピラー54が筒状に形成されるので、フロントピラー54としての所定の剛性を確保できる。この結果、フロントピラー54の剛性を保持しつつ、運転者15の前方視界の幅を拡大できるとともに、上記運転者15から見たフロントピラー54の幅を狭くすることができる。更にアシストグリップ59のロア取付部59b及びアッパ取付部のフロントピラー54への取付面が、運転席に着席した運転者15の視線方向と略平行に設けられているので、アシストグリップ59のロア取付部59b及びアッパ取付部の雄ねじ部材34やこの雄ねじ部材34が挿入される座ぐり部が目立たず、アシストグリップ59の見栄えを向上できる。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、車両としてトラックを挙げたが、乗用車、バス又はその他の車両でもよい。
また、日本人成年男性の瞳孔間隔の平均値は66mmであり、全日本人成年男性を100%とするとき、95%の日本人成年男性の瞳孔間隔は73mm以下である。この瞳孔間隔73mmの運転者がフロントコーナ部材の方向を両眼で見たときに、アシストグリップの把持部が上記黒色部の少なくとも1/2を遮ることができれば、本発明の効果が得られ、また運転者の身長や体格に拘らず殆ど全ての成年日本人の運転者が見ても、十分に本発明の効果が得られる。更に上記黒色部の少なくとも2/3を遮ることができれば、本発明の効果は顕著である。以上のことから、目立つ黒色系のガラスランや、オープニングトリムの目立つ黒色系のシール部や、フロントピラートリムとオープニングトリムの間、またオープニングトリムとガラスランの間、更にガラスランとサイドガラスの間のそれぞれ目立つ見切り部が、アシストグリップの目立たない把持部により部分的にも遮られることにより、フロントコーナ部材の向こう側の視認性を確実に向上できる。またアシストグリップの把持部の長さをフロントピラーの略全長にわたる長さとすれば、上記効果はより顕著になる。
12 運転席
14 ウインドシールドガラス
15 運転者
21 ドアフレーム
21d 前側起立片
22 サイドガラス
23,53 フロントコーナ部材
24,54 フロントピラー
26 ガラスラン
27 フロントピラートリム
28 オープニングトリム
29,59 アシストグリップ
29a,29b,59b 取付部
29c,59c 把持部
Claims (2)
- ウインドシールドガラス(14)の側縁とサイドガラス(22)の前縁との間に、前記ウインドシールドガラス(14)の側縁及び前記サイドガラス(22)の前縁に沿って延びるフロントコーナ部材(23,53)が設けられ、前記フロントコーナ部材(23,53)に運転者(15)の乗降を支援するアシストグリップ(29,59)が取付けられた車両のグリップ構造において、
前記アシストグリップ(29,59)が、前記フロントコーナ部材(23,53)にそれぞれ取付けられた一対の取付部(29a,29b,59b)と、前記フロントコーナ部材(23,53)に沿って設けられかつ前記運転者(15)により握られる室内色と同系色の把持部(29c,59c)とを有し、
前記車両(10)の運転席(12)に着席した運転者(15)から前記フロントコーナ部材(23,53)を見たときに、前記サイドガラス(22)の前縁を保持し案内する黒色系のガラスラン(26)が前記把持部(29c,59c)により遮られるように構成されたことを特徴とする車両のグリップ構造。 - フロントコーナ部材(23,53)が、フロントピラー(24,54)と、前記フロントピラー(24,54)の車室内側の面を覆う室内色のフロントピラートリム(27)と、黒色系のガラスラン(26)が装着されたドアフレーム(21)の前側起立片(21d)と、前記フロントピラー(24,54)に沿って取付けられ前記フロントピラー(24,54)及び前記前側起立片(21d)間の隙間を塞ぐ黒色系のシール部(28b)を有するオープニングトリム(28)とを備え、
車両(10)の運転席に着席した運転者(15)から前記フロントコーナ部材(23,53)を見たときに、前記黒色系のガラスラン(26)及び前記黒色系のオープニングトリム(28)のシール部(28b)が前記把持部(29c,59c)により遮られるように構成された請求項1記載の車両のグリップ構造。
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