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JP4767388B2 - 高温性状の優れた焼結鉱の製造方法 - Google Patents

高温性状の優れた焼結鉱の製造方法 Download PDF

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JP4767388B2 JP2000125973A JP2000125973A JP4767388B2 JP 4767388 B2 JP4767388 B2 JP 4767388B2 JP 2000125973 A JP2000125973 A JP 2000125973A JP 2000125973 A JP2000125973 A JP 2000125973A JP 4767388 B2 JP4767388 B2 JP 4767388B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温性状の優れた焼結鉱の製造方法に関し、特に焼結原料の配合により多量の微細気孔を含有する焼結鉱を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の焼結鉱の製造では、一般に、鉄鉱石、スケール、転炉等で発生する鉄含有ダスト、返鉱等の鉄含有原料と石灰石、生石灰、蛇紋岩、珪石等の副原料に粉コークス、無煙炭、CDQ粉等の炭材を配合して混合し、さらに造粒機で造粒したのち焼結機に装入し、焼結層の通気性を良好に保ちながら焼結鉱を製造している。
【0003】
この際、焼結鉱の品質を向上させるために、従来から通気性または燃焼性の向上のためのコークスの粒度調整や、融液生成に重要な役割をもつ石灰石の粒度調整等を行ってきたが、これらの方法は耐還元粉化性や高炉シャフト中部までの低温還元性を改善するための手段でしかなく、高炉炉下部(シャフト下部)における反応で最も重要である高温還元性及び軟化溶融性を改善する手段ではなかった。
【0004】
一般に高炉内熱保存帯(シャフト中部)までの低温還元性は焼結鉱のJIS還元率が62%以上であれば良好であるが、高炉内熱保存帯以降(シャフト下部)の高温還元性は、JIS還元率と気孔率で整理されることが知られている(鉄と鋼、72(1986)4、S3)。この焼結鉱の高温還元性及び軟化溶融性は、近年の低燃料比・多量微粉炭吹き込み高炉操業において、焼結鉱の重要な品質管理項目となってきており、これまでにも従来からのJIS還元率の向上だけでなくミクロ気孔率を向上して焼結鉱の高温性状を改善する技術が開示されている。
【0005】
例えば、特開平9−194914号公報には、高炉の羽口から150kg/tp以上の多量の微粉炭を吹き込む際に、低SiO2(=4.2〜4.9mass%)化及び低MgO(=0.5〜1.2mass%)化により微細気孔を増加させ高温性状及び軟化溶融性を改善した焼結鉱を高炉に装入し、高温還元を促進し軟化融着帯の通気性を改善する高炉の微粉炭多量吹き込み操業方法が開示されている。
【0006】
しかしこの方法では、焼結鉱中のSiO2の低下により高炉スラグのAl23が相対的に上昇することによるスラグ流動性の悪化や焼結鉱中のMgOの低下による溶銑脱硫率の悪化があり、別途その対策が必要であった。また、焼結の主原料である鉄鉱石の配合方法については開示されていない。
【0007】
また、特開平8−120350号公報には、焼結原料においてコークス及び石灰石がそれぞれ単独で存在するか、または疑似粒子の核になるような粒径(コークス=0.5〜1.5mm、石灰石=1.0〜3.0mm)に調整または造粒した後、それぞれ所定量(=50〜100wt%)を焼結原料に配合・焼成し、コークスの燃焼効率の向上(=酸素分圧の低下)により高粘性のシリケートスラグの生成促進と共に低粘性のカルシウムフェライト融液の生成抑制を行い、コークスの燃焼後及び石灰石反応・消滅後に生成する直径50μm未満のミクロ気孔を焼結鉱中に均一に分散させることで高温還元・軟化溶融性状に優れた焼結鉱を製造する方法が開示されている。しかし、この技術は、コークスや石灰石等の副原料の配合による焼結鉱の製造方法であり、焼結の主原料である鉄鉱石の配合方法については触れられていない。
【0008】
一方で、特開平11−43709号公報には、焼結鉱の気孔径分布を水銀ポロシメーターで測定することにより300μm以下の開気孔の平均気孔径が0.05〜0.15μmの範囲になるように焼結操業条件または焼結鉱中成分を調整して製造した高温性状の良好な焼結鉱を用いて高炉等の竪型炉の操業を行う方法が開示されている。しかし、この技術は、微細気孔が増加するような具体的な焼結鉱製造方法及び鉄鉱石の配合方法については記載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、焼結原料の主要原料である鉄鉱石の配合によってこれまで制御する手段が確立されていなかった焼結鉱中の微細気孔を制御し、多量の微細気孔を含有した高温性状の優れた焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の高温性状の優れた焼結鉱の製造方法は以下の(1)〜(4)の通りである。
【0012】
(1)鉄含有原科、副原料、炭材及び水分を混合または造粒した後、焼結機に装入して焼成する高炉用焼結鉱の製造方法において、返鉱以外の鉄含有原料中に、1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.035cc/g以上となる鉄鉱石を40〜80質量%配合し、且つ1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.025cc/g未満となる鉄鉱石を40質量%未満配合し、且つ、1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.035cc/g以上となる鉄鉱石は、予め平均粒径が0.25mm以下のAlを2質量%以上含有する平均粒径が3mm以下の鉄鉱石と造粒した後、それ以外の焼結原料に配合することを特徴とする高温性状の優れた焼結鉱の製造方法。
【0013】
)1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.035cc/g以上となる鉄鉱石と、MgOを30質量%以上含有する平均粒径が3mm以下の副原料とを予め造粒した後、それ以外の焼結原料に配合することを特徴とする上記(1)の高温性状の優れた焼結鉱の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施する形態について詳述する。
【0016】
通常、鉄含有原料の主要原料である鉄鉱石と石灰石等の副原料に粉コークス等の炭材を配合し、混合・造粒後、焼結機により焼成して得られる焼結鉱中には、溶融せずに生鉱石の原型を保って残留する残留元鉱が2〜3割含有されることが知られている。
【0017】
本発明者らは、この残留元鉱中に存在する微細気孔量に着目し、高温時において微細気孔量が異なる銘柄の鉄鉱石の焼成時における溶解または残留を制御して、焼成後に得られる焼結鉱中に多量の微細気孔を含有させる焼結鉱の製造方法を鋭意検討した。
【0018】
先ず、発明者らは、基礎実験として、焼結原料として用いる各銘柄の鉄鉱石の高温時の微細気孔量について詳細に調べた。
【0019】
表1には、複数の銘柄鉱石を実際の焼結のヒートパターンを模擬した条件である1200℃以上の温度に加熱した際の各鉄鉱石中に含まれる微細気孔量を水銀圧入ポロシメーター測定法で測定した結果を示す。ここで、水銀圧入ポロシメーター測定法とは、水銀がほとんどの物質の細孔壁を濡らさず、強制的に加圧しないと細孔中に侵入していかないという性質を利用し、試料を水銀中に浸した後に圧力をかけて、圧入された水銀の容積から圧力または細孔半径に対する水銀の侵入量を求める一般に知られた焼結鉱中の気孔量の測定方法である。また、表1中に示した平均気孔径が400μm以下の気孔量は、水銀圧入ポロシメーター測定法での測定限界である平均気孔径の気孔量であり、高温時の鉄鉱石の総気孔量を知るための参考として示した。
【0020】
【表1】
【0021】
表1から、鉄鉱石の銘柄の違いによって、加熱後の鉄鉱石中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が大きく異なることが分かる。例えば、平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が最も多い鉱石銘柄Aは、最も少ない鉱石銘柄Hの3倍にもなる。
【0022】
また、焼結鉱の気孔量の目安である平均気孔径が400μm以下の気孔量は、鉱石中に含有する結晶水の含有量とともに増加する傾向があることがわかる。
【0023】
次に、発明者らは、表1に示された内の数種類の鉱石銘柄を焼結原料に配合して鍋試験により焼成して得られた焼結鉱中の微細気孔を調査した。図1は、鉱石銘柄A,D,E,G,Hの各鉱石銘柄の配合割合と焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量及び製品歩留との関係を示す。図1から、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が多い鉄鉱石銘柄A,Dの配合量を40質量%以上に増加させると、その鉄鉱石の焼結鉱中の残留元鉱の増加に起因して焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が増加することがわかる。しかしながら、これらの平均気孔径10μm以下の微細気孔量が多い銘柄の鉄鉱石A,Dの配合量が80質量%を超えると、製品歩留が低下することがわかる。
【0024】
一方、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が少ない鉄鉱石銘柄G,Hの配合量を40質量%以上に増加させると、その鉄鉱石の焼結鉱中の残留元鉱の増加に起因して焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が減少した。
【0025】
これら実験等による詳細な検討結果から、本発明では、焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量を増加させるために、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を0.035cc/g以上含有する鉄鉱石を40質量%以上の配合割合で返鉱以外の鉄含有原料中に配合する必要があるが、その配合割合が80質量%を超えると、気孔量が多い鉄鉱石に含有する結晶水の含有量が増加して、焼結鉱製造時の製品歩留が低下するため、その配合割合の上限を80質量%に規定する。また、焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量の増加を阻害することまたはその微細気孔量が低下することを防止するために、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を0.025cc/g未満含有する鉄鉱石の配合割合を40質量%未満とする。
【0026】
なお、本発明者らの検討の結果、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を0.025〜0.035cc/gの範囲で含有する鉄鉱石の配合割合を増加させても、焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量は増加しないことを確認している。
【0027】
さらに、発明者らは1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石を残留元鉱として焼結鉱中に多量に残存させるために、焼成時におけるこの鉄鉱石の溶融反応を抑制する方法を鋭意検討した。
【0028】
その結果、図2に示すような焼成過程で、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石1の周囲に融液を生成しにくいAl23含有量が高い銘柄の鉄鉱石の微粉2を付着させることにより、前記微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石1の溶融反応は抑制され、焼結鉱中に残留元鉱として多量に残存するため、結果的に得られた焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量を増加できることがわかった。
【0029】
また、上記Al23含有量が高い銘柄の鉄鉱石2の代わりに、MgO含有量が高い副原料の微粉3を上記微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石1の周囲に付着させても、MgOが上記微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石1と石灰石との溶液生成反応を阻害する作用が働き、同様に焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量を増加できる。
【0030】
本発明の方法により、従来のような鉄鉱石と石灰石との融液生成反応により鉄鉱石が溶融し、その鉄鉱石に含有していた微細気孔が凝集し粗大化することを防止し、上記平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石1を溶融させずに残留元鉱5として焼結鉱中に多く残存させることができ、その結果、焼結鉱中に含有する平均気孔径が10μm以下の微細気孔量を増加できる。
【0031】
一方、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が少ない銘柄の鉄鉱石4は、焼成過程で石灰石との融液生成反応で鉄鉱石の微細気孔内に侵入する融液量が少ないため、鉄鉱石の周囲の融液中のCaO濃度が高くなるために、この高CaO濃度の融液と鉄鉱石との反応により、鉄鉱石の周囲にカルシウムフェライト主体の組織6、特に低温で焼成した場合には微針状カルシウムフェライトが生成する。この微針状カルシウムフェライトは被還元性が良好であるとともに微細気孔を多く含有するため、上記平均気孔径が10μm以下の微細気孔が少ない銘柄の鉄鉱石4は、上記メカニズムで積極的に石灰石と反応させることにより、焼結鉱中に含有する平均気孔径が10μm以下の微細気孔量を増加させることができる。
【0032】
図3は、上記の実証試験の結果として、表1に示された内の数種類の銘柄の鉄鉱石A、B、Hの周囲にAl23含有量の高い銘柄の鉄鉱石微粉、またはMgOの含有量の高い副原料微粉を付着させて焼結した後に得られた焼結鉱中の鉄鉱石の残留元鉱面積率と平均気孔径が10μm以下の微細気孔量との関係を示した。
【0033】
ここで、残留元鉱面積率は、焼結鉱の研磨試料を画像解析して、マクロ気孔を除く焼結鉱面積に対する残留元鉱部面積の割合で評価した。このとき、焼結鉱中で鉄鉱石が溶解せずに明確に生鉱石の原型を保っている部分を残留元鉱部と見なした。
【0034】
図3から、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する鉱石銘柄A、Bを上述の方法で残留元鉱として多く焼結鉱中に残留させるほど、焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が増加する。
【0035】
一方、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔が少ない鉱石銘柄Hは、上述の方法で石灰石と反応させて溶解し残留元鉱として焼結鉱中に残さない方が、結果的に焼結鉱中に含有する平均気孔径が10μm以下の微細気孔量を増加することができることがわかる。
【0036】
以上の知見から本発明では、焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量の増加効果を促進させるために、予め造粒して、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を0.035cc/g以上含有する鉄鉱石の周囲にAl23含有量の高い銘柄の鉄鉱石の微粉あるいはMgO含有量の高い副原料の微粉を付着させた後、焼成することが好ましい。
【0037】
また、本発明において、上記の平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する鉄鉱石の周囲に付着させるAl23含有量の高い銘柄の鉄鉱石の微粉としては、鉱石の平均粒径が3mm以下であり、鉱石中に粒径が0.25mm以下のAl23を2質量%以上含有するものを用いる。鉱石中に含有する粒径が0.25mm以下のAl23の含有量が2質量%よりも低いと、上述のような鉱石と石灰石との融液生成反応を抑制させる効果が小さくなり、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する鉄鉱石を残留元鉱として焼結鉱中に残留させることができないためである。また、このAl23含有鉄鉱石の粒径は小さいほど、上記の鉄鉱石と石灰石との反応を抑制する効果が発揮できるが、粒径が小さくなるほどこの鉄鉱石の篩い分け効率が低下するため、この点を充分考慮する必要がある。
【0038】
図5は、予め造粒することにより表1に示された鉱石銘柄Aの周囲に粒径0.25mm以下のAl23を2質量%以上含有した銘柄の鉄鉱石を付着させた後、焼成して焼結鉱を製造した時の試験結果を示す。図5に示された粒径0.25mm以下のAl23を2質量%以上含有する鉄鉱石の粒径と焼成して得られた焼結鉱中の残留元鉱面積率及び平均気孔径が10μm以下の微細気孔量の関係から、Al23含有鉄鉱石の粒度が小さくなるほど、焼結鉱中の鉱石銘柄Aの残留元鉱面積率が高くなるとともに、焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量も増加する。一方、図5に示された粒径0.25mm以下のAl23を2質量%以上含有する鉄鉱石の粒径とその篩い分け効率の関係から、Al23含有鉄鉱石の粒度が小さいほどその篩い分け効率が低下することがわかる。
【0039】
これらの知見から本発明では、鉄鉱石と石灰石との反応抑制効果及び篩い分けの効率の低下抑制の観点から、上記の粒径0.25mm以下のAl23を2質量%以上含有する鉄鉱石の粒径を3mm以下に規定する。
【0040】
また、本発明においては、予め造粒して、1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を0.035cc/g以上含有する鉄鉱石の周囲にMgOを30質量%以上含有する粒径3mm以下の副原料の微粉を付着させた後、焼成しても、上記鉄鉱石の周囲に高Al23含有鉄鉱石の微粉を付着させたときと同様な効果が得られる。
【0041】
上記副原料中のMgO含有量が30質量%未満になると上記鉄鉱石の溶融を十分に抑制できず、焼結鉱中に含有する平均気孔径が10μm以下の微細気孔の気孔量を増加する効果が見られなくなるため、MgO含有量の下限を30質量%とする。また、この高MgO含有副原料の粒径は、上述の高Al23含有鉄鉱石と同様に上記鉄鉱石の溶融抑制効果及びその篩い分け効率の低下抑制の観点から3mm以下とする。
【0042】
なお、上記の微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石の周囲に付着させる上記高Al23含有鉄鉱石の微粉あるいは高MgO含有副原料の微粉の成分調整、および、上記の微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石の粒度調整は、篩い分け装置で篩い分けた後、任意の造粒機で予め造粒することが望ましい。また、この造粒する際に、生石灰などのバインダーを配合すれば、より強固な造粒物が製造できて焼成して得られる焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔の気孔量はさらに増加するので、好ましい。
【0043】
このように本発明によれば、平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多量に含有する残留元鉱を焼結鉱中に分散して残留させた焼結鉱が製造でき、この焼結鉱を高炉に装入し、昇温・還元すると焼結鉱中の微細気孔内に還元ガスが十分浸透するため、特に高炉シャフト下部における還元が著しく促進される。その結果、最大圧損値が低下(改善)して軟化開始温度と溶融滴下開始の温度差も縮小し、融着帯幅が縮小する。図4に示す荷重軟化装置による焼結鉱の高温性状測定試験の結果でも、1000℃以上の高温還元性と高温軟化溶融性状が大幅に改善される結果を得た。
【0044】
また、発明者らの実験の結果、図6に示すように、画像解析装置で測定した焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の気孔率は、水銀圧入ポロシメーターの測定結果と良い一致を示すことが判っている。このときの画像解析で測定した焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の気孔率は、焼結鉱の研磨試料10個の測定値を平均化したものである。
【0045】
よって、本発明において、焼結鉱中の平均気孔径が10μm以下の気孔率の測定法として、水銀圧入ポロシーメーター測定法の代用として、焼結鉱の研磨試料の画像解析法を用いても構わない。その場合、水銀圧入ポロシメータ測定法での気孔量0.035cc/gは気孔率15%に相当し、気孔量0.010cc/gは気孔率5%に相当する。
【0046】
【実施例】
以下に、鍋試験による実施例を説明する。微粉部分のAl23成分が多い鉄鉱石の粒度とMgOを多く含有する副原料の粒度は篩い分け法で調整した。また、これらと1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する鉄鉱石とを予め混合・造粒する際には、ディスクペレタイザーを用いた。
【0047】
表2に鍋試験で使用した焼結原料中の配合原料の配合割合、表3に鍋試験の各試験水準、表4に試験結果を示した。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
比較例IIIは、比較例Iに比べて銘柄A(微細気孔の多い鉱石)の配合割合が高く、銘柄G、H(微細気孔の少ない鉱石)の配合割合が低い配合焼結原料を事前造粒なしで混合・造粒した例である。比較例IIは、銘柄A(微細気孔の多い鉱石)と粒径3mm以下の銘柄G(粒径0.25mm以下のAl23含有量が本発明範囲より低い鉱石)を事前造粒後、その他の焼結原料に配合し、混合・造粒した例である。発明例IIは、銘柄A(微細気孔の多い鉱石)と粒径3mm以下の銘柄E(粒径0.25mm以下のAl23含有量が高い鉱石)を事前造粒後、その他の焼結原料に配合し、混合・造粒した例である。参考例Iは銘柄A(微細気孔の多い鉱石)と3mm以下の蛇紋岩(MgO=39質量%)を事前造粒後、その他の焼結原料に配合し、混合・造粒した例である。発明例IVは銘柄B(微細気孔の多い鉱石)と粒径3mm以下の銘柄F(粒径0.25mm以下のAl23含有量が高い鉱石)を事前造粒後、その他の焼結原料に配合し、混合・造粒した例である。参考例IIは銘柄B(微細気孔の多い鉱石)と3mm以下の蛇紋岩(MgO=39質量%)を事前造粒後、その他の焼結原料に配合し、混合・造粒した例である。発明例VIは銘柄B(微細気孔の多い鉱石)と粒径3mm以下の銘柄E(粒径0.25mm以下のAl23含有量が高い鉱石)、および3mm以下の蛇紋岩(MgO=39質量%)を事前造粒後、その他の焼結原料に配合し、混合・造粒した例である。
【0052】
比較例IIIでは、事前造粒なしでも鉱石配合を調整することにより、比較例Iに比べて微細気孔が多く、S値(圧力損失値の温度積分値)が低下した。
【0053】
また、発明例IIでは、微細気孔の多い鉱石銘柄Aの溶融が微粉部のAl23含有量が高い鉱石銘柄Eにより抑制されて、比較例IIIよりも更に微細気孔が増加し、S値が低下した。
【0054】
鉱石銘柄Aの代わりに鉱石銘柄Bを用いたり、鉱石銘柄Eの代わりに鉱石銘柄Fや蛇紋岩、もしくはその両方で事前造粒した発明例III〜VIでも、発明例Iと同様かそれ以上の微細気孔量及びS値の改善が見られた。一方、鉱石銘柄Aと微粉部のAl23含有量が低い鉱石銘柄Gで事前造粒した比較例IIでは、銘柄Aの溶融が十分抑制されずに、微細気孔の増加とS値の低下が見られなかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、高温時の鉄鉱石中の微細気孔量の異なる鉄鉱石銘柄に応じて、その銘柄鉄鉱石の配合割合または焼結過程でのその鉄鉱石と石灰石との反応を制御または促進させることで、焼成後に得られる焼結鉱中の微細気孔量を増加し、高炉下部反応にとって最も重要な焼結鉱の高温性状を大幅に向上できるので、高炉安定操業に寄与する効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄鉱石の銘柄およびその配合量を種々変更した鍋試験における成品歩留と焼結鉱中の10μm以下の気孔量の測定結果を示す図である。
【図2】本発明による焼結前の焼結原料の擬似粒子構造、および、焼結後の組織の特徴を模式的に示す図である。
【図3】基礎試験で焼成した試料について、画像解析で測定した残留元鉱面積率と水銀圧入式ポロシメーターで測定した焼結鉱中の10μm以下の微細気孔量との関係を各鉱石銘柄について示す図である。
【図4】各鉱石の残留元鉱面積率が種々異なる焼結鉱の高温性状測定結果を示す図である。
【図5】鉱石銘柄Aと粒径0.25mm以下のAl23を2質量%以上含有する鉄鉱石の事前造粒において、Al23含有鉄鉱石の粒度と篩い分け効率、および、鉱石銘柄Aの残留元鉱面積率と焼結鉱中の平均気孔径10μm以下の気孔量を示す図である。
【図6】焼結鉱中に含有する平均気孔径が10μm以下の気孔に対して、水銀圧入ポロシメーターで測定した平均気孔径が10μm以下の気孔量と画像解析で測定した平均気孔径が10μm以下の気孔面積率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔を多く含有する銘柄の鉄鉱石
2 Al23含有量が高い銘柄の鉄鉱石の微粉
3 MgO含有量が高い副原料の微粉
4 1200℃以上に加熱した際に平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が少ない銘柄の鉄鉱石
5 残留元鉱
6 カルシウムフェライト主体の組織

Claims (2)

  1. 鉄含有原科、副原料、炭材及び水分を混合または造粒した後、焼結機に装入して焼成する高炉用焼結鉱の製造方法において、返鉱以外の鉄含有原料中に、1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.035cc/g以上となる鉄鉱石を40〜80質量%配合し、且つ1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.025cc/g未満となる鉄鉱石を40質量%未満配合し、且つ、
    前記1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.035cc/g以上となる鉄鉱石は、予め平均粒径が0.25mm以下のAl を2質量%以上含有する平均粒径が3mm以下の鉄鉱石と造粒した後、それ以外の焼結原料に配合することを特徴とする高温性状の優れた焼結鉱の製造方法。
  2. 1200℃以上に加熱した後に水銀圧入ポロシメーター測定法により測定される残留元鉱中の平均気孔径が10μm以下の微細気孔量が0.035cc/g以上となる鉄鉱石と、MgOを30質量%以上含有する平均粒径が3mm以下の副原料とを予め造粒した後、それ以外の焼結原料に配合することを特徴とする請求項に記載の高温性状の優れた焼結鉱の製造方法。
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