JP4766234B2 - 高熱伝導性熱定着ロール又は定着ベルト用熱硬化型シリコーンゴム組成物、定着ロール及び定着ベルト - Google Patents
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Description
本発明においては、熱硬化型シリコーンゴム組成物に、耐熱性に悪影響を与える不純物のうち、特にナトリウム含有量が通常使用されている酸化亜鉛(ナトリウム含有量は通常0.1〜2%程度)に比較して少ない平均粒子径1〜50μmの酸化亜鉛を配合することにより、高熱伝導性を有するにもかかわらず圧縮永久歪が小さく、かつ高温にさらされても物性の変化が小さいシリコーンゴムを形成する高熱伝導性シリコーンゴム組成物を得ることができたものである。
(i)熱硬化型シリコーンゴム組成物100質量部に、ナトリウム含有量が0.3質量%以下で、平均粒子径が1〜50μmの酸化亜鉛を50〜800質量部配合し、更に、平均粒子径が0.01〜0.3μmの酸化鉄を0.1〜20質量部配合したことを特徴とする高熱伝導性熱定着ロール又は定着ベルト用シリコーンゴム組成物、
(ii)芯金の外周面にシリコーンゴム層が形成されてなる定着ロールにおいて、シリコーンゴム層が上記の高熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化物であることを特徴とする定着ロール、
(iii)耐熱性樹脂又は金属からなる基板の表裏面上にシリコーンゴム層が形成されてなる定着ベルトにおいて、シリコーンゴム層を形成するシリコーンゴムが上記の高熱伝導性シリコーンゴム組成物を硬化させてなるものであることを特徴とする定着ベルト
を提供する。
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン: 100質量部
(B)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
(A)成分中のアルケニル基に対して珪素原子に直結する水素原子のモル比が
0.4〜5となる量
(C)付加反応触媒 触媒量
を含有してなることを特徴とするシリコーンゴム組成物が挙げられる。
RdSiO(4-d)/2 (1)
(式中、Rは互いに同一又は異種の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換1価炭化水素基であり、dは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5の範囲の正数である。)
この場合、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられるが、特にビニル基が好ましい。
R’eHfSiO[4-(e+f)]/2 (2)
(式中、R’は互いに同一又は異種の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換1価炭化水素基であり、e,fは、e=0.7〜2.1、好ましくは0.8〜2.0、f=0.001〜1.0、好ましくは0.01〜1.0、かつe+f=0.8〜3.0、好ましくは1.0〜2.5を満足する正数である。)
で示され、1分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば3〜150個、より好ましくは3〜100個程度の珪素原子に結合した水素原子(Si−H基)を有するものが挙げられる。
(D)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン: 100質量部
(E)有機過酸化物 触媒量
を含有してなることを特徴とするシリコーンゴム組成物である。
R1 nSiO(4-n)/2 (3)
(上記式中R1は同一又は異種の非置換又は置換1価炭化水素基、nは1.98〜2.02の正数である。)
で示すことができる。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)100部、補強性シリカ充填剤として比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル社製 R−972)1部、フェニルトリメトキシシラン5部、湿式法で製造した水酸化亜鉛を水洗し、これを1,000℃で焼成することによって得られた、平均粒子径が3μmでナトリウム含有量が0.05%の酸化亜鉛270部、平均粒子径0.10μmの酸化鉄3部をプラネタリーミキサーに入れ、150℃で2時間攪拌した。
両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(重合度350、ビニル基含有量0.0072mol/100g)100部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル社製R−972)0.5部、下記一般式(I)
で示されるシロキサン化合物8部、平均粒子径が10μmでナトリウム含有量が0.02%の酸化亜鉛280部、平均粒子径が5μmの石英粉80部、平均粒子径0.16μmの酸化鉄6部をプラネタリーミキサーに入れ、室温(23℃)で2時間攪拌を行った。この混合物を3本ロールにかけて充填剤の分散を行った後、再びプラネタリーミキサーに戻し、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H基量0.0060mol/g)を0.84部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分撹拌を続けてシリコーンゴム組成物(2)を得た。このシリコーンゴム組成物を用い、120℃で10分間プレスキュアし、更に200℃で4時間オーブンキュアしてシリコーンゴム硬化物サンプルを作成し、実施例1と同様に、硬度、圧縮永久歪、熱伝導率、及び耐熱試験後の硬度、圧縮永久歪を測定した。結果を表1に記した。
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約5000であるゴム状オルガノポリシロキサン100部に比表面積が200m2/gであるヒュームドシリカ(日本アエロジル社製アエロジル200)5部、両末端水酸基を有するジメチルポリシロキサン(重合度10)を10部ニーダー中で均一に混合し、150℃で2時間熱処理を行って、ベースコンパウンドを得た。このベースコンパウンド100部に平均粒子径が3μmでナトリウム含有量が0.05%の酸化亜鉛350部、平均粒子径0.10μmの酸化鉄3部を2本ロールにて添加し、さらに硬化剤として2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン0.5部を加えた後、170℃で10分間プレスキュアし、更に200℃で4時間オーブンキュアしてシリコーンゴム硬化物サンプルを作成し、実施例1と同様に、硬度、圧縮永久歪、熱伝導率、及び耐熱試験後の硬度、圧縮永久歪を測定した。結果を表1に記した。
実施例1のシリコーンゴム組成物(1)で平均粒子径が3μmでナトリウム含有量が0.05%の酸化亜鉛に替えて、平均粒子径が5μmでナトリウム含有量が0.5%の酸化亜鉛を同量配合した以外は実施例1と同様にして得られたものをシリコーンゴム組成物(4)とした。このシリコーンゴム組成物(4)を用い、120℃で10分間プレスキュアし、更に200℃で4時間オーブンキュアしてシリコーンゴム硬化物サンプルを作成し、実施例1と同様に、硬度、圧縮永久歪、熱伝導率、及び耐熱試験後の硬度、圧縮永久歪を測定した結果を表1に記した。
このシリコーンゴム組成物(4)を用いて、実施例1と同様に定着ロールを作成し、この定着ロールを電子写真複写機に装着してA4サイズの複写紙を複写したところ、5500枚付近より、やや画像が乱れ始め、1万枚複写後組み込んだ定着ロールを観察すると、表面に無数のシワがみられた。
実施例2のシリコーンゴム組成物(2)で、平均粒子径が10μmでナトリウム含有量が0.02%の酸化亜鉛に替えて、平均粒子径が12μmでナトリウム含有量が0.7%の酸化亜鉛を配合した以外は実施例2と同様にして得られたものをシリコーンゴム組成物(5)とした。このシリコーンゴム組成物(5)を用い、120℃で10分間プレスキュアし、更に200℃で4時間オーブンキュアしてシリコーンゴム硬化物サンプルを作成し、実施例1と同様に、硬度、圧縮永久歪、熱伝導率、及び耐熱試験後の硬度、圧縮永久歪を測定した結果を表1に記した。
このシリコーンゴム組成物(5)を用いて、実施例2と同様に定着ベルトを作成し、この定着ベルトを電子写真複写機に装着してA4サイズの複写紙を複写したところ、7200枚付近より画像が乱れ始め、1万枚複写後、装着した定着ベルトを観察すると、表面に縞状の模様が見られた。
実施例3のシリコーンゴム組成物(3)で、平均粒子径が3μmでナトリウム含有量が0.05%の酸化亜鉛に替えて、平均粒子径が5μmでナトリウム含有量が0.5%の酸化亜鉛を同量配合した以外は実施例3と同様にして得られたものをシリコーンゴム組成物(6)とした。このシリコーンゴム組成物(6)を用い、120℃で10分間プレスキュアし、更に200℃で4時間オーブンキュアしてシリコーンゴム硬化物サンプルを作成し、実施例1と同様に、硬度、圧縮永久歪、熱伝導率、及び耐熱試験後の硬度、圧縮永久歪を測定した結果を表1に記した。
このシリコーンゴム組成物(6)を用いて、実施例3と同様に定着ロールを作成し、この定着ロールを電子写真複写機に装着してA4サイズの複写紙を複写したところ、200枚付近より画像が乱れ始め、500枚複写後、装着した定着ロールを観察したところ、ロール表面の一部に凹凸が見られた。
Claims (9)
- 熱硬化型シリコーンゴム組成物100質量部に、ナトリウム含有量が0.3質量%以下で、平均粒子径が1〜50μmの酸化亜鉛を50〜800質量部配合し、更に、平均粒子径が0.01〜0.3μmの酸化鉄を0.1〜20質量部配合したことを特徴とする高熱伝導性熱定着ロール又は定着ベルト用シリコーンゴム組成物。
- 熱硬化型シリコーンゴム組成物が
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
(A)成分中のアルケニル基に対して珪素原子に直結する水素原子のモル比が
0.4〜5となる量、
(C)白金族金属系触媒:
金属量として(A)成分及び(B)成分の合計量に対し0.5〜1,000ppm
からなる付加反応硬化型シリコーンゴム組成物である請求項1記載の高熱伝導性熱定着ロール又は定着ベルト用シリコーンゴム組成物。 - 熱硬化型シリコーンゴム組成物が
(D)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(E)有機過酸化物: 0.1〜10質量部
からなる有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物である請求項1記載の高熱伝導性熱定着ロール又は定着ベルト用シリコーンゴム組成物。 - 硬化後のゴムの熱伝導率が、0.5W/m・℃以上である請求項1、2又は3記載の高熱伝導性定着ロール又は定着ベルト用シリコーンゴム組成物。
- 酸化鉄の平均粒子径が0.05〜0.20μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の高熱伝導性熱定着ロール又は定着ベルト用シリコーンゴム組成物。
- 芯金の外周面にシリコーンゴム層が形成されてなる定着ロールにおいて、シリコーンゴム層が請求項1乃至5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化物であることを特徴とする定着ロール。
- 芯金の外周面にシリコーンゴム層を介してフッ素系樹脂層が形成されてなる定着ロールにおいて、シリコーンゴム層が請求項1乃至5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化物であることを特徴とするフッ素系樹脂被覆定着ロール。
- 耐熱性樹脂又は金属からなる基板の表裏面上にシリコーンゴム層が形成されてなる定着ベルトにおいて、シリコーンゴム層を形成するシリコーンゴムが請求項1乃至5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物を硬化させてなるものであることを特徴とする定着ベルト。
- 耐熱性樹脂又は金属からなる基板の表裏面上にシリコーンゴム層を介してフッ素系樹脂層が形成されてなる定着ベルトにおいて、シリコーンゴム層を形成するシリコーンゴムが請求項1乃至5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物を硬化させてなるものであることを特徴とするフッ素系樹脂被覆定着ベルト。
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