JP4753195B2 - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化アルミニウム焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム焼結体は、その理論熱伝導率が320W/m・Kと高く、加えて機械的強度及び電気特性についてもアルミナ並みに優れているため、電気絶縁性及び放熱特性の要求の高いGTO(Gate Turn off Thyristor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)といった半導体パワーモジュール用の基板材料として広く使われるようになってきた。半導体パワーモジュール用に工業的に使用されている窒化アルミニウム焼結体の一般的な特性として、熱伝導率は130〜200W/m・K、3点曲げ抗折強度(以下、単に抗折強度という)は30〜40kg/mm2である。
【0003】
かかる半導体パワーモジュールとしては、窒化アルミニウム基板に活性金属層等を介して銅板を接合した、銅張基板が広く使用されている。この銅張基板において窒化アルミニウムと銅板の間に大きな熱膨張差があり、銅張基板に電子部品を実装する際の熱処理や、半導体パワーモジュールとして使用する際に受けるヒートサイクルにより、窒化アルミニウム焼結体中にクラックが生じ、半導体パワーモジュールとしての信頼性を損う恐れがあった。そのため、かかる半導体パワーモジュール用の窒化アルミニウム基板としては、より抗折強度に優れたものが要求されている。
【0004】
上記特性を示す窒化アルミニウム焼結体は、以下の方法により、量産されている。すなわち、窒化アルミニウム原料粉末に酸化イットリウム等の焼結助剤及び有機バインダーを配合した後、ドクターブレード法又はプレス成形法等により成形体に成形する。次いでこの成形体を空気中又は窒素雰囲気中で加熱しバインダーを除去した後、窒素雰囲気中常圧下において焼結することにより焼結体が得られる。
【0005】
窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率は、窒化アルミニウム結晶粒子中の含有酸素量に大きく依存し、含有酸素量を低減させることにより高熱伝導率を有した窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。このため、含有酸素量の少ない窒化アルミニウム原料粉末を使用したり、窒化アルミニウム原料粉末に炭素を配合し、窒素雰囲気中での焼結過程で炭素と含有酸素とを反応させて含有酸素を除去する等の方法により、200W/m・K程度の高熱伝導率を示すものが量産されている。
【0006】
また、窒化アルミニウム焼結体の抗折強度の向上を目的とする多くの試みが行われている。例えば、(a)焼結時における窒化アルミニウム結晶粒子の成長を抑制するためSi成分を配合することにより、緻密で微細な窒化アルミニウム結晶粒子の焼結体とし強度向上を図ったもの(特開平6−329474号公報等)、(b)窒化アルミニウム焼結体の結晶粒子内及び粒界に酸化チタン等の微細粒子(ナノ粒子)を分散させることにより高強度化を図ったもの(特開平4−132666号公報)等が開示されている。
【0007】
これらの高強度化の方法にはそれぞれ問題があり、実用化されていない。例えば上記(a)では、窒化アルミニウム焼結体中に存在するSi成分は熱伝導率を低下するため、高強度と高熱伝導率とを同時に達成することが難しい。一方、上記(b)では、ナノ粒子の作成工程、ナノ粒子を焼結体中に均一に分散させる工程等に手間がかかり、広く工業的に利用することが難しかった。
【0008】
【発明が解決しようする課題】
本発明は、従来の技術が有していた上記課題を解消し、工業的にも安定して製造できる高強度及び高熱伝導率を兼ね備え、半導体パワーモジュールの窒化アルミニウム基板として好適な窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化イットリウム0.6〜5重量%と、酸化バナジウムをバナジウム換算で0.02〜0.4重量%と、残部窒化アルミニウム原料粉末とからなる組成物に炭素材料及びバインダーを配合した配合物を所定形状の成形体に成形し、次いで空気中で加熱して成形体中のバインダーを除去し、次いでバインダーを除去した成形体を非酸化性雰囲気中で焼結する窒化アルミニウム焼結体の製造方法であって、前記窒化アルミニウム原料粉末の平均粒径が2μm以下であり、前記炭素材料が、グラファイト、又は、空気中での460℃の加熱処理にて酸化分解を開始しない結晶構造を有するカーボンブラックであり、前記炭素材料の前記配合物中における含有量が、重量で窒化アルミニウム原料粉末の含有酸素量の0.5〜0.8倍であり、前記バインダーを除去した成形体を非酸化雰囲気中で1700℃〜焼結温度まで1〜5時間保持して昇温した後、1900℃〜2000℃の焼結温度に1〜5時間保持して、炭素を0.03〜0.10重量%を含む窒化アルミニウム焼結体を得る、窒化アルミニウム焼結体の製造方法である。
【0010】
本発明の窒化アルミニウム焼結体において、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径が5μmを超えると強度が低下する。焼結体中の窒化アルミニウム結晶粒子の最大粒径は15μm未満であることが好ましい。
【0011】
本発明において、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径は、次のようにして測定される。焼結体の破面について2000倍のSEM写真を撮影し、その写真上に任意の直線を引く(長さ約120μm)。次いで、この直線と各結晶の粒界との交点を求め、結晶の交点間の長さをその結晶の粒径とし、各結晶の粒径の算術平均を平均粒径とする。
【0012】
また、結晶の最大粒径は、焼結体の破面について、1000倍のSEM写真を撮影し、その写真上(面積約80×120μm)で最大の結晶を特定し、その結晶の最大径を最大粒径とする。
【0013】
イットリウム化合物は焼結助剤として作用をし焼結体に残存する。その含有量が酸化イットリウム換算で0.6重量%未満では多孔質になり焼結体の強度が低下する。一方、その含有量が酸化イットリウム換算で5重量%を超えるとイットリウム化合物が焼結体の表面に部分的に凝集し、表面の荒さが荒くなる。かかるイットリム化合物としては、酸化イットリウム、イットリウムアルミニウム酸化物(Y4Al2O9)等がある。
【0014】
バナジウム化合物は焼結時の焼結性を促進する作用をし焼結体に残存する。バナジウム化合物としては、V2O3、V2O4、V2O5等がある。その含有量がバナジウム換算で0.02重量%未満では、焼結体の変形を生じやすく、0.4重量%を超えると窒化アルミニウム結晶粒子が大きくなりすぎ焼結体の強度低下を生じる。
【0015】
また、抗折強度が45kg/mm2未満では、強度が不足し実用的でなく、熱伝導率が150W/m・K未満では、放熱性の要求される用途に使用できない。
【0016】
かかる焼結体は、窒化アルミニウム原料粉末に酸化イットリウム、酸化バナジウム、結晶質炭素及びバインダーをそれぞれ特定量配合し、それを焼結することにより得られる。
【0017】
この炭素材料は、焼結の際の窒化アルミニウム結晶粒子の成長を抑制し強度を向上する作用をする。この炭素材料は粉末として使用するのが好ましい。炭素材料の含有量は、重量で、使用する窒化アルミニウム原料粉末の含有酸素量の0.5〜0.8倍となる範囲にする。炭素材料の含有量が0.5倍より小さいと窒化アルミニウム結晶粒子の成長抑制効果が不充分であり、0.8倍より大きいと緻密な焼結体が得られず、強度が低下する。より好ましくは、0.6〜0.74倍の範囲である。
【0018】
かかる炭素材料としては、空気中で加熱し、成形体中のバインダーを除去するバインダー除去工程で実質的に酸化分解されないものが使用される。具体的には、かかる炭素材料としては、空気中での460℃の加熱処理にて酸化分解を開始しない結晶構造を有する炭素が好ましく、例えばグラファイト、あるいはカーボンブラックのうち空気中での460℃の加熱処理にて酸化分解を開始しない結晶構造を有するカーボンブラックが好ましい。
【0019】
前記バインダー除去工程で空気中450℃未満、例えば380℃〜450℃未満の加熱処理温度で酸化分解を開始する炭素を使用すると、バインダー除去後の成形体中に炭素量のばらつきを生じ、均一な窒化アルミニウム結晶粒子の成長を抑制した焼結体が得られ難いばかりでなく、成形体中の焼結性にばらつきが生じ、焼結時に焼結体に大きな反り、変形が発生するので好ましくない。また、炭素粉末の粒径が大きくなりすぎると焼結体中に気孔として残存し、強度低下を生じる恐れがあるので好ましくない。炭素粉末の最大粒子径は10μmが好ましく5μm以下がより好ましい。
【0020】
酸化イットリウムは、非酸化性雰囲気中での焼結過程において窒化アルミニウム原料粉末の表面の酸化層と協働して液相を形成し、窒化アルミニウム焼結体の緻密化を促進する役割を果たす。酸化イットリウムの含有量が0.6重量%より少ないと緻密な焼結体が得られず、5重量%より多いと焼結体表面への液相のしみ出しが増え強度低下を生じ、また強度のばらつきが増加する。
【0021】
酸化バナジウムは、焼結性を促進し焼結体中の焼結性のばらつきを抑制する役割を果たす。その含有量がバナジウム換算で0.02重量%より少ないとその効果が不足し焼結時の変形を抑制できず強度のばらつきを生じやすく、0.4重量%より多いと、窒化アルミニウム結晶粒子が成長しすぎ、強度の低下を生じる。
かかる酸化バナジウムとしては、V2O3、V2O4、V2O5が挙げられる。
【0022】
本発明の窒化アルミニウム焼結体においては、必要に応じ、0.1%以下のその他の成分を含んでもよい。
【0023】
本発明で用いる窒化アルミニウム原料粉末は、いかなる方法により調整されたものでもよいが、その平均粒径は2μm以下のものが好ましい。平均粒径が2μmを超えると、窒化アルミニウム焼結体中の窒化アルミニウム結晶粒子が大きくなりすぎ強度低下を生じやすいので好ましくない。
【0024】
また、窒化アルミニウム原料粉末の含有酸素量が多くなりすぎると、含有酸素を除去するための反応時間が長くなり、経済性を損なう。この含有酸素量は、2重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましい。
【0025】
バインダーは、空気中で加熱することにより酸化分解し成形体から除去される。窒化アルミニウムの酸化開始温度は約460℃であるため、バインダーとしては、これより低い温度で加熱することにより酸化分解するものが使用される。具体的には、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの樹脂に分散剤、可塑材、溶剤を添加し混合したものが使用される。バインダーの含有量は、成形体への成形作業が容易で、かつ、バインダー除去工程にてバインダー除去が容易な範囲で適宜選択される。
【0026】
窒化アルミニウム原料粉末、酸化イットリウム及び酸化バナジウムを上記割合で含有する組成物に、炭素材料、バインダーを配合し、これを板状等の所定形状の成形体に成形する。この成形法としてはプレス成形やドクターブレード法等が採用される。
【0027】
この成形体を空気中で加熱し、成形体中のバインダーを除去する。この温度は上述のように460℃より低い温度であり、さらに生産性を考慮すると400〜460℃の範囲が好ましい。この焼成時間としては、成形体の肉厚、バインダー量等により変わり、肉厚1mm程度の成形体の場合60分間程度である。
【0028】
次に、バインダーを除去した成形体を非酸化性雰囲気中で1700℃〜焼結温度まで1〜5時間かけて昇温した後、焼結温度に1〜5時間保持して焼結する。この焼結温度は1900〜2000℃の範囲である。非酸化性雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、真空雰囲気等が使用できる。焼結温度は、1900℃より低いと緻密な焼結体が得られず、2000℃より高いと窒化アルミニウム結晶粒子の成長が進み、平均粒径5μm以下の窒化アルミニウム結晶粒子が得られにくいのでいずれも好ましくない。
【0029】
かくして、得られる窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径が5μm以下の微細組織を持ち、熱伝導率が150W/m・K以上、抗折強度が45kg/mm2以上の高熱伝導率・高強度を有し、半導体パワーモジュールの基板として特に優れる。
【0030】
【実施例】
例1〜8直接窒化法により製造された平均粒径1.5μmで含有酸素量が1.2重量%の窒化アルミニウム原料粉末を用い、平均粒径0.3μmの酸化イットリウム2.2重量%と、三酸化バナジウムをバナジウム換算で0.07重量%と、残部窒化アルミニウム原料粉末とからなる組成物を得た。この組成物に平均粒径1μm(比表面積3m2/g)の炭素材料としてグラファイト粉末を配合した。グラファイト粉末の含有量は表1のC/O欄に、窒化アルミニウム原料粉末の含有酸素量に対する倍率(重量)で示した。同表において、例1〜4は実施例、例5〜8は比較例である。
【0031】
【表1】
【0032】
次いで、このグラファイト粉末を配合したもの100重量部に対して、分散剤2重量部、ポリビニールブチラール10重量部、可塑材としてジブチルフタレート5重量部及びトルエン等の有機溶剤とからなるバインダーを配合し、スラリーを作成した。次いで、このスラリーをドクターブレード法によりグリーンシートに成形し、得られたグリーンシートを所定の形状に打ち抜き、板状成形体を作成した。
【0033】
一方、平均粒径0.8μmの窒化ホウ素粉末をアセトンに懸濁させ、その懸濁液をスプレー法により上記成形体の両面に塗付した。塗布量は0.5mg/cm2とした。次いで、窒化ホウ素製容器上に前記窒化ホウ素粉末を塗布した成形体を10枚積み重ねた。
【0034】
これを、空気中にて440℃で3時間加熱しバインダーを除去した。次いで、これを窒化ホウ素製容器に収容し、密閉状態として窒素雰囲気中にて1700℃から1950℃までを3時間かけて昇温後、引き続き1950℃で3時間保持して焼結させ、50mm角、厚み0.635mmの焼結体を得た。
【0035】
得られた焼結体を10mm幅の短冊に切り出し、50mm×10mm×0.635mmの試験片とした。この試験片10個について、スパン30mmの抗折強度を測定し、その平均値を抗折強度とした。その結果を表1の抗折強度の欄に示した(単位;kg/mm2)。
【0036】
また、この焼結体について、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径、最大粒径を測定し、同表の平均粒径、最大粒径の欄に示した(単位;いずれもμm)。
【0037】
さらに、この焼結体の熱伝導率について、レーザーフラッシュ法の2次元法にて測定し、その結果を同表の熱伝導率の欄に示した(単位;W/m・K)。
【0038】
一方、この焼結体の反りについても測定した。焼結体の反りについては、短冊の端辺方向に沿い、レーザー計測機でうねりのプロファイルを読み取り、その山と谷の幅を読み取り、この値が50μmより小さい場合を○、50μm以上の場合は×とし、同表の反りの欄に示した。
【0039】
なお、これらの焼結体中のイットリウム化合物、バナジウム化合物の含有量を測定した結果、前者は酸化イットリウム換算で2.2重量%、後者はバナジウム換算で0.07重量%であり、組成物における含有量と同じであった。
【0040】
また、焼結する上記組成物中のグラファイト粉末の添加量および焼結体中に残存する炭素量を表1に示す。
【0041】
同表より明らかなように例1〜4の焼結体については、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径は4.0μm以下であり、抗折強度が50kg/mm2以上で、熱伝導率が150W/m・K以上であり、反りはすべて小さかった。一方、例5〜8については抗折強度、熱伝導率とも実施例に比べ小さかった。
【0042】
例9〜12
例1〜4と同一組成、同一工程にて焼成条件のみを変更した。すなわち、1700〜1950℃の間の昇温に5時間をかけ昇温した後、1950℃にて5時間保持し焼結体を得た。この焼結体について例1〜4と同様の測定を行い、その結果を表2に示す。それらの単位は、表1に記載のものと同じである。また、これらの焼結体中のイットリウム化合物、バナジウム化合物の含有量を測定した結果、組成物における含有量と同じであった。また、焼結する上記組成物中のグラファイト粉末の添加量および焼結体中に残存する炭素量を表2に示す
【0043】
【表2】
【0044】
同表のようにこの焼結体は抗折強度45kg/mm2以上、熱伝導率200W/m・K以上であった。
【0045】
例13〜22
例1に記載する方法に従い組成物中の酸化イットリウム及び酸化バナジウムの含有量のみを変えて焼結体を作成し、それについて例1と同様の測定を行い、その結果を表3に示す。同表において、例13〜18は実施例であり、例19〜22は比較例である。組成物中の酸化イットリウムの含有量を表3のY2O3欄に、酸化バナジウムのバナジウム換算した含有量を表3のV2O3欄にそれぞれ示した。なお、焼結する上記組成物中へのグラファイト粉末の添加量は0.8wt%とした。抗折強度、粒径、熱伝導率の単位は表1記載のものと同じである。なお、グラファイトの含有量は、窒化アルミニウムの含有酸素量に対し重量で0.7倍であった。また、焼結体のイットリウム化合物及びバナジウム化合物の含有量は、組成物中のものと同じであった。また、焼結体中に残存する炭素量は0.06wt%あった。
【0046】
【表3】
【0047】
例23〜27
直接窒化法により製造された平均粒径2.0μmで含有酸素量が1.5重量%、Si不純物が5000ppm、Fe不純物が3000ppm、その他の不純物が100ppm以下の窒化アルミニウム原料粉末、平均粒径0.3μm、最大粒径1μmの酸化イットリウム、酸化バナジウムからなる組成物に平均粒径0.02μm、比表面積92m2/g、酸化分解開始温度460℃のカーボンブラックを配合した。
【0048】
次いで、この配合物100重量部に熱分解完了温度が400℃以下のブチラール樹脂10重量部を含有し、有機溶剤中でボールミルにより混合してスラリーを得た。組成物中の酸化イットリウムの含有量が2.2重量%、酸化バナジウムの含有量がバナジウム換算で0.07重量%であり、カーボンブラックの含有量が、窒化アルミニウム粉末の含有酸素量に対する倍率(重量)で表5のC/Oの欄に示した。
【0049】
次いで、得られたスラリーを、真空脱泡、粘度調整し、ドクターブレード法にてシートに成形した。シートより所定寸法に打ち抜き、空気中にて440℃で加熱した後、窒素雰囲気中で1700〜1950℃の昇温を3時間かけて行い、引き続き1950℃で3時間保持して焼結し、50mm角、厚み0.65mmの窒化アルミニウム焼結体を得た。焼結体のイットリウム化合物及びバナジウム化合物の含有量は、組成物中のものと同じであった。得られた焼結体のイットリウム化合物及びバナジウム化合物の含有量は、組成物中のものと同じであった。また、得られた焼結体について例1と同じ項目について測定を行った結果を表4に示す。同表において例23〜25は実施例であり、26〜27は比較例である。焼結体の抗折強度、平均粒径、最大粒径、熱伝導率の単位は表1のものと同一である。
【0050】
【表4】
【0051】
例28
例3に記載する組成及び方法に従い、炭素のみを酸化分解開始温度が380℃で平均粒径0.08μm、比表面積30m2/gの非晶質カーボンを使用し焼結体を作成した。得られた焼結体について前記記載の方法により測定したところ、抗折強度が38kg/mm2、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径が6.1μm、熱伝導率が151W/m・Kであった。バインダー除去後に成形体中の炭素含有量を分析したところ、平均0.4重量%で調合時に添加した0.8重量%に対し半減していた。また、1枚の成形体中の中央部と周辺部の炭素量を分析したところ、最大0.1重量%のばらつきがあった。また、焼結体の変形、反りが大きかった。なお、本例は比較例である。
【0052】
例29
量産設備を用いて、例3に記載の方法で焼結体100個作成し、それより50mm×10mm×0.635mmの短冊を100本切り出し、抗折強度を評価した。この結果、平均の抗折強度が54kg/mm2、ワイブル係数が14であった。なお、本例は、実施例である。
【0053】
上記した様に、本発明の請求項2〜5記載の製造方法により得られる窒化アルミニウム焼結体に残存する炭素量は、0.03〜0.10であり、電気絶縁特性および耐電圧特性においても何ら実用上影響のない範囲のものである。
【0054】
【発明の効果】
本発明により提供される窒化アルミニウム焼結体の製造方法を用いることにより、量産性及び経済性にも優れた高強度高熱伝導率焼結体を容易に得ることが可能となり工業的価値は大である。また同製造方法により得られる焼結体は、銅張窒化アルミニウム基板等の信頼性向上に寄与できる。
Claims (3)
- 酸化イットリウム0.6〜5重量%と、酸化バナジウムをバナジウム換算で0.02〜0.4重量%と、残部窒化アルミニウム原料粉末とからなる組成物に炭素材料及びバインダーを配合した配合物を所定形状の成形体に成形し、次いで空気中で加熱して成形体中のバインダーを除去し、次いでバインダーを除去した成形体を非酸化性雰囲気中で焼結する窒化アルミニウム焼結体の製造方法であって、
前記窒化アルミニウム原料粉末の平均粒径が2μm以下であり、
前記炭素材料が、グラファイト、又は、空気中での460℃の加熱処理にて酸化分解を開始しない結晶構造を有するカーボンブラックであり、
前記炭素材料の前記配合物中における含有量が、重量で窒化アルミニウム原料粉末の含有酸素量の0.5〜0.8倍であり、
前記バインダーを除去した成形体を非酸化雰囲気中で1700℃〜焼結温度まで1〜5時間保持して昇温した後、1900℃〜2000℃の焼結温度に1〜5時間保持して、炭素を0.03〜0.10重量%を含む窒化アルミニウム焼結体を得ることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。 - 窒化アルミニウム原料粉末の含有酸素量が2重量%以下である請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 得られる窒化アルミニウム焼結体は、全体量に対しイットリウム化合物を酸化イットリウム換算で0.6〜5重量%、バナジウム化合物をバナジウム換算で0.02〜0.4重量%、炭素を0.03〜0.10重量%を含み、窒化アルミニウムの結晶粒子の平均粒径が5μm以下であり、3点曲げ抗折強度が45kg/mm2以上、熱伝導率が150W/m・K以上である、請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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