JP4753048B2 - 重ね合わせワークのレーザ溶接方法 - Google Patents
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Description
また、一方のワーク1表面のレーザ照射径Aは、溶接開始端部、溶接開始端部から溶接終端部に至る途中及び溶接終端部を通じて略同じであり、レーザエネルギーの効率を良くするために、レーザ4のエネルギー密度が最大となる最も小さい集光径(フォーカス状態)に設定されており、レーザ4による貫通能力を最大としている。
しかしながら、溶接終端部では、前方からキーホール20内に十分に材料が供給されないために、キーホール20内を完全に埋めるだけの材料が不足し、溶融した材料が周囲よりも冷えて凝固しつつ収縮していくと、その中央部分に凹部5が形成されたり、貫通孔が形成されることになる。
これにより、溶接終端部においてワーク表面に形成される凹部の深さを従来よりも大幅に浅くすることができる。
なお、本発明の重ね合わせワークのレーザ溶接方法の各種態様およびそれらの作用については、以下の(発明の態様)の項において詳しく説明する。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等に参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当する。
従って、(1)項の重ね合わせワークのレーザ溶接方法では、ワーク表面のレーザ照射径を、溶接終端部のレーザ照射径が溶接開始端部のレーザ照射径より大きくなるように溶接終端部でのレーザ照射をデフォーカス状態にしているので、該溶接終端部では従来よりも広い範囲の材料が溶融され、その溶融した材料が、溶接終端部が凝固する際に溶接終端部の中央部に供給されるために、溶接終端部においてワーク表面に形成される凹部の深さを従来よりも浅くすることができる。
また、溶接開始端部から溶接終端部に至る途中のレーザ照射径を、溶接開始端部のレーザ照射径と略同じに設定することにより、溶接開始端部から溶接終端部に至る途中でのレーザエネルギーを低下させずに、その貫通能力を高く維持して、各ワークの接合強度を低下させないようにしている。
さらに、溶接終端部のレーザ照射径を溶接開始端部のレーザ照射径の1.5倍以上に設定するので、溶接終端部においてワーク表面に形成される凹部の深さを、各ワークの溶接品質を保証できるレベルまで浅くすることができる。
(3)前記レーザ照射径は、レーザヘッド内のレーザ集光ユニットのワーク表面からの距離を変化させることで適宜設定されることを特徴とする(1)項または(2)項に記載の重ね合わせワークのレーザ溶接方法。
従って、(2)項及び(3)項の重ね合わせワークのレーザ溶接方法では、溶接終端部のレーザ照射径を溶接開始端部のレーザ照射径よりも大きくして、溶接終端部でのレーザ照射をデフォーカス状態にする手段としては、レーザヘッドとワーク表面との距離を変化させる第1の手段、またはレーザヘッド内のレーザ集光ユニットとワーク表面との距離を変化させる第2の手段のいずれかの手段が適宜選択されて採用される。
従って、(4)項の重ね合わせワークのレーザ溶接方法では、板状のワークが2枚または3枚重ね合わされてレーザ溶接される際、一端に位置するワーク表面の溶接終端部における凹部の深さを浅くすることができる。
本発明の実施の形態に係る重ね合わせワークのレーザ溶接方法は、図1に示すように、板状のワーク1、2を2枚重ね合わせて、一方のワーク1表面へ略円形状のレーザ4を照射することにより各ワーク1、2を溶接するもので、ワーク1表面に照射されるレーザ照射径を、溶接終端部のレーザ照射径Bが溶接開始端部のレーザ照射径Aよりも大きくなるように設定している。
なお、本重ね合わせワークのレーザ溶接方法は、板状のワーク1、2が2枚重ね合わされて溶接される形態に採用されているが、板状のワークが3枚重ね合わされて溶接される形態にも採用することができる。
図1に示すように、2枚重ね合わされた板状のワーク1、2の内、一方のワーク1の上方にレーザヘッド3が配置されており、該レーザヘッド3は図示しない多関節ロボットのアーム部に把持され、各ワーク1、2に対して相対的に直線状に移動できる構成になっている。
なお、本実施の形態では、溶接される2枚の板状のワーク1、2は、その材料が自動車のボディ等に使用される鋼板であり、それぞれの板厚が0.6mm〜3mmの範囲内のものである。また、レーザ出力は、2kW〜6kWの範囲内で設定され、そのレーザヘッド3の移動速度(溶接速度)は、各ワーク1、2の板厚等に依存されるが、レーザ出力が2kW、溶接開始端部におけるワーク1表面のレーザ照射径Aが0.6mm及び各ワーク1、2の板厚がそれぞれ0.7mmの場合には、2m/minに設定される。
そして、発光源11からのレーザ4がレーザ集光ユニット9を通過することで、レーザヘッド3からのレーザ4は略円形状でその照射径が一方のワーク1表面に向かって次第に絞られるように照射される。このように、レーザヘッド3からワーク1表面に向かってレーザ4を照射しながら、レーザヘッド3が溶接開始端部から溶接終端部まで直線的に移動して各ワーク1、2を溶接する。
また、溶接開始端部から溶接終端部に至る途中のワーク1表面のレーザ照射径は、溶接開始端部のレーザ照射径Aと略同じに設定される。
さらに、溶接終端部では、レーザヘッド3からのワーク1表面のレーザ照射をデフォーカス状態にする。すなわち、本実施の形態では、レーザヘッド3をワーク1表面から遠ざけることでワーク1表面のレーザ照射をデフォーカス状態にして、溶接終端部のレーザ照射径Bを0.9mmに設定している。本実施の形態では、溶接終端部のレーザ照射径Bを溶接開始端部のレーザ照射径Aの1.5倍以上に設定するようにしている。
第1の手段は、本実施の形態で採用された図3に示すように、レーザヘッド3を上下動させて、レーザヘッド3と一方のワーク1表面との距離を変化させる手段である。
すなわち、この第2の手段は、レーザヘッド3内のレーザ集光ユニット9として構成される凸レンズ対8、8が枠体14により一体化され、該枠体14の一端部が上下方向に延びるリニアガイド12によりガイドされると共に、枠体14の他端部がサーボモータ13の軸部に連結されたボールネジ15に螺合されている。そして、サーボモータ13を駆動させることにより、凸レンズ対8、8を一体化した枠体14を、レーザヘッド3内で上下動させることで、一方のワーク1表面との距離を変化させている。
よれば、2枚重ね合わされたワーク1、2の内、一方のワーク1表面に照射されるレーザ照射径を、溶接終端部のレーザ照射径Bが溶接開始端部のレーザ照射径Aの1.5倍以上になるように設定しているので、ワーク1表面における溶接終端部では、従来よりも広い範囲の材料が溶融されることにより、その溶融した材料が、溶接終端部が凝固する際に溶接終端部の中央部分に供給されるために、溶接終端部の凹部5の深さを各ワーク1、2の溶接品質を保証できるレベルまで浅くすることができる。
しかも、本重ね合わせワークのレーザ溶接方法は、新規の設備を必要とせずに既存の設備を使用して具現化できるために設備投資に係る費用を必要としない。
Claims (1)
- 重ね合わせワークのレーザ溶接方法であって、
前記ワークは板状であり、該ワーク表面に照射するレーザ照射径を、溶接終端部のレーザ照射径が溶接開始端部のレーザ照射径よりも大きくなるように設定すると共に、溶接終端部におけるワーク表面の溶融範囲を溶接開始端部よりも広範囲として、
溶接開始端部から溶接終端部に至る途中のレーザ照射径を、溶接開始端部におけるレーザ照射径と略同じに設定して、
さらに、溶接終端部のレーザ照射径を、溶接開始端部のレーザ照射径の1.5倍以上に設定することを特徴とする重ね合わせワークのレーザ溶接方法。
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