JP4749252B2 - 駆動軸を備える船舶推進機 - Google Patents
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Description
請求項2記載の発明は、請求項1記載の船舶推進機において、前記オイルポンプのポンプ軸は、前記第1駆動軸の下端に連結されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の船舶推進機において、前記第1駆動軸には、前記オイルポンプから吐出されたオイルを前記潤滑箇所に導く油路が設けられることを特徴とする。
また、オイルポンプは、ギヤケース内で中間ギヤ機構よりも下方に油面を形成するオイルを吸入するので、オイルポンプによるオイルの攪拌抵抗が減少し、駆動軸の動力損失が減少する。
請求項2記載の発明によれば、ギヤケースをいっそう小型化することができる。
請求項3記載の事項によれば、オイルポンプからのオイルを潤滑箇所に導く油路がオイルポンプを駆動する第1駆動軸を利用して設けられるので、ギヤケースに該油路を設ける必要がなく、ギヤケースが小型化される。
図1を参照すると、本発明が適用された船舶推進機としての船外機Sは、推進機本体と、該推進機本体を船体Tに取り付けるための取付装置19とを備える。前記推進機本体は、エンジンとしての内燃機関Eおよび該内燃機関Eにより駆動されて推力を発生するプロペラ18を有する推進ユニットのほかに、後述するオイルパン11、ケース12,13およびカバー14,15を備える。
ここで、駆動軸31,32、前後進切換装置16、推進軸17およびプロペラ18は前記推進ユニットを構成する。
水ポンプ90が設けられる第1駆動軸31は、水と接触するために、耐食性に優れた材料、例えばステンレス鋼により形成される。一方、第2駆動軸32は、後述するようにオイル内およびオイル雰囲気内に配置されるため、第1駆動軸31の形成材料に比べて耐食性に劣るものの低価格の鉄系材料(例えば、SCM415などを含む機械構造用炭素鋼)により形成され得るので、コスト削減に寄与する。
連結機構としての中間ギヤ機構33は、第1駆動軸31にスプライン結合されて設けられる駆動ギヤ34と、駆動ギヤ34と噛合すると共に第2駆動軸32にスプライン結合されて設けられる被動ギヤ35とから構成される。
ローラ軸受からなる上側軸受36は、ボス部34aの延長部を介して下側部分31cと、支柱部22の上端部22aに結合される軸受ホルダ41を介して支柱部22とに、駆動ギヤ34の歯部34bの直上にて保持される。テーパローラ軸受からなる下側軸受37は、ボス部34aの延長部を介して下側部分31cと、支柱部22とに、歯部34bの直下にて保持される。
複列の外向きテーパローラ軸受からなる上側軸受38は、上方および下方のアキシアル荷重を受ける複列軸受であり、被動ギヤ35から上方に突出する上端部32aと、上端部22aに結合される軸受ホルダ42を介して支柱部22とに、ボス部35aの直上にて保持される。ニードル軸受からなる下側軸受39は、第2駆動軸32と支柱部22とに、下端部32bの直上にて保持される。
上側軸受38は、第2駆動軸32において上下方向で駆動ギヤ34のボス部34aおよび歯部34bと重なる位置にあり、しかも上下方向で被動ギヤ35の円筒状の歯部35bと重なる位置にあって、径方向で上端部32aと歯部35bとにより形成されて歯部35bにより囲まれる円筒状空間43内に配置される。下側軸受39は、第2駆動軸32において入力ギヤ51が設けられる下端部32bまでの範囲に位置する。
第2駆動軸32からの動力が入力される出力ギヤ機構50は、オイルで満たされた密閉空間であるギヤ室20に配置される。出力ギヤ機構50は、下端部32bで第2駆動軸32に結合される入力ギヤ51と、推進軸17の前半部17aに回転可能に支持されると共に前後方向でクラッチ機構54を挟んで配置される1対の出力ギヤである前進ギヤ52および後進ギヤ53とから構成されるベベルギヤ機構である。この実施形態では、出力ギヤ機構50はスタンダードローテーション仕様となる構造になっている。すなわち、入力ギヤ51の回転中心線でもある回転中心線L2(前記入力部(すなわち下端部32b)の入力回転中心線でもある。)の前後方向での位置に対して、後方に、1対の軸受46,47を介して収容部21および前半部17aに支持される前進ギヤ52が配置され、前方に、1対の軸受48,49を介して収容部21および前半部17aに支持される後進ギヤ53が配置される。
シフトロッド61の操作に応動して回転中心線L3の方向Aに移動するシフタ55には、回転中心線方向Aに一体移動可能にかつ回転可能に作動ロッド62に連結される連結部55aと、クラッチ機構54の中立位置、前進位置および後進位置を設定する位置決め機構としてのディテント機構55bとが設けられる。連結ピン57は、前半部17aに回転中心線L3に平行に形成された1対の長孔59を貫通し、その両端部でクラッチ素子56に連結される。前半部17aにスプライン結合されて回転中心線方向Aに移動可能なクラッチ素子56には、いわゆるドッグクラッチであり、その両端部には、それぞれ、前進ギヤ52の爪からなる係合部52aおよび後進ギヤ53の爪からなる係合部53bにそれぞれ択一的に係合可能な爪からなる前進側係合部56aおよび後進側係合部56bが設けられる。
収容孔69に収容されてギヤケース13内に配置されるシフトロッド61は、第1駆動軸31よりも前方において支柱部22内で上下方向に延びて収容部21に達し、その下端部61bがギヤ室20内に位置する。最下部61b1が収容部21に摺動可能に嵌合して回転可能に支持される下端部61bにはピニオン63aが設けられる。
作動ロッド62は、前端部62aにて収容部21の前端21c付近に摺動可能に嵌合して回転中心線方向Aに移動可能に支持され、後端部62bにて連結部55aでシフタ55に連結される。作動ロッド62には、前端部62aおよび後端部62bの間の中間部に、推進軸17に平行に設けられてピニオン63aに噛合するラック63bが設けられる。ラック63bは、ピニオン63aが上下方向に貫通する長孔62eを形成する枠部62dにおいて、左右方向での一側の内側に設けられる。
そして、係合機構63は、駆動側係合部としてのピニオン63aと、該ピニオン63aと係合する被動側係合部としてのラック63bにより構成される。
ここで、「ほぼ全体」とは、先細部21aの全体または円筒部21bの全体において、局所的な凹凸を除くことを意味する。また、収容部21と支柱部22およびスケグ23との接続部(または形状移行部)は、先細部21aおよび円筒部21bには含まれないものとする。
ここで、横断面とは、前後方向(または直進航走時の水流の方向)に直交する平面での断面である。また、横断面積とは、横断面での断面積である。
ここで、先細比とは、半径eが最大になる位置(この実施形態では回転中心線L2の位置)と前端21cとの前後方向での間隔f1と最大半径e1との比(すなわちf1/e1)である。
図5を参照すると、先細部21aの形状は、前後方向における前端21c、第1,第2駆動軸31,32およびシフトロッド61の位置と、それら位置での半径とを使用して、以下のように規定される。
前端21cと回転中心線L4との間隔f2は、20%≦R2≦45%の範囲の値を有し、好適にはR2=34%前後の値を有する。また、回転中心線L4の位置での半径e2は、58%≦R5≦69%の範囲の値を有し、好適にはR5=63%の値を有する。
前端21cと回転中心線L1との間隔f3は、60%≦R3≦80%の範囲の値を有し、好適にはR3=68%前後の値を有する(なお、このときの前後方向での回転中心線L1と回転中心線L2との間隔f4はR4=36%前後の値を有する。)。また、回転中心線L1の位置での半径e3は、89%≦R6≦97%の範囲の値を有し、好適にはR6=93%の値を有する。
ここで、R2=f2/f1
R3=f3/f1
R4=f4/f1
R5=e2/e1
R6=e3/e1
一方、円筒部21bにおいては、前後方向での任意の位置で、回転中心線L3からの円筒部21bの外面26(図1参照)までの距離はほぼ最大半径e0に等しく、外面26の横断面での形状は円弧状である。
また、先細部21aにおいて、前後方向で、第1駆動軸31の回転中心線L1と前端21cとの間での半径eの減少率は、図5によく示されるように、第2駆動軸32の回転中心線L2と回転中心線L1との間での半径eの減少率よりも大きい。
さらに、前後方向での前端21cとシフトロッド61の回転中心線L4との間隔f2は、前後方向での回転中心線L4の位置における先細部21aの左右方向での外径d2(半径e2の2倍)以上であり、半径e2の2.5倍以下である。
また、図2を参照すると、ギヤケース13は、シフトロッド61を中心に左右に揺動して船舶の舵取を行うため、シフトロッド61の回転中心線L4からギヤケース13の前端21c,22cまでは、前方のオーバハングとなり、この部分の形状が高速航走性と転舵時の応答性などに反映される。そこで、このギヤケース13においては、支柱部22におけるオーバハング、すなわちアンチキャビテーションプレート24よりもやや下方において、前後方向での回転中心線L4と前端22cとの間隔f5を基準としたとき、先細部21aにおけるオーバハング、すなわち回転中心線L4と前端21cとの間隔f2を、1〜2倍前後の範囲に設定される。そして、間隔f5に対する間隔f2が等倍であるときは前端22cから前端21cまでをほぼ直線でつなぎ、それ以上であれば連続する曲線でつなぐことにより、前端21c,22cの形状が設定されている。
該潤滑系統は、第1駆動軸31により駆動されるオイルポンプ70と、第2のオイルポンプとしてのねじポンプ71と、油路群とから構成される。トロコイドポンプから構成されるオイルポンプ70は、支柱部22内において上下方向で出力ギヤ機構50と中間ギヤ機構33との間であって、上下方向でねじポンプ71と重なる位置に配置される。
オイルポンプ70は、支柱部22内に固定されるポンプボディ72と、ポンプボディ72に下方に開放して形成された凹部に収容されるポンプロータを構成するインナロータ74aおよびアウタロータ74bと、支柱部22の段部22dに載置されると共に両ロータ74a,74bを下方から覆うポンプカバー73と、第1駆動軸31の下端部に連結されて設けられると共にインナロータ74aに結合されるポンプ軸75とを備える。ポンプカバー73は、該ポンプカバー73に重合されるポンプボディ72と共にボルト79により段部22dに取り付けられる。ポンプカバー73およびポンプボディ72には、それぞれ吸入ポート76および吐出ポート77が設けられる。
そして、水取入口98は、第1駆動軸31の下端部31bが上下方向で第2駆動軸32のほぼ中央部に相当する位置にあることにより、第1駆動軸31よりも後方に位置する第2駆動軸32の前方に、かつ上下方向での第1駆動軸31と出力ギヤ機構50との間に形成されるスペースを利用して設けられる。また、水取入口98の上端部98cは、下端部31bよりも下方に位置し、水取入口98の下端部98dの少なくとも一部は、出力ギヤ機構50の後進ギヤ52の前方、したがって入力ギヤ51および前進ギヤ53の前方において、上下方向で入力ギヤ51と重なる位置に設けられる。
水取入口98の前後方向での幅は、その上下方向の幅とほぼ等しいか、それよりも大きい。そして、水取入口98は、前後方向で第1駆動軸31の回転中心線L1の位置から、前方に向かって、オフセット量δに等しい距離にその前端部98aを有し、軸受36,37よりも後方にその後端部98bを有する。
しかも、オイルポンプ70は、第2駆動軸32よりも回転速度が大きい第1駆動軸31により駆動されるので、所要のオイル吐出量を確保するうえでオイルポンプ70を小型化することができ、ギヤケース13を小型化することができる。
オイルポンプ70は、中間ギヤ機構33よりも下方に配置されて、ギヤケース13内で中間ギヤ機構33よりも下方に油面OLを形成するオイルを吸入することにより、オイルポンプ70によるオイルの攪拌抵抗が減少し、第1,第2駆動軸31,32の動力損失が減少する。
上側軸受38は、上方および下方のアキシアル荷重を受ける複列軸受であることにより、1つの上側軸受38で上下方向での両方向のアキシアル荷重を受けることができるので、第2駆動軸32が確実に支持される。
駆動軸31,32は、内燃機関Eに連結される第1駆動軸31と、第1駆動軸31に減速ギヤ機構である中間ギヤ機構33を介して連結されて第1駆動軸31の動力を出力ギヤ機構50に伝達する第2駆動軸32とから構成されることにより、第1駆動軸31の回転速度が中間ギヤ機構33により減速された後に、第2駆動軸32を通じて出力ギヤ機構50に伝達されるため、出力ギヤ機構50の減速比を小さくできるので、ギヤケース13の収容部21の小型化が可能になる。
水取入口98の下端部98dの少なくとも一部が、出力ギヤ機構50の後進ギヤ52の前方、したがって入力ギヤ51および前進ギヤ53の前方において、上下方向で入力ギヤ51と重なる位置に設けられることにより、後進ギヤ52の前方に形成されるスペースを利用して、所要の開口面積を有する水取入口98の下端部98dを上下方向で入力ギヤ51と重なる位置まで下げることにより、その分、水取入口98の上端部98cも下げることができるので、水取入口98が水面上に出にくくなって、水取入口98から空気が吸い込まれることが防止され、内燃機関Eの冷却性が向上する。
水ポンプ90は第1駆動軸31に設けられることにより、第2駆動軸32が第1駆動軸31よりも下方で出力ギヤ機構50に連結されるため、第1駆動軸31が出力ギヤ機構50に直接接続される場合に比べて、第1駆動軸50の軸長を短くできるので、水ポンプ90が設けられるために耐食性に優れた高価な材料が使用される第1駆動軸31が短軸化される分、そのコストが削減され、さらに第2駆動軸32には低価格の通常の鉄系材料を使用することができるので、船外機Sのコストが削減される。
前記実施形態では、出力ギヤ機構50はスタンダードローテーション仕様となる構造になっていたが、図7を参照して、カウンタローテーション仕様となる構造の出力ギヤ機構150について説明する。船体に1対の船外機が取り付けられる、いわゆる二機掛けの場合には、両方の船外機のプロペラの回転方向は互いに反対方向となるように設定される。このとき、一方の船外機の出力ギヤ機構はスタンダードローテーション仕様であり、他方の船外機の出力ギヤ機構はカウンタローテーション仕様である。
なお、出力ギヤ機構150では、該出力ギヤ機構150以外は、前記実施形態と基本的に同一の構成を有するものである。そのため、第1実施形態の部材と同一の部材または対応する部材については、必要に応じて同一の符号を使用した。
作動ロッド62は、切欠部62c(図5のa図参照)を通じて、図7(B)に示されるように、連結部55aに対して、スタンダードローテーション仕様の出力ギヤ機構50に対して左右反転位置で連結される。これにより、ピニオン63aに対して左右反転した位置にラック63bが配置される。
図7(A)において、シフトロッド61が回転してピニオン63aが時計方向に回転すると、ラック63b(作動ロッド62)が前方に移動して、シフタ55が前方に移動し、クラッチ機構54は前進位置を占め、シフトロッド61が反対方向に回転してピニオン63aが反時計方向に回転すると、ラック63b(作動ロッド62)が後方に移動して、シフタ55が後方に移動しクラッチ機構54は後進位置を占める。
このように、シフタ55に対する作動ロッド62の連結状態を変更することで、カウンタローテーション仕様の場合にも、シフトロッド61の前後進操作の方向を変更することなく、スタンダードローテーション仕様の場合と同様に船舶の前後進を制御することができる。
なお、ギヤケース13内の潤滑箇所である軸受36,37,38,39および中間ギヤ機構33に、オイルを供給する潤滑系統において、図7(A)に示されるように、ねじポンプ71(図2参照)を省略することができる。
内燃機関は、単気筒内燃機関、直列4気筒以外の直列多気筒内燃機関、または例えばV型6気筒などのV型内燃機関であってもよい。船舶推進機は船内外機であってもよい。
S…船外機、E…内燃機関。
Claims (3)
- 上下方向を指向して配置されると共にエンジン(E)により回転駆動される第1駆動軸(31)と、前記第1駆動軸(31)に減速ギヤ機構を構成する中間ギヤ機構(33)を介して連結される第2駆動軸(32)と、前記第2駆動軸(32)の動力が入力される出力ギヤ機構(50,150)と、前記出力ギヤ機構(50,150)から出力された動力により回転駆動される推進軸(17)と、前記出力ギヤ機構(50,150)が収容されるギヤケース(13)と、前記ギヤケース(13)内に配置されて前記ギヤケース(13)内の潤滑箇所にオイルを供給するオイルポンプ(70)とを備える船舶推進機において、
前記オイルポンプ(70)は前記第1駆動軸(31)により駆動され、
前記オイルポンプ(70)は、前記中間ギヤ機構(33)よりも下方に配置されて、前記ギヤケース(13)内で前記中間ギヤ機構(33)よりも下方に油面(S)を形成するオイルを吸入する
ことを特徴とする船舶推進機。 - 前記オイルポンプ(70)のポンプ軸(75)は、前記第1駆動軸(31)の下端に連結されていることを特徴とする請求項1記載の船舶推進機。
- 前記第1駆動軸(31)には、前記オイルポンプ(70)から吐出されたオイルを前記潤滑箇所に導く油路(81)が設けられることを特徴とする請求項1または2記載の船舶推進機。
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