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JP4747501B2 - ポリエチレン樹脂組成物および積層体 - Google Patents

ポリエチレン樹脂組成物および積層体 Download PDF

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JP4747501B2 JP2004070342A JP2004070342A JP4747501B2 JP 4747501 B2 JP4747501 B2 JP 4747501B2 JP 2004070342 A JP2004070342 A JP 2004070342A JP 2004070342 A JP2004070342 A JP 2004070342A JP 4747501 B2 JP4747501 B2 JP 4747501B2
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Description

本発明は、押出ラミネート加工に適したポリエチレン樹脂組成物およびこれを用いて得られる積層体に関するものである。さらに詳しくは、押出ラミネート成形時の発煙が少なく、冷却ロールの表面を汚しにくく、成膜性に優れるポリエチレン樹脂組成物およびこれを用いて得られる積層体に関するものである。
一般に、高圧ラジカル法によって製造される高圧法低密度ポリエチレンは押出ラミネート加工に際して優れた成膜性を示し、各種の樹脂フィルム、紙、アルミニウム箔等の基材フィルムへの押出ラミネート用途に好適に使用されているが、融点が100〜120℃程度であるため、耐熱性を要求される用途には不適であった。
一方、高密度ポリエチレンは高圧法低密度ポリエチレンに比べて結晶融点が高く、耐熱性に優れるものの、成膜性に劣るために押出ラミネート成形に用いるには不適であった。
そこで、耐熱性と成膜性を両立させるため、高圧法低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンを混合して用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、JIS K−7112により測定された密度が870〜935kg/mであるエチレン・α−オレフィン共重合体と、特定の高圧法低密度ポリエチレンの組成物を用いて低温で加工することにより、発煙、冷却ロール表面の汚染を抑制する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では押出ラミネート成形時の発煙が激しく作業環境が悪化するという問題があった。さらに、冷却ロール表面の汚れが激しく、成形加工を頻繁に中断してクリーニングを行う必要があり、生産性の低下を避けることができなかった。また、特許文献2に記載の方法で得られる材料は、耐熱性が劣り、離型紙、テープ等の用途に使用できなかった。このように、これまで提案された手法では、優れた成膜性、低発煙性、冷却ロール表面の汚染抑制、耐熱性の全てを満足することは不可能であった。
特開平6−322189号公報
特開平9−124856号公報
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、優れた成膜性を示すと共に、成形加工時の発煙、およびロール汚染を抑え、かつ、耐熱性に優れるポリエチレン樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のエチレン単独重合体、および/または、エチレン・α−オレフィン共重合体(以下、これらを直鎖状エチレン系重合体と略す。)に特定の高圧法低密度ポリエチレンを適量配合することにより、押出ラミネート成形において優れた成膜性を示すと共に、成形時の発煙やロールの汚染が少なく、さらに得られた製品の耐熱性が優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記の(a)〜(d)の要件を満たすエチレン単独重合体、および/または、α−オレフィンが2.5mol%以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)が20〜50重量%、および、下記(e)〜(g)を満たす高圧法低密度ポリエチレン(B)が80〜50重量%であり、下記(h)〜(j)を満たすことを特徴とするポリエチレン樹脂組成物に関するものである。
(a)JIS K6922−1(1998年)により測定されたメルトマスフローレートが2〜100g/10分、
(b)JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が936〜980kg/m
(c)ゲル浸透クロマトグラフィにより測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5未満、
(d)50℃におけるn−ヘプタン可溶分率が0.08重量%未満、
(e)JIS K6922−1(1998年)により測定されたメルトマスフローレートが0.1〜20g/10分、
(f)JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が910〜935kg/m
(g)ゲル浸透クロマトグラフィで測定されたz平均分子量が30万以上、
(h)JIS K6922−1(1998年)により測定されたメルトマスフローレートが1〜50g/10分、
(i)JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が929〜958kg/m
(j)流動の活性化エネルギーが23kJ/mol以上55kJ/mol以下
さらに、上記のポリエチレン樹脂組成物を押出ラミネート成形することによって得られる積層体に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられる直鎖状エチレン系重合体(A)は、JIS K6922−1(1998年)により測定されたメルトマスフローレート(以下、MFRと記す場合がある。)が2〜100g/10分の範囲であり、MFRが2g/10分未満では、押出機への負荷が大きくなるとともに、ドロ−ダウン性も悪化するため好ましくなく、100g/10分を超える場合は、得られるポリエチレン樹脂組成物の耳部の安定性が悪く、ネックインも大きくなり成膜安定性が悪くなるため好ましくない。
直鎖状エチレン系重合体(A)は、JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が936〜980kg/m、好ましくは945〜970kg/m、さらに好ましくは953〜968kg/mの範囲である。密度が980kg/mを超える場合は、直鎖状エチレン系重合体(A)の結晶が融解しにくく成形加工速度が低下し、生産性に劣り好ましくなく、密度が936kg/m未満では、得られるポリエチレン樹脂組成物の耐熱性が不充分であるため好ましくない。
さらに、直鎖状エチレン系重合体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で測定し、単分散ポリスチレンを用いてユニバーサルキャリブレーション法により校正した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5未満である。Mw/Mnが3.5以上になると押出成形時の発煙、冷却ロール表面の汚染が激しいため好ましくない。
機種 :ウォーターズ社製 150C型 ALC/GPC
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
流速 :1mL/min
温度 :140℃
測定濃度:30mg/30mL
注入量 :100μL
カラム :東ソー製 TSKgel GMH HR−H 3本
また、直鎖状エチレン系重合体(A)は、低分子量成分の割合が2.0重量%未満であることが、発煙、押出ラミネート成形時の冷却ロール表面の汚染が少ないという面で好ましい。なお、低分子量成分の割合は、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて測定した重量平均分子量(Mw)の4%未満であるピーク面積を、ピーク全体の面積で除し求めたものである。
さらに、直鎖状エチレン系重合体(A)は、50℃におけるn−ヘプタン可溶分率が0.08重量%未満であることが、押出ラミネート成形時の発煙、冷却ロール表面の汚染が抑制されるため好ましい。
該直鎖状エチレン系重合体(A)は、エチレン単独重合体、および/または、α−オレフィンが2.5mol%以下のエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とし、その中でもメタロセン化合物を触媒として製造されたものであることが好ましい。ただし、α−オレフィンの共重合量としては2.5mol%以下であり、2.5mol%を越えると、得られるポリエチレン樹脂組成物の耐熱性が劣るため好ましくない。なお、メタロセン触媒、および重合方法の詳細は以下の特許文献に記載されている方法を用いることができる。
特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開平3−163088号公報、特開昭61−296008号公報、特開昭63−22804号公報、特開昭58−19309号公報、特開昭63−61010号公報、特開昭63−152608号公報、特開昭63−264606号公報、特開昭63−280703号公報、特開昭64−6003号公報、特開平1−95110号公報、特開平3−62806号公報、特開平1−259004号公報、特開昭64−45406号公報、特開昭60−106808号公報、特開昭60−137911号公報、特開昭61−296008号公報、特公表昭63−501369号公報、特開昭61−221207号公報、特開平2−22307号公報、特開平2−173110号公報、特開平2−302410号公報、特開平1−129003号公報、特開平1−210404号公報、特開平3−66710号公報、特開平3−70710号公報、特開平1−207248号公報、特開昭63−222177号公報、特開昭63−222178号公報、特開昭63−222179号公報、特開平1−12407号公報、特開平1−301704号公報、特開平1−319489号公報、特開昭61−264010号公報、特開平1−275609号公報、特開昭63−251405号公報、特開昭64−74202号公報、特開平2−41303号公報、特開平3−56508号公報、特開平3−70708号公報、特開平3−70709号公報。
本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)は、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
高圧法低密度ポリエチレン(B)は、JIS K6922−1(1998年)により測定されたMFRが0.1〜20g/10分、好ましくは1〜15g/10分、さらに好ましくは1〜4g/10分の範囲である。MFRが20g/10分を超えると、得られるポリエチレン樹脂組成物を押出ラミネート加工に供した場合のネックインが大きくなるために好ましくなく、0.1g/10分未満の場合は、押出ラミネート成形に供した際の押出負荷が高くなり、また、押出ラミネート加工に供し得られた積層体の外観が悪化するため好ましくない。
さらに、高圧法低密度ポリエチレン(B)は、JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が910〜935kg/mの範囲であり、密度が935kg/mを超える場合は、得られるポリエチレン樹脂組成物の成膜安定性が悪化し好ましくなく、密度が910kg/m未満では、フィルムの自己粘着性が増してブロッキングが起こり好ましくない。
また、高圧法低密度ポリエチレン(B)は、ゲル浸透クロマトグラフィ−固有粘度連続測定において求められる、分子量10万の収縮因子が0.5以下であり、分子量100万の収縮因子が0.2以下であることが好ましく、これによって得られる樹脂組成物の成膜性は向上する。収縮因子(g’と呼ばれることもある)とは、分岐高分子の固有粘度と分岐高分子と同じ分子量を有する直鎖状高分子の固有粘度との比によって決定される分岐の程度を反映するパラメータであり、「志賀周二郎、高分子加工、48巻7号26ページ(1999年)」などに詳細が記されている。
高圧法低密度ポリエチレン(B)は、ゲル浸透クロマトグラフィにより測定されたz平均分子量が、直鎖状ポリエチレン換算で30万以上、好ましくは45万以上、さらに好ましくは60万以上であることを特徴とする。z平均分子量が30万未満であると、得られる樹脂組成物の成膜安定性が悪化し好ましくない。
さらに、高圧法低密度ポリエチレン(B)は、スウェル比が2.15以上であることが好ましい。2.15未満の場合は、加工の際のネックインが大きくなることがある。なお、スウェル比は以下の方法で求められる。
JIS K6922−1(1998年)で使用されるメルトインデクサーを用い、温度235℃、押出量3g/分の条件にて、装置に充填された樹脂をオリフィスより押し出す。オリフィス直下に設置したイソプロパノールを入れたメスシリンダーで冷却固化して得られるストランド径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D)で除した値、D/Dをスウェル比とする。
本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられる直鎖状エチレン系重合体(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)の配合比率は、重量比率で(A)/(B)が20/80〜50/50の範囲である。直鎖状エチレン系重合体(A)が50重量%を超えると、ネックインが大きく、得られるポリエチレン樹脂組成物の成膜性が劣るため好ましくなく、20重量%未満の場合、耐熱性が不足するため好ましくない。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、直鎖状エチレン系重合体(A)のペレットと、高圧法低密度ポリエチレン(B)のペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、押出機、ニ−ダ−、バンバリ−等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。
さらに、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、JIS K6922−1(1998年)により測定されたMFRが1〜50g/10分の範囲であり、MFRが50g/10分を超える場合は、得られるポリエチレン樹脂組成物の耳部の安定性が悪く、ネックインも大きくなり成膜安定性が悪くなるため好ましくなく、MFRが1g/10分未満では、押出機への負荷が大きくなるとともに、ドロ−ダウン性も悪化するため好ましくない。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が929〜958kg/m、好ましくは938〜958kg/m、さらに好ましくは943〜958kg/mの範囲であり、密度が958kg/mを超える場合には、結晶が融解しにくく、成形速度を低下させねばならないため生産性に劣り好ましくなく、密度が929kg/m未満であると、得られるポリエチレン樹脂組成物の耐熱性が不充分となるため好ましくない。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、流動の活性化エネルギーが23kJ/mol以上55kJ/mol以下の範囲であり、23kJ/mol未満では成膜性が劣り、55kJ/molを超えると耐熱性が劣るため好ましくない。流動の活性化エネルギーは動的粘弾性を異なる温度で測定し、シフトファクターがアレニウス型に従うことを仮定して求めることができる。求め方の詳細は、例えば、「講座レオロジー、p.91、日本レオロジー学会編、高分子刊行会(1992)。」に記されている。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、完全灰化した残分を誘導結合プラズマ発光分光分析装置で測定して求められるチタン、クロム、バナジウムの合計含有量が0.1ppm以下であることが押出ラミネート成形時の発煙、冷却ロール表面の汚染が少なくなるため好ましい。
また、本発明におけるポリエチレン樹脂組成物は、示差走査熱量計により測定された融点が126℃以上、好ましくは128℃以上であることを特徴とする。融点が126℃未満であると、得られるポリエチレン樹脂組成物の耐熱性が不充分となることがある。
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般的に用いられている添加剤を添加してもかまわない。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、シングルラミネート成形法、サンドウィッチラミネート成形法、共押出ラミネート成形法等の各種押出ラミネート成形法により、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、印刷紙に代表される紙基材等にラミネートし、積層体を得ることができる。例えば、押出ラミネート加工に供する際、基材との良好な接着性を得るため、本発明のポリエチレン樹脂組成物を250〜350℃の温度でダイより押し出すことが好ましい。またポリエチレン樹脂組成物からなる溶融フィルムの少なくとも基材と接する面は、空気もしくはオゾンガスにより酸化されていてもよい。また基材との接着性を高めるため、基材のポリエチレン樹脂組成物と接する面に対してアンカーコート剤処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。
このような積層体は耐熱性が要求される用途である、例えば、離型紙、紙カップ等の液体紙容器;紙テープ;布テープなどに好適に使用される。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、押出ラミネート成形における成膜性が良好であり、押出ラミネート成形時の発煙量、冷却ロール表面の汚れが抑制されると共に、十分な耐熱性を示す、優れたポリエチレン樹脂組成物である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
重合操作、反応および溶媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気下で行った。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。さらに、反応に用いた化合物は、公知の方法により合成、同定したものを用いた。
以下に、物性、加工性の評価方法を示す。
(1)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1998年)に準拠し、測定した。
(2)密度
JIS K6922−1(1998年)に準拠し、測定した。
(3)分子量分布
ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnを分子量分布として求めた。
機種 :ウォーターズ社製 150C型 ALC/GPC
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
流速 :1mL/min
温度 :140℃
測定濃度:30mg/30mL
注入量 :100μL
カラム :東ソー製 TSKgel GMH HR−H 3本
(4)低分子量成分の割合
分子量分布の測定と同じ条件で、ゲル浸透クロマトグラフィにより測定し、直鎖状ポリエチレン換算で重量平均分子量(Mw)を求め、このMwの4%未満であるピーク面積をピーク全体の面積で除し、低分子量成分の割合として求めた。
(5)n−ヘプタン可溶分率
試料2gを400mLのn−ヘプタン中へ入れ、50℃湯浴中に2時間置浸した後、濾過した。ろ液を濃縮、乾燥させたものの重量を秤量しn−ヘプタン可溶分を求め、試料の重量からn−ヘプタン可溶分率を計算した。
(6)収縮因子
ゲル浸透クロマトグラフィ−固有粘度連続測定により評価された、分岐高分子の固有粘度と、分岐高分子と同じ分子量の直鎖状高分子の固有粘度の比を収縮因子として求めた。直鎖状高分子として高密度ポリエチレンを用いた。測定条件は以下に示すとおりである。
機種 :東ソー製 HLC−8121GPC/HT
検出器 :Viscotech社製 R220
溶離液 :1,2,4−トリクロロベンゼン
(0.5mg/mL BHT添加)
流速 :1.0mL/min
温度 :145℃
測定濃度:2mg/mL
注入量 :300μL
カラム :東ソー製 TSKgel GMH HR−H 3本
(7)z平均分子量
分子量分布の測定と同じ条件で、ゲル浸透クロマトグラフィにより測定し、直鎖状ポリエチレン換算でz平均分子量を求めた。
(8)スウェル比
JIS K6922−1(1998年)で使用されるメルトインデクサーを用い、温度235℃、押出量3g/分の条件にて、装置に充填された樹脂をオリフィスより押し出した。オリフィス直下に設置したメスシリンダー中のイソプロパノールで冷却固化して得られるストランド径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D)で除した値、D/Dをスウェル比として求めた。
(9)流動の活性化エネルギー
動的粘弾性測定装置として、円錐−円板型レオメーター(レオメトリックス社製 ストレスレオメーター SR2000)を用いて145℃、160℃、190℃における動的剪断弾性率の周波数依存性を測定した。得られた値から、「講座レオロジー、p.91、日本レオロジー学会編、高分子刊行会(1992)。」に記載の方法で流動の活性化エネルギーを求めた。
(10)金属(チタン、クロム、バナジウム)の合計含有量
試料50gを白金皿に入れ、ガスバーナー、電気炉で完全灰化して得た灰分に、ホットプレート上で20%塩酸5mLを加え溶解し蒸発乾固させた後、20%塩酸2mLを加え溶解した。5C濾紙で濾過し、濾過残分と濾紙を白金皿に戻し灰化しその上に炭酸ナトリウム0.3g、四ホウ酸ナトリウム0.5gを加え950℃電気炉にて40分間燃焼させた。その後水に溶解し、20%塩酸4mLを加えた液を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP)(京都光研製、商品名 ICP−AES UOP−1 markII)にて測定し、チタン、クロム、バナジウム濃度を求めた。
(11)融点
パーキンエルマー(株)社製、示差走査熱量計DSC−7を用い、10mgの試料を10℃/分で室温から150℃まで昇温して得られた吸熱ピークが最大値を示す温度を融点として求めた。
(12)発煙
得られたポリエチレン樹脂組成物を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、320℃の温度でTダイよりスクリュー回転数60rpmで押し出し、クラフト紙上に、引き取り速度100m/分で30μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った際の発煙量を目視により評価した。この際、同条件でラミネート成形した高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン203)よりも発煙量が少ない場合を〇、多い場合を×、同等の場合を△とした。
(13)冷却ロール表面の汚染
得られたポリエチレン樹脂組成物を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、320℃の温度でTダイよりスクリュー回転数60rpmで押し出し、クラフト紙上に、引き取り速度100m/分で30μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行い、連続して1000m成形した際の冷却ロール表面の汚染を目視により評価した。この際、同条件でラミネート成形した高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン203)よりも冷却ロール表面の汚染が少ない場合を〇、多い場合を×、同等の場合を△とした。
直鎖状エチレン系重合体(A)は、以下に示す方法により合成した。合成の際、重合操作、反応および溶媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気下で行った。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。さらに、反応に用いた化合物は、公知の方法により、合成、同定したものを用いた。
合成例1(直鎖状エチレン系重合体(A1)の合成)
[固体触媒成分の合成]
攪拌装置を備えた10Lのオートクレーブに、シリカ(ダビソン948、200℃、5時間減圧焼成)212g、トルエン4Lおよび(p−N,N−ジメチルアミノフェニル)トリメトキシシラン80g(331mmol)を加え、110℃で16時間攪拌した。反応終了後、トルエンで4回洗浄した。得られたシラン化合物で修飾したシリカ中の炭素含量は4.2重量%であった。
5Lのフラスコに、このシラン化合物で修飾したシリカ187gを加え、ジエチルエーテル2Lに懸濁させ、塩化水素ガスを室温で30分間吹き込んだ後、ヘキサンにて洗浄し、減圧乾燥させた。これをさらに塩化メチレン2.4Lに懸濁させた後、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート24g(35mmol)の塩化メチレン(1.6L)溶液を加え、室温で3時間攪拌した。塩化メチレンで3回洗浄した後、真空乾燥し、固体触媒を得た。
[重合]
内容積370Lの重合器に、ヘキサンを100kg/時、エチレンを40kg/時、水素を90NL/時、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロライド(530μmol)/時、前記固体触媒を9.5g/時に相当する速度で連続的に供給した。加えて、液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を1mmol/kgとなるようにトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、重合温度は85℃に制御した。重合器で生成した直鎖状エチレン系重合体を含むスラリーは、フラッシュタンク、ポンプを経て、遠心分離器で直鎖状エチレン系重合体とヘキサンに分離し、直鎖状エチレン系重合体(A1)約160kgを得た。得られた直鎖状エチレン系重合体はエチレン単独重合体であり、そのMFRは32g/10分、密度は965kg/m、分子量分布(Mw/Mn)は3.0、n−ヘプタン可溶分率は0.04重量%及び低分子量割合は1.7重量%であった。
実施例1
直鎖状エチレン系重合体(A)として、合成例1で得たエチレン単独重合体(A1)を35重量%、高圧法低密度ポリエチレン(B)としてMFRが1.6g/10分、密度が919kg/m、z平均分子量83×10である高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン360)(B1)を65重量%配合し、二軸押出機にて180℃で溶融混練しペレットを得た。得られたペレットを用いて、MFR、密度、結晶融点、金属含有量を測定した。
さらに、得られたペレットを直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、300℃の温度でTダイよりスクリュー回転数60rpmで押し出し、クラフト紙上に引き取り速度100m/分で30μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行い、発煙性、冷却ロール汚染性を評価した。ポリエチレン樹脂組成物の特性および加工性評価の結果を表1に示す。
比較例1
高圧法低密度ポリエチレン(B)として、MFRが0.6g/10分、密度が922kg/m、z平均分子量24×10である高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン175K)(B2)を用いた以外は実施例1と同様の方法でエチレン単独重合体(A1)と溶融混合し、ペレットを得、各種物性測定を実施した。さらに、得られたペレットを実施例1と同様にして押出ラミネート成形を試みた。その結果を表1に示すが、成膜性に乏しく積層体を得ることができなかった。
比較例2
エチレン単独重合体(A1)のみを用いて、実施例1同様に押出ラミネート成形を試みた。その結果を表1に示すが、ネックインが大きく成膜性に乏しかったため、積層体を得ることができなかった。
比較例3
高圧法低密度ポリエチレン(B1)のみを用いて、実施例1同様に押出ラミネート成形を行い、発煙性、冷却ロール汚染性を評価した。ポリエチレン樹脂組成物の特性および加工性評価の結果を表1に示すが、耐熱性が劣り、かつ、成形時の発煙及び冷却ロール表面の汚染が若干見られた。
Figure 0004747501

Claims (3)

  1. メタロセン化合物を触媒として製造された、下記の(a)〜(d)の要件を満たすエチレン単独重合体および/またはα−オレフィンが2.5mol%以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)が20〜50重量%、および、下記(e)〜(g)を満たす高圧法低密度ポリエチレン(B)が80〜50重量%であり、下記(h)〜(j)を満たすことを特徴とするポリエチレン樹脂組成物。
    (a)JIS K6922−1(1998年)により測定されたメルトマスフローレートが2〜100g/10分、
    (b)JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が936〜980kg/m
    (c)ゲル浸透クロマトグラフィにより測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5未満、
    (d)50℃におけるn−ヘプタン可溶分率が0.08重量%未満、
    (e)JIS K6922−1(1998年)により測定されたメルトマスフローレートが0.1〜20g/10分、
    (f)JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が910〜935kg/m
    (g)ゲル浸透クロマトグラフィで測定されたz平均分子量が30万以上、
    (h)JIS K6922−1(1998年)により測定されたメルトマスフローレートが1〜50g/10分、
    (i)JIS K6922−1(1998年)により測定された密度が929〜958kg/m
    (j)流動の活性化エネルギーが23kJ/mol以上55kJ/mol以下
  2. エチレン単独重合体および/またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A)がスラリー法により製造されたことを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物を押出ラミネート成形することによって得られる積層体。
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