<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図5を参照して説明する。図1は安全スイッチ装置を示す図、図2は図1の安全スイッチ装置にアクチュエータが進入した状態を示す図、図3はアクチュエータを示す図、図4および図5は安全スイッチ装置からアクチュエータが後退している状態を示す図であって、図4は安全スイッチ装置から安全キーが脱離した状態を示し、図5は安全スイッチ装置に安全キーが装着された状態を示す。なお、図1ないし図3の各図において、(a)は平面図、(b)はぞれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図、(c)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って下方向から見た側面図である。また、図4、図5において、(a)は平面図、(b)は側面図である。
本実施形態における安全スイッチ装置は、図1および図2に示すように、危険ゾーンである作業領域内に設置される産業機械に電気的に接続されるスイッチであり、安全スイッチ1と、この安全スイッチ1に一体的に並設された主ロック機構11および補助ロック機構12を備えた切換スイッチ10と、安全スイッチ1に対して進退自在に設けられたアクチュエータ3とにより構成される。
このとき、安全スイッチ1および切換スイッチ10は一体化され、部屋の出入口周縁の壁面に固着され、またアクチュエータ3は防護扉に固着される。そのアクチュエータ3の位置は安全スイッチ1の進入口9a、9bのうち一方の進入口に対向する位置で、防護扉を閉鎖した状態のときに安全スイッチ1の操作部5内に進入する。そして、安全スイッチ1の操作部5内に設けられた駆動カム(図示省略)が、アクチュエータの進入、後退に伴って双方向に回転し、操作部5の上方に設けられた安全スイッチ1のスイッチ部7の開閉器部の主開閉器(図示省略)が開、閉に切り換わる。
また、操作部5には、主ロック機構11の一部を成すロック体(図示省略)が設けられている。このロック体は、切換スイッチ10に装着された安全キーの切換操作に連動して、前記駆動カムを回動不能(ロック)にしてアクチュエータ3の後退を阻止し(引き抜き不能)、主ロック機構11の切換部250のアンロック位置への切り換えに連動して駆動カムを回動可能にしてアクチュエータ3の後退を可能(引き抜き可能)にする。
次に、切換スイッチ10の主ロック機構11および補助ロック機構12の構成について説明する。まず、主ロック機構11は、ロック位置(LOCK)またはアンロック位置(UNLOCK)に択一的に切り換わる上記した切換部250と、切換部250を切り換え操作するために切換部250のキー挿入部(本発明の「装着部」に相当)251に着脱自在に装着され切換部250のアンロック位置への切り換え時に切換部250から取り外し可能になる安全キー(本発明の「操作体」に相当)260と、上記したロック体とを備えている。なお、安全キー260は、産業機械等の外部機器を作動可能状態とするときにキー挿入部251に装着されて切換操作可能に設けられており、かつ、外部機器を作動不能状態に維持するときにキー挿入部251から脱離されて部屋内に持込可能となる。
続いて、補助ロック機構12は、切換部250のロック位置への切り換え時に外部から与えられるトリガによって動作する駆動部(ソレノイド、図示省略)と、スイッチ部7の開閉器部の前記主開閉器と共に直列回路を構成して主回路に直列に設けられ駆動部の非動作時および動作時にそれぞれ閉、開する補助開閉器(図示省略)と、駆動部の非動作時には、主ロック機構11をロック状態に保持すべく切換スイッチ10の切換操作を禁止することで切換部250をロック位置に保持して補助開閉器の閉を保持し、駆動部の動作時には切換部250のアンロック位置への切り換えを可能にする作動体(図示省略)とを備えている。
そして、アクチュエータ3が操作部5に進入状態で、補助ロック機構12の駆動部が非動作状態で、かつ主ロック機構11がロック位置にあれば、安全スイッチ1のスイッチ部7に内蔵されている開閉器部の主開閉器が閉に切り換わり、主回路が閉状態になり作業領域内の産業機械への電源が供給されて産業機械が駆動可能な状態となる。一方、補助ロック機構12の駆動部が動作状態か、主ロック機構11がアンロック位置にあるか、防護扉の開放によりアクチュエータ3が操作部5から抜けるかのいずれかの場合には、主回路が開状態になり、機械への電源が遮断される。
ところで、アクチュエータ3は、図3に示すように、操作部5への進入部が先端部の押圧片30とこれを支持する一対の支持片31によって構成される。その押圧片30には、両端部に位置する凸部押圧面30bと、この間に位置する凹部押圧面30aが形成されている。なお、アクチュエータ3の詳細構成については後述する。
なお、安全スイッチ1の操作部5およびスイッチ部7の詳細構成の説明は省略するが、基本的には前記した特許文献1に記載のものとほぼ同様であり、操作部5には、駆動カムのほか、その両側に配設された規制板、これらを支承するカムシャフト、規制板を付勢するねじりコイルばね、カムフォロワピンが備えられ、駆動カムの回動によりカムフォロワピンが移動し、これに伴い、スイッチ部7の操作ロッドが前進、後退して、スイッチ部7の開閉器部の主開閉器が閉、開に切り換わる。更に、アクチュエータ3の操作部5への進入により、駆動カムと規制板がほぼ同時に押されたときに限り駆動カムが回動するようになっている。
次に、本発明の特徴であるアクチュエータ3および結合体4について図3を参照して詳述する。
図3に示すように、アクチュエータ3は一端に操作部5に進入する押圧片30が配設され、他端が約90°折曲されており、このように折り曲げられた部分が結合部3a(本発明の「結合位置」に相当)して機能している。そして、この結合部3aに本発明の「阻止手段」として機能する結合体4が結合部材3bを介して結合して設けられている。すなわち、結合体4には矩形の長孔4aが形成されており、この長孔4aにアクチュエータ3が押圧片30側から挿通され、結合部材3bによって結合されている。
また、図3(a)に示すように、結合体4の紙面に向って右上側に、アクチュエータ3が操作部5に進入した状態で、ほぼ円形を成すキー挿入部251の周縁に係合可能に、かつ、安全キー260の通り抜けが不可能な大きさでほぼ円形の係合孔4b(本発明の「係合部」に相当)が形成されている。すなわち、図2に示すように、アクチュエータ3が操作部5に進入した状態で、係合孔4bを介してキー挿入部251に安全キー260が装着されることで、係合孔4bにキー挿入部251の周縁が係合した状態となる。
したがって、図2に示すように、安全キー260をキー挿入部251に装着した状態のままでは、係合孔4bと切換スイッチ10のキー挿入部251とが係合してアクチュエータ3の操作部5からの後退を阻止することができる。また、図5に示すように、安全キー260がキー挿入部251に装着した状態のままでは、係合孔4bを安全キー260が通り抜けできず、安全キー260が邪魔になってアクチュエータ3の操作部5への進入を阻止することができる。
続いて、上記のように構成された安全スイッチ装置の動作について図2、図4および図5を参照して説明する。図2に示すように、アクチュエータ3が安全スイッチ1の操作部5に進入して、安全キー260(切換スイッチ10)がロック位置にあり、補助ロック機構12の駆動部が非動作状態であれば、スイッチ部7の主開閉器および補助ロック機構12の補助開閉器は閉状態となる。したがって、これらの開閉器が閉状態となるため、これらの開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
このとき、キー挿入部251に安全キー260が装着された状態で、結合体4に形成された係合孔4bがキー挿入部251に係合することでアクチュエータ3の引き抜き(後退)が阻止される。
次に、補助ロック機構12の駆動部が励磁(動作)されると、補助ロック機構12の補助開閉器が開状態に切り換わり、この補助開閉器に直列に接続されている産業機械への電源供給が遮断されるとともに、安全キー260による切換部250(切換スイッチ10)の切換操作のロック状態が解除される。そして、安全キー260により切換部250をロック位置からアンロック位置へ切換操作して切り換えることで、駆動カムが回転可能となりアクチュエータ3の後退を可能(引き抜き可能)となる。
このとき、安全キー260がキー挿入部251に装着された状態では、図2に示すように、結合体4に形成された係合孔4bがキー挿入部251に係合して、アクチュエータ3の後退は阻止されている。
続いて、図4に示すように、アンロック位置に切換された安全キー260をキー挿入部251から脱離することで、係合孔4bとキー挿入部251との係合状態が解除されアクチュエータの後退が阻止された状態が解除され、アクチュエータ3の後退が可能となる。この状態で、誤って防護扉が閉塞されることによりアクチュエータ3が操作部5に進入したとしても、切換部250がアンロック位置となっているため補助ロック機構12の補助開閉器は開状態に保持され、産業機械への電源供給は継続的に遮断される。
ところで、安全キー260を脱離して防護扉を開放してアクチュエータ3を操作部5から引き抜いた後、作業者が誤って安全キー260をキー挿入部251に再装着して作業領域内に進入することがある。しかしながら、図5に示すように、係合孔4bが安全キー260(キー挿入部251)に係合することで、アクチュエータ3の操作部5への進入が阻止されるため、作業者に操作体を装着部から脱離して作業領域内に持込む必要のあることを報知することができる。
以上のように、この実施形態では、安全キー(操作体)260が切換スイッチ10のキー挿入部251に装着されている場合には、アクチュエータ3に結合して設けられた結合体4が、アクチュエータ3の安全スイッチ1の操作部5への進入および操作部5からの後退を阻止する。そのため、安全キー260をキー挿入部251から脱離しなければ、アクチュエータ3の操作部5への進入および操作部5からの後退を行うことができない。したがって、安全キー260を切換スイッチ10のキー挿入部251に装着した状態で、安全スイッチ1の操作部5へのアクチュエータ3の進入および操作部5からの後退を阻止されるため、作業者は安全キー260をキー挿入部251から脱離する必要のあることに気付き易く、安全キー460の持込みが促されることとなって、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
また、キー挿入部251から安全キー260を脱離しておけば産業機械等の外部機器は作動不能状態に維持される。したがって、安全キー260がキー挿入部251から脱離した状態で誤ってアクチュエータ3が操作部5に進入しても外部機器は作動不能状態であるため外部機器が作動することがなく、安全性の向上を図ることができる。
また、結合体4に形成された係合孔4bの形状が安全キー260の通り抜けが不可能な形状であるため、キー挿入部251に安全キー260が装着された状態では、安全キー260が邪魔になって後退状態のアクチュエータ3の操作部5への進入が阻止され、アクチュエータ3が操作部5から後退した状態から外部機器を作動可能状態にするときには、安全キー260を一旦脱離し、アクチュエータ3を操作部5に進入させた後に安全キー260をキー挿入部251に再装着しなければならない。このように、外部機器を作動可能状態にするための一連の操作手順が一義的に限定され、一定の手順通りに操作しなければ主回路を閉路することができないこととなり、作業者が安全キー260をキー挿入部251に装着した状態で作業領域内に進入したとしても、作業終了時に外部機器を作動可能状態にする際に作業者は操作体を装着部から脱離しておく必要のあったことに気付き、次回操作時の注意を促すことになり、より安全性を向上させることができる。
また、作業者が安全キー260をキー挿入部251に装着した状態で作業領域内に進入したとしても、キー挿入部251に安全キー260が装着された状態では安全キー260が邪魔になって後退状態のアクチュエータ3の操作部5への進入が阻止されるため、第三者は安全キー260をキー挿入部251から脱離しなければ防護扉を閉塞(アクチュエータ3の操作部5への進入)することができない。したがって、第三者が作業領域内に作業者が進入していることに気付き易くより安全性を向上させることができる。
また、主ロック機構11が、操作部5に進入状態のアクチュエータ3をロックしてアクチュエータ3の操作部5からの後退を防止するので、切換スイッチ10の切換部250の切換操作を行い主ロック機構11によるアクチュエータ3のロック状態を解除しなければアクチュエータ3を操作部5から後退させることができない。したがって、結合体4(阻止手段)および主ロック機構11の2つの手段によりアクチュエータ3の操作部5からの後退を阻止するため、作業者は安全キー260をキー挿入部251から脱離する必要のあることに気付き易く、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
また、補助ロック機構12が切換スイッチ10の切換部250の切換操作を禁止しているため、作業者が誤って切換部250の切換操作を行うことによるアクチュエータ3のロック状態の解除を防止することができ、より安全性の向上を図ることができる。
<第2実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチ装置の第2実施形態について図6ないし10を参照して説明する。この第2実施形態が、上記第1実施形態と相違する点は、本発明の「操作体」として前記安全キー260に代わり、安全プラグを採用し、かつ主ロック機構および補助ロック機構を採用していない点である。その他の構成および動作は上記第1実施形態と同様であるため、以下では、主として第1実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
図6は安全スイッチ装置を示す図、図7は図6の安全スイッチ装置にアクチュエータが進入した状態を示す図、図8はアクチュエータを示す図、図9および図10は安全スイッチ装置からアクチュエータが後退している状態を示す図であって、図9は安全スイッチ装置から安全プラグが脱離した状態を示し、図10は安全スイッチ装置に安全プラグが装着された状態を示す。なお、図6ないし図8の各図において(a)は平面図、(b)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図、(c)はそれぞれ(a)の紙面に向って下方向から見た側面図である。また、図9、10において、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図6および図7に示すように、本実施形態では安全スイッチ101および切換スイッチ110が同一のケース内に収容されている。安全スイッチ101の基本的な構成は第1実施形態と同様、操作部105およびスイッチ部107を備えている。切換スイッチ110は、スイッチ部107の位置に配設され、オン位置またはオフ位置に択一的に切り換わる切換部350と、切換部350を切り換え操作するために切換部350のプラグ受け(本発明の「装着部」に相当)351に着脱自在に装着され切換部350のオフ位置への切り換え時に切換部350から取り外し可能になる安全プラグ(本発明の「操作体」に相当)360とを備えている。
さらに、切換スイッチ110は、安全スイッチ101のスイッチ部107の開閉器に直列に接続された開閉器を備えており、安全プラグ360がプラグ受け351に装着されて切換部350がオン位置にある場合に閉状態となり、切換部350がオフ位置にある場合に開状態となる。したがって、安全プラグ360は、産業機械等の外部機器を作動可能状態とするときにプラグ受け351に装着され、切換部350がオン位置になるように切換操作され、外部機器を作動不能状態とするときに切換部350がオフ位置になるように切換操作されプラグ受け351から脱離されて部屋内に持込可能となる。
そして、アクチュエータ103は安全スイッチ101の操作部105に対して進入、後退可能に設けられ、アクチュエータ103が操作部105に進入状態で、かつ切換スイッチ110の切換部350がオン位置にあれば、安全スイッチ101のスイッチ部107に内蔵されている開閉器部の開閉器が閉に切り換わり、主回路が閉状態になり作業領域内の産業機械への電源が供給されて産業機械が駆動可能な状態となる。一方、切換スイッチ110の切換部350がオフ位置にあるか、防護扉の開放によりアクチュエータ103が操作部105から抜けるかのいずれかの場合には、主回路が開状態になり、機械への電源が遮断される。
ところで、アクチュエータ103は、図8に示すように、操作部105への進入部が先端部の押圧片130とこれを支持する一対の支持片131とを備えている。押圧片130には、両端部に位置する凸部押圧面130bと、この間に位置する凹部押圧面130aが形成されている。
また、アクチュエータ103は一端に操作部105に進入する押圧片130が配設され、他端が約90°折曲されており、このように折曲された部分が結合部103a(本発明の「結合位置」に相当)して機能している。そして、この結合部103aに本発明の「阻止手段」として機能する結合体104が結合部材103bを介して結合して設けられている。すなわち、結合体104には矩形の長孔104aが形成されており、この長孔104aにアクチュエータ103が押圧片130側から挿通され、結合部材103bによって結合されている。
また、図8(a)に示すように、結合体104の紙面に向って上側に、アクチュエータ103が操作部105に進入した状態で、ほぼ円形を成すプラグ受け351の周縁に係合可能に、かつ、安全プラグ360の通り抜けが不可能な大きさでほぼ円形の係合孔104b(本発明の「係合部」に相当)が形成されている。すなわち、図7に示すように、アクチュエータ103が操作部105に進入した状態で、係合孔104bを介してプラグ受け351に安全プラグ360が装着されることで、係合孔104bがプラグ受け351の周縁と係合状態となる。
したがって、図7に示すように、安全プラグ360がプラグ受け351に装着した状態のままでは、係合孔104bが切換スイッチ110のプラグ受け351に係合して、進入状態のアクチュエータ103の操作部105からの後退が阻止される。また、図10に示すように、安全プラグ360をプラグ受け351に装着した状態のままでは、係合孔104bの形状が安全プラグ360の通り抜けが不可能な形状であるため、安全プラグ360が邪魔になって後退状態のアクチュエータ103の操作部105への進入が阻止される。したがって、作業者に安全プラグ360をプラグ受け351から脱離して作業領域内に持込む必要のあることを報知することができ、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
続いて、上記のように構成された安全スイッチ装置の動作について図7、図9および図10を参照して説明する。図7に示すように、アクチュエータ103が安全スイッチ101の操作部105に進入して、安全プラグ360がプラグ受け351に装着されて切換部350(切換スイッチ110)がオン位置にあれば、スイッチ部107の開閉器および切換スイッチ110の開閉器は閉状態となる。したがって、これらの開閉器が閉状態となるため、これらの開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
次に、安全プラグ360により切換部350をオン位置からオフ位置へ回転切換操作して切り換えることにより、切換スイッチ110の開閉器が開状態に切り換わり、この開閉器に直列に接続されている産業機械への電源供給が遮断される。このとき、安全プラグ360がプラグ受け351に装着された状態では、図7に示すように、結合体104に形成された係合孔104bがプラグ受け351に係合して、アクチュエータ103の後退は阻止されている。
続いて、図9に示すように、オフ位置に切換された安全プラグ360をプラグ受け351から脱離することで、係合孔104bとプラグ受け351との係合状態が解除されアクチュエータ103の後退が阻止された状態が解除され、アクチュエータ103の後退が可能となる。この状態で、誤って防護扉が閉塞されることによりアクチュエータ103が操作部105に進入したとしても、切換部350がオフ位置となっているため切換スイッチ110の開閉器は開状態を維持され、産業機械への電源供給は遮断される。
ところで、安全プラグ360を脱離して防護扉を開放してアクチュエータ103を操作部105から引き抜いた後、作業者が誤って安全プラグ360をプラグ受け351に再装着して作業領域内に進入することがある。しかしながら、図10に示すように、安全プラグ360が邪魔になって、アクチュエータ103の操作部105への再進入が阻止されるため、作業者は安全プラグ360をプラグ受け351から脱離する必要のあることに気付き易く、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
以上のように、この実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、安全プラグ360が切換スイッチ110のプラグ受け351に装着されている場合には、アクチュエータ103に結合して設けられた結合体104が、アクチュエータ103の安全スイッチ101の操作部105への進入および操作部105からの後退を阻止する。そのため、安全プラグ360をプラグ受け351から脱離しなければ、アクチュエータ103の操作部105への進入および操作部105からの後退を行うことができない。したがって、安全プラグ360を切換スイッチ110のプラグ受け351に装着した状態では、安全スイッチ101の操作部105へのアクチュエータ103の進入および操作部105からの後退が阻止されるため、作業者は安全プラグ360をプラグ受け351から脱離する必要のあることに気付き易く、安全プラグ360の持込みが促されることとなって、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
また、プラグ受け351から安全プラグ360を脱離しておけば産業機械等の外部機器は作動不能状態に維持される。したがって、安全プラグ360がプラグ受け351から脱離した状態で誤ってアクチュエータ103が操作部105に進入しても外部機器は作動不能状態であるため外部機器が作動することがなく、安全性の向上を図ることができる。
また、プラグ受け351に安全プラグ360が装着された状態では、安全プラグ360が邪魔になって、後退状態のアクチュエータ103の操作部105への進入が阻止されるため、アクチュエータ103が操作部105から後退した状態から外部機器を作動可能状態にするときには、アクチュエータ103を操作部105に進入させた後に安全プラグ360をプラグ受け351に装着しなければならない。このように、外部機器を作動可能状態にするための一連の操作手順が一義的に限定され、一定の手順通りに操作しなければ主回路を閉路することができないこととなり、作業者が安全プラグ360をプラグ受け351に装着した状態で作業領域内に進入したとしても、作業終了時に外部機器を作動可能状態にする際に作業者は操作体を装着部から脱離しておく必要のあったことに気付き、次回操作時の注意を促すことになり、より安全性を向上させることができる。
また、作業者が安全プラグ360をプラグ受け351に装着した状態で作業領域内に進入したとしても、上記したように、プラグ受け351に安全プラグ360が装着された状態でのアクチュエータ103の操作部105への進入が阻止されるため、第三者は安全プラグ360をプラグ受け351から脱離しなければ防護扉を閉塞(アクチュエータ103の操作部105への進入)することができない。したがって、第三者が作業領域内に作業者が進入していることに気付き易くより安全性を向上させることができる。
<第3実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチ装置の第3実施形態について図11ないし15を参照して説明する。この第3実施形態が、上記第1実施形態と相違する点は、安全スイッチ装置が、装置本体ケース内に安全スイッチ、切換スイッチ並びに非常停止スイッチが並設されて構成されている点である。なお、本実施形態では上記第2実施形態と同様に、主ロック機構および補助ロック機構は採用していない。その他の構成および動作は上記第1および第2実施形態と同様であるため、以下では、主として第1および第2実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1および第2実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
図11は安全スイッチ装置を示す図、図12は図11の安全スイッチ装置にアクチュエータが進入した状態を示す図、図13はアクチュエータを示す図、図14および図15は安全スイッチ装置からアクチュエータが後退している状態を示す図であって、図14は安全スイッチ装置から安全キーが脱離した状態を示し、図15は安全スイッチ装置に安全キーが装着された状態を示す。なお、図11および図12の各図において、(a)は平面図、(b)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図、(c)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って下方向から見た側面図である。また、図13において、(c)は平面図、(a)は(c)の紙面に向かって上方向から見た側面図、(b)は(c)の紙面に向って右方向から見た側面図である。また、図14、15において、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図11および図12に示すように、本実施形態における安全スイッチ装置は、装置本体ケース212内に、安全スイッチ201、切換スイッチ210および非常停止スイッチ211が並設されて成る。安全スイッチ201は、アクチュエータ203の進退により双方向に切換する駆動カムとを備えた操作部と、該操作部の駆動カムの回転に伴って開閉する開閉器を備えたスイッチ部とを有する。切換スイッチ210は、オン位置またはオフ位置に択一的に切り換わる切換部450と、切換部450を切り換え操作するために切換部450のキー挿入部(本発明の「装着部」に相当)451に着脱自在に装着され切換部450のオフ位置への切り換え時に切換部450から取り外し可能になる安全キー(本発明の「操作体」に相当)460とを備えている。
また、本実施形態における切換スイッチ210は、安全スイッチ201および非常停止スイッチ211の各開閉器に直列に接続された開閉器を備えており、安全キー460がキー挿入部451に装着されて切換部450がオン位置にある場合に閉状態となり、切換部450がオフ位置にある場合に開状態となる。したがって、安全キー460は、産業機械等の外部機器を作動可能状態とするときにキー挿入部451に装着され、切換部450がオン位置になるように回転切換操作され、外部機器を作動不能状態とするときに切換部450がオフ位置になるように回転切換操作され、キー挿入部451から脱離されて部屋内に持込可能となる。
そして、アクチュエータ203は安全スイッチ201の操作部205に対して進入、後退可能に設けられ、アクチュエータ203が操作部205に進入状態で、かつ切換スイッチ210の切換部450がオン位置にあれば、安全スイッチ201のスイッチ部に内蔵されている開閉器部の開閉器が閉に切り換わり、主回路が閉状態になり作業領域内の産業機械への電源が供給されて産業機械が駆動可能な状態となる。一方、切換スイッチ210の切換部450がオフ位置にあるか、防護扉の開放によりアクチュエータ203が安全スイッチ201の操作部205から抜けるかのいずれかの場合には、主回路が開状態になり、機械への電源が遮断される。
ところで、アクチュエータ203は、図13に示すように、操作部205への進入部が先端部の押圧片230とこれを支持する一対の支持片231とを備えている。押圧片230には、両端部に位置する凸部押圧面230bと、この間に位置する凹部押圧面230aが形成されている。
また、アクチュエータ203は上端に操作部205に進入する押圧片230が配設され、下端が前方に約90°折曲されており、このように折曲された部分が結合部203a(本発明の「結合位置」に相当)として機能している。そして、この結合部203aの前端に本発明の「阻止手段」として機能する結合体204が上方に延びるように一体的に結合して設けられている。
また、図13(b)に示すように、結合体204の端部に、アクチュエータ203が操作部205に進入した状態で、ほぼ円形を成すキー挿入部451の周縁に係合可能に、かつ、安全キー460の通り抜けが不可能な大きさでほぼ円形の係合孔204b(本発明の「係合部」に相当)が形成されている。すなわち、図12に示すように、アクチュエータ203が操作部205に進入した状態で、係合孔204bを介してキー挿入部451に安全キー460が装着されることで、係合孔204bがキー挿入部451の周縁と係合状態となる。
したがって、図12に示すように、安全キー460をキー挿入部451に装着した状態のままでは、係合孔204bが切換スイッチ210のキー挿入部451に係合してアクチュエータ203の操作部205からの後退が阻止される。また、図15に示すように、安全キー460がキー挿入部451に装着した状態のままでは、安全キー460が邪魔になってアクチュエータ203の操作部205への進入が阻止される。
続いて、上記のように構成された安全スイッチ装置の動作について図12、図14および図15を参照して説明する。図12に示すように、アクチュエータ203が安全スイッチ201の操作部205に進入して、安全キー460がキー挿入部451に装着されて切換部450(切換スイッチ210)がオン位置にあれば、安全スイッチ210スイッチ部の開閉器および切換スイッチ210の開閉器は閉状態となる。したがって、これらの開閉器が閉状態となるため、これらの開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
次に、安全キー460により切換部450をオン位置からオフ位置へ切換操作して切り換えることにより、切換スイッチ210の開閉器が開状態に切り換わり、この開閉器に直列に接続されている産業機械への電源供給が遮断される。このとき、安全キー460がキー挿入部451に装着された状態では、図12に示すように、結合体204に形成された係合孔204bがキー挿入部451に係合して、アクチュエータ203の後退が阻止されている。
続いて、図14に示すように、オフ位置に切換えられた安全キー460をキー挿入部451から脱離することで、係合孔204bとキー挿入部451との係合状態が解除されアクチュエータ203の後退が阻止された状態が解除され、アクチュエータ203の後退が可能となる。この状態で、誤って防護扉が閉塞されることによりアクチュエータ203が操作部205に進入したとしても、切換部450がオフ位置となっているため切換スイッチ210の開閉器は開状態を維持され、産業機械への電源供給は遮断される。
ところで、安全キー460を脱離して防護扉を開放してアクチュエータ203を操作部205から引き抜いた後、作業者が誤って安全キー460をキー挿入部451に再装着して作業領域内に進入しても、図15に示すように、安全キー460が邪魔になって、後退状態のアクチュエータ203の操作部205への進入が阻止されるため、作業者は安全キー460をキー挿入部451から脱離する必要のあることに気付き易く、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
なお、非常停止スイッチ211を押し込むことにより、非常停止スイッチ211が有する開閉器が開状態となり、当該開閉器に直列に接続された産業機械への電源供給を直ちに遮断することができる。
以上のように、この実施形態では、上記第1および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、安全キー460が切換スイッチ210のキー挿入部451に装着されている場合には、アクチュエータ203に結合して設けられた結合体204が、アクチュエータ203の安全スイッチ201の操作部205への進入および操作部205からの後退を阻止する。そのため、安全キー460をキー挿入部451から脱離しなければ、アクチュエータ203の操作部205への進入および操作部205からの後退を行うことができない。したがって、安全キー460を切換スイッチ210のキー挿入部451に装着した状態で、安全スイッチ201の操作部205へのアクチュエータ203の進入および操作部205からの後退を阻止されるため、作業者は安全キー460をキー挿入部451から脱離する必要のあることに気付き易く、安全キー460の持込みが促されることとなって、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
また、キー挿入部451から安全キー460を脱離しておけば産業機械等の外部機器は作動不能状態に維持される。したがって、安全キー460がキー挿入部451から脱離した状態で誤ってアクチュエータ203が操作部205に進入しても外部機器は作動不能状態であるため外部機器が作動することがなく、安全性の向上を図ることができる。
また、キー挿入部451に安全キー460が装着された状態では、安全キー460が邪魔になって後退状態のアクチュエータ203の操作部205への進入が阻止されるため、アクチュエータ203が操作部205から後退した状態から外部機器を作動可能状態にするときには、アクチュエータ203を操作部205に進入させた後に安全キー460をキー挿入部451に装着しなければならない。このように、外部機器を作動可能状態にするための一連の操作手順が一義的に限定され、一定の手順通りに操作しなければ主回路を閉路することができないこととなり、作業者が安全キー460をキー挿入部451に装着した状態で作業領域内に進入したとしても、作業終了時に外部機器を作動可能状態にする際に作業者は安全キー460をキー挿入部451から脱離しておく必要のあったことに気付き、次回操作時の注意を促すことになり、より安全性を向上させることができる。
また、作業者が安全キー460をキー挿入部451に装着した状態で作業領域内に進入したとしても、上記したように、キー挿入部451に安全キー460が装着された状態でのアクチュエータ203の操作部205への進入が阻止されるため、第三者は安全キー460をキー挿入部451から脱離しなければ防護扉を閉塞(アクチュエータ203の操作部205への進入)することができない。したがって、第三者が作業領域内に作業者が進入していることに気付き易くより安全性を向上させることができる。
また、装置本体ケース212内に、安全スイッチ201および切換スイッチ210以外のスイッチ、例えば、非常停止スイッチ211をさらに並設して安全スイッチ装置を構成することができる。このように、安全スイッチ装置をさまざまな機能を有するスイッチを組合わせることにより構成することができ、汎用性の高い安全スイッチ装置を提供することができる。
<第4実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチ装置の第4実施形態について図16ないし20を参照して説明する。この第4実施形態が、上記第3実施形態と相違する点は、アクチュエータの構成が異なる点と、当該アクチュエータの安全スイッチへの進退が前後方向である点であり、その他の構成および動作は上記第3実施形態と同様であるため、以下では、主として第3実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第3実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
図16は安全スイッチ装置を示す図、図17は図16の安全スイッチ装置にアクチュエータが進入した状態を示す図、図18はアクチュエータを示す図、図19および図20は安全スイッチ装置からアクチュエータが後退している状態を示す図であって、図19は安全スイッチ装置から安全キーが脱離した状態を示し、図20は安全スイッチ装置に安全キーが装着された状態を示す。なお、図16および図17の各図において、(a)は平面図、(b)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図、(c)はそれぞれ(a)の紙面に向って下方向から見た側面図である。また、図18において、(c)は平面図、(a)は(c)の紙面に向かって上方向から見た側面図、(b)は(c)の紙面に向って右方向から見た側面図である。また、図19、20において、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図16および図17に示すように、本実施形態の安全スイッチ、切換スイッチおよび非常停止スイッチの構成は上記第3実施形態と同一の構成であるため、その構成および動作の説明は省略する。
アクチュエータ303は、図18に示すように、操作部205への進入部が先端部の押圧片330とこれを支持する一対の支持片331とを備えている。そして、押圧片330には、両端部に位置する凸部押圧面330bと、この間に位置する凹部押圧面330aが形成されている。
また、アクチュエータ303は後端に操作部205に進入する押圧片330が設けられ、前端が上方へ約90°折曲されており、このように折曲された部分が結合部303a(本発明の「結合位置」に相当)として機能している。そして、この結合部303aに本発明の「阻止手段」として機能する側面視L字状の結合体304が結合されている。
すなわち、結合体304には矩形の長孔304aが形成されており、この長孔304aにアクチュエータ303が押圧片330側から挿通されて結合されている。したがって、図17に示すように、本実施形態におけるアクチュエータ303は、上記第3実施形態と異なり、安全スイッチ201の上面側のアクチュエータ進入口209bに進入、後退することができる。
その他の構成および動作は、上記第3実施形態と同一であるため、この実施形態では、図19および図20に示すように、上記第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、安全キー460が切換スイッチ210のキー挿入部451に装着されている場合には、安全キー460が邪魔になって、後退状態のアクチュエータ303の安全スイッチ201の操作部205への進入が阻止されるとともに、進入状態のアクチュエータ303の操作部205からの後退が阻止される。そのため、安全キー460をキー挿入部451から脱離しなければ、アクチュエータ303の操作部205への進入および操作部205からの後退を行うことができない。したがって、作業者は安全キー460をキー挿入部451から脱離して作業領域内に持込む必要のあることを容易に知ることができ、安全キー460の持込みが促されることとなって、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
<第5実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチ装置の第5実施形態について図21ないし25を参照して説明する。この第5実施形態が、上記第3および第4実施形態と相違する点は、アクチュエータの構成が異なる点と、当該アクチュエータの安全スイッチへの進退が左右方向である点であり、その他の構成および動作は上記第3および第4実施形態と同様であるため、以下では、主として第3および第4実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第3および第4実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
図21は安全スイッチ装置を示す図、図22は図21の安全スイッチ装置にアクチュエータが進入した状態を示す図、図23はアクチュエータを示す図、図24および図25は安全スイッチ装置からアクチュエータが後退している状態を示す図であって、図24は安全スイッチ装置から安全キーが脱離した状態を示し、図25は安全スイッチ装置に安全キーが装着された状態を示す。なお、図21ないし図23の各図において(a)は平面図、(b)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図、(c)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って下方向から見た側面図である。また、図24、25において、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図21および図22に示すように、本実施形態の安全スイッチ、切換スイッチおよび非常停止スイッチの構成は上記第3および第4実施形態と同一の構成であるため、その構成および動作の説明は省略する。
アクチュエータ403は、図23に示すように、操作部205への進入部が先端部の押圧片430とこれを支持する一対の支持片431とを備えている。そして、押圧片430には、両端部に位置する凸部押圧面430bと、この間に位置する凹部押圧面430aが形成されている。
また、アクチュエータ403は右端に操作部205に進入する押圧片430が設けられ、左端が後方へ約90°折曲されており、このように折曲された部分が結合部403a(本発明の「結合位置」に相当)として機能している。そして、この結合部403aの前端に本発明の「阻止手段」として機能する結合体404がアクチュエータ403と同一面を成すよう一体的に結合して設けられている。したがって、図22に示すように、本実施形態におけるアクチュエータ403は、安全スイッチ201の側面(ここでは左側面)のアクチュエータ進入口に進入、後退することができる。
その他の構成および動作は、上記第3および第4実施形態と同一であるため、この実施形態では、図24および図25に示すように、上記第3および第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、安全キー460が切換スイッチ210のキー挿入部451に装着されている場合には、安全キー460が邪魔になって、後退状態のアクチュエータ403の安全スイッチ201の操作部205への進入が阻止されるとともに、進入状態のアクチュエータ403の操作部205からの後退が阻止される。そのため、安全キー460をキー挿入部451から脱離しなければ、アクチュエータ403の操作部205への進入および操作部205からの後退を行うことができない。したがって、作業者は安全キー460をキー挿入部451から脱離して作業領域内に持込む必要のあることを容易に知ることができ、安全キー460の持込みが促されることとなって、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
また、第3、4および第5実施形態のように操作部205に形成されたアクチュエータ進入口209a,209bの位置に応じて、結合体をアクチュエータに複数設けられた結合位置のいずれかに選択的に結合することで、様々なアクチュエータ進入口209a,209bの位置に対応することができる。
<第6実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチ装置の第6実施形態について図26ないし図28を参照して説明する。この第6実施形態が、上記第3実施形態と相違する点は、安全キー460が脱離した状態の切換スイッチ210のキー挿入部451を覆うことが可能に構成された保護カバー500を備える点である。その他の構成および動作は上記第3実施形態と同様であるため、以下では、主として第3実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第3実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
図26は安全スイッチ装置にアクチュエータが進入した状態を示す図、図27は安全スイッチ装置の切換スイッチが保護カバーにより覆われている状態を示す図、図28は図27の状態の安全スイッチ装置へのアクチュエータの進入が阻止されている状態を示す図である。なお、図26ないし図28において、(a)は平面図、(b)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図である。
図26に示すように、本実施形態における安全スイッチ装置は、上記第3実施形態と同一の構成であるため、その構成および動作の説明は省略する。ところで、本実施形態の安全スイッチ装置には上記したように保護カバー500が配設されている。以下、保護カバー500の構成について、図26および図27を参照して詳述する。
保護カバー500は、装置本体ケース212に固定される固定カバー501と、キー挿入部451を覆う第1位置とキー挿入部451を開放する第2位置とにわたって回動可能な可動カバー502とを備え、可動カバー502が第1位置の状態にあるときに、例えば南京錠等の鍵503を掛けることにより可動カバー502の開放を防止するように構成されている。なお、保護カバー500は、固定カバー501が切換スイッチ210の本体に装着された状態で係止具504によって固定されている。
つぎに保護カバー500の具体的な構成を説明する。固定カバー501は、底面部と、底面部の左右両端に一体的に形成される側壁505から成る。底面部には、切換スイッチ210の本体が挿通する挿通孔が形成されている。また、側壁505には、中央部寄りにビス508が挿通する挿通孔が形成されるとともに、鍵503の係止フック503aが挿通する鍵取付用孔506が形成されている。また、可動カバー502は、前面部が半円弧状に形成されたカバー本体部と、カバー本体部の左右両端に一体的に形成される腕部507とから成る。
続いて、上記のように構成された保護カバー500の動作について図26および図27を参照して説明する。まず、図26に示すように可動カバー502が開放状態の場合には、アクチュエータ203の安全スイッチ201への進入が許容され、上記第3実施形態と同様の動作を行うことができる。
続いて、図27に示すように、オフ位置に切換された安全キー460をキー挿入部451から脱離することでアクチュエータ203を安全スイッチ201から後退させた場合には、保護カバー500によりキー挿入部451を覆うことができる。
具体的には、図27に示すように、安全のために可動カバー502を、ビス508を回転軸として回動させ、可動カバー502がキー挿入部451を覆う状態とする。そして、このような状態で鍵503を鍵取付用孔506に取り付ける。この結果、鍵503を取り外さない限り可動カバー502を開放できないので、誤って安全キー460をキー挿入部451に装着することがない。
また、図28に示すように、可動カバー502がキー挿入部451を覆った状態では、可動カバー502と結合体204とが当接することにより、アクチュエータ203の安全スイッチ201への進入は確実に阻止される。
以上のように、本実施形態では、上記第3実施形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、保護カバー500が、脱離状態の安全キー460が切換スイッチ210のキー挿入部451へ装着されて切換操作されるのを防止するとともに、アクチュエータ203が操作部205へ進入するのを阻止する。したがって、作業者は安全キー460をキー挿入部451から確実に脱離して作業領域内に持込むこととなるため、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。
また、鍵503のキーを安全キーとして作業領域内に持込むことで、第三者が保護カバー500の可動カバー502を開放することを防止することができるため、より安全性の向上を図ることができる。
また、鍵503の代わりに図29に示す掛け金(ハプス)600を用いてもよい。図29は鍵取付用孔506に取り付けることで、可動カバー502が開放することを防止するための掛け金600を示す図である。なお、図29において、(a)は平面図、(b)は(a)の紙面に向かって左方向から見た側面図である。
図29(a)、(b)に示すように、掛け金600は、基部605に係止フック601が一体的に形成された第1の部材と、基部606に係止フック602が一体的に形成された第2の部材とがビス603を回転軸にして回動自在に軸支されている。また、基部605,606には、それぞれ、複数個の南京錠等の鍵を取り付け可能に複数の鍵取付用孔604が形成されている。
そして、基部605,606にそれぞれ形成された鍵取付用孔604は、掛け金600が図29に示すように閉じた状態であるときに重合して南京錠の係止フックが基部605,606に形成された鍵取付用孔604の両方を挿通可能な位置に形成されている。したがって、図29に示すように閉じた状態にある掛け金600の鍵取付用孔604に南京錠等を取り付けることで、掛け金600はビス603を回転中心にして回動不可能な状態となり、掛け金600が開放することが阻止される。
このような構成とすれば、掛け金600を鍵取付用孔506に取り付けた状態で掛け金600の鍵取付用孔604に複数個の南京錠を取り付けることが可能となる。そのため、作業者が複数人いる場合でも、各人が南京錠を鍵取付用孔604に取り付けて、それぞれの南京錠の鍵を作業領域内に持込むことができる。したがって、全ての作業者が作業領域内から退出して、各人が持込んだ鍵により全ての南京錠を開錠しなければ、掛け金600を開放して保護カバー500の可動カバー502を開放することができないため、より安全性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態における保護カバーを第1ないし第5実施形態の安全スイッチ装置に採用してもよい。
<第7実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチ装置の第7実施形態について図30ないし33を参照して説明する。この第7実施形態が、上記第3実施形態と相違する点は、切換スイッチとして安全スイッチ310が採用されている点と、結合体704に係合部としてほぼ矩形の係合孔704bが形成されている点である。その他の構成および動作は上記第3実施形態と同様であるため、以下では、主として第3実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第3実施形態と同一な構成および動作については、同一符号および相当符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
図30は安全スイッチ装置を示す図、図31は図30の安全スイッチ装置にアクチュエータが進入した状態を示す図、図32はアクチュエータを示す図、図33は安全キーを示す図である。なお、図30および図31の各図において、(a)は平面図、(b)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図、(c)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って下方向から見た側面図である。また、図32および図33の各図において、(c)は平面図、(a)は(c)の紙面に向かって上方向から見た側面図、(b)は(c)の紙面に向って右方向から見た側面図である。
図30および図31に示すように、本実施形態における安全スイッチ装置は、装置本体ケース212内に、安全スイッチ201,310および非常停止スイッチ211が並設されて成る。安全スイッチ310は本発明における「切換スイッチ」として機能し、安全キー760がキー進入口751(本発明の「装着部」に相当)から操作部750に進入することでオン状態となり、安全キー760が操作部750から後退することでオフ状態となる。
すなわち、本実施形態における安全スイッチ310は、安全スイッチ201および非常停止スイッチ211の各開閉器に直列に接続された開閉器を備えており、安全キー760がキー進入口751に進入状態にある場合に閉状態となり、安全キー760がキー進入口751から後退状態にある場合に開状態となる。したがって、安全キー760は、産業機械等の外部機器を作動可能状態とするときにキー進入口751から操作部750に挿入され、外部機器を作動不能状態とするときに操作部750から後退されて部屋内に持込可能となる。なお、安全キー760の構成は、図33に示すように、上記実施形態において詳述したアクチュエータの構成とほぼ同一の構成であり、操作部750への進入部が先端部の押圧片とこれを支持する一対の支持片によって構成される。そして、その押圧片には、両端部に位置する凸部押圧面と、この間に位置する凹部押圧面が形成されている。
そして、アクチュエータ703は安全スイッチ201の操作部205に対して進入、後退可能に設けられ、アクチュエータ703が操作部205に進入状態で、かつ安全スイッチ310の操作部750に安全キー760が進入状態にあれば、安全スイッチ201のスイッチ部に内蔵されている開閉器部の開閉器が閉に切り換わり、主回路が閉状態になり作業領域内の産業機械への電源が供給されて産業機械が駆動可能な状態となる。一方、安全スイッチ310の操作部750から安全キー760が後退状態にあるか、防護扉の開放によりアクチュエータ703が安全スイッチ201の操作部205から抜けるかのいずれかの場合には、主回路が開状態になり、機械への電源が遮断される。
ところで、図32に示すように、上記第3実施形態と同様に、アクチュエータ703には結合体704が一体的に結合されている。そして、結合体704にはアクチュエータ703が操作部205に進入した状態で、ほぼ矩形を成すキー進入口751の周縁に係合可能に、かつ、図33に示す安全キー760の通り抜けが不可能な大きさでほぼ矩形の係合孔704b(本発明の「係合部」に相当)が形成されている。すなわち、図31に示すように、アクチュエータ703が操作部205に進入した状態で、係合孔704bがキー進入口751の周縁と係合状態となり、係合孔704bを介してキー進入口751に安全キー760が進入することができる。
したがって、安全キー760をキー進入口751に進入した状態のままでは、係合孔704bが安全キー760にひっかかりアクチュエータ703の操作部205からの後退が阻止される。また、安全キー760がキー進入口751に進入した状態のままでは、安全キー760が邪魔になってアクチュエータ703の操作部205への進入が阻止される。
以上のように、この実施形態では、上記第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<第8実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチ装置の第8実施形態について図34ないし図36を参照して説明する。この第8実施形態が、上記第6実施形態と相違する点は、保護カバーの構成が異なる点である。その他の構成および動作は上記第6実施形態と同様であるため、以下では、主として第6実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第6実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
図34および図35は保護カバーを示す図であって、それぞれ異なる状態を示し、図36は安全スイッチ装置の安全スイッチが保護カバーにより覆われている状態を示す図である。なお、図34ないし図36において、(a)は平面図、(b)はそれぞれ各図(a)の紙面に向って右方向から見た側面図である。
図36に示すように、本実施形態における安全スイッチ装置は、上記第6実施形態と同一の構成であるため、同一符号を引用してその構成および動作の説明は省略する。ところで、本実施形態の安全スイッチ装置は上記したように第6実施形態の保護カバー500と異なる構成の保護カバー800を備えている。以下、保護カバー800の構成について、図34および図35を参照して詳述する。
図34および図35に示すように、保護カバー800は、基部801と、基部801にスライド自在に連結されたスライド部802とを備えている。図34(b)に示すように、基部801はその側面視がフック形状に形成されており、その鉤部804が安全スイッチ201のアクチュエータ進入口209bに進入可能に形成されている。また、鉤部804の根元部分にはスライド部802の先端部809が挿通可能に孔808が形成されている。
また、柄部805には鍵取付用孔803が2つ形成されており、柄部805の略中央部にはビス806が配設されている。そして、このビス806がスライド部802に形成されたスライド溝807に挿通することで、スライド部802が基部801に対してスライド溝807の長手方向にスライド自在に連結されている。
また、図35に示すように、スライド部802が基部801に対して紙面に向って上方向にスライドすることで、鍵取付用孔803と重なるようにスライド部802に鍵取付用孔810が形成されている。したがって、鍵取付孔803,810が重なった状態で、例えば南京錠等の鍵を掛けることによりスライド部802が基部301に対してスライドするのを防止することができる。
また、図36に示すように、スライド部802の先端部809は、鉤部804がアクチュエータ進入口209bに進入するように保護カバー800を安全スイッチ201に装着した状態で、スライド部802を基部801に対してスライドさせることでアクチュエータ進入口209aに進入可能に構成されている。
続いて、上記のように構成された保護カバー800の動作について図36を参照して説明する。まず、保護カバー800が安全スイッチ装置に装着されていない場合には、アクチュエータ203の安全スイッチ201への進入が許容され、上記第6実施形態において保護カバー500が開放されている場合と同様の動作を行うことができる。
続いて、図36に示すように、オフ位置に切換された安全キー460をキー挿入部451から脱離することでアクチュエータ203を安全スイッチ201から後退させた場合には、保護カバー800により安全スイッチ201を覆うことができる。
具体的には、図36に示すように、安全のために保護カバー800を、鉤部804がアクチュエータ進入口209bに進入するように装着し、保護カバー800が安全スイッチ201を覆う状態をする。この状態でスライド部802を基部801に対してスライドさせてスライド部802の先端部809をアクチュエータ進入口290aに進入させる。このとき、先端部809はアクチュエータが有する駆動カムを押圧するための押圧片を備えていないため、操作部205内の駆動カムは回転することはない。
そして、このような状態で、南京錠等の鍵を鍵取付用孔803,810取り付ける。この結果、鍵を取り外さない限りスライド部802は基部801に対してスライドすることができないので、保護カバー800は安全スイッチ201に固定される。したがって、図36に示すように、アクチュエータ203の安全スイッチ201への進入は確実に阻止される。また、キー挿入部451が保護カバー800によって覆われるので、誤って安全キー460をキー挿入部451に装着することがない。
以上のように、本実施形態では、上記第6実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、本実施形態において、上記第6実施形態で説明した掛け金600を用いてもよい。
また、本実施形態では、保護カバー800により安全スイッチ201のアクチュエータ進入口209a,209bおよび切換スイッチ210のキー挿入部451を覆うことで、アクチュエータ203が操作部205に進入するのを防止するのとともに、安全キー460がキー挿入部451に装着されて切換スイッチ210が切換操作されることを防止しているが、アクチュエータ進入口209a,209bのみを保護カバーで覆う構成としてもよい。
このような構成とすれば、保護カバーが安全スイッチ201の操作部205から後退状態にあるアクチュエータ203が操作部205へ進入するのを確実に阻止することができる。したがって、例えば、作業者が作業領域内に居る場合に第三者が誤って防護扉を閉塞することによりアクチュエータ203が操作部205に進入することを確実に防止することができるため、よりいっそうの安全性の向上を図ることができる。このとき、保護カバーとして、例えば進入口とキー挿入部とを同時に覆う構成のほか、進入口を覆う部分にキー挿入部方向に延びて安全キー等の挿入を阻止する突出部分を付加した構成などが考えられる。
なお、本実施形態における保護カバーを第1ないし第5および第7実施形態の安全スイッチ装置に採用してもよい。
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記した実施形態で説明した結合体(阻止手段)の形状は上記したものに限定されず、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、どのような形状であっても構わない。
また、上記した実施形態ではアクチュエータを防護扉に固定して安全スイッチ装置を使用する方法について説明したが、安全スイッチ装置の使用方法としてはこの方法に限定されない。例えば、安全スイッチ装置本体を部屋の出入口周縁の壁面に固着するとともに、アクチュエータを防護扉に鎖などを介して取り付けて使用してもよい。この際、鎖の長さを適宜調整することで、アクチュエータが安全スイッチ装置本体へ進入状態にある場合に防護扉が開放するのを防止することができる。
また、上記実施形態において、係合孔の大きさを調整することで、切換スイッチの操作体として、安全キーおよび安全プラグのいずれか一方を使用目的に応じて採用することが出来る。また、主ロック機構および補助ロック機構は安全スイッチ装置の使用目的に応じて採用すればよい。
また、アクチュエータに結合位置を複数設け、操作部に形成されたアクチュエータ進入口の位置に応じて、いずれかの結合位置に選択的に結合体を結合してもよい。