本発明のセンサシートは、互いに離隔し且つ一方向及び前記一方向とは直交する直交方向の2方向にマトリクス状に配列された複数の第1電極、及び、前記直交方向に配列された前記第1電極を互いに接続する複数の第1電極配線を有する第1シート部材と、前記第1シート部材に積層されており、互いに離隔し且つ前記2方向にマトリクス状に配列されると共に前記第1シート部材上の前記複数の第1電極のそれぞれに対向する複数の第2電極、前記一方向に配列された前記第2電極を互いに接続する複数の第2電極配線、及び、前記複数の第2電極配線を覆う絶縁層を有する第2シート部材と、前記第1シート部材上の前記複数の第1電極と前記第2シート部材上の前記複数の第2電極とのそれぞれの間に配置された複数の感圧抵抗体とを備えたセンサシートであって、前記第1シート部材は、前記直交方向の一端部に、前記一方向に延在し且つ前記第1電極配線とそれぞれ接続された複数の第1配線が配設された第1配線部を有しており、前記第2シート部材は、前記第1配線部と対向する位置に、前記一方向に延在し且つ前記第2電極配線とそれぞれ接続された複数の第2配線が配設された第2配線部を有している。そして、前記絶縁層は、前記第2配線を覆っていると共に、前記絶縁層の前記第2電極配線及び前記第2配線とそれぞれ対向する位置に複数のスルーホールが形成されており、前記絶縁層の前記第1シート部材と面する表面には、前記複数のスルーホールを経て前記第2電極配線と前記第2配線とを接続すると共に、前記絶縁層を介して別の前記第2配線及び前記第2電極配線と交差する複数の接続配線が形成されている。
これによると、複数のスルーホールを経て第2配線と第2電極配線とを複数の接続配線で接続することによって、第1シート部材及び第2シート部材の互いに対向する直交方向の一端部に第1及び第2配線部を形成することが可能になる。このように、第1及び第2配線部がセンサシートの直交方向の一端部に形成されていることで、複数のセンサシートを一方向に複数並べて対応する第2配線同士を接続するときの接続箇所が、互いに異なるセンサシートに形成された感圧抵抗体間以外の領域に配置することが可能になる。そのため、各センサシートにおける圧力分布の測定を適正に行うことができる。また、複数のセンサシートを並べて大面積のセンサシートを構成することが可能になり、1つのセンサシートを比較的小さな面積を有するものとすることができる。そのため、センサシートを製造するための設備を大型化する必要がなくなり、莫大な設備投資が不要となる。
本発明において、前記第1配線部には、別の前記センサシートにおける前記第1電極配線と接続された前記第1配線と接続可能な複数の中継配線が形成されていることが好ましい。これにより、複数のセンサシートを接続した大面積センサシートを、同じ配線パターンを有する複数のセンサシートの対応する第2配線同士及び中継配線と隣接する別のセンサシートの第1配線とを接続するだけで構成することが可能になる。そのため、センサシート毎に第1配線部に形成された配線パターンを変更する必要がなくなる。
また、このとき、前記第1配線部には、前記一方向の一端から延在し、且つ、前記第1配線及び前記中継配線とそれぞれ接続された複数の第3配線及び前記複数の第3配線を基板に接続するための第1接続端子を有する第1接続部が形成されており、前記第2配線部には、前記第1接続部と対向すると共に前記一方向の一端から延在し、且つ、前記第2配線とそれぞれ接続された複数の第4配線及び前記第4配線を前記基板に接続するための第2接続端子を有する第2接続部が形成されていてもよい。これにより、他の配線部材を用いなくても、センサシートの各配線を基板に接続することが可能となる。また、複数のセンサシートのうち、1つのセンサシートを除くセンサシートにおいて、第1及び第2接続部を切除することで、当該1つのセンサシートに続けて複数のセンサシートを接続することが可能になる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここでは、本発明に係るセンサシートが、体圧分布測定システムの一部である体圧分布センサシートとして設置されている一実施形態に関して説明する。図1は、本発明の一実施形態による体圧分布測定システムの全体図である。
体圧分布測定システム1は、PC(パーソナルコンピュータ)100、ディスプレイ70、ベッド90、センサコネクタ75及び3枚の体圧分布センサシート11〜13が互いに接続された連結センサシート10を含んでいる。連結センサシート10は、ベッド90の表面に設置されており、センサコネクタ75を介してPC100の制御基板(不図示)に接続されている。また、本システムは、連結センサシート10の上に患者(図示せず)が寝ている状態で使用され、ベッド使用時の体圧測定により、長時間同じ体勢で寝たきりになっている患者が、ベッド90との間で床ずれを起こしやすい箇所などをモニタリングするために使用されるものである。
体圧分布測定システム1では、キーボード110、マウス120によりPC100を操作することで、患者の体圧分布の状態をモニタリングすることができる。体圧分布測定システム1では、連結センサシート10により測定された体圧測定データがPC100に送信され、その体圧分布測定結果がディスプレイ70に表示される。
また、体圧分布測定システム1においては、ベッド90が設置された場所と、PC100が設置された場所とは互いに離れている場合には、PC100において患者の体圧分布状態が遠隔監視することができる。
図2は、連結センサシート10の平面図である。連結センサシート10は、3枚の体圧分布センサシート11〜13が縦方向(一方向:図2中上下方向)に並べられ、互いに中継コネクタ80で接続されることで構成されている。連結センサシート10を構成する3枚の体圧分布センサシート11〜13のうち、体圧分布センサシート12,13は同様な構成を有しており、残りの体圧分布センサシート11はこれらとは若干異なる構成を有している。ただし、体圧分布センサシート11は、体圧分布センサシート11から後述の第1及び第2接続部251,261を切除することで体圧分布センサシート12,13と同様な構成となる。これより、以下の説明においては、体圧分布センサシート11の詳細を説明し、体圧分布センサシート12,13の詳細の説明を省略する。
次に図3〜図10を用いて、体圧分布センサシート11の構造について説明する。図3は、図2に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。図4は、図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。図5は、体圧分布センサシート11の第1シート部材の平面図である。図6は、図5に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。図7は、第1シート部材上に形成される絶縁層の平面図である。図8は、体圧分布センサシート11の第2シート部材の平面図である。図9は、図8に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。図10は、第2シート部材上に形成される絶縁層の平面図である。なお、図8〜図10においては、図2に示す体圧分布センサシート11,12の境界部分を展開中心線として、下側(ベッド90側)の第1シート部材21から第2シート部材41を引き剥がして展開したときの第2シート部材41を描いているため、第1シート部材21の上下方向とは逆になっている。また、図3,図5,6及び図8,9においては、図を見やすくするため後述の絶縁層241〜244を省略して描いているが、実際には、図7及び図10に示す絶縁層241〜244が第1及び第2シート部材21,41上に形成されている。
体圧分布センサシート11の全体構造について説明する。体圧分布センサシート11は、図2に示すように、略長方形平面形状を有している。また、体圧分布センサシート11は、図3に示すように、第1シート部材21と、第2シート部材41と、それらに挟まれた複数の感圧部200と、複数の行配線電極(第1電極配線)211と、複数の列配線電極(第2電極配線)221とを有している。また、体圧分布センサシート11には、複数の開口15,16及び複数の切り込み17が形成されている。
複数の感圧部200は、互いに離隔し且つ縦方向(一方向:図3中上下方向)及び縦方向と直交する横方向(直交方向:図3中左右方向)の2方向にマトリクス状に配列されている。具体的には、図2に示すように、横方向に26個の感圧部200が配列されてなる感圧部行201a〜201qが互いに平行に17行並べられており、縦方向に17個の感圧部200が配列されてなる感圧部列202a〜202zが互いに平行に26列並べられている。
次に、感圧部の構造について説明する。ここでは、1つの感圧部200の構造について説明するがいずれの感圧部200においても同様な構成である。感圧部200は、図4に示すように、第1シート部材21上に形成された感圧電極(第1電極)22と、感圧電極22上に形成された感圧抵抗体23と、第2シート部材41上であって感圧電極22と対向する位置に形成された感圧電極(第2電極)42と、感圧電極42上に形成された感圧抵抗体43とを有している。図4に示すように、感圧電極22は感圧抵抗体23によって覆われており、感圧電極42は感圧抵抗体43によって覆われている。ここで、感圧抵抗体は、感圧導電性インクを乾燥固化させたものである。感圧導電性インクは、加えられた圧力に応じてその電気抵抗が変化するという性質を有する。
次に、体圧分布センサシート11の開口15,16及び切り込み17について説明する。ここでは、図3において、感圧部行201b及び感圧部列202aに属する感圧部200(以下、感圧部200aと称する場合がある)と、感圧部行201a及び感圧部列202bに属する感圧部200(以下、感圧部200bと称する場合がある)との間に形成される2つの開口15,16及びこれら開口15,16を接続する切り込み17を例にとって説明する。
図3に示すように、左上から右下へ向かう第1斜め方向に関して隣り合う、一対の感圧部200a,200bの間の領域には、感圧部200bの周囲近傍において、感圧部200a側に第1の開口15が配置されている。また、感圧部200aの周囲近傍において、感圧部200b側に第2の開口16が配置されている。そして、第1の開口15の中央位置と、第2の開口16の中央位置とを直線状に結ぶように切り込み17が配置されている。各開口15,16及び切り込み17は、プレス加工又はレーザ加工で形成されており、体圧分布センサシート11を表から裏に貫通している。
第1の開口15は、感圧部200a側に向かって凸に形成され、且つ、感圧部200bの感圧部200a側の半円形の端部に沿って形成された辺15aと、切り込み17の感圧部200b側の一端から横方向に沿って略直線状に延在した辺15bと、切り込み17の感圧部200b側の一端から縦方向に沿って略直線状に延在した辺15cとを含んでおり、これら3つの辺15a〜15cに取り囲まれることで、その開口形状が画定されている。なお、切り込み17と2つの辺15b,15cの接続部分にはアール加工が施されているため、2つの辺15b,15cが切り込み17の一端から僅かに湾曲してから直線状に延在しているが、アール加工が施されていない場合は切り込み17の一端から直線状に延在する。また、2つの辺15b,15cと辺15aの接続部分においてもアール加工が施されている。
第2の開口16は、感圧部200b側に向かって凸に形成され、且つ、感圧部200aの感圧部200b側の半円形の端部に沿って形成された辺16aと、切り込み17の感圧部200a側の他端から横方向に沿って略直線状に延在した辺16bと、切り込み17の感圧部200a側の他端から縦方向に沿って略直線状に延在した辺16cとを含んでおり、これら3つの辺16a〜16cに取り囲まれることで、その開口形状が画定されている。なお、切り込み17と2つの辺16b,16cの接続部分にもアール加工が施されているため、2つの辺16b,16cが切り込み17の他端から僅かに湾曲してから直線状に延在しているが、アール加工が施されていない場合は切り込み17の他端から直線状に延在する。また、2つの辺16b,16cと辺16aの接続部分においてもアール加工が施されている。
また、体圧分布センサシート11の端部では、その位置によって、第1斜め方向について隣り合う感圧部が存在しない場合があるが、そのような感圧部の周囲にも、第1の開口15及び第2の開口16の両方が配置されている。
切り込み17は、第1斜め方向に沿って延在しており、第1斜め方向に沿って平行な2つの辺17a,17bを有している。切り込み17は、第1斜め方向に直交する第2斜め方向に所定の幅を有しており、2つの辺17a,17bが互いに離隔している。そして、切り込み17の辺17aが第1の開口15の辺15b及び第2の開口16の辺16cと繋がっており、切り込み17の辺17bが第1の開口15の辺15c及び第2の開口16の辺16bと繋がっており、第1及び第2の開口15,16及び切り込み17が接続された1つの開口が構成されている。
以上のようにして、体圧分布センサシート11の全面において、複数の感圧部200の周囲には、第1の開口15及び第2の開口16が配置される。また、体圧分布センサシート11において、第1斜め方向に関して隣り合う感圧部同士の第1の開口15と第2の開口16とが、切り込み17により接続される。この結果、図3に示すように、体圧分布センサシート11の全面において、切り込み17が、第1斜め方向に沿って形成され、全てが互いに平行に配置される。
このような第1及び第2の開口15,16、切り込み17が形成されていることで、体圧分布センサシート11の横方向の両端を横方向に引っ張ると、体圧分布センサシート11は第1及び第2の開口15,16及び切り込み17によって表面を立体的に変化させながら、全体として横方向に大きく伸長する。
同様に、体圧分布センサシート11の他方向の両端を縦方向に引っ張ると、体圧分布センサシート11は、第1及び第2の開口15,16及び切り込み17によって表面を立体的に変化させながら、全体として縦方向に大きく伸長する。
このように体圧分布センサシート11は、縦方向と横方向とに伸長性を有しており、柔軟性のあるマットや布団などの上に配置した場合でも皺が生じないため、患者の体圧分布を適正に測定することができる。また、体圧分布センサシート11は、第1及び第2の開口15,16及び切り込み17の長さを比較的短くできるため、これらを形成する作業を低コストで迅速に行うことができる。また、体圧分布センサシート11の第1及び第2の開口15,16及び切り込み17を上記のようなパターンとすることで、簡単な構成により、体圧分布センサシート11の縦方向及び横方向の伸長性を向上させることができる。加えて、第1及び第2の開口15,16及び切り込み17同士が交差しないようにしつつ、体圧分布センサシート11の縦方向及び横方向の伸長性をより向上させることができる。さらに、体圧分布センサシート11の縦方向及び横方向の伸長性を等しくすることが出来る。また、切り込み17の互いに平行な辺17a,17bが離隔するような幅を切り込み17が有しているため、体圧分布センサシート11が折り曲げられるように撓んでも、切り込み17の辺17a,17b同士が接触しなくなる。辺17a,17b同士が接触しなくなると、体圧分布センサシート11が撓んだときに、辺同士の接触の影響が感圧部200に影響しなくなるので、圧力分布の測定をより適正に行うことができる。
本実施形態においては、第1シート部材21及び第2シート部材41の材料として、厚さが数十μmの透明なPET(ポリエチレンテレフタラート)を用いる。しかし、シートの材料には限定されず、ポリエステルやポリイミド等を用いてもよい。なお、複数の感圧部200は、図2及び図3の視野では第2シート部材41に隠れた位置にあるが、第1シート部材21、第2シート部材41の材料は透明なPETであり、これらは透けて見えるため、図2及び図3においては実線で示してある。なお、図3においては、行及び列配線電極211,221も実線で示してある。
図5に示すように、第1シート部材21は、略長方形平面形状を有しており、図5中左端部を除く領域に各感圧部200を構成する感圧電極22及び感圧抵抗体23が形成されている。また、第1シート部材21上には、17本の行配線電極211が形成されており、これら行配線電極211により、感圧部行201a〜201qに属する複数の感圧電極22同士が互いに接続されている。具体的には、図3において、感圧部200aを例にとると、感圧部200aに含まれる感圧電極22は、第1シート部材21上の行配線電極211により、感圧部行201bに属する複数の感圧部200にそれぞれ含まれる第1シート部材21上の他の感圧電極22と接続されている。なお、行配線電極211は、上述の第1の開口15,第2の開口16及び切り込み17と交差しないように横方向に湾曲しながら延在している。
第1シート部材21の左端部(一端部)には、図5及び図6に示すように、体圧分布センサシート11に形成された17本の行配線電極211とそれぞれ接続され縦方向に延在した17本の第1配線電極(第1配線)212と、34本の中継配線電極(中継配線)213と、1本の予備配線電極214とが配設された第1配線部215が形成されている。また、第1シート部材21上には、図7に示す絶縁層241が形成されている。この絶縁層241は、第1シート部材21に対応した形状及びサイズを有しており、主に感圧抵抗体23、切り込み17、端子216,218(後述する)と対向する領域が除かれている。この絶縁層241によって行配線電極211、第1配線電極212、中継配線電極213及び予備配線電極214が覆われている(図4参照)。また、絶縁層241の感圧抵抗体23と対向する領域は、図4に示すように、感圧抵抗体23よりも一回り大きく取り除かれており、絶縁層241が感圧抵抗体23と接触しないように配置されている。
第1配線部215の下端部には、第1配線電極212、中継配線電極213及び予備配線電極214とそれぞれ接続された52個の端子216からなる端子列が形成されている。第1配線部215の上端部にも、52個の端子218が形成されているが、これらのうち、35個の端子218が中継配線電極213及び予備配線電極214とそれぞれ接続されている。
第1配線部215には、その下端から延在した第1接続部251が形成されている。第1接続部251は、第1シート部材21が第1配線部215の下端から図6中下方に延在し、そこから左方に延在してから上方に延在した延在部分と、端子216を介して第1配線電極212、中継配線電極213及び予備配線電極214とそれぞれ接続された複数の配線電極(第3配線)252と、各配線電極252の一端に形成され配線電極252をセンサコネクタ75に接続するための複数の接続端子(第1接続端子)253とを有している。なお、配線電極252と接続端子253は、第1シート部材21の延在部分上に形成されている。この第1接続部251上にも、図7に示す絶縁層242が形成されている。絶縁層242は、第1シート部材21の延在部分に対応した形状及びサイズを有しており、主に接続端子253と対向する領域が除かれている。この絶縁層242によって配線電極252が覆われている。
図8に示すように、第2シート部材41は、略長方形平面形状を有しており、図8中左端部を除く領域に各感圧部200を構成する感圧電極42及び感圧抵抗体43が形成されている。また、第2シート部材41上には、26本の列配線電極221が形成されており、これら列配線電極221により、感圧部列202a〜202zに属する複数の感圧電極42同士が互いに接続されている。具体的には、図3において、感圧部200aを例にとると、感圧部200aに含まれる感圧電極42は、第2シート部材41上の列配線電極221により、感圧部列202aに属する複数の感圧部200にそれぞれ含まれる第2シート部材41上の他の感圧電極42と接続されている。なお、列配線電極221も、上述の第1の開口15,第2の開口16及び切り込み17と交差しないように縦方向に湾曲しながら延在している。
第2シート部材41の左端部(一端部)には、図8及び図9に示すように、体圧分布センサシート11に形成された26本の列配線電極221とそれぞれ接続され縦方向に延在した26本の第2配線電極(第2配線)222が配設された第2配線部225が形成されている。また、第2シート部材41上には、図10に示す絶縁層243が形成されている。この絶縁層243は、第2シート部材41に対応した形状及びサイズを有しており、主に感圧抵抗体43、切り込み17及び端子226,228(後述する)と対向する領域が除かれている。この絶縁層243によって列配線電極221、第2配線電極222が覆われている(図4参照)。また、絶縁層243の感圧抵抗体43と対向する領域は、図4に示すように、感圧抵抗体43よりも一回り大きく取り除かれており、絶縁層243が感圧抵抗体43と接触しないように配置されている。なお、第2配線部225は、第1シート部材21と第2シート部材41とが貼り合わされて体圧分布センサシート11を構成したときに、第1配線部215と対向する位置に形成されている。
第2配線部225の図9中上端部には、52個の端子226からなる端子列が形成されている。これら端子226のうち、26個の端子と第2配線電極222とがそれぞれ接続されている。第2配線部225の図9中下端部にも、52個の端子228が形成されているが、これらのうち、26個の端子228が第2配線電極222とそれぞれ接続されている。これら端子226,228のそれぞれからなる2つの端子列は、第1シート部材21と第2シート部材41とを貼り合わせて体圧分布センサシート11を構成したときに、端子216,218のそれぞれからなる2つの端子列と互いに対向しないようにずれて配置されている(図11参照)。
第2配線部225には、その上端から延在した第2接続部261が形成されている。第2接続部261は、第2シート部材41が第2配線部225の上端から図9中上方に延在し、そこから左方に延在してから下方に延在した延在部分と、端子226とそれぞれ接続された複数の配線電極(第4配線)262と、各配線電極262の一端に形成され配線電極262をセンサコネクタ75に接続するための複数の接続端子(第2接続端子)263とを有している。なお、配線電極262と接続端子263は、第2シート部材41の延在部分上に形成されている。この第2接続部261上にも、図10に示す絶縁層244が形成されている。絶縁層244は、第2シート部材41の延在部分に対応した形状及びサイズを有しており、主に接続端子263と対向する領域が除かれている。この絶縁層244によって配線電極262が覆われている。
絶縁層243には、図10に示すように、第2シート部材41の第2配線部225と対向しない領域(すなわち、複数の感圧電極42及び感圧抵抗体43が形成された領域)に26個のスルーホール245が形成されている。これらスルーホール245は、列配線電極221とそれぞれ対向する位置に配置されている。また、絶縁層243の第2配線部225と対向する領域にも、26個のスルーホール246が形成されている。これらスルーホール246は、第2配線電極222とそれぞれ対向する位置に配置されている。
絶縁層243上には、図3及び図8に示すように、横方向に湾曲しながら延在し且つ列配線電極221と第2配線電極222とを接続する26本の接続配線電極(接続配線)223が形成されている。これら接続配線電極223は、図4に示すように、絶縁層243の第1シート部材21と対向する表面に形成されている。このように接続配線電極223が、絶縁層243上に形成されているため、接続配線電極223を列配線電極221と第2配線電極222と交差し且つ重なるように配設することが可能となる。各接続配線電極223は、スルーホール245を経てその一端が列配線電極221と接続されており、スルーホール246を経て他端が第2配線電極222と接続されている。すなわち、対応する列配線電極221と第2配線電極222は、接続配線電極223によってそれぞれ接続されている。
以上のような、感圧電極22、感圧抵抗体23、行電極配線211、第1配線部215及び第1接続部251が形成された第1シート部材21と、感圧電極42、感圧抵抗体43、列電極配線221、第2配線部225及び第2接続部261が形成された第2シート部材41とを粘着層290を介して接着することで、体圧分布センサシート11が構成される。なお、粘着層290は、絶縁層241,242と絶縁層243,244間から外側にはみ出さないように形成されており、図4に示すように、感圧抵抗体23,43から離隔されている。
次に、3枚の体圧分布センサシート11〜13を互いに接続したときの接続構造について以下に説明する。図11は、体圧分布センサシート同士が中継コネクタによって接続された接続構造を示す説明図である。図11(a)は、2枚の体圧分布センサシート11,12が中継コネクタ80を介して接続されたときの中継コネクタ80近傍の断面図である。図11(b)は、図11(a)に示す中継コネクタ80近傍を上方から見たときの部分平面図である。図11(c)は、図11(a)に示す中継コネクタ80近傍を下方から見たときの部分平面図である。
3枚の体圧分布センサシート11〜13をそれぞれ接続するには、まず、体圧分布センサシート11を3枚用意し、そのうちの2枚の体圧分布センサシート11の第1及び第2接続部251,261をそれぞれ切除する。具体的には、図6に示すX−X線に沿って第1シート部材21から第1接続部251を切除し、図9に示すY−Y線に沿って第2シート部材41から第2接続部261を切除して、2枚の体圧分布センサシート12,13を作製する。
次に、図11に示すように、中継コネクタ80を介して2つの体圧分布センサシート11,12を接続する。中継コネクタ80には、端子228,226,218,216のそれぞれからなる端子列と嵌合する8つの雌コネクタ81〜84と、雌コネクタ81,82に嵌合された端子228,226をそれぞれ接続する複数の配線からなる配線群85と、雌コネクタ83,84に嵌合された端子218,216をそれぞれ接続する複数の配線からなる配線群86とを有している。
具体的には、体圧分布センサシート11の第2配線電極222と体圧分布センサシート12の第2配線電極222とが接続されるように、端子228からなる端子列を雌コネクタ81に嵌合し、端子226からなる端子列を雌コネクタ82に嵌合する。そして、体圧分布センサシート11の34本の中継配線電極213のうちの17本の中継配線電極213と、体圧分布センサシート12の第1配線電極212とが接続されるように、且つ、体圧分布センサシート11の残りの17本の中継配線電極213及び予備配線電極214と、体圧分布センサシート12の34本の中継配線電極213のうちの18本の中継配線電極213とが接続されるように、端子218からなる端子列を雌コネクタ83に嵌合し、端子216からなる端子列を雌コネクタ84に嵌合する。
次に、別の中継コネクタ80を介して体圧分布センサシート12と体圧分布センサシート13を接続する。このとき、体圧分布センサシート12の第2配線電極222と体圧分布センサシート13の第2配線電極222とが接続されるように、端子228からなる端子列を雌コネクタ81に嵌合し、端子226からなる端子列を雌コネクタ82に嵌合する。これにより、各体圧分布センサシート11〜13の対応する第2配線電極222同士が互いに接続され、すべての感圧電極42が配線電極262及び接続端子263を介してセンサコネクタ75と接続することが可能となる接続構造が構成される。
そして、体圧分布センサシート12の34本の中継配線電極213のうち、体圧分布センサシート11の中継配線電極213と接続された17本の中継配線電極213と、体圧分布センサシート13の第1配線電極212とが接続されるように、且つ、体圧分布センサシート12の残りの17本の中継配線電極213及び予備配線電極214と、体圧分布センサシート12の34本の中継配線電極213のうちの18本の中継配線電極213とが接続されるように、端子218からなる端子列を雌コネクタ83に嵌合し、端子216からなる端子列を雌コネクタ84に嵌合する。これにより、体圧分布センサシート11の感圧電極22が当該シートに形成された第1配線電極212、配線電極252及び接続端子253を介して、体圧分布センサシート12の感圧電極22が第1配線電極212、体圧分布センサシート11の中継配線電極213、配線電極252及び接続端子253を介して、体圧分布センサシート13の感圧電極22が第1配線電極212、体圧分布センサシート11,12の中継配線電極213、配線電極252及び接続端子253を介して、それぞれセンサコネクタ75と接続することが可能となる接続構造が構成される。
次に、連結センサシート10を用いた体圧分布測定システム1により、ベッド90上に設置した連結センサシート10の上に寝ている患者の体圧分布を測定する手順について以下に説明する。
まず、キーボード110やマウス120によりPC100を操作することで、PC100内部に予めインストールされた体圧分布測定ソフトウェア(図示せず)を起動する。このソフトウェアに対して、データ読み込みの指示が与えられると、PC100からの命令により、各体圧分布センサシート11〜13の行配線電極211に順に電圧が印加され、各列配線電極221における電圧が、行配線電極211ごとに体圧分布センサシート11に接続されたセンサコネクタ75において検出される。
体圧分布は、上記のようにして、各体圧分布センサシート11〜13の感圧抵抗体ごとに抵抗値の変化を計測することで計算される。ここで、センサコネクタ75は、体圧分布センサシート11の第1及び第2接続端子253,263に対応した端子を内蔵しており、体圧分布センサシート11との間で電気信号を送受信できる構造になっている。また、センサコネクタ75は、分割入力された信号を一つにまとめるマルチプレクサ及びAD変換ボードを内蔵しており、連結センサシート10から受け取ったアナログデータである電気信号をデジタル信号に変換して、PC100に転送する。
そして、上記のようにセンサコネクタ75からPC100に転送された圧力分布測定データの電気信号がPC100内部に読み込まれる。
以上のようにして、計測された各感圧抵抗体の抵抗値に対して、PC100内の体圧分布測定ソフトウェアにより適当な計算が行われ、連結センサシート10上の体圧分布測定結果がディスプレイ70に表示される。ここで、患者の体圧分布は、連結センサシート10全体に相当する画像を二次元表示して、感圧抵抗体ごとの圧力の大きさに応じた色を表示する方法や、感圧抵抗体ごとの圧力の大きさに対応した起伏により、連結センサシート10全体に相当する画像を三次元表示させる方法などにより表現される。また、荷重中心、接触面積、総荷重値等をグラフや表として表示させるようにしてもよい。ディスプレイ70にこれらが表示されることで、連結センサシート10に加わった患者の体圧分布を視覚的に確認することができる。
続いて、体圧分布センサシート11の製造方法について以下に説明する。上述のように体圧分布センサシート12,13は体圧分布センサシート11とほぼ同様な構成であり、製造方法も同じであるため体圧分布センサシート12,13の製造方法の説明は省略する。
感圧電極22などが形成されていない上述の第1シート部材21を用意し、その上に円形平面形状を有する感圧電極22、行配線電極211、第1配線電極212、中継配線電極213、予備配線電極214、端子216,218、配線電極252及び接続端子253となるパターンで銀ペーストを印刷する。
そして、感圧電極22、端子216,218及び接続端子253上、及び、切り込み17となる位置にマスクを施してから、行配線電極211、第1配線電極212、中継配線電極213、予備配線電極214及び配線電極252を覆うように絶縁層241,242を形成する。この後、マスクを除去し、感圧電極22をそれぞれ覆うように、円形の感圧抵抗体23を積層する。このとき、感圧抵抗体23と絶縁層241とが接触しないように感圧抵抗体23を形成する。
次に、感圧電極42などが形成されていない上述の第2シート部材41を用意し、その上に円形平面形状を有する感圧電極42、列配線電極221、第2配線電極222、端子226〜228、配線電極262及び接続端子263となるパターンで銀ペーストを印刷する。
そして、感圧電極42、端子216,218及び接続端子263上、及び、切り込み17及びスルーホール245,246となる位置にマスクを施してから、列配線電極221、第2配線電極222及び配線電極262を覆うように絶縁層243,244を形成する。この後、マスクを除去し、絶縁層243上に接続配線電極223のパターンで銀ペーストを印刷する。そして、感圧電極42をそれぞれ覆うように、円形の感圧抵抗体43を積層する。このとき、感圧抵抗体43と絶縁層243とが接触しないように感圧抵抗体43を形成する。
次に、対応する感圧抵抗体23,43が接触するように、電極及び配線電極などが形成された第1及び第2シート部材21,41を位置合わせしつつ粘着層290を介して貼り合わせる。このとき、感圧抵抗体23,43と粘着層290及び絶縁層241,243との間には隙間が形成されており、この隙間に感圧抵抗体間に残存したエアが逃げ、後に外部に放出される。そして、第1及び第2シート部材21,41を重ね合わした後で、レーザ加工又はプレス加工により、上述した第1及び第2の開口15,16及び切り込み17を形成すると、図2に示す体圧分布センサシート11となる。
以上のような体圧分布センサシート11〜13によると、複数のスルーホール245,246を経て第2配線電極222と列配線電極221とを複数の接続配線電極223で接続することによって、第1シート部材21及び第2シート部材41の互いに対向する、横方向の一端部(図2中左端部)に第1及び第2配線部215,225を形成することが可能になる。このように、第1及び第2配線部215,225が体圧分布センサシート11〜13の横方向の一端部に形成されていることで、3枚の体圧分布センサシート11〜13を縦方向に並べて対応する列配線電極221同士を接続するときの接続箇所が、互いに異なるセンサシートに形成された感圧抵抗体間以外の領域に配置することが可能になる。そのため、隣接するセンサシートの境界近傍においても各体圧分布センサシート11〜13で圧力分布の測定を適正に行うことができる。また、3枚の体圧分布センサシート11〜13を並べて大面積の連結センサシート10を構成することが可能になり、1つの体圧分布センサシートを比較的小さな面積を有するものとすることができる。そのため、体圧分布センサシート11〜13を製造するための設備を大型化する必要がなくなり、莫大な設備投資が不要となる。
また、第1配線部215に中継配線電極213が形成されていることで、3枚の体圧分布センサシート11〜13からなる連結センサシート10を、同じ配線電極パターンを有する各センサシート11〜13の対応する列配線電極221同士、及び、体圧分布センサシート11の中継配線電極213と隣接する体圧分布センサシート12の第1配線電極212とを、さらに、体圧分布センサシート12の中継配線213と隣接する体圧分布センサシート13の第1配線電極212とを接続するだけで構成することが可能になる。そのため、各体圧分布センサシート11〜13の第1配線部215に形成された配線電極パターンを変更する必要がなくなる。
また、体圧分布センサシート11に第1及び第2接続部251,261が形成されていることで、他の配線部材を用いなくても、センサコネクタ75を介して体圧分布センサシート11の各配線電極を制御基板に接続することが可能となる。また、体圧分布センサシート11の第1及び第2接続部251,261を切除することで体圧分布センサシート12,13を得ることが可能となり、体圧分布センサシート11に続けて体圧分布センサシート12,13を接続することが可能になる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、本実施形態における体圧分布センサシート11は、中継配線電極213が形成されていなくてもよい。この場合、体圧分布センサ11〜13の第1配線電極212を他の配線部材を用いてセンサコネクタ75に接続させればよい。また、体圧分布センサシート11に第1接続部251及び第2接続部261が形成されていなくてもよい。この場合も他の配線部材を用いて第1及び第2配線電極212,222、中継配線電極213をセンサコネクタ75に接続させればよい。また、体圧分布センサシート11〜13に第1及び第2の開口15,16、切り込み17が形成されていなくてもよい。本実施形態においては、17行26列の感圧電極を有する体圧分布センサシート11について説明しているが、これは一例であり、感圧電極の数は変更可能である。
また、本実施形態において、感圧電極を円型としているが、感圧電極の形状は円形には限られず、例えば多角形であってもよい。また、本実施形態においては、感圧抵抗体に感圧導電性インクを用いているが、感圧導電性インク以外でも、感圧導電性ゴムなど圧力により電気抵抗が変化するものであればよい。
また、本実施形態においては、銀ペーストの印刷により電極などを形成しているが、電極の材料は、銀ペースト以外でも導電性のあるインクであればよい。また、印刷を伴わない例えばフォトエッチングなどであってもよい。
また、感圧抵抗体が、第1シート部材21上の感圧電極22及び第2シート部材41上の感圧電極42上にそれぞれ形成されているが、いずれか一方の感圧電極上にだけ形成されていてもよい。