以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、いわゆるフラットディスプレイの製造ラインに組み込まれるものであり、機能材料を溶剤に溶解させた機能液を機能液滴吐出ヘッドに導入し、液滴吐出法(インクジェット法を応用した)により、R(赤)・G(緑)・B(青)の3色から成る液晶表示装置のカラーフィルタの着色層や有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
図1および図2に示すように、液滴吐出装置1は、複数の機能液滴吐出ヘッド53を搭載したヘッドユニット16を有し、ワークWに機能液滴による描画を行う描画装置2と、機能液滴吐出ヘッド53の機能維持・保守に供するメンテナンス装置3と、描画装置(機能液滴吐出ヘッド53)に機能液を供給する機能液供給装置4(図示省略)と、各装置を統括制御する制御装置(図示省略)と、を備えている。そして、液滴吐出装置1では、制御装置5による制御に基づいて、描画装置2に描画処理を行わせ、ワークW上に所定の描画パターンを描画させると共に、メンテナンス装置3により適宜メンテナンス処理を行って、機能液滴吐出ヘッド53の機能維持・保守を図るようになっている。
図1および図2に示すように、描画装置2は、石定盤等で構成されたX軸支持ベース11と、X軸支持ベース11上に配設され、ワークWをセットしてこれを主走査方向となるX軸方向に移動させるためのX軸テーブル12と、複数本の支柱13を介してX軸テーブル12を跨ぐように架け渡された1対(2つ)のY軸支持ベース14と、Y軸支持ベース14上に配設されたY軸テーブル15と、複数の機能液滴吐出ヘッド53(図示省略)が搭載された7つのキャリッジユニット51から成り、副走査方向となるY軸方向に対して、Y軸テーブル15に移動自在に支持されたヘッドユニット16と、を備えている。
また、描画装置2には、駆動・制御用の圧縮エアーを供給するエアー供給装置(図示省略)や、ワークWをセットするためにエアー吸引を行うエアー吸引装置(図示省略)の他、ワークWをセット(位置補正)する際に用いられる一対のワーク認識カメラ21、ヘッドユニット16の位置補正を行うためのヘッド認識カメラ(図示省略)等の各種付帯装置が備えられている。
なお、図1における図示手前の位置が未処理のワークWを導入すると共に、処理済みのワークWを回収するためのワーク載せ換え位置となっていると共に、X軸テーブル12とY軸テーブル15とが交わる場所が、ワークWに対して描画を行うためのヘッドユニット16の描画位置となっている。
図1および図2に示すように、X軸テーブル12は、ワークWをセットするセットテーブル31と、セットテーブル31をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ32と、X軸方向に延在し、セットテーブル31を介してワークWをX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ(図示省略)と、X軸リニアモータに並設され、X軸エアースライダ32の移動を案内する一対(2本)のX軸ガイドレール33と、X軸ガイドレール33に並設され、セットテーブル31を介してワークWの位置を把握するためのX軸リニアスケール(図示省略)と、を備えている。
そして、一対のX軸リニアモータを(同期させて)駆動すると、一対のX軸ガイドレール33にガイドされた状態で、X軸エアースライダ32がX軸方向に移動し、セットテーブル31にセットされたワークWがX軸方向に移動する。
なお、セットテーブル31は、エアー吸引装置からのエアー吸引によりワークWを吸着セットする吸着テーブル34と、吸着テーブルを回動自在に支持し、吸着テーブル34に吸着セットしたワークWをθ補正するためのθテーブル(図示省略)等を有している。そして、吸着テーブル34に吸着セットされたワークWは、上記した一対のワーク認識カメラ21により画像認識され、θテーブルを介してθ補正される。
Y軸テーブル15は、ヘッドユニット16を構成する7つの各キャリッジユニット51をそれぞれ挿通して固定した7つのブリッジプレート41と、7つのブリッジプレート41の両端を支持する7組14個のY軸スライダ(図示省略)と、上記した一対のY軸支持ベース14上に設置され、7組14個のY軸スライダを介してブリッジプレート41をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、Y軸リニアモータと並んでY軸支持ベース14上に設置され、7組14個のY軸スライダを支持して、各Y軸スライダの移動を案内する一対のY軸ガイドレール(図示省略)と、Y軸ガイドレールに並設され、各キャリッジユニット51の位置をそれぞれ把握するためのY軸リニアスケール(図示省略)と、を備えている。
一対のY軸リニアモータを(同期させて)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸ガイドレールを案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート41が両端を支持された状態でY軸方向を移動し、これと共にキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、各ブリッジプレート41(各キャリッジユニット51)を独立させて個別に移動させることも可能であるし、7つの全ブリッジプレート41をヘッドユニット16として一体に移動させることも可能である。
図1および図2に示すように、ヘッドユニット16は、同様に構成された7つのキャリッジユニット51をY軸方向に整列させて構成されている。各キャリッジユニット51は、ヘッドプレート52にヘッド保持プレート(図示省略)を介して12個の機能液滴吐出ヘッド53を搭載し、これをキャリッジ54に支持させて構成されている。
図3に示すように、ヘッドプレート52は、ステンレス等の厚板で平面視略平行四辺形に形成されている。ヘッドプレート52には、ヘッド保持プレートを介して機能液滴吐出ヘッド53を位置決め・装着するための開口(図示省略)が設けられており、各ヘッドプレート52に12個の機能液滴吐出ヘッド53を搭載すると、12個の機能液滴吐出ヘッド53のノズル列(後述する)がY軸方向において連続(一部重複)して、1本の分割描画ラインが形成されるようになっている。なお、本実施形態では、12個の機能液滴吐出ヘッド53をX軸方向およびY軸方向にそれぞれ位置ずれさせた階段状の配置パターンを採用しているが、各機能液滴吐出ヘッド53のノズル列がY軸方向に連続してさえいれば、機能液滴吐出ヘッド53の配置パターンを任意に設定可能である。
図4に示すように、機能液滴吐出ヘッド53(インクジェットヘッド)は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針62を有する機能液導入部61と、機能液導入部61に連なる2連のヘッド基板63と、機能液導入部61の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体64と、を備えている。接続針62は、図外の機能液供給装置4(機能液タンク)に接続され、機能液導入部61に機能液を供給する。ヘッド本体64は、キャビティ65(ピエゾ圧電素子)と、多数の吐出ノズル68が開口したノズル面67を有するノズルプレート66と、で構成されている。機能液滴吐出ヘッド53を吐出駆動すると、(ピエゾ圧電素子に電圧が印加され)キャビティ65のポンプ作用により、吐出ノズル68から機能液滴が吐出される。
なお、多数の吐出ノズル68は、二分され、等ピッチ(約140μm間隔)に整列して、2列の分割ノズル列を形成していると共に、2列の分割ノズル列同士は、相互に半ピッチ(約70μm)分位置ずれしている。すなわち、機能液滴吐出ヘッド53には、2列の分割ノズル列により半ピッチ間隔のノズル列が形成され、高解像度の描画が可能となっている。
図示省略したが、キャリッジ54は、(機能液滴吐出ヘッド53を搭載した)ヘッドプレート52を支持するキャリッジ本体と、キャリッジ本体を介してヘッドプレート(機能液滴吐出ヘッド53)をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構と、θ回転機構を介して、ヘッドプレート52をY軸テーブル15(各ブリッジプレート41)に支持させる吊設部材と、を備えている。吊設部材には、θ回転機構を介してヘッドプレート52を昇降させるヘッド昇降機構(図示省略)が組み込まれており、ヘッドプレート52(機能液滴吐出ヘッド53のノズル面67)の高さ位置を調整可能に構成されている。
そして、7つの各キャリッジ54を7つの各ブリッジプレート41にそれぞれ支持させ、7つのキャリッジユニット51をY軸方向に整列させることにより、ヘッドユニット16が構成される。この場合、各キャリッジユニット51は、上記したヘッド認識カメラにより撮像され、その画像認識に基づいて各キャリッジユニット51のθ回転機構が駆動される。これにより、各キャリッジユニット51(ヘッドプレート52)の水平面内における位置が補正され、ヘッドユニット16においては、各キャリッジユニット51の7本の分割描画ラインがY軸方向に連続する1描画ラインが形成される。
ここで、ワークWに描画処理を行うときの描画装置2の一連の動作について説明する。先ず、X軸テーブル12が駆動され、セットテーブル31を介してワークWをX軸方向に往動する。このワークWの往動と同期して、描画位置に臨むヘッドユニット16の(複数の)機能液滴吐出ヘッド53が駆動され、ワークWに対する機能液滴の選択的な吐出(描画)が行われる。このとき、セットテーブル31は、所定の速度に達するまで加速移動した後、等速移動してから減速してワークWの往動が終了するが、本実施形態では、描画精度も安定させるためにワークWに対する描画を等速移動中に行うように構成されている。
ワークWの往動が終了すると、Y軸テーブル15が駆動され、ヘッドユニット16が所定距離だけY軸方向に移動する。そして、再度、X軸テーブル12が駆動されると共に、これと同期して機能液滴吐出ヘッド53の吐出駆動が為され、ワークWの復動とワークWに対する機能液滴の選択的な吐出が行われる。このように、描画装置2では、ワークWのX軸方向への移動とこれに同期した機能液滴吐出ヘッド53の吐出駆動(主走査)と、ヘッドユニット16のY軸方向への移動(副走査)と、を交互に繰り返すことにより、ワークWに対する描画処理を行ってゆく。
なお、本実施形態では、主走査および副走査を繰り返しながら描画処理を行う構成としたが、ヘッドユニット16の1描画ラインは、セットテーブル31にセット可能な最大規格のワークWのY軸方向の幅に対応しているため、1回の主走査(すなわち、ラインプリンタ様に)で描画処理を行うことも可能である。また、本実施形態では、ワークWの往動時および復動時において機能液滴吐出ヘッド53を吐出駆動するようになっているが、往動時(または復動時)のみに吐出駆動させるようにしてもよい。さらに、本実施形態の主走査では、ヘッドユニット16に対してワークWをX軸方向に移動させているが、ワークWに対してヘッドユニット16をX軸方向に移動させる構成とすることも可能である。同様に、副走査でも、ヘッドユニット16のY軸方向への移動に代えて、ワークWをY軸方向に移動させる構成とすることも可能である。
次に、メンテナンス装置3について説明する。図1および図2に示すように、メンテナンス装置3は、機能液滴吐出ヘッド53からの捨て吐出を受けるフラッシングユニット81と、機能液滴吐出ヘッド53から機能液を強制的に排出させるための吸引ユニット82と、機能液滴吐出ヘッド53のノズル面67を払拭するワイピングユニット83と、を備えている。
フラッシングユニット81は、(1枚の)ワークWに対する一連の描画処理中において、ヘッドユニット16の全機能液滴吐出ヘッド53から捨て吐出される機能液、すなわち描画フラッシングの機能液を受ける描画フラッシングユニット91と、ワークWの載せ換え時等にように描画処理が一時的に休止される時(描画待機中)のヘッドユニット16の全機能液滴吐出ヘッド53から捨て吐出される機能液、すなわち非描画フラッシングの機能液を受ける非描画フラッシングユニット92と、を備えている。
なお、「捨て吐出」は、機能液滴吐出ヘッド53の吐出ノズル68内で(気化等により)粘度が増した機能液を排出すると共に、吐出ノズル68に状態の良い新たな機能液を供給するために行われるものであり、捨て吐出により、機能液滴吐出ヘッド53の(全)吐出ノズル68から機能液滴を吐出させることで、機能液滴吐出ヘッド53を適切な状態に維持することができるようになっている。
図1および図2に示すように、描画フラッシングユニット91は、セットテーブル31に支持され、機能液を受ける一対の描画フラッシングボックス101を有している。各描画フラッシングボックス101は、底部に吸収材(図示省略)が敷設された平面視長方形の細長い箱状に形成されている。そして、各描画フラッシングボックス101は、図外のボックス支持部材を介して、その長辺部分が吸着テーブル34のY軸方向に平行な一対の辺(周縁)に沿うようにそれぞれセットテーブル31に支持されている。この場合、描画フラッシングボックス101の上面は、吸着テーブル34の上面と略面一となっている。
このような構成により、吸着テーブル34を介してワークWをX軸方向に往復動させると、(1回の主走査により、ヘッドユニット16がワークWに臨む直前およびヘッドユニット16がワークWから離間した直後のいずれの場合においても)ヘッドユニット16の全機能液滴吐出ヘッド53を順次描画フラッシングボックス101に臨ませることができ、ワークWに対する描画動作の直前・直後に行われる描画フラッシングの機能液を適切に受けることができるようになっている。
図1および図2に示すように、非描画フラッシングユニット92は、セットテーブル31と共に上記のX軸エアースライダ32に搭載され、非描画フラッシングによる機能液を受ける非描画フラッシングボックス111を有している。非描画フラッシングボックス111は、上面が開放された平面視長方形のボックス形状に形成されていると共に、ヘッドユニット16(7つのキャリッジユニット51)の全機能液滴吐出ヘッド53からの非描画フラッシングを同時に受けられるように、ヘッドユニット16の全機能液滴吐出ヘッド53を包含し得る十分な大きさに構成されている。そして、非描画フラッシングボックス111は、ワーク載せ換え位置にセットテーブル31を移動させたときに、描画位置に位置するヘッドユニット16の直下に位置するように配置されている。したがって、ワークWの載せ換え中等において、ヘッドユニット16の全機能液滴吐出ヘッド53を吐出駆動して非描画フラッシングを行わせることができるようになっている。
図1および図2に示すように、吸引ユニット82は、X軸テーブル12から外れ、かつY軸テーブル15によるヘッドユニット16の移動軌跡上に設置されたメンテナンス架台84上に配設されている。吸引ユニット82は、ヘッドユニット16の7個の各キャリッジユニット51に対応して7個設けられており、これらは上記メンテナンス架台84上に整列配置されている。各吸引ユニット82は、キャリッジユニット51に搭載されている12個の機能液滴吐出ヘッド53(ノズル面67)に下側から密着してこれを封止するための12個のキャップ121と、12個のキャップ121を昇降自在に支持し、機能液滴吐出ヘッド53に対してキャップ121を離接させるキャップ昇降機構(図示省略)と、密着させたキャップ121を介して各機能液滴吐出ヘッド53に吸引力を作用させる吸引手段(エゼクタ:図示省略)と、を備えている。
そして、機能液の吸引(機能液の強制排出)は、Y軸テーブル15を駆動してヘッドユニット16の各キャリッジユニット51を各吸引ユニット82上まで移動させた後、キャップ昇降機構を駆動して機能液滴吐出ヘッドにキャップ121を密着させてから、吸引手段を駆動させることにより行う。この機能液の吸引は、機能液滴吐出ヘッド53(吐出ノズル68)の目詰まりを解消/防止するために行われる他、液滴吐出装置1を新設した場合や、機能液滴吐出ヘッド53のヘッド交換を行った場合などに、機能液滴吐出ヘッド53に機能液を充填するために行われる。
また、吸引ユニット82(のキャップ121)は、液滴吐出装置1の非稼動時に、機能液滴吐出ヘッド53を保管するためにも用いられる。この場合、吸引ユニット82にヘッドユニット16を臨ませ、機能液滴吐出ヘッド53のノズル面67にキャップ121を密着させることにより、ノズル面67を封止して、機能液滴吐出ヘッド53(吐出ノズル68)の乾燥を防止する。
図1および図2に示すように、ワイピングユニット83は、吸引ユニット82と共に上記メンテナンス架台84上に配設されている。ワイピングユニット83は、ワイピングシート141で機能液滴吐出ヘッド53のノズル面67を拭き取る(ワイピング)ものであり、ロール状に巻回したワイピングシート141を繰り出し送りしながら巻き取ってゆく巻取りユニット142と、繰出したワイピングシート141に洗浄液を供給(噴霧)する洗浄液供給ユニット143と、洗浄液が供給されたワイピングシート141を周回させ、これをノズル面67に当接させるための拭取りローラ146を有する拭取りユニット145と、ワイピングシート141を介して拭取りローラ146がノズル面67に当接可能な拭取り位置とノズル面67から拭取りローラ146が離間する拭取り待機位置との間で、これら拭取りユニット145を昇降自在に支持するユニット昇降機構(図示省略)と、を備えている。
そして、ユニット昇降機構により(拭取り待機位置にあった)拭取りローラ146を拭取り位置まで上昇させた状態で、Y軸テーブル15を駆動すると、ヘッドユニット16(キャリッジユニット51)に搭載された機能液滴吐出ヘッド53のノズル面67に対してワイピングシート141が摺接してゆき、ノズル面67が順次ワイピングされていく。この場合、巻取りユニット142により、ワイピングシート141を繰出し送りしながらノズル面67の拭取りを行うようにしても良いし、ワイピングシート141の繰出し送りを停止させた状態でノズル面67を拭取るようにしても良い。後者の場合、ワイピング開始前またはワイピング終了後にワイピングシート141の繰出し送りを適宜行うようにし、拭取り済みのワイピングシート141を適宜巻き取ることが好ましい。
なお、非描画ワイピングユニット83は、吸引ユニット82よりも描画装置2側に配設されており、吸引ユニット82による機能液の吸引後に、描画位置に戻るヘッドユニット16に臨んで、効率よくワイピングを行えるようになっている。
機能液供給装置4は、ヘッドユニット16の各キャリッジユニット51にそれぞれ対応して構成されており、機能液滴吐出ヘッド53に供給する機能液を貯留する機能液タンク(図示省略)を有した7つのタンクユニット(図示省略)と、各タンクユニット(機能液タンク)から機能液滴吐出ヘッド53に供給する機能液の圧力を調整する圧力調整弁162を有した7つのバルブユニット161と、を備えている。
制御装置5は、パソコン等で構成され、データ入力、各種設定を行うための入力手段(キーボード等)や、入力データ・各種設定状態等を視認するためのディスプレイ等を備えている(いずれも図示省略)。
次に、図5を参照しながら液滴吐出装置1の主制御系について説明する。液滴吐出装置1は、描画装置2を有する描画部171と、メンテナンス装置3を有するメンテナンス部172と、描画装置2やメンテナンス装置3の各種センサを有し、各種検出を行う検出部173と、各部を駆動する各種ドライバ(描画装置2を駆動するための描画ドライバやメンテナンス装置3を駆動するためのメンテナンスドライバ等)を有する駆動部174と、各部に接続され、液滴吐出装置1全体の制御を行う制御部175(制御装置5)と、を備えている。
制御部175には、描画装置2およびメンテナンス装置3を接続するためのインタフェース181、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAM182、各種記憶領域を有し、制御プログラムや制御データを記憶するROM183、ワークWに描画処理を行うための描画データや、描画装置2およびメンテナンス装置3からの各種データ等を記憶すると共に、各種データを処理するためのプログラム等を記憶するハードディスク184、ROM183、およびハードディスク184に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU185、これらを互いに接続するバス186、が備えられている。
そして、制御部175は、描画装置2、メンテナンス装置3等からの各種データを、インタフェース181を介して入力すると共に、ハードディスク184に記憶された(または、CD−ROMドライブ等により順次読み出される)プログラムに従ってCPU185に演算処理させ、その処理結果を、インタフェース181を介して描画装置2やメンテナンス装置3等に出力することにより、各手段を制御している。
例えば、描画処理時において、制御部175は、インタフェース181を介してX軸リニアスケールからの検出結果に基づいて、機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動するための吐出駆動信号を生成し、これをインタフェース181を介して描画ドライバ(ヘッドドライバ)に出力している。そして、描画ドライバが、この吐出駆動信号に基づいた駆動波形の電圧を機能液滴吐出ヘッドに印加することにより、機能液滴吐出ヘッド53の各吐出ノズル68からの機能液滴の吐出タイミング、吐出量、ショット数(吐出回数)がそれぞれ制御され、ワークWに所定の描画パターンが描画されるようになっている。
次に、カラーフィルタの着色層を作成する場合を例に、液滴吐出装置1に導入されるワークWについて説明する。図6に示すように、ワークWは、石英ガラスやポリイミド等で構成された透光性の(透明)基板601に、機能液滴の着弾部位となる方形の画素領域(フィルタエレメント)607aをマトリクス状に多数配置(すなわち、X軸方向およびY軸方向に整列配置)させたものであり、各画素領域607a間には、これらを仕切る遮光性のバンク603が形成されている。すなわち、上述した液滴吐出装置1により描画される描画パターンは、ワークWにおける画素領域607aの配置に対応して設定され、バンク603で囲まれた各画素領域607a上に、R(赤)・G(緑)・B(青)の機能液滴が所定量吐出されて、膜厚の着色層608(608R、608G、608B)が形成されるようになっている(図11等参照)。
また、ワークWには、一対のアライメントマークMが設けられている。この一対のアライメントマークMが、上記した一対のワーク認識カメラ21に撮像されて位置認識され、ワークWの位置補正が行われることにより、描画位置に臨むヘッドユニット16に対してワークWが精度よくセットされる。
ところで、ワークWに形成された画素領域607aのY軸方向における長さDyが、ヘッドユニット16の1描画ラインを構成する吐出ノズル68のノズルピッチNpよりも大きく、かつ、画素領域607aのY軸方向におけるY軸画素ピッチDpyと、ノズルピッチNpとが非整数倍の関係にあるときに、各画素領域607aに対応可能(描画可能)な吐出ノズルの最大数をn個(nはn≧2以上の自然数)とすると、各画素領域607aには、n個またはn−1個の吐出ノズル68(有効ノズル)が対応する。
このような場合、ワークWに対する描画方法としては、(1)全画素領域607aに対してn−1個の吐出ノズル68を用いて描画する描画方法(第1描画)と(2)画素領域607a毎に対応する吐出ノズル68全てを用いて描画する、すなわち各画素領域607aに対して、n−1個またはn個の吐出ノズル68を用いて描画する描画方法(第2描画)が考えられる。
例えば、図6に示すように、Y軸方向における画素領域607aの長さ(横寸法)DyおよびY軸画素ピッチDpyをそれぞれ170μm、200μm、とし、ノズルピッチNpを70.5(360dpi相当)とすれば、n=3個となり、各画素領域607aには3個または2個の吐出ノズルが対応する。
この条件で、第1描画を適用すると、図7に示すように、全ての各画素領域607aに対して、2個の吐出ノズル68を用いて描画行うこととなる。この場合、各画素領域607aに吐出する機能液量(総量)は一定であるので、各画素領域607aに着弾した機能液滴(機能液塊)のピークの高さ位置は、ばらつきが少なく略均一な高さとなる。一方、第2描画を適用すると、図8に示すように、同一量の機能液を吐出させるのに、各画素領域607aに3個または2個の吐出ノズル68を用いて描画を行うことになるので、3個の吐出ノズル68を用いて吐出させた機能液塊と、2個の吐出ノズル68を用いて吐出させた機能液塊と、ではそのピークの高さ位置にばらつきが生じるものの、第1描画に比べ、機能液塊のピーク位置をY軸方向における画素領域607aのY軸中心位置Cyに近づけることができる。
機能液塊のピークの高さ位置のばらつき、および画素領域607aのY軸中心位置Cyに対する機能液塊のピーク位置のばらつきは、描画結果(カラーフィルタや、有機EL装置の発光素子等)に筋ムラ(色ムラ)を生じさせる原因になり得るが、どちらのばらつきが、筋ムラを引き起こす最大要因であるかについては適用する機能液の種類やワークWの種類(材質)、ワークWに対する機能液の濡れ性等により異なっている。
例えば、ワークWに対する機能液の濡れ性が高い(濡れ広がり易い)場合には第1描画を、ワークWに対する機能液の濡れ性が低い(濡れ広がり難い:画素領域607aの隅部に機能液を吐出させる必要がある)場合には第2描画を選択することが考えられる。また、吐出した機能液滴のバンク603への乗り上げや画素領域607aからの溢れが問題となる場合には、第1描画を選択することが考えられる。
そこで、本実施形態の液滴吐出装置1では、上記した第1描画または第2描画を択一的に選択可能に構成されており、実情に応じた描画方法を選択することで描画結果に生じる筋ムラ(色ムラ)を有効に低減させることができるようになっている。
具体的には、制御部175(制御装置5)のハードディスク184には、第1描画または第2描画を選択するためのソフトウェア(プログラム)がインストールされており、これに基づいて第1描画または第2描画を選択するようになっている。この場合の選択方法としては、ユーザが入力手段を用いて、第1描画または第2描画を直接入力するようにしても良い。また、機能液の種類、ワークの材質、機能液に対するワークWの濡れ性等に対して、いずれかの描画方法を予め関連付けしたテーブルを用意しておき、ユーザから入力された機能液の種類データ、ワークWの種類データ、濡れ性データ等に基づいて、第1描画または第2描画を自動選択するようにしても良い。
次に、第1描画が選択された場合のフローについて説明する。第1描画が選択されると、描画処理の主走査に先立ち、描画に用いる描画ノズル(実有効ノズル)を設定するための第1設定処理が為される。ここでは、先ず、1描画ラインを構成する全吐出ノズル68のうち、各画素領域607aに対応に対応する吐出ノズル68を描画候補ノズル(有効ノズル)として特定する。
本実施形態では、ヘッドユニット16に対してワークWが精度よくセットされていると共に、画素領域607aの横寸法Dy、Y軸画素ピッチDpy、およびノズルピッチNpが、上記ソフトウェアを介して予め設定されており、これらの値およびヘッドユニット16とワークWとの位置関係に基づいて、どの画素領域607aにどの吐出ノズル68が対応しているかを演算処理により求め、描画候補ノズルを特定できるようになっている。なお、描画候補ノズル以外の吐出ノズル68は、描画には使用されない非描画ノズルとされる。
続いて、特定された描画候補ノズルの中から、描画に用いる描画ノズルの設定が行われる。描画ノズルの設定は、画素領域607a毎に行われ、当該画素領域607aに対応する描画候補ノズルがn−1個である場合には、対応する全ての描画候補ノズルを描画ノズルに設定する。一方、画素領域607aに対応する描画候補ノズルがn個である場合には、n個の描画候補ノズルのうちの、n−1個の描画候補ノズルを描画ノズルに設定する。この場合、画素領域607aに対応するn個の描画候補ノズルのうち、当該画素領域607aのY軸中心位置Cyにより近い位置(すなわちよりセンター寄り)にあるn−1個の描画候補ノズルを描画ノズルとして設定する。これにより、ワークWの各画素領域607aに対し、n−1個の描画ノズル(吐出ノズル68)がそれぞれ対応することになる。
そして、描画ノズルの設定が終了すると、主走査が開始される。主走査における機能液滴吐出ヘッド53の吐出駆動は、描画ノズルの設定に基づいて行われ、描画ノズルに設定された吐出ノズル68のみを用いて、ワークWに描画を行ってゆく。これにより、第1描画による描画が実現され、非描画ノズルから機能液が吐出されることが無いと共に、各画素領域607aには、対応する描画ノズルから、同量の機能液滴が同一ショット数吐出されるようになっている。なお、描画ノズルの設定は、副走査を行う毎に繰り返し行われ、副走査によるヘッドユニットのY軸方向への位置ずれに対応できるようになっている。
図7の場合を例に、第1描画が選択されたときのフローをより具体的に説明する。なお、説明の便宜のため、図示した12個の吐出ノズル68を左から順にa〜lとし、図示した4個の画素領域607aを左から順にA〜Dとする。先ず、描画候補ノズルの特定が行われ、吐出ノズル68a〜lの中から、吐出ノズル68a、b、d、e、f、g、h、i、k、lが画素領域607aA〜Dの描画候補ノズルとして特定される。
続いて、各画素領域607aに対する描画ノズルの設定が行われる。画素領域607aAは、対応する描画候補ノズルが2個であるため、当該画素領域607aAに対応する全描画候補ノズル、すなわち吐出ノズル68a、bが描画ノズルに設定される。同様に、画素領域607aDについては、吐出ノズル68k、lが描画ノズルに設定される。一方、画素領域607aBには、吐出ノズルd、e、fの3個が描画候補ノズルとして対応しているため、画素領域607aBのY軸中心位置に近い順に、2個の吐出ノズルe、dが描画ノズルに設定される。同様に、画素領域607aCでは、描画候補ノズルとして特定された3個の吐出ノズル68d、e、fから、吐出ノズル68h、iの2個が描画ノズルに設定される。
このように描画ノズルが設定された後、主走査が行われ、画素領域607aAには、吐出ノズル68a、bから、画素領域607aBには、吐出ノズル68d、eから、画素領域607aCには、吐出ノズル68h、i、画素領域607aDには、吐出ノズル68k、lから機能液滴が吐出される。
次に、第2描画が選択された場合のフローについて説明する。第2描画が選択されると、描画処理の主走査に先立ち、第2設定処理が為される。第2設定処理では、1描画ラインを構成する吐出ノズル68について、描画ノズル(実有効ノズル)の設定が行われた後、描画ノズルに設定された各吐出ノズル68から、各画素領域607aに対して吐出させる機能液滴のショット数が設定される。なお、第1設定処理と同様に、第2設定処理も副走査を行う毎に繰り返し行われる。
第2描画では、画素領域607aに対応する全ての吐出ノズル68(有効ノズル)を用いることになるため、第2設定処理では、上述した描画候補ノズルを特定する場合と略同様の方法で描画ノズルの設定が為される(すなわち、有効ノズル数=実有効ノズル数)。
ショット数の設定は、n−1個またはn個の吐出ノズル68を用いて各画素領域607aに描画を行う第1描画または第2描画において、各画素領域607aに吐出される機能液量(総量)を均一にするために行うものである。そして、各吐出ノズル68から吐出される機能液滴の体積を一定とした場合、n−1個の描画ノズルが対応した画素領域607aに描画を行う吐出ノズル68のショット数をS1、n個の描画ノズルが対応した画素領域607aに描画を行う吐出ノズル68のショット数をS2としたときに、(n−1)×S1=n×S2の関係を満たすように、描画ノズルに設定された各吐出ノズル68のショット数をそれぞれ設定する。
なお、ショット数の設定に代え、機能液滴吐出ヘッド53に印加する電圧(駆動波形)を設定するようにしても同様の効果を得ることが可能である。すなわち、各吐出ノズル68から吐出させるショット数を一定とし、n−1個の描画ノズルが対応した画素領域607aに描画を行う吐出ノズル68から吐出される機能液滴の体積をV1、n個の描画ノズルが対応した画素領域607aに描画を行う吐出ノズル68から吐出される機能液滴の体積をV2としたときに、(n−1)×V1=n×V2を満たすようにすればよい。
ショット数の設定が終了すると、主走査が開始され、上記設定に基づいて機能液滴吐出ヘッドの選択的な吐出駆動が行われる。これにより、第1描画または第2描画による描画が実現され、各画素領域607aには、均一な量の機能液滴が吐出されるようになっている。
図8の場合を例に、第2描画が選択されたときのフローをより具体的に説明する。なお、ここでも説明の便宜のため、図示した12個の吐出ノズル68を左から順にa〜lとし、図示した4個の画素領域607aを左から順にA〜Dとした。先ず、第2設定処理における描画ノズルの設定が為され、吐出ノズル68a、b、d、e、f、g、h、i、k、lが描画ノズル、吐出ノズル68c、jが非描画ノズルとされる。
続いて、描画ノズルに設定された吐出ノズル68のそれぞれについてショット数の設定が為される。図9(a)に示すように、画素領域607aAおよびDは、2個の描画ノズルが対応しているため、これらの画素領域607aAおよびDに対して機能液滴を吐出させる吐出ノズル68a、b、k、lのショット数はS1(例えば、S1=3)に設定される。一方、画素領域607aBおよびCは、3個の描画ノズルが対応しているため、これらの画素領域607aBおよびCに対して機能液滴を吐出させる吐出ノズル68d、e、f、g、h、iのショット数はS2(例えば、S2=2)に設定される。
なお、機能液滴吐出ヘッド53に印加する電圧を調整する場合、画素領域607aAおよびDに対して機能液滴を吐出させる吐出ノズル68a、b、k、lから吐出される機能液の体積がV1(例えば、V1=3)、画素領域607aBおよびCに対して機能液滴を吐出させる吐出ノズル68d、e、f、g、h、iから吐出される機能液の体積がV2(例えば、V1=2)となるようにすればよい(図9(b)参照)。
このような設定の後、主走査が行われる。画素領域607aAには、ショット数S1で吐出ノズル68a、bから、画素領域607aBには、ショット数S2で吐出ノズル68d、eから、画素領域607aCには、ショット数S2で吐出ノズル68h、iから、画素領域607aDには、ショット数S1で吐出ノズル68k、lから機能液滴が吐出される。
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、更にこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、及び薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板を言う。
先ず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図10は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図11は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ600(フィルタ基体600A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図11(a)に示すように、基板(W)601上にブラックマトリクス602を形成する。ブラックマトリクス602は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス602を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス602を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス602上に重畳する状態でバンク603を形成する。即ち、まず図11(b)に示すように、基板601及びブラックマトリクス602を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層604を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム605で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図11(c)に示すように、レジスト層604の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層604をパターニングして、バンク603を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク603とその下のブラックマトリクス602は、各画素領域607aを区画する区画壁部607bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド53により着色層(成膜部)608R、608G、608Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
以上のブラックマトリクス形成工程及びバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体600Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク603の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)601の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク603(区画壁部607b)に囲まれた各画素領域607a内への液滴の着弾位置精度が向上する。
次に、着色層形成工程(S103)では、図11(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド53によって機能液滴を吐出して区画壁部607bで囲まれた各画素領域607a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド53を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層608R、608G、608Bを形成する。着色層608R、608G、608Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図11(e)に示すように、基板601、区画壁部607b、および着色層608R、608G、608Bの上面を覆うように保護膜609を形成する。
即ち、基板601の着色層608R、608G、608Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜609が形成される。
そして、保護膜609を形成した後、カラーフィルタ600は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
図12は、上記のカラーフィルタ600を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置620に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ600は図11に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
この液晶装置620は、カラーフィルタ600、ガラス基板等からなる対向基板621、及び、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層622により概略構成されており、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板621およびカラーフィルタ600の外面(液晶層622側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板621側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層側)には、図12において左右方向に長尺な短冊状の第1電極623が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極623のカラーフィルタ600側とは反対側の面を覆うように第1配向膜624が形成されている。
一方、対向基板621におけるカラーフィルタ600と対向する面には、カラーフィルタ600の第1電極623と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極626が所定の間隔で複数形成され、この第2電極626の液晶層622側の面を覆うように第2配向膜627が形成されている。これらの第1電極623および第2電極626は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
液晶層622内に設けられたスペーサ628は、液晶層622の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材629は液晶層622内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極623の一端部は引き回し配線623aとしてシール材629の外側まで延在している。
そして、第1電極623と第2電極626とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
通常の製造工程では、カラーフィルタ600に、第1電極623のパターニングおよび第1配向膜624の塗布を行ってカラーフィルタ600側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板621に、第2電極626のパターニングおよび第2配向膜627の塗布を行って対向基板621側の部分を作成する。その後、対向基板621側の部分にスペーサ628およびシール材629を作り込み、この状態でカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材629の注入口から液晶層622を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板621側の部分にカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる前に、シール材629で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材629の印刷を、機能液滴吐出ヘッド53で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜624,627の塗布を機能液滴吐出ヘッド53で行うことも可能である。
図13は、本実施形態において製造したカラーフィルタ600を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置630が上記液晶装置620と大きく異なる点は、カラーフィルタ600を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置630は、カラーフィルタ600とガラス基板等からなる対向基板631との間にSTN液晶からなる液晶層632が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板631およびカラーフィルタ600の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層632側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極633が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極633の液晶層632側の面を覆うように第1配向膜634が形成されている。
対向基板631のカラーフィルタ600と対向する面上には、カラーフィルタ600側の第1電極633と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極636が所定の間隔で形成され、この第2電極636の液晶層632側の面を覆うように第2配向膜637が形成されている。
液晶層632には、この液晶層632の厚さを一定に保持するためのスペーサ638と、液晶層632内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材639が設けられている。
そして、上記した液晶装置620と同様に、第1電極633と第2電極636との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
図14は、本発明を適用したカラーフィルタ600を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置650は、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置したものである。
この液晶装置650は、カラーフィルタ600と、これに対向するように配置された対向基板651と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ600の上面側(観測者側)に配置された偏光板655と、対向基板651の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ600の保護膜609の表面(対向基板651側の面)には液晶駆動用の電極656が形成されている。この電極656は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極660が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極656の画素電極660とは反対側の面を覆った状態で配向膜657が設けられている。
対向基板651のカラーフィルタ600と対向する面には絶縁層658が形成されており、この絶縁層658上には、走査線661及び信号線662が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線661と信号線662とに囲まれた領域内には画素電極660が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極660上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
また、画素電極660の切欠部と走査線661と信号線662とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ663が組み込まれて構成されている。そして、走査線661と信号線662に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ663をオン・オフして画素電極660への通電制御を行うことができるように構成されている。
なお、上記の各例の液晶装置620,630,650は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
次に、図15は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置700と称する)の要部断面図である。
この表示装置700は、基板(W)701上に、回路素子部702、発光素子部703及び陰極704が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置700においては、発光素子部703から基板701側に発した光が、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるとともに、発光素子部703から基板701の反対側に発した光が陰極704により反射された後、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるようになっている。
回路素子部702と基板701との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜706が形成され、この下地保護膜706上(発光素子部703側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜707が形成されている。この半導体膜707の左右の領域には、ソース領域707a及びドレイン領域707bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域707cとなっている。
また、回路素子部702には、下地保護膜706及び半導体膜707を覆う透明なゲート絶縁膜708が形成され、このゲート絶縁膜708上の半導体膜707のチャネル領域707cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極709が形成されている。このゲート電極709及びゲート絶縁膜708上には、透明な第1層間絶縁膜711aと第2層間絶縁膜711bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜711a、711bを貫通して、半導体膜707のソース領域707a、ドレイン領域707bにそれぞれ連通するコンタクトホール712a,712bが形成されている。
そして、第2層間絶縁膜711b上には、ITO等からなる透明な画素電極713が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極713は、コンタクトホール712aを通じてソース領域707aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜711a上には電源線714が配設されており、この電源線714は、コンタクトホール712bを通じてドレイン領域707bに接続されている。
このように、回路素子部702には、各画素電極713に接続された駆動用の薄膜トランジスタ715がそれぞれ形成されている。
上記発光素子部703は、複数の画素電極713上の各々に積層された機能層717と、各画素電極713及び機能層717の間に備えられて各機能層717を区画するバンク部718とにより概略構成されている。
これら画素電極713、機能層717、及び、機能層717上に配設された陰極704によって発光素子が構成されている。なお、画素電極713は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極713の間にバンク部718が形成されている。
バンク部718は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層718a(第1バンク層)と、この無機物バンク層718a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層718b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部718の一部は、画素電極713の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部718の間には、画素電極713に対して上方に向けて次第に拡開した開口部719が形成されている。
上記機能層717は、開口部719内において画素電極713上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層717aと、この正孔注入/輸送層717a上に形成された発光層717bとにより構成されている。なお、この発光層717bに隣接してその他の機能を有する他の機能層を更に形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成する事も可能である。
正孔注入/輸送層717aは、画素電極713側から正孔を輸送して発光層717bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層717aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
発光層717bは、赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の何れかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層717bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層717aを再溶解させることなく発光層717bを形成することができる。
そして、発光層717bでは、正孔注入/輸送層717aから注入された正孔と、陰極704から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
陰極704は、発光素子部703の全面を覆う状態で形成されており、画素電極713と対になって機能層717に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極704の上部には図示しない封止部材が配置される。
次に、上記の表示装置700の製造工程を図16〜図24を参照して説明する。
この表示装置700は、図16に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、及び対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
まず、バンク部形成工程(S111)では、図17に示すように、第2層間絶縁膜711b上に無機物バンク層718aを形成する。この無機物バンク層718aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層718aの一部は画素電極713の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層718aを形成したならば、図18に示すように、無機物バンク層718a上に有機物バンク層718bを形成する。この有機物バンク層718bも無機物バンク層718aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部718が形成される。また、これに伴い、各バンク部718間には、画素電極713に対して上方に開口した開口部719が形成される。この開口部719は、画素領域を規定する。
表面処理工程(S112)では、親液化処理及び撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層718aの第1積層部718aa及び画素電極713の電極面713aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極713であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層718bの壁面718s及び有機物バンク層718bの上面718tに施され、例えば4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド53を用いて機能層717を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部719から溢れ出るのを防止することが可能となる。
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体700Aが得られる。この表示装置基体700Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル31に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)及び発光層形成工程(S114)が行われる。
図19に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド53から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部719内に吐出する。その後、図20に示すように、乾燥処理及び熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面713a)713上に正孔注入/輸送層717aを形成する。
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層717aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層717aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717a上に吐出しても、正孔注入/輸送層717aと発光層717bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層717bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層717aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層717a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層717aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717aに均一に塗布することができる。
そして次に、図21に示すように、各色のうちの何れか(図21の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部719)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層717a上に広がって開口部719内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部718の上面718t上に着弾した場合でも、この上面718tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部719内に転がり込み易くなっている。
その後、乾燥工程等を行う事により、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図22に示すように、正孔注入/輸送層717a上に発光層717bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層717bが形成されている。
同様に、機能液滴吐出ヘッド53を用い、図23に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層717bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)及び緑色(G))に対応する発光層717bを形成する。なお、発光層717bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
以上のようにして、画素電極713上に機能層717、即ち、正孔注入/輸送層717a及び発光層717bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
対向電極形成工程(S115)では、図24に示すように、発光層717b及び有機物バンク層718bの全面に陰極704(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極704は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極704の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
このようにして陰極704を形成した後、この陰極704の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置700が得られる。
次に、図25は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置800と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、及びこれらの間に形成される放電表示部803を含んで概略構成される。放電表示部803は、複数の放電室805により構成されている。これらの複数の放電室805のうち、赤色放電室805R、緑色放電室805G、青色放電室805Bの3つの放電室805が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
第1基板801の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極806が形成され、このアドレス電極806と第1基板801の上面とを覆うように誘電体層807が形成されている。誘電体層807上には、各アドレス電極806の間に位置し、且つ各アドレス電極806に沿うように隔壁808が立設されている。この隔壁808は、図示するようにアドレス電極806の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極806と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁808によって仕切られた領域が放電室805となっている。
放電室805内には蛍光体809が配置されている。蛍光体809は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室805Rの底部には赤色蛍光体809Rが、緑色放電室805Gの底部には緑色蛍光体809Gが、青色放電室805Bの底部には青色蛍光体809Bが各々配置されている。
第2基板802の図中下側の面には、上記アドレス電極806と直交する方向に複数の表示電極811が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層812、及びMgOなどからなる保護膜813が形成されている。
第1基板801と第2基板802とは、アドレス電極806と表示電極811が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極806と表示電極811は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極806,811に通電することにより、放電表示部803において蛍光体809が励起発光し、カラー表示が可能となる。
本実施形態においては、上記アドレス電極806、表示電極811、及び蛍光体809を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板801におけるアドレス電極806の形成工程を例示する。
この場合、第1基板801を液滴吐出装置1のセットテーブル31に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド53により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、又はニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
補充対象となる全てのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極806が形成される。
ところで、上記においてはアドレス電極806の形成を例示したが、上記表示電極811及び蛍光体809についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極811の形成の場合、アドレス電極806の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体809の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド53から液滴として吐出し、対応する色の放電室805内に着弾させる。
次に、図26は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置900と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置900を、その一部を断面として示してある。
この表示装置900は、互いに対向して配置された第1基板901、第2基板902、及びこれらの間に形成される電界放出表示部903を含んで概略構成される。電界放出表示部903は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部905により構成されている。
第1基板901の上面には、カソード電極906を構成する第1素子電極906aおよび第2素子電極906bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bで仕切られた部分には、ギャップ908を形成した導電性膜907が形成されている。すなわち、第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907により複数の電子放出部905が構成されている。導電性膜907は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ908は、導電性膜907を成膜した後、フォーミング等で形成される。
第2基板902の下面には、カソード電極906に対峙するアノード電極909が形成されている。アノード電極909の下面には、格子状のバンク部911が形成され、このバンク部911で囲まれた下向きの各開口部912に、電子放出部905に対応するように蛍光体913が配置されている。蛍光体913は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、各開口部912には、赤色蛍光体913R、緑色蛍光体913Gおよび青色蛍光体913Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
そして、このように構成した第1基板901と第2基板902とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置900では、導電性膜(ギャップ908)907を介して、陰極である第1素子電極906aまたは第2素子電極906bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極909に形成した蛍光体913に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極906a、第2素子電極906b、導電性膜907およびアノード電極909を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体913R,913G,913Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907は、図27(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図27(b)に示すように、予め第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜907を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜907を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板901および第2基板902に対する親液化処理や、バンク部911,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。