JP4627360B2 - A−b−a型アルケニルフェノール系共重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子材料、特にレジスト用材料として有用である新規な骨格を有するアルケニルフェノール系共重合体及びその製造方法に関し、より詳しくは、各種放射線、特に紫外線、遠紫外線、X線又は荷電粒子線の如き放射線により超微細加工を行う際に用いられる高集積度の集積回路作製用の化学増幅型レジストを構成する樹脂として好適に用いることができる新規な骨格を有するアルケニルフェノール共重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
アルケニルフェノール共重合体は、高集積度の集積回路作製用の化学増幅型レジストを構成する樹脂として多くの重合体が数多く報告されている。例えば、特開平5−113667号公報には下記式
【0003】
【化7】
【0004】
(式中、R14はメチル基、R15及びR16は水素原子又はメチル基、R17は3級アルコール残基又はアリル基を示し、mは0、1、2のいずれかであり、xは0.6〜0.9の正数、yは0.4〜0.1の正数であり、x+y=1の関係を満たす。)で表されるアルケニルフェノール共重合体を樹脂成分とする化学増幅型レジストが記載されている。このように、従来報告されているレジスト用のアルケニルフェノール共重合体は、スチレン誘導体による重合セグメント[b]とアクリル酸誘導体による重合セグメント[a]がa−b型に結合してなる共重合体に関するものが数多い。
【0005】
また、特開昭63−245410号公報には、スチレン誘導体とアルカリ金属を反応させて得られるジアニオン型リビングテロマーをアニオン重合開始剤として用い、アクリル酸誘導体と重合させることにより、スチレン誘導体による重合セグメント[b]とアクリル酸誘導体による重合セグメント[a]がa−b−a型で結合してなる共重合体の製造方法が記載されている。
【0006】
また、特開平1−308412号公報には、スチレン誘導体と有機アルカリ金属を反応させて得られるジアニオン型リビングテロマーをアニオン重合開始剤として用い、同様なa−b−a型の共重合体の製造方法が記載されている。
【0007】
一方、(メタ)アクリル酸エステル類の重合における反応性を制御する方法として、特公平7−42326号公報に、塩化リチウム等の鉱酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩よりなる添加剤の存在下にアニオン重合を行う方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来報告されているスチレン重合体セグメント[b]とアクリル酸誘導体重合セグメント[a]がa−b型で結合された共重合体を含有するレジスト材料は、解像度及び耐エッチング性に優れているが、逆にアルカリ溶解度の調整が難しく、汎用性のある材料とは言い難かった。
【0009】
また、前記特開昭63−245410号公報に記載されているアルカリ金属を用いたa−b−a型の共重合体は、ポリマー鎖の中に架橋することのできる官能基を多数有する、ハイソリッド化された塗料用基体樹脂に関するポリマーであり、レジスト材料としての有用性に関する記載もされていない上に、用いられている高真空ブレークシール法では、[a]セグメントを製造する工程を別の反応装置で行わなければならず、製造工程が煩雑となる欠点を有していた。
【0010】
そしてまた、前記特開平1−308412号公報に記載されている有機アルカリ金属を用いたa−b−a型の共重合体の製造法で得られる共重合体は、実施例中に2峰性を有することが記載されており、高解像度を有するレジスト材料としては問題があった。
【0011】
一方、前記特公平7−42326号公報に記載された、塩化リチウム等を添加して行うアニオン重合方法では、重合反応の初期に塩化リチウム等の添加効果が認められているが、反応中に塩化リチウム等を添加することは開示されておらず、しかも、重合反応途中段階での塩化リチウム等の添加効果を予測することは当業者といえども困難であった。
【0012】
本発明の課題は、レジスト用材料として好適な、単峰性で分子量分布が狭く、且つ、分子量や構造が制御された、アルケニルフェノール類と(メタ)アクリル酸エステル類の新規な共重合体、及びかかるアルケニルフェノール系共重合体の製造法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、スチレン誘導体による重合体セグメント[B]、及びアクリル酸誘導体による重合体セグメント[A]をA−B−A型で結合させてなる共重合体にすることにより、従来のレジスト材料の有する欠点を改善することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、
(1)一般式(I)
【化8】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はC1〜C5のアルキル基を表し、mは0、1又は2を表し、mが2の場合、R2は同一又は相異なっていてもよい)で表される繰り返し単位(B1)を含む成分(B)、及び一般式(II)
【化9】
(式中、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4は水素原子、C1〜C12のアルキル基、C3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基、又はヘテロ環基を表す)で表される繰り返し単位を含む成分(A)がA−B−A型にブロック結合し、分子量分布が狭くかつ単峰性であることを特徴とするアルケニルフェノール共重合体、
(2)一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)を含む成分(B)が、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)及び一般式(III)
【化10】
(式中、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6はC1〜C6のアルキル基、又はOR18基(R18は酸性条件下で脱離・分解する基を表す)を表し、nは0、1又は2を表し、nが2の場合、R6は同一又は相異なっていてもよい)で表される繰り返し単位(B2)を含む成分(B)であることを特徴とする上記(1)記載のアルケニルフェノール共重合体、
(3)一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)及び一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)を含む成分(B)が、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)と一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)が(B1)―(B2)―(B1)型にブロック結合してなることを特徴とする上記(2)記載のアルケニルフェノール共重合体、
(4)一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)及び一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)を含む成分(B)が、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)と一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)がランダムで結合してなる成分(B3)と、一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)が(B3)―(B2)―(B3)型にブロック結合してなることを特徴とする上記(2)記載のアルケニルフェノール共重合体、
(5)アルケニルフェノール系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.00〜1.50であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載のアルケニルフェノール共重合体に関する。
【0015】
更に本発明は、
(6)一般式(VI)
【化11】
(式中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12は、アルカリ金属又は有機アルカリ金属と反応せずに、酸性条件下で脱離・分解する基を表し、R13は、C1〜C6のアルキル基を表し、pは0、1又は2を表し、pが2の場合、R13は同一又は相異なっていてもよい)で表されるスチレン誘導体を単量体として含む成分から、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を重合開始剤とするアニオン重合法によりジアニオンを合成する工程と、次いで、鉱酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を加え、さらに、一般式(IV)
【化12】
(式中、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8はC1〜C12のアルキル基、置換基を有してもよいC3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基、又はヘテロ環基を表す)で表される(メタ)アクリル酸エステル誘導体1種以上と共重合を行う工程と、さらに酸性化合物と接触させる工程からなることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載のアルケニルフェノール共重合体の製造方法、
(7)アルカリ金属として、ナトリウム分散体を用いることを特徴とする上記(6)記載のアルケニルフェノール共重合体の製造方法、
(8)アルカリ金属として、ナトリウム−カリウム合金を用いることを特徴とする上記(6)記載のアルケニルフェノール共重合体の製造方法、
(9)ジアニオンを合成する工程が、一般式(V)
【化13】
(式中、R9は水素原子又はメチル基を表し、R10は、C1〜C6のアルキル基を表し、qは0、1又は2を表し、qが2の場合、R10は同一又は相異なっていてもよい)で表されるスチレン誘導体を重合しジアニオンとした後、次いで、一般式(VI)で表されるスチレン誘導体を加え共重合させるジアニオン合成工程であることを特徴とする上記(6)記載のアルケニルフェノール共重合体の製造方法、
(10)ジアニオンを合成する工程が、一般式(V)で表されるスチレン誘導体を重合しジアニオンとした後、次いで、一般式(V)で表されるスチレン誘導体と一般式(VI)で表されるスチレン誘導体を加え共重合させるジアニオン合成工程であることを特徴とする上記(6)に記載のアルケニルフェノール共重合体の製造方法、
(11)鉱酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩が、塩化リチウムであることを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれか記載のアルケニルフェノール共重合体の製造方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の「一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)」において、式中、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2はC1〜C5のアルキル基を表し、かかるC1〜C5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等を具体的に例示することができる。mは0、1又は2を表し、mが2の場合、R2は同一又は相異なっていてもよい。また、水酸基(OH基)、R2の置換位置は特に限定されないが、水酸基はアルケニル基のパラ位やメタ位が好ましい。
【0017】
本発明の「一般式(II)で表される繰り返し単位(A)」において、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4は水素原子、C1〜C12のアルキル基、C3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基、又はヘテロ環基を表すが、特に、酸により脱離・分解し得るt−ブチル基を持つ基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、及び下記式
【化14】
(式中、uは0又は1を表す。)で表されるような官能基を例示することができる。一般式(II)で表される繰り返し単位中の構成ユニットは単一又は2種以上の混合であってもよく、2種以上の混合の場合、その構造は、特に制限されず、ランダム又はブロックで結合していもよい。
【0018】
本発明において「一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)を含む成分(B)」として、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)及び一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)を含む成分(B)を例示することができ、一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)中、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6はC1〜C6のアルキル基、又はOR18基(R18は酸性条件下で脱離・分解する基を表す)を表し、nは0、1又は2を表し、nが2の場合、R6は同一又は相異なっていてもよい。R6の具体的な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のC1〜C6のアルキル基や、メトキシメトキシ基、2−メトキシメトキシ基、ビス(2−クロロエトキシ)メトキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、4−メトキシテトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、トリフェニルメトキシ基、トリメチルシリルオキシ基、2−(トリメチルシリル)エトキシメトキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリメチルシリルメトキシ基、t−ブトキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基、2−メチル−2−t−ブトキシカルボニルメトキシ基、1−メトキシエトキシ基、1−メトキシプロポキシ基、1−メチル−メトキシエトキシ基、1−(イソプロポキシ)エトキシ基等のOR18基を例示することができ、その置換位置については特に制限はされない。また、成分(B)における繰り返し単位(B1)と繰り返し単位(B2)のモル比は特に制限されないが、99.5/0.5〜50/50、好ましくは98/2〜60/40の範囲を例示することができる。
【0019】
そして、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)及び一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)を含む成分(B)として、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)と一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)が(B1)―(B2)―(B1)型にブロック結合してなる成分(B)や、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)と一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)がランダムで結合してなる成分(B3)と、一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)が(B3)―(B2)―(B3)型にブロック結合してなる成分(B)を例示することができる。(B3)−(B2)−(B3)にブロック結合してなる成分(B)において、成分(B2)と成分(B3)中に含まれる一般式(III)で表される繰り返し単位は、同一又は相異なっていてもよい。また、(B3)−(B2)−(B3)にブロック結合してなる成分(B)における繰り返し単位(B3)と繰り返し単位(B2)のモル比は特に制限されないが、99.5/0.5〜50/50、好ましくは、98/2〜80/20の範囲を例示することができる。さらに、成分(B3)における繰り返し単位(B1)と繰り返し単位(B2)のモル比は特に制限されないが、99/1〜50/50、好ましくは95/5〜60/40の範囲を例示することができる。
【0020】
さらに、本願発明の重合体には必要に応じて、一般式(I)〜一般式(III)以外の繰り返し単位を含めることができる。この繰り返し単位としては、一般式(I)〜一般式(III)に対応する単量体と共重合可能な2重結合を有する化合物から得られる繰り返し単位であれば特に制限されないが、スルホン酸基、カルボキシル基、フェノール水酸基等の酸性置換基を有しない繰り返し単位が好ましく、該繰り返し単位に対応する単量体としては、ビニル基含有化合物、(メタ)アクロイル基含有化合物等を例示することができる。
【0021】
該ビニル基含有化合物として具体的には、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)スチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)−α−メチルスチレン、クロロスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、スチルベン等の芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン等のヘテロ原子含有芳香族ビニル化合物、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン化合物、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、ビニルピロリドン、ビニルラクタム等のヘテロ原子含有脂環式ビニル化合物等を例示することができる。これら、ビニル基含有化合物から得られる繰り返し単位は、一般式(I)及び一般式(II)に示される繰り返し単位、あるいは一般式(I)〜一般式(III)に示される繰り返し単位と、ランダムに又はブロックで共重合して本発明のアルケニルフェノール共重合体に含有させることができる。
【0022】
本発明のアルケニルフェノール共重合体は、一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)を含む成分(B)と、一般式(II)で表される繰り返し単位を含む成分(A)とが、(A)−(B)−(A)型にブロック結合していることを特徴とする。特に、前記のように(B)成分が、一般式(III)で表される繰り返し単位(B2)を含む場合が好ましく、更に(B2)と一般式(I)で表される繰り返し単位(B1)とが(B1)−(B2)−(B1)型にブロック共重合している場合が好ましく、また(B1)と(B2)がランダムに結合した繰り返し単位(B3)と(B2)が、(B3)−(B2)−(B3)型にブロック共重合している場合が好ましい。
【0023】
本発明のアルケニルフェノール共重合体において、成分(A)と成分(B)のモル分率の比[(A)/(B)]は、特に限定されるものではないが、1/19〜〜4/6の範囲が好ましい。また、本発明のアルケニルフェノール共重合体の数平均分子量は、1,000〜100,000の範囲、特に5,000〜20,000の範囲が好ましく、さらに、分散度を表す重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.00〜1.50の範囲、1.00〜1.20の範囲が好ましい。
【0024】
本発明のアルケニルフェノール共重合体の具体的な例として、以下の共重合体を挙げることができる。
ポリ[(メタ)アクリル酸t−ブチル/p−ヒドロキシスチレン/スチレン/p−ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸t−ブチル]
ポリ[(メタ)アクリル酸t−ブチル/p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/スチレン/p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸t−ブチル]
ポリ[(メタ)アクリル酸t−ブチル/(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)/スチレン/(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)/(メタ)アクリル酸t−ブチル]
ポリ[(メタ)アクリル酸t−ブチル/m−ヒドロキシスチレン/スチレン/m−ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸t−ブチル]
ポリ[(メタ)アクリル酸イソボニル/(メタ)アクリル酸t−ブチル/p−ヒドロキシスチレン/スチレン/p−ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸t−ブチル/(メタ)アクリル酸イソボニル]
ポリ[((メタ)アクリル酸t−ブチル−(メタ)アクリル酸)/p−ヒドロキシスチレン/スチレン/p−ヒドロキシスチレン/((メタ)アクリル酸t−ブチル−アクリル酸)]
【0025】
本発明のアルケニルフェノール共重合体の製造方法において用いられる一般式(VI)で表される化合物中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12はアルカリ金属又は有機アルカリ金属と反応せずに、酸性条件下で脱離・分解する基を表し、具体的には、メトキシメチル基、2−メトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリフェニルメチル基、トリメチルシリル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、2−メチル−2−t−ブトキシカルボニルメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−メチル−メトキシエチル基、1−(イソプロポキシ)エチル基等を例示することができ、また、R13は、C1〜6のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等を例示することができ、pは0、1又は2を表し、pが2の場合、R13は同一又は相異なっていてもよい。
【0026】
そして、一般式(VI)で表される化合物としては、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)スチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)−α−メチルスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン等を例示することができ、これらは一種単独又は二種以上の混合物として使用できる。
【0027】
本発明のアルケニルフェノール共重合体の製造方法において用いられる一般式(V)で表される化合物中、R9は、水素原子又はメチル基を表し、R10はC1〜C6のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等を例示することができ、また、qは0、1又は2を表す。一般式(V)で表される化合物の具体例として、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、3、5−ジメチルスチレン、3、5−ジブチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、スチルベン等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上の混合物として使用される。
【0028】
本発明のアルケニルフェノール共重合体の製造方法において用いられる一般式(IV)で表される化合物中、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8はC1〜C12のアルキル基、C3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。また、R8は一般式(II)におけるR4に対応しており、具体例については前述したとおりである。
【0029】
一般式(IV)で表される化合物として具体的には、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸n−プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸n−ブチルエステル、アクリル酸t−ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸イソデシルエステル、アクリル酸イソオクチルエステル、アクリル酸ラウリルエステル、アクリル酸シクロヘキシルエステル、アクリル酸テトラヒドロフラニルエステル、アクリル酸1−アダマンチルエステル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステル、アクリル酸1−メチレンアダマンチルエステル、アクリル酸1−エチレンアダマンチルエステル、アクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマンチルエステル、アクリル酸イソボニルエステル、アクリル酸トリシクロデカニルエステル、アクリル酸ノルボルニルエステル、アクリル酸メンチルルエステル、アクリル酸ジシクロペンテニルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸n−プロピルエステル、メタクリル酸イソプロピルエステル、メタクリル酸n−ブチルエステル、メタクリル酸t−ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸イソデシルエステル、メタクリル酸イソオクチルエステル、メタクリル酸ラウリルエステル、メタクリル酸シクロヘキシルエステル、メタクリル酸テトラヒドロフラニルエステル、メタクリル酸1−アダマンチルエステル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステル、メタクリル酸1−メチレンアダマンチルエステル、メタクリル酸1−エチレンアダマンチルエステル、メタクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマンチルエステル、メタクリル酸イソボニルエステル、メタクリル酸トリシクロデカニルエステル、メタクリル酸ノルボルニルエステル、メタクリル酸メンチルルエステル、メタクリル酸ジシクロペンテニルエステル等を例示することができ、これらは1種単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0030】
本発明のアルケニルフェノール共重合体の製造方法としては、アルカリ金属又は有機アルカリ金属、例えば金属ナトリウムを重合開始剤とするアニオン重合により、一般式(VI)で表されるスチレン誘導体を単量体として含む成分からジアニオンをまず合成する。かかるジアニオンの合成としては、例えば、一般式(V)で表されるスチレン誘導体を重合し、ジアニオン型のテロマーを生成し、次いで、一般式(VI)で表されるフェノール残基の水酸基が保護基により保護されたスチレン誘導体を加え共重合させジアニオンを合成したり、あるいは、一般式(V)で表されるスチレン誘導体を重合しジアニオンとした後、次いで、一般式(V)で表されるスチレン誘導体と一般式(VI)で表されるスチレン誘導体を加え共重合させジアニオンを合成する例を挙げることができる。前記例示した後者の場合において、ジアニオン型テロマーの合成に用いられる一般式(V)で表されるスチレン誘導体と、該ジアニオンに対してさらに共重合させるために用いられる一般式(V)で表されるスチレン誘導体は、同一又は相異なっていてもよい。
【0031】
かかるアニオン重合によりジアニオンが生成した反応系に、鉱酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、例えば塩化リチウムを加え、さらに、一般式(IV)で表される化合物を逐次添加して共重合を行い、さらに酸性化合物と接触させることにより、本発明のアルケニルフェノール共重合体を製造することができる。前記ジアニオンと、一般式(IV)で表される化合物との反応は、通常、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、−100℃〜50℃の温度範囲で行われ、好ましくは−100〜0℃、更に好ましくは−100〜−20℃で行われる。
【0032】
上記重合開始剤に用いられるアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができるが、特に取り扱いやすさ、反応性の面から、ナトリウムが好ましい。ナトリウムは塊状でも使用可能であるが、ケロシン等の高級炭化水素中で微粒子化した分散体として使用したほうが活性が高く、塊状のナトリウムを使用するよりも反応の進行が速く完結する。上記アルカリ金属としてナトリウム−カリウム合金を用いた場合、更に活性を高くすることができるので好ましい。ナトリウム−カリウム合金中、カリウムの比率は任意に設定することができるが、特に40〜90重量%に設定した場合、室温で液体となり、取り扱いが容易となる点で好ましい。また、重合開始剤に用いられる有機アルカリ金属化合物としては、具体的には、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、カルシウムナフタレン、セシウムナフタレン等を例示することができる。
【0033】
用いる反応溶媒としては、n−ヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の通常アニオン重合において使用される有機溶媒の1種単独又は2種以上の混合溶媒を使用することができる。特に、THF、THF−ヘキサンの混合系が好ましい。その混合比は特に制限されないが、THF/ヘキサンの容量比が95/5〜85/15の範囲が特に好ましい。
【0034】
一般式(II)のアクリル酸誘導体を添加する前に加える鉱酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩は、特に限定はされないが、特に塩化リチウムが反応の制御の点で好ましい。鉱酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を添加することにより、アクリル酸誘導体の重合反応を制御し、目的とする単分散の重合体を得ることができる。特に、アクリル酸誘導体とし、アクリル酸エステルを用いた場合顕著な効果がある。また、一般式(II)で表される化合物の重合開始時から系内に共存させていてもその効果はほとんど見られず、逆に重合反応を阻害する結果となることから、反応中に添加することが望ましい。用いる金属塩の量は、通常開始剤の量に対して5当量〜20当量の範囲、好ましくは5〜15当量の範囲、更に好ましくは8〜12当量の範囲である。
【0035】
得られた共重合体からフェノール水酸基の保護基を脱離させ、アルケニルフェノール骨格を生成せしめる反応は、前記重合反応で例示した溶媒のほか、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類中で行うことができる。
【0036】
用いる酸性化合物としては、特に制限はなく、具体的には、塩酸、塩化水素ガス、硫酸、臭化水素酸、1,1,1−トリフロロ酢酸、p−トルエンスルフォン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を例示することができる。また、用いる酸性化合物の量は触媒量で充分であるが、通常脱保護基前の重合体のアルコキシ基1モルに対して0.01〜0.8モルの範囲、好ましくは0.02〜0.5モルの範囲である。
【0037】
反応温度は、室温〜150℃の温度範囲で反応を行うことができる。しかし、フェノール水酸基の保護基の脱離・分解に際して、(メタ)アクリル酸エステル部の加水分解を制御するためには、室温〜70℃未満、好ましくは室温〜60℃未満、更に好ましくは30℃〜50℃の範囲で行われる。但し、(メタ)アクリル酸エステル部にC7以上の脂環族基、又は脂環族基を有するアルキル等の嵩高い置換基を有する場合、60℃以上で反応を行ってもエステル部の加水分解を制御することができる場合がある。この反応において、溶媒の種類と濃度、触媒の種類と添加量、及び反応温度と反応時間を適当に組み合わせることにより、フェノール性水酸基の保護基が全部又は選択的に一部脱離されて、本発明の狭分散かつ構造の制御されたアルケニルフェノール系共重合体を製造することができる。
【0038】
また、本発明の共重合体は、すべてのフェノール性水酸基の保護基を脱離し、及び/又は、すべて又は1部の(メタ)アクリル酸エステル部を加水分解したのち、所望の置換基を再度導入する方法によっても合成することが可能である。
【0039】
【実施例】
本発明を実施例、及び比較例により、さらに詳細に説明する。但し、本発明の技術的範囲は、下記実施例により何ら制限を受けるものではない。実施例中、rは一般式(I)で表されるスチレン誘導体の繰り返し単位(B1)の総数を、sは一般式(III)で表されるスチレン誘導体の繰り返し単位(B2)の総数を、tは一般式(II)で示される(メタ)アクリル酸エステル類が重合した繰り返し単位(A)の総数を示す。
【0040】
実施例1
窒素雰囲気下において、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)1200gとヘキサン300gの混合溶媒に、ナトリウム分散体(ナトリウム44%溶液、以下、SDと略す)0.83g(15.9ミリモル)を加え、撹拌下、室温でα−メチルスチレン3.88g(32.8ミリモル、以下、αMeStと略す)を添加し、15分後に−60℃まで冷却、15分熟成した後、p−t−ブトキシメチルスチレン40g(226.9ミリモル、以下、PTBSTと略す)を1時間かけて滴下、さらに反応を1時間継続し、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)により反応完結を確認した。この段階で反応系から少量の重合液を採取し、メタノールにより反応を停止させた液についてゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)により分析したところ、PTBST−αMeSt−PTBSTブロック共重合体は、Mn=5600、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであった。
【0041】
次いで、反応系に、塩化リチウム(以下、LiClと略す)3%THF溶液224.7g(LiCl:159ミリモル)を添加して30分反応を続け、さらに、メタクリル酸t-ブチルエステル(以下、tBMAと略す)15%THF溶液37.9g(tBMA:40.0ミリモル)を15分かけて滴下、1時間反応を継続して、GCにより反応完結を確認した。次に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.5%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=6200,Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであった。
【0042】
次に、得られたポリマー10gをエタノールに溶解して30%溶液とし、濃塩酸3gを加えて70℃で3時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間乾燥して白色粉体状ポリマーを7.1g得た。この反応において、反応前後におけるポリマーの赤外吸収スペクトル(以下、IRと略す)及び13CNMR(以下、NMRと略す)を比較した。IRにおいて890cm-1におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来の吸収が反応後は消失し、新たに3300cm-1付近に水酸基由来のブロードな吸収が観察された。また、NMRにおいて29ppm付近におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来のピークが反応後は消失しており、一方、27ppm付近のポリtBMAのt−ブチル基由来のピークは、ベンゼン環カーボン数に対する面積比が反応前後において変化していなかった。
【0043】
さらに、生成したポリマーの酸価を測定したところ、2.80KOHmg/gでポリ−p−ヒドロキシスチレンホモポリマーとほとんど同じ値であった。また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=5300,Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであり、NMRにより測定した共重合比率(モル比)r/t=85/15であった。以上のことから、共重合及びその後の脱離反応は目的通り行われ、スチレンスチレンセグメントを中心にp−ヒドロキシスチレンセグメントの両末端にtBAセグメントを有する狹分散アルケニルフェノール系共重合体が生成したことを確認した。
【0044】
実施例2
窒素雰囲気下において、THF1200gとヘキサン300gの混合溶媒に、SD0.83g(15.9ミリモル)を加え、撹拌下、室温でαMeSt3.88g(32.8ミリモル)添加し、15分後に−60℃まで冷却、15分熟成した後、PTBST40g(226.9ミリモル)とスチレン3.37g(32.4ミリモル、以下、Stと略す)の混合物を1時間かけて滴下、さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量の重合液を採取し、メタノールにより反応を停止させた液についてGPCにより分析したところ、(PTBST/St)− αMeSt−(PTBST/St)ブロック共重合体は、Mn=6000、Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであった。
【0045】
次いで、反応系に、LiCl3%THF溶液224.7g(LiCl:159ミリモル)を添加して30分反応を続け、さらに、アクリル酸t−ブチルエステル(以下tBAと略す)15%THF溶液55.4g(tBA:64.8ミリモル)を15分かけて滴下、1時間反応を継続して、GCにより反応完結を確認した。次に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.0%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=7000、Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであった。
【0046】
次に、得られたポリマー10gをエタノールに溶解して30%溶液とし、濃塩酸3gを加えて70℃で3時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間乾燥して白色粉体状ポリマーを7.6g得た。この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRを比較した。IRにおいて890cm-1におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来の吸収が反応後は消失し、新たに3300cm-1付近に水酸基由来のブロードな吸収が観察された。NMRにおいて29ppm付近におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来のピークが反応後は消失しており、一方、27ppm付近のポリtBAのt−ブチル基由来のピークは、ベンゼン環カーボン数に対する面積比が反応前後において変化していなかった。
【0047】
さらに、生成したポリマーの酸価を測定したところ、2.8KOHmg/gでポリ−p−ヒドロキシスチレンホモポリマーとほとんど同じ値であった。また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=6300,Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであり、NMRにより測定した共重合比率(モル比)r/s/t=70/10/20であった。以上のことから、共重合及びその後の脱離反応は目的通り行われ、スチレン重合セグメントを中心にp−ヒドロキシスチレン/スチレンランダム共重合セグメントの両末端にtBAセグメントを有する狹分散アルケニルフェノール系共重合体が生成したことを確認した。
【0048】
実施例3
窒素雰囲気下において、THF1200gとヘキサン300gの混合溶媒に、NaK合金(Na/K重量比=22/78、以下NaKと略す)0.57g(15.9ミリモル)を加え、撹拌下、室温でα−MeSt3.88g(32.8ミリモル)添加し、15分後に−60℃まで冷却、15分熟成した後、PTBST40g(226.9ミリモル)を1時間かけて滴下、さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量の重合液を採取し、メタノールにより反応を停止させた液についてGPCにより分析したところ、(PTBST)−b−(α−MeSt)−b−(PTBST)ブロック共重合体は、Mn=6500、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであった。
【0049】
次いで、反応系に、LiCl3%THF溶液224.7g(LiCl:159ミリモル)を添加して30分反応を続け、さらに、tBA15%THF溶液34.2g(tBA:40.0ミリモル)を15分かけて滴下、1時間反応を継続して、GCにより反応完結を確認した。次に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.5%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=7700、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであった。
【0050】
次に、得られたポリマー10gをエタノールに溶解して30%溶液とし、濃塩酸3gを加えて70℃で3時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間乾燥して白色粉体状ポリマーを7.3gを得た。この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRを比較した。IRにおいて890cm−1におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来の吸収(ポリtBAには存在しない)が反応後は消失し、新たに3300cm-1付近に水酸基由来のブロードな吸収が観察された。また、NMRにおいて29ppm付近におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来のピークが反応後は消失しており、一方、27ppm付近のポリtBAのt−ブチル基由来のピークは、ベンゼン環カーボンに対する面積比が反応前後において変化していなかった。
【0051】
さらに、生成したポリマーの酸価を測定したところ、2.8KOHmg/gでポリ−p−ヒドロキシスチレンホモポリマーとほとんど同じ値であった。
また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=6500、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであり、NMRにより測定した共重合比率(モル比)r/t=85/15であった。以上のことから、共重合及びその後の脱離反応は目的通り行われ、p−ヒドロキシスチレンセグメントの両末端にtBAセグメントを有する狹分散アルケニルフェノール系共重合体が生成したことを確認した。
【0052】
実施例4
窒素雰囲気下において、THF1200gとヘキサン300gの混合溶媒に、NaK0.57g(15.9ミリモル)を加え、撹拌下、室温でα−MeSt3.88g(32.8ミリモル)添加し、15分後に−60℃まで冷却、15分熟成した後、PTBST40g(226.9ミリモル)とSt3.37g(32.4ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下、さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量の重合液を採取し、メタノールにより反応を停止させた液についてGPCにより分析したところ、(PTBST/St)−b−(α−MeSt)−b−(PTBST/St)ブロック共重合体は、Mn=7000、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであった。
【0053】
次いで、反応系に、LiCl3%THF溶液179.8g(LiCl:127ミリモル)を添加して30分反応を続け、さらに、tBMA15%THF溶液61.4g(tBMA:64.8ミリモル)を15分かけて滴下、1時間反応を継続して、GCにより反応完結を確認した。次に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.0%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=8300、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであった。
【0054】
次に、得られたポリマー10gをエタノールに溶解して30%溶液とし、濃塩酸3gを加えて70℃で3時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間乾燥して白色粉体状ポリマーを8.5gを得た。この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMR)を比較した。IRにおいて890cm−1におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来の吸収(ポリtBMAには存在しない)が反応後は消失し、新たに3300cm-1付近に水酸基由来のブロードな吸収が観察された。NMRにおいて29ppm付近におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来のピークが反応後は消失しており、一方、27ppm付近のポリtBMAのt−ブチル基由来のピークは、ベンゼン環カーボンに対する面積比が反応前後において変化していなかった。
【0055】
さらに、生成したポリマーの酸価を測定したところ、2.8KOHmg/gでポリ−p−ヒドロキシスチレンホモポリマーとほとんど同じ値であった。
また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=6500、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであり、NMRにより測定した共重合比率(モル比)r/s/t=70/10/20であった。以上のことから、共重合及びその後の脱離反応は目的通り行われ、p−ヒドロキシスチレン/スチレンランダム共重合セグメントの両末端にtBMAセグメントを有する狹分散アルケニルフェノール系共重合体が生成したことを確認した。
【0056】
比較例1
実施例1において、SDを添加する前にLiClを添加した場合、αMeStを添加しても重合反応は開始しなかった。
【0057】
比較例2
実施例1において、PTBSTの重合が完結した後、LiCl/THF溶液を添加せずにtBAを添加した場合、重合系がゲル化し、目的とする重合体は得られなかった。
【0058】
【発明の効果】
本発明で得られる単峰性で分子量分布が狭く、且つ、構造制御された、アルケニルフェノールと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体は新規化合物であり、電子材料への利用、特にレジスト用材料への利用が期待されるA−B−A型アルケニルフェノール系共重合体である。また、(メタ)アクリル酸部分を重合する際、塩化リチウム等の塩を添加することにより、反応を制御することが初めて可能となった。
Claims (3)
- 一般式(I)
- 一般式(I)
- アルケニルフェノール系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.00〜1.50であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルケニルフェノール共重合体。
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