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JP4623541B2 - 車両用吸音材 - Google Patents

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JP4623541B2 JP2001138734A JP2001138734A JP4623541B2 JP 4623541 B2 JP4623541 B2 JP 4623541B2 JP 2001138734 A JP2001138734 A JP 2001138734A JP 2001138734 A JP2001138734 A JP 2001138734A JP 4623541 B2 JP4623541 B2 JP 4623541B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層体に関し、特には車両用吸音材として好適な積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両には、主としてエンジン音による車外騒音を低減させるための吸音材が、車体等に装着されている。従来、前記吸音材として、ポリウレタン発泡体からなる内層の両側にバインダーの含浸したガラス繊維層を介して外層を積層し、それらの積層部材をヒートローラにより加熱圧縮し、前記バインダーの硬化により各部材を一体化するとともに形状固定した積層体が知られている。
【0003】
ところで、前記車両用吸音材には、吸音性のみならず、燃費向上の点から軽量性、さらには最近の廃棄物削減や省資源の観点からリサイクル性が要求されるようになった。
【0004】
しかし、従来のガラス繊維を含む積層体にあっては、ガラス繊維を含むために重くなり、軽量化も容易ではなかった。また、リサイクルするために、粉砕や破砕処理を行おうとすると、ガラス繊維によって粉砕装置における刃の摩耗が著しく、しかも空気中にガラス繊維が飛散して作業環境の悪化を生じる問題がある。さらに、リサイクル品もガラス繊維の混入により重くなり、リサイクル品の用途によっては好ましくないことがある。また、前記積層体を焼却処理しても、ガラスが残り、処理に困る問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記の点に鑑み提案されたものであって、吸音性及び形状保持性並びに剛性を損なうことなく、リサイクルに適し、かつ軽量な積層体からなる車両用吸音材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、発泡体からなる内層の両側に中間層を介して外層が積層一体化された積層体において、前記内層が難燃性及び通気性を有するポリウレタン発泡体、前記中間層がポリプロピレン繊維のスパンボンド不織布、前記外層が難燃性を有し溶融樹脂の含浸可能な材質からなり、前記中間層を構成するポリプロピレン繊維の溶融樹脂が前記外層に含浸硬化し、前記ポリプロピレン繊維の溶着によって内層、中間層及び外層が一体化されている5層の積層体からなるエンジン周りに使用される車両用吸音材に係る
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例に係る積層体の断面図である。
【0008】
図1に示すこの発明の一実施例である積層体10は、車両のボンネット裏面に貼着される吸音材として使用されるものであって、内層11の両側に中間層12を介して外層13が積層一体化されたものからなる。
【0009】
内層11は発泡体で構成される。前記内層11を構成する発泡体としては、通気性を有するポリウレタン発泡体が吸音性及び軽量性に優れるために好ましい。通気性を有するポリウレタン発泡体としては、連続気泡構造を主体とする軟質ポリウレタン発泡体を挙げることができる。
【0010】
また、この積層体10が貼着される車両のボンネットは高温になるため、前記内層11の発泡体としては、難燃性を有するものが好ましい。前記難燃性を有する発泡体として、有機ハロゲン化合物等からなる難燃剤の添加やその他の難燃化処理等によって難燃性の付与された、あるいは難燃性の高められた難燃性軟質ポリウレタンフォームが好適である。
【0011】
さらに、前記内層11を構成する発泡体は、通気抵抗(JIS K 6400準拠)が5〜150cm/(cm・sec)にある広範囲のものから選択することができる。従来、吸音用の発泡体としては、通気抵抗が100cm/(cm・sec)を超えるものは吸音効果が低く、不適当であるとされていたが、この発明では、外層13に加えてポリプロピレン繊維からなる中間層12を有するため、中間層12の目付量を調整することによって、前記通気抵抗が100〜150cm/(cm・sec)の発泡体についても優れた吸音特性が得られるようになった。
【0012】
中間層12は、公知のポリプロピレン繊維からなる。前記ポリプロピレン繊維は、前記内層11、中間層12及び外層13を積層して熱プレスによってこの積層体10を製造する際に溶融し、その溶融樹脂(溶融ポリプロピレン樹脂)によって各層を溶着一体化するとともに積層体10の剛性を高めるものである。また、このポリプロピレン繊維は、積層体10製造時における中間層12の取り扱い容易性の点及び積層体10の剛性増大の点から不織布、その中でもスパンボンド法により製造されたポリプロピレン製スパンボンド不織布が好ましい。このスパンポンド不織布は軽量性に優れるのみならず、水分による伸縮がなく、しかも連続繊維からなるため端部でのほつれがないので、車両用吸音材とされるこの積層体10には好適なものである。このようなポリプロピレン製スパンボンド不織布の例として、目付40g/m、商品名:ストラテックRW2040(出光石油化学社製)ポリプロピレン製)が挙げられる。
【0013】
外層13は、主としてこの積層体10の剛性を高めるとともに表面を保護するためのもので、溶融樹脂の含浸可能な材質で構成される。このように溶融樹脂の含浸可能な材質とすれば、この積層体10の製造に際して行われる熱プレス時に、中間層12のポリプロピレン繊維が溶融し、その溶融したポリプロピレン樹脂が外層13に含浸して硬化するため、得られる積層体10の剛性が高いものとなり、ガラス繊維を用いなくても十分に剛性の高い積層体10が得られる。
【0014】
前記外層13としては、不織布が好適である。この外層13を構成する不織布の例として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、アクリル系共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン等のポリマーからなる繊維で構成されたものが挙げられる。さらに、前記外層13は、難燃性を有するものが好ましい。この難燃性を有する外層13としては、塩素化有機燐化合物等により公知の難燃化処理を施した不織布を挙げることができる。市販されている難燃性不織布として、目付50g/m、商品名RF1050(旭化成製)、目付40g/m、商品名ラスタン(旭化成製)を挙げることができる。
【0015】
次に前記積層体10の製造例を説明する。前記積層体10の製造は、前記内層11の両側に中間層12を介して外層13を積層し、その積層状態で外層13外面側から、所要形状の熱板等で熱プレスすることにより行われる。その際の熱プレス温度は、通常150〜210℃とされる。
【0016】
前記熱プレス時、前記内層11と外層13間に位置する中間層12のポリプロピレン繊維が溶融し、その溶融したポリプロピレン樹脂が外層13と内層11に溶着することによって内層11、中間層12及び外層13が一体化し、所要形状に固定された前記積層体10になる。前記中間層12が溶融した溶融ポリプロピレン樹脂は、従来用いられている液状バインダーよりも粘度が高いために内層11内への含浸程度が低い。しかも前記各層の積層後から熱プレス前までの間、前記中間層12のポリプロピレン繊維は溶融していないので内層11内へ含浸するおそれがない。これらのことから、前記熱プレスにより製造された積層体10は、内層11内への溶融ポリプロピレン樹脂の含浸硬化による内層11の吸音性低下を生じ難く、良好な吸音性を発揮することができる。
【0017】
さらに、前記内層11の発泡体は、通気抵抗が5〜150cm/(cm・sec)の範囲において、気孔を小さくすれば、前記溶融ポリプロピレン樹脂が内層11内に益々含浸し難くなって、吸音性低下を防止でき、良好な吸音性を得ることができるようになる。
【0018】
また、前記溶融ポリプロピレン樹脂が内層11と外層13に溶着して硬化するため、得られる積層体10の剛性が高いものとなる。さらに、前記外層13を溶融樹脂の含浸するものとすれば、前記溶融ポリプロピレン樹脂が外層13内に含浸して硬化するため、外層13の剛性が向上し、積層体10全体の剛性も大幅に増大する。
【0019】
さらにまた、前記内層11を構成する前記ポリウレタン発泡体31及び外層13を構成する不織布33が、難燃性を有するものであれば、前記積層体10は、車両のボンネットのような高温環境にも、一層好適なものとなる。
【0020】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、請求項1の車両用吸音材によれば、従来のガラス繊維に代えてポリピロピレン繊維からなる中間層を用い、該ポリプロピレン繊維の溶着によって内層、中間層及び外層を一体化させたものであって、ガラス繊維を用いる必要がないため、リサイクルに適し、さらに吸音性、形状保持性並びに剛性を損なわず、軽量性にも優れる。したがって、この発明の積層体は、軽量性の要求される車両用吸音材に好適なものとなる。
【0021】
また、請求項1の車両用吸音材によれば、中間層がポリプロピレン繊維の不織布からなるため、車両用吸音材の製造が容易で、しかも車両用吸音材の剛性を高めやすくなる。
【0022】
さらに、請求項1の発明によれば、内層が通気性を有するポリウレタン発泡体、外層が溶融樹脂の含浸可能な材質からなって、中間層を構成するポリプロピレン繊維の溶融樹脂が前記外層に含浸硬化しているため、ガラス繊維を用いなくても、十分に車両用吸音材の剛性を高めることができる。
【0023】
さらにまた、請求項1の発明によれば、内層及び外層が難燃性を有するものであるため、車体で最も高温となるエンジン周りの吸音材としても好適な車両用吸音材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係る積層体からなる車両用吸音材の断面図である。
【符号の説明】
10 積層体
11 内層
12 中間層
13 外層

Claims (1)

  1. 発泡体からなる内層の両側に中間層を介して外層が積層一体化された積層体において、
    前記内層が難燃性及び通気性を有するポリウレタン発泡体、前記中間層がポリプロピレン繊維のスパンボンド不織布、前記外層が難燃性を有し溶融樹脂の含浸可能な材質からなり、
    前記中間層を構成するポリプロピレン繊維の溶融樹脂が前記外層に含浸硬化し、前記ポリプロピレン繊維の溶着によって内層、中間層及び外層が一体化されている5層の積層体からなるエンジン周りに使用される車両用吸音材
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