以下、添付の図面を参照して、本発明に係る点字打刻装置、プログラムおよび点字打刻装置の送り制御方法について説明する。本発明は、点字打刻領域E2(図7(a)等参照)が打刻位置を通過するときの送り速度よりも、テープ上における点字打刻領域E2以外の領域である非点字打刻領域が打刻位置を通過するときの送り速度を高速に制御することで、打刻駆動源(ソレノイド等)の異常加熱を防止しつつ、全体として点字打刻処理に要する時間を短縮し得るものである。
そこで、本発明の点字打刻装置を、晴眼者が視認可能な墨字と点字とを同一テープに配置することで、晴眼者と視覚障害者の両者が認識可能な点字ラベルを作成するためのラベル作成装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、ラベル作成装置1の閉蓋状態の外観斜視図であり、図2は、ラベル作成装置1の開蓋状態の外観斜視図である。また、図2は、点字打刻を行う点字打刻部150を分かり易く示すため、装置ケース2の一部を切り欠いて示している。両図に示すようにラベル作成装置1は、装置ケース2により外郭が形成され、当該装置ケース2は、その前半部上面にキーボード3が配置され、後半部上面には開閉蓋21が取り付けられている。開閉蓋21の内側には、テープカートリッジCから繰り出されるテープTに対して墨字印刷(文字や記号等のキャラクタの印刷)を行う墨字印刷部120を有し、開閉蓋21の右側(装置ケース2の後半右部)には、テープTが前半部から手差し挿入されることにより点字打刻を行う点字打刻部150を有している。
開閉蓋21の表側には、長方形の形状を有するディスプレイ4が形成されると共に、開閉蓋21の内側左部には、テープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6(墨字印刷部120)が窪入形成されており、テープカートリッジCは、蓋体開放ボタン14の押下により開閉蓋21が開放された状態でカートリッジ装着部6に着脱自在に装着される。また、開閉蓋21にはこれを閉止した状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓21aが形成されている。
ディスプレイ4は、横方向(X方向)約12cm×縦方向(Y方向)5cmの長方形の形状の内側に、192ドット×80ドットの表示画像データを表示可能であり、ユーザがキーボード3から文字情報を入力して、墨字印刷を行うための墨字データや、点字打刻を行うための点字データを作成・編集したりする際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
一方、装置ケース2上面には、各種入力キーを備えたキーボード3が配置されており、キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、墨字印刷を行うための墨字データおよび点字打刻を行うための点字データを入力するためのものであり、JIS配列に基づいたフルキー構成となっている。なお、墨字データと点字データを別々に入力するのではなく、同一のデータに基づいて墨字印刷および点字打刻を実行させることも可能である。また、機能キー群3bには、墨字の文字サイズを変更するためのサイズ変更キー、墨字印刷および/または点字打刻を実行させるための実行キー、点字打刻部150におけるテープTの送り開始を指示するための送り開始キー、手動により点字打刻を開始させるための打刻開始キーの他、墨字印刷を行う墨字印刷領域E1と点字打刻を行う点字打刻領域E2との配置(図18参照)を指定するための配置指定キーが含まれる。また、機能キー群3bには、これら以外にも一般のワードプロセッサ等と同様に、処理の取り消し等のための取り消しキー、カーソル移動用のカーソルキー、各種選択画面における選択肢の決定やテキスト入力時の改行のためのエンターキーなどが含まれる。
配置指定キーによる配置指定は、左寄せ、中寄せ、右寄せのいずれかを指定可能となっており、墨字印刷領域E1と点字打刻領域E2とのテープ送り方向における長さに応じて、図18に示す(a)〜(g)の6パターンの配置が設定される。また、当該配置指定キーによる指定が無い場合は、パターン(a)または(e)の配置(中寄せ)に設定される。さらに、墨字印刷領域E1と点字打刻領域E2との長さが等しい場合は、配置指定キーによる指定によらず、パターン(g)の配置となる。なお、テープ長を指定可能に構成し、そのテープ長内で各領域の配置を設定できるようにしても良い。また、墨字印刷領域E1と点字打刻領域E2のテープ幅方向における位置(点字打刻領域E2と墨字印刷領域E1とを上下に配置する,両領域を重ねる等)も指定可能としても良い。
図1および図2の説明に戻る。装置ケース2の右側部中央には、電源供給のための電源供給口11が形成されており、前半右側部には、パーソナルコンピュータ等の外部装置(図示省略)と接続するための接続口12(インターフェース)が形成されている。そして、当該接続口12に外部装置を接続することで、外部装置によって生成された文字情報に基づいて墨字印刷や点字打刻を行い得るようになっている。また、装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通する印刷テープ排出口22が形成され、この印刷テープ排出口22には、墨字印刷部120から送り出したテープTをはさみ形式でフルカットするためのテープカッタ19が臨んでいる。そして、テープカッタ19によってテープTが切断されることにより、印刷テープ排出口22から墨字印刷後のテープTが排出される。
ここで、墨字印刷部120(カートリッジ装着部6)および点字打刻部150廻りの構成について説明する。カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー20a内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド7が内蔵されたヘッドユニット20と、印刷ヘッド7に対峙するプラテン駆動軸(図示省略)と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸(図示省略)と、後述のテープリール27の位置決め突起24と、を備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸および巻き取り駆動軸を回転させる印刷送りモータ121(図6参照)が内蔵されている。
テープカートリッジCは、カートリッジケース51内部の上部中央部に、一定の幅のテープTを巻回したテープリール27と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール29とを収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール27の左下部には上記ヘッドユニット20を覆うヘッドカバー20aに差し込むための貫通孔55が形成されており、テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、上記プラテン駆動軸に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ53が配置されている。一方、上記リボンリール29に近接してリボン巻き取りリール54が配置され、リボンリール29から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー20aを周回するように配置されたリボン巻き取りリール54に巻き取られるようになっている。
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー20aに貫通孔55が、位置決め突起24にテープリール27の中心孔27aが、巻き取り駆動軸にリボン巻き取りリール54の中心孔がそれぞれ差し込まれ、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテン駆動軸(プラテンローラ)に当接して墨字印刷が可能になる。そして、墨字印刷後のテープTは、印刷テープ排出口22に送られる。
テープTは、特に図示しないが、裏面に粘着剤層が設けられた樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート製)の記録シートと、この粘着剤層により記録シートに貼付された樹脂(例えばポリエチレン/ポリプロピレン共重合体)製の剥離シートとから構成されており、記録シートの印刷面は、熱転写によるインクの乗りを良好にするために加工されている。
また、テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、墨字インク色、テープ材質など)が異なる複数種のものが用意されており、この種別を指標する複数の孔(図示省略)がカートリッジケース51の裏面に設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)171(図6参照)が複数設けられており、このテープ識別センサ171の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
一方、装置ケース2の後半右部には、その内部に点字打刻を行う打刻アッセンブリ(点字打刻部150)が組み込まれ、その上面にはこれを覆うように打刻部カバー30が取り付けられている。また、この打刻部カバー30の手前側にはユーザによりテープTが手差し挿入される打刻テープ挿入口31が、また奥側には点字打刻後のテープTが排出される打刻テープ排出口32が、テープ走行路(送り経路)70に沿って下り傾斜となるようにそれぞれ窪入形成されている。さらに、打刻テープ挿入口31付近には、テープ幅方向に幅調整可能な手差しガイド31aが設けられている。
点字打刻部150は、3個の打刻ピン(打刻ヘッド)41(図4(b)参照)により点字打刻を行う打刻ユニット80と、打刻テープ挿入口31に挿入されたテープTを打刻テープ排出口32に向けて送るテープ送りユニット60と、テープTが搬送されるテープ走行路70とを有し、テープ走行路70を構成するフレームにこれらのユニットが組み込まれて打刻アッセンブリが構成され、装置ケース2に一体として装着されるようになっている。また、テープ走行路70に沿ってテープ送りユニット60の駆動により送られていくテープTに対し、打刻ユニット80により3個の打刻ピン41を選択的に駆動することで点字Bが形成される。
テープ送りユニット60は、送りローラ61と、当該送りローラ61を装置フレーム65に支持する支持部材62と、送りローラ61を回転させるための正逆回転可能な打刻送りモータ151とから成る。送りローラ61は、駆動ローラ(図示省略)および従動ローラ61aから成るグリップローラであり、従動ローラ61aには、形成された点字Bを押し潰すことがないよう、縦3個の打刻ポイント201(図3(a)参照)に相当する位置の干渉を逃げるように、環状溝63(図5参照)が形成されている。
ここで、図3を参照し、テープT(T3:テープ幅12mm)上に形成される点字B(6点点字B)について説明する。同図(a)は、文字情報「し」を表す点字(点字データ)Bを示す図である。同図に示すように、6点点字Bは、縦3個×横2個の6個の点(打刻ポイント)で1マス200が構成され、当該1マス200で、1文字または濁点等の属性が表現される。なお、点字Bには、このような仮名文字や数字等を表す6点点字Bの他、漢字を表す8点点字(1マスが縦4個×横2個の点で構成される点字)も使用されているが、8点点字を形成するラベル作成装置においても本発明は当然適用可能である。
6点点字Bは、1マス200が縦3個×横2個の配置パターンで6個の打刻ポイント201a〜201fに分割されており、同図では、6個の打刻ポイント201a〜201fのうち4個の打刻ポイント201a,201b,201e,201fが選択的に打刻されて、テープT上に4個の打刻凸部202a,202b,202e,202fが形成されている様子を示している。また、6個の打刻凸部202は、縦方向のピッチが略2.4mm、横方向のピッチが略2.4mm、隣接マスの点までの(マス間)ピッチは略3.2mmとなっている。
同図(b)は、打刻凸部202の断面形状である。同図に示すように、打刻凸部202の形状は、角の丸まった円筒形である。なお、打刻凸部202の形状は、角の丸まった円筒形のものが良い(触感が良く好ましい)とされているが、他の形状、例えば半球形、円錐形、四角錐形等であってもよい。
また、実施形態のラベル作成装置1は、打刻ユニット80として相互に交換可能な2種類のユニットが用意されており、一方は小形の小打刻凸部203を形成し、他方は大形の大打刻凸部204を形成する。小打刻凸部203は、円筒の直径が略1.4mm、高さが略0.4mmであり、大打刻凸部204は、円筒の直径が略1.8mm、高さが略0.5mmである。大小2種類の打刻凸部203,204は、その用途によって使い分けられるものであり、例えば、小打刻凸部203が点字Bの読み取りに慣れた者(先天盲者)向けであって、大打刻凸部204が初心者(中途失明者)向けである。
次に、図4を参照し、打刻ユニット80の詳細な構成について説明する。同図(a)は打刻ユニット80を図1における上側から見た平面図であり、同図(b)は打刻ユニット80の断面図である。同図(a)は、墨字印刷後のテープT(テープ幅12mm)が、打刻テープ挿入口31から手差し挿入によりテープ走行路70に送り込まれ、打刻テープ排出口32に向かってテープTが送られていく状態を示したものである。
両図に示すとおり、打刻ユニット80は、3個の打刻ピン41を備えた打刻部材81と、これら打刻ピン41の突き上げ(打刻)を受ける打刻受け部材82とを備えており、打刻受け部材82の背面には、耐衝撃用のばね(図示省略)が組み込まれている。
打刻部材81は、テープ幅方向(図示左右方向)に沿って、2.4mmの間隔で配列された3個の打刻ピン41を備えており、6個の打刻ポイント201のうち縦3個の打刻ポイント201に対応していると共に、ソレノイド47を駆動源とした直線運動をガイドする打刻ピンガイド45によって、テープTに対し垂直に保持されている。打刻ピン41の頭部41aは、打刻した打刻凸部202の形状が角の丸まった円筒形となるように、角の丸まった円筒形に形成されている。なお、打刻凸部202の形状を他の形状、例えば半球形、円錐形、四角錐形等にする場合には、打刻ピン41の頭部41aの形状も、それに相補的な形状に形成される。
また、各打刻ピン41の尾部には、アーム部材46の一端が半固定的に接続している。このアーム部材46には、その他端に後述するソレノイド47のプランジャー48の先端部が回動可能に接続していると共に、その中間部を回動自在に支持する支持部材49が設けられている。そして、このソレノイド47のプランジャー48は、テープTに対して垂直方向に直線運動をするように、プランジャー48と上記の打刻ピン41とは平行に配設されている。したがって、ソレノイド47によりプランジャー48が直線運動を行うと、アーム部材46が支持部材49を支点として回動し、打刻ピン41がテープTに対し裏面側から垂直方向に直線運動を行う。
なお、3個の打刻ピン41にそれぞれ接続された3個のアーム部材46は、上下両端に位置するアーム部材46がそれぞれテープ幅方向に離反するように(テープ上下方向に)延在し、中間に位置するアーム部材46がテープTの送り方向に沿って延在している。そして、3個のアーム部材46にそれぞれ接続された3個のソレノイド47は、三角形を為すようにそれぞれ配設されている。
一方、打刻受け部材82は、3個の打刻ピン41と対向する面42aに、3個の打刻ピン41に対応する3個の打刻受け凹部43が形成されており、これら打刻受け凹部43は、打刻ピン41の頭部形状に合わせ、角の丸まった凹型の円筒形となっている。なお、3個の打刻ピン41と対向する面42aは、打刻受け凹部43を形成する代わりに、合成ゴム等の弾性材で構成した平坦な面としてもよい。
そして、打刻ユニット80は、この打刻ピン41と打刻受け部材82とにより、テープTに打刻凸部202を形成する。すなわち、入力された点字データに基づいて生成された点字打刻データ(図12参照)に対応してソレノイド47が励磁し、プランジャー48が吸引されると、打刻ピン41が打刻ピンガイド45に案内されてテープTに対して垂直方向に進み、テープTを挟んで対応する打刻受け凹部43に突き当たり、テープTに打刻凸部202を形成する。
次に、図5を参照し、点字打刻部150におけるテープTの送り動作について説明する。上記のとおり、点字打刻部150は、打刻ピン41によりテープTに打刻凸部202を形成する打刻ユニット80、テープTが搬送されるテープ走行路70、並びにテープ走行路70に沿ってテープTを搬送するテープ送りユニット(送り手段)60を備える他、テープ走行路70におけるテープTの搬送をガイドするガイド部材71,72と、テープTの先端を検出する透過型の先端検出センサ91と、をさらに備えている。
打刻テープ挿入口31には、テープ幅の大きいものからテープT1(テープ幅24mm)、テープT2(テープ幅18mm)、テープT3(テープ幅12mm)が挿入可能となっており、最大テープ幅のテープT1については上下ガイド71,72によってガイドされ、それ以外のテープ幅のテープT2,T3については、下ガイド部材71のみによってガイドされる。例えば、最小テープ幅のテープT3を用いる場合、ユーザは、テープT3を下ガイド部材71に沿ってその先端がテープ送りユニット60(送りローラ61)に到達するまで(挿入可能な位置まで)手差し挿入する。そして、キーボード3上のテープ送り開始キーを押下することでテープ送りユニット60によるテープT3の送りを開始させる。そして、先端検出センサ91によるテープ先端の検出をトリガとして、点字打刻処理を開始する(入力された点字データに基づくテープ送りおよび点字打刻を行う)。このとき、テープ先端から打刻開始位置までの前非打刻領域長さ(図7(a)参照)が、打刻ユニット80(打刻ピン41)と、先端検出センサ91との間の長さL1よりも短く設定されている場合は(但し、送りローラ61の位置関係上、前非打刻領域長さが打刻ユニット80と送りローラ61との間の長さL2よりも長く設定されていることが前提となる)、送りローラ61を逆回転させることでテープTを送り戻し、適当な位置まで送ったところで打刻および正方向へのテープ送りを開始する。
なお、打刻ユニット80による点字打刻処理は、先端検出センサ91によるテープ先端の検出をトリガとして開始するのではなく、ユーザがキーボード3上の打刻開始キーを押下することにより手動開始させることも可能である。
ここで、点字「し」(図2(a)参照)を打刻する一連の動作について説明する。打刻テープ挿入口31から挿入されたテープTは、テープ走行路70に沿って、1列目の打刻ポイント201a,201b,201cが3個の打刻ピン41に臨む位置(打刻位置)まで送られる。この位置までテープTが送られると、テープ送りを一時的に停止し、点字打刻を行う。点字「し」の1列目は、打刻ポイント201a,201bが打刻点となるため、まず3個の打刻ピン41のうち上側の打刻ピン41が駆動することによって打刻凸部202aを形成する。次に、中間の打刻ピン41が駆動することによって打刻凸部202bを形成する。このようにして1列目の打刻ポイント201a,201bの打刻を終えると、再びテープ送りを行い、略2.4mm送った後、同様に3個の打刻ピン41のうち中間と下側の2個の打刻ピン41によって、打刻ポイント201e、打刻ポイント201fの順に打刻し、表面に2個の打刻凸部202e,202fを形成する。打刻が終了すると、打刻ピン41の駆動を必要とする次の打刻点(実打刻点)が存在する打刻列が打刻ピン41に臨む位置までテープ送りを行い、点字打刻を行う。また、それ以上の実打刻点が存在しない場合(最終打刻列の打刻が終了した場合)は、点字打刻領域の後側の領域である後非点字打刻領域(図7(a)参照)の長さに基づいてテープ送りを行い、打刻テープ排出口32から打刻済みテープTを排出する。なお、送り速度の制御については後に詳述する。
次に、図6を参照し、ラベル作成装置1の制御構成について説明する。ラベル作成装置1は、キーボード3およびディスプレイ4を有し、ユーザによる文字情報の入力や各種情報の表示などユーザインターフェースを司る操作部110と、テープカートリッジC、印刷ヘッド7および印刷送りモータ(ステッピングモータ)121を有し、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に墨字データに基づく墨字を印刷する墨字印刷部120と、テープカッタ19、およびこれを駆動するカッタモータ141を有し、印刷済みテープTを所定長さとなるように切断する切断部140と、ソレノイド47、打刻ピン41および打刻送りモータ(ステッピングモータ)151を有し、テープTを送りながらテープT上に点字データに基づく点字を打刻する点字打刻部150と、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ171、点字打刻部150においてテープTの先端を検出する先端検出センサ91、印刷送りモータ121の回転速度を検出する印刷部回転速度センサ172、打刻送りモータ151の回転速度を検出する打刻部回転速度センサ173を有し、各種検出を行う検出部170と、ディスプレイドライバ181、ヘッドドライバ182、印刷送りモータドライバ183、カッタモータドライバ184、打刻ドライバ185および打刻送りモータドライバ186を有し、各部を駆動する駆動部180と、各部と接続され、ラベル作成装置1全体を制御する制御部200と、によって構成されている。
制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」と称する)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。ROM220は、墨字印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU210で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、墨字印刷を行うための文字フォントデータや点字打刻を行うための点字フォントデータの他、テープ送り制御のための制御データ等を記憶する制御データブロック222とを有している。なお、文字フォントデータは、ROM220内ではなく、CG−ROMを別個に備えても良い。
RAM230は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック231の他、入力された墨字データを展開した墨字印刷データを記憶する墨字印刷データブロック232と、入力された点字データを展開し、打刻列毎に各打刻ポイント(201a,201b,201cまたは201d,201e,201f)の打刻/非打刻を表現した点字打刻データ(図12参照)を記憶する点字打刻データブロック233と、配置指定キーを用いて指定された墨字印刷領域E1と点字打刻領域E2の配置に関する情報を記憶する配置データブロック234と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM230は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
IOC250には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSI(パルスコントロールLSI)などにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC250は、キーボード3からの入力データや制御データをそのまま或いは加工して内部バス260に取り込むと共に、CPU210と連動して、CPU210から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部180に出力する。
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいてRAM230内の各種データを処理し、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御などを行う。
例えば、CPU210は、キーボード3より文字情報が入力されると、これに基づいて墨字データや点字データを生成し、さらにこれらを印刷・打刻可能な状態に展開して、墨字印刷データブロック232および点字打刻データブロック233に一時的に記憶する。また、打刻駆動源であるソレノイド47の駆動は、CPU210がパルスコントロールLSIに点字打刻データに基づくパラメータを書き込み、パルスコントロールLSIが打刻ドライバ185を動作させることにより行われる。さらに、印刷送りモータ121や打刻送りモータ151の駆動は、テープ識別センサ171の検出結果に応じて判別されるテープの材質等に応じて、その駆動力を調整し、モータドライバ183,186を動作させることにより行われる。
また、CPU210は、キーボード3から墨字印刷および点字打刻の実行指示を取得すると、印刷送りモータ121の駆動を開始し、墨字印刷データブロック232内の墨字印刷データおよび配置データブロック234に記憶された配置データに基づき、印刷部回転速度センサ172の検出結果に応じて所定長さのテープ送りを行った後(文字情報入力時に前余白長の長さを設定可能である場合はその前余白データも含む)、印刷ヘッド7を駆動することにより墨字印刷を行う。その後、墨字印刷データに基づく所定長さのテープ送りを行うことで(文字情報入力時に後余白長の長さを設定可能である場合はその後余白データも含む)、テープカッタ19によりテープTを切断し、印刷テープ排出口22からテープTを排出する。
また、引き続き(リセット操作や電源OFF操作が無い状態で)、ユーザによる手差し挿入により、短冊状に切断されたテープTが打刻テープ挿入口31に挿入されると、テープ送りユニット60を駆動し、点字打刻データブロック233内の点字データおよび配置データブロック234に記憶された配置データに基づき、打刻部回転速度センサ173の検出結果に応じて所定長さ(前非点字打刻領域の長さ,図7(a)参照)のテープ送りを行った後(文字情報入力時に前余白長の長さを設定可能である場合はその前余白データも含む)、打刻ユニット80により点字打刻を行う。そして、打刻終了後、打刻送りモータ151の駆動により、点字打刻データに基づく所定長さ(後非点字打刻領域の長さ,図7(a)参照)のテープ送りを行うことで(文字情報入力時に後余白長の長さを設定可能である場合はその後余白データも含む)、打刻テープ排出口32からテープTを排出する。なお、墨字印刷および点字打刻の両処理の実行指示以外に、それぞれ単独の処理の実行指示も可能である。
次に、図7および図8を参照し、テープ送りの速度制御(制御A)について説明する。図7(a)に示すように、ここでは、テープ送り方向における墨字印刷領域E1の長さ(以下、特段の記載が無い場合、「長さ」とはテープ送り方向における長さを指すものとする)が点字打刻領域E2の長さよりも長く、配置が「中寄せ」に設定されている場合(図18(b)参照)を例示し、テープ長が100mm、テープ先端から最初の実打刻点が属する先頭打刻列(L1)までの長さ、並びに最後の実打刻点が属する最終打刻列(L16)からテープ後端までの長さが29.2mm、先頭打刻列から最終打刻列までの長さが41.6mmであるものとする。なお、テープ先端から先頭打刻列までを前非点字打刻領域、最終打刻列からテープ後端までを後非点字打刻領域、先頭打刻列から最終打刻列までを点字打刻領域E2と称する。したがって、図19(a)および(b)に示すように、実打刻点が存在しない打刻列(空白打刻列)が先頭および/または後端に存在する場合(例えば、濁点から始まる点字や、点字データの最初にスペースが含まれている場合など)は、その打刻列を無視し、打刻点が存在する範囲で点字打刻領域E2が設定されることとなる。すなわち、点字打刻領域E2は点字マス単位で設定されるものではない(図20の従来技術を示す図において、「点字マス領域」を指すものではない)。
一方、図7(b)に示すように、点字打刻領域E2内において、濁点や分かち書きの使用等により、空白打刻列(図示L5,L11およびL12)が1列以上連続して存在する場合、その空白打刻列群の開始列(L5,L11)の直前列(L4,L10)から空白打刻列群の終了列(L5,L12)の直後列(L6,L13)までを空白打刻領域、点字打刻領域E2内の空白打刻領域以外の領域を実打刻領域と称する。
また、図3(a)に示したとおり、点字マス200内における打刻列間ピッチは、2.4mm、マス間ピッチは3.2mmであるため、図7(b)に示すように、点字打刻領域E2に含まれる打刻列L1〜L16は、打刻列間が交互に2.4mmまたは3.2mmとなるように配列されている。したがって、空白打刻領域の長さは、L4〜L6間が5.6mm(2.4mm+3.2mm)、L10〜L13間が8.8mm(2.4mm+3.2mm+3.2mm)である。
図8(a)は、図7に示した点字打刻領域E2の打刻列L1〜L16のうち、L1〜L8までの打刻列における各打刻ポイントの打刻/非打刻を示すと共に、打刻送りモータ151の駆動開始から駆動停止までの各区間(区間(1)〜(7))の送り速度を示したものである。また、同図(b)は、横軸を時間、縦軸をテープ送り速度としたタイムチャートである。
両図に示すように、本実施形態における送り速度制御(制御A)では、前非点字打刻領域(区間(1),L1まで)および空白打刻領域(区間(5),L4〜L6)が打刻位置を通過する間は、最高速度(25mm/sec)でテープ送りを行い、それ以外の領域は、基準速度(15mm/sec)でテープ送りを行う。すなわち、実打刻点を含む打刻列が連続して存在する実打刻領域は基準速度でテープ送りを行い、実打刻領域以外の領域は最高速度でテープ送りを行う。また、点字打刻を行う打刻時は、打刻数n(1〜3)に応じてテープ送りを停止する(n×100msec)。したがって、打刻列L1のように打刻数が3つの場合は300msec、L2のように打刻数が2つの場合は200msec停止することとなる。なお、基準速度(15mm/sec)は、打刻ピン41の駆動源(ソレノイド47)の異常加熱を防止し得ると共に、良好な打刻結果が得られる最高速度であり、最高速度(25mm/sec)は、打刻送りモータ151の脱調やスリップなどの送り異常が生じない程度の最高速度として設定された速度である。また、同図では、L8以降についての図示を省略したが、L8以降も実打刻領域は基準速度、実打刻領域以外の領域は最高速度でテープ送りを行うこととなる。
ここで、図9ないし図11のフローチャートを参照し、上記のような送り速度制御を行う場合の点字打刻処理について説明する。なお、図10および図11は、図9のサブルーチンであるため、参照図を切り換えながら処理手順にしたがって説明する。
図9に示すように、ユーザによる点字打刻実行指示に基づいて点字打刻処理を開始すると、まず打刻対象列までの送り量(前回の打刻列から今回の打刻列までの送り量)を求める(S1)。当該S1の処理のサブルーチンを、図10に示す。なお、「打刻対象列」とは、実打刻点を含む列か否かに関わらず、最初の打刻列L1から最後の打刻列L16までを順に1列ずつ対象とした場合の各打刻列を指すものである。したがって、L1の次はL2、L2の次はL3、・・・L15の次はL16と打刻対象列を変更していくこととなる。
図10に示すように、打刻対象列までの送り量を求めるためには、まず当該S1の処理が図9に示す点字打刻処理の開始(テープ送り開始)後、初回の処理であるか否かを判別する(S11)。初回の処理である場合は(S11:Yes)、送り量を(前非点字打刻領域長さ(29.2mm)―L1〜L2間の長さ(3.2mm))に設定する(S12,図7参照)。また、初回の処理でない場合は(S11:No)、送り量を0に初期化する(S13)。
続いて、打刻対象列が存在する点字マス(点字対象マス)を取得し(S14)、点字対象マスが存在するか否かを判別する(S15)。例えば、点字打刻処理開始後の初回は点字対象マスが1マス目となり、「点字対象マスあり」となる。また、最終打刻列(実打刻点が存在する最後の打刻列)の打刻を終えた後は打刻対象列が存在しないため、「点字対象マスなし」となる。ここで、点字マスが存在する場合、すなわち最終打刻列の打刻を終えていない場合は(S15:Yes)、その点字対象マスにおける打刻対象列を取得し(S16)、打刻対象列が点字マスの1列目であるか否かを判別する(S17)。打刻対象列が1列目である場合(S17:Yes)、送り量はS12またはS13で設定した送り量に3.2mmを加えた送り量となる(S18)。すなわち、打刻対象列が1列目(L1)の場合は、送り量が前非点字打刻領域長さ(29.2mm)となり、それ以外の場合は3.2mmとなる。そして、次の打刻対象列を2列目に設定する(S19)。また、打刻対象列が2列目である場合(S17:No)の送り量は、S12またはS13で設定した送り量に2.4mmを加えた送り量となり(S20)、次の打刻対象列を1列目に設定する(S21)。
続いて、打刻対象列が打刻を必要とするか否かを判別する(S22)。すなわち、打刻対象列に実打刻点が存在しない場合は(L5,L11,L12など、S22:Yes)、S14に戻って点字対象マスを取得する(図9に示すメインルーチンに戻らない)。また、打刻対象列に実打刻点が存在する場合は(S22:No)、メインルーチンに戻って打刻を行う(図11に示す処理を実行する)。なお、打刻対象列が打刻を必要とするか否かの判別は、点字打刻データブロック233(図6参照)に格納された点字打刻データを参照することによって行う。
図12は、1打刻列(201a,201b,201cまたは201d,201e,201f,図3(a)参照)あたりの、点字打刻データの構成を示したものであるが、同図に示すように、1バイトで表現された点字打刻データの最初の3ビットにより、各打刻ポイントの打刻なし(0)/打刻あり(1)を表している。したがって、打刻対象列の点字打刻データにデータ1が含まれるか否かによって、打刻対象列が打刻を必要とするか否かの判別を行う。
一方、点字対象マスが存在しない場合、すなわち打刻対象列が存在しない場合は(図10のS15:No)、送り量を、S12またはS13で設定した送り量に後非点字打刻領域長さ(29.2mm)を加えた量に設定する(S23)。この場合は、メインルーチンに戻っても打刻は行われない(図9のS6:Noとなる)。
図9のメインルーチンに戻って説明を続ける。打刻対象列までの送り量を求めると(S1)、その送り量が1マス分(3.2mm)以下であるか否かを判別する(S2)。すなわち、ここでは実打刻領域の打刻か否かを判別するものであり、実打刻領域の打刻である場合(送り量が2.4mmまたは3.2mmである場合,S2:Yes)、テープ送り速度を基準速度の15mm/secに設定する(S3)。一方、送り量が3.2mmを超える場合(S2:No)、テープ送り速度を最高速度の25mm/secに設定する(S4)。
そして、S3またはS4で設定した送り速度で、S18またはS20(図10参照)で求めた送り量分のテープ送りを行う(S5)。なお、この送り量に基づいて、打刻送りモータ(ステッピングモータ)151(図6参照)の位相切り換え回数を求める。また、速度に応じて相切り時間(位相を切り換える時間間隔)を求める。
続いて、打刻対象列が存在するか否か、すなわちS15(図10参照)で、「点字対象マスあり」と判断したか否かを判別する(S6)。打刻対象列が存在する場合は(S6:Yes)、打刻対象列1列分の打刻を行い(S7)、再びメインルーチンをループする。一方、打刻対象列が存在しない場合は(S6:No)、そのまま点字打刻処理を終了する。
ここで、図11のサブルーチンを参照し、S7の処理について説明する。同図に示すように、打刻対象列1列分の打刻を行う場合、点字打刻データ(図12参照)の1ビット目のデータに基づいて、上の打刻点(打刻ポイント201aまたは201d)の打刻を行うか否かを判別し(S31)、データが1の場合は打刻を行う(S32)。また、点字打刻データの2ビット目のデータに基づいて、中の打刻点(打刻ポイント201bまたは201e)の打刻を行うか否かを判別し(S33)、データが1の場合は打刻を行う(S34)。同様に、点字打刻データの3ビット目のデータに基づいて、下の打刻点(打刻ポイント201cまたは201f)の打刻を行うか否かを判別し(S35)、データが1の場合は打刻を行う(S36)。
次に、図9ないし図11のフローチャートで説明した送り速度制御Aを行った場合の、点字ラベル作成に要する時間の算出について説明する。点字ラベル完成までの時間は、図13に示す計算式で求められる。すなわち、前後の非点字打刻領域長さ(29.2mm+29.2mm)に、空白打刻領域の長さ(5.6mm+8.8mm)を加えた空送り領域の長さを、最高速度(25mm/sec)で除算した時間と、連続する打刻列間の合計の長さ{(2.4mm×6)+(3.2mm×4)}を、基準速度(15mm/sec)で除算した時間と、打刻点の総数(20)に×1打刻あたりの打刻時間(100msec)を乗算した時間とを加算することで、点字ラベル完成までの時間(略6.7秒)を算出することができる。
この制御Aにおける点字ラベル完成までの時間は、テープ送りを一定(15mm/sec)で行う場合(制御B)と比較すると、略2.0秒の短縮ができる計算となる。図14(a)は、テープ送りを一定(15mm/sec)として、図7に示す点字を打刻する送り速度制御Bの場合のタイムチャートを示したものである。このような制御を行った場合、図14(b)に示す計算式で点字ラベル完成までの時間を算出することができる。この計算によると、制御Bは略8.7秒かかり、制御Aに比べると、点字ラベル完成まで略2.0秒余計に時間を要することとなる。
なお、制御Aでは、実打刻領域以外は全て最高速度(25mm/sec)でテープ送りを行うものとしたが、図15(a)のタイムチャートに示すように、非点字打刻領域(前非点字打刻領域および後非点字打刻領域)のみ最高速度(25mm/sec)でテープ送りを行い、それ以外の領域(点字打刻領域E2)を、基準速度(15mm/sec)でテープ送りを行うように制御しても良い(制御C)。このような制御を行った場合、同図(b)に示す計算式で点字ラベル完成までの時間を算出することができ、略7.1秒かかることとなる。すなわち、制御Bは、制御Aよりも略0.4秒時間がかかり、制御Cよりも略1.6秒時間短縮することができる。
以上、説明したとおり、本実施形態におけるテープ送り速度制御(制御A)によれば、実打刻領域が打刻ピン41に臨む位置を通過するときの送り速度よりも、非点字打刻領域および空白打刻領域が打刻ピン41を通過するときの送り速度を高速となるように制御するため、打刻ピン41や駆動源であるソレノイド47(図6参照)の駆動に影響を与えることなく、全体として点字ラベルの完成に要する時間を短縮することができる。また、点字打刻時(打刻時)には、テープ送りの駆動を一時的に停止するため、良好な打刻結果を得ることができる。さらに、実打刻領域では、送り速度を15mm/secに抑えるため、打刻が連続して実行されることにより、打刻ピン41の駆動源であるソレノイド47が異常加熱し、打刻不良を起こすなどの問題を回避することができる。
また、本実施形態の速度制御は、設定速度15mm/secまたは25mm/secの一定速制御であるため、位相を切り換える相切り時間は、速度に応じて一定の間隔で良い。したがって、容易に制御を行うことができる。なお、本実施形態におけるテープ送り速度制御では(制御Bおよび制御Cも含む)、全テープ長(100mm)を送るために必要な総相切り回数分の位相切り換えにより停止可能となっている。すなわち、予め設定した相切り回数(パルス数)で自動的に停止させることができる。
なお、本実施形態では、送り量が1マス(3.2mm)を超えるか否かによって、送り速度を25mm/secに設定するか15mm/secに設定するかを判別したが(図9のS2〜S4参照)、予め設定した複数のマス数を超えるか否かによって判別しても良い。例えば、マス数を2として設定した場合は、送り量が6.4mmを超えるか否かによって判別することとなる。また、マス数に代えて空白打刻列の列数が、n列を超えるか否かにより判別するようにしても良い。
また、本実施形態では、非点字打刻領域と、空白打刻領域とが打刻位置を通過するときの速度を同一速度(25mm/sec)に設定したが、非点字打刻領域を25mm/secに設定し、空白打刻領域を20mm/secに設定するなど、必ずしも同一速度に設定する必要はない。また、空白打刻列の列数nやマス数の設定によっては、非点字打刻領域を25mm/secに設定し、空白打刻領域を30mm/secに設定するなど、空白打刻領域を非点字打刻領域よりも高速に設定することも可能である。
次に、図16を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の実施形態では、設定速度15mm/secまたは25mm/secの一定速制御を行うものとしたが(図8(b)参照)、本実施形態では打刻送りモータ151の駆動開始から駆動停止までの間、基準速度(15mm/sec)と最高速度(25mm/sec)との間において加減速制御を行う点で異なる。以下、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
図16(a)および(b)に示すように、本実施形態では、全ての打刻列間において、初速度15mm/sec、最高速度25mm/secで加減速制御を行う。例えば、0.05mmごとに0.05mm/secの加減速を行う場合、約513msecで最高速度25mm/secに達する(区間(1))。その後、一定速度で送りを続け、最初の打刻列(L1)に到達するときに基準速度15mm/secとなるように、0.05mmごとに0.05mm/secの減速を行う。また、区間(2)以降最終打刻列までは、打刻列間が短いため、最高速度に達しない速度を頂点として加減速制御を行う。例えば区間(2)は、打刻列L1〜L2間の長さが2.4mmであるが、打刻列L1から略1.2mm送る間は加速制御、そこから打刻列L2までは同じ割合で減速制御することとなる。
なお、本実施形態における送り速度制御では、加速、減速、定速に応じて、位相切り換え毎に相切り時間を設定することとなる。また、全テープ長(100mm)を送るために必要な総相切り回数と、加速、減速、定速状態に応じて停止開始制御を行うこととなる。
このように、本実施形態では、打刻送りモータ151の駆動開始から駆動停止までの間、基準速度と最高速度との間において一定の加減速制御を行うことにより、実測値に近い速度制御を行うことができる。言い換えれば、予測通りの送り速度を実現することができる。また、打刻送りモータ151のトルク不足による脱調現象を防止でき、安定したオープンループ制御が可能となる。さらに、打刻送りモータ151の駆動開始から駆動停止までの間、一定の加減速制御を行うため、特に点字打刻を行わない領域(非点字打刻領域や空白打刻領域)が長い場合は送り速度が高速となり、全体として点字打刻処理に要する時間を短縮することができる。
なお、本実施形態では、同図(b)に示すように、直線的に加減速を行う(一定の割合で加減速を行う)直線加減速制御を例示したが、S字カーブ(2次曲線)で加減速を行うS次加減速制御を行うようにしても良い。この構成によれば、より自然な(スムーズな)加減速制御を行うことができる。
次に、図17を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。上記の第2実施形態では、加減速制御を行うものとしたが(図16(b)参照)、本実施形態では減速制御を行わない点で異なる。以下、第2実施形態と異なる点のみを説明する。
図17(a)および(b)に示すように、本実施形態では、全ての打刻列間において、初速度15mm/sec、最高速度25mm/secで加速制御を行う。その後、一定速度で送りを続け、最初の打刻列(L1)に到達した時点で送りを停止する。また、区間(2)以降最終打刻列までは、打刻列間が短いため、設定されている最高速度(25mm/sec)には達しないが、初速度15mm/secから加速を続け、続く打刻列まで到達したときその打刻列間における最高速度となり、減速することなくそのまま速度0となる。
このように、本実施形態では、基準速度と最高速度との間において一定の加速制御を行うと共に減速制御を行わないことにより、単純な制御で各打刻列間のテープ送りをできるだけ速く行うことができる。つまり、本実施形態の送り速度制御では、第2実施形態のように打刻列間の長さに応じた速度波形を制御データとして保有する必要がなく、全ての打刻列間を同一加速で速度制御すればよいため、送り制御が容易となる。
以上、第1実施形態ないし第3実施形態において説明したとおり、本発明によれば、点字打刻領域E2が打刻位置を通過するときの送り速度よりも、非点字打刻領域が打刻位置を通過するときの送り速度を高速となるように制御するため、打刻ピン41の駆動に影響を与えることなく、全体として点字打刻処理に要する時間を短縮することができる。
また、点字打刻領域E2の開始位置を最初の実打刻点が属する打刻列とし、点字打刻領域E2の終了位置を最後の実打刻点が属する打刻列としてテープ送りを制御するため、点字打刻処理に要する時間をより短縮することができる。すなわち、点字は1マス2列の打刻列で表現されるが、文字によっては1目(左側の列)に実打刻点が存在しないものがある。このような文字を最初に打刻する場合、点字打刻領域E2の開始位置を最初の打刻列(打刻ピン41の駆動を必要としない打刻列も含む)とすると、打刻ピン41の駆動を必要としないにも関わらず非点字打刻領域よりも低速でテープ送りすることとなる。したがって、打刻ピン41の駆動を必要とする最初の実打刻点が属する打刻列を、点字打刻領域E2の開始位置とすることで、打刻ピン41の駆動に影響を及ぼさない最小限の範囲で点字打刻領域E2を設定することができるため、点字打刻処理時間をより短縮することができる。
また、点字打刻領域E2に、空白打刻列が存在する場合は、実打刻領域が打刻ピン41を通過するときの送り速度よりも、空白打刻領域が打刻ピン41を通過するときの送り速度を高速とすることで、打刻ピン41の駆動に影響を与えることなく、点字打刻処理に要する時間をより短縮することができる。
また、ラベル作成装置1は、テープT上に点字打刻以外に墨字も印刷できるため、視覚障害者と晴眼者の両者が認識可能な点字ラベルを作成することができる。また、同一テープ上に点字打刻および墨字印刷を行うと、点字文字数と墨字文字数とは必ずしも一致するものではなく、墨字の文字サイズをユーザの好みに応じて変更できる構成も考えられるため、テープ送り方向における点字打刻領域E2の長さと墨字印刷領域E1の長さとが一致しない場合が多いが、このような場合に本発明を適用することで、より効果的な結果を得ることができる。また、墨字印刷領域E1と点字打刻領域E2との配置を指定可能であるため、ユーザの好みに応じて各領域の配置を変更することができる。
なお、上記では、打刻送りモータ151はステッピングモータ(パルスモータ)であるものとしたが、DCモータ、リニアモータ、ブラシレスモータ、インダクションモータなど、アクチュエータとして利用可能な各種モータを用いても良い。
また、上記では、基準速度を15mm/sec、最高速度を25mm/secに設定したが、モータの種類や性能、テープ識別センサ171の検出結果に応じて判別されるテープの材質等に応じて、それぞれの設定速度を変更することも可能である。
また、上記のラベル作成装置1の各部(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
また、上述した実施例によらず、ラベル作成装置1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。また、ラベル作成装置1以外でも、エンボス加工を行うための打刻装置など、打刻を行い得る装置であれば、本発明を適用可能である。