JP4621178B2 - シート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような画像形成装置におけるシート搬送装置としては、例えば特開2004−338923号公報に記載されている従来技術を挙げることができる(特許文献1参照)。すなわち、同公報の図6および図7に示されているように、画像形成手段本体の下側に、各段にそれぞれ所定のサイズや紙種のシートを所定枚数積載して収容したシート収容手段としての給紙トレイを配置し、給紙トレイと画像形成手段本体との間には、選択された段である給紙トレイの略水平方向に1枚のシートを引き出して上方の画像形成手段本体に向けて給送するシート搬送装置を設けた構成としている。
けれども、上記のように構成したシート搬送装置では、厚紙等の記録紙や封筒のような剛性が高い特殊紙のシート(P)を搬送させようとすると、搬送経路の曲率部の曲率半径が小さいため、シート(P)がその曲率に従って撓みながら搬送されるときの抵抗が複写用の普通紙のようなシートと比べて格別に大きくなるため、高剛性の記録紙や特殊紙等のシート(P)を進行させることができず、ジャムや搬送不良を生じて安定した給送動作ができないという不具合があった。
換言すれば、上記給紙装置によれば、搬送されるシート上の変形箇所を、湾曲ガイド部材による1箇所の湾曲に集中させずに、その搬送方向における直線状ガイド部材の前後端付近である2箇所での湾曲に分散でき、しかも、直線状ガイド部材を略中間角度の斜め姿勢に設置して、これらの2箇所における湾曲の程度を略均等な同程度にしているので、その搬送時には搬送負荷の急激な上昇を抑制できるとしている。すなわち、シートがその進行方向を変えるため、湾曲される箇所は、上流側のローラ対から直線状ガイド部材に受け渡す箇所と、直線状ガイド部材から下流側のローラ対に受け渡す箇所との2箇所になり、少なくとも、それぞれの湾曲の程度が小さくなり、これに伴い各箇所で湾曲させたことによって生じる抵抗力を低く保てるので、搬送負荷が急激に上昇することを回避できるというものである。
この給紙装置によれば、反転ガイド部材に用紙後端が接触するときには、用紙後端が接する方向と概略同様な方向に反転ガイド部材が変位して、この変位によって、用紙後端が接触した際のショックを吸収できるので、弾き音を低減できるとしている。
このシート給送装置によれば、高剛性のシートは、その搬送時に、搬送路上を進んで曲率半径が大きい第1の曲率部を通過する際には、普通のシートと同程度に湾曲されることなく、普通シートに比べて、十分に緩やかに湾曲されて進み続けるので、その搬送時の抵抗が少なくでき、シートの停滞や遅延を生じることなく共通搬送路に到達させ搬送できるとしている。
このシート反転手段によれば、送り込まれたシートは前記の方向変更部位でその内側の接触部位が、ローラに必ず接することになり、しかもこのローラがシートの搬送方向の進行に伴い従動回転するので、従来のガイド板に比べて、搬送抵抗を軽減でき、つまり固定されたガイド部材と移動するシートとの間に生じる摩擦抵抗を解消して、前記の方向変更部位での搬送方向を変更するガイドができるとしている。
つまり、前記従来の構成では、上記の搬送不良やジャムを回避する効果が不十分であり、直線状のガイド部材では、たとえ搬送負荷の急激な上昇を抑制できても、搬送負荷を生じることには変わりがないといえる。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムおよび用紙後端のハネ音が顕著となってしまう。
反面、剛性の高い(腰の強い)用紙を搬送する場合、ターン部のガイドと用紙が摺動することによる用紙搬送負荷が大きくなる。これを解決する手段として搬送補助用のベルト搬送手段をターン部に設置することが挙げられる。この構成を用いることにより、腰の強い用紙を搬送することが可能になる。
このハネ音は、ターン部で強制的に曲げられた用紙が元に戻ろうとする力が、用紙の後端がガイド部材の段差を通過する際に解放されてガイドを叩くことによって生じるものである。従来の搬送ローラから本願発明のベルト搬送手段に変更することにより、ベルトの弾性効果によって若干改善しているがまだまだ満足できるレベルには至っていない。
また、ベルト搬送手段を使い上記突音を低減するには、ベルトの搬送ガイド部材からの突き出し量によって効果の違いが現れてしまうため、ユーザが使用する厚紙の厚さによっては効果が無い場合も考えられる。
そこで本発明は、コンパクトで省スペースでありながら、上述の課題を解決した、ユーザにより高品質で、簡単かつ低コストで済む構成のシート搬送装置および該シート搬送装置等を備えた画像形成装置を提供することを主な目的とする。より具体的には、第2のベルト保持回転部材を、付勢手段によってシート搬送経路または第1のシート搬送経路に近づく向きに所定の付勢力で付勢することにより、例えば厚紙等の腰の強い(剛性の高い)シート搬送時におけるシートの後端がベルトの搬送面を叩きつける突音がベルトの弾性だけでなく付勢手段にて吸収するようにして、より騒音の少ない装置をユーザに提供することにある。
請求項1記載の発明は、シートを搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に搬送する第2の搬送手段とを有し、第1の搬送手段および第2の搬送手段のうちの少なくとも第2の搬送手段は、シートを挟持して搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成されるシート搬送経路の外郭方向に配置され、前記挟持部に向けてシートを搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備し、前記ベルト搬送手段は、前記ベルトを掛け渡すための、前記挟持部に対向して配置された第1のベルト保持回転部材と、少なくとも一つの第2のベルト保持回転部材と、第2のベルト保持回転部材を前記シート搬送経路に近づく向きに所定の付勢力で付勢する付勢手段とを備えることを特徴とするシート搬送装置である。
請求項1、2および6記載の発明によれば、付勢手段によって第2のベルト保持回転部材をシート搬送経路または第1のシート搬送経路に近づく向きに所定の付勢力で付勢することにより、例えば厚紙等の腰の強い(剛性の高い)シート搬送時におけるシートの後端がベルトの搬送面を叩きつける突音がベルトの弾性だけでなく付勢手段にて吸収することができるので、より騒音の少ない装置をユーザに提供することができる。
画像形成装置本体2の上部であって、原稿読取装置4の下方に空間を形成するようにして、上記画像形成装置本体2を通過した用紙を排出・積載する排紙トレイ9が設置され、給紙装置3から排紙トレイ9に至るまで用紙Sを移動させる用紙搬送経路(シート搬送経路)としての用紙搬送路R1(以下、「搬送路R1」ともいう)が形成されている。この搬送路R1の大部分は、給紙装置3から画像形成装置本体2の上部に渡り、略水平線に対して略垂直上方向、すなわち略鉛直上方向に延在されていて、該搬送路R1上には、最小サイズの用紙Sに応じた所定間隔を確保して搬送ローラ対やコロ対などによって構成された幾つかのシート搬送手段としての用紙搬送手段が設けられている。これらの用紙搬送手段のうちの何れかの用紙搬送手段は、搬送路R1上の用紙Sを、挟持などによって必ず搬送し続けるように構成されている。さらに給紙装置3には、該給紙装置3の各段に収容された用紙Sを搬送路R1に給送・搬送するシート搬送装置としての用紙搬送装置5が設置されている。
感光体10Aの周囲には、図中矢印で示す回転方向に順に、現像装置12と、転写装置13と、感光体クリーニング装置18と、除電装置と、帯電装置14とが配置され、感光体10Aの反時計回りの回転方向におけるその1回転の範囲内に、これらの各装置12〜14それぞれによって、その上流から下流に渡って順次、現像位置、転写位置、クリーニング位置、除電位置、帯電位置が設定されている。
さらに、帯電位置と現像位置との間には、潜像形成位置が設定され、この潜像形成位置に所定のレーザ光を照射して、画像情報に応じた不可視の潜像を書き込むための露光装置47が、感光体ユニット10からやや離れた斜め下方に配置されている。そして、感光体10Aが所定の反時計回りに回転駆動されるとともに、この感光体10Aの回転に同期して各装置12〜14、および露光装置47が、それぞれ所定に連係した協働動作を行うことにより、一連の画像形成処理が実行される。
転写装置13は、略上下方向に所定に離間させて対向配置された2つの支持ローラ15,16と、これらの支持ローラ15,16間に張架された無端ベルトからなる転写ベルト17とで構成され、感光体10A外周表面上のトナー像を用紙Sに転写し、未定着のトナー像が転写された用紙Sを搬送路R1の下流側に搬送する。すなわち、下方の支持ローラ16は、その転写ベルト17を巻回した部分が、感光体10Aの略右斜め下方箇所に圧接されて、感光体10A表面と転写ベルト17とが接した箇所に、転写位置が設定されている。また、上方の支持ローラ15は、定着装置11の導入口の手前に配置されている。
除電装置は、所定強度の発光が可能なランプを主体に構成されており、このランプから除電位置に除電用の光を照射して、該除電位置を通過する感光体10A表面上の帯電状態を解除し、転写位置を通過した後の感光体10Aの表面電位を、初期状態に復帰させるようにしている。
なお、同図中の20は、新品・新規トナーを収容したトナーボトルなどからなるトナー収納容器であり、このトナー収納容器20から現像装置12まで、図示しないトナー搬送経路が形成されている。現像装置12が自身内のトナーを現像用に消費して不足した場合には、新規トナーがトナー収納容器20から現像装置12に補充されるようになっている。
また、原稿読取装置4には、コンタクトガラス57を覆う閉止位置と開放した開放位置とに開閉可能に構成された原稿押さえ板58が、読取装置本体4Aの上面に設置されている。すなわち、原稿押さえ板58は、コンタクトガラス57よりも大きな縦横寸法で形成され、その一端が図示しないヒンジで読取装置本体4Aの上面に開閉自在に支持されている。
他方、手差し給紙の場合には、手差しトレイ67上にセットされた用紙Sが、まず手差しトレイ用の給紙ローラ67Aの回転により繰り出され、用紙Sが複数枚積載・セットされた際には、同手差しトレイ用の分離ローラ67B,67Cによって1枚に分離されて、手差し給紙路R2に搬送され、さらに手差し給紙路R2から搬送路R1に搬送され、用紙Sの先端がレジストローラ対21に突き当たって一旦停止する。
そして、レジストローラ対21は、回転駆動された感光体10A上のトナー像の相対移動に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、一旦停止した用紙Sを転写位置に送り込む。この結果として、この用紙S上に転写装置13によりトナー像が転写される。
次に、先願発明に係るシート搬送装置を適用した用紙搬送装置5(以下、「第1の例」ともいう)の特徴的な構成を説明する。
用紙搬送装置5は、図2および図3に示すように、図1に示した給紙装置3における所定段(この例では下段)の給紙トレイ51に積載・収容された多数枚の用紙Sから1枚の用紙Sを引き出し、引き出された用紙Sの用紙搬送方向(シート搬送方向)を変更し、略鉛直上方の画像形成装置本体2へ給送するものである。
ここで、第1および第2搬送手段6,7の各用紙搬送方向を厳密に表現すると、次のようである。すなわち、図4において、第1搬送手段6の用紙搬送方向は、フィードローラ61の回転中心と、リバースローラ62の回転中心と、フィードローラ61およびリバースローラ62の挟持部(ニップ部)の中心との3点を結ぶ線分におけるニップ部の中心に対して、直交する略水平方向に設定されている。
同様に、第2搬送手段7の用紙搬送方向は、グリップローラ81の回転中心と、プーリ83の回転中心と、グリップローラ81および搬送ベルト82の挟持部(ニップ部)の中心との3点を結ぶ線分におけるニップ部の中心に対して、直交する略鉛直上方向に設定されている。
ベルト搬送手段8は、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が、プーリ83およびプーリ84に保持されている該搬送ベルト82部分を除く該搬送ベルト82の搬送面82aに当接(接触)するように配置することが肝要である。このように、プーリ84の軸中心(プーリ軸84aの中心)が、リバースローラ62の下端位置よりも上方であって搬送ガイド部材71の下流端の高さよりも下方に位置するようにしてベルト搬送手段8を配置することにより、用紙Sの先端が搬送ベルト82の腹の部分(いわば「有効搬送面」とも呼ぶべき部分である)に衝突することによって、搬送ベルト82の安定した適度な弾性変位・変形状態が得られ、用紙Sの先端の反発を招くことなく、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに確実に当接した状態が保持されて、後述の作用効果を得ることができる。
これに対し、用紙Sの先端が、搬送ベルト82のプーリ83およびプーリ84に保持されている該搬送ベルト82部分に当接(接触)してもよいように配置すると、搬送ベルト82がプーリ83およびプーリ84に保持されている該搬送ベルト82部分は、一般的に搬送ベルト82の腹の部分よりも硬く弾性変位・変形状態も小さくなることから、用紙Sの先端が上記部分に当接した際には反発したり安定した適度な弾性変位・変形状態が得られなくなったりする点から好ましくない。これは、後述する先願発明を適用した各例等や、本願発明を適用した実施形態や変形例、実施例等でも同様である(以下、単に「以下、同様」ともいう)。
用紙Sの先端が、搬送ベルト82の搬送面82aに対して略垂直ないし直角の突入角度θをもって進入するように配置した場合には、用紙Sの先端部の搬送ベルト82の搬送面82aへの当接状態が不安定になる、例えば搬送ベルト82の走行方向と反対の方向に折れ曲がったり、反発を招いたりする点から、好ましくない(以下、同様)。
また、給紙トレイ51の底部には、所定形状の凹部が形成され、この凹部に、上昇アーム52が格納されている。上昇アーム52は、その基端部が前記凹部内に所定の角度範囲で回動自在、すなわち揺動可能に支持された水平軸52Aに固着されるとともに、この水平軸52Aには、図示しない回転駆動源から任意の回転方向の回転駆動力が伝達されて回動されることにより、上昇アーム52が水平軸52Aを中心として所定に傾斜した位置を占めるように揺動駆動される。これにより、上昇アーム52の自由端部が底板50を押し上げて、底板50上に載置された用紙Sの最上面の片側周縁を、所定の高さ位置に保つようになっている。
給紙トレイ51は、上述したように、給紙装置3の本体に対して着脱・挿脱自在に構成されている。すなわち、給紙トレイ51は、図1に示すように給紙装置3の本体内に挿入・装着されることで給紙可能となる装着位置と、給紙装置3の本体から図1において紙面の手前側に引き出され・離脱されることで、用紙Sの補充や用紙Sのサイズ交換等が可能となる離脱位置とを選択的に占めることが可能に構成されている。
また、少なくとも第1搬送手段6、第2搬送手段7、第1搬送手段6と第2搬送手段7との間に配置される用紙搬送経路(搬送路)は、給紙トレイ51を引き出したときに本体に残される。よって、本例では胴内排紙型の画像形成装置であるが、移動案内手段を設けることにより、上記搬送路を従来と同様の曲率またはそれ以下の曲率で搬送できるので、装置の幅方向を大きくすることなく、胴内排紙型の利点を減殺することを防ぐことができる。
ピックアップローラ60は、図3に詳しく示すように、図示しない芯金と一体的に形成された軸60aの周りに一体的に固着されていて、軸60aとともに回転自在になされた周知のもの、あるいは軸60aと前記芯金との間にワンウェイクラッチ(図示せず)を設けて、非駆動時には軸60aに対してフリーに回転するように支持されているものである。ピックアップローラ60の外周表面を含む外周部には、用紙Sと接触したときに容易にピックできるように用紙Sに対して摩擦係数の高いゴム等の軟質の高摩擦材料が用いられている。また、ピックアップローラ60の外周表面部は、適宜、摩擦抵抗を増大するために略鋸刃状の突起が全周に形成される場合もある。
フィードローラ61は、図示しない芯金と一体的に形成された軸61aの周りに一体的に固着されていて、軸61aとともに回転自在になされているか、あるいはピックアップローラ60と同様の支持方法を取られる場合もある。フィードローラ61の外周表面を含む外周部には、ピックアップローラ60と同様に用紙Sと接触したときにこれを容易に用紙搬送方向に送り出すことができるように用紙Sに対して摩擦係数の高いゴム等の軟質の高摩擦材料が用いられている。また、フィードローラ61の外周表面部は、適宜、摩擦抵抗を増大するために略鋸刃状の突起が全周に形成される場合もある。
リバースローラ62は、図示しない芯金と一体的に形成されていて、前記トルクリミッタを介して、リバースローラ駆動軸62aとともにハウジング80に回動自在に支持されている。
従って、リバースローラ62から該リバースローラ62に接した用紙Sに対して供給される搬送力は、用紙Sを元の積載位置に戻せる程度には十分な逆方向の搬送力を確保しながら、用紙Sを順方向に進めるためのフィードローラ61から用紙Sに供給される搬送力よりも、所定に小さく設定され、フィードローラ61による順方向の用紙搬送を妨げないようにしている。このため、謂わば、フィードローラ61から用紙Sに供給される搬送力は、リバースローラ62からの逆搬送力によって、減殺されている。
グリップローラ81の近傍には、このローラ81の外周面に搬送ベルト82を介して接するようにハウジング80に回転自在に軸支され、かつ、グリップローラ81の水平方向に対向して前記したプーリ83が配置されている。
プーリ83は、プーリ軸83aと一体的に形成されていて、プーリ軸83aとともにハウジング80に回転自在に支持されている。プーリ83の左斜め下方には、ハウジング80に回転自在に軸支された前記したプーリ84が配置されている。プーリ84は、プーリ軸84aと一体的に形成されていて、プーリ軸84aとともにハウジング80に回転自在に支持されている。プーリ83,84は、搬送ベルト82を走行・回転自在に支持するベルト保持回転部材としての機能を有する。
このような開閉ガイド79を有する場合、プーリ83およびプーリ84は、各プーリ軸83a,84aとともに開閉ガイド79側に回転自在に支持される。
搬送ベルト82は、弾性部材である例えばゴム部材で形成されていて、その表面には、該ベルト自体の材質によって、または適宜の表面処理が施されて、使用される用紙S(シート)に対して所定の摩擦係数が設定されている。すなわち、搬送ベルト82は、用紙Sに対面して該用紙面に接する、その搬送面としてのベルト表面が、用紙面とベルト表面との間のすべり接触を回避して、ベルト表面から用紙面に搬送推進力を確実に伝達できる摩擦係数が設定されている。
給紙モータ23は、ハウジング80に固定されている。アイドラギヤ25,26,65は、それぞれハウジング80に回転自在に支持されている。
上述したとおり、本例においては、コンパクトで省スペースである用紙搬送装置5として構成、すなわち後述する図5および図6等に示す実施例1に例示するように第1搬送路Aが曲率半径の比較的小さな曲率部で構成されている関係上、給紙モータ23は、単一であり、第1搬送手段6および第2搬送手段7の駆動手段を兼用していて、装置のコンパクト化に寄与している。
なお、リバースローラ62の駆動は、例えばフィードローラ61に対する圧解除等を行うソレノイド等を備えていて別系統である。図4において、62bは、図1〜図5に示した例において、図示しないトルクリミッタと説明したものを表している。
実際の駆動機構22では、給紙モータ23ないしフィードローラ61間にはより多くのギヤおよびタイミングベルト等の駆動力伝達部材が適宜配設されているが、ここではグリップローラ81が回転搬送駆動部材であることを明示するためその一例を両図に簡略的に示した。
この利点・効果は、次のような技術内容を考察すれば容易に理解できる。すなわち、グリップローラ81を駆動する場合、グリップローラ81の線速度はグリップローラ81自身の外径と回転数とによってのみ決まる。これに対して、搬送ベルト82側を駆動する場合を考えると、搬送ベルト82を駆動する場合、搬送ベルト82の内側に設けたローラ状のプーリ83(ベルト駆動ローラ、主プーリ)によって搬送ベルト82を駆動するのが一般的である。
この場合、搬送ベルト82の線速度は、搬送ベルト82の内側に設けたプーリ83の外径および回転数以外に、構成部品バラツキによる搬送ベルト82の厚さのばらつき、搬送ベルト82の磨耗による厚さの影響、あるいは搬送ベルト82とプーリ83との間のスリップの影響を受ける。このため、搬送ベルト82側を駆動するよりグリップローラ81側を駆動した方が、搬送ベルト82の線速度のばらつきを小さくできる。
なお、上述したほどの効果をそれ程望まなくても良いのであれば、例えば駆動機構22からグリップローラ81を駆動する駆動系を除去してグリップローラ81を従動側とし、かつ、搬送ベルト82側を図示しない駆動機構で駆動するようにしてもよい。
図2および図3において、72は、第2搬送手段7を起点として略鉛直上方への縦搬送路における外郭側の位置に設けられた搬送ガイド部材であり、73は、給紙トレイ51からフィードローラ61とリバースローラ62との挟持部(ニップ部)へ到る用紙搬送経路を形成するとともに、同ニップ部に用紙Sを案内・進入させる導入口を形成した搬送ガイド部材である。また、搬送ガイド部材70は、第1搬送手段6および第2搬送手段7のニップ部同士を結ぶ線上を横切って略下方(外郭に設けられている搬送ガイド部材71側)に膨出した湾曲面(ガイド面70a)を備えており、その膨出の程度は、用紙Sの先端を必ずベルト搬送面に到達させるように、用紙Sを緩やかに湾曲させる程度に設定されている。
底板50上に積載された用紙Sは、図2に示すように、上昇アーム52の揺動・上昇動作によりその最上面が所定の高さになるよう持ち上げられ、先ず、ピックアップローラ60の回転によって最上面の用紙Sが引き出され、フィードローラ61とリバースローラ62とからなる給紙分離機構に搬送される。そして、前記給紙分離機構において、フィードローラ61とリバースローラ62とによる協働作用により最上面の1枚のみが分離され、この分離された1枚の用紙Sが用紙搬送経路の下流側へとさらに搬送されて、図2に示すように用紙Sの先端が搬送ベルト82のベルト搬送面に接触しつつ、搬送ベルト82の矢印方向の走行によって案内移動され、グリップローラ81と搬送ベルト82とのニップ部に到ると、グリップローラ81と搬送ベルト82とによって用紙Sが挟持搬送されつつさらに鉛直上方に搬送され、最終的に用紙Sは垂直姿勢にして送り出される。
他方、搬送ベルト81の搬送面82aはそのまま第2搬送手段7の挟持部(ニップ部)に連続して延びているので、ベルト搬送面に接した用紙Sの先端部は、確実かつスムーズに安定して挟持部に到達することになる。換言すれば、まず高剛性の用紙Sでもその先端部が必ずベルト搬送面に接する程度に緩やかに湾曲させながら用紙Sを第1搬送手段6によって搬送し、その用紙Sの先端部がベルト搬送面に接して該ベルト搬送面による能動的な搬送ガイド作用によって、該ベルト搬送面から用紙Sにその用紙搬送方向に進めるいわば第2の搬送推進力を得てから、該用紙Sの先端を第2搬送手段7の挟持部に到達させるように、より深く用紙Sを湾曲させるようにしている。
そして、本例では、移動案内手段としてのベルト搬送手段8は、搬送ベルト82により、第2搬送手段7の挟持部(ニップ部)に向かう方向に用紙Sの搬送方向を変えて移動・案内する機能も有する。
搬送ベルト82の材質:エチレン・プロピレンゴム(EPDM)
搬送ベルト82の硬度:JIS A 40度
搬送ベルト82の摩擦係数:2.6(用紙に対する)
搬送ベルト82の肉厚:1.5mm
プーリ83の直径:13mm
プーリ84の直径:7mm
プーリ83,84の間隔:13mm(プーリ軸83a,84aの軸間距離)
搬送ベルト82の伸張率:7%
各ローラ60,61,62,81の直径:全て20mm
用紙搬送装置5の第1搬送手段6と第2搬送手段7との間の湾曲した用紙搬送経路(第1搬送路A)中心での曲率半径は、従来方式およびベルト方式ともに約20mm一定にして実施した。
ここで、「メートル坪量」とは、紙、板紙(用紙)の重量を表示するとき、1平方メートル当たりの用紙1枚の重さをグラムで表したものに相当する。一般的に、坪量の少ない用紙は「軽い紙」あるいは「薄い紙」であり、坪量の多い用紙は「重い紙」あるいは「厚い紙」であるといえる。
表1の試験結果において、○印で示した「通紙良好」とは、給紙センサ88がオンして用紙(シート)の先端が検出されてから所定時間内に縦搬送センサ89に到達したこと、すなわち搬送良好であることを、×印で示した「通紙不可」とは、給紙センサ88がオンして用紙の先端が検出されてから所定時間内に縦搬送センサ89に到達しなかったこと、すなわち搬送不良であることを、それぞれ表している。
通紙・搬送状況の対比観察により、従来方式ではメートル坪量が256g/m2以上になると、用紙の腰が強くなって、前記湾曲した用紙搬送経路に沿って湾曲するのが難しくなり、図1〜図5を借りて説明すると、その用紙の先端がグリップローラ81に対向接触するローラ状のプーリ83に付き当たってしまうことが分かった。
また、紙種として、メートル坪量が256g/m2以上の用紙において、その表面部をコート処理したものと、コート未処理のものとを用いて、通紙・搬送状況の対比観察も行ったが、表1の試験結果以外の特筆する有意差は認められなかった。
それ故に、比較的剛性の高い用紙Sだけを用いて搬送する用紙搬送装置の場合、その必須の構成となるのは、上記した第1搬送手段6と、第2搬送手段7と、第1および第2搬送手段6,7の間に形成される第1搬送路A(この場合はガイド部材が不要)の外郭方向に配置され、用紙Sの先端と接触した状態を保持しつつ第2搬送手段7に向けて用紙Sを移動・案内するベルト搬送手段8(移動案内手段)とである。
上述のことから、第1搬送路Aを形成する上記各種ガイド部材は、比較的剛性の低い、例えば普通紙やPPC等の用紙Sを搬送する場合、その剛性の低い用紙Sの直進性の弱さ(厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sと比べた場合の直進性である)を補い、搬送ベルト82の搬送面82aに導き・案内するために必要であると言える。別言すれば、用紙Sの剛性が低くなるほどその直進性の低下を補って、用紙Sの先端を搬送ベルト82の搬送面82aの腹の部分に確実に当接させるために、第1搬送路Aを形成する上記各種ガイド部材のガイド面の形状を設定する必要性があると言える。
換言すれば、その剛性が高くなる用紙S(メートル坪量が大きくなる用紙S)を用いる場合ほど、上述した比較的曲率半径の小さい曲率部の用紙搬送経路を構成する際に使用する種々のガイド部材の形状・配置等の設計に、自由度を持たせることが可能となる。
なお、搬送ベルト82の材質は、上記比較試験に用いたものに限らず、例えばクロロプレンゴムや、ウレタンゴム、あるいはシリコンゴムでもよい。また、搬送ベルト82の各ゴム硬度は、JIS A 40〜60度でもよい。
従って、たとえ用紙Sの剛性が高くても、この剛性に打ち勝って、用紙Sを適宜、その厚さ方向に変形つまり湾曲させながら、用紙Sを下流の第2搬送手段の挟持部に向けて確実かつ安定して搬送できる。このように用紙Sが高剛性であることに起因した主要な搬送不良の要因に対処できるので、用紙Sの先端が第2搬送手段の挟持部に到達した以降の用紙搬送も確実かつ安定して持続できる。この結果、用紙搬送装置として、多種多様な紙種に対応することが可能となり、その搬送対応能力を拡充でき、高い用紙搬送性能が得られる。
図8〜図10を参照して、先願発明を適用した第2の例を説明する。なお、図1〜図6に示した用紙搬送装置5と同一の構成要素・部材には、同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化することにする。特に記載しないが、本例で説明しない構成、つまり用紙搬送装置や他の構成およびその動作などは、図1〜図6に示した第1の例および実施例1の用紙搬送装置5と同様である。
そこで、図9に示すように、給紙分離機構による用紙Sの1枚ずつの分離後、1枚の用紙Sは、搬送抵抗が少なくて済むよう緩やかな屈曲で搬送され、その先端が搬送ベルト82に当接する。
搬送ベルト82は、図9中の矢印a方向で示される略鉛直上(略真上)方向に向けて進むように走行しているため、搬送ベルト82に当接した用紙Sの先端は、図10に示すように、グリップローラ81と搬送ベルト82との挟持部(ニップ部)へと搬送され、グリップローラ81と搬送ベルト82との対により略鉛直上方向の下流側へと挟持搬送される。この際、上記したように用紙Sに対しては、搬送ベルト82からその搬送方向に進める搬送推進力が伝達され作用するとともに、搬送ベルト82によりグリップローラ81と搬送ベルト82とのニップ部に向かって方向が変えられるので、高剛性の用紙Sでも搬送不良を生じることなく、安定して搬送できる。
図11を参照して、参考例1の用紙搬送装置5Aを説明する。図11に示す参考例1の用紙搬送装置5Aは、図8〜図10に示した第2の例の用紙搬送装置5と比較して、搬送ガイド部材71とベルト搬送手段8の構成要素(構成部品・構成部材)との配置位置関係を明定した点のみが相違する。
本参考例において、搬送ガイド部材71は、第1搬送路Aの最下流側の外郭方向であって、第1搬送路Aと第2搬送路Bとの合流搬送経路(合流部)の搬送ベルト82近傍に配置され、該搬送ベルト82に用紙を案内するガイド部材としての機能を有する。搬送ガイド部材71の配置位置は、図8〜図10に示したものと比べて、搬送ガイド部材71とベルト搬送手段8の構成要素との配置位置関係を分かりやすく図示するため、図において故意に下にずらして配置しており、また第1搬送路Aを拡大した幅で示している。本参考例においても、図4および図5に示した駆動機構22と同様に、グリップローラ81側が駆動側であり、ベルト搬送手段8(搬送ベルト82、各プーリ83,84)側が従動側として構成されている(以下の実施形態や参考例、参考変形例等でも同様)。
換言すれば、従動側のプーリ84の配置位置は、用紙ガイド出口(下流端71b)とプーリ83の軸中心との距離R1と、各プーリ83,84間の軸間距離R2との関係が、R1<R2を満足するように構成されている。
本参考例の用紙搬送装置5Aは、上述した相違点以外は、図8〜図10に示した用紙搬送装置5と同様である。
なお、各プーリ83,84の各プーリ軸83a,84aには、図示しない軸受を介して付勢手段・弾性部材としての図示しないバネ(圧縮バネ)によって、搬送ベルト82がグリップローラ81(図8〜図10参照)に当接する向きに付勢されている。これにより、第2搬送手段7の挟持部(ニップ部)には、所定の挟持圧が発生し、用紙Sを搬送するようになっている(以下、特に説明しない限り、後述の実施形態および参考例、参考変形例等でも同様)。
用紙Sの後端Seが搬送ガイド部材71の下流端71bを抜ける際に、搬送ガイド部材71の下流端71bと搬送ベルト82との段差とにより、用紙Sの後端Seが搬送ベルト82に衝突し、用紙Sの剛性の程度によっては、すなわち厚紙等の高剛性の弾性的な復元力によって、突発的なハネ音が発生する。この際、本参考例では、プーリ84を、搬送ガイド部材71の下流端71bにおける第2搬送手段7の用紙搬送方向上流側に配置したことにより、用紙Sの後端Seがプーリ83とプーリ84の間の搬送ベルト82の腹に衝突することとなり、その際に生じる搬送ベルト82の弾性変位・変形により、用紙Sの後端Se衝突時の衝撃を吸収・緩和することができるので、ハネ音を低減することが可能となる。
搬送ベルト82の材質としては、上記の他、例えばウレタンゴム(U)等や、スポンジゴムのような弾性部材も使用される。
プーリ83,84の材質としては、上記の他、例えばウレタンゴム(U)等や、ウレタン樹脂、スポンジゴムのような弾性部材も使用される。
従って、プーリ83,84として、上記のような比較的低硬度の弾性部材の材質を用いることにより、用紙Sの後端Seが搬送ベルト82を叩いた際の衝撃をプーリ83,84部分でも吸収でき、より一層ハネ音を低減することが可能となる。
図12を参照して、参考例1の参考変形例1を説明する。図12に示す参考変形例1は、図11に示した参考例1の用紙搬送装置5Aと比較して、搬送ベルト82に代えて、第2搬送手段7の用紙搬送方向と直交するベルト幅方向の中央部の形状が凸状(中央高・かまぼこ状の湾曲形状)をなしている搬送ベルト82Aを用いることのみ相違する。参考変形例1は、上記相違点以外は図11に示した参考例1の用紙搬送装置5Aと同様である。
図13を参照して、参考例1の参考変形例2を説明する。図13に示す参考変形例2は、図11に示した参考例1の用紙搬送装置5Aと比較して、プーリ83,84に代えて、第2搬送手段7の用紙搬送方向と直交するベルト幅方向の中央部の形状が凸状(太鼓形状)をなしているプーリ83A,84Aを用いることのみ相違する。参考変形例2は、上記相違点以外は図11に示した参考例1の用紙搬送装置5Aと同様である。
図14を参照して、参考例2の用紙搬送装置5Bを説明する。図14に示す参考例2の用紙搬送装置5Bは、図11に示した参考例1の用紙搬送装置5Aと比較して、搬送ガイド部材71とベルト搬送手段8の構成要素(構成部品・構成部材)との配置位置関係を次のように明定した点が主に相違する。
本参考例の用紙搬送装置5Bの最大の特徴は、プーリ84(第2のベルト保持回転部材)のプーリ軸84a(軸)中心を、搬送ガイド部材71の下流端71bと略等しい位置となるように配置した点にある。換言すれば、従動側のプーリ84の配置位置は、用紙ガイド出口(下流端71b)とプーリ83の軸中心との距離R1と、各プーリ83,84間の軸間距離R2との関係が、R1≒R2を満足するように構成されている。
本参考例では、ハネ音防止のために、参考例1で説明したと同様の構成、搬送ベルト82を比較的低硬度の弾性部材で構成したり、プーリ83,84を比較的低硬度の弾性部材で構成したり、参考変形例1や2を適宜組み合わせ適用することが肝要である。本参考例の用紙搬送装置5Bは、上述した相違点以外は、図8〜図10に示した用紙搬送装置5と同様である。
図14に示した参考例2の場合、プーリ84の位置が搬送ガイド部材71出口付近に配置されており、用紙Sの後端Seが搬送ベルト82に衝突する地点は、搬送ベルト82のプーリ84による保持部付近となる。用紙Sの後端Seが搬送ベルト82の有効搬送面とも呼ぶべき腹に衝突するわけではないので、搬送ベルト82の弾性撓み変位・変形による衝撃の吸収はあまり見込めない。しかしながら、搬送ベルト82の弾性部材の材質、プーリ84の弾性部材の硬度を適宜小さくすることにより、搬送ベルト82、プーリ84の適度な弾性変位・変形を得るようにして、また参考変形例1のように搬送ベルト82のベルト幅方向の形状や、参考変形例2のようにプーリ84のベルト幅方向の形状をそれぞれ凸形状にすることにより、用紙Sの後端Seの時間差衝突を図ることで、ハネ音は十分に低減可能である。
図15を参照して、参考例3の用紙搬送装置5Cを説明する。同図に示す参考例3の用紙搬送装置5Cは、図11に示した参考例1の用紙搬送装置5Aと比較して、搬送ガイド部材71の下流端71bとベルト搬送手段8における搬送ベルト82の搬送面82aとの間に、第1搬送手段6(フィードローラ61)の用紙搬送方向に段差が生じないように、かつ、ベルト搬送手段8の搬送ベルト82の走行に支障とならないようにプーリ84を配置した点が主に相違する。
用紙搬送装置5Cの搬送ベルト82は、少なくとも、搬送する最大サイズの用紙幅とほぼ同じ範囲、すなわち、搬送ベルト82の設定範囲としては、少なくとも、搬送する最大サイズの用紙幅以上の範囲に渡り所定の幅寸法をもって断続的に形成・設定されている。同様に、搬送ベルト82を張架しているプーリ83,84および搬送ベルト82に対向接触したグリップローラ81も、それぞれの用紙幅方向Y(軸長手方向)のプーリ、ローラの範囲が、搬送ベルト82の設定範囲と同一以上の範囲に渡り所定の幅寸法をもって串刺し状に断続的に形成・設定されている。
図15に示すように、搬送ベルト82の用紙搬送方向(矢印a方向)上流側の外郭には、第2搬送路Bを形成するガイド面74aを備えた搬送ガイド部材74が配置されている。この搬送ガイド部材74により、搬送ベルト82の搬送面82aと搬送ガイド部材71出口の間の隙間に、用紙Sをガイドするように構成されている。
図16〜図23を参照して、第1の実施形態の用紙搬送装置5Dを説明する。図16に示す第1の実施形態の用紙搬送装置5Dを有する複写機1は、図11に示した参考例1の用紙搬送装置5Aと比較して、給紙装置3を構成する上段の用紙搬送装置を、同給紙装置3を構成している下段の用紙搬送装置と実質的に同一の用紙搬送装置5Dとして構成した点、および搬送ベルト82の幅が搬送する最大サイズの用紙幅以上の長さであって、かつ、プーリ83,84、グリップローラ81の各幅の長さが搬送ベルト82の幅の長さ以上にそれぞれ用紙幅方向Yに連続的に形成されている構成に代えて、ベルト搬送手段8Dにおける搬送ベルト82の用紙幅方向Yが、用紙幅方向Yの用紙Sの一部の先端部(先端、先端面、先端の角部・エッジを含む)と接触するように用紙幅方向Yに断続的に構成されている点が主に相違する。
また、図15に示した用紙搬送装置5Cの搬送ベルト82は、少なくとも、搬送する最大サイズの用紙幅とほぼ同じ範囲、すなわち、搬送ベルト82の設定範囲としては、少なくとも、搬送する最大サイズの用紙幅以上の範囲に渡り断続的に設定されている。同様に、搬送ベルト82を張架しているプーリ83,84および搬送ベルト82に対向接触したグリップローラ81も、それぞれの用紙幅方向Y(軸長手方向)のプーリ、ローラの範囲が、搬送ベルト82の設定範囲と同一以上の範囲に渡り串刺し状に断続的に形成されている。
これにより、第1搬送手段6から送出された用紙Sは、搬送ベルト82,82Aに対して、必ずその連続的な用紙幅全域あるいは断続的な用紙幅に渡って接することになり、両者間の接触面積を可能な限り最大限に確保できる。これに伴い、常時、搬送方向に移動される搬送ベルト82,82Aから用紙Sに供給可能な用紙Sをその搬送方向に進める搬送推進力も、可能な限り最大限の力を伝達することが可能となることを特徴に挙げている。これに対し、第1の実施形態では、以下のように構成している。
図17、図19および図20に示すように、3箇所の搬送ベルト82は、用紙幅方向Yの略中央に配置された搬送ベルト82を中心に、これと用紙幅方向Yの左右に所定の等しい間隔を置いて2つの搬送ベルト82が配置されている。
搬送ベルト82は、各プーリ軸83b,84bを介してのプーリ83、84のベルト支持部材86への組み付けの関係により、プーリ軸83bに回転自在に支持されたプーリ83と、プーリ軸84bに回転自在に支持されたプーリ84との間に所定のテンションをもって掛け渡されている。
すなわち、各プーリ軸83b,84bは、その軸間距離を一定に保持するように、ベルト支持部材86に固定・支持されている。このとき、各プーリ83,84間に搬送ベルト82を巻き掛けるときの搬送ベルト82の周長が、搬送ベルト82単体の周長よりも大きくなるように各プーリ軸83b,84bをベルト支持部材86に配設・支持したことも特徴点となっている。上記構成により、搬送ベルト82は、ベルト搬送手段8Dとしてベルト支持部材86に組んだ場合、搬送ベルト82単品の周長より組み付けた後の周長の方が大きくなるよう、搬送ベルト82をその弾性により伸ばして使用していることとなる。
図18に示すように、ベルト支持部材86のバネ台座86aと開閉ガイド79に固設されたバネ受け部材93との間には、ベルト支持部材86の背面を付勢することにより、搬送ベルト82を図18に示す第1搬送路Aに近づく向きに常に圧接する向きに付勢・加圧する付勢手段・弾性部材としてのバネ(圧縮バネ)92が装着されている。
図18および図21を参照して、バネ92の一端がベルト支持部材86を加圧していることは上述したが、その他端はバネ加圧台94に支持・係止されている。バネ加圧台94は、バネ92の付勢力の向きに沿ってバネ受け部材93に形成されたスリット93aに対し、移動かつ任意の位置にて固定できるよう構成されている。同図では、ネジで締結・固定されている例を示す。この構成により、それぞれ3箇所において、バネ92の圧縮長さを任意に変えられることで、バネ92の付勢力としてのバネ荷重、すなわちその加圧力を変更可能に構成されている。本実施形態例では、2個のバネ91のバネ荷重、バネ長さ、形状等のバネ仕様は、同一のものを使用している。同様に、3個のバネ92のバネ荷重、バネ長さ、形状等のバネ仕様は、同一のものを使用している。
厚紙等の腰の強い用紙Sは曲率の小さな搬送ガイド部材71を抜ける際、その後端Seは搬送ガイド部材71の拘束力が無くなった瞬間、その弾性的な復元力が大きいためC方向に戻ろうとする。この際、用紙Sの後端Seは搬送ベルト82の搬送面82aに叩きつけられ突音が発生するが、先述したバネ92(図18および図21等参照)の弾性変形・変位により衝撃が吸収され(緩衝作用)、突音の発生が抑えられる。図22において、矢印RAは搬送ベルト82およびプーリ84の揺動方向を表している。
以上説明した動作により、用紙の厚さ(腰の強さ、剛性の高低)に応じてバネ92の加圧力を任意に設定できることにより、問題なく用紙Sの搬送を良好に行える。
第1に、プーリ84(第2のベルト保持回転部材)は、プーリ83(第1のベルト保持回転部材)を中心として揺動可能に配置され、かつ、バネ92(付勢手段・弾性部材)により第1搬送路Aに近づく向きもしくは外郭方向に揺動可能に所定の加圧力(付勢力)で加圧(付勢)されているので、厚紙等の比較的剛性の高い用紙搬送時における用紙Sの後端Seが搬送ベルト82の搬送面82aを叩きつける突音が搬送ベルト82の弾性変形・変位だけでなく、バネ92の緩衝作用により吸収できるので、より騒音の少ない用紙搬送装置5Dおよびこれを有する複写機1をユーザに提供できる。
第6に、ベルト搬送手段8Dの搬送ベルト82は、駆動機構22により回転駆動されるグリップローラ81(回転搬送駆動部材)と直接接触して連れ回る構成であるので、搬送ベルト82側を駆動する場合よりもグリップローラ81側を駆動した方が、搬送ベルト82の線速度のばらつきを小さくできる。これにより、第1搬送路A(用紙搬送経路)と第2用紙搬送路Bとの合流搬送経路のターンの外側(外郭方向)に第2搬送手段7の挟持部に向けて回転・走行する搬送ベルト82を配置することで、第1搬送路Aのターン部での厚紙等の比較的剛性の高い用紙搬送性の向上を可能とし、搬送ベルト82と対向し直接接触するグリップローラ81を駆動し、搬送ベルト82を連れ回りさせることで、安定した線速度で用紙を第2搬送手段7以降に搬送させることが可能となる。
この場合、搬送ベルト82の線速度は、搬送ベルト82の内側に設けたプーリ83の外径および回転数以外に、構成部品バラツキによる搬送ベルト82の厚さのばらつき、搬送ベルト82の磨耗による厚さの影響、あるいは搬送ベルト82とプーリ83との間のスリップの影響を受ける。このため、搬送ベルト82側を駆動するよりグリップローラ81側を駆動した方が、搬送ベルト82の線速度のばらつきを小さくできる。
これにより、合流搬送経路における第1搬送路Aのターン部での厚紙等の比較的剛性の高い用紙搬送性の向上を可能とした用紙搬送装置において、機構がシンプルで、省スペース、低コスト化を実現できる。
すなわち、上記の実施形態や変形例等では、その互いに異なる用紙(シート)搬送方向として、略水平方向からこれに対する垂直方向の上向き(略鉛直上方向)に変更する例を説明したが、これに限られることなく、略水平方向から垂直方向の下向き(略鉛直下方向)に変更したり、垂直方向の下向きか、上向きの何れかから略水平方向に変更したり(例えば、図24(a)参照)、あるいは両方が斜め方向等であったりしてもよい。
また、ローラ部材やコロ部材を配置していない前記のいくつかの間隔に、それぞれ上記した実施形態や、参考例、参考変形例における外郭方向および内郭方向のいくつかのガイド部材が形成したガイド面を位置させた構成としてよい。これらのガイド面としては、搬送方向の搬送中心線に対して適宜の規則的な対称に配置されていれば、用紙(シート)搬送方向に帯状のガイド面を形成したり、略線状のガイド面を形成したり、適宜、これらを混在させてもよい。
カラー複写機では、転写体で用紙(シート)を搬送しながら順次転写して重ね合わせる直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置や、中間転写体としての無端状の中間転写ベルトに転写した後、用紙に一括転写するタンデム型の画像形成装置においても同様に適用し実施することができる。無論、無端ベルト状の感光体が単一の画像形成装置においても同様に適用し実施することができる。
本発明は、孔版印刷機等を含む印刷装置において、シート収容手段(給紙トレイ)やシート積載手段(給紙台)からシート(用紙)を印刷部本体に搬送して供給するシート搬送装置にも適用してもよい。
さらには、画像形成装置として、複写機に限られることなく、ファクシミリ、プリンタ、インクジェット記録装置、印刷装置、原稿から画像を読み取るスキャナを有し画像読取機能を主体にした画像読取装置等またはそれらのうちの少なくとも二つを組み合わせた複合機等に適用してもよい。何れにしても、多種多様な紙種としてのシート種類を搬送対象にして、このシートの搬送経路上で省スペース化を図りながら、そのシート搬送方向を変更する必要がある機器や装置において、最適なシート搬送装置とすることができる。
2 画像形成装置本体
3 給紙装置
4 原稿読取装置
5A,5B,5C,5D 用紙搬送装置(シート搬送装置)
6 第1搬送手段(第1の搬送手段)
7 第2搬送手段(第2の搬送手段)
8,8A,8D ベルト搬送手段(移動案内手段)
9 排紙トレイ
10 感光体ユニット
10A 感光体
11 定着装置
12 現像装置
13 転写装置
21 レジストローラ対
22 駆動機構
23 給紙モータ
50 底板(シート積載手段)
51 給紙トレイ(シート収容手段)
60 ピックアップローラ
61 フィードローラ(第1の搬送手段の対向対の一方)
62 リバースローラ(第1の搬送手段の対向対の他方)
67 手差しトレイ
70 搬送ガイド部材(内郭側、ガイド部材)
71 搬送ガイド部材(外郭側、ガイド部材)
72 搬送ガイド部材(縦方向搬送路の外郭側、ガイド部材)
72a ガイド面
72b 搬送ガイドリブ
73 搬送ガイド部材(給紙トレイから搬送経路への導入口形成用)
79 開閉ガイド(シート搬送装置本体)
80 ハウジング(シート搬送装置本体)
81 グリップローラ(第2の搬送手段の対向対の一方、回転搬送駆動手段、回転搬送駆動部材)
81a グリップローラの回転駆動軸
82,82A 搬送ベルト(第2の搬送手段の対向対の他方としてのベルト)
82a 搬送ベルトの搬送面
83,83A プーリ(第1の搬送手段の対向対の一方としてのベルト搬送手段の構成部材、第1のベルト保持回転部材)
83a,83b プーリ軸(ベルト保持回転部材の下流側の軸)
84,84A プーリ(第1の搬送手段の対向対の一方としてのベルト搬送手段の構成部材、第2のベルト保持回転部材)
84a,84b プーリ軸
86 ベルト支持部材
91,92 バネ(付勢手段、弾性部材)
100 外側ガイド部材
A 第1搬送路(シート搬送経路)
B 第2搬送路(シート搬送経路)
R1 搬送路
R2 手差給紙路
R3 反転搬送路
S 用紙(シート・シート状記録媒体、被画像形成媒体)
Y 用紙幅方向(シート幅方向)
θ 突入角度
Claims (9)
- シートを搬送する第1の搬送手段と、
第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に搬送する第2の搬送手段とを有し、
第1の搬送手段および第2の搬送手段のうちの少なくとも第2の搬送手段は、シートを挟持して搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、
第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成されるシート搬送経路の外郭方向に配置され、前記挟持部に向けてシートを搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備し、
前記ベルト搬送手段は、前記ベルトを掛け渡すための、前記挟持部に対向して配置された第1のベルト保持回転部材と、少なくとも一つの第2のベルト保持回転部材と、第2のベルト保持回転部材を前記シート搬送経路に近づく向きに所定の付勢力で付勢する付勢手段とを備えることを特徴とするシート搬送装置。 - シートを搬送する第1の搬送手段と、
第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に搬送する第2の搬送手段と、
第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成される第1のシート搬送経路と、
第2の搬送手段の上流から第2の搬送手段に至って形成され、第1のシート搬送経路と異なる第2のシート搬送経路と、
第1のシート搬送経路と第2のシート搬送経路とが、第2の搬送手段の上流側で合流する合流搬送経路とを有し、
第1の搬送手段および第2の搬送手段のうちの少なくとも第2の搬送手段は、シートを挟持して搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、
前記合流搬送経路の外郭方向に配置され、前記挟持部に向けてシートを搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備し、
前記ベルト搬送手段は、前記ベルトを掛け渡すための、前記挟持部に対向して配置された第1のベルト保持回転部材と、第1のベルト保持回転部材に対向して配設された少なくとも一つの第2のベルト保持回転部材と、第2のベルト保持回転部材を第1のシート搬送経路に近づく向きに所定の付勢力で付勢する付勢手段とを備えることを特徴とするシート搬送装置。 - 第1のベルト保持回転部材と前記少なくとも一つの第2のベルト保持回転部材とを回転可能に支持し、前記ベルトを所定の位置に位置決めする位置決め部を備えたベルト支持部材と、
前記シート搬送経路または前記合流搬送経路の外郭方向に前記ベルトの搬送面を臨ませるように配置されたガイド部材とを有し、
前記付勢手段は、弾性部材からなり、該弾性部材の加圧力により前記位置決め部を前記ガイド部材に押し付けることにより、前記ベルトが前記ガイド部材のガイド面から突出した所定の位置に位置決めされることを特徴とする請求項1または2記載のシート搬送装置。 - 前記ベルト搬送手段は、前記シート搬送方向に沿ってそれぞれ分割された、複数の前記ベルト、複数の第1のベルト保持回転部材、複数の第2のベルト保持回転部材および複数のベルト支持部材から構成されており、
前記複数のベルト支持部材に対応して前記弾性部材が、配設されており、
前記各ベルト支持部材に対応して配設された前記弾性部材の加圧力を、調整可能に構成したことを特徴とする請求項3記載のシート搬送装置。 - 前記ベルト搬送手段は、3本以上の前記ベルトにて構成され、該3本以上のベルトの中央部の加圧力を、両端部のそれより高く設定したことを特徴とする請求項4記載のシート搬送装置。
- シートは、メートル坪量が256〜300g/m 2 の腰の強いシートであることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載のシート搬送装置。
- 請求項1ないし6の何れか一つに記載のシート搬送装置を有することを特徴とする画像読取装置。
- 請求項1ないし6の何れか一つに記載のシート搬送装置および/または請求項7記載の画像読取装置を有することを特徴とする画像形成装置。
- 前記画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機およびインクジェット記録装置の何れか一つ、またはそれらの少なくとも二つを組み合わせた複合機であることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
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